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2013年5月12日 - 2013年5月18日

2013年5月17日 (金)

北信越で実現した師弟対決

かつて「無駄に熱い」と呼ばれた北信越リーグ。だが、当時4強と呼ばれたチームのうち、3チームが卒業していくと2011年シーズン以降は普通の地域リーグになったかと思われたのだが、再びこのリーグに熱い戦いが帰って来た。

かつての4強の一つであるJAPANサッカーカレッジ(JSC)に、昨シーズンリーグ初制覇を達成したサウルコス福井、そして1部昇格3年目にして初優勝を狙うアルティスタ東御の3チームによる戦いだ。その中でも、昨シーズン優勝を果たしたサウルコスは大物選手の補強こそなかったものの、昨シーズンのJFL最優秀監督である、前V・ファーレン長崎監督である佐野達氏をGM兼任監督として招聘。さらにアルティスタは、佐野が監督をしていた長崎のヘッドコーチだった堺陽二を監督に招き、今季は「まさか」の師弟対決が北信越の地で実現することとなったのである。

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さらに佐野と堺と言えば、長崎での関係だけではなくザスパ草津での関わりも忘れてはならない。2005~06年までは選手とコーチ、07年からは新米コーチとベテランコーチ、そして2009年は監督とコーチとして、5年間群馬の地で一緒に成長してきた仲間であった。また、何よりもザスパの前身であるリエゾン草津から唯一Jリーガーになった堺の存在を、実力だけではなく人柄的にも評価していた佐野は、常に自分のそばに置いてきた。

これまでは「先生と生徒」「部下と上司」と言ったような関係であった2人が、場所を変えて今度は「対等な立場」で激突することとなったのである。

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ここまでの両者の成績だが、サウルコスは4戦全勝で首位を走り、アルティスタは降雪の影響で1試合未消化だが、こちらも3戦全勝で暫定2位(もう一つのライバルであるJSCは3勝1敗)。

地元出身の元Jリーガー、梅井大輝をはじめ、10人の選手が新加入となったサウルコス。佐野体制一年目ということもあり、それなりにチームに変化はあったものの、予算の都合もあり他地域のライバルクラブのような大型補強とまでは行かなかった。しかし、それでもS級保持者であり、Jリーグ、JFLで指揮を執った佐野の手腕は注目であったし、「どう変わったのか?」がこの日のポイントであり、そんな変わったライバルに対して、「熟成」を選んだアルティスタがどう挑むのかも楽しみでもあった。

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さてゲームの方だが、ともに4-2-3-1とベースになる戦い方はまったく同じ形であった両者。だが、10番坂井のゲームメークと、梅井のロングフィードを軸に攻撃を展開するサウルコスが立ち上がりからペースを握っていく。それに対してアルティスタは、ボランチの三橋、土屋の「元パルセイロ組」が勢力的に動き回り、流れが悪い中でもしっかりと相手の攻撃に対応していく。また、トップ下に入った元松本山雅の斉藤も随所でベテランらしいしぶい動きを見せ、傾きそうな流れをうまく食い止める働きを見せる。

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そんなゲーム展開の中で、最初に決定機を迎えたのはアルティスタだった。37分にカウンターからチャンスを掴み、左サイドを抜け出した藤丸が絶妙のクロス。フリーで石戸が入ってきて頭で合わせるも、ここは惜しくも枠の外でチャンスを逃してしまう。

結果的に、前半はサウルコスが終始ペースを握ったものの、両サイドのスペースをワイドに使う「佐野好み」な攻撃を繰り出す事が出来ず、優位に試合を運びながらも決定機を作り出せないまま、スコアレスで後半戦に突入していく。

そして後半だが、いきなりサウルコスは危ない場面を迎えてしまう。49分にGKがバックパスの処理をもたつく間に、相手のプレスを受け「あわや」というシーンが生まれてしまう。そしてその直後の50分、今度はDFのパスを西井がカットすると、素早く中へ入れると藤丸が合わせて劣勢だったアルティスタが先制点を奪っていく。

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それにしても、なんともお粗末な失点シーンであった。失点の直前にバックパスの処理にもたついていたのだからこそ、GKもDFラインも集中した動きをしなければいけない場面であったのに、立て続けに緩慢なプレーを見せてしまってはどうにもならない。そして「もう一度あるかも」と感じ、プレッシャーを掛けにいった西井の動きは実に素晴らしいものであり、この1点が試合のペースを一気にひっくり返すこととなる。

