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2017年3月19日 - 2017年3月25日

2017年3月21日 (火)

ファン重視だからこその提言

藤枝MYFCの大石監督という人は、これまでの取材などを通して「心を揺さぶる人だ」と常々思ってきたのだが、先日の対 FC東京U23戦における試合後の話を聞いて、その感じ方はやはり正しかったと確信した…

ちょうどこの試合の1週前に行われた、SC相模原 vs 長野パルセイロのゲームにも行って来たが、この試合の後半に物議を呼びそうなプレーがあった。0-1で相模原負けている中で得たセットプレーのチャンス。そしてこの場面でPA内で相模原FWと競り合っていた松原が「ファールないよ!」的に手を挙げてアピールしていたが、その次の瞬間、こぼれ球を拾った相模原の選手がシュート。なんとこのシュートが松原の手に当たったのだった。しかし主審の判定は「故意ではない」とジャッジし、ノーファールの判定でプレー続行となった。

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そして試合後、相模原・安永監督は「これは批判ではなく、あくまでも問題提起として捉えてください」と前置きした上で「故意ではないとは言え、そもそも手を挙げていなければシュートが手に当たることは無かった。手を挙げる必要性も無かったのにわざわざ挙げて当たったものは、故意、故意ではないに限らずハンドでしょ? その曖昧な基準はおかしいですよね」と話してくれていた。

そして話を本題の大石監督の件に戻そう。

実はこの試合でも物議を呼びそうなプレーが2つあった。最初は0-1とホームの藤枝が1点リードされている展開の中で迎えたCKのチャンス。ここで藤枝が同点ゴールか? というシーンが飛び出し、副審もゴール判定をする仕草を見せたが、レフリーは「ゴールラインを超えてはいない」とジャッジし、副審に確認することもなく、プレーは続行された。

これに関してゴール裏にいたので確認していたが、間違いなくインゴールだった。しかし、あのプレーの際にDFと藤枝の選手がともにもつれるかたちとなり、その反動でゴールとぶつかって、ゴールの位置が若干ズレたことが判定を難しくさせる要因にもなっていた。

そしてもう一つのプレーが、このノーゴール判定からあまり時間が経たない中で飛び出した。攻勢に出る藤枝が高いラインを保っていたが、その裏のスペースを突かれてカウンターからGKとの1対1の場面を迎えてしまう。そして藤枝GK田口が、入って来た相手選手をPA内で倒してしまった。

大石監督も試合後「あれはPKでしょうね」と語ったように、見ていた人の大半も同じようなことを感じたはずだが、主審の判定はまさかのノーファール。この二つを踏まえて大石監督は試合後、こんな意見を語ってくれた。

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「どっかのバカがさ(大石監督と安永監督は以前からの友人であり、S級取得時の同期でもある)、先週なんかまくし立てちゃったみたいだよね(笑) 気持ちはわかるけど、言い方というものはやっぱり考えないといけないと思いますよね。

でもやっぱり、彼(安永監督)の言葉じゃないですが、ジャッジはハッキリして欲しいとは思います。まあ審判も人間だから間違いはあるとは思いますし、今日の2つジャッジなんかは帳尻合わせという感じもしましたよね? だって僕がいた位置からだって「入った」のはわかりましたし。

でも僕としては「入った、入っていない」を争う訳じゃなく、副審がアピールをしていたのだから、確認ぐらいあってもいいのでは? という部分は徹底して欲しいと思います。またその後のPKなんかは、僕が見たって「やってしまった」と思いましたし、あそこで取られて2点目を失っていたら、今日は間違いなく勝てなかったとも思います。そして『たぶんそう思う』の話になりますが、その前のノーゴール判定の後だったから『取りにくいな』という心理的な部分が影響してのジャッジだったたとも思います。

でもね、帳消し的にジャッジしたらそれはいけないと思うんです。僕も選手だったから、そう思える場面は何度かありましたよ。でもね、僕は選手たちに『ジャッジの判定に異議は唱えるな』と普段の練習から言い聞かせているので、ウチのノーゴール判定には何か言うつもりはありませんよ。ただ、あのジャッジで勝ち点3を失ったかも知れないFC東京(U23)さんは浮かばれないじゃないですか? それにね、観に来てくれているお客さんに対しても、疑問を感じさせるジャッジがあるのは失礼だと思うんです。

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サッカーのゲームって、自軍の11人と相手の11人の22人で作るものではないんです。審判団の4人を含めた26人で作るものだし、26人それぞれがみんなを尊重し、信頼しあって初めて出来るものだと思うんです。そして観に来ていただいたお客さんに、いい試合を見せなきゃいけないじゃないですか? でもそんな『帳尻合わせ?』とみんなが感じるようなジャッジをしてしまったら『なんだよそれ…』と感じてしまう。

