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2012年1月10日 (火)

スパイクに込められた想いと新しい出発点

決勝戦開始1時間30分前、この日、出場停止で試合に出られない四日市中央工キャプテン・國吉祐介の姿がベンチ前にあった…

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彼自身が準決勝まで使用していたスパイクを、そっとベンチの横に置いたのだが、そのスパイクにはメンバー全員の「想い」が込められていたのである。試合に出られないキャプテン國吉への想い、そしてチームをこれまで牽引してくれたことに対しての「感謝の念」が込められたスパイクだ。

今大会の優勝候補筆頭である、市立船橋を相手に戦う四中工。さらにはキャプテン不在という非常に難しい状況の中で試合を迎えたが、チームの雰囲気は最高潮を迎えていた。

「試合に出られないキャプテンと、自分たちをここまで指導してくれた士郎さん(樋口監督)に優勝を捧げたい」

この想いを胸に秘めてピッチに立った四中工イレブンは、幸先良く先制点を奪うことに成功する。市船のキックオフで始まった直後、ボールを奪った四中工が相手陣内奥深くへボールを蹴り込む。そこで市船DFが処理を誤ってCKにしてしまう。このいきなり巡ってきたチャンスに西脇が頭で競り勝ち、こぼれたところを田村翔太がシュート! これはDFのブロックに遇ったが、そのこぼれ球が浅野の足下に転がり込み、豪快に蹴り込んで四中工が先制。

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手元の時計で確か57秒ほど。過去の記録までは不明なのだが、決勝戦の先制点としてはたぶん最速タイムではないのだろうか?

この1点が追い風となり、四中工がサイドに速く展開するサッカーを見せつけ、試合の流れを完全に自分たちのものとしていく。市船は、この日も守備的なリスクを回避するために3ボランチシステムで来たのだが、予想以上に速く繋いで展開する四中工のサッカーに押し込まれ、狙いであった「中盤での押し上げ」が機能していかない。

「してやったり」の立ち上がりを見せた四中工だが、前半25分を過ぎた辺りから徐々に押し込まれる時間が増え出し、流れは一進一退の攻防に変わっていくのだが、この日、キャプテン國吉の代役として送り込まれた生川雄大が「國吉不在」ということをまったく感じさせないプレーを見せ、相手に傾きそうになる流れを必死に食い止めていく。

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前半は結果的に1-0で折り返したのだが、後半に入るとプレッシャーを強めてくる市船に対して、防戦一方となってしまう四中工。特に65分以降は、いつ点が入ってもおかしくなほどのピンチが連続していく。そしてラスト10分を切ったところから、一段と攻撃の分厚さは増していき、81分のFKを皮切りに、ロングスロー、CK、FK、CKと多彩なパターンでゴール前にボールを運ばれてしまう。だが、國吉の代わりにキャプテンマークを巻いた西脇、そして1年生GKの中村が必死の対応を見せ、虎の子の1点をなんとか死守。

ピンチの連続であったが、相手のシュートミスにも助けられ、残されたアディショナルタイム2分を凌ぎきれば念願の優勝というところまで来た。しかし、勝負の女神は四中工に微笑んでくれなかった…

怒濤の攻撃を見せる市船は、あと1分というところでキャプテンであり、エースでもある和泉竜司がCKのこぼれ球を蹴り込んで土壇場で同点に追いつく。さらに勢いを加速させた市船は、延長後半にも再び和泉がゴールを挙げついに逆転。残された短い時間では、残念ながら追いつく余力が無く、20年の時を経て「単独優勝」にチャレンジしたものの、あとわずか… というところで優勝を逃してしまった。

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結果的に「勝ちに徹する」サッカーを終始貫いた市船に屈してしまった四中工。しかし、Jユースとは違い、ハードワーク、フィジカル勝負、縦1本がまだまだ幅を効かす高体連サッカーの中で、身体能力的に劣っていても魅力的なパスサッカーをやり通せば十分に通用することを、今大会で改めて証明できたと言えるだろう。そして20年ぶりに決勝の舞台へ導いてくれた選手たちに、心からの感謝を述べ「出せるものを全て出しくれた」と清々しいコメントを残した樋口士郎監督。

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20年の時を経て、半分だけから完全な優勝を目指したのだが、またも「あと一歩」で夢を砕かれてしまった四中工。しかし、この敗戦は新しいチームにとってスタートラインでもあるのだ。

史上3人目となる「6試合連続ゴール」を達成し、大会得点王となった浅野拓磨は「悔しさもあるけれど、今はこのチームでやりきれた喜びの方が大きい。この経験を活かしてまた来年チャレンジしたい」と、胸を張って国立競技場を後にした。また樋口監督も、すでに新しい年度に向けて視点を移しており、今のパスサッカーだけではなく、ハードワークもしっかりできる選手になって欲しいと1、2年生に注文。

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表彰式では悔しさをひた隠し、気丈に振る舞ってメンバーを統率したが、ロッカールームに戻ると泣き崩れてしまったキャプテンの國吉。その悔しさをはらせるのは、来年もある1、2年生だけなのだが、ある下級生はスパイクの寄せ書きに「任せといてください」と書き込んでいだが、今回はその言葉どおりにはならなかった。

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だからこそ、國吉だけではなく無念の想いを持ちながら卒業していく3年生のためにも、その言葉を来年の大会で実現してほしいもの。そのためにも。下級生たちが次の大会までにどれだけ精神的に成長できるか楽しみである。

その成長度如何によっては、今度こそ「優勝」という目標にたどりつけるはずだから…

2012年1月 9日 (月)

本日決勝、名門対決の行方は?

いよいよ今年度の高校サッカー選手権は決勝戦を残すのみとなったが、本命不在と言われた大会も、結果的には市立船橋と四日市中央工業と過去に優勝経験のある伝統校が勝ち残った。

さて、これから国立競技場に向かいますので、決勝展望は手短に行きたいと思います。

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まずは両校の過去の決勝戦成績と今大会成績をおさらい。

市立船橋、選手権決勝成績
67回大会  ●0-1 清水商
73回大会  ○5-0 帝京
75回大会  ○2-1 桐光学園
78回大会  ○2-0 鹿児島実
81回大会  ○1-0 国見
83回大会  ▲0-0(PK2-4) 鹿児島実

今大会成績

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2回戦:2-1長崎日大
得点者:75・80分和泉
3回戦:3-0清水商
得点者:12分米塚、55分小出、77分菅野
準々決勝:2-0矢板中央
得点者:20分小出、75分岩渕
準決勝:2-1大分
得点者:23分渡辺、56分和泉
今大会通算:9得点2失点

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四日市中央工、選手権決勝成績
56回大会 ●0-5 帝京
64回大会  ●0-1 清水商
70回大会  △2-2 帝京(※両校優勝)

今大会成績

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1回戦:3-0羽黒
得点者:21分浅野、65分田村、72分國吉
2回戦:6-1 徳島市立
得点者:53・59・66分田村、55分國吉、73分浅野、80+1分田村大
3回戦:1-1/PK4-2 立命館宇治
得点者:80分浅野
準々決勝:2-2/PK4-1 中京大中京
得点者:35分田村、80+1分浅野
準決勝:6-1 尚志
得点者:35分:國吉、41分田村、65分松尾、77・89分浅野、90分オウンゴール
今大会通算:18得点5失点

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それぞれ今大会で3試合ずつ見ているが、攻撃力を活かして勝ち抜いてきた四中工、そして守備力、総合力で安定した試合運びで勝ち抜いてきた市船と、カラー分けすることができる。ただ、メンバーをうまく入れ替えてここまで勝ち上がってきた市船に対して、四中工は絶対的存在であるキャプテンの國吉が決勝は出場停止となってしまい、非常に頭の痛い悩みが残ってしまった。

また、スタメンの平均身長というのも決勝戦のポイントとなってくる。準決勝の試合後会見で「ベストを探しているうちに今のメンバー構成にたどり着いた」と語った四中工・樋口監督だが、スタメン平均身長は169.9cmと、たぶん今大会出場チームで一番低いかも知れない。それに対して市船は188cmのワントップ岩渕を筆頭に大半の選手が175cmを超えており、平均身長は四中工より10cm近く高い178.3cmである。

そして、この高さを活かしたセットプレーから今大会でも得点を重ねており、四中工としては市船の高さ、そしてセットプレーへの対応策が重要となってくる。これに関しては準決勝終了後に樋口監督は「空中戦で戦っても勝ち目はない。いかに自分たちらしく繋ぐサッカーがやりきれるかですね。空中戦ではなく、地上戦に持ち込めるかが鍵になります」と答えてくれていた。

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また、市船の高さ対策同様に、四中工は相手の「鬼プレス」をどうかいくぐっていくのかにも注目が集まるところ。市船の強さの秘訣とは、決して高さによるものでもなく、圧倒的な攻撃力によるものでもない。何よりもポイントとなっているのは、相手の光を消し去る「連動した守備と衰えない運動量」である。

そうしたところから、冒頭で「総合力」と評した訳だが、今大会12得点を挙げている四中工の浅野、田村翔太の2トップは、簡単に走り抜けるスペースを与えてくれない相手に対して、どのような動きを見せてくれるかにも注目したいところ。

昨日の前日練習の内容からすると、市船は準決勝同様3ボランチシステムを敷いてくることが予想されるが、相手の光を消し去るサッカーに対して、チビッコ軍団がどこまで自分たちの「速く繋ぐサッカー」をやりきれるか? そしてもう一つ、キャプテン國吉の代役として出場が濃厚な生川雄大は、この大一番で大きな仕事をやってのけることが出来るだろうか?

