カテゴリー「大学サッカー」の記事

2013年12月26日 (木)

逆戻りしてしまった大学選手権

12月14日から始まった第62回全日本大学サッカー選手権(以下インカレ)だが、今大会はこれまでと違って出場チーム数が拡大し、過去最高となる24チームによる大会となったのだが、それに対して大会日程の方は決勝まで中2日、もしくは1日しかないという、短期集中開催型の大会として行われた。

そして大会の方は、昨日決勝戦が行われ、大阪体育大学が28年ぶり2度目の優勝(※28年前は引き分けのため大阪商業大学との両校優勝であり、単独優勝としては初)で大会は終了したのだが、今回は決勝戦や大会の内容ではなく、「大会日程の組み方」について考えて行きたい。

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まず上記にもあるとおり、短期集中型開催についての是非である。これについては、各チームの監督からも「なんでこんな日程なんでしょうかね?」と苦言に近い形で試合後に話していたし、決勝に進んだ国士舘大学は準決勝で新村、平松という2トップが2人とも負傷交代となってしまい、結局決勝では新村は欠場となってしまい、強行出場した平松もとてもではないが試合が出来る状態ではなく、22分で交代を余儀なくされるなど、過密日程が仇となってしまった感を拭えなかった。

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仮に決勝のスケジュールが例年どおり、1月4日以降であれば、両チームのコンディションは間違いなくよくなっていたはずだし、ケガの回復も見込めたはずである。ただ、過密日程ということにフォーカスを当てるなら、じゃあ「総理大臣杯」はどうなんだ? という話にもなる。あちらはこの大会とは違って「真夏」という、より厳しいコンディションの中でほぼ中1日という日程の中で行われており、厳しさという点では、インカレ以上のものがある。

しかしだ、「夏の王者」という大学タイトルの一つではあるものの、どのチームもシーズンを通しての「成果」が試されるインカレの方に「重み」を置いていることは否定出来ない。例えばここ4年間、他校がうらやむタレントを擁しながらも、インカレ出場を逃し続けて来た流経大の中野雄二総監督は、シーズン当初から「優勝は出来たら嬉しいが、まずはインカレ出場権を得られる粘り強いチームを作りたい」と語るなど、多くのチームにとって大臣杯に関しては、「到達点を目指す過程の一つ」と捉えている。

だからこそ、出場チームを増やし、試合数も増えることになったこの大会を、本当にグレードの高い「大学版チャンピオンズリーグ決勝トーナメント」にする必要があったのだが、結果的に発表された日程は大臣杯同様の短期集中型開催であり、学連側は本当にこの大会を質の高いものにしたいという意識があるのか? と疑ってしまうぐらいだった。これであれば、まだ例年通りの開催の方がまだマシであったし、本来なら14日に1回戦を組み、2回戦を21日、ベスト8を23日、準決勝を28日、そして決勝を1月5日以降とすべきではなかったのではないだろうか?

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まあ、関東の試合会場はいろいろな大会が入っていることもあり、なかなか会場を抑えにくいという問題もあるので、その点を考慮すれば今回の日程を全否定することも出来ない事実もあるのだが、もう少し粘り強く話を進めて「選手のコンディション重視」での大会日程を組めなかったのかを、もう一度反省してほしいところでもある。

そしてもう一つ、選手のコンディションだけではなく「有料イベント」をやるということを、学連側がどこまで本気で考えていたのか? ということである。

「大学サッカー」という学生が主となる有料イベントだが、別に学生だけが見に来る大会ではない。普通にサッカーが好きな人、そして学校のOB関連など、さまざまな「一般層」いるわけなのだが、それらの人にとって、土日や祝日はいいとしても、平日の昼間に試合を組んで、果たしてどれだけの人が会場に来てくれるだろうか? 「人が来やすい曜日、時間でやること」が有料イベントの鉄則なのだが、それを度外視した今大会。結果として18日に行われた2回戦では西が丘では661人(第一試合)は入ったものの、その他の会場では200〜300人台と低調な数字で終わり、ベスト8が行われた20日の2会場の第一試合はそれぞれ200人台という動員で終わっている。

さらに、インカレの決勝に3万人を動員しよう! という運動はここ数年引き続いて行われているのだが、今年の「12月25日、15時キックオフ」という日程が発表されたときに、これは無理だろうと予想したのだが、結果的に決勝の動員は9053人で終わってしまい、昨年どころかここ数年の決勝の動員数の中でも悪い部類で終わってしまった。

この数字の結果に対して、じゃあカードが大体大ではなく、専修や明治だったらもっと違っていたはず! という意見もあるだろう。確かに今回のカードよりも動員は多かったであろうと思うのだが、どのカードにしたところで、この日程で3万人集まるなんて到底思えない。

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この日しか国立競技場を抑えられなかったのか、それとも意図的に「聖夜」を選んだのかはわからない。ただ、選手にとっても見に来る観衆にとっても「やりやすい」大会にしなければ、いつまで経っても「マイナー大会」から抜け出せない。以前の大会でも同じことを書いたと思うが、学生同士が「どうしたら盛り上がるか?」を論議することは素晴らしいことだと思う。だが、その論議を重ねる中で、まだまだ「学生視点」で意思決定していることが多すぎると感じるのだ。

確かに大学生のスポーツだが、有料スポーツイベントなのだから、学生だけではなく大人も子供もさまざまな客層が集まるのである。だからこそ、集客しやすい日程、時間でやることは「興行」として大前提となってくるはずなのだが、今大会の決勝はその前提から大きく逸れてしまっていた。

また、今大会の決勝戦キャッチフレーズに「あたなはこの瞬間を、誰と過ごしますか。」という言葉がつけられているが、正直クリスマスの日の夕方に、わざわざ大学サッカーの決勝があるから、国立まで見に行こうよ! という大学生がどれだけいるんだろうか? と、一般論的に思ってしまうのだが…

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そしてもう一つ、優勝した大体大の坂本監督から出た言葉はとても印象的であった

「昨日まで学校は授業だったんですよね。そういった中で学生は(大会のため授業から)抜けてしまっているのですが、昨今では『何人Jリーガーが生まれた』とかばかり話題になっていますが、私は学生の本分は『学ぶこと』だと思っているんです。

だからこそ、そういう意味を含めて我々の仕事は選手たちをいいサッカー選手に育てることもありますが、その以前として教員として学生をしっかりとした大人に育て、教員や指導者に育てて行くるとも重要だと思っています。まあ、勝てたから偉そうに言う訳ではないですが、(今回の日程について)学生の大会の域からはみ出しているとも思っています」

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試合の内容や選手の力量から考えれば、天皇杯に続く質の高い大会でありながらも、盛り上がりという面では、高校サッカー選手権には遠く及ばないこの大会。1回戦からJのスカウト陣だけではなく、JFLや将来的にJを目指すクラブの監督やスタッフが積極的に視察に来るなど、即戦力の見本市ともいえるこの大会。そんな大会を、もっと価値あるイベントに成長させて行くためにも、学連側は「今年の失敗」をよく分析し、どうすれば大きなイベントになるかを、もっともっと考えて欲しいと思う次第である。

2012年1月 7日 (土)

改革が望まれる大学選手権

早いもので、新しい年となって今日で7日目。元旦に行われた女子選手権ではINACレオネッサ神戸が新潟レディースを破り連覇&年間2冠を達成。そしてそのあとに行われた「史上初」の2部勢同士の天皇杯決勝はFC東京の優勝で幕を閉じた。しかし、正月のサッカー界と言え高校サッカーを忘れることが出来ないだろう。そして大会だが、5日に準々決勝が行われ、大分、市立船橋、尚志、四日市中央工業がベスト4に進出。いよいよ、本日12:05から準決勝が始まる。

年末から年始にかけて、サッカー界では大会がいくつも続いていたのだが、その中で今回で60回目と伝統がありながらイマイチメジャーになれない全日本大学サッカー選手権の決勝戦が、高校サッカー準々決勝の同日(5日)に国立競技場で行われた。

決勝は奇しくも関東大学サッカーリーグの優勝(専修大学)、準優勝(明治大学)チームの対決となったが、今大会ベスト4の顔ぶれ(専大、明大、慶大で残る一校のみ東海の中京大)、そしてユニバーシアード代表選手に輩出した数(20人中19人)、さらには現時点でJリーグ入りが内定している大学生43名のうち、7割以上にあたる31名が関東大学リーグ所属校から出ているなど、今年は例年以上に関東の力が突出している年であったと言えるだろう。

決勝戦の内容については、やや時間が過ぎてしまったこともあり、あっさりとだけ紹介していきます。

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関東リーグ前期での対戦は0-4と明大に完敗を喫した専大だが、チーム力をアップさせた夏合宿、そして自信を深めることとなった夏の天皇杯予選を経て、チームは大きく化けることとなる。そして後期の対戦では、自慢の攻撃力が冴え渡り明大から大量5得点を奪い圧勝。前期の上位校だった早稲田、流経、筑波が勝ち点をなかなか伸ばせない中で、専大は最後まで勢いが衰えることなく、ついには優勝を勝ちとった。

その勢いをそのままに大学選手権に乗り込んできた専大は1回戦、準々決勝で自慢の攻撃力を爆発させ、準決勝の中京大戦でもスコアは2-0であったが、中京大に手も足も出させない完勝劇でついに決勝へコマを進めた。

それに対して、リーグ戦序盤は噛み合わないチーム状況に苦しんだ明大だが、中盤での守備が整備された総理大臣杯以降は安定した力を発揮し、最終的にリーグ戦は2位でフィニッシュ。専大ほどの勢いはないが、選手個々の確かな実力と安定した試合運びを武器に、2年ぶり3度目の大学王座を狙った。

ゲーム内容に移りますが、前半は明大の素速いプレスの前に専大攻撃陣が思うようにボールをキープすることが出来ない展開が続く。明大のプレスだが、ボランチの宮阪がキーマンとなるのではなく、実はFWの阪野なのである。素晴らしい運動量で相手がボールを持った瞬間にプレスを掛けに行くのだが、阪野が動けばその位置に近い選手もサンドしにいく。そしてプレスを掛けにいった2列目の穴を三田、宮阪が埋めるという実にスムーズな連動が明大サッカーを支えているのである。

この連動した動きに手を焼き、前半はあまりいいところを出せなかった専大だが、後半に入ると1トップ+2シャドーの3人、そしてゲームをコントロールする町田、庄司の動きが冴え渡りだしていく。まず試合を動かしたのは、専大躍進の立役者でもある2年生の長澤和輝である。ペナルティエリアやや外で町田からボールを受けると迷わず右足一閃。これが見事に決まると、その後は専大が目指す「速く、激しく、美しく」という攻撃サッカーが爆発。

正直に言えば、リーグ後半戦の戦いを見ていれば明大が勝つということはあまり予想出来なかった。いや、今の専大はどの大学にも負けないだけの強さが備わっていたと見るべきであろう。大学選手権史上で、これほど1回戦から決勝まで圧倒的な強さを見せつけて優勝したチームがあったであろうか…

2部から昇格し、当初は1部残留が目標であったチームが、いつしか優勝に変わり、そして最後には大学日本一の座まで獲得。さて、今年の専大のキーワードだが、「初志貫徹」といったとっころではないだろうか? なかなか勝ちきれなかった前半戦。元々攻撃力はあったのだが、守備面で不安のあった専大。そんな時にこそ、チームを立て直すためにも「守備的戦術」を取りたくなるものだが、源平監督は「関塚さんが作った攻撃的サッカーをここでもやり抜きたい」と、攻撃的姿勢を変えずにチーム力をアップさせてきたのであった。

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ということで、簡単に決勝戦などを振り返りましたが、内容的にはおもしろい決勝戦であったのですが、観客動員という点では非常に不満の残る結果でもあり、これこそが大学サッカー界で改善して行かなければいけない点でもあると感じた。

決勝戦の観衆は14,134人と大学選手権の決勝としては過去最高の動員となった今大会。しかし、当初は「3万人動員」を目指し、学連スタッフもあの手この手を考えてこの大会をアピールしてきた。これまで、1万人すら夢であった決勝戦だが、今回はあともう少しで15,000人というところまで来たことは、素晴らしいと思うし、スタッフの努力の結晶であることも認める。

しかし、同じ正月に行われている大学ラグビーや箱根駅伝に比べて極めて注目度が低いことはどうしても気になるところ。また、同日に行われた高校サッカーは翌日の新聞紙上でも大きく取り扱われていたのに対して、大学の決勝は本当に小さなスペースのみだった。

そんな現状を打破するために、学連スタッフはいろいろな形で招待券を配布したり、JUFA GIRL企画などを打ち立てて大会を盛り上げようと頑張ってきた。しかし、今のやり方だけでは、あくまでもサッカー界や学生界の「内側」だけでの活動に過ぎない。インカレという大会を盛り上げ、そしてメジャーな「ソフト」としていくためには、もっとメディアを活用したり企業などとタイアップして露出を増やしていく必要性があるだろう。

高校サッカーや箱根駅伝は日テレが長い年数を掛けてブランド力のあるソフトに育ててきた。また大学ラグビーは大きなバックがある訳ではないが、伝統的に根強い人気を保っている。それに対して、サッカー大学選手権(インカレ)は目立ったメディアのサポートはない(※一応、テレ朝系列で1/8の24:45に放送される「Get Sport」内で放送されるが、決勝や大会単体での生中継はない)。媒体での紹介や取り扱いも少ない、さらには正月の大きなスポーツ大会に挟まれて注目度が低くなっている現実もある。

また、ラグビー側は一大ブランドである「早慶明」が揃って準決勝を前に敗退してしまったが、それでも準決勝は16,377人の動員を記録。スタッフの努力は認めるが、集客が見込める早慶明不在のラグビー準決勝の動員に届かなかった事実をしっかりと受け止める必要があるはずだ。→1月7日19時追記:本日行われた高校サッカー準決勝の観客動員は22,201人(第二試合)でした。

ここ数年、1月5日、国立決勝が定着化している大学選手権決勝だが、5日とは一般の方でいえばすでに仕事が始まっている日であり、なかなか観戦しにくいところでもある。正月の国立競技場のスケジュールから考えて5日ということなのであろうが、やはり平日の昼間開催というものはどうしても集客に苦戦するものである。そして大学選手権のスケジュール的なものだが、毎年準決勝から決勝までが10日以上空くのである。もし、大学選手権をもっと集客を伸ばしたいのであれば、平日の昼間開催は改めるべきであり、日程的なものも改める必要性があるだろう。やはり、日程が空いてしまうと選手の調整も難しくなるし、さらには観客側の関心度も薄まってしまうもの。

例えば、今年の準決勝が25日であったこと、そして国立競技場のスケジュールから考えて、31日決勝というプランで開催されていればもっと集客できたと考える。年末の国立だが、女子選手権準決勝、天皇杯準決勝、高校サッカー開幕戦などが続き、年明けは天皇杯決勝、大学ラグビー準決勝・決勝、高校サッカー準決勝・決勝が続き、土日にサッカーの大学選手権が入り込むスキがなかなかない。であるならば、大晦日である12月31日開催はどうだろうか?

