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2015年3月20日 (金)

2015年の長野が目指す方向性とは?

2015年明治安田生命J3リーグ 開幕戦
町田ゼルビア 0-0 長野パルセイロ



正直なところ、結果にしても、内容にしても『予想どおり』とも言えたこの試合だが、この結果(内容)に対してポジティブに捉える人、危機感を抱く人、さらには『こんなもんなのか?』と捉える人など、感想は様々に分かれるところかも知れないが、一つだけハッキリ言えることは、現時点で長野パルセイロというクラブがJ3でナンバー1クラブではないと言うことだろう。



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当然ながら、長野エルザ時代から見続けて来ているからこそ、このクラブに対する思い入れは強いものがある。しかし長野以外のJ3クラブの補強状況、さらには仕上がり具合にトレーニングマッチの内容なども合わせて、各クラブの「現時点での力」というものを冷静に判断した場合、申し訳ないが今の長野をJ3ナンバー1と言うことは出来なかった。



サッカーを広く見ている人ならば、いかにいい選手をたくさん集めても、絶対的な強いチームにならない場合があることは知っているはず。確かに大型補強を行えば、期待値というものは高まるものだが、その反面で『単純な足し算だけで強くなる保証はない』と言う意見も必ず出て来るものだ。まあ確かに、やって見なければわからないという世界でもあるが、それを差し引いたとしても長野パルセイロの補強は不安を感じるさせるものでもあった。



離別を選択した戦力(選手)に対して、迎え入れた戦力により、更なるパワーアップを図るのが補強の大原則だが、今年に関しては『プラスα』の幅が少ないことは気になっていた。そんな状況の中でキャンプに突入したが、そこでエースの宇野沢が十字靭帯損傷という大怪我を負ってしまい、前半戦絶望という最悪のシナリオを迎えてしまった。さらに宇野沢以外でも故障者が数名出てしまったことにより、仕上がりと言う部分でも『万全』とは言い難い状態で開幕を迎えていた。



だからこそ現時点で『J3リーグナンバー1』とは言えない現実があった。しかし、勘違いしないで欲しいのは『長野が弱い』と言っている訳ではないことだ。JFL初年度となった2011年以降、リーグ戦での結果は常に2位以上の成績を残すなど、その安定した力は今シーズもしっかり維持しており、当然優勝を争うクラブの一つであることは間違いない。あくまでも、現時点で『1番ではない』と言っているだけの話である。



しかし、昨年の入替戦で讃岐にあって長野に無かった『圧倒的な個の力』というものを、シーズンオフに補うのか? という部分に注目していたのだが、J2リーグでの経験値も高い千石廉を獲得したものの、結果的に大きな目玉となる補強はないままでシーズンに突入した現実に対しては、不安が残るところでもあった。そして、理想通りの補強をやりきれなかった、クラブの厳しい現状にもだ…



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例えば今シーズンの新しいユニフォームを見て欲しい。ここ数年は胸、袖、背中と全て位置にスポンサー広告の入ったユニフォームであったが、今年は背中の部分には入っていない。こんなところにも、昇格を逃してしまった影響が及んでいるし、コスト削減のため選手人件費も限られた予算内で人選しなければいけなかったこともあり、思い切った補強に出られなかった。仮に今シーズンで昇格を決めたとしても、実は経営状態が、「真っ赤でした」なんてことなることだけはどうしても避けたかった。だからこそ、バクチに出るのではなく、『我慢しつつ、その中で結果を出す』という、堅実路線を選んだ長野パルセイロ。



そして開幕戦の相手だが、長野とは対象的に積極的な補強を行い、プラスαの部分では間違いなく今季のJ3ではナンバー1となった町田ゼルビアだった。例えば開幕戦のスタメンではなく、サブの選手を見て欲しいのだが、他のJ3チームであればスタメンでもおかしくない名前が並んでいる。確かに『足し算』だけで戦力を図ることが全てではないのはわかるが、J3というカテゴリーにおいては、選手個々の『ポテンシャルの違い』はJ2以上に物を言うからこそ、町田の『やる気』というものも、とても強く感じるのだった。



このように、補強に成功した町田と、そして公式には『不満がある』とは言わない(言えない)が、自分たちが感じている不安(不満)を『まだチームとしてのポテンシャルは完全ではない』という言い方で留めた長野という両者が開幕戦で対戦したが、冒頭にあるとおり町田ペースでゲームは進んだ。