20年前、両校優勝という形で「半分だけの優勝」に終わった四中工。そんなこともあり、チームとしては「完全な形で優勝を勝ち取りたい」という気持ちは非常に強い。そして、恩師でもある城雄士氏を超える戦いにもなる樋口士郎監督。しかし、決勝の相手は間違いなく今大会で最も強く、最も堅固な守備を誇る市立船橋。そう簡単に勝てる相手ではないが、多くの人の思いを背負って決勝のピッチに立つ四中工の選手たちの士気は高い…

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ここまで、展望予想といいながらも、どちらかというと四中工寄りの内容になってしまったが、正直に言ってしまえば市立船橋の優位は動かないと思う。

だが、高校サッカーとは前評判や下馬評というものがあてにならないことはすでに周知の事実である。どんなに前評判が高くとも、高校生はたった一つのミス、そして失点で大きくメンタルを崩して思いどおりの展開が出来なくなってしまうもの。

決勝の舞台においては、実力、下馬評、前評判よりも、いかに90分間普段どおりに「平常心」を保てるかがポイントでもあるのだ。だからこそ、市船優位であっても優勝するとは言い切れない。決勝戦とは、サッカーというスポーツであるのだが、実は「メンタルの競い合い」でもある。大舞台において、いかに自分のプレーが出来るかが勝敗を分けることになってくるはずだが、果たして試合後に歓喜の輪をつくるのはどちらの学校であろうか?

注目の決勝戦は、本日14:05から国立競技場で行われる。

2012年1月 8日 (日)

市船、9年ぶりの王座奪還へ王手

これは決して悪意ではなく、ホメ言葉として受け取って欲しい…

やはり伝統の「イチフナ」は憎らしいほど強かった…
そして国立で戦う「イチフナ」とは、大会初戦の市立船橋とは「別物」のチームであることをまざまざと見せつけられたのである。

スコアは2-1という僅差の試合となったが、内容的には「イチフナ強し」を改めて印象づけるゲームとなり、7年ぶりの決勝進出を決め、そして9年ぶりの優勝に王手を掛けた。

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さて試合を振り返りたいと思うのだが、まずは驚いたのがこの日敷いてきた両チームのシステムであった。

[市立船橋スタメン]
ーーーーー岩渕ーーーーー
ー池辺ーーーーーー和泉ー
ーー磐瀬ー松丸ー渡辺ーー
鈴木ー小出ーー種岡ー米塚
ーーーーー積田ーーーーー

[大分スタメン]
ーーーーー牧ーーーーー
小松ーーーーーーー岡部
ーーー佐保ー梶谷ーーー
ーーーー武生ーーーーー
馬場ー若林ー清家ー藤田
ーーーー平畠ーーーーー

両者とも、これまでの試合のシステムとはやや違う形で入ってきた準決勝。市船は4-2-3-1(もしくは4-1-4-1)システムから、磐瀬、松丸、渡辺の3人をボランチに並べるプランを採用し、大分の「フリーマンサッカー」に警戒してきた。そして大分も、司令塔である10番上野が靱帯損傷のため出場を断念。そのため、これまでの3トップから1トップシステムに変更し、中盤の構成を厚くするシステムで市船に対応してきた。

大分側のシステムは、やや「アクシデント」的でもあるのだが、結果的に両者とも「ここまで来たら負けられない」という意識もあり、攻撃よりも守りに重点を置いたシステムを採用したこともあり、立ち上がりは「じっくり」というよりも「ジリジリ」とした神経戦が続いていく。また、大分のシステムとゲームプランについてなのだが、上野不在という理由から結果的にこのような形となったが、そこはアイディアマンでもある朴監督。「中盤の枚数を増やして相手にいいパンチを出せないようにした」と語ったとおり、3トップが積極的に仕掛けて前から奪いに来るのではなく、やや引いた位置から構えて守る策に出たのだが、これが見事にはまり、市船はなかなか思い描いた展開を繰り出せない時間を費やすこととなる。

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しかし、試合巧者の市船はジリジリとする展開にも焦ることなく、じっくりと後ろで回しながらチャンスを伺う。そして前半23分、和泉の突破からFKのチャンスを得ると、ここでスポットに立ったのはボランチの渡辺だった。試合後に「公式戦では初めて蹴りました」と語ってくれたが、右足から放たれたシュートは見事にゴール右上隅に突き刺さり、大一番で貴重な先制点を叩き出すことに成功。

だが、1点のビハインドを追う大分も負けてはいない。30分、大分はゴール正面でFKのチャンスを得ると、ここで小松が直接狙っていく。最初のキックは壁に阻まれたが、このこぼれ球が小松の足下に転がり込み、再び絶好の決定機を迎える。完全にGKと1対1の状況となり、これで同点か? と思われたのだが、ここは市船GK積田の好セーブが飛び出し、大分は絶好のチャンスを活かせない。

結局、前半は互いに4本ずつしかシュートを打てないで前半を折り返したが、後半に入ると市船の底力が徐々に発揮されていく。47分、右サイドバックの米塚のクロスに、磐瀬がダイビングヘッドでゴールを狙うのを皮切りに、49分には和泉がやや遠い位置からシュートを狙い、大分守備陣のラインを少しずつ後ろに下げることに成功。そして55分、左サイドの池辺から中の岩渕にボールが渡り、ワンタッチで右前に走り込んできた和泉にパス。これを受けた和泉はDFを見事にかわしてシュート! これが決まってリードを2点差とする。

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それにしても、市船の勝負強さ、いや「憎たらしいほどの強さ」は、この2点のリードを奪ってからであった…

ハーフタイムで「私が指示を出したら普段の3トップシステムに変えなさい」と選手にプラン変更を示唆していたのだが、2点のビハインドを追う大分は、65分すぎからシステムを4-3-3の形に変え、これまでどおりのシンプルな裏を狙うサッカーで市船ゴールに迫っていく。だが、この日の市船3ボランチを含めた守備陣は最後まで安定していた。縦にボールを入れ、その裏から2列目が狙う「フリーマンサッカー」だが、3ボランチがしっかり2列目のケアをしているため、思うような攻撃を繰り出すことが出来ない。

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これまでの対戦相手には通用していたシンプルなサッカーも、市船が繰り出す「相手の良さを消し去る守備」の前に沈黙。このまま、光を遮断するかのような守備の前に完封されてしまうかと思われたが、79分に思わぬミスからチャンスが転がり込み、点差を1点差とすることに成功する。

79分、DFの小出のミスパスを小松がカット。これを奪った小松はゴール正面に切れ込んで行き、決定的な場面を迎える。だがここもGK積田がファインセーブを見せ、枠に飛んだシュートをなんとか外にはじき出す。しかし、直後のCKにおいて、ファーで合わせた清家のヘディングシュートが決まって、大分が1点差として反撃ののろしを挙げる。

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普通のチームであれば、国立という舞台、準決勝、決勝が懸かっている大事な一戦、さらには相手は1点差に追いついてイケイケという状況となってしまえばあれば焦って仕方がないところなのだが、今年の市船というチームには焦りはまったく無かった。それどころか、80分を過ぎてからは徹底して相手コーナー付近での「キープ」を選択。育成年代であるユース世代の大会で、残り10分の段階でキープに徹することに善し悪しについては、見る人の価値観もあるので、その是非は問わない。だが、「何をしてでも自分たちは勝つ」「ゲームをしっかりこのまま2-1でクローズさせる」という強い意志が伝わってくる瞬間でもあった。

これこそ、初めて国立に進出してくるチームと、伝統的に強いチームの差が出たところではないだろうか? 伝統とは、何年もの積み重ねによって生まれるものであり、「俺たちの時にはこうだったから、次の世代はこうしたほうがいい」という先輩から後輩への「教え」の積み重ねが勝負強いチームを作る血となってくるのである。また、今年のインターハイで初戦敗退したことも、チームが大きく成長する糧となっていたことを忘れてはならない。

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キャプテンの和泉は当時のチームを「全然バラバラでした」と振り返ってくれたが、選手権を前にしてスタメンで出られる選手、ベンチに入れる選手、そしてベンチに入れない選手を含めて、部全体が一つにまとまりを見せ、その結果として千葉予選決勝で永遠のライバルである流経柏を延長で下し、全国切符を得ることに成功。しかし初戦では選手権独特の「難しさ」が出てしまい、自分たちの良さを出せなかった。初戦敗退すら覚悟した試合であったが、伝統の力、そして自分たちは「イチフナである」というプライドが粘りに繋がり逆転勝利を呼び込んだ。

流経柏を破り、一番鬼門でもある初戦を通過した市船にとって、国立で勝つことは決して難しいことではなかったのだ…

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事実上の「選手権決勝戦」と言われた、流経柏との一戦を制して千葉県代表となった市立船橋高校。今度は事実上ではなく、真の決勝の舞台に立つわけだが、対する相手も伝統校である四日市中央工業であり、伝統校同士の対決となった決勝戦。そして両校の監督(市船は朝岡隆蔵氏、四中工は樋口士郎氏)だが、現役時代に揃って国立のピッチに立っているのだが、それぞれ決勝での勝利経験はない(朝岡監督はベンチ外だった)。果たして、どちらの監督が初めて頂点に立てるかにも注目したいところ。

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そして、6大会続いて「初優勝校」が生まれてきた選手権だが、7年ぶりに優勝経験のあるチーム同士の対戦となった決勝戦だが、相手である四中工の2トップは今大会屈指のストライカーを擁しているが、決勝の舞台でも堅守が発揮されれば市船優位は動かないと見る。そして、勝利への執念を見せつけるような試合運びをやりきれれば、9年ぶりの「王座奪還」も夢ではないはずだ。

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第90回全国高校サッカー選手権
準決勝/第一試合 @国立競技場
大分 1-2 市立船橋
[得点者]
81分清家(大分)
24分渡辺、58分和泉(市船)
[警告]
34分小松、85分梶谷(大分)
30分和泉、49分磐瀬、68分池辺(市船)

[ゲームスタッツ]
シュート数:大分9、市船12
ゴールキック:大分12、市船9
コーナーキック:大分3、市船4
直接FK:大分17、市船21
オフサイド:大分0、市船0
PK:大分0、市船0

2012年1月 4日 (水)

高校サッカー、ベスト8決定

1月3日に高校サッカー選手権3回戦が駒沢、埼スタ、市原、三ツ沢で行われ、下記のような結果となり、ベスト8進出チームが決定した。

【駒沢】
○中京大中京 3-2 済美●
得点者:39・42分宮市、66分熊谷(中京)、47分青木、79分藤本(済美)

○市立西宮 1-1/PK8-7 近大附●
得点者:57分後藤(西宮)、54分荒金(近大)

