カテゴリー「その他サッカー関連」の記事

2013年12月29日 (日)

バドゥ、京都サンガの監督へ

京都サンガの新監督に、噂通りバルディエール・バドゥ・ビエイラ氏の就任が決まった。

かつては「ジョホールバルでのイラン代表監督」という印象が強かったバドゥだが、今では「長野パルセイロの基礎を作った人」という印象の方が強いかも知れない。昔の話になってしまうが、Jリーグを目指す! と、長野エルザ(現パルセイロ)が明確に表明した2006年の途中(6月)に監督としてこの地にやって来た。元代表監督の肩書きを持つ世界的指導者が、Jリーグどころか、JFLよりも下の地域リーグ(北信越リーグ)の監督となったのは、どんな補強よりも強烈な印象を与えたものだった。

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そして就任当時、なぜこのクラブの監督を引き受けたのか? と聞いた時に帰って来た言葉はこんなものだった。

「これまでに指導者としていろいろなチャレンジをしてきました。日本の皆さんからすれば、私がイラン代表監督をしていた時のことは覚えていてくれていると思います。その他にも、オマーンやコスタリカなどでもナショナルチームを指導し、その他にも中東を中心に、いろいろなクラブでも指導者としてやってきました。

そんな中で今回、長野というこれから成長していこうとするクラブからオファーをいただいたことは非常に光栄です。これまでに、代表監督やアジアの舞台で戦うクラブチームの監督としての経歴はありますが、自分のチャレンジの中で「育てる」ということはあまりなかったので、それが出来ることがオファーを受けた大きな要因の一つになりました。

日本はワールドカップにも出場し、Jリーグというリーグも素晴らしいレベルになるなど、どんどん成長していますが、まだこの長野のクラブは『これから』のクラブです。だからこそ、強くして行くだけではなく、地域全体の盛り上がりを含めて『育てる』ということをやって行きたいです。よく、ギャラ(年俸)はいくらなんですか? と聞かれますが、私はそんなにもらっていません。私が長野というクラブに魅力を感じたのは、金額ではなく、『育てる』ということの手助けを出来ることと、妻(エリカ夫人)が、この街の美しい自然を気に入ってくれたことが決め手となりました。

これから、私と一緒に長野エルザを大きなクラブにして行きましょう」

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そしてこれから2年後の2008年シーズンで、長野パルセイロ(2007年に現在の名称に変更)は北信越リーグ優勝、そしてこの年秋田で行われた全国社会人サッカー大会でも優勝するなど、バドゥが目指す「魅力的な攻撃的サッカー」は、全国的にも評価されようとしていた。だが、肝心の地域決勝ではリアリティ(勝つこと)だけを目指すサッカーの前に敗れ去り、結果的に2009年シーズン限りでバドゥは長野を去ることとなった。

しかしだ、この結果を見てバドゥがダメな指導者だったのか? という判断をしてはいけない。2011年から長野パルセイロはJFLに戦いの場を移したが、3年間の成績は2位、2位、優勝と、抜群の安定感を見せつけているが、その(攻撃サッカーの)基礎を築いた人こそバドゥであることは絶対に否定出来ない事実である。まだ地域リーグ時代だった頃にすでに見せていた、完成度の高い攻撃的3-4-3システムなどは、明らかにその他の地域リーグとの「質」が違っていた。そしてもう一つ、バドゥから薫陶を得た諏訪、大島、高野、大橋、野澤といった選手が、今なおパルセイロの主力として頑張っていることを見逃してはいけない。「育てる」ということに、監督としてのやりがいを求めたバドゥにとって、これらの選手が今なおチームの主力として活躍していることこそ、まさに成果なのではないだろうか?

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今年、美濃部監督を迎えて、さらにグレードアップした結果として優勝したパルセイロであるが、もしこれまでの「土台」がなかったら、その結果がどうなっていたかはわからない。いや、たとえ美濃部監督が指導していたとしても、いきなり「結果」を出すことは難しかったであろう。また、薩川前監督は今季、琉球の監督に就任したのだが、確固たる「土台」のなかったこのチームでは、思うような結果を出すことは出来なかった。

バドゥという偉大なる先駆者がいたからこそ、今の長野があると言っても過言ではないと思うのだ。

そして昨日、京都サンガより、公式に監督就任のリリースされたのだが、再び日本でのチャレンジが見られるのはなんとも嬉しいこと。しかし、長野と京都では求められるものが違うし、環境も全く違う。京都では「育てる」ということ以上に、「結果」が求められることになるのだが、彼が求める攻撃的サッカーは、大木前監督が作って来たサッカーと共通する部分も多いので、これらを土台として、いいチームを必ず作ってくれるはず。

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来年で70歳という年齢になるが、この年で新しい「チャレンジ」に挑むこととなったバドゥの成功をお祈りしたいところ。そしていろいろな意味で長野との縁の深い松本(アルウィン)にバドゥが帰ってくることも、昔を知る人間にとって、なんとも感慨深いことである。J2屈指のサポーターに成長した、松本のサポーターが、バドゥをどう「お迎え」するかにもちょっと気になるところでもある(笑)

2011年12月31日 (土)

下克上の嵐が吹き荒れた2011年

アジアカップ制覇で始まった2011年の日本サッカー界だが、もうまもなくで新しい年を迎えようとしている。

さて、今年は震災の影響もあり、Jリーグを筆頭にいろいろなカテゴリーにおいて日程変更が余儀なくされた。そして、シーズン開幕が遅れたことにより、後半戦に入って厳しい日程が組まれたカテゴリーも少なくはなかった。その中で、今年のサッカー界を考えてみると、やはり「下克上」というキーワードが浮かんでくる。

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そう、今年のJリーグはJ2から昇格してきた柏レイソルが優勝を果たし、JFLでも今季昇格組の長野パルセイロが2位に入る大健闘を見せ、大学界(関東だが)も2部から昇格してきた専修大学が最後まで勢いを切らすことなくリーグを制覇し、そして今年度の大学日本一を決めるインカレでも決勝進出を決めている。

さらに極めつけは、今季最後のタイトルとなる天皇杯決勝のカードが史上初となる「2部カテゴリー」同士の一戦となったことであろう。

29日に行われた天皇杯準決勝でFC東京はC大阪を、そして京都サンガは横浜Fマリノスをそれぞれ下し、J2勢同士の決勝戦が実現。どちらが勝っても来季のACL出場権も初めて得ることとなるのだが、京都は東京ヴェルディ以来、2チーム目のJ2からACL参加となるのだろうか?

