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2013年5月 4日 (土)

第三補給処サッカー部、5回目の挑戦で初優勝

かなり今更……という話ではありますが、先週末に行われた第47回自衛隊サッカー大会・決勝戦について触れたいと思います。

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さて決勝のカードだが、5回目の決勝進出で初の優勝を狙う埼玉の空自FC 3DEP(第三補給処サッカー部)と、2回目の優勝を狙う海自厚木なかよしFCの間で行われた。

正直な話、3位決定戦が本当に手に汗握る好ゲームであったこともあり、決勝戦の前で選手関係者や家族はともかく、一般のお客さんからすれば「もう満足…」「もうお腹いっぱい…」となってしまった人もいたかも知れない。そんな状況の中で決勝戦は行われたが、前の試合の余韻を吹き飛ばすかのような素晴らしい幕開けで試合は進んでいく。

今大会開幕前から厚木マーカスと並んで優勝候補と目されていた3DEP。ここまで、苦しい試合はあったものの、順当に勝ち抜いて決勝にコマを進めてきたが、大事なこの試合の入り方は、大会で一番の入り方を見せるのであった。

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プレイングマネージャーの熊谷哲平が「ビルバオのサッカーが好きなので、あのチームのようなハイプレッシャーをガンガン仕掛けて主導権を握りたかった」と語ってくれたように、この日の3DEPは素晴らしいハイプレッシャーで相手を自陣に釘付けにすることに成功する。

2分に春本がファーストシュートを放つと、その後は真木、小木曽の2トップが立て続けにシュートを放ち、流れを自分たちの物にすると、10分に得たFKのチャンスにDFの山本が飛び込んで頭で合わせて、早くも3DEPが先制。

さらに圧巻だったのは15分に決まった2点目のシーンだった。

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バックパスの処理にGKが対応しに行ったが、FW小木曽は猛然とチャージ。GKはなんとかクリアしたものの、これが小木曽の足にあたりルーズボールとなり、すぐさま反応した小木曽は無人のゴールに見事に流し込み、あれよという間に2点のリードを奪っていく。

立ち上がりの3DEPは本当に素晴らしかった。この日の試合が最後まで出来れば、関東1部レベルで戦ってもまったく遜色ないレベルであった。しかしだ。見ている側とすると、ややオーバーペースではないか? という不安もあった。

そしてその不安は徐々に的中することとなり、3DEPの運動量が前半30分を過ぎた頃からダウンし始めていく。ここまで、チャンスらしいチャンスをつくれなかったなかよしも、40分に近づく頃にはカウンター主体で3DEPゴールを脅かすシーンも生まれだしていく。

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スタートから飛ばしてきた3DEPだが、やはり連戦の疲れからとしては徐々にハイプレスが弱まりだし、時間的にも前半はこのまま2点のリードを守ればいいという流れになりつつあった。だが、決勝にコマを進めてきたなかよしも決して甘いチームではなかった。相手のプレスが弱まりだしたころからチャンスを作れるようになり、さらに前半終了間際のCKから、ファーでフリーになっていたDFの松本が強烈なダイレクトボレーをたたき込み、差を1点差として前半を折り返す。

一次リーグはチームによっては1日のインターバルがあったが、決勝トーナメントに入ってからは連戦が続いており、コンディション的には非常にキツイ状態でもあった。そんな中でハイスパートで入った3DEPのペースが前半途中で失速してしまったことは、仕方が無い部分でもあった。

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そして後半だが、今度は完全になかよしがペースを握ってゲームは進んでいく。前半のような全体が高いラインを取り、ハイプレスを掛けていくことが出来ない3DEP。普段は関東リーグで戦う熊谷(大成シティ坂戸)や小木曽(アルマレッザ飯能)、そして高校選手権でも活躍した真木(米子北卒)といったタレントの力でたびたびチャンスは作るものの、前半のような連動や連続した攻撃があまり生まれてこない。

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それに対して、なかよしは2トップをターゲットにした攻撃を何度も繰り返し、ゴールに迫っていくが、最後のシュートまではなかなか持ち込めない。ペースは完全になかよしのものであったが、厳しい状態の中でも3DEP最終ラインが集中を切らさず、粘り強いディフェンスを見せていくと、逆に今度はセットプレーから効率良くゴールを脅かしていく。

77分、CKのチャンスでゴール正面が混戦となったが、途中出場の藤田が押し込んで、劣勢だった3DEPが値千金の追加点を奪う。

ここまで、ピンチの連続だった3DEPだが、この3点目が選手に大きな勇気と希望を与えることとなる。また熊谷は選手全員に「リアクション!」と大きな声で戦術の徹底を図り、残り時間をしっかり守りきって悲願の初優勝を飾ったのである。

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試合後の熊谷は、自分に付いてきてくれた選手や、バックアップしてくれた部隊・職場の仲間、そして家族に感謝を述べたが、それ以上に印象に残ったのが、この日キャプテンマークを巻いたDFの川口への想いだった。

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「彼はね、去年の大会とその前の決勝の2度、キャプテンマークを巻いたのですが、両方ともダメだったんですよ。サドンデスに入ったPK戦で外してしまったこともあるし、オウンゴールしてしまった事もありますしね… でもね、彼を今度こそ『男にしてやりたい』と思って彼をキャプテンに指名しましたが、チームのみんなも同じ思いで彼を盛り立ててくれました」

と嬉しそうに話してくれた。

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また、「このチームは決まった選手だけで戦って勝ち進むのではなく、チーム全員で優勝を勝ち取れたことは大きなことだと思っています」とも熊谷は語ってくれたが、大会に出場したチームの中で、登録選手全員が試合に出たチームは3DEPだけだったかも知れない。

メンバーには、元プロ選手の熊谷もいるし、レベルの高いところでプレーした経験を持つ選手もいる。だがその反面で、実は約半数近くの選手がこの部でサッカーを始めた選手ばかりなのである。しかし、「努力は無限の可能性を生み出す」という信念をもつ熊谷は、辛抱強く指導して選手の成長を促し、そして全員の団結力があれば絶対に『部の歴史』を塗り替えることが出来ると信じてプレーし続けたのである。

実は大会の2週間前、このチームの練習試合を見たが、その時はお世辞でもここまで勝ち進めるとは思わなかった。熊谷とともに、リエゾン草津でプレーした木村直樹が率いるザスパ草津チャレンジャーズチームの練習試合では、ほぼ一方的にやられてしまい0-4という完敗を喫していた。

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サイドをガンガン突かれて突破を許し、運動量に優る相手に走り負けてしまっていたが、あの試合での敗戦が成長するための経験となり、大会ではしっかり走れるチームになり、何よりも攻めるとき、守るときの「メリハリ」が出来るようになっていたのである。

練習だけでは積み上げられない「プラスα」を、大会中にさらに積み上げて、強いチームから「たくましいチーム」に成長したFC 3DEP。この大会が終わってしまうと、熊谷と佐々木はシティに戻り、小木曽はアルマレッザに戻ることとなるが、彼らがいなくとも、この大会で得た経験をしっかり活かせれば、所属する埼玉県リーグ2部でもしっかり力を発揮できるはず。

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また、これまでの「挑戦者」という立場ではなく「王者」として新しい歴史を踏み出していく3DEPには、ぜひとも連覇に挑戦してほしいところである。

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第47回全国自衛隊サッカー大会 決勝戦
4月28日 @西が丘サッカー場
海自・厚木なかよしFC 1-3 空自第三補給処サッカー部(FC 3DEP)
[得点者]
45分松本(なかよし)
10分山本、15分小木曽、77分藤田(3DEP)

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