【埼スタ】
○矢板中央 1-1/PK5-3 國學院久我山●
得点者:1分福澤(矢板)、14分大畑(久我山)

○大分 1-0 青森山田●
得点者:57分梶谷(大分)

【市原】
○四日市中央工 1-1/PK4-2 立命館宇治●
得点者:80+1分浅野(四中工)、45分谷口(立命館)

●清水商 0-3 市立船橋○
得点者:13分米塚、54分小出、77分菅野(市船)

【三ツ沢】
●桐光学園 3-3/PK2-4 尚志○
得点者:48分高橋将、55分橋本、64分高橋孝(桐光)、22分高、53分皿良、73分後藤(尚志)

○桐生第一 4-1 奈良育英●
得点者:37分吉森、55分遠藤、66分鈴木、79分金田(桐生)、42分山田真(奈良)

そして3回戦の結果を受けて、明日(5日)に行われるベスト8の対戦カードはこのようになった。

【埼玉スタジアム】
12:05:市立西宮 vs 大分
14:10:桐生第一 vs 尚志

【駒沢陸上競技場】
12:05:中京大中京 vs 四日市中央工
14:10:矢板中央 vs 市立船橋

ということで、あてになるかどうか不明ですが、簡単に展望を。

●市立西宮 vs 大分
大会前から予想しづらい大会と言われたが、有力校と目された山梨学院、青森山田が揃って敗退。その中で、ノーマークだった市立西宮が堂々とベスト8進出を決めたことは賞賛に値するであろう。

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また、初戦で10得点を奪った大分高校も勢いを持続して浦和東、そして青森山田も撃破。この勢いに乗る2チームがベスト8で対戦するが、どちらが勝っても初の国立となるのだが、抜群のチームワークと堅い守備で快進撃を続ける西宮、速い展開から自慢の攻撃力を活かす大分と、それぞれのチームカラーが違う同士の対戦は非常におもしろいものになるだろう。

●桐生第一 vs 尚志
今大会において山梨学院の白崎凌兵、清水商の風間宏矢と並んで注目の選手に挙げられていた桐生第一の鈴木武蔵だが、今大会に入って抜群の決定力を見せ、チームの勝利に大きく貢献。昨年に比べて「小粒」と言われたが、やはり能力の高いタレント軍団であった前橋育英を下したことはダテではないことを証明した桐生第一。鈴木が相手マークを引きつけたところで、2列目の3人が虎視眈々とゴールを狙うサッカーで、一気に国立を目指したいところだ。

それに対して、震災の影響がいまだに残る福島に元気を与えたいと願う尚志は、2戦連続して苦戦しながらも粘って勝ち抜いてきたのだが、準々決勝でもその「粘り」が発揮出来るだろうか? 尚志としては接戦に持ち込みたい。

●中京大中京 vs 四日市中央工
さて、初戦の作陽戦で大苦戦しながらも、辛くもPK戦で勝ち上がった中京大中京は3回戦で宮市亮の弟である剛が2得点を挙げ勝利に貢献。

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そして中京と激突するのは、プリンスリーグ東海などでも対戦している四日市中央工であるのだが、四中工の樋口監督は3回戦を終えた直後に「中京さんはテクニックがあるから、今日のような試合をしてしまった絶対ダメですね」と語った。

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確かに、3回戦の立命館宇治戦は、序盤から主導権を握り、何度も決定機を迎えたのだがことごとく外してしまい、徐々に相手のペースに引き込まれてしまい、敗戦も覚悟しなければいけない試合であった。しかし、攻撃陣の勢いは決して下り坂ではなく、その勢いは持続していると見た方がいいだろう。あとは、四中工のゴールを守る1年生守護神・中村研吾のスーパーセーブに期待したい。

●矢板中央 vs 市立船橋
清水商との「超名門対決」を3-0という完全勝利で終えた市立船橋は、同じく関東の矢板中央と激突。初戦こそ苦戦した市船だが、清水商との一戦では実に素晴らしい試合巧者ぶりを発揮。相手のキーマンである風間には、エースキラーに指名された1年生の磐瀬剛が見事な活躍を見せ、風間にまったくといっていいほどボールに触らせない。

さらには磐瀬だけではなく、どの場面でも守備においては数的有利を作って清水商からボールを奪い取っていく。攻撃においては1年を掛けて精度を高めてきたセットプレーから見事に2得点を奪うなど、ソツのないところも見せつけ、優勝候補筆頭であることを強烈にアピール。

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そして今年度から石渡氏(現在は船橋市教員センター職員)からバトンを受け継いで指揮を執る、朝岡隆蔵氏にとっても、監督として初の国立、そして優勝という目標がハッキリと見えてきた。

そんな優勝候補に立ち向かうのは栃木の矢板中央だが、高橋監督は2年前の選手権ベスト4のチームに比べると力は劣りますとコメントしているが、突出した力がない分、全体でカバーしあうサッカーでベスト8までたどり着いてきた。市船戦では相手の速く厳しいプレスに苦戦するであろうが、少ないチャンスに突破口を見いだしたい。

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ベスト8に残った顔ぶれを見ると、過去に国立を経験している学校は四中工、矢板中央、市船の3校のみで、さらに優勝経験のあるのは四中工、市船だけに限られてくる。そして埼スタ会場で予定されている2試合だが、どこが勝っても初の国立切符となるのだが、福島県代表の尚志は「県勢初のベスト4」ということも懸かってくる。

3回戦の試合を見る限りでは、市立船橋が優勝の最右翼であると感じるところだが、どこが市船を止めるかにも注目したいところ。そして快進撃を続ける普通の高校生・市立西宮が夢の舞台である国立にたどりつけるかにも注目したい。

2012年1月 3日 (火)

努力が奇跡を生む瞬間

大会3日目となった昨日は、今大会最初の「ジャイアントキリング」が飛び出した。当然、その試合は西が丘で行われた市立西宮 vs 山梨学院大学附属高の試合である。

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試合前、市立西宮の勝利を予想する人は少なかったのではないだろうか? それは一般の方だけではなく、報道する側も同じであり、カメラマンの大半が西宮ゴールの裏にいたことがそれを物語っていた。まあ、山梨学院が優位であることに疑いはないし、今大会注目の一人である白崎凌兵がいることもあり、どうしても山梨学院中心に見てしまうものである。

そして試合後、市立西宮の大路監督も「一発目から山梨学院だよ…」と組み合わせ抽選が決まってから、選手がナーバスになっていたことを語ってくれた…

そんな状況の中で、兵庫県予選準決勝で昨年の覇者・滝川第二を破った市西宮は、本会初戦で2年前の覇者・山梨学院と激突。

[山梨学院スタメン]
ーーー名嘉真ー白崎ーーー
ー柳沢ーーーーーー木下ー
ーーー荒木ーー萱沼ーーー
金井ー藤原ー新潟谷ー山口  
ーーーーー山田ーーーーー

[市立西宮スタメン]
ーーー指田ーー大道ーーー
ー後藤ーーーーーー新井ー
ーーー難波ーー前野ーーー
山口ーー池上ーー帷ーー柳  
ーーーーー中野ーーーーー

試合の立ち上がりは、予想外にも西宮が相手陣内に攻め込む形でスタート。2分に前野がファーストシュートを放ち、直後の3分にはCKのチャンスを奪い、山梨学院ゴールに迫る。

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しかし、立ち上がりのラッシュを受けきった山梨学院は徐々にペースを握り出す。FWの白崎だが、この日は相手のマークが厳しかったこともあり、あえてやや下がり目のポジションを取って行くのだが、このプランが見事にはまり、相手守備陣をおびき出すことに成功し、空いたスペースに次々とスルーパスを通してチャンスを広げていく。

それにしても前半の攻撃だが、碓井(現駒澤大学)を擁して優勝を果たした2年前のチームよりも素晴らしいアタックを見せていた山梨学院。圧倒的なボールポゼッションに流れるような展開。これはゴールを奪うのも時間の問題かと思われた。そして18分、自らのシュートでCKのチャンスを掴んだ萱沼が頭で合わし、山梨学院がついに先制点を奪う。

圧倒的な攻撃力で相手陣内に攻め込む山梨学院。この1点が大量得点の呼び水となるかと思われた。事実、その後も白崎が繰り広げる「異次元のパス」が市立西宮守備陣に何度も脅威を与えていく。

だが、試合前に「白崎君とのガチンコのマッチアップをしてみたい」と語っていた西宮のキャプテン帷は、粘り強いディフェンスで対応。帷個人だけではなく、チームとして白崎対策を練ってきた西宮は「チャレンジ&カバーの徹底」とボランチを絡めた「サンド」で対応。

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その粘り強い守備に手を焼いた山梨学院は、前半で11本のシュートを放ちながらも結局はセットプレーでの1点だけにとどまってしまう。さらに西宮の粘り強い戦い方は前半終了間際に最初の奇跡を生み出すこととなる。

カウンターから活路を見いだしていた西宮だが、前半ロスタイムに入った直後に相手陣内に素早く進入。そしてこのチャンスでPKのチャンスを得る。絶好の同点機にスポットに立ったのは西宮はキャプテンの帷であった。

しかし試合後、帷本人が「バレバレでしたね」とコメントしてくれたとおり、PKはGK山田がドンピシャのタイミングでセーブ。しかし、弾いたボールが幸運にも帷のもとに転がり、これを押し込んで西宮が実にいい時間帯で追いついて後半戦に繋げていく。

結局は1-1のイーブンとなったが、山梨学院が繰り広げた前半戦の出来は吉永監督としては「今季最高」と評するぐらい素晴らしい出来であり、決して悲観するものではなかったのだが、白崎をはじめとした山梨学院の選手たちにとっては追いつかれたことが精神的に大きなショックとなってしまう。

ショックを隠しきれずロッカールームに戻る山梨学院の選手たちとは対照的に、西宮の選手たちの表情は自信に満ちあふれていた。元々、前半は相手の動きに食らいついて「0-1ぐらいでもいい」という感じでもあり、粘って後半勝負というプランを描き、相手が前がかりに来るので、その裏のスペースを狙っていこうという攻撃のプランもしっかり出来ていた。そんな中で最高の時間帯に同点に追いつき、当初は「どうやって強敵と戦うか?」とナイーブになっていた選手たちの表情が「自分たちはやれる」という自信に満ちあふれた表情に変わっていく。