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リードを奪ったアルティスタだが、三橋、土屋がセカンドを完全に制圧し、サウルコスに思うようなゲームをやらせない。そしてセカンドを奪っては素早い攻撃を仕掛けて、再三サウルコスゴールに迫っていく。しかし、ホームでは絶対に負けられないサウルコスも必死の反撃を見せ、70分に坂井の縦パスから、抜け出した亀山が起死回生の同点ゴールを奪う。

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こうなると、ホームであるサウルコスの方に流れが移って行くかと思われたが、この日のアルティスタはここから粘り強さを発揮。同点となってからはしっかりブロックを形成し、カウンター主体のサッカーに切り替え、うまく相手の攻撃に対応。そして何よりも、「佐野のサッカー」を知る堺だからこそ、「ワイド」を使わせないうまい守り方を見せていく。

そんな守備を見せる相手に対して佐野監督からは、驚きの言葉が出たのだった。

これまでの草津や長崎の時には、ワイドな攻撃を仕掛けろという意味を込めて「幅っ~~~~~~あ!」「オーガナイズ!」という言葉を連発していたが、この日は「狭く!」という予想外の指示を飛ばしていたのであった。

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佐野監督の予想外な言葉が出たこの状況の中で、残念ながらホームのサウルコスに決勝点を奪う力はなかった。アルティスタも「アウェーで勝ち点1は決して悪くはない」ということもあり、無理をせず終盤はリアクションの姿勢を崩さす、初の師弟対決となったこの試合は結局1-1の痛み分けで終了となった。

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さて、試合後に「狭く!」の意図を佐野監督に問うと、このような答えが返ってきた。

「本当はもっとワイドを有効に使った攻撃をしたいですよ。でもね、今のウチのチームに相手の状況を見ながら、それが出来る選手がいないんだよね。狭くと言っても、中央を狙えという訳ではなく、自分たちがしっかりやれるスペースで、やれることをしっかりやりなさいということなんだけど、セカンドもほとんど拾えずに苦しい試合になってしまったね。

前半のうちに2点は決められるチャンスがあったのに、そこで決めきれないから苦しい試合になってしまう、(失点時の)ミスが出てしまう。

今日の試合なんかさあ、今週ほとんど練習に出ていない選手が試合に出ているんだよ。信じられる? 仕事の関係もあってどうしても練習に出られないのは仕方が無い。でもね、練習に出ていない選手をスタメンで使わざるを得ないというのもちょっとねえ…

まあ、僕がチームを見だしてからまだ時間も短いですし、これからですよ。関心を持ってくれるお客さんももっと増やしてかなければいけないし、もっと地元に対して知名度を上げていかなければいけない。クラブの環境も良くしてかなければいけないし、やることは山ほどあります。だからこそ、チームもクラブも良くなるまで時間がかかるかもしれませんが、まずはもっとゴール前でのシーンが増えるような見ていて楽しいサッカーが出来るようにトレーニングしていきます」

正直、佐野監督らしいサッカーが出来なかったサウルコスだが、この日に限っては「相手」がやや悪かった気もする。佐野サッカーを最も知る男であり、現役時代は華のあるプレーヤーではなく、必死さ、泥臭さがウリだった堺陽二のチームである。そしてヨージは試合後「こうじゃないサッカーをやりたいんですけどね」と、苦笑いしながらこう続けてくれた。

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「本当はね、もっと違う形(攻撃的)でやりたかったのですが、今日はまあ相手のホームだし仕方が無いかなあとも思います、ただ、本当に選手は最後までファイトしてくれたし、特に後半はいい流れを作る事ができたので収穫だったと思います。

まあ、戦術的な部分でも、もっと取り組みたいと思うのですが、それは次の対戦の時に出せればと思います。あとは前半のやや消極的な部分が消えれば最高なんですけど…」

まだ監督に就任して時間は短いものの、昨年とほぼ変わらないメンバー構成ながらも、昨年以上のチームに仕上げている感が強いアルティスタ。土屋や斉藤といったベテランに、関東大学リーグで戦ってきた若い選手がうまく融合し、かなりいい感じでチーム力をアップさせてきていることを強く実感させてくれた。どこでプレスをかけに行き、どこで奪うか? どう攻撃を仕掛けるか? という約束事が徹底されてきており、この日の戦い方を見る限る、実は今年の優勝候補はアルティスタなのでは? と感じてしまう部分もあったほどだ。