これであれば、準決勝から中5日と短すぎず、空きすぎずで程よい日程。さらには、正月から始まる各種スポーツの大きな大会の中で埋没することもない。もし、12月31日開催にして、困るのは天皇杯決勝の設営準備をする某S社ぐらいなものではないだろうか?(笑)

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今年も多くのJリーガーを輩出し、日本独自の育成機関として重要性を高めている大学サッカー界。もっと日本サッカー協会やメディアが主導して、この大会の知名度を上げていかなければならないと感じるのだが、果たして来年度の大会がどうなるのか…

5日開催にこだわるならそれはそれでいいのだが、それであればあくまでも、まだ冬休みの「学生のためのイベント」から抜け出すことは難しいと考える。日程改革を含めて、大学選手権が今後、どう変わっていくか見守っていきたい。そして自分自身も大学サッカーが注目を浴びるように微力ながら協力していきたい。

2011年11月28日 (月)

専修がフロンターレになった日

今年の日本のリーグ戦は、下から上がってきたチームに勢いがある。トップリーグであるJ1はJ2優勝して昇格してきた柏レイソルがここまで首位。JFLでは地域リーグから上がってきた長野パルセイロが優勝の可能性を残したまま現在2位。そして関東大学サッカーリーグでもこれと同じように、(2部優勝を経て)昇格してきたチームが優勝争いに絡んでいる。

その名も専修大学サッカー部。

前期はリーグナンバーワン(タイ)の18得点を挙げ、攻撃力の高さを見せつけたが、その反面でリーグワースト(タイ)の18失点と、奪った得点をすべて帳消しにしてしまう守備の拙さが祟ってしまい、3勝3分3敗という成績で7位どまり。しかし、2部から昇格してきたチームの成績としは決して悪くはなく、後半戦は守備面で成長できれば化けるかも知れないと感じさせた。そして6月で前半戦が終了し、8月末の天皇杯東京都予選で再び専大を見たときには、チームが大きく変貌していたのである。

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学生の部決勝で前期好調だった早稲田に勝利して、波に乗る専大は準決勝でJFLの横河武蔵野と対戦。そしてこの試合こそ、今の専大の流れを決定づける試合となった。武蔵野はベストメンバーで挑んできたのだが、そんな相手にも臆することなく専大は立ち向かい、終始ボールを支配して人もボールも動くサッカーで武蔵野を圧倒。終わってみれば専大が大量6得点を奪って圧勝。そして天皇杯出場権を賭けて町田ゼルビアとの対戦を迎えたが、ここでも一歩も引けを取らない戦いを見ていく。

Jリーグを目指す町田を相手に、120分間互角の展開を繰り広げ、ついにはPK戦まで試合はもつれることとなるのだが、最後は惜しくも敗退。結果的に天皇杯出場はならなかったが、守備面の徹底、チーム力の底上げを狙いとした夏合宿は非常に実りの多い物となり、その成果が実戦で大きくでることとなった。しかしだ、選手は格上に対して善戦しただけではまったく満足していなかった。いや、満足するどころか、「もっとやれたはず、絶対勝てたはず」と、悔しさの方をストレートに口にしていたのだが、その悔しさ、そして勝利への飽くなき執念が後半戦の躍進に結びついていく。

9月にリーグ戦が再開されてからの11試合で7勝3分1敗という好調を維持する専大。そして課題であった守備面も、後半戦はGKが朴、最終ラインが松本ー鈴木ー栗山ー北爪と固定しだしてから徐々に安定。11節順大戦から14節の駒大戦までは、これまでの専大らしく?大量得点は挙げるものの、失点も2と「打ち勝つ」試合が連続して続いたが、15節の流経大戦で3-0と完勝したあとは、20節の慶大戦でPKで与えた1失点のみに押さえ込み、守備面でも完全に覚醒した専大。

7勝3分1敗で得点は29、失点は10。前半戦の9試合で18失点していたチームが、後半は11試合で10失点と、ついに1試合平均1点を下回ることに成功。そして自慢の攻撃力は1試合平均2.63という脅威の数字を叩き出し、ついに首位の座を奪うまでに登り詰めた。2部優勝→1部昇格→そして昇格後即優勝ということすら夢では無くなった専大は、26日(土)、フクダ電子アリーナにて同勝ち点(36)で並ぶ2位筑波大との大一番を迎えたのである。

[専大スタメン]
長澤ーーー大西ーーー仲川
ーーーーー町田ーーーーー
ーーー下田ーー庄司ーーー
松本ー鈴木ーー栗山ー北爪
ーーーーーパクーーーーー

[筑波大スタメン]
ーーー瀬沼ーー赤崎ーーー
曽我ーーー玉城ーーー不老
ーーー上村ー八反田ーーー
ーー山越ー谷口ー田代ーー
ーーーーー三浦ーーーーー

まず驚かされたのが、筑波大のスタメンだった。

風間監督は常日頃「1年生が中盤に入ると(流れについてこれず)混乱してしまう場合もあるので、とりあえずは後ろをやらせてみてチームに慣れさせる」と口にしており、昨年も谷口がCBを経験。そして今年は、車屋紳太郎がその流れでCBを任される機会が多く、ここ数試合は完全にレギュラーとしてCBに固定されてきた。しかし、その彼が今節は出場停止ということもあり、どうメンバーを組んでくるか楽しみであったが、風間監督はなんと3バックを選択。

ただ、風間監督は普段の試合から「オレはね、3-5-2とか4-4-2とか4-3-3とかシステムでサッカーを考えることはしていません。あくまでもね、サッカーというのはピッチ上で選手が何を考えてプレーするかのことだから、システムは形式的なものであってあまり気にはしていない」と戦術論、システム論に素っ気ない感想を語ってくれていた風間監督が、あえて3バックという賭とも言えるプランに出てきた。

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しかし、このシステムは完全に裏目となってしまう。立ち上がりこそ、チャンスを作った筑波大だが、前半5分以降は完全に沈黙。いや、沈黙というか、相手3トップ+トップ下の町田、そして左サイドバックの松本のアタックの前に防戦一方に。

3バックの利点とは、両サイドアタッカー(ウイングバック)が高い位置を取り、相手の両サイドを自陣に封じ込めることが可能となってくるが、ひとたび劣勢に回ってしまえば両サイドは最終ラインに押し込められ、全体のラインもズルズル後退してしまい、いいように相手にやられてしまう。そしてこの日の前半は、専大のやりたい放題が続いていく。

10分にCKから「影のストライカー」となりつつある栗山がヘディングで狙い、完全に決まったかと思われたが筑波大上村がゴールラインギリギリのところでカット。14分には長澤のアタックからチャンスを広げ、最後は松本がシュート。19分には町田、20分には鈴木と立て続けにシュートの雨あられを浴びせていく専大。そして23分、またも長澤のシュートからCKのチャンスを掴むと、ファーで合わせた栗山のヘディングシュートが決まってついに専大が先制。

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まったくと言っていいぐらい、相手に押されっぱなしでシュートどころかチャンスも作れない筑波。5分すぎに玉城がシュートを放った以降は専大ゴール前に近寄ることすら出来ない。しかし、1点を先制されて危機感を感じたのか27分にやっとチーム2本目となるシュートを赤崎が放っていくのだが、結局筑波・前半のシュートはこの2本だけ。しかし、専大は筑波の反撃をまったく許さない。直後の28分、町田の突破からチャンスを掴み、またも長澤がシュート。これがキレイに決まって早くもリードを2点差とする。

その後も得点こそ入らなかったが、町田、仲川、長澤、下田、松本がやりたい放題で、ついに筑波大・風間監督も前半途中、それもあと2分で前半終了という時間に関わらず、再三ピンチを作る原因となってしまった右サイドの不老をベンチに下げ、FW登録の中野を同じ位置に投入。より攻撃的なサイドアタッカーを配置することで劣勢をはね除けたかった風間監督だが、その意図どおりに試合は行かず、なんと後半開始早々から交替で入った中野に代え、CBの古屋を投入し、システムも以前通りの4-2-3-1に変更。

[筑波後半システム]
ーーーーー瀬沼ーーーーー
曽我ーーー玉城ーーー赤崎
ーーー上村ー八反田ーーー
山越ー谷口ーー古屋ー田代
ーーーーー三浦ーーーーー

後半に入ってシステムを普段の形に戻した筑波。これで専大とやり合えるかと思われたが、立ち上がりはまたも専大に押し込まれまたも嫌なスタートとなってしまう。46分にいきなり長澤がシュート。ここは三浦のセーブで事なきを得たがCKのピンチは続く。そしてこのCKの場面でまたも栗山のヘッドが筑波ゴールを襲うがここは枠を捉えきれず。

しかし、立ち上がりの猛攻をなんとか凌ぎきった筑波は徐々にだが、劣勢から普通の試合に引き戻すことに成功。さらには前半は攻撃参加することが出来なかった山越が果敢な姿勢を見せ、ゴール前に顔を出すシーンも増えていく。そして筑波にとってこの日最大のチャンスは53分に訪れた。

左サイドから攻め上がる山越。そして中へクロスを入れると、待っていた赤崎はスルーして後ろでフリーとなった八反田がワンテンポおいてシュート! しかし、このシュートはDF(味方?)に当たってこぼれるが、これに山越が飛び込んでシュート! 決定的な場面を迎えたが、無情にもシュートは枠を逸れていく…

どうしても得点を奪えない筑波。

それにしても、ワントップに入った瀬沼はほとんどの時間で前を向いてプレーすることは出来なかった。やはりストライカーは前を向いたプレーをしてなんぼのもの。そしてもう一人の点取り屋である赤崎も、この日は専大の高い位置からのプレスの前に「らしさ」を出せず終い。

後半8分ぐらいからペースを掴みだし、得点を予感させるチャンスを作りながらも、それを活かせずに終盤を迎えてしまうとかなりイヤな雰囲気が漂い出す。同点に追いつきたいという思いが焦りになり、バランスを崩した形となってしまい、裏に大きなスペースが生まれだしてしまう… そして案の定、ラスト10分を切ったところからは再び専大が鋭い攻撃で筑波ゴールに襲いかかる。後半スタートから大西に代わって玉田が投入されたが、そうも調子がイマイチで周囲との連携もぎこちない。前半は流れるような展開が続いていたが後半は玉田のブレーキもあり、ややペースが乱れてしまった専大。

しかしだ、ここ数試合鉄壁の守りを見せる守備陣が粘り強く対応し、そしてベンチも玉田に代えて東を投入し、打開策を打ち出していく。調子のいいときというものは、1つの策で失敗しても2つ目の策で見事にリカバリーできるもの。そう、この東を投入したことで、再び躍動感が甦った専大。

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75分には長澤がこの日5本目となるシュートを放ち、82分にもCKから筑波ゴールを脅かしていく。さらに86分には松本がシュート! またも決定的な場面であったが、守護神・三浦の好セーブがなんとか筑波を救っていく。だが、ロスタイムに突入して3分、再び町田→長澤の連携で崩されて試合終了間際にとどめとなる3点目をゲット。これで長澤は得点ランキング首位タイとなる12点目を決め快勝劇に華を添えた。

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この試合は今季の優勝を賭けた大一番となるはずの試合だったが、終わってみれば専大の完勝、いや圧勝で終わった。そして専大は勝ち点を39に伸ばし、さらに得失点差で2位明大に9、3位筑波に11と差をつけ、最終節を仮に敗戦で終えたとしてもありえないぐらいの大敗を喫しない限り優勝をほぼ確定的としたのである。

