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2013年7月17日 (水)

薩川了洋が信頼する副官の存在

7月13日に南長野で行われた長野パルセイロ vs FC琉球の一戦は、長野の「新旧指導者対決」や薩川了洋が昨年の11月18日以来、257日ぶりにこの場所に戻ってくるということが多くの人の注目であった。しかし、個人的には薩川了洋より「この人」の地元凱旋の方が感慨深いものがあった。

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その人の名は小湊隆延。

長野パルセイロ、そしてFC琉球を応援する人以外、ほとんどその名を知らないと思われるが、今季から薩川氏とともに、FC琉球のヘッドコーチとして故郷、長野を離れて遠く沖縄の地でコーチとして選手を指導し、そして自らも「プロ」の指導者としてのチャレンジを続けている人物だ。

そしてこの人だが、長野パルセイロの前進である、長野エルザの元選手であり2000年からは監督とし指揮を執った人物でもある。さらに2002、2005年は北信越リーグで優勝を飾り、地域リーグ決勝大会進出を果たし、パルセイロの「礎」を築いた指導者の一人といっても過言ではなく、選手として監督として長野県国体選抜チームやフットサルチームに関わるなど、地方サッカーの発展に尽力を尽くしてきた人物でもあった。

しかし、長野エルザがプロへの道を進みだした2006年に、個人的な事情もあり一度はクラブを去った。だが忘れられないサッカーへの情熱、そしてクラブから要請もあり、2008年から再び指導者として帰ってきた。

これまでは、地方公務員として働きながらサッカーに携わってきた彼だが、この年からは退路を断ってクラブの職員として育成部の指導者としての道を歩みだした小湊氏。子供の頃から長野でサッカーを続け、本格的な指導者として帰ってきた今こそ、地域のサッカー少年に夢を与えたい、そしてみんなが愛してくれるクラブを作りたい… そんな思いが彼を後押ししてコーチングスタッフとして道をさらに突き進む事に。

そして2010年からはトップチームのコーチとして、薩川了洋を補佐する立場になった。

2歳年下の薩川氏を補佐することとなった小湊氏だが、現役生活のキャリア、そして指導者としてのステータスは、正直なところ大きな差があった。日本代表への選出こそなかったものの、J1リーグ311試合出場に天皇杯優勝(第78回大会)など、輝かしすぎる経歴を持ち、柏レイソルの下部組織で指導者としての道を歩み始めた薩川氏。それに対して、小湊氏の現役生活は北信越リーグどまり。

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経歴という面ではあまりにも差のある二人だったが、時には熱く、時には冷静にサツを支える「お兄さん」として、薩川氏から絶大なる信頼を得るには時間は掛からなかった。そして、熱心にいろいろなサッカーを研究し、そして対戦相手を的確に分析する小湊氏は、薩川体制に無くてはならないものとなっていた。

また薩川氏だけではなく、現U18日本代表監督の鈴木政一氏や、現在クラブのスポーツディレクターとして活躍する足達勇輔氏などの存在も大きかった。大物といえる指導者たちからも薫陶を得て、コーチング術の幅も広がっていった。そんな小湊氏だからこそ、薩川現琉球監督は新天地でも「副官」として彼の存在を求めたのである。

そして彼とサツの関係として、どうしても忘れられないのが、2012年シーズンの最終戦、南長野でのY.S.C.C.戦での出来事である。

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主審の判定に対して異議を唱え、退席処分になってしまった。当然ながら、この試合は薩川了洋の南長野ラストゲームだった。そんな大事な試合で、自分が退席処分になってしまったことを、非常に悔やんでいた。だが、それとて「サツを退席にはできない」とばかりに、小湊氏が先に行ったような感もあったのだ。

選手としては天と地ほどの差があった二人。そして本来ならば知り合う機会すらなかったかも知れない二人。しかし、パルセイロというクラブが二人を引き合わせ、そして今では薩川了洋がもっとも信頼する副官にまでに成長した小湊隆延。

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選手としてではないが、指導者として一歩一歩高いステージに上り詰めようとしている小湊氏だが、今は「沖縄のため」に頑張っている。それはそれで応援したところだが、ぜひとも近い将来、必ず「地元長野のため」に、いい指導者になって帰ってきてもらいたいものである。

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