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2013年9月 5日 (木)

成長をもたらした「141日間」の天皇杯

8月31日から始まった今年の天皇杯だが、柏レイソルのみ、ACLとの日程の兼ね合いもあり、9月4日開催となったが、それ以外のJリーグ勢は今週末に行われる2回戦からの登場となる。

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そして2014年の元旦に行われる決勝戦まで、124日間かけて「カップウィナー」を決めるこの大会だが、今大会の1回戦で姿を消してしまったものの、実に141日間も「今年の天皇杯」に関わってきたチームがある。それは今年度の群馬県代表となった、ザスパ草津チャレンジャーズだ。

以前にも書いたが、このチームは群馬県協会が管轄する社会人リーグの最下層である三部所属。いくら2年連続で決勝に進んでいるとは言え、予選トーナメントでは「所属カテゴリー」が絶対であり、特例は認められてはいない。だからこそ、今年も4月から始まる一次予選から「天皇杯への道」がスタートした。

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一次予選の会場は、どこにでもある普通の土のグラウンドだった。しかし、会場は群馬特有の強風が吹き荒れるグラウンドであり、なかなか落ち着いてボールをコントロールできない試合もあった。さらには季節外れの悪天候により、サッカー会場というより「田んぼですか?」と言いたくなるような会場での試合もあった。

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さて今年のチームだが、こちらも何度も書いてきたが、新チームとなったばかりの2、3月に行われた練習試合では「本当に大丈夫か?」と思うほど、クオリティが低かった。いくら昨年からの選手が多数残っていたとは言え、「核」と呼べる選手がトップチームに昇格して行ったあと、残された選手たちだけで今シーズンをどう戦っていくのかが見えてこなかった。また、当初は入団が発表されていた選手が、結局はチームへの合流をキャンセルしてしまうなど、決していいスタートとは言えないまま、新シーズンが始まっていった。

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だが、どうあがいても、今ここにいる(当時)16人という人数の中で、なんとかやっていくしかなかったチャレンジャーズ。しかし、新加入組の久富、小林誠、深澤の3人がチームにフィットしだすと、シーズン当初に感じた不安が一気に解消され、チームの状態がどんどん良くなっていく中で、「一つも負けられない戦い」が4月から早くもスタートした。

4月14日、高崎経済大学グラウンドからスタートした「天皇杯への道」。1次予選3試合、そして6月に行われた2次予選2試合を順調に勝ち抜き、7月から行われる決勝トーナメントにコマを進めたチャレンジャーズ。ここまでの5試合の結果を見ると8-0、11-0、2-0、7-0、4-1と、どの試合でも危なげなく勝ってきたが、それぞれの試合の中で木村監督、そして選手が「高い目標」を持って試合に取り組んできたことが、決勝トーナメントに入って実を結ぶ事となる。

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選手は意識していたかどうかはわからない。だが、今年のチームには過去のチームになかった「守備の安定度」が高くなっていたのである。今年で3年目となるキャプテンの安田、2年目の小西、そして新加入の2人が形成する大卒組4バックは、木村直樹が作ってきたチームの中で、もっとも完成されたディフェンスラインを形成。そして中盤の藤井も、深澤の動きをフォローしながら全体のバランスを考えた献身的な動きでチームをサポート。

別に木村は守備的なチームを作ろうとした訳ではないし、選手も守りを重視した訳ではない。しかし、守備ラインにいい人材を得た事がこのチームに成長を呼び込み、そして決勝戦を睨んだ時期に入ってからは、格上との練習試合の中で県リーグでは感じられない「速さ」「強さ」「組織力」を体感し、上への「免疫力」も身につけていく。結果的に、決勝戦を前にして在籍しているメンバーは15人だけだった。だが、「今年はだめか…」と思ったチームが、決戦を前にして過去最高のチームへと生まれ変わったのである。

そして決勝戦を2-1で勝利して、念願だった天皇杯に出場を決め、さらに1回戦ではJFL勢の一角である横河武蔵野FCという、素晴らしい相手と戦うことになった。

群馬予選決勝で戦ったtonan前橋は地域リーグ1部で、横河武蔵野はその1カテゴリー上のJFL。しかし、その1カテゴリーの差は県リーグの1部と2部や、地域1部と2部レベルの差と比較なんて出来ないほど、大きな差がある相手。地域ではなく、普段から「全国」で戦う相手。そしてチャレンジャーズと武蔵野のカテゴリー差はなんと5カテゴリー差であった。

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初出場の舞台で、いきなり強敵との対戦となったチャレンジャーズ。試合は序盤から予想通り相手に圧倒され、自陣に釘付けにされてしまう。相手は長いボールを多様して押し込んでくるのはわかっていたものの、予想以上に一つ一つのプレーの正確さ、そして球際の強さが格段だった。しかしそれでも、必死に相手に食らいついていくチャレンジャーズは、前半終盤に意地を見せてカウンターやセットプレーからチャンスを奪い、なんかシュートまで持ち込む形を作り出した。

前半のスタッツはチャレンジャーズのシュート3に対して武蔵野は7。圧倒的にボールはキープされたものの、決定的な部分はなんとか作らせず、スコアレスで前半を折り返すことに成功した。

そして後半だが、前半以上に鋭い出足を見せる武蔵野の前に、完全に防戦一方となってしまう。そんな中で、セットプレーからの小山のヘディングがバーに阻まれるなど、運までもがチャレンジャーズを味方してくれた。もうだめか… と思うシーンも何度もあった。前後半を合わせて19本のシュートを浴びせられた。しかし、諦めない心がゴールに鍵を掛け、90分を終えたところでゲームは大方の予想を裏切り、0-0のまま延長戦へと突入していく。

選手にもサポーターにも「もしかして」と思う気持ちが生まれていた。この日、ザスパのトップチームはニッパツ三ツ沢で公式戦があった。それにも関わらず、敷島に集まったサポーターは、奇跡の「ジャイアントキリング」を信じて声援を送り続けた。

しかし、ここまでチャレンジャーズを見守ってくれていた「天」はちょっとした悪戯を会場に仕掛けたのである…

試合後半の時点から会場を覆っていた雷雲が、ついに唸りを上げ、延長前半1:45の時点で主審は雷が止むまでゲームを中断。ここまで、防戦一方で足がつる選手が続出したチャレンジャーズにとって、このインターバルは恵みの「休憩」となるかと思われたが、実際には思わぬ方向に進んでしまうのだった。

15:15から再開されたゲームだが、ここで集中を切らしてしまったチャレンジャーズは、リスタート直後の93分に左サイドを破られ、あっさり中で矢部に合わされて痛すぎる失点を喫してしまう。そしてこの失点を契機に、一気に武蔵野の底力が加速していき、あっという間に2点を追加してゲーム自体はここで完全に決してしまった。

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だが、初の全国の舞台で「1点」を奪いたいチャレンジャーズは、最後まで諦めず、延長前半までの105分間で放ったシュート数と同じ4本を、延長後半で武蔵野ゴールに浴びせていく。そんな中で白井の放ったシュートは決定的であったものの、武蔵野GK藤吉のファインセーブに阻まれて、どうしても「1点」が手に届かない。

そして試合は0-3のまま終わりを告げ、チャレンジャーズたちの「夢舞台」はこの日のみで終わってしまった…

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試合後、選手たちは口を揃えて相手のレベルが高かったことをコメントしてくれたが、それと同時に「高いレベルと試合が出来て本当に楽しかった」とも語ってくれた。

だがはっきりいって、延長戦まで持ち込めたものの、チャレンジャーズに勝てる要素は無かった。ただ一つ、勝つ要素があったとすれば、試合の中断がなく、集中を持続したままスコアレスで試合を終わらせて、PK戦に賭けるのみだった。

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それぐらい、両者の間には力の差があった。やはりJFLというリーグで長年戦っていることはダテではないし、偉大なことでもあると感じた。しかしチャレンジャーズにとっては、この大舞台で格上を相手に90分間はしっかり集中して戦えた事は大きな経験となったはず。「第93回天皇杯全日本サッカー選手権大会」としては、たった1日で終わってしまったが、「2013年の天皇杯」と考えた場合、4月14日から9月1日までの141日間は、選手一人一人、そしてチームを本当に成長させた、とても有意義な時間でもあった…

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「たられば」の話をしてはいけないが、もし昨年、登録ペナルティがなかったとすれば、今年は県1部。そしてここで優勝していれば、秋に行われる関東リーグ昇格を賭けた「関東社会人サッカー大会」にも出場できたかも知れない。今ここで得た大きな経験を糧にもっと成長して、しびれるぐらいの「緊張感」の中で試合が出来る関東社会人で試合をやらせてあげたかったと心から思うのだ。

しかし、チャレンジャーズの立ち位置は県三部。どうやっても来年は二部にしかならない。飛び級を期待する声もあるようだが、県協会はそれを認める可能性は限りなく少ないし、チームも飛び級を要請することもないようだ。だが、カテゴリーがどこに位置してようと、選手それぞれが高い志をもって日々の練習に打ち込めば、この日の天皇杯のように格上に対しても十分やれるということは、身を以て知ったはず。

2013年の天皇杯はこの日で終わってしまった。しかし、ここが選手たちの終着点ではない。残された日々に、もっと努力を続けて秋葉忠宏に認めてもらえるようになるという課題は残されている。そして、その課題に向かってメンバー全員が成長を続けていけば、チームとしても大きな積み重ねとなっていく。

今の選手たちだって、秋葉体制においてレギュラーを勝ち取った、先輩にあたる有薗真吾と比べても大きく劣っている訳ではない。決して、彼のようなプレーヤーになれない訳ではない。横河武蔵野との試合で、最後まで諦めずに戦い、最後まで1点を求めた姿勢を、どんな時でも忘れずに練習に打ち込んでいけば、選手それぞれの「個」の目標にもたどり着けるはず。

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この141日間という濃密だった時間に負けないほど、この先どれだけ努力できるだろうか? ここでの経験を「思い出」にしてしまうか、「糧」とするかで大きく変わってくる訳だが、それをどう活かして行くかは選手それぞれの考え方次第。

さてこれから、個人、そしてチームがどう成長していくかも、まだまだ楽しみである。

2013年8月29日 (木)

ついに勝ち取った天皇杯出場権

ザスパ草津が2005年からJリーグDIVISION2に戦いの場所を移した年から、チームがスタートした「ザスパ草津チャレンジャーズ」。

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ホームタウン(当時)だった草津ではJリーグを開催できるスタジアムはなく、JFLに所属していた2004年シーズンから実質的に前橋にホームを動かしていたが、この年より完全に前橋へ移転。それにともない「ルーツ」を忘れないために、という名目で作られたのがチャレンジャーズチームだった。

この「ルーツ」とは何をさすのか?