それにしてもシーズン当初、誰がこのリーグ展開、そして専大の躍進を予想したであろうか? 恥ずかしながら私は流経大を大本命に推していた。あれだけのメンバーを揃え、さらには高校時代からの実績もズバ抜けている。ワールドカップを体感してきた選手もいる。オリンピック予選を戦うメンバーもいる。しかしだ、フタを空けてみればノーマークの専大が自慢の攻撃力に磨きを掛けつつ、さらには試合を増していくごとに守備が安定し、実にバランスの取れたチームに成長していった。

そしてこの躍進を考える上で、監督である源平貴久氏の存在を忘れることは出来ないだろう。

確かにチーム躍進の原因を考えれば、ゲームを組み立てる町田也真人、庄司悦大というセンスの高い選手がいたことは見逃せない。そして急成長を果たした長澤和輝、そして最上級生となった松本陽介など、どんな場面でも「勝負」できるタレントが今年は見事に揃っていた。

しかし、タレントが揃っているからと言って勝てるのかと言われればそう簡単ではない。そのタレントや個を引き出す、そして成長させる手腕とビジョンがなければチームは進化していかない。そんな中で、一気に今年華開いた専大のサッカーと言えば、イケイケな攻撃サッカー。そしてその攻撃サッカーはまさしく川崎フロンターレのサッカーそのものであった。

源平監督と言えば、フロンターレの前身である富士通川崎時代に活躍した選手(川崎フロンターレとなって2年目の1998年シーズンで現役引退)であり、現在でも富士通の社員の一人である。しかし、フロンターレとの関わりは今なお続いており、関塚隆氏(現U-22代表監督)が作り上げたサッカーを、大学サッカーというカテゴリーでも体現したいという思いの元、指導を続けてきた。

また、源平監督だけではなくコーチもフロンターレ関係者が在籍しており、その流れからフロンターレU-18出身選手も専大サッカー部の門を叩いている。このように、フロンターレの流れを汲む専大が、3トップ(気味)、そして攻撃サッカーを目指したのは必然でもあった。かつて、我那覇、ジュニーニョ、チョン・テセ、レナチーニョといった蒼々たる攻撃陣を揃えて躍進したチームと、今年の専大は非常にかぶるものがある。そしてボランチの庄司はさしずめ、中村憲剛といったところか?

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また、当初は攻撃力は非常に光る物はあるが、守備に難がある… といったところもフロンターレに似ていた部分だが、こちらも本家同様、力を着けると同時に守備も安定。後半戦において守備の要となった鈴木雄也、栗山直樹のCBはまだ3年生であり、来年も活躍も期待されるところだ。フロンターレ流の攻撃サッカーを植え付けた首脳陣。そして練習から「しっかりシュートを打て!」と厳しく下級生に指導するなど、リーダーシップを発揮した4年生、そしてこの先が期待される数多くの下級生が揃い、実にバランスの取れたチームに成長した専大。

ここ数年の優勝チームを見てみると、どちらかというと最初から「強い」と前評判の高かったチームが優勝してきたが、今年は勢いと成長という、これまでとは違ったキーワードが優勝に結びついた関東大学サッカーリーグ(まだ優勝は決定してはいないが、事実上専大の優勝は決定的)。新興勢力の躍進と同時に、今年は名門校が軒並み大苦戦。上位の常連であった国士舘、中大は下位に低迷し、駒大に至ってはまさかの2部降格と、明らかに大学サッカーの「流れ」が大きく代わろうとしている。

ただ、優勝チームの勝ち点が40を超えないのも、ちょっと格好が付かないので、なんとか最終戦の神大戦は勝って欲しいものだが、源平監督は試合後、にこやかに「間逆(攻撃サッカーと守備サッカー)の対決ですから、簡単な試合にならないでしょう…」と語ってくれたが、なんとか最後はしっかり勝って優勝を決めてインカレに挑んで欲しいものである。

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そして、関塚氏の遺伝子を引き継ぐ専大の攻撃サッカーが、全国の舞台で躍進するところも是非とも見てみたい。

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関東大学サッカーリーグ
第21節 @フクダ電子アリーナ
筑波大学 0-3 専修大学
[得点者]
24分栗山、29・90+3分長澤(専大)
[警告]
79分赤崎(筑波大)
59分玉田、73分東(専大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:筑波大6、専大17
ゴールキック:筑波大15、専大7
コーナーキック:筑波大2、専大8
直接FK:筑波大12、専大15
オフサイド:筑波大1、専大0
PK:筑波大0、専大0

2011年11月16日 (水)

明大・流経、それぞれの明暗

山村(鹿島)、比嘉(横浜Fマリノス)、増田(広島)、中里(横浜FC)と、すでに4人のJクラブ内定者を出している流経大。それ以外にも本日ファジアーノ岡山から入団決定が発表された関戸、上條、さらには当該クラブからまだ正式に発表はされてはいないが、乾もJリーガーとなることが決定(入団内定)している。

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さらには、ここに名前を挙げた選手以外にも、村瀬、征矢、保戸田と言った選手もJクラブのスカウティング陣から高い評価を受けており、プロの世界、またはなんらかの形でサッカーを続ける道に進む可能性は高い。このように、改めて「個」の部分では非凡な選手が多いことを感じさせる今年の4年生。

しかしだ、非凡な才能を持つ選手を多数擁するからと言って「最強のドリームチーム」となるかといえば、そうとは言い切れない。

以前のエントリーで「上り坂、下り坂、まさか」で流経大の流れを表したが、確かに今年の4年生は才能や高校時代の実績という部分では、難波や三門、千明の代に比べれば明らかに上。だが、今の4年生が歴代の先輩たちを超えるような成績を残しているかと言われればそれは誰がどう見ても「No」である。

昨年の失敗を繰り返さない
自分たちはやれる
違う次元のサッカーを見せたい

そう思ってシーズンに入ったのだが、一度歯車が狂いだしてしまうと、なかなか元には戻らない。「まさか」と思った瞬間には、すでに手遅れとなってしまっていたのかも…

そうとしか思えない試合運び、そしてチーム状況が、土曜日のゲームでも顔を出してしまった。

[明大スタメン]
ーーーーー阪野ーーーーー
矢田ーーー岩渕ーーー石原
ーーー三田ーー宮阪ーーー
小川ー丸山ーー吉田ー豊嶋
ーーーーー高木ーーーーー

[流経大スタメン]
ーーー征矢ー保戸田ーーー
ー中美ーーーーーー椎名ー
ーーー関戸ーー村瀬ーーー
川崎ー比嘉ーー乾ーー木下
ーーーーー増田ーーーーー

前節の慶大戦で、久々に比嘉をCBで使ってきた流経大。山村、中里不在の中でも、なんとか勝ち点を拾い、守備面では粘り強さが戻ってきた感もあった。だが、良くなったのはあくまでも守備だけであり、攻撃面では良さは戻ってきてはいない。いいとき時を100とすれば、この日の出来はたぶん30にも満たないような物。ボランチ、攻撃的MF、2トップがまったくと言っていいほど連動出来ない。いや、連動というか、全体の動き出しが悪く、明大の早いプレスの前に関戸、村瀬が思うようにボールをコントロール出来ずチームは後手を踏んでしまう。

さて、対する明大だが、こちらも他校が羨むタレントが揃いながらも、決して満足出来るような戦いが出来てはいない。これも以前から指摘しているが、チャンスを作る回数が多いのに対して、決定力もそうだが、シュートの本数という部分でもこれまでの明大に比べれば物足りない形となっている。昨年は1試合平均2.09(総得点46)だったが、今年は1.72(総得点31)とやはり数字的にも昨年を下回ってしまっている。

いい攻撃がありながらも決めきれず、流れを逸してしまい失点を繰り返してしまう。やはり決めなければいけない場面で得点出来ないと、チームの流れも悪くなってしまうし、失点を喫することも多くなってしまう。そしてこちらも数字がハッキリ出ており、昨年は1試合平均の失点が0.81と1点以下だったのに、今年は1.61と倍増。

確かに、内容を昨年と今年で比較してしまうと、決して満足出来るものではない今の明大。しかし、このような数字がありながらも粘り強く戦い、なんとか順位も3位まで上げてきた。

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さて、不振の流経大を相手に戦う明大は、早い出足で相手の自由を奪い、ボランチの三田が何度もいい形でボールを配球してチャンスを築き上げ、立ち上がりから相手を圧倒。17分には三田が流経大DFの合間をスルスルっと抜け出してシュート! ここはU-22代表GK増田の懸命のセーブで阻まれるが、完全に明大ペースで進んでいく。

ハッキリ言って、何度も明大が得点か? というシーンが続いていくのだが、やはりどうしても決めきれない。今季得点王(現在12得点)の阪野には、乾、比嘉がしっかり着いており、なかなか自由がない。そうなると、2列目の決定力が期待されるところなのだが、ことごとく決めきれない。

そんな明大に対して、流経大はほとんど「流れ」となる攻撃は繰り出せない。しかし、単発ながらも何度か攻め込む形があった。だが単発なのだが、そこは個の力が高い流経大はその少ないチャンスが得点の臭いを感じさせる場面へと変えていく。

そんなシーンで保戸田、関戸のシュートはことごとく枠を捉えられない。39分には、川崎が持ち込んで中でクロス。椎名が中でどフリーで受けてあとは冷静に決めるだけ! という場面を迎えたのだが、なんとここでも痛恨のシュートミス…

これこそ今の流経大そのままだった。相手の出足に引いてしまう→前に出られない→積極性が消える→焦る→自信すら失ってしまう。

前半は明大の決定力不足もあり、スコアレスで折り返すことが出来たが、とてもではないが「勝てるな…」とは予想出来なかった。そして、そんな流れが悪いときにこそ、運もチームを見放ししまう。

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後半立ち上がりの48分、宮阪が中央でミドルを放っていく。当初の弾道はゴールから大きく外れているかと思われていた。しかし、これが比嘉に当たってしまい弾道は大きく変わり、なんとボールはゴールに吸い込まれていってしまった。

これには増田もどうしようもなかった…

アンラッキーな形で流経大は失点。明大にとっても「たなぼた」とも言えるゴールで待望の先制点を奪う。

これで明大の動きがよくなるかと思われた。そして予想したとおり、得点を奪った直後の49分にも岩渕から阪野にいいボールが入ったり、50分には縦1本から阪野が抜け出して決定機を迎えるなど、流れは前半以上に明大に傾きだしていた。だが、今年の明大は試合終盤になると足が止まってしまい、たびたびピンチを迎えてしまう試合が多かったが、この試合でもその面が顔を出してしまう。

あれほどいい出足を見せていた三田も、60分以降は疲れが見え始め運動量がダウン。これに呼応するかのように明大の動き出しだしが悪くなる。そして65分以降は、流経大の村瀬、関戸がボールを自由に持てる時間が増え出し流れは逆転。

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そして1点ビハインドを跳ね返すために流経大ベンチは78分に早稲田、中山を投入してシステムチェンジで勝負に出る。

ーーーーー河本ーーーーー
早稲田ーーーーーーー椎名
ーーー村瀬ーー中山ーーー
ーーーーー関戸ーーーーー
比嘉ー木下ーー乾ーー川崎
ーーーーー増田ーーーーー

このようなシステムに変更し、攻勢に出る流経大。さらにラスト5分を迎えた時点で中野総監督は、乾を最前線に置く形でパワープレーを指示。しかし、この場面でチームは乾を前に出したにも関わらず、それを活かすような攻撃を仕掛けられず、それぞれが勝手なプレーに走ってしまい選手交代やシステム変更の意図を掴みきれず、結局は1点が奪えず手痛い敗退を喫することに。

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内容はともかく、しぶとく戦い抜いて勝った明大は3位の座をキープ。神川監督も「確かに内容は物足りません。ただ、この時期までくれば内容よりもまずは勝利です。やっと、しぶとさが出てきたというか戦えるチームになってきました」と、内容のイマイチさは認めつつも、前半戦に比べて積極性も出てきたこと、そして守備面で辛抱できるようになってきたことに対しては成長を認めていた。

それに対して、敗れた流経大は8位とさらに順位を下げ、数字上はインカレ出場の可能性は残しているものの、3位明大、4位慶大(ともに勝ち点は32)との差が6となってしまい、ほぼインカレ出場は絶望的となってしまった。

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試合後、普段は陽気に振る舞う比嘉だが、高校時代から通じてあれほど落ち込む姿を初めて目にした…

そして試合後のミーティングでは、中野監督は厳しい口調でこの日の試合を振り返り「オレはこのチームがインカレに出ようが出まいがどうでもいいよ。でも、おまえたち、インカレに出たいんだろ? だったら残り試合全部勝つしかないだろ? この後の筑波の試合をよーく見てから帰れ。そして帰ったらそのまま練習だからな」と付け加えた。

何が悪かったのか?
なぜ、空回りしているのか?

一度失ってしまった自信、そして自分たちらしさというものは、そう簡単に取り戻せるものではない。シーズン当初は「最強世代」と言われた(自分もそう言った一人であるが…)流経大だが、らしさを取り戻せないまま「もったいないチーム」で終わってしまうのだろうか?

