« グルージャ、辛くもガンジュを下す | トップページ | 北信越で実現した師弟対決 »

2013年5月15日 (水)

Mio戦から見る長野が持つ課題点

あいにくの天気で、この時期としてはやや肌寒い状態となった南長野球技場。さて、このスタジアムをホームとする長野パルセイロだが、10節を終えた時点で7勝1分2敗という成績で3位につけており、美濃部監督に替わった今季も安定した力を発揮。

これだけ書くと、「なんだ、今季も強いんだ」と読み取れるかも知れない。まあ、結果が出ている以上、当然ながら弱いわけはない。だが、去年よりさらに強くなったのか? と、問われれると、そこは「???」となってしまうのが今の長野パルセイロ。

開幕5連勝スタートと、幸先の良い滑り出しを見せたのだが、あくまでもそれは「結果だけ」の話。じゃあ内容は? と言われれば、危うい試合もいくつかあった。だからこそ5節・金沢戦の試合後、美濃部監督は「アウェー3連戦となる6〜8節は難しい試合になると思う」と語っていたのだが、その言葉のとおり1分2敗と3戦で勝ち点は「1」しか積み上げられなかった。さらに6節の秋田戦では、勝ち点3を失う以上のダメージがチームを襲うこととなる。

今季は3トップの一角として開幕からレギュラーに定着し、宇野沢、大橋とともに「チームになくてならない存在」にまで成長した松尾昇悟が、この試合で右脚の脛骨(けいこつ)と腓骨(ひこつ)を接触プレーの際に骨折してしまい、全治6カ月の重傷と診断され今季は絶望的となってしまった。

松尾自身にとっても「痛すぎる」ケガだったが、チームにとっても大きなダメージとなってしまったことは否めない。今季から3トップシステムを取り入れ「守備も攻撃も前からガンガン仕掛ける」というチームコンセプトを最も現していた松尾の離脱は何よりも痛かった。

松尾負傷離脱以降、チームは初の連敗を喫してしまったが、再び持ち直して前節は薩川前監督率いるFC琉球に勝利し、いい流れをやっと掴んでホームゲームを迎えたのだったが…

----------------------------------------------------------------------

さて、雨の中で迎えたJFL第11節はMioびわこ滋賀をホームに迎えて行われたが、天候同様な「どんより」したゲームとなってしまう。

前節の試合が月曜に行われたこと、さらには沖縄(FC琉球戦)での試合だったため火曜日が移動日となったことで、この試合に向けての準備が中3日となっていた長野。そんな状況もあり、どうしても全体の動きだしが鈍い。さらに相手のMioだが、前節が日曜開催だったこと、そしてホームだったこともあり準備は万端。そして、長野対策をしっかり練ってきたこともあり、立ち上がりから相手に思うようなサッカーをまったくやらせない。

ポゼッションで優位に立っているのは長野であり、攻め込んでいるのも当然長野。しかし、この日の試合はどうも後ろでだらだら持ちすぎる時間が長い。そしてサイドへの展開もあまり生まれてこない。簡単に言えば、まったくと言っていいほど連動から発生する攻撃が生まれないのである。

Img_0190

こうなると、完全にMioの思うつぼ。そして前半26分、唐突な形でゲームが動きを見せていくことに。DF陣の不用意なファール。そしてルーズなマークを元長野の鎗田は見逃さず、そこを突いて合わせていき、Mioは少ないチャンスを効率よく活かしていく。

今シーズン初の「先制点」を奪われた長野。しかし、先制点を奪われても慌てなかったところはさすが。流れが悪いなりにも39分のセットプレー(CK)のセカンドから川邊が頭で押し込み同点として前半を折り返す。

それにしてもこの日の長野は流れが悪すぎた。

いつも以上にCBの位置でのポゼッションが長過ぎた。美濃部監督は「CBでもポゼッションできないと、今のサッカーではダメ」と以前語っていたが、この日の場合は意味のあるポゼッションではなく、単に出しどころがなく仕方が無いので持っていただけであった。さらには後ろでボール持っている間に、Mio守備陣はパスの供給先である中盤、前線のキーマンをがっちりマークして、パスの出しどころを限定させていく。

Img_0213

そしてもう一つ、この日の長野は相手が引き気味だったこともあり、前からのプレスがあまり掛からず、いつも以上に間延びしたラインが気になるところでもあった。

さて後半だが、またも守備陣の不用意なプレーが飛び出してしまう長野。51分、川邊のパスミスを東矢にカットされると、そのまま持ち込まれて豪快なミドル弾を浴びてしまう。

Img_0172

このシーンだが、当然ながら川邊のミスは誰の目にも明らかだったのだが、もう一つ気になる点もある。川邊のパスミスをさらった東矢が、ほぼフリーの状態でシュートを放っていたことだ。当然ながら、マイボールをカットされたため、誰も行けなかったことは確かである。だが、中盤の3人がうまくバランスをとり、スペースを埋めていればあんなにフリーになる事も無かったであろうと…

ゲームはこの後、ホームでの敗戦は絶対に避けたい、いや勝たなければいけない長野はシステムを3-4-3に変え、必死の攻撃を見せていく。そしてアディショナルタイムは3分台に突入したところで、上がっていた川邊が再び頭で押し込んで土壇場で同点に追いつく事に成功。さらにその直後にも宇野沢が直接FKの機会を得るが、ここはMioのGK永冨のセーブもあり得点を奪えず、ゲームは2-2のドローで終了。

----------------------------------------------------------------------

川邊の2ゴールで追いついた試合だが、2失点の原因を作ってしまったのも彼であり、ゴールを決めても決して褒められるものでなかった。また、試合内容自体はもっと褒められるものではなかった。