当然ながら、クラブのルーツとは発祥の地である草津町。そしてこの街で働きながら夢を追い続けることだ。しかし、結成を表明した当初から、「トップが下(前橋)に降りて行ってしまったための代替案(身代わり)」と揶揄されることも少なくはなかった。

だが、この街にやってきた選手は、みんな素晴らしいヤツばかりだった。
また、このチームの初代監督でもあった佐野達(現サウルコス福井GM兼監督)の人間性の良さも、チームがこの街に溶け込み、愛されていくことに一役買ってくれた。そしてもう一つというか一番大事なこととして、この人物がいたかこそ、チームと草津町との結びつきをが、より深いものになっていった。

その人は木村直樹。

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現役選手としては地域リーグ止まりだった。しかし、誰よりもサッカーを愛し、夢を追い続けた。そして彼が「リエゾン草津」をこの地に残したことが、今のザスパクサツ群馬に繋がっていったことは紛れも無い事実。

リエゾン草津の母体だった「東日本サッカーアカデミー」が閉校した際、チームだけは残したいと願う木村は、正直草津町の「厄介者」だったかも知れない。突然草津に「サッカーをやります!」なんていう学校を作ってはみたものの、案の定潰れてしまった。そこにいる選手たちは、草津とは縁もゆかりも無い者ばかり。そんなよそ者のチームに最初は多くの人が他人顔だった。しかし、木村の熱意はいつしか街の人に伝わるようになり、リエゾンはこの地に残る事となった。

東日本サッカーアカデミー開校と同時に94年からスタートしたリエゾン草津。このスタートとともに、水戸ホーリホックの前進であるプリマハム土浦から草津にやってきた木村直樹。ザスパクサツはのルーツは草津町であり、「夢を諦めない」ということなのだが、実は本当のルーツは木村直樹なのかもしれない…

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前置きが長くなってしまったが、木村直樹が草津で育て上げたチームが、ついに天皇杯の舞台にたどり着く事が出来た。サテライトリーグ廃止となった2009年から群馬県サッカー協会に所属するチームとなり、トップとは別に天皇杯出場のチャンスを得る事となったが、過去3年間は夢に届かなかった。そして今年、3年連続3度目の決勝進出で「3度目の正直」となったチャレンジャーズ。

今年のチームは昨年から11人の選手たちが残った反面、新加入は例年以上に少なかった。プロ選手を輩出しているとは言え、天皇杯にはまだ一度も出場していない県リーグ最下層である3部所属チームのセレクションには、なかなか人も人材も集まらなかったのである。

そんな中でも大卒組の久富良輔、小林誠に、昨年度の高校サッカー選手権に出場している深澤大樹という即戦力がチームに加わり、少ない人数(総勢15人)ではあるものの、着実にレベルアップを続けてきた。

しかし、どうしても普段のリーグ戦は県3部ということもあり、レベルがかけ離れた相手ばかりであり、試合をこなすことでの「成長」は、他のチームと比べて難しい部分もあった。だが、決勝トーナメントを前にして、前橋育英、長野パルセイロ、アルティスタ東御、朝鮮大学校という、レベルの高いチームと練習試合を組めたことは、チームにとって非常にいい機会となった。

特にパルセイロとの練習試合1本目では、彼らにとって大きな経験となり、教訓になるゲームでもあった。相手は週末の公式戦を戦うレギュラーメンバー。そんなガチメンバーと対戦できる素晴らしいチャンスを得たのだが、ここでのチャレンジャーズは「蛇に睨まれた蛙」となってしまい、相手の鋭いプレッシャーの前になす術が無かった…

当然ながら、1本目終了後のインターバルに木村監督の雷が飛んだ。「普段練習してきていることが何も出せて無いじゃない? 相手にビビるなよ」とハッパを掛けられた選手たちは、2本目、3本目は勝ちきれなかったものの、互角に渡り合う善戦を繰り広げ、格上に対して「やれること」「出来ていなこと」を確認することが出来たのであった。

そして真夏の激しい暑さの中で行われた桐生第一、前橋育英、上武大学との学生3連戦を苦しみながらも勝ち抜き、今年もtonan前橋にチャレンジする権利を得た。

それにしても、今年のチームには「核」となる選手は見当たらない。昨年までは中盤でゲームを組み立てる枝本の存在があったが、今年はそれに変わる目玉はいなかった。だからこそ、新戦力が加入したばかりの時期は、中盤をどう構成するかが悩みのポイントだった。当初は継続組で組んでみたときもあった。また、現在はCBの位置で落ち着いている小林誠を入れたときもあった。

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しかし、5月を過ぎたころから、高卒組の深澤大樹がメキメキと成長してきた。木村監督も「持っている技術はチームのトップクラス」と言うほど高い技術を持つ深澤。だが、当初は「高校生」レベルのプレーが抜けきらず、なかなか大人のサッカーに順応できてはいなかった。だが、チームに溶け込んでいくうちに、すっかり「中盤の顔」として成長。

だが、深澤の成長の影で、彼を献身的にサポートするだけではなく、チーム全体のバランスを取る事を第一に考える男の存在を見逃せなかった。深澤と中盤でコンビを組む藤井惇だ。シーズン当初はどんどん前に顔を出して、攻撃力を身につけた姿をアピールしてくれていたが、今は「縁の下の力持ち」として地味ながらも欠かせない大事な選手になってくれた。

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メンバーはたった15人しかいない。だからこそ、自分が好きなポジションを必ずしも出来るとは限らない。いや、少ないからこそ努力と練習を重ねて複数のポジションをこなせなければチームはやっていけない。また、ケガなんてしようものなら、メンバー構成も厳しくなってしまう。そんな厳しい中で「夢」を追い求めた選手たちは本当に成長した。だからこそ、今年は早い段階から「こいつらなら絶対に成し遂げられる」とも感じていた。

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そして迎えた決勝戦。立ち上がりこそ硬かったこともあり、相手にペースを握られたが、20分を過ぎてからは流れをひっくり返し、相手に思うようなサッカーをさせない。また、新加入の大卒組2人を加えた最終ラインの安定感も高く、昨年のような「穴」が姿を見せる事はなかった。

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あとは、先制点がどのタイミングで入るかだけだったが、後半の立ち上がりにセットプレーから久富が見事に奪い取り、万全の試合運びを見せていく。さらに圧巻だったのは、この日は途中からゲームに入った吹田の突破であった。彼がボールを持ってドリブルを仕掛けると、tonan守備陣はなかなか止めることが出来ず、CBの田中は連続して警告を受け、退場となってしまう。これでチャレンジャーズは数的優位になっただけではなく、ここで得たFKを小西が直接決め、ゲーム終盤にリードを盤石とする2点目を奪う。

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木村直樹と選手たちが目標としてきた「天皇杯」出場が、ついに目前に迫ってきた。時間もあとはアディショナルタイムの4分だけ。まあ、この時間に1点を取られてしまったのは反省点でもあるが、試合自体は完勝であった。

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試合に勝利して新しい歴史の扉をついにこじ開けたチャレンジャーズ。試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、選手はまっさきにサポーターのところへ飛び込んでいった姿はとても印象的であり、なんとも「らしい」シーンであった。このチームには、普段から選手とサポーター、そして街の人たちとの垣根はまったくない。

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顔を合わせればしっかり挨拶をするし、街の行事には積極的に参加する。練習を見に行けば、監督やスタッフ、選手たちが見学用イスを用意してくれる。また、練習や試合後には恒例となっている「選手からの一言」もある。

ザスパを応援する人の中には、トップチームが年々「普通のクラブ」になって行く中で、クラブの「原点」を常に持ち続けているこのチームに愛着を感じる者は少なくはない。クラブのルーツをしっかり守り、そして「ザスパ草津」という名前も守るチャレンジャーズ。だからこそ、サポーターから愛される存在となり、彼らとの深い絆が育まれてきたのであった。

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また、この日のサポーターの中には、5年間このチームで夢を求め続けた藤崎武馬の姿もあったのだが、試合後、キャプテンの安田が優勝トロフィーを彼に持たせたシーンは忘れられないものとなった。これまでの3年間、夢の舞台への切符を掴めず、志半ばでチームを去っていった数多くの選手たち。現在は慶応大学サッカー部でコーチをする冨田賢は、チームを去る際に残る仲間と後輩たちに「夢は託した」というコメントを残してくれたように、サポーターだけではなく、チームを去っていった仲間からも見守られ続けてきた。

選手は15人だけ。ホームタウンも規模が小さい草津町。サポーターの数も決して多くはない。でも、少なくとも小さくとも、草津温泉のように「熱い」仲間が一体感を作り出すこのチーム。そしてチームは、9月1日に天皇杯1回戦を迎えるのだが、その相手はJFL所属の横河武蔵野FCだ。

これまでやってきた相手とは比べ物にならないほど、完成度が高いチーム。さらにはアマチュア最高峰のJFLで長年活躍しているチーム。そんな相手と試合が出来ることは、チャレンジャーズにとって喜ばしい事でもある。

しかしだ、天皇杯に出て1回戦でJFLと当たるだけで満足してはいけない。1回戦はホームである群馬県(敷島)で行われるが、やはりここで勝って、群馬県内以外で試合をしてこそ、初めて「天皇杯に出た」というもの。ここが夢の終わりではない。試合までに残された時間は少ないが、いい準備をしていいコンディションで試合を迎え、2回戦、味の素スタジアムでFC東京と試合が出来るようにしてほしい。

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木村直樹の「諦めない心」を受け継ぐ選手たちなら、きっと出来るはず。
選手たちの「夏」が、まだまだ続く事を心から願いたいところである。

2013年8月24日 (土)

リアル「温泉街からの挑戦」

今日、明日で各都道府県の天皇杯出場チームがすべて決定することとなるが、そんな中で毎年「初出場」を願ってやまないザスパ草津チャレンジャーズチームの話を取り上げたい。

2008年シーズンをもってJサテライトリーグが事実上の廃止となり、2009年から群馬県サッカー協会所属のチームとなり、トップチームとは別に天皇杯参加への道が開けたチャレンジャーズチーム(2012年までザスパ草津U-23)。予選初参加となった2009年こそ、トーナメント3回戦で上武大学を相手にまさかの敗戦を喫したものの、2011年、2012年は連続して決勝まで勝ち進んだ。

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しかし、初の決勝進出となった2011年は、当時JFLだったアルテ高崎の前に力の差を見せつけられ0-6と大敗。そして大きな壁だったアルテ高崎の活動休止を受けて、今度こそ初出場のチャンスかと思われた昨年は、決勝で関東リーグ1部所属のtonan前橋に1-2と敗れてしまい、チャンスを活かせなかった。

それにしても、昨年の決勝戦はもったいなさすぎであった。先制点を奪われたあと、後半に入ると枝本雄一郎(現在はトップチーム所属)が果敢に攻め上がり、次々とチャンス生み出し、次第に流れを掴んでいく。そしてクイックスタートからのリスタートで同点に追いつき、試合のペースはU-23の方へ傾いていくのだった。

しかし、そんなイケイケの状態の時こそ、「まさか」は起こってしまう。

いい流れを掴んでいるからこそ、隙を作ってはいけないし、相手のキーマンを注意しなければいけい。だが、まだ経験値の少ないチームには、余裕や老かいさが足りなかった。案の定、相手チームでもっとも注意しなければいけなかった選手、そう、大ベテランである氏家英行の一撃でやられてしまったのである。

相手がイケイケになっているときは、ピンチでもあるがそういう時にこそ、守備に隙は生まれるもの。長い選手経験を持つ氏家は、そういう「隙」を生まれるのを待っていたのである。

