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2017年4月21日 (金)

一種カテゴリークラブの登録減少傾向を考える

今回は、一種カテゴリーの中で中心となる、社会人サッカー(アマチュアカテゴリー)に関わる、アマならではの過密日程の話と、一種クラブの登録数減少傾向について考えていきたいが、まずは『過密日程』の話から初めて行きたい。



先週の日曜日、普段からお付き合いのある埼玉県リーグ1部所属の大成シティ坂戸FCの公式戦へ行ってきた。そしてその試合後、シティの小西選手と中村選手と一緒に、次に行われたアルマレッザ入間 vs ドリームス(東京国際大4軍)との試合を観戦した。そこでは、選手ならでは視点や戦術など、なかなか興味深い話をしながらの観戦となったが、ちょっとした雑談の中から「選手と仕事」の話になり、それが「社会人サッカーと過密日程」という話まで発展(笑)。



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『今日みたいに、前日から比べていきなり10度以上気温が上がるとキツいっすよね』と日体大サッカー部出身である中村選手が話すと、かつてザスパ草津チャレンジャーズでプロを目指してプレーしていたコニが『ダイキさん、出てきていきなりヘバってましたよね(笑)』と振ると、さらにダイキが『いや、オレ今日これから仕事なくてホント良かったわ(笑)。あったらヤバかった』と続ける。そこで私が、『そういえばさ、マヒト(千葉選手)は去年、アメリカ出張から帰ってきて、すぐに試合に出てたよね?』と話を振ると、二人は『そうそう、人数足りないからって、無理に来てもらったんすよね』となり、さらに『中居さん(前シーズン限りで引退)もそれ、あったよね』となり、『これ、社会人ならではの過密日程っていうヤツだよね(笑)』という感じで話が続いていった。



ここまで、かなり個人的な話ですいません。
さて大成シティ坂戸FCには、何名か『前所属・ルミノッソ狭山』という選手がいますが、彼らがかつてプレーしたチームは職場からの援助も打ち切られてしまったこともあり、最終的に廃部という形になってしまったが、今なお本田技研工業の社員として普段は仕事に励んでいる。そんな中で、会社での業務の一環として、海外出張や研修などがあり、社会人ならではの『過密日程』というものとも戦いながらプレーすることもある。また、ホンダで働く選手だけではなく、他の選手も『オレ、今日これから仕事なんで、後半15分ぐらいで交代にして』なんていう場合もあるし、実際に開幕戦でこれはあった。



彼らは本当にサッカーが大好きで、やれる限り高いレベルでやりたいと常に願っている。しかし彼らプロ選手ではなく、普通の会社員として生計を立てていることもあり、仕事とサッカーの両立というものをやっていかなければいけない。まあ普通の社会人サッカーをやっている人なら、ごく当たり前の話でもあるが、このようにハードのスケジュールな中でプレーしている選手もいるんだ!ということも、ぜひ知ってほしいところ。また、現在は中国社会人サッカーリーグに所属する三菱自動車水島FCは、JFL所属時代『夜勤明けでそのまま遠征』なんていうハードなスケジュールをこなしながら試合に挑んでいたなんていうこともあった。



過密日程というものは、言い方は悪いが、別にACLを戦うJクラブ勢や、日本代表の『海外組』だけの話じゃない。



でも社会人サッカーの面白さ、魅力、好きになるポイントというのは、見ている側と同じように普段は仕事をしながら、空いた時間にトレーニングして、週末の試合のためにすべてを努力する選手たちが、週末のピッチ上でガラリと別人となることじゃないかな?と思ったりもする。そう、アイドルのキャッチコピーではないが、普通の社会人が「週末ヒロイン」ならぬ『週末ヒーロー』になるということこそ、魅力であると言えるだろう。



彼の実力はプロに比べてしまえばそれは低いかもしれない。だが、自分と同じような生活をしている人間が、週末になるとちょっと輝くヒーローになる。そんな見方が出来れば、カテゴリーに関係なく、そのにあるサッカーや選手に対して、自然にリスペクトできるはず。そしてこの件は、サッカーだけの話じゃない。どんなスポーツであろうと、競技志向でやっているアマチュア選手は、もっとリスペクトされていいと思う。そして見る側が、そんなアマチュア選手たちを支えることこそ、『そのスポーツの裾野を広げる』ということにも繋がっていくし、スポーツ文化というものを地域に広げていくきっかけになるし、減少傾向が進んでいるアマチュアクラブ数の歯止めをかけるきっかけにもなると考える。



さてここまで、仕事と競技の両立という観点で見てきたが、ここからは『アマチュアカテゴリーの減少傾向』という部分にもっと触れていきたい。



2016年度の都道府県ごとの正確なデータが出ていないところもあるため、ここでは社会人サッカー連盟がこれまでに公表してきた数字(2007年度〜2015年度まで)をもとに、一種カテゴリークラブの登録数が減っている現状をまず記していきたい。



まず、一種カテゴリークラブの登録数がピークを迎えたのは、日本がワールドカップ出場を決めた1997年度で、この時の登録数が7968チーム。そしてここから10年後の2007年度は6646と減少したが、2015年度の統計で調べた際には、ピーク時の数字から約4割減となる、4842チームと大きく数を減らしてしまっている。また、各県の登録状況を見てみると、面積の広い北海道(382)がやはり一番多く、2番目に兵庫県の366、3番目に埼玉県の342と続くが、300以上の登録クラブ数を記録するのはこの3地区だけとなっている(4位以下は静岡286、東京271、京都233、愛知157、福岡151、神奈川147、大阪142)。それに対して最小は秋田県の19で、山形25、青森・和歌山28、三重31という順になっている。