インカレに出るにはすでに「他力本願」しかない流経大。あと3試合でシーズンが終わるのか、はたまた4年生が「現役」のままで年を越せるのか?

しかし、今の流経大はインカレに出ることよりも、このメンバーだからこそ出来る「素晴らしいサッカー」を残り3試合で披露すべきではないだろうか? 強い、最強メンバーと言われながらも、満足のいくようなゲームが出来たのは前半戦のわずかな試合のみで、後半戦に至っては実力を出すどころか11人の集合体のはずなのに、11人以下の力しか出ていないようなチームとなってしまっている。

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今、やらなければいけないことは、インカレ出場権を得るよりも、「このメンバーだからこそ出来るサッカー」を見せつけることのはず。のこされた時間(試合数)がわすかとなった今年のチーム。ラスト3試合は、悔いの無いようなゲームをして欲しい限りである。

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2011関東大学サッカーリーグ 
第19節 @夢の島
流通経済大学 0-1 明治大学
[得点者]
48分宮阪(明大)
[警告]
15分中美(流経大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:流経大6、明大10
ゴールキック:流経大11、明大13
コーナーキック:流経大5、明大9
直接FK:流経大20、明大4
オフサイド:流経大2、明大4
PK:流経大0、明大0

2011年11月 5日 (土)

流経大が接する三つの坂

いろいろな話の中で「人生には三つの坂がある」という例え話をする方と合うことがあります。ちなみに、三つの坂とは「上り坂、下り坂、まさか」を指すのですが、今回はこの「三つの坂」と流経大サッカー部を照らし合わせて話を進めていきたいと思いますが、まずは「坂」の前に前置き(前史)からスタートしたいと思います。

■前史
1997年まで、プリマハム土浦/水戸ホーリーホックを率いていた中野雄二氏。96年に地域リーグ決勝大会を勝ち抜きチームをJFLに昇格さたが、翌年にクラブはJリーグを目指すために別の監督(三浦俊也氏)を招聘。しかし、中野は指導者としての意欲は失せておらず、後に流通経済大学のオファーを受け8年ぶりに学生(以前は高校生→水戸短大付属高)を指導することとなる。

当時の流経大は今のような立派な施設もなく、茨城県リーグに籍を置くチームであり、とてもではないが強豪と呼べるチームではかった。だが、熱意のこもった指導が選手の心に響き、県リーグ優勝を果たし、参入決定戦にも勝利して就任一年目でチームを初の関東大学リーグ(2部)へ導いた。だが、やはり関東の壁は非常に高く、初参戦となった99年は2部最下位(8位)で終了し、再び茨城県大学リーグへ逆戻り。しかし、ここで厚い壁に跳ね返されたことが、後に「強豪」と呼ばれるチームの下地を作る大事な期間に繋がっていく。

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■上り坂
1999年に阿部吉朗、2000年に塩田仁史といった後にJリーグで活躍する選手が入学するなど、将来性の高い選手が集まるようになり、徐々にチームは力を蓄えていく。この当時、流経大に入ってきた選手も確かに将来性のある選手も少なくはなかったが、実際のところはプロに入れず、関東や関西の強豪大学にも入れなかった(推薦漏れも含む)選手の方が多かった。そんな選手たちは揃って「他校を見返したい」「なんとかプロになりたい」という想いが何よりも強かった。当時はまだ土のグラウンドだった。カテゴリーも茨城県大学リーグだった。しかし、選手は関東の舞台で再び強豪と戦いたいという想いを実現するために努力を続け、2001年秋、再び関東2部昇格を決めた。

関東リーグ復帰した2002年、この年には大学からの「ご褒美」として人工芝のグラウンドが与えられ練習環境が向上。さらには、サテライトチームであるクラブドラゴンズを立ち上げて県リーグからスタートさせた(現在は関東リーグ2部)だけではなく、2004年にはJFL昇格を賭けて地域リーグ決勝大会に挑み、見事に決勝リーグで2位に入り大学勢として静岡産業大学、国士舘大学に続く3校目のJFL入りを果たした。

2005年からトップチームが関東大学1部、2軍がJFL、3軍が関東リーグという図式を確立させ、部内競争はさらに激化。トップに入れなかった上級生や、将来性のある1年生がJFLというプロ・アマ混合リーグで試合を経験することにより飛躍的に能力を高めていき、2008、2009シーズンで関東大学リーグを連覇する原動力をここで培っていく。

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確かに、他校どころかJクラブですら羨む練習環境を持ち、大学リーグだけではなくJFLや関東リーグといった実戦の場を与えられたことが流経大の全盛期を作り出したことは否定しない。しかし、環境だけが流経大を全盛期へ導いた訳ではなく、やはり選手それぞれの努力を見逃してはならない。阿部吉朗にしても、武井択也も三門雄大なども、高校時代には特に目立つ存在ではなかった。また、一度はプロで挫折した難波宏明も、流経大での4年間が彼に輝きを取り戻させ、再びプロの世界へ活動の舞台を移していくこととなる。

エリートよりも「雑草」と呼ばれる無名の選手が多かった流経大。高校時代、大きな栄冠を勝ち取ることは無かったが、どうしても夢である「プロ」になりたいという想いだけは誰よりも強かった。このように、雑草であるからこその「ガムシャラさ」が、常勝・流経大の礎を築いたと言っても過言ではないだろう。

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■下り坂
2008、2009年と関東大学リーグで連覇を飾り、一気に大学サッカー界きっての強豪校に登り詰めた流経大。3連覇のかかった2010年は現ベガルタ仙台の武藤雄樹、水戸ホーリーホックのロメロ・フランク(大学時代はベロカル・フランク)が主力(最上級生)となってリーグ戦に挑んだが、チームは周囲の予想とは反して苦しいシーズンを迎えてしまう。

この年の4年生は首脳陣だけではなく、選手自身にも「谷間の世代」という認識があった。上級生は流経大を強豪校とする原動力となり、常に強烈な向上心と闘争心を持って後輩やチームを牽引。また後輩にあたる3年生(現4年生)は、高校時代に2冠を達成した流経柏の主力の多数が入学し、その他にも山村和也、増田卓也といった逸材が揃い、先輩を追い抜いて2、3年の時点でトップチームのレギュラーに抜擢されるなど、早い段階から将来が嘱望されていた。

強烈すぎる先輩に、高い能力と経験を持つ下級生に挟まれた昨年の4年生。開幕当初は武藤、フランクの他に何人かの4年生がいたが、次第にスタメンから人数が減っていき、最終的には上記の2人と平田達朗(現バンディオンセ加古川)の3人ぐらいしかコンスタンスにスタメン入りしなかった。上級生の少ないチームは、予想したとおり、苦しい場面で踏ん張りが効かず、一度狂ってしまったチームの歯車は最後まで完全に修正されることは無かった。

さらには、この年から流経大を強豪校に押し上げる要因の一つになっていた大学リーグとJFLの自由な入れ替えが出来なくなり、これまでのように調子のいい選手をいつでもトップに上げる、調子が下がり気味の選手を下に落とすということが、定められた登録期間でしか出来なくなったことがチームの混乱に拍車を掛けてしまう。

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そんな時、これまでのチームであれば、強烈なリーダーシップを発揮する上級生(4年生)がチームをグイグイ引っ張ってきたのだが、この年はそこで先頭に立つ選手が少なすぎたのである。エース武藤は、どちらかといえば声を出して引っ張っていくタイプではなく、黙々と練習に励み「オレの背中(姿)を見ろ」というタイプ。また、フランクは陽気な南米人(ペルー)気質のため、リーダーとして牽引するタイプではない。その他の4年生はベンチに入れたり、入れなかったりが続くなど、下級生を引っ張っていくどころか、自分のプレーで精一杯といったところで、とてもではないがチームを立て直すどころではなかったのが実情であった。

苦しい状況を最後まで脱することができず、流経大は3連覇を目指すどころか、1部昇格以来最低となってしまう9位でリーグ戦を終了。さらには、中野雄二総監督は「流経をここまで強くしてくれたのはJFLで戦えたから」とコメントし「大学リーグで4位以内を確保するよりもJFLで残留する方が大事」と明言していたが、願いは叶わずあえなく最下位で終了し、無念の関東リーグ降格となってしまった。(※3軍であるクラブドラゴンズも1部の座を守れず、関東リーグ2部に降格)

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■まさか
ここまで、流通経済大学サッカー部は順調に進化を続け、知名度のない地方大学から一気にサッカー界で知らない者がいないほどの知名度を誇るようになり、さらには「プロ養成所」とまで言われるようになった。

流経大が2度目の2部昇格を目指していた当時は、中野総監督や大平ヘッドコーチが各地の高校にスカウティングに出向いても、選手や指導者(監督)から色よい返事をもらえないこともあった。しかし、今は系列校でもある流経柏が全国的な強豪校となり、そこから毎年のように将来性の高い選手が入学(入部)し、さらには高校選手権やプリンスリーグ、全日本ユースで活躍した知名度のある選手も数多くやってくるようになり、高校時代に優勝や各年代別代表を経験している選手も部内に一気に増えてきた。

そして今年は、流経柏で全日本ユース優勝、高校選手権優勝と2冠を達成したメンバーが最上級生となり、それらのメンバーをベースに上記にもあるとおり、増田、山村といったすでに大学レベルを超越した選手を擁し、今年は「復権の年」と位置づけてチームは1月から始動し、2月に入ってからは積極的にJクラブと練習試合をこなし、調整を続けてきた流経大。

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リーグが始まっても前評判どおり勝ち点を重ね、6試合を終わったところで4勝2分と上々のスタートを切ったかに見えたのだが、6月11日、雨の駒沢で行われた専修大学戦から徐々に歯車が狂いだしてしまう。この試合、不用意な試合の入り方をしてしまい、20分を経たない時点で3点のリードを奪われ、大ピンチを迎える。結局は試合終盤、相手の足が止まったところを畳み掛けてなんとか同点に追いついてドロー(4-4)に持ち込んだが、守備の不安定さが中盤戦に入って来て見え隠れし始めてしまった。

チームの歯車が狂い始めだしたときに、ちょうどU-22代表の試合が組まれており、主力でもある3人が翌週からチームを離れることになると状況はさらに悪化。続く8節の順大戦では0-3、9節の早大戦はなんとか持ち直して1-1のドローに持ち込んだが、どうも調子を取り戻せない。その後の総理大臣杯予選は格下が相手であったこともあり無難に勝ち抜いたが、本大会では準々決勝でそれまで同じように不振に喘いでいた中大に完封負けを喫して痛い敗戦となってしまう。

シーズン当初から、総理大臣杯、リーグ、インカレの3冠を目指すと、比嘉をはじめとした多くの選手が語っていたし、中野総監督も「この年代(4年生)には(タイトルを)取らせてあげたい」と語るなど、選手にも首脳陣にも「やれる」という想いと手応えはあった。確かに、リーグ戦前期の中盤戦以降は流れが悪かった。だが、一発勝負のカップ戦ということで、気持ちをリセットして挑んだはずなのだが、準々決勝での中大戦は、これまでの中大とはまったく違うカウンター中心の戦法に後手を踏んでしまい「まさか」の敗戦。

早くも3冠の夢が消えてしまった流経大。しかし、主力数名の選手はユニバーシアード代表候補に選ばれていることもあり、休む間もなく調整が続き、最終的には増田、山村、比嘉、椎名、中里、河本の6名が代表に選出。そして代表スタッフに中野総監督、大平ヘッドコーチが選ばれていることもあり、流経大は今年の夏合宿をユニバ代表と同行する形で中国で行うことを決定。

かくして、トップチーム(大学リーグ)と流経大FC(関東リーグ1部)のメンバーもユニバ応援&合宿の旅となったのだが、結果的にこの遠征こそが今の流経大の不振を作ってしまったと言えるだろう。

どのチームにとっても、夏合宿というものはチームにとって重要な物となっている。前半戦でどんなにいい成績を残そうが、夏にしっかりとした積み重ねが出来なければ後半戦は失速してしまう。そして流経大の合宿メンバーだが、慣れない中国という地に悪戦苦闘が続く。体に合わない水に食事、用意した練習グラウンドの環境もお世辞でも良い環境とは言えず、練習試合に組んだ相手の実力がかなり適当だったりと、チーム力がアップ出来たとは言えない合宿(遠征)になってしまった。

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さらには、ユニバで優勝は勝ち取ったものの、代表選手たちには休む間もない状態が続き、帰国直後には天皇杯予選も待っているという超ハードスケジュールで疲労も極限に達してしまい、それぞれの選手がいいコンディションを維持できなくなってしまう。そんな中で9月2週目から大学リーグの後半戦がスタートするが、ここで素晴らしいスタートダッシュを飾ったのは専修大だった。前期は素晴らしい攻撃力を見せたものの、守備に難があり、まだまだ発展途上のチームという感だった。しかし、内容の濃い夏合宿を経て、天皇杯東京都予選準決勝の横河武蔵野戦で6-0と圧勝したところからチームは一気に急上昇。

それに対して流経大は、優勝を争う上でライバルとなる明大と後半戦の最初で対戦したが、完膚無きまでに叩きつぶされて大敗(0-5)。その後もまさかまさかの内容が続き、10節から16節までの成績が2勝5敗と大ブレーキ。さらには14〜16節までの3試合合計の失点数が10と守備陣が崩壊。確かに、12節の中大戦以降、山村は負傷箇所の手術を行ったため、リーグ戦を欠場しているが、それ以外のメンバーはほぼベスト。U-22代表以外でも、チームの中心選手である中里崇宏もJ2横浜FCに入団内定するなど、高いレベルの選手が揃っている。しかし、それでもチームは勝てないのである…

結局のところ、夏合宿で思うようにチーム力の底上げを図ることが出来なかったツケがここに出てきてしまっているのだ。また、負けた試合の中でも、ポゼッションでは相手を上回っていた試合もあり、選手の中では「負けた気がしていない」という気持ちも少なからずあった。このように、チーム全体の底上げ失敗と、レギュラーの中でのちょっとした気のゆるみが不振に繋がり、優勝どころか、このままでは残留争いに加わってしまうかも知れないところまで落ちてきてしまった。

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これだけのメンバーが揃いながら、今の成績は誰が予想しただろうか?

