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2013年5月 6日 (月)

発展途上の武蔵野を変える吉田監督

今季から横河武蔵野は依田博樹前監督に代わり、コーチだった吉田康弘氏が監督に就任。チームとして、6年ぶりの監督交代となったのだが、10節を終えた時点での結果は2勝2分6敗と苦しいスタートとなっているのだが、実際のところ新監督を迎えたチームはどんな状況なのであろうか。まず本題に入っていく前に、チームの歴史から簡単に振り返っていきたいと思う。

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依田前監督時代の前半は、まさに「横河武蔵野の絶頂期」でもあった。

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古矢武士氏が作り上げたチームをベースに、関東大学リーグでプレーした有望選手たちと、太田康介という中盤のダイナモを加えたことにより、完全アマチュアチームでありながらも存在感を放ち、2009シーズンには過去最高の2位という素晴らしい順位に躍進。そして2010年は、スローガンを「頂点(テッペン)」として優勝を目指したものの、町田に移籍した太田の穴を埋めきれないなど、試行錯誤が続いてしまい、まさかの12位という順位で終了。

巻き返しを誓ったはずの2011年シーズンだったが、今度は震災後の「電力制限」の影響をモロに受けてしまい、夜に行っていた合同練習が朝の1時間程度だけとなり、練習時間不足からくる「コンディションの差」が試合で露呈。結果的に残留を争う位置にまで低迷し、順位も18チーム制となってから最悪の15位で終了。そして昨年は、依田前監督にとって「進退をかける年」となったが、2011シーズンより順位は回復したものの、かつての輝きまでは取り戻せず10位に終わっていた。

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6年間というやや長い期間、依田監督が指揮を執ったことに関しては、複雑なクラブ事情もあった。だが次のシーズンは「何かを変えないといけない」と依田氏自身も、クラブもそれを感じていた。だからこそ、依田氏は退任を選び、クラブはコーチとしてチームに関わっていた吉田康弘氏に白羽の矢をたてたのであった。

来季からは、これまでどおりの「アマチュア最高峰」のリーグとしてやっていくチームと、プロ化して行く「J3」に行くチームと分かれていくこととなるJFL。その中で、現時点ではJ3には行かない道を選んだ横河武蔵野。かつて、佐川急便東京SCが合併して東京から去ったときに、武蔵野は「東京第三勢力」という表現をされた。しかし、今現在は一度はJ2リーグで戦った、町田ゼルビアの存在が「第三勢力」になってしまい、プロ化していくライバルチームとの「差」は広がっていくばかりであった。

だからこそ、アマチュアクラブでも魅力あるフットボールが出来ることをアピールし、存在感、存在意義を高めていかなければいけない武蔵野。そんな状況の中で、クラブはJ1の鹿島、清水、広島などで一線級の活躍をした経験を持つ吉田氏に再建を託したのだった。

しかし、再建を託された吉田監督だが、その道は決して簡単なものでは無かった。

ここ数年のJFLは、Jを目指すチームを中心に、活発な選手補強を行い選手の入れ替えが激しいリーグでもあった。そんな中で武蔵野は純粋アマチュアチームとしてやっていたこともあり、目立った補強もなく、選手の入れ替えも他のチームに比べて少ないものであった。それゆえに、ここ数年は選手が固定化されてしまい、降格するレベルまではチーム力は下がらないのだが、それ以上にもならないという状況が続いてた。

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吉田新監督は、あまり変わらないメンバーの中で、「どうチームを活性化させるか?」「どうチームを進化させていくか?」という、依田前監督も悩み続けたクラブの課題に直面。このような状況のなかで、シーズン突入前に同じカテゴリーのライバルチームや大学生と練習試合を積極的に組んで自分の目指す3-4-3(3-4-2-1)システムのサッカーを理解させ、どの組み合わせがフィットするのかをチェックし続けてきた。

だが、開幕前に行われていた練習試合はお世辞でも「いい出来」とは言えず、「何をやりたいんだろう」と思ったことさえあった。だからこそ正直に言えば、リーグでの経験値の高い選手が多いこともあり、戦術うんぬんではなくそれなりに勝ち点は計算できるので、降格する順位(実際には今年は地域リーグへの降格はない)になることはないだろうが、上位に行くことも無いだろうと予想した。