パスの出しどころが見つからず、困ったあげくのポゼッション。出してみれば正確なビルドアップには繋がらない。相変わらず改善されない中盤の連携。前からのプレスもあまり掛からない… そして何より、孤立しまくってしまい、ほとんどボールに絡めなかった宇野沢…

しかし、この日の動きの悪さは、決して長野の動きが悪かったから、という訳でもなく、したたかに計算され尽くされたMioの策略があったからだ。

ここで、試合後のMioびわこ滋賀、東監督のコメントを読んで欲しい。

「ラッキーな形で点が入ったので、勝てるかもしれないと少し思いましたが、最後は当然(1点取られてしまう)のような結果になったかな? という印象です。

まあ、前回(昨シーズン)は0-4で負けたということもあり、守備的に行ってチャンス(カウンター機会)をうかがおうということで、選手を送り出しました。さっきも言いましたが、ラッキーな形で点が入ったので、ああやって守る事でウチがリードする時間をもっと伸ばしたかったのですが、シュート数にしてもポゼッションにしても圧倒的に長野さんの方が上だったし、これまでの10試合の結果からしても、そうなること(点を入れられてしまうこと)はわかっていたので、今はアウェーで勝ち点1を取れて帰れる事をプラスに考えたいと思います。

Img_0286

また、ウチの選手に関してですが、やる事がはっきりしている(組織的に守った事)ということよりも、今これしか僕たちにできることがないので、それをやりきったまでの話だと思います。

あと、長野さんの5番の大橋選手、10番の宇野沢選手はJFLの中でトップクラスの選手であり、ウチの選手と比べたらスキルはまったく違います。だからこそ、そこにボールを触らせたくないし、ボールを行かせたくない。

他の選手であれば、ウチの選手でもまだ対応できる。ただ、その2人に関してはウチの選手なら2人で囲んでも取れないぐらい、いい選手だと思っているので、とにかくそこにボールを触らせない、入れさせないようにする。それをするために逆算して、ある程度CBとかにボールを持たせてもいいかなあという分析をしていました。

今日の長野さんだけではなく、日本人選手の悪いところでもあるのですが、フリーになりすぎると(考えすぎるので)何も出来ない、というところがあった(ある)と思います。だからこそ、ああいう守り(組織的な)方が有効なのかな? とも思いますね。」

CBの選手にボールを持たせること、大橋、宇野沢に「プレーさせない」ということは、完全に戦略であり、その「策」にはまってしまった長野。

そんな状況に対して、長野・美濃部監督は「システムでサッカーをしている訳ではないので、今日の形が悪かったから次にこう変えようとかはありません。あくまでも、自分たちが目指す攻撃的なサッカーを目指すために日々のトレーニングから精度を上げていきたい」と語ってくれたのだが、現状ではまだまだ目指すサッカーに到達するのは時間が掛かりそうである。

Img_0156

5連勝していたときも、内容がいい試合の方が少なかった。中盤のバランスの悪さは相変わらずである。松尾不在により、前からのチェイスが減ってしまったことも否めない。そしてこの日も大橋は3枚目の交替要員として試合途中でピッチを去ったが、彼の「良さ」が消え去ってしまっている今の中盤3枚というやり方に、どうしても違和感を感じざるを得ないのだ。

美濃部監督は「システムでサッカーをやってはいない」と会見でコメントしているが、どうしても今の中盤構成が悪いと感じてしまうのだ。

正直に言えば、大橋のパートナーは泥臭く動ける野澤の方がいいと感じる。だが、チームを新しいものに変え、さらにあと3年先を見据えると考えるなら、若い有永に期待を託すこともわからないではない。そして3トップの下に入る畑田の存在だ。

Img_0345

攻撃になった時の連携は良くなりつつある。だが、守備面での貢献はほとんど見られない。有永の動きも、まだまだスムーズとは言えない。そうなると、大橋の役目はこれまでのバランサーから「後ろの掃除役」という側面だけが強くなってきてしまい、彼が持っている良さが半分も出てこない試合が続いてしまう。

このチームに、宇野沢と並んで攻撃を牽引してきた向慎一はもういない。そして、前から献身的な動きをしてくれた松尾も負傷により離脱中。

この日のMioのように、徹底的に研究してくるチームももっと出てくるだろう。そんな相手に対して、どうブロックを打ち破るのか? また、これから先に対戦が予定されている町田、讃岐と言った上位チームとやるときに、どこまで個もチームも「ベースアップ」できるかも大きな鍵となってくる長野。

新チームとなって、すぐに結果が出てこないのは仕方が無い。だが、走ること、ファイトすることは、戦術理解とは関係ない場所にある。だからこそ、もっと運動量を増やして大橋の負担を減らしてあげれば、ゲームが変わってくるはず。そして動くことにより、相手のマークも外れるし、スペースも生まれる。

美濃部監督が求めるサッカーに近づけるためには、戦術と連動よりも、もっと単純なところから改善すべきなのではないだろうか? チームがさらに良い方向に変わっていく「一番の薬」は、実はとても単純な事ことなのかもしれない…

----------------------------------------------------------------------

2013 JFL第11節 5月11日@南長野
長野パルセイロ 2-2 Mioびわこ滋賀
[得点者]
39・90+3分川邊(長野)
26分鎗田、51分東矢(Mio)

« グルージャ、辛くもガンジュを下す | トップページ | 北信越で実現した師弟対決 »

JFL」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/57385646

この記事へのトラックバック一覧です: Mio戦から見る長野が持つ課題点:

« グルージャ、辛くもガンジュを下す | トップページ | 北信越で実現した師弟対決 »