結果的には、若さ故、そして勝負どころを知らなすぎたU-23は、勝てるゲームを落としてしまったのであった。

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あれから1年となるが、今年も群馬県予選を戦うチャレンジャーズ。
あの試合後、GKの後藤は悔しさを必死に抑えながらこう語ってくれている。

「僕らは天皇杯に出るためにサッカーをやっているんではありません。僕らはザスパ草津のトップチームで通用する選手、必要とされるプロ選手になることが目標なので、(今日)チームは負けてしまい天皇杯には出られませんが、個人個人はここが終わりではありません。まだ、今年もこの先にリーグ戦(県リーグ)があるので、しっかり試合への準備を続け、プロ選手になれるように努力し続けます」

天皇杯に出られなかったことが悔しくない訳がない。

また普段のリーグ戦では、レベルのかけ離れた相手ばかりということもあり、メンバーは高いレベルの中で真剣勝負ができる天皇杯にどうしても出たかった。そしてトップチームだけではなく、多くの人の目に触れる本大会で「輝き」を見せられれば、ザスパではなくとも、別のチームでのプレーする機会も開けてくるかもしれない…

全員が同じ寮に住み、個人としては「プロになる」を目標とし、チームとしては「天皇杯に出る」を目標にしてきた選手たち。だからこそ、「勝てる試合」を落としてしまったこの試合は、初めて決勝に進んだ2011年以上に、つらい現実と向き合うこととなってしまった。

だが、後藤をはじめ、11人の選手が今年もこのチームに残った…

当然、個人としてプロになるための選択であるのだが、心の片隅にある「成し遂げたい」という思いがあった事も否定できない。

そして今、今年から加入した4人の選手を含めた15人と、実は選手登録されている監督の木村直樹の16人で挑む事となる今年の決勝戦。

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ここまでの道のりだが、決勝トーナメントに入ってからの学生相手3連戦は、決してラクな試合ではなかった。桐生第一、前橋育英との試合ではリードしながらも、ゲーム中盤以降は相手の豊富な運動量の前に、引き気味となってしまい、自分たちで苦しい試合にしてしまった。そして準決勝の上武大学とのゲームは、短く繋ぐチャレンジャーズと、キック&ラッシュを仕掛け続ける相手との「我慢比べ」のようなゲームとなっていく。

さらに試合は10時開始であり、真夏の炎天下が選手の体力を早い段階から奪い取っていったこともあり、両者ともミスが序盤から重なってしまうし、フィニッシュの部分で精度を欠き続けてしまう。だがそんな中で、相手よりも決定機を多く迎えたのはチャレンジャーズの方であったが、上武大GKの好セーブもあり、どうしても勝負を決める1点が奪えないまま90分が経過し、試合は10分ハーフの延長戦へもつれ込んでいく。

この日の前橋市の最高気温は35℃だったが、ピッチ上の気温は一時期59℃を指すなど、「こんな中でやらすなよ…」というコンディションであったが、両者とも「絶対に勝ちたい」という意地がぶつかり合い、決して高いレベルとは言えないものの、見るものの心を打つ白熱したゲームとなっていく。そして勝負の方だが延長戦でも決着がつかず、PK戦にまでもつれこむことに。

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ここで「男」になったのは、去年、同じ会場で悔し涙を見せながらも「プロ選手になれるよう努力し続けます」と語ってくれた後藤だった。彼の身長はたぶん私と同じか、ちょっと背が低いぐらいであり、171cmあるかないかぐらいである。だが、そんな身体的ハンデがありながらも、夢を諦めず自分のスキルを高め続けてきた男が、ここ一番で大仕事をやってのけてくれた。

チャレンジャーズ先攻で始まったPK戦は、3人目まで両者とも成功で4本目を迎えた。チャレンジャーズの4人目・小林雄は決め、上武大学の4人目を迎えた。ここで後藤は左に飛んだが、相手のシュートに対してなんとか残った足で反応し、見事にこれをストップ! そして最後は成長著しい藤井惇が落ち着いて決め、3年連続で決勝戦へコマを進めた。

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本当にギリギリの戦いであった。

いいコンディションのメンバーを選びたくとも、監督の木村(DF登録)を入れても16人しかいないため、ケガ人などが出れば大きな痛手となる。また、交代の「コマ」が少なく、劇的な変化を与える事が出来る「カンフル剤」が少ないところもチームの痛いところでもあった。そんな中での準決勝では、試合終盤にキャプテンの安田が足をつってしまい途中交代となるアクシデントが発生した。

それでもチームは必死に戦い抜き、また一つ成長を果たしたのだが、この試合後に、桐蔭横浜大学卒業後にチームに加わった小林誠の何気ない言葉がとても心に残ったのである…

「いやぁ、マジで公式戦って楽しいわ」

普段の県リーグでは味わえない「ガチンコ勝負」「負けたらおしまい」「極度のプレッシャー」を感じる事の出来るこの大会に、心の底から喜びを感じて出た言葉であった。

確かに厳しい試合であったが、そんな厳しい試合を「楽しかった」と振り返られることは、なんとも喜ばしいことではないだろうか? どんないい選手でも、チームに恵まれなければ、カテゴリーに関わらず「大一番」を迎える事が出来ないのだ。また、普段から衣食住をともにする仲間と挑む大事な大会を、楽しまないでどうするよ? ということだ。これに関しては、かつて木村直樹とともに、草津でプレーをした現大成シティFC坂戸の監督である、熊谷哲平も同じことを選手に説いていた。

だからこそ、マコだけではなく、決勝戦の舞台は選手みんなが「プレッシャー」を喜んで感じて欲しいし、決勝という舞台で戦えることに感謝して、楽しんでプレーしてもらいたい。

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過去2大会は、ある意味「決勝」という舞台に飲まれたというか、プレッシャーの前に気負いすぎてしまい、「らしさ」を出せなかった。しかし、準決勝のあとに出たマコの「楽しいわ」というコメントが、チームを変えてくれるような気がするのだ。

今年のチームには、エダのように自由自在にゲームを組み立て、さらには攻撃の軸として動ける選手はいない。だが2年目となるFWの中川、ボランチの藤井、そして最前線から2列目まで攻撃的ポジションをこなす城田の3人は、日々成長を続けており、決勝でも十分キーマンになれる存在になってきた。

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また、大卒新人組の久富、小林誠は、ディフェンスラインになくてはならない存在として君臨しており、決勝戦を睨んで組まれたアルティスタ東御、朝鮮大学校との試合でも落ち着いた対応を見せてくれた。

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選手は15人しかいない。でも、選手同士の「絆」と「想い」はどんなチームよりも強いはず。また、志半ばでチームを去っていたこれまでの「仲間たち」の願いもある。

今年こそ、チャレンジャーズチームに新しい歴史を作って欲しいと願いたい。そして、トップチームが「ザスパクサツ群馬」と名を変えた今こそ、「ザスパ草津」の名を継ぐ彼らに、リアル「温泉街からの挑戦」を成し遂げてもらいたいのである。

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準備は万端。
あとは明日の試合をしっかり楽しもう。
また、プレッシャーの中で戦える事に感謝しよう。
歴史を今年こそ変えよう。

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第18回群馬県サッカー協会長杯(兼第93回天皇杯予選)サッカー大会決勝戦

対戦カード:tonan前橋 vs ザスパ草津チャレンジャーズ
試合時間:13時キックオフ
試合会場:敷島公園サッカーラクビー場
入場料:大人700円、小中高300円(当日券価格)

2013年4月14日 (日)

ザスパ草津チャレンジャーズ、本日初陣!

今日は「ザスパ草津チャレンジャーズ」にとって、今季最初の公式戦。リーグ戦はまだ先だが、天皇杯出場に向けて一つも負けられない大事なトーナメント戦が始まる。

さてチーム名だが、これまでのザスパ草津U-23から「原点に返る」という意味も含めて、この名前となったチャレンジャーズ。ただ、その中でもトップ同様に「ザスパクサツ」とならなかったことだけは救いだった。やはり、草津町に根付いて活動しているチームなのだがら、あのカタカナ名だけはやめて欲しかった。

何はともあれ、チャレンジャーズとしてスタートを切った今季のシーズンだが、チームの立ち上げ当初は難しいことだらけであった。ここではいろいろ書くことを控えるが、選手が衣食住を過ごしてきた寮からの引っ越しなどもあった。さらには、みんなの良き兄貴分であった飯山悠吾の退団(現在はFC東京の育成部スタッフとして活躍中)に、チームの心臓であった枝本雄一郎のトップチーム昇格などもあり、新チームになって「形」というものが最初はまったく見えてこなかった。

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ただ、新チームになった当初に形が見えない事は、ある意味で「例年」のことでもあった。草津では降り積もった雪がなくなる4月まで、広いグラウンドで練習をすることが例年出来ないからだ。そんなこともあり、毎年のようにシーズン当初は草津までのランニングと体育館での練習を繰り返し、週に1回か2回、草津を出てトレーニングマッチをこなし、連携を高めていくしかなかった。

しかし、それでも例年に比べると「形」という面ではどうにもしっくりこなかった。2月に行われたトレーニングマッチでは、継続選手と新加入選手の連携が取れていなかったことと、枝本の抜けたボランチのポジションに誰が入るかのか?というところがうまくはまらなかったこと、そしてトップチーム同様の3-4-3システムを導入したことで、選手それぞれが「どう動けばいいのか?」ということにとまどい、試合では試行錯誤が続いてしまう。

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確かにトレーニングマッチでは勝ちも多かったが、その内容は正直、褒められるような試合は少なかった。3月に入っても内容のいい試合が出来ていなかったが、ボランチの位置を藤井と小林誠に固定すると徐々にチームとして連携が良くなり始める。また、3バックに入ることも多かった小西は、チャンスにはポジションをあげて積極的に攻撃に絡むようになり、チームとしての「形」がだんだん見えてくるようになる。

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そして3月24日に行われたアヴェントゥーラ川口戦(埼玉県2部)では、敗れたものの内容的にはいいものを見せ、これを高めていけばチームとしてどんどん良くなるだろうという方向性が見えてきた試合となる。試合後、それぞれに「連携を高めないと…」と、課題を挙げていたが、シーズン当初の「形が見えない」よりは全然マシであった。また、この試合は天皇杯予選や県リーグ戦でやらなければいけない「でこぼこなグラウンド」でやれるいい機会でもあった。ゴロのパスを出せば変なバウンドをしてしまい、思ったようにボールが進まないし、弾んだセカンドボールがとんでもない方向に行ってしまうなど、きれいに整備された天然芝や人工芝のグラウンドとは違う悪コンディション。しかし、こんな状態のグラウンドをシーズン前に体験出来たことはチームにとって大きなことだった。

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そして公式戦を前にして最後の試合となった先日の入間基地第3補給処サッカー部(埼玉県2部)との試合は、本番を見据えた35分ハーフで行われ、そんな中でも4-0という結果を出し、試合に向けて順調に調整が進んでいることをアピール。

ただ、試合後の木村監督は「これで勝って満足するな。チームの目標はここで勝つことではなく、もっと高いレベル、もっと上で勝つことを目指さなければいけない。そのためには、もっと連携を向上させ『3人目の動き』を確立させていかなければいけない」と選手に語りかけた。