そして先日行われた第10節、町田ゼルビア戦を終えた時点で、2勝2分6敗の15位という成績にいる横河武蔵野。

ある意味で「予想どおり」とも思った反面、もう少し勝てるかな? とも思った。そして吉田監督にとって、厳しい現実を突きつけられたとも言えよう。

しかし、過密日程となった8節~10節の3連戦、結果は3連敗であったが、少しずつだがチームが進化していること見て取れたのである。讃岐戦では3失点を喫したものの、ワントップに入る冨岡大吾を起点にした早い展開を仕掛け、2度追いつくことに成功するなど粘りを見せた。そして長野戦は「もう一度守備をしっかりやろう」という意図のもと、落ち着いたディフェンスを見せ、得点は奪えなかったもののアウェーで貴重な勝ち点1を取れる寸前まで行った。だが、連敗が続いていた長野の「意地」が最後に爆発し終了間際に失点していまい、残念ながらまたもや敗戦。

そして町田戦。失点シーンのうまく裏に抜け出された場面以外は、全体的にバランス良く守備も出来ていたし、足も止まらず最後まで走り抜いていた。また、両サイドをワイドに使いクロスもしっかり入っていた。また、後半30分以降はうまくプレスもかかり、フィニッシュに結びつける攻撃を何度も繰り出し、シュート数も町田と同じ10本を放った。明らかに開幕当初とは変わってきた武蔵野であり、あとは決定力という部分だけになってきたとも言えるだろう。

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しかし、吉田監督が来たからすぐに劇的に変わる訳でもない。吉田監督もこれについてこう語ってくれている、

「僕はピークを開幕に持っていくつもりはありませんでした。すぐにチームがガラリと変わる訳でもないですからね。シーズンを戦いながら形を作っていくしかないと思っていましたので、今は粘り強く同じことを繰り返して、連携を高めていくだけです。これまではなんとなくこうかな? と思いながらやっているフシがありましたが、今はしっかり意図を持ってやらせていますし、これまでとは違う『考え方』を持ってやろうとも選手には言っています」

さらにそのあと、「あとは個の力を伸ばしてもらい、フィニッシュの正確性を高めないと…」と今後の課題も語ってくれた。

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アマチュアクラブでもおもしろいサッカーが出来る! ということを、今以上にアピールする必要性に迫られる横河武蔵野。降格のない今季だからこそ、チームを変える絶好の機会でもある。来年になってから「まだチームが固まらない」では遅いのだ。今年の流行語ではないが、「いつやるの? 今でしょ?」なのである。今勝ちきれていないのは「産みの苦しみ」と思いたいし、在籍している選手だって「出来ない選手」ではない。

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もっと1.5列目の選手がダイゴをサポートし、前線のターゲット役だけではなく、ストライカーダイゴとして活躍できるように動いてあげれば、絶対にこのチームは変わる。そして中盤のバランサーとして頭角を現した矢部雅明、もっと積極性を出せば、太田康介を超える可能性も秘めている。そして守備面では、瀬田、金守に大ベテランの域に入ってきた小山を脅かす存在になってきた上田陵弥に大きな期待がかかる。

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依田前監督も指導者としていろいろなサッカーを学び、多くのシステムを試しながらチームを成長させようと努力し続けてきた。それに対しては本当に頭が下がる思いである。だがしかし、高いレベルでプレーした経験を持つ吉田監督だからこそ、依田前監督では教えられなかったことがあるのだ。

一線級のプロ選手であったからこそ、教えられる「技」と「駆け引き」、そして「勝者のメンタリティ」である。吉田監督が経験してきたものを、選手にしっかり伝え、そして粘り強く教えていけば必ず変わっていくはず。今のチームはまだまだ発展途上であり、監督が目指すサッカーには到達していない。だが、ここ数試合で繰り広げたサッカーは、「変わる兆し」を見せたことは確かである。まだもう少し時間がかかるかも知れないが、吉田監督のもとで変わる可能性を見せた武蔵野。

だからこそ、近い将来に2009年のような躍進できるチームになってくれることを期待したいところである。

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