昨年のメンバーは「自分たちの代は強くはない」というやや消極的な気持ちがあり、これが最後まで抜けなかった。それに対して今年のメンバーは「絶対にやらなければいけない」という気持ちが強すぎること、そして高校時代から含めて「負け続ける」ということに不慣れでもあることが気になってしまう。

確かに合宿でのチーム底上げに失敗したが、それでも揃えている選手層は関東随一であることは間違いない。また、山村がいないから勝てないというのではなく、私は中里のコンディションが戻らないことが不振を極めている原因だと思っている。

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世間的には中里の知名度は山村に比べて全然低い。しかし、流経大にとって中里は山村以上に大きな存在でもあるのだ。何度か山村がボランチに入る試合もあったが、決していい流れを作り出せず、お世辞でも機能しているとは言い難かった。その答えとしては、今年の流経大のサッカーとは中里の動きをベースに作られているからである。だからこそ「中里の出来次第」そして「中里の存在の有無」がチームの勝敗に大きく左右しているのだ…

さて、そうは言っても今の流経大は中里も山村もいない。そんなチーム状況の中で、その代役を次世代を背負って立つ椎名伸志が担わなければいけないのだが、17節の駒大戦はやっと流経らしい形を作り出し、苦しみながらも13節以来の勝利を飾り復調の足がかりを掴んだと言えよう。

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本来は今年のチームは間違いなく優勝できる実力を持っているのだが、「まさか」が続き過ぎてしまい、なかなか泥沼から抜け切れてはいない。しかし、負けた試合において「まさか」と感じ続ける(言い続ける)ようでは目標である優勝は遠のいてしまうと言えるだろう。まさかとは気のゆるみや、そんなはずじゃない…という想いから来るものだが、結局のところは「慢心」があるからこそ出てくる言葉でもある。

やっとこれで勝ち星先行(7勝4分6敗)となり、インカレ出場権を再び射程距離に捉えたが、この日のような積極性、そして攻守にわたる集中力を持続しなければ再び泥沼に戻ってしまう可能性もある。明日リアルホーム(流経大グラウンド)で行われる慶応大学戦は非常に重要な試合となるだろう。

「まさか」という言葉を、封印出来るようになれば、間違いなく評価通りの実力を発揮できるはず。下り坂、まさかと続いてきた流経大だが、再び上り坂となっていくことを期待したい。

2011年10月30日 (日)

明大が示した今の力と妥当な順位

2009シーズンはインカレを制し、昨シーズンは3年ぶり3度目の関東大学王者となった明治大学。ジュビロ磐田に入団し、すでにレギュラーとして活躍している山田大記と小林裕紀、そしてジェフに入団した久保裕一など、実力を兼ね備えた4年生が揃い、現在、最上級生として活躍している高木、丸山、宮阪など多彩なタレントを擁し、まさに黄金期と呼べる強さを見せた明大。

ここ数年、大学側の手厚いバックアップ体制と神川明彦監督のマネジメント力が功を奏し、一気にリーグを代表する強豪チームに成長してきたが、山田を筆頭とした黄金期を支えたメンバーが卒業した今年がある意味で「真価」の問われる年でもあった。確かに、昨年の山田や小林のような飛び抜けた存在はいないものの、上記でも取り上げた3人以外にも豊富なタレントを擁しており、さらには松藤正伸(FC東京U18)、矢島倫太郞(浦和ユース)、石原幸治(市立船橋)といった将来性の高い1年生が揃っており、今年も優勝戦線に絡んでくるかと思われた。

だが、開幕から3試合連続無失点と攻撃陣が噛み合わず、苦しいスタートとなり予想もしなかった最下位スタートからシーズンが始まっていく。そんな「最悪スタートの象徴的な試合となってしまった3節の順天堂大学戦では、試合後の神川監督はこれまでの試合で見せたことの無いような怒りを見せ、試合に出た選手だけではなく部員全員を集めてカミナリを落とした。そして続く4節の駒大戦では、気持ちがしっかり入ったゲームを見せ初勝利(3-0)を挙げると、チームの調子も上向きとなり夏の総理大臣杯では2年連続でベスト4を果たす。

9月から再開されたリーグ戦でも連勝スタートとなり、完全に調子が戻ったかと思われた明大だが、12節の専大戦で2-5と大敗を喫すると、その後は勝ちきれない試合が続き4試合勝利から見放され一時はインカレ出場権を獲得できる4位以内に突入したものの、再び順位を7位に下げてしまった。

前置きが長くなってしまったが、イマイチ波に乗れない明大は降格圏に低迷する国士舘大学と西が丘で対戦。そして神川監督は不甲斐ない戦いを続けるチームに渇を入れるため、チームの柱でもある宮阪政樹を外すだけではなく、リザーブマッチで好調をアピールしている1年生の石原をスタメンに抜擢してきたのである。

[明大スタメン]
ーーーーー阪野ーーーーー
矢田ーーー岩渕ーーー石原
ーーー三田ーー楠木ーーー
小川ー丸山ーー吉田ー豊嶋
ーーーーー高木ーーーーー

[国士舘スタメン]
ーーー服部ーー田中ーーー
ー金子ーーーーーー上村ー
ーーー佐藤ーー清野ーーー
瀬川ー宮澤ー大久保ー岩城
ーーーーー本田ーーーーー

明大のキックオフで始まった試合は、2分に阪野の右展開からチャンスを広げ、3分には三田がミドル、7分には右の石原に左SBの小川が切れ込むなど左右の揺さぶりから国士舘ゴールに迫っていく。10分にもロングスローから吉田がヘディングでゴールを狙うなど、いい形で試合に入ったかに見えた明大。

だが、11分に不用意なパスをカットされてピンチを招くなど、時として集中を欠くプレーやボールへのアプローチの遅さも目立ち、攻めてはいるものの厚みのある攻撃とまではいかない展開が続いていく。さらには、カウンターから活路を見いだそうとしていた国士舘の狙いにはまってしまい、16分には縦パス1本から田中の飛び出しを許してしまいピンチを迎える。

悪くはないのだが、良いとも言えないこの日の明大。そんな煮え切らない状況に、神川監督はテクニカルエリアの一番前まで出て「(ポジションの)距離感!」「アプローチ!」と檄を飛ばしていく。すると25分を過ぎた辺りから攻守においてスムーズさ、そして積極性が生まれ始め、29分には矢田がうまく相手DFの合間を抜け出し決定機を迎えるがシュートは枠を外してしまう。CBの丸山からもいいボールが入り出すと、序盤とは違う連動性のある動きからチャンスが生まれだし、35分にゴール前でFKのチャンスを獲得。

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この場面、ボールをセットしたのは丸山だったが、彼はCBであるが正確かつ強烈なボールだけではなく、巻いてくるボールを蹴れる選手。それに対して国士舘GK本田の警戒はやや不用意であった。ベンチの石川コーチからは「直接あるから! もっと壁の位置を考えろ!」と指示が出たのだが時すでに遅し。丸山の放った鋭いシュートは見事にゴールマウスを捉え、ついに明大が均衡を破った。

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前半のポゼッション率は圧倒的に明大。チャンスの数も圧倒的に明大で、終始ペースを握っていたことは間違いない。しかし、ポゼッション率やチャンスの数に対して、シュート数はわずかに5本と決して多くはなく、上記にもある通りの「煮え切らない」前半であったことも否定出来ない事実。対する国士舘だが、明大以上に重傷であることが気になってしまう。守備の徹底を図って来たはずなのだが、マークが甘く何度も危ない場面を作られ、まったくと言っていいほど元気のない展開が続いた国士舘。はたして後半はどう修正してくるか注目したのだが、明大の方の修正が優って後半は前半以上に明大ペースで試合が進んでいく。

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開始直後にボールを奪った石原が素晴らしい突破を見せ、最後は岩渕がシュートを放って後半戦がスタート。直後の2分には相手にCKを許してしまうが、ボールをカットした石原がまたも積極性を見せてチャンスを作り出しCKを獲得。4分にも岩渕の高い位置からのプレスでボールを奪いシュートまで持ち込み、続く5分には丸山のロングボールから阪野が見事な飛び出しを見せ、右サイドからシュート! 決まったか? と思われたがポストに阻まれる。しかし跳ね返りを詰めていた岩渕が押し込んでいい時間帯で明大が追加点を奪う。

リードを2点差に広げ、精神的にも余裕が出てきた明大は、全体のリズムが昨年の「いい時」のような形となり、矢田、石原が頻繁に左右のポジションを変えて相手守備陣に大きな混乱を与え、その隙にボランチの三田が自由自在にボールをコントロールして大きな展開を作り出して国士舘を圧倒していく。

だが、ここで目に付いてしまったことも一つある。ボールを左右に展開し、相手に揺さぶりを掛けてチャンスを作り出す展開は実に素晴らしい。しかし、次から次へとチャンスを作り出してもなかなか3点目が生まれないのである。そう、昨年と決定的に違う点としては、欲しいときに決められるストライカーが不足しているのだ。

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昨年は4年生の山本、久保という2枚看板が揃い、さらには次世代を背負う選手として2年生(現3年生)の山村祐樹が後半戦は爆発してケガで欠場の多かった山本の穴を埋めた。このように、シーズンを通して2トップが機能してきたのだが、今年は軸となる阪野のパートナー候補が現れず、結果的に2トップではなく1トップの4-2-3-1システムにせざるを得ない現実があるのだ。

なでしこジャパンで期待される新生・岩渕真奈の兄である岩渕良太の成長は目を見張るものがあるが、強烈なストライカータイプではなくトップ下、もしくはシャドーと言った存在であり、1年生の矢島倫太郞も同様にそのタイプ。昨シーズンに期待を抱かせた山村は、ケガとコンディション不良が続いて今季はベンチ入りすらままならない状態であり、前期は2年生の野間亮太なども試されたが結果を出せず、結局は1トップシステムに落ち着いて今に至るが、阪野に続くストライカーが現れてこないことこそ、今の明大の乗り切れない原因に繋がってしまっている。

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そして山のようにチャンスを築きながらも決められない時間が続き、次第に選手の運動量が下がってしまい、後半30分以降は完全に国士舘のペースとなってしまう。70分ぐらいまでは実に素晴らしい動きを見せた石原も、次第に疲労の色が見え始めてしまい81分に交代。神川監督は途中までの出来については一定の評価を示したが、90分を通して戦えなかった点についてはもっと成長してほしいと厳しい指摘も忘れなかった。

さてゲームだが、後半35分以降からは国士舘の猛ラッシュが続き、何度も危ない場面を迎えてしまった明大。37分には途中交代の児玉が持ち込んで決定機を迎え、39分にも右からのクロスに飛び込んできた瀬川がフリーでヘディングを放つなど、あわや…というシーンが続出。結果的には国士舘の決定力不足に助けられて無失点で試合を終えることは出来たが、勝っても釈然としないゲームをやってしまった。

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試合後の神川監督は、こちらの予想通りやや厳しい表情のままでゲームを振り返ってくれた。

「4試合勝ちが無かったので、まずは勝ち点3を取れたことは良かったです。メンバーを入れ替えてテコ入れをしましたが、序盤はチームが寝ていたというか動き出しが悪かったと言えばいいのか、非常にテンポが悪くアプローチの遅さが目に付きすぎましたね。内容的には良くなかったですし、コーチに申し訳ありませんでしたが、私が前に出て指示を出させて貰いました。

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今、私はS級ライセンス取得なども重なっており、なかなかチームの練習には顔を出せてはおらず、週1回ぐらいしか見られていません。普段は練習はコーチに任せており、試合当日に顔を合わせる状況が続いているのですが、だからこそ試合を見て客観的にチームの悪いところが見えるようなった気もします。

まあ、前半の途中からアプローチも早くなり流れが良くなったからこそ、丸山のゴールを呼び込むFKを得ることが出来たと思いますが、後半はあともう1点を取れるチャンスもありましたね。結局は、今のチーム状況はまさに順位(6、7位→実際には順大が敗れたため5位に浮上)相当なんだと思っています。

昨年は出来ていたことが今年は出来ない現実がありますが、もっと基本動作のトレーニングを積み重ねていかなければならないし、気持ちの面での充実をもっと高めるなど、今のメイジに必要なことはたくさんあります。コーチの目が行き届いていない面もあるでしょうが、これは部全体を見なければいけない私のマネジメント不足でもありますので、残された試合の中で改善していきたいです」