もし、今週末に行われるJSCとの試合で勝てば、一気に優勝候補に躍り出る可能性もあるアルティスタ。選手としてはJリーガーになれたものの、FWとして結局ゴールは奪えなかった。ある意味で悔いも残った現役生活だったかも知れないが、サッカー人としての「第二の人生」は実にいい滑り出しのように感じられたのであった。

さて、試合後の佐野監督に戻るが、ヨージとの再会の後にこんな言葉も残してくれた。

「ヨージがしっかりファイトするチームを作ってくれて、なんか原点を思い出したような気がしましたね。昔、自分が草津町でチャレンジャーズを指導していた頃を。

アルティスタのサッカーは、それに通じるものがあるし、やはり『必死さ、ひたむきさ』があったし、それの大切さを改めて感じた気がするし、懐かしさを感じたね…」

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佐野達が指導したチームの中で、最も厳しい環境の中にあると言えるサウルコス福井。GMという「全権」を持つ立場になった佐野だが、それは監督以上に難しい立場でもある。これまでのように現場を強くするだけではいいという立場ではない。時にはクラブのトップとして、時には営業マンとして、いろいろな顔を持って24時間クラブ運営に力を注がなければいけない。さらに、福井のサッカー熱はこれまでの群馬や長崎に比べて決して高くはなく、チームが置かれているカテゴリーも下(佐野がザスパ入団時はJ2)である。

長期的ビジョンを持ち、じっくりと行きたいところでもあるが、そう長い時間を掛けられるほど、クラブに「体力」がある訳でもない。難しい状況の中で、どう結果を出していくのか? どうクラブを変えていくのか? という、難しい問題に挑戦する佐野達。

決して平坦な道ではないと思うが、この日の相手が見せてくれた「必死さ、ひたむきさ」を、自分たちもしっかり持ち続ければ、夢で終わるのではなく、必ず現実のものとなるはず。

今は佐野達を信じ、彼の新しいチャレンジがどう進んでいくのかしっかりと見極めたいところでもある。

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2013 北信越サッカーリーグ 5月12日@テクノポート福井
サウルコス福井 1-1 アルティスタ東御
[得点者]
70分坂井(福井)
51分藤丸(東御)

2013年5月15日 (水)

Mio戦から見る長野が持つ課題点

あいにくの天気で、この時期としてはやや肌寒い状態となった南長野球技場。さて、このスタジアムをホームとする長野パルセイロだが、10節を終えた時点で7勝1分2敗という成績で3位につけており、美濃部監督に替わった今季も安定した力を発揮。

これだけ書くと、「なんだ、今季も強いんだ」と読み取れるかも知れない。まあ、結果が出ている以上、当然ながら弱いわけはない。だが、去年よりさらに強くなったのか? と、問われれると、そこは「???」となってしまうのが今の長野パルセイロ。

開幕5連勝スタートと、幸先の良い滑り出しを見せたのだが、あくまでもそれは「結果だけ」の話。じゃあ内容は? と言われれば、危うい試合もいくつかあった。だからこそ5節・金沢戦の試合後、美濃部監督は「アウェー3連戦となる6〜8節は難しい試合になると思う」と語っていたのだが、その言葉のとおり1分2敗と3戦で勝ち点は「1」しか積み上げられなかった。さらに6節の秋田戦では、勝ち点3を失う以上のダメージがチームを襲うこととなる。

今季は3トップの一角として開幕からレギュラーに定着し、宇野沢、大橋とともに「チームになくてならない存在」にまで成長した松尾昇悟が、この試合で右脚の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)を接触プレーの際に骨折してしまい、全治6カ月の重傷と診断され今季は絶望的となってしまった。

松尾自身にとっても「痛すぎる」ケガだったが、チームにとっても大きなダメージとなってしまったことは否めない。今季から3トップシステムを取り入れ「守備も攻撃も前からガンガン仕掛ける」というチームコンセプトを最も現していた松尾の離脱は何よりも痛かった。

松尾負傷離脱以降、チームは初の連敗を喫してしまったが、再び持ち直して前節は薩川前監督率いるFC琉球に勝利し、いい流れをやっと掴んでホームゲームを迎えたのだったが…