今年から審判団に対して、試合後に意見・報告出来るようになったじゃないですか? だからウチのノーゴールはともかく.「あれはPKではなかったのか?」とは質問するつもりでいます。さっきも話しましたが、負けた場合、判定に不服を唱えるというのは僕が選手に説いている『異議を言わない』の精神に反するので言いませんが、今日はとりあえず勝ったし、相手が被った不利益でもあるので質問するつもりでいます。やっぱり、ジャッジには信頼を置きたいじゃないですか?」

このように、会見とは別の場所で話をしてくた大石監督。

大石監督が言いたいのは、ジャッジ一つで勝った負けた!ではなく、あくまでも「いい試合をお客様に見てもらうために」質問するということ。そして友(安永監督)の本当に意図していた部分がわかっていたからこそ、大石監督も敢えて問題提起をしてくれたのであった。

過去にいくつかのジャッジに対して物議を呼ぶものがあったが、その大半は勝った、負けたや自軍の利益のためという側面が多かったが、今回の『大石提言』は『Jリーグ全体の発展と、ファンを大切にしたい』という思いがあるからこそ。

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こう言ってのけることが出来る、大石監督の器の大きさに感銘を受けるとともに、こんな人として素晴らしい大石監督に指導を受ける藤枝MYFCの選手が羨ましくも見えた。試合内容に関しては、まだまだな部分も多く、観客数動員でも他のクラブよりも劣ってはいるものの、地道にひとつずつ成長する藤枝のクラブの成長を、今後も見守りたい。

2017年3月20日 (月)

宇野沢祐次がもたらす「一体感」

昨日のゲームは3-0で勝利した長野パルセイロ。



スコア的には快勝かもしれないが、流れの悪い時間帯があるなど、改善すべき点もあった。しかし「改善すべき点はある」と言っても、昨年とは意味合いが全く違う。昨年は「どうするべきなのか…」であったが、今年は「もっと良くなるために」という前向きな改善点だ。



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そんな昨日の試合で、最も大きな仕事をやってのけたのは宇野沢祐次だった。昨年は6試合0ゴールと、長野に移籍してからワーストの成績で終わり、周囲どころか本人すらも「終わり」を覚悟した。しかしGMとして帰ってきたミノさんは「このクラブに絶対必要な男であり、彼抜きのクラブはありえない」と考え、今季も契約を結ぶに至った。



開幕戦こそベンチ外であったが、ホーム開幕戦となったこの試合では、満を持してのベンチ入りとなったウノ。そして71分、ついに出番の時がやってきた。しかしこの時間帯は、ラインを上げられず相手に押し込まれる苦しい展開が続いていた。こんな難しい時間帯だからこそ、ベンチは「ピッチ上に安定をもたらしたい」と考え、ウノの投入をチョイスした。



浅野監督も「彼がいるといないでは全く違います」と試合後に話したとおり、宇野沢投入後の長野は変わった。ベンチとしては当然ゴールという結果も欲しいところであったが、それ以上に「安定、安心」をもたらすことをまず求めたが、選手はウノの登場により、間違いなく「スイッチ」がはいった。そしてピッチの選手を後押しするサポーターも、宇野沢登場にボルテージは一気に上がった。そして登場から6分後に、宇野沢自身だけではなく、このクラブに関わる人、全てが待ち望んだシーンを迎えた。一度は跳ね返されたシュートを再び押し込み、約1年9ヶ月ぶりのゴールがホームスタジアムで生まれた。

ピッチ上の選手は「ウノさんがゴールを決めたんだから、絶対にこのまま勝つ!」と、それぞれ強い気持ちを持ったし、それにより厳しい時間を乗り越えることも出来た。さらにその結果として、最後に佐藤悠希のゴールも生み出すなど、ベンチが想像した以上の効果を生み出した宇野沢投入。

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しかしこれこそが、美濃部GMが「必要な選手」と言った根底にある部分でもある。彼は単なるストライカーなのではない。このクラブにおいては、唯一無二の精神的な柱でもある。彼が練習であろうと、試合であろうと、ピッチに立てば空気は変わるもの。昨年のことについては、もう今更なのでなにも言わない。ウノにしてもチームにしても「そんな時間はあるもの」なのだから。しかし今は、美濃部GMも浅野監督も「いるだけで空気を変えられる選手」と考えている。スタメンで使うのか? それとも今回のように「スーパーサブ」としての起用になるかはわからない。しかし監督にとっては、背番号10は特別な存在であり、どんな時でも「やってくれる」という強い信頼がある。

確かに冒頭に書いた通り、決していい内容ではなかったこの試合。しかし、宇野沢という柱が苦しい状況で入ったことで、チームに今年のスローガンである「一体感」というものが生まれた長野。宇野沢祐次の復活とともに、今年の長野は「違う」ということは確実にアピールできたはずだ。

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