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2013年12月26日 (木)

逆戻りしてしまった大学選手権

12月14日から始まった第62回全日本大学サッカー選手権(以下インカレ)だが、今大会はこれまでと違って出場チーム数が拡大し、過去最高となる24チームによる大会となったのだが、それに対して大会日程の方は決勝まで中2日、もしくは1日しかないという、短期集中開催型の大会として行われた。

そして大会の方は、昨日決勝戦が行われ、大阪体育大学が28年ぶり2度目の優勝(※28年前は引き分けのため大阪商業大学との両校優勝であり、単独優勝としては初)で大会は終了したのだが、今回は決勝戦や大会の内容ではなく、「大会日程の組み方」について考えて行きたい。

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まず上記にもあるとおり、短期集中型開催についての是非である。これについては、各チームの監督からも「なんでこんな日程なんでしょうかね?」と苦言に近い形で試合後に話していたし、決勝に進んだ国士舘大学は準決勝で新村、平松という2トップが2人とも負傷交代となってしまい、結局決勝では新村は欠場となってしまい、強行出場した平松もとてもではないが試合が出来る状態ではなく、22分で交代を余儀なくされるなど、過密日程が仇となってしまった感を拭えなかった。

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仮に決勝のスケジュールが例年どおり、1月4日以降であれば、両チームのコンディションは間違いなくよくなっていたはずだし、ケガの回復も見込めたはずである。ただ、過密日程ということにフォーカスを当てるなら、じゃあ「総理大臣杯」はどうなんだ? という話にもなる。あちらはこの大会とは違って「真夏」という、より厳しいコンディションの中でほぼ中1日という日程の中で行われており、厳しさという点では、インカレ以上のものがある。

しかしだ、「夏の王者」という大学タイトルの一つではあるものの、どのチームもシーズンを通しての「成果」が試されるインカレの方に「重み」を置いていることは否定出来ない。例えばここ4年間、他校がうらやむタレントを擁しながらも、インカレ出場を逃し続けて来た流経大の中野雄二総監督は、シーズン当初から「優勝は出来たら嬉しいが、まずはインカレ出場権を得られる粘り強いチームを作りたい」と語るなど、多くのチームにとって大臣杯に関しては、「到達点を目指す過程の一つ」と捉えている。

だからこそ、出場チームを増やし、試合数も増えることになったこの大会を、本当にグレードの高い「大学版チャンピオンズリーグ決勝トーナメント」にする必要があったのだが、結果的に発表された日程は大臣杯同様の短期集中型開催であり、学連側は本当にこの大会を質の高いものにしたいという意識があるのか? と疑ってしまうぐらいだった。これであれば、まだ例年通りの開催の方がまだマシであったし、本来なら14日に1回戦を組み、2回戦を21日、ベスト8を23日、準決勝を28日、そして決勝を1月5日以降とすべきではなかったのではないだろうか?

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まあ、関東の試合会場はいろいろな大会が入っていることもあり、なかなか会場を抑えにくいという問題もあるので、その点を考慮すれば今回の日程を全否定することも出来ない事実もあるのだが、もう少し粘り強く話を進めて「選手のコンディション重視」での大会日程を組めなかったのかを、もう一度反省してほしいところでもある。

そしてもう一つ、選手のコンディションだけではなく「有料イベント」をやるということを、学連側がどこまで本気で考えていたのか? ということである。

「大学サッカー」という学生が主となる有料イベントだが、別に学生だけが見に来る大会ではない。普通にサッカーが好きな人、そして学校のOB関連など、さまざまな「一般層」いるわけなのだが、それらの人にとって、土日や祝日はいいとしても、平日の昼間に試合を組んで、果たしてどれだけの人が会場に来てくれるだろうか? 「人が来やすい曜日、時間でやること」が有料イベントの鉄則なのだが、それを度外視した今大会。結果として18日に行われた2回戦では西が丘では661人(第一試合)は入ったものの、その他の会場では200〜300人台と低調な数字で終わり、ベスト8が行われた20日の2会場の第一試合はそれぞれ200人台という動員で終わっている。

さらに、インカレの決勝に3万人を動員しよう! という運動はここ数年引き続いて行われているのだが、今年の「12月25日、15時キックオフ」という日程が発表されたときに、これは無理だろうと予想したのだが、結果的に決勝の動員は9053人で終わってしまい、昨年どころかここ数年の決勝の動員数の中でも悪い部類で終わってしまった。

この数字の結果に対して、じゃあカードが大体大ではなく、専修や明治だったらもっと違っていたはず! という意見もあるだろう。確かに今回のカードよりも動員は多かったであろうと思うのだが、どのカードにしたところで、この日程で3万人集まるなんて到底思えない。

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この日しか国立競技場を抑えられなかったのか、それとも意図的に「聖夜」を選んだのかはわからない。ただ、選手にとっても見に来る観衆にとっても「やりやすい」大会にしなければ、いつまで経っても「マイナー大会」から抜け出せない。以前の大会でも同じことを書いたと思うが、学生同士が「どうしたら盛り上がるか?」を論議することは素晴らしいことだと思う。だが、その論議を重ねる中で、まだまだ「学生視点」で意思決定していることが多すぎると感じるのだ。

確かに大学生のスポーツだが、有料スポーツイベントなのだから、学生だけではなく大人も子供もさまざまな客層が集まるのである。だからこそ、集客しやすい日程、時間でやることは「興行」として大前提となってくるはずなのだが、今大会の決勝はその前提から大きく逸れてしまっていた。

また、今大会の決勝戦キャッチフレーズに「あたなはこの瞬間を、誰と過ごしますか。」という言葉がつけられているが、正直クリスマスの日の夕方に、わざわざ大学サッカーの決勝があるから、国立まで見に行こうよ! という大学生がどれだけいるんだろうか? と、一般論的に思ってしまうのだが…

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そしてもう一つ、優勝した大体大の坂本監督から出た言葉はとても印象的であった

「昨日まで学校は授業だったんですよね。そういった中で学生は(大会のため授業から)抜けてしまっているのですが、昨今では『何人Jリーガーが生まれた』とかばかり話題になっていますが、私は学生の本分は『学ぶこと』だと思っているんです。

だからこそ、そういう意味を含めて我々の仕事は選手たちをいいサッカー選手に育てることもありますが、その以前として教員として学生をしっかりとした大人に育て、教員や指導者に育てて行くるとも重要だと思っています。まあ、勝てたから偉そうに言う訳ではないですが、(今回の日程について)学生の大会の域からはみ出しているとも思っています」

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試合の内容や選手の力量から考えれば、天皇杯に続く質の高い大会でありながらも、盛り上がりという面では、高校サッカー選手権には遠く及ばないこの大会。1回戦からJのスカウト陣だけではなく、JFLや将来的にJを目指すクラブの監督やスタッフが積極的に視察に来るなど、即戦力の見本市ともいえるこの大会。そんな大会を、もっと価値あるイベントに成長させて行くためにも、学連側は「今年の失敗」をよく分析し、どうすれば大きなイベントになるかを、もっともっと考えて欲しいと思う次第である。

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