そして後半の立ち上がりだが、山梨学院はいきなりのラッシュを仕掛けていくのだが、その姿は「1点のビハインドを背負った状況で残り5分」というような悲壮感を漂わせながら攻め込んでいく。

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試合は1-1のイーブンであり、まだまだ焦る時間ではないのに、とにかく「前に行こう」という意識だけが空回りしてしまい、前半のようにスペースを有効に使うのではなく、強引に中央をこじ開けようとする「力攻め」に終始してしまう山梨学院。

それに対して西宮の選手たちは非常に冷静だった。いや、冷静というよりは、まさに監督の頭に描いたゲームプランそのままの状況がピッチ上で繰り広げられていたのである。

前半は敢えて下がり目の位置をとり、相手DFやボランチを引き出してスペースを作り出していた白崎だが、後半に入ると「得点しなければ…」という焦りから前に張り付いてしまい、DF網の餌食となり「らしさ」が完全に埋没していまう。

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慌てる時間ではないのに、焦りから「らしさ」を失ってしまった相手に対して、西宮の選手たちは最後までゲームプランを忘れることはなかった。そしてこの冷静さが50分に実を結ぶこととなる。

選手権が始まる直前から、セレッソ大阪の練習に参加しているFWの後藤寛太が新井とのパス交換から見事に抜け出してど真ん中を突破。最後はGKの動きを冷静に見てからシュートを放ち、ついに西宮が逆転。

その後も鋭いカウンターで何度も山梨学院ゴールを襲い、77分にも再び後藤がスペースに抜け出し、2点目とほぼ同じ形から試合を決定づける3点目をゲット。

もう、見事としてか言いようのないゴールであった…
山梨学院は「これでもか!」と何度も連続攻撃で相手ゴールに迫るが、前半のような戦術やアイディアを欠いてしまい、真ん中を固める西宮ディフェンス網にひっかかり、フィニッシュにすらたどり着けない。それに対して、冷静かつ華麗に相手の裏を狙い、針の穴を通すかのような正確な1本のパスで相手DF網を破った西宮。

終了間際に1点は奪われたものの、最後まで冷静さを崩さなかった西宮が、見事なゲームで、またも優勝経験校を打ち破ったのであった…

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試合後、西宮・大路監督は「何もない普通の公立高校ですよ…」と謙遜しながらコメントを続けてくれた。

「昨年優勝校(滝川第二)を出した兵庫県の代表校として恥ずかしい試合はしたくなかった。でも、選手権の直前になって他の代表校と練習試合を行う中で、自分たちの力がそれほど劣ってはいないことにも気がつけた。毎日自分たちは2時間の定められた練習しかしていませんが、その時間の中で選手たちはしっかりと自分の課題を見つけて取り組んでくれました。そして勝つための努力をしてくれました。チームのスローガンとして『努力は奇跡を生む」と掲げていますが、この舞台でそれを実践してくれるとは…

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同点に追いついてロッカールームに戻ってきた選手たちには『リラックスしてあと40分間楽しもう』と伝えて選手を送り出しました。その中で今日の狙いである裏のスペースを突く、そしてスピードのある後藤と、テクニックのある交代出場の渋谷がそれぞれ仕事をしてくれたのも大きかったですね。

表向きは「パスサッカー」なんて言っていますが、さすがに今日の相手(山梨学院)にはそれを出すことは出来ませんでしたが、次も兵庫県代表としてしっかりとした試合を出来ればと思っています。また、関西勢同士の対戦となりますが、どちらが勝ってもベスト8に関西勢が残るわけで、それはそれで近畿勢の活性化に繋がるので(どっちが勝とうと)それはいいことだと思っています」

そして貴重な同点弾、そして相手エースとの激闘を制したキャプテンの帷は「今はまだ勝った実感とかうれしさは出てきませんが、ホテルに帰ってテレビで見たら実感してくると思いますよ」と、いい表情で語ってくれた。

普通の公立高校でも、やる気と集中さえ切らさなければ奇跡は起こせる。市立西宮は、多くの「普通の高校生」に夢を与えてくれたと言えるだろう。さて、あと、約1時間後に彼らの「第二戦」が始まる訳だが、今日も「奇跡」を生み出せるか期待がかかるところでもある。

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第90回高校サッカー選手権・2回戦
市立西宮 3-2 山梨学院大学附属高
[得点者]
18分萱沼、80+3分藤原(山梨学院)
40+1分帷、50・77分後藤(西宮)

2012年1月 1日 (日)

浦東快勝、清商は辛勝で2回戦へ

30日に行われた国学院久我山 vs 東海大五の試合から始まった第90回全国高校サッカー選手権。昨日から本格的に大会もスタートし、残っていた1回戦の15試合が関東各地で行われ、大分、浦和東、四日市中央工が快勝スタートで発進。それに対して、前評判の高かった清水商、聖和学園、桐光学園は厳しい戦いとなり苦戦。しかし、ギリギリの戦いを制して2回戦進出。ということで、まずは1回戦の試合結果を一覧にまとめたいと思います。

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12月30日【国立】
○國學院久我山 2-1 東海大五●
得点者:8分富樫、69分右高(久我山) 、32分柴田(東海)

12月31日
【柏の葉】
●盛岡商 1-5 近大附○
得点者:55分横澤(盛岡)、18・75分黄、25分鈴木、30分刈谷、59分白井(近大附)

○聖和学園 1-1/PK4-3 香川西●
得点者:79分藤原(聖和)、45分箱崎(香川)

【埼玉】
○浦和東 5-0 那覇西●
得点者:41分鄒、61・68・72分菊池、66分菅原(浦和)

○清水商 1-0 ルーテル学院●
得点者:80+3分遠藤

【西が丘】
○鹿島学園 2-1 日章学園●
得点者:16分小菅、32分西谷和(鹿島)、12分菊池(日章)

【NACK5】
●西目 0-0/PK3-4 山陽○

●北陸 0-10 大分○
得点者:18・29武生、23分藤澤、35分清家、47・59・68分岡部、71・80分小松、75分佐保(大分)

【等々力】
○富山南 2-2/PK5-4 佐賀東●
得点者:19・74分大原(富山)、57分吉田慎、60分平(佐賀)

●帝京大可児 0-3 奈良育英○
得点者:18・74分三國、35分片山(奈良)

【三ツ沢】
○桐光学園 1-1/PK5-4 初芝橋本●
得点者:19分大田(桐光)、76分井筒(初芝)

●星稜 1-3 米子北○
得点者:40分井田(星稜)、7分真木、53・76分小笹(米子)

【駒沢】
●東久留米総合 1-1/PK4-5 済美○
得点者:73分多田(東久留米)、16分山脇(済美)

○新潟西 1-1/PK4-2 鹿児島城西●
得点者:56分山川(新潟)、67分松尾(鹿児島)

【市原】
●羽黒 0-3 四日市中央工○
得点者:21分浅野、65分田村、71分國吉(四中工)

●旭川実 2-3 徳島市立○
得点者:26分山本、80+1分秋林(旭川)、14分武田、24分山口、80分圓藤(徳島)

1回戦は以上のような結果となりまして、1月2日に行われる2回戦のカードはこのようになりました。

●西が丘サッカー場
Match29:中京大中京 vs 作陽
Match17:山梨学院大付 vs 市立西宮

●NACK5スタジアム
Match21:矢板中央 vs 高川学園
Match18:近大附 vs 聖和学園

●埼玉スタジアム2002
Match19:大分 vs 浦和東
Match20:青森山田 vs 土佐

●柏の葉競技場
Match22:鹿島学園 vs 國學院久我山
Match32:都市大塩尻 vs 立命館宇治

●駒沢陸上競技場
Match30:済美 vs 新潟西
Match23:清水商 vs 山陽

●市原臨海競技場
Match24:長崎日大 vs 市立船橋
Match31:四日市中央工 vs 徳島市立

●ニッパツ三ツ沢球技場
Match28:尚志 vs 守山北
Match25:大社 vs 桐生第一

● 等々力競技場
Match27:米子北 vs 桐光学園
Match26:奈良育英 vs 富山南

明日の対戦カードで非常に注目を集めそうなのが西が丘会場であろう。有力校同士が初戦でいきなり激突する中京大中京 vs 作陽、そしてJ1清水に内定している白崎凌兵を擁する山梨学院がこの日から登場。また、3年ぶりに冬の選手権に帰ってきた市立船橋だが、毎年初戦は厳しい戦いとなっているが、この試合でスッキリ勝って勢いに乗れるだろうか? そして市原会場の第二試合も地味に興味のそそるカードである四日市中央工 vs 徳島市立というカードが組まれている。

さらに1回戦でそれぞれ5得点、10得点と攻撃陣が爆発して快勝した浦和東と大分が激突。1回戦は「中立地」だった大分だが、2回戦は完全に「アウェー」となる埼玉スタジアムでの戦いとなるのだが、どちらが平常心で戦えるかに注目したい。

さて、ここで昨日足を運んだ埼玉スタジアムでの2試合を簡単に振り返りたい。

【浦和東 vs 那覇西】
県大会のメンバーそのままかと思われたが、左MFに11番鄒ではなく、18番の岸を起用してきた浦和東(以下浦東)。その岸が起用に答えて開始2分に左サイドを突破して絶妙のクロスを入れていく。これに抜け出した星子が合わせていきなり先制点か? と思われたが、この決定機は外れてしまう。さらに攻め続ける浦東は15分に今度はPKのチャンスを獲得。埼玉県予選決勝でもしっかり決めるなど、PKには絶対の自信を持っていたキッカーの菊池だが、那覇西のGK稲福にコースを読まれて絶好の先制点のチャンスを活かせない。