チームとしてはメンバーも固定され、徐々に形もまとまってきた。しかし、攻撃に関しては攻め込んだときの選択肢はまだまだ少なく、サイドや空いたスペースを有効に使う攻撃を仕掛けるシーンも決して多くはない。この日の相手のレベルなら、この程度の完成度でも勝てるだろう。しかし、チームの目指すところは天皇杯出場に向けて大きな壁となるtonan前橋に勝つこと、さらには全国の強敵に勝つことである。

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そのためには、もっとそれぞれのレベルを高め、連携も深めていかなければならない。だが、現時点を見る限り、まだtonan前橋に勝てるレベルには達してはないと見るのが妥当だ。しかし、彼らの伸びしろは今が終わりではないし、夏までには絶対に追いついてくれると信じている。

昨年、チームは登録の手違いにより、未登録だった選手を公式戦に出してしまったことにより、本来だったら2部優勝で今季は県1部リーグで戦うはずだったが、チームはリーグよりペナルティを課されてしまい、2部リーグで最下位扱いとなってしまい、今季は最下層となる3部からの出直しとなってしまった。

そんな状況でありながらも、11人の選手たちはそのままチームに残ってくれた。そしてチーム最年長となり、草津在籍4年目を迎えた後藤聡志はこう強く語ってくれている。

「自分たちは県リーグ1部で戦うためにこのチームにいるのではありません。来年が3部であろうと関係はありません。どのカテゴリーで戦おうと、自分たちの目標はトップチームで通用する選手になり、トップに昇格することであり、さらにはチームとして天皇杯に出場することです」

一つでも高いレベルでやりたい選手にとって、今の状況は正直やりたくない環境でもある。そんな中でもこのチームで継続してやろうと決めてくれた選手、そして新しくこのチームにやって来た選手たちの「やる気」を信じたいと思うのだ。

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今日から始まる天皇杯への道。しばらくは土のグラウンドの上で、35分ハーフという短い時間の中で結果を出さなければいけない試合が続く。さらに相手は実力的には格下であり、練習試合のように相手が前から来てくれることはほとんどない。悪コンディションに「どん引き」、さらにはレベルの違いから出てきてしまう「レイトチャージ」に対して、どう順応していくだろうか? また、レフリーのレベルもチームにとってやっかいな障害となってくるはず。

しかし、これらの困難を乗り越えないと「壁」と戦うことも出来ないし、その先に広がる「全国への道」も広がってこない。まだまだ発展途上の新チームだが、まずは一つずつハードルを乗り越えて、そのたびにチームを成長させて欲しいと願う限りである。

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ということで、まだチームを見ていない人もいると思いますので予想されるスタメンも載せておきます。

予想スタメン1        予想スタメン2
ーーーー中川ーーーー  ーーーー中川ーーーー
ーー吹田ーー城田ーー  ーー吹田ーー城田ーー
小西ーーーーー小林雄  白井ーーーーー小林雄
ーー藤澤ーー藤井ーー  ーー小林誠ー藤井ーー
ー小林ー安田ー久富ー  ー小西ー安田ー久富ー
ーーーー長谷ーーーー  ーーーー長谷ーーーー

オプション4バック
ーーー中川ー城田ーーー
ー吹田ーーーー小林雄ー
ーーー藤澤ー藤井ーーー
小西ー小林ー安田ー久富
ーーーーー長谷ーーーー

※後藤と横山は別メニュー調整中です

2012年3月18日 (日)

新生草津U-23、試行錯誤中

新チームとなってこれまでに7試合をこなしたザスパ草津U-23。今年も昨年に引き続き、この時期に群馬県内の大学、社会人チームとのリーグ戦を行い調整を続けているが、17日は埼玉の川口(アヴェントゥーラ川口戦)まで遠征となった。

さて、2012年バージョンのチームだが、ディフェンスラインにそう大きな変化はないものの、攻撃陣の4人が総入れ替えとなり、現時点ではまだ「まとまったチーム」とは呼べない状況である。昨年は複数年在籍した選手も多く、それぞれが「勝負の年」という位置づけを持っていたことから、すでにこの時期にチームの「形」というものは出来上がっていた。

しかし、今年は正直なところ、まとまるはおろか「手探り」の段階にも届いてはいない。さすがに、チームの心臓であったイチ(市川)や前線の4人(森川、藤崎、宮下、清水)が抜けてしまった今年は、チームは完全に作り直しとなるのだが、木村コーチ自身も誰がどのポジションにフィットするか? そしてどの組み合わせがしっくりするのか手探り状態であり、良くも悪くもあと2週間後に迫った天皇杯・予選トーナメントまで続いていくことになりそうだ。

[ザスパ草津U-23スタメン]
ーーーー李ーー神野ーーー
ー白井ーーーーーー藤井ー
ーーー枝本ーー飯山ーーー
小西ー川瀬ーー安田ー横山
ーーーーー後藤ーーーーー

※アヴェントゥーラの選手名はわからないので背番号とポジションのみで
4-4-2(GK1、DF20、DF5、DF3、DF2、MF10、MF19、MF7、MF8、FW11、FW17)

さて試合の方だが、まだ手探り状態ということもあり、選手交代を含めて実に8回のポジションチェンジを敢行し、ベストの形を探し出そうとしていたが、残念ながら収穫の乏しい試合となってしまう。

試合開始当初は個の力でやや上回るU-23がペースを握り、相手ゴールに迫る時間が続き先制点を予感させる展開が続く。しかし、どうしても連携という点では「まだまだ」という部分が顔を出してしまい、木村コーチが求める「サイドからの崩し」はなかなか顔を出してこない。

だが、先制点はU-23が挙げることとなる。前半26分神野が左サイドから中に切れ込み、DFを背負いながら強引にシュート。これが見事に決まって1-0と試合を動かしていく。これで波に乗れるかと思われたが、その後はまずい展開のオンパレードとなってしまう…

先制した直後の29分、中央でボールを回され、最後は2列目から入ってきた川口のボランチ(19番)が蹴り込んであっさり同点。そしてその後の展開だが、チームとしてまとまりのある川口が試合のペースを握る展開となってしまう。

いや、川口がペースを握ったというよりも、U-23の「自滅」と言った方が正しい展開であった。確かに、何度かゴール前を崩されて決定的場面を作られたが、あくまでも数回であり、決して攻め込まれ続けたという訳ではない。しかし、守備から攻撃という面での「切り替え」の悪さが祟ってしまい、まったくと言っていいほど思うような攻撃が出来ない。

後ろからのビルドアップの精度、間延びしてしまった全体のライン、最終ライン、もしくはボランチからボールを受けようとする前線の選手の「受け方(動き方)」の悪さから、自分たちで相手にペースを渡してしまう展開に終始してしまったU-23。なんとかもどかしい展開を打開したいために、ベンチは何度もポジションチェンジを行い、さらには選手交代を行い活性化を図ろうとするが、どうでにも上手く行かない。そんなU-23に対して、川口は2トップの一角である長身の11番を起点に良い流れを作っていく。

どうにもうまく試合が回らないU-23は後半25分に「練習生」を投入。

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練習生というか、5月まで調整を続けるため、「期限付き」で草津に来ている星野崇史である。昨年はJFLのジェフリザーブスでプレーした星野だが、これから先は海外でのプレーに挑むため、それまで(5月)までの短期間だが、再び草津でプレーして調整を続けるとのこと。

そして星野が入った瞬間からチームは激変。それまで、左サイドバックの小西をFW,2列目がうまく引き出せなかったが、星野の動きで左サイドが活性化。すると全体の動きも良くなり、後半40分になって、この日初めてといえる「綺麗な形」でのサイド展開が生まれる。さらに続く41分にもまたも星野のクロスからチャンスを作り、もどかしい流れだった試合が一気に激変。

42分には川瀬が右サイドをやぶり、中にクロスを入れると2列目から入ってきた枝本がいいミドルを放ち、44分には星野パスを受けた小西が完全に抜け出しGKと1対1という場面になるのだが、ここはシュートではなく中へのパスを選択。勝負を決める決定機かと思われたが、ここは小林が痛恨のシュートミスで勝利を決める1点が奪えない…

結果的に試合は1-1のドローで終わったが、チームとして課題が山積みであることを露呈してしまったが、連携部分だけではなく「球際」の弱さも目についてしまった試合でもあった。

また、試合終盤にはなんとか見せ場を作りだしたが、それは上のカテゴリーを経験してきた星野の力があったからこそ。別に星野が活躍することは悪いことではない。当然ながら、彼には次のステージでも頑張って欲しいのだから。しかし、チームとしては、公式戦に出られないメンバーが一番活躍している状態では困ったものでもある。

木村コーチも「見ての通りの試合ですよ…」と、苦笑いを試合後に見せてくれたが、やはり広いグラウンドで練習できない現状が、試合での準備不足に繋がってしまうことを語ってくれた。昨年までのチームであれば、複数年在籍していた選手で固められていたことから、年明けでも選手同士で「イメージの共有」が出来ていた。しかし、新しいメンバーが多くなった今年はそうは行かない。

今年はどう見ても「枝本のチーム」という印象が強いが、3年目の白井、川瀬が引っ張っていくようにならないと、全体の底上げに繋がってはいかない。また、この試合で多くのポジションに起用された神野も今シーズンのキーマンとなっていきそうである。

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まだ3月という時期であり、「これから」という印象もあるだろうが、天皇杯予選トーナメントはあと2週間後に迫ってきている現状があり、決して悠長に「これから」とは言っていられない。この日感じたもどかしさを、選手たちがどう感じて、どう肥やしとしていくのか? 2週間後に迫った予選トーナメントでその答えを見せてくれることを願いたい。

2012年1月24日 (火)

新しい道に進む「草津」卒業生

すでに「新しい年」がスタートしているザスパ草津U-23。

今年は文字通り「新しい年」となることは間違いない。昨年までのチームは、3〜5年目の選手がチームの核となり、例年以上に「チーム」としてのまとまりを見せ、天皇杯出場も夢ではないと思わせた。しかし、JFL(当時)で戦うアルテ高崎の壁は予想以上に高く、完膚無きまで叩きのめされて現実を思い知らされたのであった。

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さすがに、この敗戦は長い年数チームに在籍する選手にとって痛すぎるものであり、彼らにとって「その先」を考えなければいけなくなる試合となっていった。そしてこの試合から数日経って、西野隆司と宮下薫の退団が発表され、シーズン終了とともに成田憲昭、市川朋紀、歌丸隆一、清水工輔、笠原淳がチームを去り、藤崎武馬、森川勇大も正式なリリースはないがチームを去っていった。

正直に言えば、草津町ベテラン組は「この先」を考える時でもあったし、「次」にステップアップする時でもあると考えていたこともあり、ナリやタケマ、森川が退団したことは理解できたが、マイケルが退団したことは少々驚きでもあった。

2005年から木村直樹のチームを見ているが、これほど動きの悪い選手は見たことがないと思った…

しかし、キムさんも練習後に「アイツはやっぱり日本人にはない『力』があるんですよね(→マイケルはロシア人のハーフ)」と語っていたとおり、簡単であたりまえな動きは出来ないくせに、やたらと難しいシュートを決めて見せたり、試合にでれば点を決めてしまうなど、変な「運と力」を持っていたことだけは間違いない。そんなこともあり、戦術や動き方をマスターすれば大化けするかも? と思ったのだが、残念ながら1年で退団。とりあえずマイケルには、次のチームでこそ守備もできるFWになってほしいところ。そしてオマエの「これから、ロシアの歌を歌います!」というネタは忘れないぞ(笑)