順位相当に関しては、私が投げかけた質問の中から出来てきた言葉なのだが、試合を優位に進めていても決めきれないところ、さらには足が止まってしまうと流れを引き戻す術がないところが今季の明大を象徴している感を受けたこの試合。現在は順大が敗れたために5位と順位を上げたが、内容的には6、7位と中位にいることが妥当であると感じてしまったのだが、選手それぞれが持っているポテンシャルを最大限に引き出せば、間違いなく首位を走る筑波大と対抗できる力があるのに、それが出来ていない現状がなんとももどかしいところである。

結果的には4試合ぶりの勝利となった明大だが、この先の試合では会心のゲームを期待したいところであり、神川監督がどこまで選手の能力を引き出すことが出来るかにも注目したい。さて、敗れた国士舘だが、ラスト15分では意地を見せたが90分間を通して見れば、あまりの元気のなさに「大丈夫か…」と感じてしまった。エースであり、大黒柱の吉野峻光を欠いている状況とはいえ、前半のシュートはわずか2本と攻撃に関する「手」のなさ過ぎは重傷と言える。また、相手に押し込まれてしまった際に対処する術があまりにもなさ過ぎた。この日、最下位の青山学院大学が流経大に勝利したことで、ついに勝ち点差では並ばれてしまった国士舘。

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昨年は斎藤一行(現新潟育成部コーチ)を柱として、インカレ出場権を得た国士舘だが、今年はまさかの残留争いとなってしまい、「降格」という危機的状況から抜け出せないまま、もがき続けている名門。ただ、上位との勝ち点差もそれほど開いていないこともあり、降格圏から脱するチャンスはあるのだが、この日の元気のなさは非常に気がかりである。

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2011関東大学サッカーリーグ 
第16節 @西が丘
明治大学 2-0 国士舘大学
[得点者]
36分丸山、51分岩渕(明大)
[警告]
56分豊嶋、88分田中恵(明大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:明大12、国士舘10
ゴールキック:明大7、国士舘11
コーナーキック:明大4、国士舘9
直接FK:明大11、国士舘9
オフサイド:明大3、国士舘2
PK:明大0、国士舘0

2011年9月10日 (土)

関東大学リーグ、後半戦スタート

昨日から、総理大臣杯、ユニバーシアード、天皇杯予選などのスケジュール消化のため、しばらく中断されていた関東大学サッカーリーグが再開された。今年は震災の影響もあり、Jリーグ、JFL同様、開幕時期が遅れたことから、例年以上に後半戦の日程は厳しくなっているだけではなく、会場確保も厳しくなり、ここ数年使用していなかった会場や、各大学のグラウンドでも1部リーグが開催されるなど「異例」の日程となっている。

さて、昨日は西が丘会場にて、筑波大学 vs 神奈川大学、早稲田大学 vs 慶応大学というカードが行われたのだが、平日の真っ昼間にやるにはもったいないカードであるなぁ… と。せっかく、集客が見込める早慶戦なのだから、土日にやってあげればいいのにと、やや感じてしまいます。

試合の方は簡単に振り返りますが、第1試合の筑波大学 vs 神奈川大学は、攻撃力の違いを見せつけて4-0と筑波大が神大に快勝。2年連続の得点王を狙う赤崎も、後半戦のスタートで幸先良く2ゴールをを奪い、得点ランク首位(7得点)に躍り出た。

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スコアだけみれば筑波大の快勝と思えるかも知れないが、内容は決して褒められるものではなく、前半は最終ライン、ボランチの位置でのパスミスが目立ち、奪われてピンチを招くシーンが続出。GK三浦の好守が無ければ前半は3-3でもおかしくないゲームでもあり、案の定、前半終了後の風間監督は渋い表情でロッカールームへ。後半に入って監督の「お説教」が効いたこともあり、ミスは無くなったが、監督がやって欲しい「相手の力を利用するサッカー」がほとんど顔を出さない。

あと1本、サイドに軽く展開すれば楽にゴールへの道が開けるのに、無理に中央でのパス交換を選択してしまい、チャンスを潰してしまう場面が続出。ポゼッション率では非常に高かった筑波大だが、シュート本数は前半の7に対して後半は4と数字上でも「拙攻」が続いたことを露呈してしまった。

まあ、後半戦のスタートをしっかり無失点で勝ち切れたことは良かったが、「さらなら上」を目指すには、最終ラインからのより正確なビルドアップが求められるところだろう。

筑波大学 4-0 神奈川大学
[得点者]
3・27分赤崎、32分曽我、63分玉城(筑波大)

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さて、第二試合の「早慶戦」だが、現時点での1位と3位の対戦でもあり、後半戦を占う上で重要なゲームとなったのだが、最後までもつれ合う試合展開となった。

試合序盤は「今季最高では?」と感じる程、素晴らしい出足(出だし)を見せた早稲田。慶応のキックオフで始まった試合だが、鋭い出足でボールを奪うと、白井が右サイド深くまでドリブルでえぐって中へクロス。これにボランチの島田が中に入ってきて頭で合わせて早稲田が先制。

その後も、左サイドの奥井が素晴らしいドリブル突破を繰り返し、チャンスの山を築き慶応を圧倒。そして13分、榎本がドリブルでPA内に持ち込み、マイナス方向にクロスを入れると、今度は富山が右足で合わせて早い時間帯で2点のリードを奪う。完全にペースを握った早稲田はその後もペースを緩めず、富山、奥井がシュートを放っていき慶応を自陣に釘付けにしていく。

相手にペースを奪われっぱなしだった慶応だが、27分に決定機を迎えたのだが、ここは大塚のシュートは枠を捉えられずチャンスを活かせない。そんな慶応は後半に入って「ボールを後ろで落ち着かせたかった」という須田監督の意図のもと、ボランチの松下をCBに下げ、FWの大塚を松下の位置に入れる配置転換を行う。

すると、低い位置でボールをキープ出来るようになった慶応が徐々にペースを奪い返し、しっかりとした組み立てからサイドに散らす「らしいサッカー」を展開。また、慶応が息を吹き返していくと同時に、ハイペースで試合に入った早稲田がペースダウン。62分には、後半から入った風間が反撃ののろしを上げる1点を奪うと、試合は慶応ペースに変わっていく。ただ、この失点シーンだが、松澤のポジショニングが良ければ防げた失点でもあるような…

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そして80分、スルーパスを受けた風間が抜け出しGKと1対1の場面を迎え、ここで早稲田GK松澤が風間を倒してしまい、PA内での得点機阻止で一発退場&PK献上。この日がデビュー戦となったルーキーの松澤だが、ほろ苦いどころか痛恨のデビュー戦となってしまう。ここは河井が落ち着いて決め、ついに慶応が同点に追いつく。ロスタイムを含めた残り14分間、早稲田は1人少ない状況で慶応の猛攻に晒される事となったが、最終ラインが必死のディフェンスを見せ、なんとか2-2のドローのままで終わらせた。

早稲田としては、理想的な形で先制点、追加点を奪って今季最高ともいえる滑り出しを見せたのが、後半に入って失速してしまったことは非常に痛かった。優勝を目指すに当たっては、ペース配分、そして終盤の守備の再徹底が望まれるところ。そして慶応だが、須田監督は試合後「完全な負けゲームでした」と語ったとおり、前半は手も足も出ないといった状況であった。しかし、そんな試合でも粘り強く戦って、ドローに持ち込んだところは評価していいし、この粘りを持続できれば久々のインカレ出場も夢ではなくなってきそうだ。

早稲田大学 2-2 慶応大学
[得点者]
3分島田、14分富山(早大)
62分風間、82分河井(慶大)

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最後に今週行われた天皇杯の結果など、その他サッカー界の話題もろもろを少々。

第91回天皇杯・全日本サッカー選手権 1回戦
9月7日 @鳴門大塚
三洋電機徳島 0-4 高知大学
[得点者]
23・90+2分福本、75分渡部、82分竹内(高知大)

勝者の高知大は2回戦(10/8)にアビスパ福岡と対戦

あと、今週の木曜日にSC相模原オフィシャルHPですでに発表されていますが、同チームが昨年に引き続き「JFA優遇措置」を承認され、10月に岐阜で行われる全国社会人サッカー選手権大会の結果を待たず、第35回地域リーグ決勝大会への出場が決定された。

これについては、全社、地域決勝の際にまた触れたいと思いますが、正直、現時点で関東リーグ2部にて、2位のチームに承認するってどういうこと? と、やや疑問に感じます。

別に相模原が嫌いという訳ではないし、試合を見る限り「十分やれる」ということは理解しています。しかし、優遇措置には「群をぬいて強いチーム」という表記があるのだが、2位という順位は上に「首位」がいるということであり、その時点で優遇を決めてしまうことに違和感を感じてしまうのです。

また、首位を走るエリースFC東京にしても、この時点での発表は決していい気分の物ではないでしょう。自分たちが2位にいるなら、その決定に納得出来るだろうが、自分たちの方がまだ上にいる段階で、JFAから「群を抜いて強い」と認められてしまったのだから…

相模原に対して、優遇措置を認めることには最終的に異論は無いけれど、少なくともあともう少し待って、相模原が自力で首位に立った時点で発表すればいいのに… という感もあります。

今日はこの辺で失礼いたします。

2011年8月25日 (木)

ユニバ5回目の優勝から見る大学サッカーの裏側

中国・深センで行われていた第23回ユニバーシアード競技大会・最終日(23日)にて、日本学生代表チームは決勝戦でイギリス代表と対戦。河本明人、山村和也(ともに流経大)のゴールで2-0と勝利し、3大会ぶりり5度目の優勝を掴んだ。

なお、女子学生代表チームも21日行われた決勝戦に進出していたが、こちらは延長戦の末、中国代表に1-2と惜敗。初優勝を狙ったのだが2大会連続準優勝に終わった(通算3度目の準優勝)。

ということで、どっかのニュースをコピペしてきたのですか? という感じでユニバーシアード・サッカー競技の結果を書きましたが、何分、現地に行ってはおらず、試合も見ていないので今大会については語ることはしません。ただ、日本の「大学サッカー」という、世界的に見ても稀なカテゴリーの進化と存在感は、もっと高く評価されてもいいと思いますので、そのことについて今回は書いていきたいと思います。

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■日本サッカー・アマチュア時代
日本サッカー界がまだアマチュアだった時代(~1991年)は、将来を嘱望される高校生の進路は大学に行くというパターンが多くを占めていた。また、この当時は日本サッカー協会が主導するトレセン制度も現在のような確固たる形で行われてはおらず、読売クラブ(現東京ヴェルディ)のような、育成組織を持つクラブチームの存在が珍しい時代でもあり、ユース年代の育成・強化はもっぱら高校、大学の「部活動」が大きな部分を担っていた。

そんな時代背景もあり、将来を嘱望された選手は、部活動顧問の出身校であったり、知り合いの指導者がいる大学へ進学するという流れが自然なものでもあった(当然ながら、その流れは今でも存在してる)。

しかし、1980年代後半は日本サッカーにおいて「冬の時代」でもあった。日本代表というか、日本サッカー界はプロ化した韓国に大きく差を引き離され、サッカーの人気自体も停滞したままであった。当時、日本の最高峰リーグであったJSL(日本サッカーリーグ)1部でも、招待券を5万枚以上配布しても国立競技場に1万人集めることが難しかった(※古河電工主催試合では招待券10万枚配布したということもあった)。そんな状況の中であるからこそ、大学サッカー(ここでは関東だけに絞ります)も同様に人気はジリ貧状態が続いていた。

リーグ開催もやっと…という厳しい経済状況となっていた大学サッカー界だが、1989年からJR東日本がスポンサーとしてリーグを支援してくれたことにより、伝統ある大会は装いを新たに再スタートを切ったのだが、今度は別の要因により厳しい状況を迎えてしまう。

■プロ元年を迎えて
27年間続いた「日本サッカーリーグ」が1991-92シーズンで幕を閉じ、ついに「プロ元年」を迎えた日本サッカー界。さらにこの年(1992年)の8月に北京で行われたダイナスティカップにて、日本代表が国外大会にて初優勝を飾り、プレ・Jリーグとなる第1回のヤマザキナビスコカップも開催され、これまでには考えられなかった「サッカーブーム(Jリーグブーム)」が巻き起こることとなる。

このように、状況が激変した日本サッカー界。93年から正式にスタートしたJリーグは人気を伸ばす中で、高校生の進路も大きく様変わりし、卒業後にプロの門を叩く者が一気に増加し、将来を嘱望される選手にとって「大学の4年間」は遠回りであるという考え方も大きくなっていく。さらには、「プロになりたい」という気持ちから、大学を中退してプロ生活を選ぶ選手まで現れ出す。それと同時に、大学サッカー界でのスター選手の存在が減少し、一時は大学リーグの存在意義とはなんなのか? とまで言われることすらあった。

Jリーグ発足は、サッカーにこれまで興味の無かった層まで巻き込んでブームとなり、高校サッカーに関しても、Jリーグほどのブームではないものの、安定した人気をキープしていたのだが、大学サッカーは相変わらず脚光を浴びることは少なかった。だが、そんなマイナーな存在に追いやられていた大学サッカーが、脚光を浴びるどころか日本サッカー界に大きな「第一歩」を残すこととなる。

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1995年にユニバーシアードが自国開催(福岡)されたのだが、この大会で日本チームは決勝で韓国を2-0と下し、日本サッカー界として、あらゆる世界大会にて初めて優勝という結果を残したのである。その時のメンバーには、現在SC相模原の代表でもある望月重良をはじめ、斉藤俊秀、寺田周平、山田卓也など、日本代表経験者も含まれていた。そして望月は、後に「大会で勝ちたい(優勝したい)ということは当然でしたが、それ以上にプロで活躍している同世代の選手に負けたくなかった。だからこそ結果が欲しかったんですよね」と語ってくれている。

このように、大学サッカーは脚光を浴びることは少なかったものの、プロ化が日本サッカー界に導入された影響を受け、人気面は別として、実力という部分では着実にレベルアップを果たしていた。

■転機
このユニバーシアードの優勝から、日本チームは2大会連続で結果を残すことは出来なかった。しかし、2001年に行われた北京大会、03年の大邱大会、05年のイズミル大会と3大会連続で優勝を果たし、日本の大学サッカー界は21世紀に入ると、まさに「新世代」を迎えることとなる。

さて、ユニバーシアード大会でなぜ日本は強さを発揮できたのか?