前半の早い時間で2度の決定機を迎えながらも点を奪えなかった浦東。しかし、ゲーム自体は完全に浦東のものであり、まったく危なげなく試合は進んでいく。その中でもボランチの有野、大澤は実に素晴らしい動きを見せ、那覇西がボールを持てば素速いチェックで相手のラインを下げさせていく。さらに豊富な運動量でセカンドボールのほとんどをこの2人が支配。あれだけ中盤でボールを拾えれば、浦東としてはあとは点を決めるだけだった。

だが、初戦という緊張感もあるのか、どうしても攻撃陣が先制点を奪えず、前半終了間際にも菊池のポストプレーから大澤が抜け出してまたも決定機を迎えるがここも決めきれない…

試合のペースは完全に握りながらも点が取れないことで、やや焦りも出てしまった浦東。PKを外してしまった菊池はガッカリしてロッカールームに戻ってきたが、後半になると菊池もチームも一気に息を吹き返す。後半開始早々からケガの影響もあり、スタメン起用を見送った鄒を投入。野崎監督は「ノックアウト方式の大会で戦力を温存しても意味はないですから…」と、後半から勝負に出る。すると鄒が期待に応え、後半1分に右からのクロスにファーストタッチで合わせてついに浦東が先制。

正直、この1点で完全に勝負アリであった。

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前半からまったくボールを繋げられない那覇西。ロングボールを入れても浦東の最終ラインに跳ね返され、短く繋ごうとしてもボランチ2枚の速いプレスに引っかかり、ボールを前に満足に繋げない。前にボールが入ったとしても、出しどころが無く後ろに下げてしまい、まったくと言っていいほど「攻めの形」を作れない那覇西。そんなこともあり、ゴールキックのリスタートなどで短く後ろで繋いでビルドアップしていこうとしたのだが、今度は菊池や星子のプレスに遇いそれをカットされ、さらにピンチを招いてしまう。

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この高い位置からのプレスにより、パスミス、連携ミスが生まれてしまい、那覇西は立て続けに失点。終わってみれば、PKを外してしまった菊池もハットトリック達成し、チームも完封勝利と浦和東は最高のスタートを切った。

[浦和東スタメン]
ーーー菊池ーー星子ーーー
ー岸(鄒)ーーーー菅原ー
ーーー有野ーー大澤ーーー
木村ー小畠ーー清田ー宮寺
ーーーーー平野ーーーーー

【清水商 vs ルーテル学院】
11年ぶりに「選手権の顔」が帰ってきたのだが、初戦は相手の堅い守りの前に苦しい試合となってしまった。

開始早々からペースを掴んだのは清水商。風間、佐野、中田がいい連携を見せ、左サイドを度々攻略。4分には2列目から飛び込んできた川尻がファーストシュート。そして7分にはやはり左サイドからチャンスを広げて、最後は遠藤がシュート! 完全に決まったかと思われたがポストに嫌われ先制点を奪えない。それに対してルーテルは1トップの伊藤が少ないチャンスをしっかり活かし、なんか突破口を開いていこうと突進。

清水商は初戦の堅さとルーテルの徹底的な守備の前に「らしさ」を見失ってしまい、なかなか繋ぐサッカーが出来ず難しい試合となっていってしまう。風間にボールが入れば「散らそう」という意識が生まれるのだが、それ以外の場面では気持ちだけが先走りして前に蹴ってしまい自分たちのサッカーが出来ない時間帯が最後まで続いてしまう。

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前半はまだ、繋いでサイドを崩そうという意識が強かった清水商だが、後半に入ると相手の厳しい潰し、そして焦りからボールはポゼッションしていても、バイタルエリアでは効果的な動きを見せることができず、シュートを放つことがまったく出来ない。

試合の時間はどんどん進み、あとはロスタイムの3分だけとなり、PK決着か?と思われた。だが、キャプテン風間は最後までゲームを諦めてはいなかった。時間は目安の3分台に突入し、プレーが途切れたら終了という、文字通りラストワンプレー。そこで風間が左に開いた中田に展開。このボールをダイレクトで中に折り返すと、走り込んだ遠藤がシュート! このシュートにルーテルGKの市原は反応し、手で触れたのだが無情にもボールはインゴールに転がり込み、終了間際の劇的なゴールで清水商が2回戦にコマを進めた。

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内容的には「良さ」をほとんど出せなかった清水商だが、最後の最後まで勝負を諦めなかったところはさすが「名門の力」と言ったところであろうか? 今大会限りで学校を去る大瀧監督は「1-0で勝つ事が一番難しいですよね、まあ、いい勝ち方ですよ」と語ったが、その「いい勝ち方」の意味の中には「大勝してしまうと気のゆるみも生まれてしまう。しかし、1-0というスコアであれば、必ず課題もある訳で、次戦に向けていい引き締めにもなりますから」と名将らしく試合を振り返ってくれた。

[清水商スタメン]
ーーー風間ーー佐野ーーー
ー中田ーーーーーー遠藤ー
ーーー川尻ーー小山ーーー
兼岡ー新井ーー望月ー松永
ーーーーー志村ーーーーー

2011年12月30日 (金)

本日開幕、高校サッカー選手権

今日からいよいよ始まる第90回全国高等学校サッカー選手権大会。

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今年から、昨年の各地域のプリンスリーグ上位チームのみで構成された「高円宮杯U-18プレミアリーグ(イースト/ウエスト)が発足され、これまで以上に高いレベルで実戦が行われることとなったユース年代。また、例年どおり行われた各地域プリンスリーグ、そして県協会レベルのリーグ戦などでも、トーナメント形式から、多くの選手に実戦の機会を与えることが出来るグループリーグ戦形式がさらに拡大してきたのだが、高体連所属チームにとっての有終の美となる選手権で、培ってきた「実力」がしっかり発揮されるか注目したいところだ。

さて、取り急ぎ代表校を一覧にしてみました。

[北海道・東北ブロック]
北海道:旭川実(2年ぶり3回目/プリンス北海道1位)
青 森:青森山田(15年連続17回目/プレミアイースト4位)
岩 手:盛岡商(5年ぶり16回目/プリンス東北1部2位※)
秋 田:西目(6年ぶり12回目/県1部)
山 形:羽黒(2年連続5回目/プリンス東北2部5位)
宮 城:聖和学園(初出場/プリンス東北1部1位)
福 島:尚志(3年連続5回目/プレミアイースト8位)

[関東ブロック]
茨 城:鹿島学園(2年連続6回目/プリンス関東2部Bブロック3位)
群 馬:桐生第一(初出場/プリンス関東2部Bブロック7位)
栃 木:矢板中央(2年ぶり4回目/プリンス関東2部Bブロック5位)
埼 玉:浦和東(6年ぶり5回目/プリンス関東2部Aブロック5位)
千 葉:市立船橋(3年ぶり18回目/プリンス関東1部/6位※)
東京A :東久留米総合(2年ぶり2回目/T2リーグBブロック)
東京B :國學院久我山(3年ぶり4回目/T2リーグAブロック)
神奈川:桐光学園(3年ぶり6回目/プリンス関東1部7位)
山 梨:山梨学院(3連続3回目/プリンス関東2部Aブロック1位※)

[北信越ブロック]
新 潟:新潟西(2年連続4回目/プリンス北信越2部3位)
富 山:富山南(初出場/県1部)
長 野:都市大塩尻(3年ぶり2回目/県1部)
石 川:星稜(13年連続22回目/プリンス北信越1部1位)
福 井:北陸(20年ぶり3回目/県1部)

[東海ブロック]
静 岡:清水商(11年ぶり12回目/プリンス東海1部2位※)
愛 知:中京大中京(3年連続13回目/プリンス東海1部8位)
岐 阜:帝京大可児(2年連続3回目/プリンス東海1部7位)
三 重:四日市中央工(4年連続29回目/プリンス東海1部6位※)

[関西ブロック]
滋 賀:守山北(8年ぶり5回目/県1部)
京 都:立命館宇治(2年ぶり2回目/県2部Bブロック)
奈 良:奈良育英(4年ぶり13回目/プリンス関西2部4位)
和歌山:初芝橋本(2年連続11回目/プリンス関西1部5位)
大 阪:近大附(4年ぶり5回目/プリンス関西2部1位)
兵 庫:市立西宮(初出場/県1部)

[中国ブロック]
鳥 取:米子北(2年連続7回目/プリンス中国1部3位)
島 根:大社(14年ぶり8回目/プリンス中国2部6位)
広 島:山陽(12年ぶり8回目/プリンス中国1部10位)
山 口:高川学園(4年ぶり21回目/プリンス中国1部8位)
岡 山:作陽(7年連続20回目//プリンス中国1部1位)

[四国ブロック]
香 川:香川西(6年連続7回目/プリンス四国4位)
愛 媛:済美(4年ぶり4回目/プリンス四国1位)
徳 島:徳島市立(10年ぶり12回目/プリンス四国6位)
高 知:土佐(12年ぶり2回目/県1部)

[九州ブロック]
福 岡:東海大五(11年ぶり13回目/プリンス九州1部5位)
佐 賀:佐賀東(2年ぶり6回目/プリンス九州2部1位)
大 分:大分(7年ぶり7回目/プリンス九州2部8位)
宮 崎:日章学園(5年連続9回目/プリンス九州1部7位)
熊 本:ルーテル学院(2年ぶり3回目/プリンス九州2部5位)
長 崎:長崎日大(3年ぶり2回目/プリンス九州1部10位)
鹿児島:鹿児島城西(3年ぶり3回目/プリンス九州1部8位)
沖 縄:那覇西(2年連続12回目/プリンス九州2部11位)

※は優勝経験のある学校

さて、出場校の顔ぶれを見ると、ほとんどの出場校が各地域のプリンスリーグに所属している学校であり、今年だけ強いというのではなく、継続的に強豪校で有り続けていることがよくわかる。そして今年も地区大会で注目を集めたのは千葉予選。決勝は毎年恒例になった青の市船、赤の流経柏であったが、今年は青が赤を撃破。

また、もう一つの注目対決であった静岡予選の清水商 vs 静岡学園の対戦は、清水商が勝利。来年から庵原高校と統合となるため、名門「清水商業」の名前で大会に出場するのは今年が最後。さらには全国の舞台でチームを強豪に押し上げた大瀧雅良監督は来年3月で定年を迎えるなど、いろいろな面で今大会が「ラスト」となる清商(キヨショー)。