さて、話を別の退団選手に戻すが、なぜかザスパ草津側からは公式リリースされてはいないが、すでに森川勇大も清水工輔と同様に東北社会人リーグ2部で戦う「ガンジュ岩手」の選手として新しい生活をスタートさせている。そしてガンジュといえば、この2人よりも1年早く入団し、ディフェンスの要として活躍している古矢翼もチームの主力として頑張っていることを付け加えておきたい。

昨年の天皇杯予選で敗れた直後、「どうしようか迷っています」と語ってくれた森川。そんな彼はやはり「新しい道」を選んだのだが、これからがサッカー選手・森川勇大の本当の勝負だと思う。高校卒業と同時に草津での生活をスタートさせ、サッカー選手として必要な「技術、体力」を学んだ彼も今年で23歳。大卒と同じ年齢であり、今度の所属先では即戦力として「結果」が求められることになる。草津での4年間は育成がメーンであったこともあり、結果を出せなくとも将来性と本人のやる気があれば「翌年」があった。しかし、これからは結果を出せなければ、待っているものは「戦力外」という厳しい現実である。

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彼の裏を狙う速さ、そして強引さは魅力でもある。そして何よりもプロになりたいという強い気持ちは、かつて草津でプレーした杉山琢也や太田康介に通じるものを感じさせた。だが、彼に物足りないものが一つある。それは木村コーチも指摘していた「メンタルの弱さ」だ。気持ちの浮き沈みがコンディションにまで影響してしまう。また、せっかくトップに合流してゲームをするチャンスをもらっても、自分の良さを出し切れなかったのである。

そんな時に頭をよぎるのが、彼の後輩である白井拓路であった。タクジは良くも悪くも自己主張が強い。トップに混じっても、レギュラークラスを相手にしても「自分へ出せ!」とデカイ声でアピールして存在感を出していく。それに対して森川はイマイチそれが出来なかった。決して出来ない選手ではない、やれない選手でもない。でも、自分をアピールするのが下手だった。

しかしだ、新天地では毎日が闘いなのである。しっかりとした自己主張できなければ周囲に認めてもらえない。人一倍大きな声を出さなければパスはやってこない。技術的には劣っているとは思わない。だが、メンタル的にはもう一回り成長しないと殻は破れない。淡々とプレーして攻撃を牽引するコースケ(清水)に比べ、やや浮き沈みのある森川。だが、その部分さえ克服出来れば、伸びしろは非常に大きいはず。

これからは、自分のプレー、そしてやる気一つで人生が大きく変わってくるのである。そして自分の働き如何では、チームをJFLに導くことだって可能なのである。昨年、東京都1部所属でありながらも、全国社会人大会で優勝してJFL挑戦権を勝ち取った東京23フットボールクラブのように。

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今までは「トップを目指す」育成選手の一人であったが、森川にしても清水にしても、これからは「結果を出さなければいけない選手の一人」なのである。群馬県3部リーグでは、到底感じることの出来なかった「厳しい試合、環境」がそれぞれの成長の幅を大きくしてくれることを祈りたいところだ。

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そしてもう一人、昨年一番最初にチームを離れた西野隆司だが、昨年12月から彼の地元のチームであるHOYO AC ELAN 大分の練習に参加していたが、このたび晴れて正式なメンバーとして登録された。

FWからSBまでいろいろなポジションをこなせるリュージ。U-23では、限られたメンバーでやりくりしていたこともあり、2009年12月よりSBのポジションに固定されてきた。そしてHOYOでも一応DFとして紹介されているが、果たして今年はどのポジションで勝負するのであろうか?

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U-23を退団した直後から、サッカー選手としてさらに上を目指したいと語っていた彼にとって、JFLに昇格したチームに入団出来たことは願ってもないチャンス。高校時代はリベロも経験するなど、GK以外であればどのポジションでもこなせる才能と起用さを持ち合わせており、起用さだけではなく素晴らしいスピードもあり、上で記したようにどのポジションでも対応可能と、選手としての可能性も非常に大きいといえる。

これで「草津卒業生」から13人目のJFLプレーヤーが誕生したわけだが、Jリーガーという点では(※セレクションを経ての入団者では)まだ7人(杉山、佐藤、樋口、奥山、有薗、杉本、太田)しかいないのだが、今年のU-23メンバーとあわせて、誰が「8人目」となれるかにも注目していきたいところである。

そして草津に残った選手も、別の道に進んだ選手も、それぞれいい結果を残して欲しいと願いたい。

2011年10月27日 (木)

その後のザスパ草津U-23

ザスパ草津U-23がトップチーム昇格という目標と並んで掲げてきた「天皇杯出場」。しかし、8月28日に行われた天皇杯・群馬県予選(県協会長杯決勝戦)でJFLアルテ高崎の前に力の差を見せつけられて0-6と完敗。

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トップでプレーする機会を掴むということが大きな目標であるU-23だが、それぞれの個人目標以上に、チーム、そして仲間と共に勝ち取ろうと決意した天皇杯出場権を獲得できなかったことは精神的に大きなダメージとなっていた。そんな中で、9月に西野隆司と宮下薫の2名が退団という形となり、16人のメンバーで残された目標のために選手はトレーニングを続けている。

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そして昨日は、あの協会長杯決勝戦以来のゲームを見てきた。早いもので、あの試合からまもなく2ヶ月が経とうとするのだが、退団選手の穴、そしてケガ人も多く、メンバーのやりくりは相変わらず苦しいところでもある。9月18、25日に行われた県リーグでは、なんとかフィールドプレーヤーが10人揃っていたが、横山や森川まで欠場する事態となってしまい、10月に行われた2つの公式戦はフィールドプレーヤー8人で戦うこととなってしまう。まあ、それでもレベルの差もあり無敗はキープしているが、初失点を喫してしまったところは反省しないといけないだろう。

ということで、前置きが長くなってしまったが、昨日行われた尚美学園大学との練習試合を振り返りたい。

[U23メンバー]
ーーー歌丸ーー笠原ーーー
ー清水ーーーーーー吹田ー
ーーー市川ーー枝本ーーー
白井ー川瀬ーー成田ー横山
ーーーーー島並ーーーーー

安田、飯山、森川、藤崎の4名がケガなどで離脱中ということもあり、GKを除いたフィールドプレーヤーは9人しかおらず、練習試合ということもあり笠原がFWで登場。今日のユニは森川の「57番」を着用して登場。そして相手の尚美大だが、1、2年生中心の若手チームだ。(システムは4-4-2)

さて、この試合でまず目に付いたのがマイケル(歌丸)の動き。公式戦ではGK(笠原、島並、後藤)をフィールドプレーヤーに使うことをしていないため、少ない人数かつ、前線は自分一人という状態でプレーしているマイケルが、以前よりも数段「フォー・ザ・チーム」の動きが出来るようになってきた点だ。森川や藤崎に比べてしまえばまだまだ物足りないが、それでもボールを追う、プレスを掛けるという動作は出来るようになってきた。また、この日は2得点を挙げてチームの勝利に貢献したが、ゴール前でいい場所を取っていたところも成長の証か?

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また、チーム事情で慣れないSBに入っている白井も必死に今のポジションにトライしている。そしてもう一人、これまでのチームからガラっと変わってしまった中で、中盤のコンダクターとして難しい役割をこなしている枝本にも注目した。

木村コーチは「これまでの選手なら『こう動く』とわかってボールを動かせていたけど、今は随分変わってしまったからエダは結構難しいと思います。周囲のレベルもそうだし、選手の特徴、個性もこれまでとは違う。でもね、メンバーがこれしかいないからやらなければいけない。当然、エダやイチに周囲が合わせなければいけないけど、逆にエダも周囲を活かす工夫をしなければいけない。

メンバーが変わったから出来ませんではダメ。だから、今の状況は逆に枝本にとっていいと思いますよ。周囲にどんな選手がいようとそれを活かすのがいい(中盤の)選手なんだから、これも勉強の一つだし、いい経験(機会)だと思いますよ」
と試合後に語ってくれたが、確かにそのとおりであると感じた。

いい選手がまわりにいれば、中盤の選手としてそれはそれでやりやすい。まあ、そんなことは当たり前のことなのだが、本当にいい中盤の選手とは、周囲のレベル、動きの特徴を把握しながら、ボールだけではなくゲームをうまく動かすことができるのが本当にいい選手。確かに枝本は巧い選手であると思うが、選手としてもう一回り成長するには、どんな状況でも人を活かし、そして自分も生きるプレーを出来るようにしてほしいところである。

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ゲームの話しに戻るが、内容的という年齢的に上であるU-23のペースで試合は進むが、やはり本職のFWではない笠原が入っていることもあり、前線で思うようにボールをキープできず、奪われて早いカウンターを喰らう場面もちらほとと…

そんな場面で、やはり本職ではないSBの白井、そしてCBの川瀬は守備の場面で「飛び込んでしまう」ことが時たま見られ、シュートまで持ち込まれてしまうシーンを作ってしまった。それぞれ、高校生時代は攻撃の選手であったため、守備的ポジションには不慣れであることは理解する。しかし、今は与えられた環境、ポジションでなんとか結果を出さなければいけないのだから「不慣れだから…」では済まされないのだ。

まあ、失点までに結びつかなかったのは不幸中の幸い。本来、もう少し高い位置で攻撃的なプレーをしたいのはわかるが、守備をやることもまた勉強だし、今はどんなポジションでも試合にでて経験を積むことが若い選手には必要なこと。ここで守備の「駆け引き」を学べば、攻撃的ポジションに戻っても必ず活かされる時が来るはずなので、ここは辛抱強く「ディフェンス」を学んで欲しい。

また話が試合の内容から逸れてしまいましたが、試合は上記にあるとおり、時折カウンターでピンチを迎える場面もあったがU-23のペースで進む。しかし、急造FW笠原も奮闘するも、なかなかシュートまで持ち込めずややもどかしい展開が続き、まもなく前半終了という43分、FKのチャンスを得ると成田が前線に上がっていく。

そしてこの場面で中に入ってきたボールがこぼれて成田の足下へ。おおっ!決定的場面!と思ったのだが、シュートはミートせず(もしかしてあれはパスだったのか?)またもボールが流れるが、これを詰めていたマイケルが蹴り込んで43分にU-23が先制。

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そして後半途中からFW笠原に代わって、藤崎先輩の「48番」のユニフォームを身にまとった後藤がFWとして登場。そしてちょっと以外だったが、足が速く結構チャンスに積極的に絡み、72分には枝本のパスからシュートを打つ場面も。実はフィールドプレーヤーでもイケルんじゃない? と少々思ってしまった(笑)

まあ、急造FWの話はさておき、ゲームの方は66分に清水が左サイドを突破すると、中へグラウンダーのボールを入れる。すると中で待っていたマイケルが落ち着いて蹴り込んでこの日2点目。また、先ほど守備面でまだまだ改善点があると書いた川瀬だが、終了間際の83分にはカウンターの場面で果敢に攻撃に参加し、惜しくもゴールとはならなかったが素晴らしいタイミングでシュートを放っていく。

という感じでゲーム自体は2-0でU-23が勝利。細かい部分(特に守備面)では修正すべき点もあるが、メンバーが少ない中では及第点といったところではないだろうか?