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さて、雨の中で迎えたJFL第11節はMioびわこ滋賀をホームに迎えて行われたが、天候同様な「どんより」したゲームとなってしまう。

前節の試合が月曜に行われたこと、さらには沖縄(FC琉球戦)での試合だったため火曜日が移動日となったことで、この試合に向けての準備が中3日となっていた長野。そんな状況もあり、どうしても全体の動きだしが鈍い。さらに相手のMioだが、前節が日曜開催だったこと、そしてホームだったこともあり準備は万端。そして、長野対策をしっかり練ってきたこともあり、立ち上がりから相手に思うようなサッカーをまったくやらせない。

ポゼッションで優位に立っているのは長野であり、攻め込んでいるのも当然長野。しかし、この日の試合はどうも後ろでだらだら持ちすぎる時間が長い。そしてサイドへの展開もあまり生まれてこない。簡単に言えば、まったくと言っていいほど連動から発生する攻撃が生まれないのである。

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こうなると、完全にMioの思うつぼ。そして前半26分、唐突な形でゲームが動きを見せていくことに。DF陣の不用意なファール。そしてルーズなマークを元長野の鎗田は見逃さず、そこを突いて合わせていき、Mioは少ないチャンスを効率よく活かしていく。

今シーズン初の「先制点」を奪われた長野。しかし、先制点を奪われても慌てなかったところはさすが。流れが悪いなりにも39分のセットプレー(CK)のセカンドから川邊が頭で押し込み同点として前半を折り返す。

それにしてもこの日の長野は流れが悪すぎた。

いつも以上にCBの位置でのポゼッションが長過ぎた。美濃部監督は「CBでもポゼッションできないと、今のサッカーではダメ」と以前語っていたが、この日の場合は意味のあるポゼッションではなく、単に出しどころがなく仕方が無いので持っていただけであった。さらには後ろでボール持っている間に、Mio守備陣はパスの供給先である中盤、前線のキーマンをがっちりマークして、パスの出しどころを限定させていく。

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そしてもう一つ、この日の長野は相手が引き気味だったこともあり、前からのプレスがあまり掛からず、いつも以上に間延びしたラインが気になるところでもあった。

さて後半だが、またも守備陣の不用意なプレーが飛び出してしまう長野。51分、川邊のパスミスを東矢にカットされると、そのまま持ち込まれて豪快なミドル弾を浴びてしまう。

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このシーンだが、当然ながら川邊のミスは誰の目にも明らかだったのだが、もう一つ気になる点もある。川邊のパスミスをさらった東矢が、ほぼフリーの状態でシュートを放っていたことだ。当然ながら、マイボールをカットされたため、誰も行けなかったことは確かである。だが、中盤の3人がうまくバランスをとり、スペースを埋めていればあんなにフリーになる事も無かったであろうと…

ゲームはこの後、ホームでの敗戦は絶対に避けたい、いや勝たなければいけない長野はシステムを3-4-3に変え、必死の攻撃を見せていく。そしてアディショナルタイムは3分台に突入したところで、上がっていた川邊が再び頭で押し込んで土壇場で同点に追いつく事に成功。さらにその直後にも宇野沢が直接FKの機会を得るが、ここはMioのGK永冨のセーブもあり得点を奪えず、ゲームは2-2のドローで終了。

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川邊の2ゴールで追いついた試合だが、2失点の原因を作ってしまったのも彼であり、ゴールを決めても決して褒められるものでなかった。また、試合内容自体はもっと褒められるものではなかった。

パスの出しどころが見つからず、困ったあげくのポゼッション。出してみれば正確なビルドアップには繋がらない。相変わらず改善されない中盤の連携。前からのプレスもあまり掛からない… そして何より、孤立しまくってしまい、ほとんどボールに絡めなかった宇野沢…

しかし、この日の動きの悪さは、決して長野の動きが悪かったから、という訳でもなく、したたかに計算され尽くされたMioの策略があったからだ。

ここで、試合後のMioびわこ滋賀、東監督のコメントを読んで欲しい。

「ラッキーな形で点が入ったので、勝てるかもしれないと少し思いましたが、最後は当然(1点取られてしまう)のような結果になったかな? という印象です。

まあ、前回(昨シーズン)は0-4で負けたということもあり、守備的に行ってチャンス(カウンター機会)をうかがおうということで、選手を送り出しました。さっきも言いましたが、ラッキーな形で点が入ったので、ああやって守る事でウチがリードする時間をもっと伸ばしたかったのですが、シュート数にしてもポゼッションにしても圧倒的に長野さんの方が上だったし、これまでの10試合の結果からしても、そうなること(点を入れられてしまうこと)はわかっていたので、今はアウェーで勝ち点1を取れて帰れる事をプラスに考えたいと思います。