全国の舞台でも有力校となるこの2校だけではなく、山梨学院、青森山田といった常連校が優勝候補として名前が挙がってくるだろうが、その他にも初出場ながらもプリンスリーグ東北で優勝しており、評価の高い聖和学園(宮城)、プリンス中国1部を制した作陽(山口)も上位進出が期待される。ただ、出場校の顔ぶれをみると、前回優勝の滝川第二(兵庫)や、評価の高かった東福岡(福岡)、大津(熊本)と言った有力校が予選で姿を消しており、やや寂しい感もある大会とも言えるだろう。

そしてこれも今更ですが、組み合わせは以下のとおりになっております。

12月30日(日)-1回戦/開幕戦
●国立競技場
Match01:国学院久我山(東京B)vs 東海大五(福岡)
※開会式12:10〜、開幕戦13:10〜

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12月31日(土)-1回戦
●柏の葉競技場
Match02:盛岡商vs 近大附
Match03:聖和学園 vs 香川西
●NACK5スタジアム
Match08:西目 vs 山陽
Match04:北陸 vs 大分
●埼玉スタジアム2002
Match05:浦和東 vs 那覇西
Match07:清水商 vs ルーテル学院
●西が丘サッカー場
Match06:鹿島学園 vs 日章学園
●等々力競技場
Match10:富山南 vs 佐賀東
Match09:帝京大可児 vs 奈良育英
●ニッパツ三ツ沢球技場
Match12:桐光学園 vs 初芝橋本
Match11:星稜 vs 米子北
●駒沢陸上競技場
Match13:東久留米総合 vs 済美
Match14:新潟西 vs 鹿児島城西
●市原臨海競技場
Match15:羽黒 vs 四日市中央工
Match16:旭川実 vs 徳島市立

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1月2日(月)-2回戦
●西が丘サッカー場
Match29:中京大中京 vs 作陽
Match17:山梨学院大付 vs 市立西宮
●NACK5スタジアム
Match21:矢板中央 vs 高川学園
Match18:02の勝者 vs 03の勝者
●埼玉スタジアム2002
Match19:04の勝者 vs 05の勝者
Match20:青森山田 vs 土佐
●柏の葉競技場
Match22:06の勝者 vs 01の勝者
Match32:都市大塩尻 vs 立命館宇治
●駒沢陸上競技場
Match30:13の勝者 vs 14の勝者
Match23:07の勝者 vs 08の勝者
●市原臨海競技場
Match24:長崎日大 vs 市立船橋
Match31:15の勝者 vs 16の勝者
●ニッパツ三ツ沢球技場
Match28:尚志 vs 守山北
Match25:大社 vs 桐生第一
●等々力競技場
Match27:11の勝者 vs 12の勝者
Match26:09の勝者 vs 10の勝者

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1月3日(火)-3回戦
●駒沢陸上競技場
Match39:29の勝者 vs 30の勝者
Match33:17の勝者 vs 18の勝者
●埼玉スタジアム2002
Match35:21の勝者 vs 22の勝者
Match34:19の勝者 vs 20の勝者
●市原臨海競技場
Match40:31の勝者 vs 32の勝者
Match36:23の勝者 vs 24の勝者
●ニッパツ三ツ沢球技場
Match38:27の勝者 vs 28の勝者
Match37:25の勝者 vs 16の勝者

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1月5日(木)-準々決勝
●埼玉スタジアム2002
Match41:33の勝者 vs 34の勝者
Match43:37の勝者 vs 38の勝者
●駒沢陸上競技場
Match44:39の勝者 vs 40の勝者
Match42:35の勝者 vs 36の勝者

※1回戦〜準々決勝までの試合開始時間
第一試合(カード上段)は12:05開始
第二試合(カード下段)は14:10開始

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1月7日(土)-準決勝
●国立競技場
Match45:41の勝者 vs 42の勝者(12:05)
Match46:43の勝者 vs 44の勝者(14:20)

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1月9日(月・祝)-決勝戦
●国立競技場 14:05

となっておりまして、カードのマッチナンバーと試合開催順で並べて見ましたが、今度は出場校を4つのブロックに分けて展望などを簡単に予想していきたいと思います。

[Aブロック]
市立西宮、山梨学院、盛岡商、近大附、聖和学園、香川西、北陸、大分、浦和東、那覇西、青森山田、土佐

上記でも名前を挙げたが、山梨学院、聖和学園、青森山田といった上位進出が期待される有力校が揃い、なかなか予想しずらいブロックとなっている。またそんな3校を追う存在として、ベスト8まで「完全ホーム」の埼玉スタジアムで戦える利点を持つ地元の浦和東、全国優勝優勝の経験のある盛岡商、全国大会の常連である香川西と、どれも力のあるチームが揃っており、有力3校とて楽に勝ち抜けないかもしれない。

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インターハイでは武南に敗れた青森山田だが、その武南に対して「完勝」という内容で下した浦和東は侮れない存在。地区大会決勝で見せた「相手の良さを消し去る」サッカーが出来れば、埼玉県勢として久しぶりの国立も夢ではないかもしれない。

[Bブロック]
矢板中央、高川学園、鹿島学園、日章学園、國學院久我山、東海大五、清水商、ルーテル学院、西目、山陽、長崎日大、市立船橋

このブロックも実力校が揃い、激戦が予想されるところだが、その中でも市立船橋と清水商の存在感が抜け出ていると言えよう。また、その2強の存在に食らいついていくチームとして関東プリンスで戦う矢板中央、鹿島学園を押しておきたい。

[Cブロック]
大社、桐生第一、帝京大可児、奈良育英、富山南、佐賀東、星陵、米子北、桐光学園、初芝橋本、尚志、守山北

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A、Bブロックとは違い、絶対的本命不在となるこのCブロック。どの出場校にも国立の舞台に進出する可能性を秘めているところだが、有力校を挙げるとすればプレミアイーストでもまれてきた尚志、関東プリンス1部で戦う桐光学園、北信越の雄・星陵であろうが、J1新潟に入団が決定している鈴木武蔵のいる桐生第一の存在も非常に楽しみである。

また、自分たちの活躍で「福島に元気を与えたい」と力のはいる尚志は、夢の国立にたどり着く大きなチャンスと言えよう。シーズン当初は震災の影響もあり練習もままならなかった。しかし、プレミアイーストという全国リーグを戦いながらチームは大きく成長。今年の尚志はひょっとするとひょっとするかも知れない…

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[Dブロック]
中京大中京、作陽、東久留米総合、済美、新潟西、鹿児島城西、羽黒、四日市中央工、旭川実、徳島市立、都市大塩尻、立命館宇治

このブロックもC同様、ずば抜けた有力校不在で、どこが国立の舞台に進出してくるか予想しずらいところ。ただ、中京大中京、作陽、鹿児島城西、四中工といった常連校、実力校が勝ち上がっていく公算は高い。ただ、四中工は他校に比べて組み合わせに恵まれた感もあり、初戦の羽黒戦で波に乗れれば上位進出の可能性高くなってきそうだ。

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非常に適当な展望でどうもすいません…

個人的には地元・埼玉の浦和東、そしていつも足を運んでいる群馬の代表(今年は桐生第一)に頑張って欲しいところですが、本当に今大会は例年になく予想しずらい大会でありまして、言うなれば、決勝のカードが盛岡商業 vs 作陽となった85回大会のような絶対本命不在の大会と言っていいかも知れない。

ということで、今大会も「初優勝校」が出る可能性も高いのだが、1月9日まで行われる大会をしっかり見ていきたいと思います。

2011年11月 9日 (水)

武南、選手権出場まであと2勝

第90回全国高校サッカー選手権の予選が各地で行われており、すでに青森山田(青森県)など、いくつかの代表校が決定している。そんな中で、日曜日は地元である埼玉県の予選会場に足を運んだ。埼玉予選はベスト8の段階であり、土曜(5日)の試合ではシード校の浦和東とノーシードの川口東が勝利して準決勝に駒を進めている。そして日曜日(6日)は残り2試合の準々決勝が行われた。

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【西武台 vs 武南】
ともにプリンスリーグ2部(西武台はグループA、武南はB)で戦っており、予選はシードされ決勝トーナメントから登場。武南は新人戦優勝、総体予選準優勝(総体本大会は初戦の青森山田戦では勝利したが、神村学園に敗れて2回戦敗退)で、今年の優勝候補最右翼と目されているが、この日の相手である西武台は昨年の選手権予選・準決勝で敗れた相手ということもあり、大山監督はこの試合を特に重要視していたのだ。

今年の埼玉の高校サッカーは、プリンスに出ている武南、浦和東、西武台が3強を形成し、それに伊奈学園、市立浦和、正智深谷がどこまで上位に食いついていけるか? というのが新人戦からの流れであったが、やはりプリンス組3校の力がやや抜けており、この試合は事実上の決勝戦と言ってもおかしくはなかった。

武南は夏の4-4-2からシステムを4-3-3に変えていた。夏までは5番中里がCBに入っていたが、キャプテンでもある16番田代(CB)がケガ(骨折)から戻ってきたこともあり、中里がボランチ(アンカー)に回る形となり、その前の中盤には夏以降に急成長を見せた1年生・鈴木裕也がメンバー入ってきた。

武南スタメン:4-3-3(GK鹿島、DF松本、的場、田代、穐本、MF中里、鈴木、谷口、FW亀山、遊馬、吉光寺)

西武台スタメン:4-3-3(GK三澤、DF村上、見富、恩田、平山、MF川又、泉、水野、FW面川、須賀、岩原)

さて試合だが、立ち上がりから武南が積極的な姿勢を見せ、9分までに立て続けに6本のCKを奪い、タッチに逃げても3番穐本のロングスローがゴール前まで入るなど、完全な武南ペースで試合は進んでいく。この中でも、4番的場、16番田代のCBコンビが抜群の高さと強さを見せ、あわやゴールというシーンが連発させていく。さらには、守っても高さのあるこの2人が相手FWに仕事をさせず、西武台にいい形をまったく作らせない。