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今年の活動期間もまもなくあと1ヶ月となろうとしており、今年のメンバーでサッカーをやる時間もあと僅かとなってきている。そんな短い時間の中で、改めて副島監督や植木GMに自分の力をアピールするのは難しいかも知れない。しかし、16名のメンバーたちは、8月28日の時点よりも成長していなければいけないし、自分に足りないものを日々のトレーニングで克服して行く必要がある。

残されたメンバーたちは、もう間もなくすれば嫌でも「来季をどうするか?」という選択と向き合うこととなる。もしかすれば、来年前橋でプレーする選手がいるかも知れないし、来年もこのチームでプレーをする選手、そして別の環境を求める者と、それぞれがいろいろな選択をすることとなるだろう。

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県協会長杯決勝から2ヶ月が経過したが、練習試合を見た感じでは「個」の部分で成長が見られる選手もいたのだが、それぞれがあと1ヶ月程度の中でどれだけ自分の力を高めることが出来るだろうか? 今一度、自分の目標、課題ともう一度見つめ合い、少しでも選手として高いレベルになれるよう努力してほしいところである。そしてシーズン終了前までに、今のケガ人がチームに戻り、現時点で考えられるベストな組み合わせで、ベストなゲームを見せて欲しい。

練習試合 10月26日 @尚美学園大グラウンド
尚美学園大 0-2 ザスパ草津U-23
[得点者]
43分、66分歌丸(U-23)

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で、夜のトップチームの試合ですが、クソ寒い平日ナイターに集まった観衆に、寒さを忘れさせるような試合を期待しましたが、連戦の疲れからか途中からかなり失速。主審の判定などに文句もいいたいところでしょうが、それ以前にせっかく連勝を果たしても、その勢いが長続きしないところが悪い癖なんだよなぁ…

2011年9月 1日 (木)

突き当たった壁、そして「この先」

天皇杯出場を目指したザスパ草津U-23だが、日曜日に行われた天皇杯・群馬県予選決勝にて、JFL所属のアルテ高崎に0-6と完敗を喫し、悲願達成とはならなかった…

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ここでは、決勝戦の内容については細かくは触れないが、全ての面でアルテに負けてしまったことだけは付け加えておきたい。選手個人個人のスキルにおいて、決してアルテに劣っていたとは思わない。しかしだ、アルテにあってU-23に無かったものを考えれば、それはただ一つ「経験の差」であろう。そして木村コーチ(監督)も、試合後の会見にて同様の言葉を述べていた。

さて、この場合の差なのだが、当然ながらJFLという日本の3部リーグで戦うことと、県リーグの3部で戦うことの違いである。アルテの戦っているJFLだが、全国リーグであり、毎週のように各地を移動しながらの戦いが12月まで続く。さらには、Jリーグ昇格を狙うチームから、歴史と伝統のある強豪企業チームなど、どれもレベルの高い相手が揃う中でのリーグ戦となっている。ただ、順位に関しては現在16位と、今季も降格の危機と向かい合いながら順位争いを繰り広げている。

それに対して、U-23はあまりにも自分たちのレベルとかけ離れたカテゴリーで戦っており、そこで全勝しても「あたりまえ」と言われるだけだし、得失点差が100に近づこうが、特に勲章になるものでもなく、経験になるものでもなく、翌年に向けてカテゴリーを一つ上げるための戦いが続いている。

このように、厳しい戦いが続くJFLに身を置くアルテだが、苦戦しているものの、確実に選手のレベルと経験値を高めていることは紛れもない事実。さらには昨年、JFL入れ替え戦と言った、崖っぷちの戦いを勝ち抜いてきたアルテには、真剣勝負の難しさ、厳しさというものがイヤというほど身についている。それに対して、自分たちの練習の中でしかレベルを高めていく機会のないU-23。

アルテにしてみれば、U-23に勢いがあるからといって、いくらなんでもSAGAWAより相手は強くないし、当然、パルセイロよりも強くはない。そういう面で最初から受けて立つ余裕があり、前半20分までに彼らの攻撃を凌ぎきったところで「行ける(勝てる)」という実感が湧いていた。

結局、U-23よりも高いレベルのチームと真剣勝負を繰り返しているアルテにとって、彼らの攻撃は「そう怖いもの」ではなかったのである。さらには、守備面においても、アルテがスピードを速めた瞬間に、守備陣が捕まえきれずファールで止める場面が増えてしまったことも敗因に大きく繋がっていた。木村コーチも当初から守備面での不安は口にしていたのだが、やはりJFLでもまれている相手には、ごまかしは効かなかった…

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決勝で惨敗を喫したチームに対して、多くのサポーターから暖かい声援が飛んだが、そんな中で厳しい意見を言うファンもいた。「実力が段違いじゃないか」「J2、JFLにも入れなかった選手たちなんだから…」など

確かに、J2、JFLにも入れなかったことは否定しない。しかし、U-23というチームは、別に元Jリーガーや即戦力となる新卒選手を集めている訳ではない。当初はトップ、下部組織(U-23)でセレクションは分かれていたが、現在は合同でセレクションを行っているのだが、即戦力クラスの選手であればトップの方で合格を出している。しかし、今いる選手たちは「即戦力として考えるのは厳しい、しかし年数をかけて育てればおもしろい選手になる」と木村コーチ、植木GMが判断して獲得している選手たちなのである。

そんな選手たちだからこそ、「J2、JFLにも入れなかった選手たちなんだから…」という批判は、ある意味でお門違いでもある。入団した当時は、まだプロとやり合うには到底かけ離れているレベルであっても当たり前なのだ。2年、3年という期間を経て、プロという壁にチャレンジ出来る、もしくはそのレベルに到達出来る選手に育成していくことがU-23というチームの役割なのだから。

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そう言った面で考えれば、大卒組ではない4年目の森川、市川、宮下は本当に大きく成長し、高いレベルでやれるぐらいまでのスキルを身につけてきた。しかし、そんな彼らのプレーでもアルテに通用しなかったのだが、その原因を考えれば、やはり「ギリギリの戦いを経験していないこと」が大きく影響しているといえる。

となれば、彼ら、そしてU-23というチームがさらに成長していくにはどうすればいいのだろうか?

それはひとえに、彼らに対して「高いレベル」で戦える場を提供させてあげることであろう。しかし、現在県リーグ3部にいるチームのため、毎年各カテゴリーで優勝して1つ1つカテゴリーを上げていくしかないので、即、高いレベルでの戦いを提供できるという訳にはいかない。

また、以前木村コーチと話しをした中で、全社(全国社会人大会)と国体出場への道を切り開いてあげれば…と提案したが、全社に関しては今のカテゴリーが県3部のため、群馬県予選は1次予選からの出場となり、こちらの予選は天皇杯よりも早い1月初旬に行われることがネックとなるので(チームの始動時期が1月後半からのため)、1次予選が免除となる県1部に昇格するまで、参加を考えるのは難しいという返答が帰ってきた。

また、国体(群馬県成年チーム)に関しては、参加できればおもしろいという話しをされていたが、これはあくまでも県協会側がメンバーのセレクトをするため、こちらの一存で参加するという訳にはいかないので、なんとも言えませんね… という感じであった(※国体チームに関しては、各県それぞれの状況が違い、いろいろなクラブから選手セレクトして選抜チームを作る場合もあるし、岐阜(FC岐阜second)や京都(佐川印刷)などのように単独チームで参加する場合がある)。

しかし、国体に関しては、クラブから県協会に打診すれば、メンバー全員という訳ではないが、有望な選手をセレクトして派遣していくことは可能であろう。また、このように他のチームの選手と一緒に練習や試合をこなし、さらには別のコーチから指導を受けることは、選手にとって大きな刺激と経験になるはずだ。

今回のアルテとの決勝戦を経て、彼らに一番足りないものは「経験」であることははっきりしたのである。だからこそ、選手には「全国」という舞台をどんな大会でもいいから経験させてあげたい。しかしその中で、全社に関しては難しいとのこと。であるならば、県協会にクラブが働きかけ、少ない人数でもいいから、選抜チームにメンバーを派遣して、経験を積ませるべきではないだろうか?

この件は、ここで書くだけではなく、クラブ側にも働きかけをして行きたいとも思っております。

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まあ、この敗戦によって、彼らにとっての「勝負の夏」は終わってしまった。

このチームの「ベテラン」である、タケマ、ユーゴ、ナリ、いっちゃん、ゆうだい、カオルにとって、他のメンバー以上に悔しい思いであったことは、試合後の姿を見ていればよくわかる。しかし、みんなに残された時間はそう多くはない。シーズン最後となる11月いっぱいまでに、この試合で感じた「足りないもの」をどこまでしっかり認識できるのか? そしてそれをどこまで補えられるのか? 

ここで、木村コーチに教わる、指示されるのではなく、自分で課題を見つけ、どうすればそれを乗り越えられるのかを考え、敵に勝つ前に、まずは昨日までの自分を日々超えられるようにトレーニングを積み重ねて欲しいところだ。

そして、選手だけではなく、指導者としても「まだまだである」ということを、木村コーチも強く認識したことであろう。結果的には、昨年以上の成績を残したが、最後(予選トーナメント)の終わり方だけ見れば、悔しさは昨年以上だったはず。個々のスキルでは負けていなかったはずなのに、その力を出させられなかったこと、そして会見でも語っていた「メンタルコントロールの難しさ」など、木村直樹にとっても、選手同様にまだ「道半ば」なのである。

2011年度のシーズンはあと3ヶ月程度となってくるが、その中で選手、そしてコーチがどこまで大きくなれるか、トップ昇格できるか以上に気になるところだ。

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さて、ここからは、賛否両論があるであろう書き方になってしまうことをご了承ください。

U-23の選手たちの目標は2つある。
1つ目は天皇杯に出場すること。そして2つ目はトップに昇格することである。

ただ、現実的な目標として、トップ昇格するだけではなく「別のチームで活躍する」ということを残された期間の「目標」とすることも悪くはないと考えている。

例えばJリーガーではなくとも、このチームの前身である、チャレンジャーズチーム出身の太田康介(町田)、杉山琢也(長崎)の2人はプロ契約を勝ち取っている。また、B契約以下、もしくはアマチュアだが、高向隼人(佐川印刷)、佐藤大典(長野)、田中翔太、山口直太(ともにジェフリザーブス)といった選手もJFLで活躍する機会を得ている。

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さらにはU-23で今のメンバーたちとともに、草津で過ごした武藤勝利、高櫻健太(ともに栃木ウーヴァ)、星野崇史(ジェフリザーブス)の3人もJFLの舞台に立っている。そして昨年はパルセイロでほとんど出番をもらえなかった武藤だが、その悔しさをバネに栃木ではレギュラーを勝ち取るまでに成長している。

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確かに、U-23から今現在Jリーガーとして活躍しているのは、トップに定着した有薗と杉本しかいない。しかし、JFLや地域リーグで活躍する選手は、過去を含めて結構存在しているのである。そう、彼らの力は決してダメなのではなく、やれるだけの能力は個々に揃えているのである。だが、U-23というチームになったとき、格上と真剣勝負するには、まだまだ経験が足りないし、積み重ねてきた歴史も足りないのである。

しかし、経験、歴史を積み重ねるには、それなりの年数が必要であり、その時を過ごすまでに選手のピークを過ぎてしまう者もいるだろう。だからこそ、トップ昇格という道だけではなく、「自分を必要としてくれるチーム」を探すことも大事なのではないか? と思うのだ。

今いる選手たち。
星野や武藤にやれて、自分には出来ない… なんて思わないだろ? 
高いレベルでやっている彼らのことはうらやましいだろ?

