« J3の未来予想図を示したJFL首位攻防戦 | トップページ | 帰ってきた町田の闘犬 »

2013年6月14日 (金)

Hondaが見せたアマチュアの意地

来季から始まるJリーグDivision3には参戦せず、これまでどおりアマチュア最高峰リーグであるJFLで戦うこととなるHonda FC。

歴史と実績、そして下部組織(※今シーズンを持ってU-18は廃止が決定されている)に自前のホームスタジアム まで持ち、「最もプロに近いチーム」とまで言われたこともあったこのチームには、これまでにプロ化に向けての動きが何度かあった。しかし、期は熟すことな く話は立ち消えてしまい、次第に「完全アマチュア」の道を選ぶことになり、今回のJ3来季スタートということに対しても、Honda FCはあっさりJFL残留という方向に決まっていた。

_6157906

それにしても、近年はアマチュアクラブを取り巻く状況は非常に厳しくなっている。ここ数年の日本経済の停滞 により、企業の懐具合も家計同様に悪化していき、サッカーのみならず野球やバレーボール、そして陸上競技など、いくつものスポーツで活動停止となるチーム が続出。また、企業の部活動ではないスポーツクラブも、活動資金を集めることに苦戦し、活動停止とまでは行かないものの、規模を縮小してなんとかやりくり して活動を続けるクラブも少なくはない。

そしてHonda FCが所属するJFLでは、Jリーグ以上に活動停止となるチームが続いており、近年ではJATCO、三菱水島FC、ジェフリザーブス、アルテ高崎が退会という形をとり、「アマチュアの雄」と呼ばれてきたSAGAWA SHIGA FCも、もっともらしい理由はつけたものの、実際にはSGホールディングスの中で整理対象の案件とされ、活動休止(事実上の廃部)となってしまっている。

-------------------------------------------

さて今回の主役であるHonda FCだが、素晴らしい実績を誇り、今なお高いレベルを維持し続けるアマチュアサッカー界のリーダーであることは間違いない存在なのだが、やはりこのチームにも「不況の波」そして「時代の波」が襲ってきていることは否定できない。

2008年の優勝以降はなかなか3位以内に食い込めなくなり、2011、12シーズンでは天皇杯出場権を逃すなど、不本意(あくまでも名門Hondaとして)なシーズンが続いてしまっている。

かつての年間運営費は最高で約4億円とも言われたが、ここ数年の不況の波が会社に襲ってくると、運営規模が縮小し、今ではピーク時の半分以下にも満たない額まで減少。そして黄金期を支えた新田純也、鈴木弘大、石井雅之、安部裕之が引退する中で、世代交代という難問は大久保前監督、前田現監督も非常に頭を悩ます課題でもあった。

また、J2を目指すクラブがリーグの半分近くに迫りだしたこともあり、リーグ全体のレベルも向上し、勝ちきれない試合も以前に比べて多くなってきた。上記に「不本意な成績」と記したが、ここ3年間のリーグの成績は4位、6位、5位と決して悪いものではないが、1999年に新JFLになってから、優勝4回、準優勝4回と絶大な力を誇り、2007年の天皇杯ではベスト8でJ1王者の鹿島と互角の戦いを繰り広げたあの時代と比べてしまうとやはり不本意でもある。また、ここ数年Jを目指すクラブとの対戦の中で、「聖地・都田」で力の違いを見せつけられてしまう試合も多く見られるようになってきていた。

Honda FCもやはり時代の波に飲み込まれてしまうのか?
やはりJ3とJFLではレベルの差が生じてしまうのか?

そしてHonda FCはカマタマーレ讃岐、長野パルセイロ、町田ゼルビアという、今季の3強との戦いが続く連戦を迎えたのだが、讃岐、長野には完敗を喫してしまった中でアウェーの地に乗り込んで町田戦を迎えた。

Img_0705

試合に関しては、町田の中盤構成が良くなかったこともあったが、それ以上にHondaの前からのプレッシャーが冴え渡り、久しぶりにワクワクするような試合を展開。そんな試合の中で躍動したのは黄金期を知るベテランの3人だった。ボランチの西、攻撃的MFの柴田、サイドバックの桶田が労を惜しまない動きを見せチームを牽引すると、若手もその動きにつられていく。2年目の香川大樹、浅田大樹、そして今季から加入(入社)した、鈴木雄也と栗本広樹がこれに続く。

Img_0885

この日のHondaは、本当に強い時のHondaだった。自分たちからどんどん仕掛け、セカンドボールを圧倒的に支配し、ゲームの主導権を相手には渡さない。いつの間にか中堅選手となったFW伊賀が前線でしっかりとタメを作れば、2列目の3人がしっかり連動。前田監督が「とにかく運動量を下げないこと」と選手たちに言い聞かせて練習してきたことが、この試合では見事に披露され、ゲームは久しぶりに快勝となったのである。

-------------------------------------------

ここ数年、活動休止になってしまうチームも増え、Hondaとともにアマチュアサッカー界をリードしてきたSAGAWAも無くなってしまった。また、今年のJFLでは来年のJ3参加を表明しているクラブが上位を独占している現状もあり、分かれていくことは仕方が無いことなのか… とも感じていた。

しかしこの日のHondaは、JFLに残るチームだって「これだけできるんだ!」ということと、アマチュアのプライドをしっかり見せつけてくれた。

Img_0950

Jを狙うクラブのように大量補強が出来る訳でもなく、あくまでも「社員」として採用することから、新人は3人だけという掟(ルールとして明文こそしていないが)の中で、なんとか新しい「Honda FC」を目指していた。しかしその新人3人は、毎年スタッフが大学リーグを視察して、その中から選りすぐったJに行っていてもおかしくない逸材ばかり。だからこそ、彼らがうまくベテランと噛み合えばさらにいいチームになって行くことは間違いない。

Img_0745

Jリーグでなくとも、魅力的なサッカーは出来るし、地元の誇りにもなれる。そして何よりも「会社のシンボル」としての大きな役割もある。2011年シーズンに、18年ぶりに天皇杯出場権を逃すと、所長からチームが呼び出しを受けて奮起を促す言葉をかけられる事もあった。

政権交代により、多少は景気がよくなったかも知れないが、会社としてはまだまだ余裕を持てるわけがない。そ んな厳しい経営の中で、サッカーをやらせてもらっているのだからこそ、結果を出さなければいけないし、質の高いサッカーを見せて地域のシンボルになってい く必要性もある。そして何よりも、いつまでもHonda FCには「このチームに勝たなければプロへの道は開けない」と思わせるほど、強いチームでいてほしいし、天皇杯で再び存在感を見せてほしいと願うのだ。

Img_0533

アマチュアチームの中で、本気で天皇杯優勝、ACL出場なんて夢物語を目標に出来るチームはいくつあるだろうか? そんな夢を本気で考えられるアマチームは、このチーム以外にはないはずだ。さらに、日本のアマチュアサッカー界の頂点に立つ、Honda FCには、JFLを引っ張っていく義務もあるはず。来季のJFLを「ぬけがら」のようにしないためにも、アマチュアの雄、そして「Jへの門番」が再び輝いてくれる事を切に願いたいところである。

« J3の未来予想図を示したJFL首位攻防戦 | トップページ | 帰ってきた町田の闘犬 »

JFL」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/57588637

この記事へのトラックバック一覧です: Hondaが見せたアマチュアの意地:

« J3の未来予想図を示したJFL首位攻防戦 | トップページ | 帰ってきた町田の闘犬 »