さらに10年前の登録クラブ数と比較した際に、結果的に登録数がプラスになっているのは宮城県(58→113)と福岡県(108→151)だけで、静岡県(462→286)、埼玉県(509→342)、兵庫県(478→366)は100クラブ以上の大幅減となっている。また、正全国的な確な数字は出てはいないものの、2016年度は神奈川県を除いたほぼ全地区でさらに減少が進んでいる模様だ。



このように、各都道府県協会に登録する一種カテゴリークラブ数の減少に、なかなか歯止めが掛からない状態が続いており、日本サッカー協会も全国社会人サッカー連盟も喫緊の課題として改善に取り組んでいかなければいけないという認識はそれぞれ持っている。また社会人連盟側では、登録が減少していく要因を、登録費用や大会参加料などの問題や、試合会場の確保や試合運営に関わる手間、3級以上の審判資格保持者の所属が必須になる件などがネックになり、登録数が増えていかないというのが大きく影響していると考えている、



このような『煩わしさ』が登録増を阻む要因になっているのは疑いのない部分でもあるが、それ以上にインターネットの普及が進んだこともあり、やりたい仲間だけを募って、自分たちだけで『サッカーを楽しむ』という環境が進んでいることも大きく影響しているだろう。登録するためには費用も手間もかかるし、規則もある。さらに『競技志向』ではなく、とにかくサッカーを楽しみたい!という、『エンジョイ志向』のクラブや個人は、より登録というものを避ける傾向にあると言えるだろう。



楽しんでやりたいのに、時には本気のチームとやらなければいけなくなる。そうなれば、相手にも失礼になるし、何よりやっている自分たちが面白くなくなってしまう。だからこそ、自分たちと同じようなレベルが集まり、独立した自分たちのリーグを作ってやったほうがいいというのは、ある意味で自然な流れでもある。



そんな現状に対して、特に社会人連盟の方では、『エンジョイ志向』の人たちが、どうすれば登録してくれるか? どんなメリットを作っていけば登録が増えて行くか、ちょうど今試行錯誤を続けている最中でもあるのだ。その中の一案として、登録費用の無料化案や、ビギナークラスの公式リーグ戦を設定するなど、いろいろな案を検討すると同時に、登録しているクラブへの「サッカーファミリーとしての特典」というものをどう設定するか?を練っている。



社会人連盟では、現状の「全社」「地域CL」「クラブチーム選手権」という、3本の柱を崩すこと、日程を変更していくということは考えていないとのことだが、社会人連盟の牛久保会長は『何よりもエンジョイ志向の人たちを、まずサッカーファミリーの仲間になってもらうことが大事だと考えます』と話してくれているように、これらのサッカー志向層も取り組める大会作りというものをやっていきたいと考えているし、アマチュアでは大会への参加する際の遠征費や、その大会でかかる経費を負担するようなプランも検討していきたいと語ってくれている。



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エンジョイ層を取り組むことで、どう一種カテゴリーが変わっていくか? ということを見通すのは、現状ではちょっと難しい話かもしれない。しかし、高校、大学まで本気でサッカーに打ち込んでいた選手が、卒業と同時にプレーする機会がない、プレーするクラブがない。だからプレーすることをやめてしまうというのは、サッカー界にとって損失だし、もしかすればそのまま埋もれてしまう才能もあるかもしれない。どんな形であろうと、プレーする場所を提供し続ける。そして生涯現役というものを実践し、サッカーというスポーツが日本の文化となっていくために、もっと本気で協会も連盟も、いわゆる『エンジョイ層』というものを代表チームを頂点とした『サッカーファミリーの仲間』として取り込んでいく必要がある。



今のアンダーカテゴリーサッカーの話題といえば、J3カテゴリーの拡大が最大の話題でもあるが、J3クラブを拡大することに以上に、しっかりとしたアンダーカテゴリーと、幅広い底辺や土台というものを、まずはしっかり作っていくことのほうが大事なのでは?と思うのだ。J3というカテゴリーにも「定数」というものが、近い将来生まれることとなる。そうなれば、J3からJFLに降格するクラブも当然出てくることとなる。そうなった時に、JFLや地域リーグといった『受け皿』が脆弱であったら、落ちてくるチームが受けるダメージは相当なものになってくるもの。またちょっと視点を変えると、現状の地域リーグでは、大学勢のセカンドクラブの進出が各地で増えてきているのだが、そこでプレーしていた選手たちが卒業する際に、プレーしようと思ったら元の場所(カテゴリー)より下でやるしかなかった。だからやめてしまった…では、それも悲しいこと。



大学勢の進出を、単純に悪とは決めつけないし、時代背景的にも各地域リーグの1部で大学勢が有力クラブになることは仕方がないことでもある。だが、仕方がないで終わらせてしまったら、『彼らの卒業後の場所』というものの選択肢を減らしてしまう結果にも繋がってくる。だからこそ、登録クラブ数は増えてほしいし、今1部や2部にいるクラブは、なんとか切磋琢磨して、ともに同じリーグで戦う学生たちの『受け皿』としての役目も担ってほしいとこと。また、そんなアマチュアクラブを盛り立て、やる気をさらにアップさせるのは、見る側の役目でもある。



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一種カテゴリーの再浮上とは、クラブ、協会、サポーター、それぞれが自分のできることを考え、それを行動に移していくこと。それができた上で、初めて綺麗なサッカーピラミッドというものが完成するのだが、今はまず社会人連盟と各都道府県協会が、どんなテコ入れをするか見守りたいし、サポーターたちの盛り上げにも期待していきたい。

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