ここ(U-23)では、体をつくり、上で通用する技術を身につけることが出来る。時には、トップと混じって「プロの動き」を体感する事も出来る。そして彼ら(トップ選手)やコーチからアドバイスだって受けることも出来る。そう考えればU-23とは、素晴らしい「サッカー専門学校」でもあるのだ。まあ、リエゾン草津の母体も「東日本サッカーアカデミー」であったので、あながち、その表現も間違っていないのだが…

しかし、サッカーが上手くなるだけでトップに上がれるものではないし、よそのチームでプロになれるものでもない。練習では技術は上がるが、経験値が一気に上昇して行く訳ではない。その点は、厳しい試合をこなし続けて、初めて経験というものは身についていくものだし、チームの歴史、伝統、カラーというものも、やり続けて初めて備わっていくものであると考える。

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U-23という「サッカー専門学校」で基本をみっちり学ぶことは、選手として悪くはない選択だと思う。しかし、今現在、県リーグ3部というカテゴリーに属しており、そこでの戦いが経験に結びついていかないもどかしさもある。そう考えたとき、まだ1、2年目の選手であれば、今の環境で勉強を続けるのも悪い選択ではない。だが、「ベテラン組」はいろいろな考え方、選択肢があってもいいと思うのだ。

何はともあれ、ベテラン組は「その先」をどうするかを視野に入れて、自分の目標、課題をキッチリ整理して今季の残された時間を有意義に過ごして貰いたいし、1、2年目の選手はとにかく「上手くなる、そしてかしこくなる」を考えてプレーし続けて欲しいところである。

その上で、選手それぞれが「ベストな判断」をしてもらいたい…

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あと、この試合には、現在トップで活躍する有薗だけではなく、すでに引退して第二の人生を歩んでいる冨田賢さん、寺田一太さん、荒田雅人さんも会場に応援に駆けつけ、仲間たちの試合に声援を送ってくれていた。

そして最後のユーゴやいっちゃんの一言に目頭が熱くなる場面も…

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かつて一緒に草津でボールを蹴り、夢を追い求めた仲間。プロになれた者、別のチームで現役を続ける者、大学や高校でコーチとしてサッカーに関わる者、引退して別の道を歩む者とそれぞれの道を歩んでいるが、いつになっても仲間のことは気になるもの。

そして、サポーターもそんな彼らのことは当然忘れてはいない。プロになれない選手がほとんどだが、この街(草津)で過ごした選手たちのことを、みんな「俺たちのスター」と常に思っているのだ。

プロになるだけがサッカー人生ではない。
プロにだるだけが人に喜びを与えることではない。

この草津では、選手としてスキルを上げるだけではなく、人と人との繋がりの大切さという、生きていく中でとても大事なことを学べることを、選手、そしてOBの人たちは是非とも忘れないで欲しいと思う。

2011年8月27日 (土)

超える

8月21日に行われた群馬県天皇杯予選・準決勝の試合後、「次の試合に勝てれば、絶対に自分たちのサッカー人生が変わっていくと思います。壁を乗り越えられれば、絶対に新しいサッカー人生が開けると思うんですよ…」と、FWの森川勇大は語ってくれた…

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そんな彼を含めたザスパ草津U-23のメンバーは、明日、最大の勝負の時を迎える。

第16回群馬県サッカー協会長杯・決勝戦
13:00〜 @敷島サッカーラグビー場
アルテ高崎 vs ザスパ草津U-23

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ザスパ草津がJ2リーグに新加入(加盟)したのは2005年のこと。この年から、晴れてプロクラブチームとなったのだが、それと同時に、JFL時代以上に活動の拠点を前橋に移さなければいけなくなってしまった。当然ながら、群馬県にJリーグを開催できる規模のスタジアムは敷島(正田醤油スタジアム群馬)以外にはなく、さらには営業活動、自治体(群馬県全体)との連携、選手の移動などの面から考えても、拠点が前橋に移ることは致し方のないことでもあった。

そんな状況の中、J2リーグ昇格の決まった2004年12月、来季(2005年)から、ザスパ草津のルーツ、そしてISMを継ぐチーム(下部組織)を作ることを発表したのだが、これこそ現在のザスパ草津U-23の前身であるチャレンジャーズチームであった。

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リエゾン草津時代からこの地でサッカーを続ける木村直樹を指導者に据え、草津町で働きながらプロを目指した選手たち。当初はサテライトリーグに参加しながらトップ昇格を目指したのだが、2010年のサテライトリーグ廃止を受けて、群馬県サッカー協会登録チームとして県リーグ(4部)に参加しながら夢を目指すこととなり、さらには県リーグ所属チームとなったことにより、このチーム単独での天皇杯出場という新しい目標も生まれた。そんな中で、昨年からトップ昇格を目指すと同時に、チームとして天皇杯出場も目標となったU-23だが、県予選3回戦で上武大学にまさかの敗戦。この敗戦のショックは決して小さなものではなく、この試合の結果を受け、8月をもって2人の選手がチームを去っていった。

しかし、あの日の苦い経験を糧として、ここで結果を出すことを心に決め、チームに残った12人の選手たち。その中でも、5年目の藤崎武馬、4年目の成田憲昭、飯山悠吾、市川朋紀、宮下薫、森川勇大の6人は他のメンバー以上にこの大会に賭ける想いは特に強かった。そして、彼らにとってこれが「ラストチャンス」であることも十分に認識しているはずだ…

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チームの中には、大学1部リーグ(関西)で活躍した枝本雄一郎や、高校時代にインターハイや選手権出場した西野隆司といった、経験や結果を持っている選手もいるのだが、大半の選手はさしたる結果や経歴を持ち合わせてはいない。

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ゲームキャプテンとしてチームをまとめるイチにしても、前商時代にプリンスリーグなどの出場経験を持っているが、選手権出場を賭けた試合では育英らの壁に跳ね返されている。また、チームのエースに成長した藤崎武馬、森川勇大も正直、大きな経歴を持っている訳ではない。

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このように、個の力では十分に関東一部やJFLクラスでもやり合える能力を持っている選手が集まっているのだが、いかんせん、結果、経歴という部分で胸を張れるものが無いところが玉に瑕。だからこそ、選手たちはこれまでの自分を乗り越えたいという気持ちが強く、そして新しい一歩を踏み出すためにも、この試合は是が非でも勝ちたいのである。そう、勝って「全国への扉」、そして「次への扉」を開くために…

彼らが夢舞台を勝ち取った先には、もしかすると来季以降のトップ昇格への道が開けてくるかも知れないし、それ以外のチームで活躍する場を勝ち取れるかも知れない。また、「夢は託した」とチームを去っていた仲間のためにも、勝たなければいけないのである。

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扉を開き、新しい世界に踏み込むためには、まずは今の自分を超えること。
敵に勝つということを意識する前に、自分の限界を超えてほしいのだ。
その戦いに勝てれば、自ずと勝利は見えてくるはずなのだから…

天皇杯という夢舞台で「リアル温泉街からの挑戦」が是非とも見たいもの。
そのためにも、限界を超え、悔いのない戦いを繰り広げて欲しいと願うかぎりである。

2011年8月15日 (月)

天皇杯・群馬県予選準決勝

3月27日から始まった天皇杯群馬県予選(群馬県サッカー協会長杯)も、ついに準決勝。群馬県は関東リーグ1部所属のtonan前橋、そしてJFLのアルテ高崎がそれぞれシードされており、準決勝・決勝からの出場となっているのだが、ここ4年間の決勝はアルテ vs tonanというカードが続いていたのだが、今年はその「2強対決」がついに崩れることとなった…

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さて準決勝のカードだが、3月末から始まった予選トーナメントを勝ち抜き、そして決勝トーナメントでも県協会所属社会人チーム、そして高体連チームをことごとく下してシードチームとの対戦にこぎ着けたのはザスパ草津U-23。昨年から県協会所属の社会人チーム(昨年は4部で今年は3部)として参加しているが、昨年の「無念」があるからこそ、この大会で勝ち抜くために早い段階から準備してきた経緯がある。

そんな中での準決勝だが、キーマンの一人であるFWのタケマ(藤崎)は負傷からの回復具合が完全ではないため、この日もメンバーから外れてしまう。また、タクジ(白井)もコンディションが完全ではないため、こちらもベンチから外れたこともあり、フィールドプレーヤーの交代は最初からナリ(成田)、フッキ(吹田)、マイケル(歌丸)の3人しかいない状況で決戦を迎えた。

[U-23スタメン]
ーーー宮下ーー森川ーーー
ー清水ーーーーーー横山ー
ーーー枝本ーー市川ーーー
川瀬ー安田ーー飯山ー西野
ーーーーー後藤ーーーーー

[tonanスタメン]
ーーー丸山ーー小川ーーー
ー東田ーーーーーー根本ー
ーーー宮崎ーー山田ーーー
井上ー氏家ー大河原ー長沼
ーーーーー中村ーーーーー

水曜日に小雨グラウンドで行われたU-18との練習試合とまったく同じスタメンとなったU-23に対して、直近の公式戦(7/31 vsさいたまSC戦)のスタメンから3人入れ替わった(鏑木→中村、大朏→東田、鈴木→丸山)tonan。

試合の流れとしては、格上のtonanに対してU-23が運動量で勝れるか? というところがポイントだったのだが、試合は全ての面において予想を遙かに超えた展開となっていく。

U-23のキックオフで始まった試合だが、開始直後にボールを奪ったtonanがゴール前に攻め込み、最初のシュートを放つとこれは飯山がクリアしてコーナーに逃れる。続くCKの場面では、こぼれ球を山田に狙われて危ないシーンが2つ続いたが、これを乗り切るとあとは完全なU-23ペースで試合は進んでいく。

5分に宮下がシュートを放つと、堅さの取れたU-23は豊富な運動量と鋭いパス交換で相手を圧倒。7分には細かく繋いでゴール前に攻め込み、10分にも宮下が持ち込んでシュート。さらに15分には横山が右サイドを攻め上がり、中へパスを通すと清水がシュート。これは中村の好セーブに阻まれてしまうも、流れ、フィニッシュの形と、どれも文句の着けようのない攻撃を連発していく。

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細かくパスを繋いで崩していくだけではなく、16分には森川がミドルレンジからゴールを狙い、そうかと思えば17分には西野→森川と繋いで、前に走る宮下に浮き球のパスを送ってゴールを狙うなど、あの手この手にtonanゴールを脅かすU-23。