その点を考えてみたいのだが、日本よりレベルの高い国(イタリア、ドイツ、ブラジル、スペインなど)も、この大会に出場しているのだが、日本のような結果を残していない。その点については、強豪国と呼ばれる国々では、有力選手のほとんどはユース年代でトップクラブに活躍の場を移すこともあり、大学でプレーする選手は多くはない。さらには、各国の協会が「大学サッカー」「ユニバーシアード」という存在に重要度を感じていないという現実もあった。

それに対して、日本サッカー界は、Jリーグ、そして日本代表を頂点としたサッカーピラミッドの中で、どのカテゴリーでも世界と対等に戦い、そして勝てるチーム、勝てる選手を育成しようというプロジェクトがしっかり作り上げられ、それが3連覇に結びついていった。

しかし、サッカー協会や大学サッカー連盟がいくら強化プランを進めたからと言っても、それで3連覇出来るほど大会は甘くはない。では、それ以外の部分で大学サッカー界にどんな変化があったのだろうか?

Jリーグ発足当時は「プロ」という言葉に惹かれ、多くの高卒新人選手を生み出したが、その中で満足な成績を残し、中心選手として活躍できた選手は実際にはそれほど多くはない。そんな夢やぶれてしまった選手たちにとって、サッカー以外のことについての知識は乏しく、プロを引退した後の「第二の人生」は楽なものではなかった。

日本という国(社会)は、他の先進国に比べ、やはり「学歴」というものが今なお重要性を持っている国でもある。サッカーだけに打ち込み、高校を卒業してプロの世界に入った選手たちにとって、プロという肩書きが無くなってしまったときに、「大卒」という肩書きの重要性を初めて知る人も多いという。

また、Jリーグブームが過ぎ去り、リーグの観客動員、チームそれぞれの収入も減少し、人気を誇るチーム以外では選手保有数を減らしたり、選手の年俸を下げるなどしてクラブ経営をやりくりする時代を迎えていた。イケイケだったプロ元年当時とは、かなり様変わりしてきたJリーグ。そんな中で選手側は「大学卒業という資格の重要性」「即、プロで通用するかはわからない。だからこそ、4年間大学で鍛えあげたい」と考える選手も多くなり始め、高校生を含めたユース年代の選手の中に「大学進学」という選択肢が再び脚光を集め始めていく。

■大学サッカーが急成長した要因
21世紀に突入し、日本は少子化社会に進んでしまっているのだが、各大学にとって「学生確保」は死活問題に直結することもあり、新興大学だけではなく、歴史と伝統のある大学まで、新入生を増やすためにあの手この手と多彩なアイディアを出し続けている。たとえば、これまではひとくくりに「経済学部」といった学部も、今は詳細な分野に特化した「●●ビジネス学科」と言ったように、学生のニーズにピッタリ合う学科や学部を設立する大学が多くなっている。

そして、もっとも学生をてっとり早く集める手段として良く用いられるのが、「プロのトレーニング施設ですか?」と見間違えるかのような、立派な施設を導入し、スポーツの分野で名をあげることだ。

サッカーではないが、スポーツに特化して一気に名前を挙げたのが、箱根駅伝で強豪校となった山梨学院大学であろう。そして、サッカー界ではなんと言っても流通経済大学がそれにあてはまるはず。このように、いくつかの新興大学が、生き残りを賭ける中で、スポーツ分野に特化しだしたことにより競争が激化し、さらには伝統校にもその流れが波及して、大学スポーツ界の環境整備は一気に進化。今では、Jクラブの選手が「あのグランドやトレーニング施設はうらやましい」と語るほど、素晴らしい環境を備える学校が増えたのである。

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さらには、プロ創生期には「なんとかプロでもやれる?」という選手まで獲得していたJクラブ側も、近年ではシビアに選手を見定めるようになってきている。そんな中で、自前の下部組織で育った選手の中で、大学に「預ける」という流れがどんどん増えてきている。また、ユース組織の選手を大学に進学させるだけではなく、Jクラブ側の指導者を大学側に派遣して、交流を図るケースも増えつつある。

このような流れを受けて、今は完全に見直されつつある大学サッカー。

しかしだ、今の大学サッカー界の成長を支え続けた陰には、信念を持ち続け長年に渡って地道な指導を続けてきた名監督たちの存在も忘れてはならない。

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関東の地から遠く離れた四国という、場所的なハンディがありながらも、全国の強豪大学と対等にやりあえるまでに成長させた高知大学の野地照樹監督。戦術に特化したサッカーではなく、気持ちで戦うことを全面に押し出す駒澤大学の秋田浩一監督。ユニバーシアード3連覇に大いに貢献し、さらには永井謙佑を世界レベルに育て上げた福岡大学の乾 真寛監督。さらには、阪南大の須佐徹太郎監督や、明大サッカー部を復活させた神川昭彦監督など、数多くの名指導者が存在している。そしてもう一人、大学サッカー新世代を作り上げていく中で、絶対に欠かせない存在となったのが、流経大総監督の中野雄二さんであろう。

2007年の話になるが、流経大の中野総監督と大平コーチに、シーズン前に刈谷で行われたJFL合同セレクションの会場で遇ったことがある。その際に「なんで流経さんが来ているのですか?」と質問した際に、両氏はこのように答えてくれている。

「ここに来ている選手って、みんなプロとか一つでも高いカテゴリーでやりたいからここ来ている選手ばかりじゃないですか? でもね、テスト(セレクション)を受けに来ている選手の大半は18歳〜22歳ぐらいの選手ばかり。その年齢であれば、プロとか、JFLとかではなく、サッカー選手としてだけではなく、大学生として勉強しながらプレーしてもおかしくないと思うんですよ。

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ウチは、別にプロを養成するだけでサッカーをやっている訳ではない。当然、プロ選手も生み出していますが、ウチの部の部員のうち、プロになれない選手の方がほとんどです。でもね、ウチの部はサッカーしか知らない人間ではなく、しっかり勉強もさせて、サッカー人としてだけではなく社会人として通用する人間を育てているつもりです。

難波(宏明)のように、一度プロで夢やぶれてしまった選手でも、頑張ればやり直せるんですよ。だからこそ、そういった気持ちでやり直そうとする選手がいるかもしれないので、今日はこのセレクションを見に来たんですよ」

ただ単純に、才能がある選手を育てるだけではなく、一度はプロで挫折してしまった選手にまで目を向けていた中野監督や大平コーチ。そんな流れだが、今は中京大学が積極的に元Jリーガーだった若い選手を迎え入れるなど、大学のサッカーはこれまでとは違った役割も担おうとしているのだ。

このような「流れ」というものは、結果が全てのプロでは到底出来るわけがない。そして、信念と思いやりを兼ね備えた指導者が揃ったことに、抜群の育成環境を手にした大学サッカー界は、今や日本サッカー界に欠かせないカテゴリーに成長したと言えよう。

■問題点もあるのだが…
しかし、育成機関として進化する大学サッカー界の存在を、世界基準の流れからは逸脱していると考える人も少なくはない。

世界的に見れば、大学サッカーが育成において大事なカテゴリーになっていることは確かに異色である。強豪国では、大学は学位を取りに行く場所と考えられており、選手を育成する場所とは捉えられてはいない。また、選手はクラブで育てるものであるという考え方であり、選手はクラブを大きくする「大事な財産である」という考え方がスタンダードでもあるのだ。

ただ、ここでは進化する大学サッカーの話を扱っているので、Jクラブの育成方針や、問題になっているトレーニングコンペンセーション制度に関しては割愛させていただきます。なお、トレーニングコンペンセーション制度は今後、取り上げたいとも思っております。

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■まとめ
このように、日本サッカー界において、大きな役割を担うようになってきた大学サッカーであるが、賛否があることは確かであり、育成補償制度など、もっと考えていかなければいけない問題がある。しかしだ、その話は別として、日本という学歴文化がいまだに根強く残る国にとって、大学サッカーが進化していくことは決して悪いことではないと考えるのだ。

Jクラブとしても、本来なら選手を自前で育てたいのだが、サテライトリーグが事実上の廃止となった今、若い選手を育成、そして成長させる機会が乏しくなっている現状がある。大学側としても、少子化が進んでいくこの先、学校を維持していくためにも「起爆剤」が欲しいし、広報活動の一環として効果が見込めるスポーツには力を入れていきたい。だからこそ、才能のある選手を「我が校へ」という気持ちも強い。さらには、人生の中で現役として活動できる時間が短い選手たちにとって、大卒という資格があることは、第二の人生を生きていく上で大きな武器となるはず。

これら3者の思惑が絡み合い、成長を続ける大学サッカー界。世界の育成スタンダードからは、かけ離れているかも知れないが、別に世界と同じようにする必要もないし、その国の文化というか風土の上にこの形が熟成し出してきているのだから、私個人としては今の流れは悪いものではないと考えている。

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そんな中で、2大会優勝から遠ざかっていた日本チームだが、中野監督は昨シーズンから各地域の大会をまわり、選手をその目で確かめ、この大会に向けて準備を続けてきたのだが、メンバー的にもチーム的にも、自身が指揮を執る流経大をベースとしていたこともあり、「負けられない」というプレッシャーは何よりも強かったはず。しかし、そんなプレッシャーをはねのけ、見事に優勝した日本チーム、そして中野監督には心からおめでとうという言葉を捧げたい。

別にね、日本の育成年代のあり方が、世界スタンダードじゃなくてもいいじゃないか? と思うわけですよ。日本は日本の「らしさ」で進化していけばいいのだから…

2011年7月 9日 (土)

総理大臣杯決勝は中大vs大体大

本日14時から大阪・長居のキンチョウスタジアムで「大学界・夏の王者」を決める、第35回総理大臣杯/大学サッカートーナメント決勝戦が行われるが、今回は1回戦から波乱が続き、大会前はきっと誰も予想しなかったであろう「中央大学 vs 大阪体育大学」という決勝戦が実現。

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そんなことで、1回戦から簡単に大会を振り返りたい。

今大会はU22代表の3人をはじめ、豊富なタレントを揃える流経大、昨年からのメンバーも多い東海1位の中京大、関東大学リーグで中盤戦以降に調子を上げてきた明大、関西前期で2位の桃山学院大、四国の雄・高知大、関東前期で首位に立つ早大が優勝候補と目されてきたが、明大以外は1回戦から厳しい戦いとなってしまう。

流経大は比嘉をケガで欠いたものの、山村、中里を今季初めてボランチで併用する形を採用し、ゲーム序盤から支配して25分に関戸が先制点を奪う。しかし後半33分、相手ミドルシュートが人に当たってコースが変わるという不運もあり、同点とされてしまう。同点となったあとは、仙台大の徹底した守備の前に手を焼き続けた流経大は最後まで決定打を打てず、からくもPK戦で2回戦にコマを進めた。

また、1回戦の注目カードであった中京大 vs 桃山学院大の試合は、序盤は一進一退の攻防が続いたが、27分にCKからこぼれ球を道上が押し込み桃山学院大が先制。しかし中京といえば、終盤からの追い上げ! というイメージがあったのだが、今大会ではその粘りが見えず、後半は相手に完全に押し込まれ本領を発揮できないまま1回戦で姿を消してしまった。

昨年度のインカレでベスト4まで進出し、今年も期待されていた高知大は終始相手を圧倒しながらも「1点」が奪えず、最後の最後で再びカウンターから2点目を奪われて痛い敗戦。早大も退場者を出しながらも、2度のリードを追いつく粘りを見せたがPK戦で力尽き、こちらも1回戦で敗退。

そして2回戦(準々決勝)だが、関東大学リーグの筑波大戦で0-5と大敗を喫した中央大は、あの試合以降から、仕掛けていくサッカー一辺倒ではなく「裏を狙われない」守備的戦術を導入し、それが見事にはまって流経大の良さを消し去ることに成功。そして明大は丸山祐市を中心とした粘りのディフェンスで桃山学院大の攻撃をシャットアウトして、1-0で逃げ切り2年連続で準決勝進出。(その他の試合結果は浜松大3-2国士舘、北教大岩見沢0-1大体大)