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そして25分、武南はFKのチャンスを掴むと、またも的場がゴール前で競り勝つと、これが決まって武南が先制。その後も武南らしい丁寧に繋ぐサッカーで相手を自陣に釘付けにしていき、終了間際の40分にも吉光寺の突破からチャンスを掴み、FW遊馬がポスト気味にボールを落としたところに谷口が入って来てミドルシュート。これも決まって武南は非常にいい時間帯に追加点を奪う。

前半は上出来といった武南だったが後半は一変。後半開始早々からメンバーを2人入れ替え、さらに44分にも交代のカードを切ってくる西武台。それに対して武南は、2点リードという余裕からか、どうしても前半のようないいリズムを出し切れない。攻められてはいないものの、どうも攻撃のリズムが狂いだし、お世辞でも「いい内容」とは言えなくなり出すと、大山監督が危惧していたミスが続出。つまらないパスミスや判断ミスでボールを奪われ出すと、次第にセカンドボールをマイボールに出来ない時間も増え出していく。

後半の中盤以降は攻撃の形をほとんど作れなかった武南。しかし、田代が帰ってきた守備陣は終始安定しており、後半のポゼッションでは相手に圧倒されたがシュートを打たず場面はほとんどなく(実際には1本だけ)、そのまま2-0で逃げ切り成功。昨年のリベンジを果たして準決勝進出を決めた。

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前半は優勝候補らしくいい試合を見せた武南だが、後半の内容は言っては悪いが最悪の内容であり、大山監督も試合後には渋い表情で「どうしてもうまくいかないねぇ…」と愚痴まじりのコメントが出てきた。しかし、田代がチームに戻り、高さのあるCB2枚が揃い、守備力も高く、展開力のある中里を中盤の底に置く形は抜群の安定感を見せたと言えよう。

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とりあえずは選手権出場を目指す上で、2つの難敵と目されるうちの1校を破った武南。これで4年ぶりの選手権もかなり現実的となってきた。しかしだ、武南には「埼玉県代表」となるだけではなく、全国でもベスト8、そしてそれ以上を目指すチームとなってほしいのである。ここ数年は、かつてのような好成績を残せていない武南だが、やはり武南が強く無くては埼玉の高校サッカーはおもしろくならない。全国大会に出るだけなら、この日のような試合でもいいだろう。しかし、上位進出を目指すのであればこの試合内容では到底無理。

プレミアリーグやプリンス1部で凌ぎを削る、流経柏や桐蔭、桐光、前橋育英、市立船橋と比べてしまえば、武南のレベルはまだまだ下。的場、田代の強力CBコンビの力は魅力だし、本大会で全国の強豪相手にもそれなりのプレーは見せるだろう。しかし、好不調の波がありすぎる攻撃陣が、全国の強豪相手にどこまでやれるかは未知数である。だからこそ、まずは自滅しないためにも、つまらないミスは減らして欲しいもの。

チームリーダーである田代が戻ってきた武南にとって、ここから先の戦いはいかに「冷静に戦えるか」が大きなポイントとなるはずだ。

全国高等学校サッカー選手権・埼玉県予選
準々決勝(11月6日)@熊谷公園陸上競技場
西武台 0-2 武南
得点者:25分的場、40分谷口(武南)

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【大宮東 vs 市立浦和】
さて、第二試合については申し訳ありませんが簡単に。

大宮東 vs 市立浦和の試合となった第二試合だが、両者がそれぞれの持ち味を出し、非常に内容の濃い好ゲームとなった。一時期は埼玉の高校サッカーをリードした時期もあった大宮東だが、近年はやや低迷。それに対して市立浦和は、黄金期の強さは無いものの、例年まとまりのあるチームを作り、埼玉県大会では上位をキープしている。

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市立浦和は高さのある10番山田を起点に、スピードのある両サイドがワイドに展開してチャンスを作っていく。それに対して大宮東は4-4-2のシステムで、縦に速い展開で対応。前半は0-0で折り返したが、後半に入ると市立浦和がセットプレー(CK)から立て続けにゴールを奪い、2-0として優位に試合を進める。しかし、2点目を奪われた直後の57分、大宮東はDFの枚数を減らしてFWの染谷を投入。

必死の反撃に出る大宮東は、控え部員が発する「気持ち大事!」のコールに力を得たのか、試合終了間際の79分に途中交代の石川が頭で押し込み1点差に迫り、ロスタイムにもPAすぐ外でFKのチャンスを獲得。GK柴田もゴール前に攻め上がったが、最後は市立浦和の冷静なクリアでボールはタッチを割りそこで試合終了して、「市高」が武南への挑戦権を獲得。

全国高等学校サッカー選手権・埼玉県予選
準々決勝(11月6日)@熊谷公園陸上競技場
大宮東 1-2 市立浦和
得点者:46分白畑、55分名取(市高)、79分石川(東)

ということで、11月13日にNACK5スタジアムで行われる準決勝は、浦和東 vs 川口東、市立浦和 vs 武南というカードに決定。浦和東、武南、市立浦和は順当と言えるが、川口東の準決勝進出は大健闘と言えるのだが、プリンスリーグで戦う強豪校を前にしてどこまでやれるか楽しみである。そして市立浦和の攻撃を牽引する山田が、高さのある的場、田代の武南CBコンビをどう攻略するかも興味の的となってくるだろう。

2011年6月26日 (日)

武南高校、4年ぶりに全国の舞台へ

試合後「まだこのチームは子供だし、4年前に選手権に出たチームと比べれたら安定感が全然ないですがね…」と、久しぶりの全国大会出場を決めながらも、やや辛口のコメントを残した武南高校・大山照人監督。

確かに監督が辛口になってしまうのも理解できる場面もあったが、新人戦を制し、さらには県総体タイトルも目前に迫り、一つ一つ成長のステップを進めているチームの状況に「名門復活」の確かな手応えを感じさせたことだけは間違いない。

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<伊奈学園スタメン:4-4-2>
GK1戸谷、DF2斎藤、4籠谷、21田中、5野崎、MF6佐藤、10亀山、8阪依田、13石井、FW9関口、11大野

<武南スタメン:4-4-2>
GK12鹿島、DF2松本、5中里、4的場、3穐本、MF6串田、7谷口、8亀山、11田島、FW9遊馬、10森蔭

<試合寸評>
序盤は伊奈学園の速い出足の前に冷静さを失い、自分たちらしい繋ぐサッカーが出来ず、苦し紛れの蹴り出すサッカーになってしまう武南。2分、6分、9分と立て続けピンチを招き、11分にはゴール前で完全に崩され、伊奈学園が先制か? と思われたが、なんとここでシュートを空振りしてしまうというミスに助けられた武南はかろうじてピンチを乗り切る。

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序盤から気合いの入っていた伊奈学園に対して、後手を踏んでしまった武南だが、10森蔭が繰り出す独特のステップから繰り出されるドリブル突破が、眠っていた武南らしい攻撃力を呼び覚ますきっかけとなっていく。13分に左サイドを突破してチャンスを作り、16分にも松本のパスを受けて深い位置までえぐって中に折り返すと、これを11田島が見事に蹴り込んで武南が先制。

先制点を奪い、そのままリズムに乗りたかった武南だが、伊奈学園も粘り強い守備で対応し、30分以降は一進一退の攻防が続く。そんな展開の中で、36分に鋭いカウンターから11大野が抜けだし、最後は9関口が蹴り込んで同点に追いき、前半1-1のイーブンで折り返す。

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前半は個の力で打開する武南に対して、組織的連動と労を惜しまない運動量で対抗する伊奈学園という図式で互角の展開が繰り広げられたが、「もっと冷静にプレーしなさい」という指示を受けた武南が後半は前半とは違う「連動するパスサッカー」を見せ、伊奈学園を圧倒していく。

4、5、6分と連続して伊奈学園ゴールに攻め掛かり、9分のFKのチャンスから4的場が左足で合わせて2-1とする。その後もほぼ武南ペースで試合が進み、勝負どころでもあるラスト10分を迎える直前の29分にショートカウンターから9遊馬が決め、スコアを3-1として勝利をより確実なものとしていく。さらに終了間際の39分にも田島のシュートのこぼれ球を松本が拾い、最後は途中交代の福田が蹴り込んで4-1として試合終了。

序盤こそヒヤヒヤする展開となってしまった武南だが、冷静さを取り戻した後半は相手を圧倒したが、攻撃力以上に目に付いたのがセンターバックを務めた的場ー中里の安定した守備力だ。試合後の大山監督は中里に対しては「大会に入る前はレギュラーではなく、ほとんど使ったことがなかったんだけど、試合やるたびに成長してくれたね」と、計算出来る選手がまた一人増えたことに素直に喜びを表した。

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また、攻撃の起点にもなった森蔭に関しては「あいつは性格的に難しいんだよ(笑) チャランポランだからなあ… ただ、積極的にやる姿勢は悪くはないし、何をするか良くも悪くもわからない。だからたまに、中で(ボールを)受けたのにゴールと遠い方向に進んでいく時もあり困ってしまうよ(笑)」と評してくれたが、「何かやってくれそうな面白い選手である」ということは、監督も実は認めているようだ。

ただ、監督も現状のままでは「まだまだ」ということはよく理解している。

「もっと連携を高めること、そしてミスを無くしていかないと全国で戦えないことはよくわかっています。昨年、西部台が全国で活躍できたことは、前にいい選手がいたから強かったというよりは、チーム全体がとにかくよく走れていた。それに比べて今年のウチは走れてはいない。走れないチームが、じゃあ、どうやって戦えばいいか? どうすればいいのか? という点につては、プレーの精度を上げて、ミスを無くすことしかないですので、大会までにもっと良くしていきたいと思っています」

久々の全国出場権を得た武南。期待も高い反面で、全国優勝を知る智将いとっては、「まだまだ」というよりは、「ここで満足してはダメ」というニュアンスを多分ににじませながら語ってくれた。しかし、そうは言っても「取るべき人」もしっかり得点し、10年ぶり(監督談)のインターハイ出場となったことは素直に喜んでいいだろう。