シュート数だけではなく、バイタルエリアへの侵入回数、ビルドアップから展開が繋がって行く回数など、ほとんどの点で町田は長野を上回っていた。そして長野の攻撃という部分では、昨年の悪い時を再現するかのように、松原のロングスローと山田の突破以外、見るべきものが無かった。繋ぐサッカー、攻撃的サッカーと言われた、これまでの姿を開幕戦で見ることは全く出来なかった。しかし、このゲームだけを見て『今年の長野はこんなもんなんだ』と判断するのもまだ早い。



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このゲームでは、お世辞でも攻撃陣の出来はよくなかった。美濃部監督も『お客さんにとってはつまらなかったと思います。でも、今のウチの状態からすればこんなもんですよ。3トップで入ったけど、ボールが前で収まらないから形も作れなかったですからね。それに相手がもっとワイドに来るかと思ったら、予想以上に縦に入れてくる回数が多かったこともあり、ラインが中々上げられなかった。まあ今は我慢しながらの時期なんで、無失点で抑えて勝ち点を取れたから決して悪いとも思っていません』と話をしてくれたが、今の状態がよくないことを理解しているし、さらには宇野沢もいない状況だからこそ、大橋を入れて守備を安定させる3ボランチシステムも準備して来た。そして流れが悪い中でも、しぶとい守備で町田の攻撃を凌ぎきったことこそ、やはり長野には底力があるという証しにもなったと感じるところでもあったが、実はこの守備こそが今年の長野のポイントになるのでは? とも感じている。



昨年J3で優勝したツエーゲン金沢だが、攻撃力以上に鉄壁を誇った守備力が優勝の原動力になったことは誰もが認めるところ。そして思い起こせばツエーゲン金沢というチームも上野監督(現レノファ山口監督)が堅守速攻の形を植え付け、全社からの復活でJFL昇格を勝ち取った(※誤認した内容をそのまま掲載してしまい申し訳ありません。こちらの部分に関しましては、お詫びして訂正します)。そして現在の森下監督も一時はポゼッションサッカーを目指した時期もあったが、昨年は現実的なサッカーに切り替え、強固な守備力をベースに粘り強い戦いを見せて最終の3巡目に首位に立って、そのまま優勝をものにしたのだった。



長丁場であり、さらには同じ相手と3度対戦するJ3というリーグは、レベルはともかく、『やりにくい』リーグであることは間違いない。だからこそ昨シーズン、序盤から首位を走っていた町田は終盤に失速してしまった。優勝候補と見られていた長野も相手からの徹底した対策を練られて苦戦を余儀無くされた。



確かに戦力をアップさせ、最初から圧倒的に勝って、堂々とJ2に上がりたいという理想論はどのチームにだってある。しかし、その理想論を実践することが難しいことを知らしめた昨シーズン。さらに長野にとっては、昇格を逃したことで『予算』という部分で無理出来ない事情もあった。だからこそ、今年の長野は理想論だけではなく、勝ち点を積み重ねられる現実的なサッカーを求められるシーンが増えて来るはず。



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堅守をベースに、少ない手数で得点を奪い、リードを守りながら終盤を迎える。そして同点に追いつこうと相手が前に出てくれば、これまで積み重ねて来た攻撃的サッカーもやり易くなるはず。だからこそ、今は辛抱の時となる長野。



次節はついに南長野でのホームゲームとなるが、相手の相模原はベースになるチーム力は別として、プラスαの幅だけで見た場合には長野よりも上回るはずであり、またしても難敵と言える相手を迎える。正直、1週間で劇的によくなる可能性は低い。だが、長く、難しい戦いが続くリーグ戦なのだからこそ、焦る必要もない。開幕戦も「勝てなかった」と、捉えるより、悪い中で町田の勝ち点から2を奪い取ったと考える方が無難。



現状から考えた場合は、今からエンジン全開にする必要もないのだから、ひたすらしぶとく、泥臭く戦い、夏を過ぎたぐらいまでに良くなればいいのである。そのためにも、今年の長野には『繋ぐ』ということだけではなく、いかに効率良く勝つか? をとことん求めてもらいたところだ。

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