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また、ウチの選手に関してですが、やる事がはっきりしている(組織的に守った事)ということよりも、今これしか僕たちにできることがないので、それをやりきったまでの話だと思います。

あと、長野さんの5番の大橋選手、10番の宇野沢選手はJFLの中でトップクラスの選手であり、ウチの選手と比べたらスキルはまったく違います。だからこそ、そこにボールを触らせたくないし、ボールを行かせたくない。

他の選手であれば、ウチの選手でもまだ対応できる。ただ、その2人に関してはウチの選手なら2人で囲んでも取れないぐらい、いい選手だと思っているので、とにかくそこにボールを触らせない、入れさせないようにする。それをするために逆算して、ある程度CBとかにボールを持たせてもいいかなあという分析をしていました。

今日の長野さんだけではなく、日本人選手の悪いところでもあるのですが、フリーになりすぎると(考えすぎるので)何も出来ない、というところがあった(ある)と思います。だからこそ、ああいう守り(組織的な)方が有効なのかな? とも思いますね。」

CBの選手にボールを持たせること、大橋、宇野沢に「プレーさせない」ということは、完全に戦略であり、その「策」にはまってしまった長野。

そんな状況に対して、長野・美濃部監督は「システムでサッカーをしている訳ではないので、今日の形が悪かったから次にこう変えようとかはありません。あくまでも、自分たちが目指す攻撃的なサッカーを目指すために日々のトレーニングから精度を上げていきたい」と語ってくれたのだが、現状ではまだまだ目指すサッカーに到達するのは時間が掛かりそうである。

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5連勝していたときも、内容がいい試合の方が少なかった。中盤のバランスの悪さは相変わらずである。松尾不在により、前からのチェイスが減ってしまったことも否めない。そしてこの日も大橋は3枚目の交替要員として試合途中でピッチを去ったが、彼の「良さ」が消え去ってしまっている今の中盤3枚というやり方に、どうしても違和感を感じざるを得ないのだ。

美濃部監督は「システムでサッカーをやってはいない」と会見でコメントしているが、どうしても今の中盤構成が悪いと感じてしまうのだ。

正直に言えば、大橋のパートナーは泥臭く動ける野澤の方がいいと感じる。だが、チームを新しいものに変え、さらにあと3年先を見据えると考えるなら、若い有永に期待を託すこともわからないではない。そして3トップの下に入る畑田の存在だ。

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攻撃になった時の連携は良くなりつつある。だが、守備面での貢献はほとんど見られない。有永の動きも、まだまだスムーズとは言えない。そうなると、大橋の役目はこれまでのバランサーから「後ろの掃除役」という側面だけが強くなってきてしまい、彼が持っている良さが半分も出てこない試合が続いてしまう。

このチームに、宇野沢と並んで攻撃を牽引してきた向慎一はもういない。そして、前から献身的な動きをしてくれた松尾も負傷により離脱中。

この日のMioのように、徹底的に研究してくるチームももっと出てくるだろう。そんな相手に対して、どうブロックを打ち破るのか? また、これから先に対戦が予定されている町田、讃岐と言った上位チームとやるときに、どこまで個もチームも「ベースアップ」できるかも大きな鍵となってくる長野。

新チームとなって、すぐに結果が出てこないのは仕方が無い。だが、走ること、ファイトすることは、戦術理解とは関係ない場所にある。だからこそ、もっと運動量を増やして大橋の負担を減らしてあげれば、ゲームが変わってくるはず。そして動くことにより、相手のマークも外れるし、スペースも生まれる。

美濃部監督が求めるサッカーに近づけるためには、戦術と連動よりも、もっと単純なところから改善すべきなのではないだろうか? チームがさらに良い方向に変わっていく「一番の薬」は、実はとても単純な事ことなのかもしれない…

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2013 JFL第11節 5月11日@南長野
長野パルセイロ 2-2 Mioびわこ滋賀
[得点者]
39・90+3分川邊(長野)
26分鎗田、51分東矢(Mio)

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