全国大会と名の付く大会に、4年前ぶり(冬の選手権)に帰ってきた武南。前回大会では西武台がベスト4まで進出したが、今年は「白と紫(準決勝はセカンドの緑でしたが…)」の伝統校が旋風を巻き起こすことに期待したい。

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2011年6月25日 @立正大グラウンド
総体埼玉県予選 準決勝
武南高校 4-1 伊奈学園総合
[得点者]
16分田島、49分的場、69分遊馬、79分福田(武南)
36分関口(伊奈)

なお、第一試合に引き続き行われた準決勝第二試合では、浦和南が後半に先制したものの、直後に追いつかれ、そのまま1-1のまま延長戦に突入したが、延長前半に浦和東CKのチャンスから頭で押し込み勝ち越し。2-1のまま逃げ切って浦和東もインターハイ出場権を獲得。なお、本日行われる決勝戦での勝者が埼玉第一代表となり、昨年、西武台がベスト4入りしているため、シード枠に入り2回戦から出場となり、準優勝チームは1回戦からの出場となる予定だ。

2011年5月19日 (木)

プリンス1部:大宮ユースvs前橋育英

2011プリンスリーグ関東 1部リーグ
第4節@NACK5スタジアム
大宮アルディージャユース 2-1 前橋育英
[得点者]
33、90分小山(大宮)
62分松井(育英)

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今更で申し訳ないですが、日曜日にNACK5スタジアムで行われたプリンスリーグ関東の試合を。

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昨年はプリンス2部で対戦したが、その時は1-1のドロー。そして今年は1部リーグでの対戦となったのだが、今回も最後まで緊迫した試合展開が続いた。

[大宮ユーススタメン]
ーーー小沢ー吉田ーーー
ー小山ーーーーー平野ー
ーーー大山ー青木ーーー
菊池ー工藤ー高野ー飯高
ーーーーー川田ーーーー

[前橋育英スタメン]
ーーー横山ーー松井ーーー
ー外山ーーーーーー白石ー
ーーー小川ーー高森ーーー
山田ー唐木澤ー新谷ー山本
ーーーーー川原ーーーーー

大宮ユースのメンバーは昨年からのレギュラーも多いし、DFの工藤将太郎はU-18、GKの川田修平はU-17、ボランチの大山啓輔はU-16と、それぞれ世代別日本代表に招集されており、サイドバックの菊地翔も2009年にU-15代表に選ばれるなど、飛び抜けた逸材が揃っている。

それに対して今年の前橋育英だが、前橋FCが2008年のクラブユース(U-15)ベスト8進出時のメンバーがベースとなっているのだが、昨年からトップチームで活躍しているのは松井聖也と白石智之ぐらい。しかし、そうは言っても毎年しっかり戦えるチームを作ってくるところはさすがに強豪校。

そんな両者の対戦だが、育英はキックオフで始まったボールを繋ぎ、FW横山が巧くボールを収めてはたくと、後ろから入ってきた高森がいきなりシュート! 育英は幸先良くシュートを放ったのだが、その後が全く続かない。2分にはCB工藤のパスからピンチを招き、続くCKから小山のシュートを浴びてしまい、大宮ユースの動きの前に圧倒され続けてしまう。

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大宮ユースは、運動量が豊富な青木が中盤の底を広くケアすることで、1年生ボランチの大山は攻撃への比重を高めていく。また、両サイドハーフの小山、平野が常に高い位置を取り、それと連動して菊地、飯高も攻撃にどんどん加わっていく。そして7分、平野がボールを持つと、飯高が後ろから走り込んできてボールを受けると迷わず強烈なシュートを放つ。決まったか? と思われたシーンだったがここはバー直撃。

その直後にも、今度は左の菊地が駆け上がってクロスを入れるなど、大宮ユースが完全にゲームを支配。続く10分、17分にも、サイドバックが絡む分厚い攻撃を仕掛ける大宮ユース。そんな素晴らしい攻撃を繰り出す相手に対して育英は、必死に跳ね返すだけで全くボールを前に繋ぐことが出来ない。育英らしい中盤の底から展開していく形が出来ず、押し込まれている状況もあり、ただ前にボールを蹴り返すだけが続く。

手も足も出ない状況の中、山田監督は松井、白石、外山のポジションを入れ替え、何とか打開を図ろうとするのだが、それすらも上手く行かない…

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そして33分、工藤から大山にボールが入り、これを右サイドに展開。右を駆け上がった飯高が中にクロスを入れると、ファーで拾った小山が豪快に蹴り込んで、ついに大宮ユースが先制。

一方的に攻め込みながらも、相手CBの粘り強い守備の前になかなか得点が奪えず、このままスコアレスで折り返すとイヤな流れになるかも…という展開であったのだが、右の平野とともに、再三チャンスを作っていた左の小山がついに育英の壁をブチ抜いた。その後も、大山の創造性あふれるスルーパスなどでチャンスを作る大宮ユース。しかし、追加点を奪うまでには至らず前半を折り返す。

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さて、前半は何一つ自分たちの思い通りにならなかった育英だが、後半に入ると「本来の姿」を取り戻し、今度は自分たちのペースで試合を進めていく。

6分に白石から高森に渡り、最後は松井がシュート。その直後にも高森ー外山の連携からチャンスを作り、明らかに前半とは違う早い出足を見せる育英。前半は防戦一方となってしまった育英だが、後半になると運動量が格段に上がっただけではなく、「自分たちで仕掛けろ」「サイドを有効に使え」という山田監督の指示をしっかり遂行して流れを引き寄せていく。

12分、14分にも連続してチャンスを掴んだ育英は、17分(62分)に松井からボールを受けた右の山本が中へクロス。そしてこれを松井がニアでバックヘッドで流し込み、ついに育英が同点に追いつく。

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高い技術と戦術眼を備えたJユースに対して、高体連チームの良さといえば、勝負を諦めない強い精神力と衰えない運動量。試合後、大宮ユースの横山監督も「カウンターの精度と運動量が時間とともに上がってきましたね」と相手を評したが、まさにその通りであり、育英はハーフタイムを挟んで完全に別のチームとなり、後半は鋭い出足と豊富な運動量でセカンドボールの大半を支配。その結果、育英らしい縦に力強いサッカーが展開されるのであった。

後半20分を過ぎると、大宮ユースの運動量が劣りだしたこともあり、いつもの「ウラを狙う展開」が増えてくる育英。それに対して、前半ほどの連携が減ってしまった大宮ユースは単発の攻撃ばかりとなってしまう。しかし、そうは言っても「個の力」で上回る大宮は、27分、途中交代で入った中山がシュートを放ち、決定的場面を迎えるが、ここはGK川原がファインセーブを見せ得点を与えない。

大宮ユースの攻撃に対して育英も意地を見せ、29分には斎藤(途中交代)からの左クロスに白石がオーバーヘッドでゴールを狙うも、ここは上手くヒットせず。両者ともに一進一退の攻防を繰り返す中、36分に大宮ユースは前半抜群の働きを見せた飯高に代え小泉を投入するのだが、この采配が勝利へと導いていくこととなる。

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試合はほとんど止まることなく、スピーディに進んでいたこともあり、ほとんどロスタイムはないだろう…と思われた。そしてまもなくロスタイムを迎えるという場面で、小泉が上げた右からのクロスに小山が頭で合わせ、値千金の2点目を奪う。そしてここで試合はロスタイムに突入。

AT表示は「1分」

そして最後の最後で育英はゴール前でFKのチャンスを得るのだが、白石の直接狙ったボールは枠を外してしまい、そのままタイムアップ。土壇場で決勝点を挙げた大宮が劇的な勝利を飾ったこの試合だが、両者にとも複雑な試合でもあった…

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これで通算成績を2勝1分1敗として、この日の相手である育英を抜いて5位に順位を上げた大宮ユース。しかし、勝ったとは言え、前半の「出来すぎ」の内容であれば、1点ではなく、2点、3点と欲しかったところだが、追加点が奪えず後半になって運動量が下がって苦しい試合となってしまったことは反省点。

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だが、そうは言っても大宮ユースがこの日見せた攻撃はどれも素晴らしいものであり、攻撃陣だけではなく、DFラインの攻撃参加、攻撃の組み立ての良さが目に付いたこの試合。その裏には、横山監督の「DFであっても、プロを目指す上でテクニックは外せない」という信念(要求)があったことを見逃してはならない。

昨年プリンス2部に昇格したチームであり、今年は1部リーグで戦っているが、「高円宮杯プレミアリーグ」所属チームと全く遜色ない実力を保持する大宮ユース。今年はプレミア所属クラブと公式戦で戦う機会はクラブユース選手権、Jユースカップしかないのだが、今からこれらの大会で、プレミア所属クラブとの対戦することが非常に楽しみになってきた。

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そして育英だが、後半の出来が最初から出来ていれば、こんな試合にならなかったことは間違いない。(2勝2敗で6位に後退)

試合後の山田監督は厳しい口調で「もっと自信を持ってプレーしないでどうする? 自信、積極性がないからプレーが中途半端になるし、ミスも生まれてしまう。さらには、集中しなければ行けない時間帯(ラストの失点シーンを指すと思われる)でやられるなんて、甘すぎるんだよ。チームとしてもっと成長しなきゃダメ」と手厳しく選手に感想を述べた。

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確かに試合の入り方というか、前半は相手の動きに圧倒され、為す術なしであったが、気持ちを切り替えた後半は「いつも育英」がそこにあった。本当は出来るはずなのに、ふとした流れから、自分を見失ってしまったチームに山田監督は不甲斐なかった。そして、同点になった後から無難なプレーが増えてしまったことにも指揮官は残念だったのである。

やれば出来るのに、やりきれなかった育英。

今年は昨年以上にチームが大きく入れ替わったこともあり、まだまだチームが完成にはほど遠い状態。しかし、流れさえ掴めば、この日のようなテクニックの高い相手に対しても、主導権を握って試合を展開できることを示したことは評価していいだろうし、冬に向けて手応えを掴んだことだけは間違いない。

あとは、恐れずにいかに普段の自分たちを出し切り、育英らしいサッカーが出来るかに掛かってくるはずだが、まずはインターハイに向けて、チームがどう成長していくか見守っていきたい。

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