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さて、準決勝2試合についてだが、第一試合の大体大 vs 明大の試合はそれぞれのカラーがしっかり出た面白いゲームとなっていく。

明大は丸山が累積警告のため試合には出られず、CBには松岡が起用されるかと思われたが松藤を起用。そして関東大学リーグ戦ではサブ起用の多かった岩渕が今大会は大きく躍進し、この試合でもスタメン出場を勝ち取った。それに対して、チームの絶対的支柱である宮阪はコンディション不良のため、ベンチを暖める機会が多く、丸山、宮阪不在がチームにどう影響を及ぼしていくが気になるところでもあった。

大体大は4-4-2、明大は4-2-3-1で始まった試合は、ゲーム序盤から2トップの1角である渡邉目がけてロングボールを蹴り込み、そのこぼれ球にもう一人のFW山本、そして2列目の田上、松澤が絡んでいくという、非常にシンプルな攻めを仕掛ける大体大がペースを握っていく。7分、8分13分と同じような形からチャンスを作り、19分には明大守備陣の判断ミスから松澤が中盤でボールを奪うと、そのままドリブルで突進。

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ここで明大守備陣は完全に棒立ちとなってしまい、誰も松澤にプレスを掛けに行かない。そんなフリーの状況で松澤は躊躇なく右足を振り抜くと、シュートは一直線でゴールマウスに吸い込まれていき大体大が先制。続く20分から22分に掛けても、左サイドを攻略して分厚い攻撃を見せていく。

先制点を奪われ、浮き足立つ明大守備陣。丸山不在、宮阪不在ということもあり、チームを強烈に牽引していく選手がいないため、押し込まれた状況でなかなか大開することが出来ない。また、丸山と並んで明大の守備を統率する「はず」の松岡は、リーグ戦終盤での不用意なプレーからスタメンの座を離れており、ピッチ上で声を出す選手もいない…

そんな状況を見かね、31分についに宮阪を投入。そして相手に狙われ続けた左サイドにはボランチの豊嶋をスライド。すると、すぐさま交代効果が形に現れ始め、あれほど奪えなかったセカンドボールをマイボールにすることが出来はじめ、いいように相手2列目にやられた結果として、下げられ続けてきたラインが徐々に高い位置を取り戻せるようになる。

また、相手の足が止まり始めてきた40分以降は矢田、岩渕、阪野が立て続けにゴールを狙うなど、流れを自分たちに引き寄せることにも成功。結局、前半は1点ビハインドのままであったが、後半戦に期待を抱かせる内容を見せて前半を折り返す。

さて後半だが、やはり明大のペースでゲームが進んで行くが、大体大のディフェンスも集中しておりピンチは招くものの、しっかり体を寄せることで簡単にはシュートを打たせない。

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攻めても攻めても、粘り強く対応する大体大守備陣をどう攻略するか? 神川監督は65分、梅内に替え三橋を投入して、阪野ー三橋ー矢田という3トップ(4-2-1-3)にシステムを変更して勝負に出る。すると1列高い位置に出た矢田、そして今大会成長を見せている岩渕が結果を出すことに…

72分、右サイドで矢田がボールを持つと、縦にドリブルで抜けていく。途中、相手DFが守りにはいるがそれをゴールラインギリギリで交わすと中へクロス。これを走り込んできた岩渕が頭で合わせて明大がついに同点に追いつく。

ここで一気に逆転!を狙いたかった明大だが、不運に見舞われてしまう。75分、足を痛めてしまった松藤に替わって松岡を投入し、最後の交代カードを使い切ってしまう。本来なら、攻撃の選手を出したかったところなのだが、それが出来ず終いで終わってしまったことは神川監督としても非常に痛いところでもあった。

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そしてゲームは互いに3枚の交代を使い切った状況で延長戦に突入。しかし、前後半合計の20分では決着は付かず、決勝進出はPK戦に委ねられることとなるが、ここで大体大GK姫野は1回戦の早大戦に引き続き、スーパーセーブを連発。宮阪、阪野のシュートを見事に読み切ってPKをストップし、3年ぶり5度目の決勝進出を決めた。

準決勝第一試合
明治大学 1-1(PK3-4) 大阪体育大学
[得点者]
19分松澤(大体大)、72分岩渕(明大)

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また、準決勝第二試合の浜松大学 vs 中央大学の試合だが、結果的には中央大学が2-1で逃げ切って30年ぶりに決勝戦にコマを進めたが、非常に後味の悪いゲームであったことは否めない。

で、何が原因で後味が悪くなってしまったかといえば、それは主審のジャッジ以外の何物でもない。そして勝った中央大学の佐藤監督ですら「あれはおかしいよ…」と言うぐらいだったのだから…

さて試合だが、互いに4-4-2の形でスタートするが、互いに手数をあまり掛けない早い展開でチャンスを作り合っていく。そんな中で17分、小さな2トップの連携が中大ディフェンスを打ち破る。村松からのリターンを受けた神谷が抜け出して、浜松大が先制!

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しかし、ここから「岡劇場(主審の岡宏道さん)」が良くも悪くもスタートしていく。

先制点が決まった直後の18分、中大が浜松大ゴール前まで攻め込むが、そこで浜松大DFは誰も手も足も出していないのに、謎のPK判定を下す。試合後PKを決めた林に聞くと「なんだかよくわからないですけど貰っちゃいました」と語ってくれたのだが、中大として「?」なPKであったのだ。

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試合後の浜松大・長澤監督も「タイトルの掛かった大会の準決勝であのジャッジはないだろうよ… 彼らはさあ、プロではなく学生なんだよ。まだ成長段階の選手たちをリラックスさせてゲームをさせるのが主審の役目なのだろうに、逆に怖がらさせて緊張させてどうするんだよ? って感じですよ」と試合後に語ったように、PK判定だけではなく、ファールの判定基準も曖昧で、ゲームが荒れていく基を作り出してしまう。さらには、まったくといっていいほどゲームをコントロール出来ず、逆に不要なイエローを連発させ選手側に緊張感とイライラだけを増やしていくこととに。

そんな中でゲームは進み、27分にもサイドバックと2トップが絡んだ鋭い攻撃を見せた、最後は奥山が叩き込んで中大が2-1とゲームをひっくり返すことに成功。しかし、後半は完全に浜松大にペースを握られたまま時間が進み、全くと言っていいほど良さは出さなかったものの、田仲(68分で負傷交代→細見)、渡部のボランチコンビが奮闘し、最後まで守備のバランスを崩さなかったことで逃げ切りに成功。

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試合後の佐藤監督だが「筑波の赤崎くんにやられてからね(0-5)、これじゃマズイってことで、まずは裏を取られないようにするにはどうするかをみんなで考えた。中盤は引き気味にて、裏を狙われないようにすることをまず徹底させた。あとは前半の動けるうちでなんとか点を取って、後半は今日のよういに粘り強く行ければ… なんですが、流経戦といい、今日の試合といい、結構」目指す形は出来てきたと思います」と語ってくれた。

しかし、この日警告2枚で退場となってしまった林容平が決勝に出られないことは非常に痛い。あとは途中交代で出場した皆川に期待したいところだが、どこまでやれるかにも注目が集まる。

それにしても、両チーム合わせてイエロー10枚、そしてレッド1枚と荒れに荒れた試合。さらには75分に浜松大の長澤監督も退席処分になってしまったが、その理由が「異議」なのだが、遅延行為に対して第4審判に「どういうことなの?」と聞いただけで4審→副審→主審と行き渡る中でいきなりの退席処分。主審を含めた審判団はゲームを円滑に進めるために存在しているのに、まるで「オレがルールブックなのだ」と言わんばかりのジャッジで、どう見ても円滑に進めているのではなく、ゲームを停滞させてしまった張本人と言わざるを得ないこの日の主審。

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長澤監督の言葉にもあったように「タイトルの掛かった重要な試合」なのだから、もう少し冷静な判断でゲームの流れを読み、そしてジャッジしてほしかったところである。

準決勝第二試合
中央大学 2-1 浜松大学
[得点者]
17分神谷(浜松大)、20分林、27分奥山(中大)

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さて、決勝までもうまもなくとなってしまったが、当初は繋いで繋いで!のサッカーだったが、今大会では「堅守速攻、先攻逃げ切り」とカラーを一気に変えてきた中大と、3年ぶり3度目の優勝を狙い大阪体育大学の顔合わせとなったが、ゲームの予想としては、林の代役となる皆川が期待に応えられるか? そして佐藤監督のゲームプランどおり前半で得点出来るか?

それに対して、大体大はリーグ戦では正直「どうかな?」と感じる戦術だが、シンプルに縦に入れてくる戦術は一発勝負のトーナメントでは滅法強い戦い方であり、その「やり方」を最後まで追求出来るかがポイント。

それぞれのキーマンだが、中央は皆川祐介、そして大体大は山本大稀を推したいところ。さて、「夏の大学日本一」の座はどちらに輝くのであろうか?

2011年6月19日 (日)

関東大学サッカーリーグ第8節

昨日、NACK5スタジアムで行われました関東大学サッカーリーグ第8節のざっくりとしたレポだけ、とりあえず先に公開しておきます。なお、写真を含めた詳細版は本日行われます、町田ゼルビアvs長野パルセイロのレポをまとめた後になると思われますことをご了承ください。

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2011年6月18日 NACK5スタジアム
関東大学サッカーリーグ 第8節
駒澤大学 3-1 慶応大学
[寸評]
言い方は悪いが、内容云々は抜きにして「どんなことをしてでも勝つ」と言う意識を全員が共通して持っていた駒大が慶大を相手に今季初勝利を飾った。

試合は序盤からトップ下に入った日高が縦横無尽に動き回り、ボールを左右のスペースに散らして攻撃を組み立てる慶大の圧倒的ペースで進む。

しかし25分、慶大陣内左サイドの深い位置で得たスローインの際に、ロングスローと見せかけておきながら速く細かく繋ぎ、慶大ディフェンスに一瞬の隙を呼び込んで砂川がワンチャンスをものにして駒大が先制。

たが、慶大も慌てることなく、自分たちらしく「繋ぐサッカー」で駒大の肉弾戦に対抗していくのだが、駒大も先制点以降は碓井の守備意識が非常に高くなり、序盤ほどのチャンスが作れなくなりはじめる。

後半も「細かく繋いで攻め続ける慶大、跳ね返してカウンターを狙う駒大」と言う試合展開が続くのだが、やや硬直した時間帯が続いていく。しかし71分、やっとゲームが動き出す。

CKのチャンスから三澤が貴重な追加点を奪い、駒大がリードを広げる。たが慶大も必死の反撃を見せ、直後の72分、左サイドを攻め上がったファン・テヨンをGKが倒してしまいPK。これを河井が決めて1点差に詰め寄る。

しかし、駒大は運と言うか判定にも味方されたと言えよう。あの場面、PA内での決定機阻止だったので、一発レッドでもなんら不思議ではなかったが、主審の判定はイエロー提示のPKのみ。1点差で1人少ない状況であれば大ピンチであったが、判定に救われた駒大は終盤にもセットプレーから追加点を奪い3-1と勝利。

ゲームを終始支配しながら、ガツガツ当たる駒大のディフェンスに手を焼き、さらには3得点すべてをリスタートから奪われてしまった慶大。駒大としては「してやったり」の試合であった。

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筑波大学 5-0 中央大学
[寸評]
簡単に振り返れば「赤崎秀平ワンマンショー」だったこの試合。

※本来赤崎選手の「崎」は山へんに立と可なのですが、文字化けして表示されない場合がありますので、崎で表示させていただきます。

さて、立ち上がりはボランチ六平が積極的に前に出て、ほとんどトップ下と言う位置でボールをコントロールし、流れは中大かと思われた。

しかし9分、谷口からの縦パス1本で赤崎が抜け出しシュート! これが見事に決まって早々と筑波大が先制。

たが、中大も負けじとワンタッチで「これでもか!」と言うぐらいパスを繋いで攻勢にでるが、繋ぐばかりでフィニッシュまで持ち込めない。

そんな相手にを横目に筑波大は20分、25分と、1点目のリプレイですか? と言いたくなるような形で赤崎にハットトリックを30分にもならない段階で許し、さらには前半終了間際にもセットプレーか、追加点を与えてしまい、まさかの4失点を喫して前半を折り返す。

そして後半は、前半の「繋ぎすぎ」というサッカーからシンプルに入れてくるサッカーに変えた中大だが、全く得点の匂いがしてこない。それどころか、カウンターからさらにピンチを度々招いてしまい、
73分に再び赤崎に得点を許してゲームは終了。

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さて、2試合を通じて見えた「下位2チーム」の戦い方だが、よくも悪くも「形」がハッキリしている駒大に対して、中大の方は「繋ぐだけ」に終始してしまい、最後まで「その先」を見せることが出来ず、目指す方向性が中途半端であることを改めて露呈。

前線の核となる選手を欠いた状況で、苦しい試合が続く中大にとって、シーズンの中で一番の堪えどころであるのだが、果たしてこのピンチを踏ん張れるだろうか?

ただ、中大は総理大臣杯への出場が決まっており、なかなか時間をとっての「立て直し」は厳しい状況であり、戦いながら調整していくしかないのだが、インカレを制した頃の輝きを後期までに取り戻せるのだろうか…

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