それにしても、やはりリーグ戦にしてもカップ戦にしても、強いチームが順当に勝つよりも、下から上がってきた、もしくは下のカテゴリーのチームに勢いがあるとおもしろみが出るものだ。また、下からのチームが活躍することにより、リーグや大会自体が活性化されるし、これまで強豪と言われてきたチームには危機感が生まれだし、本当にいい意味での競争も激化してくる。

サッカーに限らず、どんなスポーツでも新顔や下から上がってきたチーム(や個人)に勢いがあると、本当にその戦いが面白くなってくるものである。決まった強豪が毎年(毎回)のように優勝争いをしていては、リーグや大会自体のおもしろみが欠けだしてしまうし、コアではない一般層の注目を引きづらくなってしまうもの。しかし、新顔や予想外のチームが優勝争いに名乗りを挙げてくれば、自然と一般層からの注目も上がってくるものである。

さて、J1優勝を果たした柏、そしてJFLで健闘した長野パルセイロ、さらには大学日本一を狙う専修大学らはそれぞれカラーの違うサッカーを展開しているが共通している部分もある。

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それは「自分たちのサッカーで挑戦する」という姿勢を最後まで変えなかったことであろう。

下部カテゴリーで優勝、もしくはそれに相当する成績で上のカテゴリーに登り詰めた柏、長野、専大は、揃って上のカテゴリーに戦いの場を移しても、自分たちのスタイルを安易に変えることは無かった。下のカテゴリー時代から自分たちで主導権を握り、常にアクションを起こしていくサッカーを上でも貫いた長野と専大。そして柏はJ2で築いてきた攻撃的サッカーを踏襲しつつ、J1ではさらなる運動量を身につけて自分たちのサッカーにプラスアルファを加えていった。

多くのチームがカテゴリーが上がるに連れて、まずは守備的に入って無難に勝ち点を積み重ねる手段に出るものだが、あえてそのやり方をせずに「らしさ」を貫いて結果を勝ち取ったそれぞれのチーム。上のカテゴリーに到達して、それでおしまいではなく、それぞれのチームが「さらなる高み」を目指したが結果、躍進に直結していったのだが、来年J1、J2、そしてJFLなどに参戦していくチームたちが、どこまでポジティブな思考を持って戦えるのかにも注目したいところだ。

そう考えると、今季J2優勝を果たし、天皇杯決勝に進出したFC東京、そしてJFLからJ2へと戦いのカテゴリーを変える町田ゼルビア。さらに関東大学1部リーグに昇格する日体大の3チームの「来季」には期待がかかる。それぞれのチームは攻撃的コンセプトを全面に出し、今季のリーグ戦で好成績を残して上に上がってくるチームであり、カテゴリーが変わる来季にも、その戦い方を是非とも継続して欲しいところ。

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また、それぞれのチーム(FC東京は前町田監督のポポヴィッチ氏、町田は清水や東京Vを率いたアルディレス氏、そして日体大はジュビロで完全優勝を果たした鈴木政一氏)は「名」がつく監督ばかりであり、どのチームにも大きな期待が懸かってくる。今年吹き荒れた「下克上」の嵐が、いい意味で来年も続くことを願いたい。

2011年8月 4日 (木)

松田直樹

私は横浜Fマリノスのファンではないし、仕事ではJ1と接する機会がほとんどなく、あったとしても天皇杯ぐらいのため、これまで彼のプレーを生で見る機会はほとんど無かった。だが、群馬出身(前橋育英高校卒)ということもあり、いつかはザスパ草津でプレーしてくれれば… なんて淡い想いをしたのもまた事実。

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そして松本山雅に移籍してからは、彼がどうチームを牽引して行くかに注目して来ていたが、このチームでも熱いハートを全面に押し出して、ピッチ上の「監督」として君臨。

そして、その「監督」のいなかった町田戦で完敗を喫した松本山雅。その試合は皮肉にも、松田直樹の「存在感」がいかに重要であるかを知らしめる内容となってしまったのだが、このチームがJ2昇格(正しくは新規参入)するためには、松田に頼らなくても、しっかり勝てるチームにならないと… と書き終わったあとに「松田倒れる」の情報を聞かされました。

そして本日13時06分、群馬県が輩出した偉大なるフットボーラーは天に召されることに…

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チームを牽引してきた松田直樹はもういない…
しかし、残されたチームに立ち止まっている時間はない。
松田直樹のために涙を流す時間があるのであれば、今週末のSAGAWA SHIGA戦に勝つ準備をしてほしい。そして首位を走るSAGAWAに勝って、「オレ達、マツがいなくてもしっかりやれます!」っていうことを松田直樹に見せる事こそ一番の餞では?

それにしても、もう一度彼の故郷である群馬(敷島)のピッチに立つ姿を見たかったものです…

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松田直樹選手のご冥福をお祈りするとともに、ご家族の皆様に心からお悔やみ申し上げます。