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2014年8月11日 (月)

美濃部パルセイロが直面する正念場

前半戦が終え、後半戦に突入しているJ3リーグだが、そのリーグの中で主役になると思われた長野パルセイロの調子がどうも上がってこない…

前半戦のラストゲームとなった首位町田とのゲームで1-0と敗れた長野。確かに現時点では町田の方が上であるということを思い知らされるゲームとなったが、内容的には悲観するほどのもではなかった。そしてそれ以降のゲームだが、天皇杯を除いたJ3公式戦だけで見れば1勝2分1敗。果たして、この数字を悪くないと見るのが妥当なのか? はたまた、停滞していると見るべきか? 結論から言えば、停滞であり、さらにはチームの流れが決していい方向には流れていない印象を強く感じさせた。

その要因はなんなのか? と言われれば、たぶん毎試合ご覧になっているサポーターも重々承知しているはず。そう、前へ行こう、ゴールに迫って行こうという「推進力」が上がってこないのであり、言い方を変えれば攻めに転じた時の連携が良くないこと、そしてアタッキングサードの動き(連携)が良くなっていないことに尽きるだろう。

これに関して分析していけば、理由は2つに別れる。1つは対戦相手の長野対策がしっかりやれていること。現在の長野の基本形は3-4-3だが、前線に3人を置いたところでも、相手からケアすべきポイントは「宇野沢だけ」と見切られてしまっているところ、そして長野攻撃陣のポイントでもあるアタッキングサードの動きを完全に封じ込められてしまっている点だ。

昨年の佐久で行われた町田戦を思い出して欲しい。あの試合は、おもしろいぐらいに三人目の動きがきれいに決まり、町田守備陣を翻弄したのだが、今はそのアクションが全くと言っていいほど見られないのだ。いや見られないというよりも、やらせてもらえないという方が正しいだろう。中盤のセントラルに位置する大橋、向にボールが入る前に、相手側は守備のアクションをスタートさせ、彼らの動きを「ヨコ」だけに限定させるディフェンスをすることで、全体のボールの動きをサイドサイドに追いやり、スピード感を奪い、さらには時間を掛けさせることで、簡単にバイタルに入らせないやり方を徹底させて来ている。

そして2つ目として、新戦力として迎えられた山田のポジションどりから考える、全体の「ズレ」についてだ。確かにここ数試合、彼の積極果敢なドリブル突破がチャンスを生み出しているのだが、彼のポジション取りはタッチラインぎりぎりの場所が多く、連携をとる佐藤との「距離感」がどうしても気になるところでもある。例えば西口と勝又の右サイドは、適度な間隔を保っている場面が多いのだが、山田と佐藤の距離感は、右に比べて離れすぎている感もあるため、佐藤が3トップの左という位置取りよりも、連携面、そして守備面を考慮してトップ下気味に居場所をずらしている時間帯が多くなりつつある。そしてこの微妙なポジション間隔のズレというものが、チーム全体に波及してしまい、連動性が失われてしまっているのだ。

以上の2つの点が重なり合い、長野は思うようなゲームが出来なくなって来てしまっているのだが、長野が不調に陥ったという考え方は半分は当たっていると思う。だが、長野が調子を落としてしまった以上に、他のライバルたちが先駆者を研究し、レベルを上げて来たという面を見逃してはならないだろう。

ではチームはどうしたらいいのであろうか? やはりバランス感、やりやすさから考え、ここは慣れ親しんだ4-4-2、もしくは4-2-3-1の形に戻し、もう一度「前への推進力」を取り戻すことが一番なのではないだろうか? そしてもう一つ大事なこととして、選手一人一人が「勇気」を持って常に一つ前のポジションを取ろうと意識を持つことだ。今の長野を見ていると、「リスク回避」を意識したような「アリバイポゼッション」ばかりが目につくのだが、これは相手にとって思う壺であるし、会場でクラブを応援する人たちから「夢」を奪うようなもの。

美濃部監督はこれまでの話の中で、何度も「お客さんが喜んでもらえるような魅力的なサッカーをやりたい」と語ってくれているが、今の長野は厳しい言い方をすればそれは出来てはいない。美濃部監督が就任して以来、バドゥ時代、薩川時代を超越する強さとおもしろさを身につけ、JFL優勝という勲章を得てJ3という新しい戦いのフィールドに出た。そして初代J3チャンピオンになってJ2へ乗り込もう! と目標を掲げた今年であったが、ここに来て勢いが失速してしまったことは否めないし、美濃部パルセイロにとって、本当の意味での正念場を迎えたと言えよう。

しかし、この逆境を乗り切れれば、美濃部監督が植え付けたサッカーが「本物であった」という証になるのだが、その反面でここを乗り切れず流れに流されてしまえば、残念ながら「それまでだった」という評価に甘んじることになる。そしてここから先の数試合の結果によって、来年戦う「カテゴリー」も決まってくるはずなのだが、果たしてどうなっていくだろうか…

そんな中でクラブには、不調であるとはいいながらも、高いポテンシャルがあると信じている。早いもので、このクラブを見だして10シーズン目になるが、多くの選手が今年1年で伸びたのではなく、地域からJFL、JFLから現在という流れの中で、対戦相手に勝つだけではなく、クラブの中で厳しい競争をした上で戦力として勝ち残ってきた選手たちなのだからこそ、ポテンシャルが低い訳がない。結局のところ、今の不調とは上に記した様に細かい要因はいくつかあるのだが、それを覆そうとする中で「もう一歩前でプレーしよう」という勇気を持ってプレーすることが、復調への近道となっていくはず。だからこそ、美濃部監督も、そしてチームを支えるサポーターも、「信じる心」を持って、この正念場を支える力となってもらいたいし、これをなんとか乗り切って、さらにJ2入りにふさわしいクラブになってもらいたいものである。

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