そんな相手に対して、まったく攻撃の形を作れないtonan。実はこんな形は以前見た関東リーグの試合でも同じであった… 相手に押し込まれてしまうと、中盤も下がってしまい2トップが孤立。中盤でボールを繋いで展開という流れがほとんど作れず、結局のところは最終ラインに鎮座する氏家からのロングボールの精度に頼るしかないのである。

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じゃあ、氏家を活かすために中盤で起用すればいいだろう…と思う人もいるだろう。それは確かに正解でもあり、シーズン当初は彼と山田のコンビでボランチを組む機会が多く、攻撃面ではかなり機能していたのだが、その反面、守備に関しては常に不安定な状態が続いていた。そしてFC KOREA戦で4失点を喫して惨敗したことにより、チームは氏家の統率力に期待して最終ラインに入れたのであった。そしてその起用策はそれなりの効果を見せ、守備は安定したものの、その反面で攻撃の組み立ては空回りする場面が数多く見られるようになってしまったのである。

開始早々にチャンスを掴んで以来、完全に自陣に押し込まれたまま手も足も出せない時間が続いたtonanだが、やはり氏家からいいボールが入るとチャンスが広がっていく。29分には左サイドに長いボールが入り、東田がクロスを上げるとフリーで待っていた山田がキレイに合わせてシュート。決定的場面を迎えたのだが、U-23GKの後藤がしっかり読み切ってファインセーブで対応。

ヒヤっとする場面を迎えたU-23だが、すぐに反撃に転じて相手ゴールに攻め込むと、32分に森川が放ったシュートのこぼれ球を宮下が押し込んでU-23が先制か? と思われたがここはオフサイド。ピンチはあったものの、すぐに切り替えて再び流れを取り戻して「行けるぞ」と思った矢先に思わぬアクシデントがU-23を襲う。

36分、ロングボールの競り合いの中で相手を倒してしまった安田がイエローを受けるのだが、実はその前の段階から熱中症気味の状態でプレーしており、さらにはその競り合いの中で相手の肘も後頭部に入ったことにより完全にダウン。

しばらくは安田の回復を待ったのだが、数的不利の状況の中で38分、カウンターからピンチを迎えてしまい丸山にシュートを浴びてしまうが、ここも後藤の好セーブがチームを救う。そして40分、安田を諦めてここで成田投入。ここ最近、スタメンを外れていたナリだが、大一番で回ってきた出番と言うこと気合いも十分でピッチに入ると、必死に体を投げ出して守備に奮闘。

結局、前半で得点を奪うことは出来なかったが、守備面ではしっかり守りきり、まずは上出来のスコアレスで後半戦に繋げる。

そしてハーフタイム、木村コーチは選手に向かって「オマエたち、1対1では全然負けてない。どんどん仕掛けていけ」と檄を飛ばすと、その言葉に呼応するかのように47分に森川が積極的に仕掛けてシュートを狙うと、50分には右サイドを攻め上がった西野が相手GKとDFのギャップを狙う速いクロスを蹴り込む。すると、ここで対応に焦った大河原が無理な体勢から足を出してしまい、なんとオウンゴールを誘発。

予想もしなかった形でU-23がついに先制。

その後、横山に代わってフッキを投入し、FWに入っていた宮下を右MFにスライド。森川ー吹田の2トップに代わったU-23がさらに攻勢に出るのだが、そんな時こそ氏家からの展開と、ミドルレンジからのシュートに気をつけて欲しいのだが…と思っていた矢先に、60分、山田智也にズドン!と決められて同点。

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ここで少し消極的になったのか、ややtonanの攻撃を浴びるようになってしまったU-23。さらに続く64分には東田がフリーでゴール前に入ってきてシュート! かなり決定的な形であり、これは逆転か? と思われたのだが、またも後藤のファインセーブが飛び出して得点を許さない。

決して上背は高くはなく、GKとして恵まれた体型ではない後藤。2年目の今年、GKはVファーレン長崎からやってきた島並も加入し、笠原と合わせて1つのポジションを3人で争う厳しい状況となったが、そんな中で成長した姿を見せている後藤は木村コーチからの信頼もガッチリ獲得したのである。

さて試合に戻るが、後藤のファインセーブがこの場面はチームを救ったのだが、シュートを打たれる前のシーンで体を擲った西野が足をつってしまい、ここで無念の交代。前半のうちにナリが入り、53分にフッキが入っているため、残りのフィールドプレーヤーはマイケルしかいない… そして68分、ついにマイケルが投入されると、宮下が今度は右サイドバックにポジションを代え、フッキが右MFへ。そして投入されたマイケルがFWに入った。

正直、今日の試合の相手はこれまでの相手とは違うため、よほどのことがない限り、マイケルの登場はないだろうと思われた。また、試合直前に行われたU-18との試合でも相変わらずの動きを見せており、木村コーチだけではなく、仲間からも「動けよ!」と厳しい声を掛けられていた。事実、2月に彼を初めてみた時は悪い意味で「衝撃(笑劇)」でもあった。だが、今は半年前に比べれば、格段に良くなかったマイケル。しかしだ、たぶん一戦一戦が勝負の地域カテゴリーのチームであれば、まだ使ってもらえるレベルには到達してはいない。

木村コーチも「練習では本当にダメなのに、なぜか試合では決めちゃうんですよね。まあ、秘めたるものは持っていると思うのですが、まだ子供なのでサッカーっていうものをしっかり理解するところからですね」と評しているのだが、そのマイケルがまたも不思議な力を発揮することに…

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マイケルのことはさておき、73分、右MFに回ったフッキが素晴らしいドリブル突破を見せ1人、2人とDFをかわしていく。中ではフリーで待っていた森川がパスを要求したが、フッキは強引な突破を試み、ついには氏家まで抜いてシュート! ここはブロックされたが、こぼれ球を拾った清水が難しい体勢ながらも押し込んでついに勝ち越し!

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さらに畳み掛けるU-23は、75分には森川が抜け出してGKと1対1となり、76分には再びフッキがシュート。79分にはまたもフッキが上手く持ち込んで、前を走るマイケルに絶妙のスルーパス。あとは流し込むだけ… というところで外してしまうのが、なんともマイケルらしい(笑)

しかし、決められる場面、とどめを刺せる場面で点を決めないとピンチを迎えてしまうもので、83分、カウンターから小川がミドルを放つと、これはポスト直撃。またもヒヤっとした場面でもあったが、運にも助けられたU-23。そしてラストは清水からのパスを受けたマイケルが、なんと氏家との競り合いに勝って、見事に3点目を叩き出して勝負あり。

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なんで79分のドフリーが決まらなくて、ラストの氏家との競り合いの場面で決めるんだ…(笑) まあ、簡単なものをいとも簡単に外し、周囲を落胆させながらも、難しい場面ではあっさり決めるのがマイケル。また、この日は得点だけではなく、普段は非常に微妙な「前線からの守備」をしっかり対応して勝利に貢献。やれば出来る子じゃないか、マイケル!!

※歌丸くんが「マイケル」と、なぜ呼ばれているのか知らない方もいるようですので簡単に説明しますと、彼のロシア名の「名前部分」がマイケルだからそう呼ばれています

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ということで、終わってみれば3-1でザスパ草津U-23の完勝で終わったこの試合だが、もう一度内容を振り返ってみると、結果的にtonanは関東リーグでの不調を修正できないままこの試合に挑んでしまったことが浮き彫りとなる結果であった。

また、試合中での氏家や山田のコーチングからして、自分たちで主導権を握ってゲームを進めようというのではなく、まずはしっかりとした守備を徹底しようというところに主点を置いていたのだが、果たしてそれで勝てると思ったのだろうか?

また、全体の動きやシステムに関して、短期間での修正は難しいかも知れないが、運動量を増やそう、相手に負けないように走ろうという事に関しては、どんな選手でも気持ちややる気でカバー出来るはず。しかし、その部分でもU-23に負けていれば勝つ見込みは限りなく少なくなってしまう。序盤から工夫、そして気持ちで負けていたtonanにとって、厳しい言い方となってしまうが、勝負は最初から決まっていたのかも知れない…

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さて、これで決勝戦はアルテ高崎 vs ザスパ草津U-23となったのですが、公式戦での対戦は当然ながら初対決。しかし、練習試合では頻繁に対戦している両者であり、今季はすでに3度対戦しており、成績はU-23の2勝1分で負けナシなのである。ただし、あくまでもこれらの試合は前後半で相手はメンバーを総入れ替えをしていることを付け加えておこう。ただ、ベストメンバーのときはどうなのか?を考えると、それでも1勝2分(これはあくまでも45分間のもの)。こっちでも勝っているじゃないか…と思われるでしょうが、内容はさすがに押されっぱなしで、必死で守ってカウンターから得点、というパターンのみ。

さらには、相手はあくまでも「調整」という意識のため、対戦成績が悪いから苦手意識があるという訳でもない。

この日のtonanは縦に長いボールを蹴ってくるだけで、守備陣としては特に怖さもなく、氏家の正確なボールとカウンターだけケアすれば問題なかったが、アルテはJFLでは結果こそ出てはいないものの、繋いでサイドに展開してゲームをしっかり組み立ててくる。さらには、高さの土井とエースに成長した松尾という攻撃の核が存在する。この2人のスキルは、県リーグや地域レベルとは大きく違うし、集中して組織で守らなければ簡単にやられてしまうだろう。

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そして少し昔のことを思い出して欲しい。
まだザスパ草津が県1部、関東2部、JFLだったときに、その前に立ちはだかった赤いチームことである。

当時はまだFCホリコシと名乗っていたが、2002年の県協会杯決勝で対戦して以来、両者の対戦成績は2勝1分2敗の五分(まあ、1勝のうち、地域決勝の勝利はPK勝ちですが…)の成績が残されている。そしてザスパは2005年から戦いの場をJ2リーグに移したことで、公式戦で対戦することは事実上なくなってしまった。

あれから7年が過ぎ、FCホリコシは名前をアルテ高崎と変え、現在もJFLで戦っているのだが、今度はそのライバルに対して「弟分」であるザスパ草津U-23が挑戦する。

2011年8月28日 敷島サッカーラグビー場にて行われる天皇杯予選(県協会長杯)決勝は歴史的にもみても、今のそれぞれのチームが持つ実力、そしてチームが目指すスタイルを考えても、非常におもしろい試合となることは間違いない。準決勝で森川が累積2枚目のイエローを貰ってしまったが、カードに関してはすべて準決勝が終わった時点ですべてリセットされ、さらにはインターバルも2週間となる。

累積での出場停止もなく、メンバー的にもベストの構成で挑めそうなこの試合は、「これぞ群馬ダービー」と呼べるような、緊張感のある好ゲームを期待したいところである。

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第16回群馬県サッカー協会長杯
準決勝 @前橋育英高校グラウンド
ザスパ草津U-23 3-1 tonan前橋
[得点者]
51分オウンゴール、73分清水、87分歌丸(草津)
60分山田(tonan)
[警告]
36分安田、82分森川、88分歌丸、90分川瀬(草津)

[ゲームスタッツ]
シュート数:草津20、tonan12
ゴールキック:草津6、tonan10
コーナーキック:草津6、tonan2
直接FK:草津9、tonan23
オフサイド:草津0、tonan4
PK:草津0、tonan0

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