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2013年4月30日 (火)

激戦となった全自3位決定戦

22日から始まった47回目の全国自衛隊サッカー大会。そして最終日の28日、西が丘で3位決定と決勝戦が行われたが、2試合ともじつに素晴らしい試合が繰り広げられ、大会自体のレベルも「自衛隊だけの大会」として見るよりも、普通に見ても面白い「第一種カテゴリー」の大会であったことを印象づけることとなった。

さて、決勝戦の前に行われた3位決定戦だが、本大会において17回という最多優勝回数を誇る厚木マーカス(海自・厚木航空基地)と、このマーカスに勝つことを目標に調整を続けてきた海自下総・館山チームが激突。

地域カテゴリーの関東リーグ2部に所属するマーカスに対して、下総・館山チームは今大会に向けて合同チームとなったが、チームのベースは千葉県社会人2部に所属する下総基地サッカー部。そんなこともあり、両者の間には「2カテゴリーの差」というものが存在したが、気迫あふれるプレーと、抜群の組織力を活かしたプレーの数々で、両者の間にあったはずの「差」を見事に埋めていく。

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立ち上がりはイーブンといった形でゲームは進んでいくが、マーカスは4-4-2というオースドックスなスタイルだが、さすがに上位カテゴリーで戦うチームだけあり、前線のFW2枚、そして中盤の両サイドアタッカーの攻撃力は高い。それに対して下総は、3-4-2-1システムを用いて、後ろからじっくり繋いでサイド攻撃から活路を見いだしていく。また、守備においては危ない場面はボランチがたびたび最終ラインまで戻り、固い守備を見せていく。

拮抗した展開というか、激しいつぶし合いが続いたこの試合だが、35分にゲームが動き出していく。マーカスFWの坂本が後ろからのチャージで2枚目のイエローとなり、前半のうちに数的不利な状況なってしまう。それにしても、この日の主審のジャッジは「少し厳しすぎるかな?」という面があった。坂本の2枚目は仕方がないとしても、1枚目は「それで?」という気もした。ただ、この日の主審がフェアだったのは、厳しいジャッジ方針は最後までブレず、常に同じ基準でファールを取っていたことであり、それは評価したいと思うところ。

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話はそれてしまったが、カテゴリー差を組織力で埋めていた下総だったが、今度は「数的優位」という大きなアドバンテージを得て、一気にゲームの流れを自分たちの方へ引き寄せていくかと思われた。たが、それで一気に力が落ちるほどマーカスは甘くはなかった。

また、マーカスにとっても退場者のポジションがFWであったことも救いだった。FWの守永は、1人で2人分の動きを強いられたが、中盤と最終ラインの役割は大きく変わることもなく、なんとか10人になってからの5分間を凌ぎきると、今度は攻めに出るチャンスを伺い始める。

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そして時間は45分を迎えようとしていたときにゲームは動く。下総の選手たちは「前半は0-0でも悪くはない」という考えがあった。だが、その余裕とも思える考えが「隙」となってしまい、マーカスに付け入られてしまう。右サイドのスローインから素早く繋ぎ、最後は守永が合わせて一人少ないマーカスが先制点を挙げて前半を折り返す。

しかし、下総は1点ビハインドの状況でも慌てることなく、しっかりと後ろから組み立てて、相手の運動量が止まりだす時間を待ち続ける。すると55分を過ぎた頃からマーカスの中盤にスペースが生まれ始めたことと、数的不利をなんとかしようとするあまりに生まれてしまったファールの連発から、何度もゴールマウスを脅かされることとなる。

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そして75分、またもFKのチャンスから途中交代出場の落合が頭で合わせてついに同点。その後も下総がマーカスゴールを脅かし続けるが、必死のディフェンスを見せる相手に対して決勝点を奪えない。

ゲームはついに延長戦に突入したが、後半途中から選手交代を駆使し、なんとか全体の運動量を回復させていたマーカス。だが、マーカスはまたも不運に見舞われてしまう。延長前半7分、キャプテンの坂倉がレッドカードで今度は2人少ない絶体絶命の状況となってしまう。

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しかし、驚異的な粘りを見せるマーカスは、またも奇跡的なパワーを発揮。延長後半4分、左サイドからチャンスを作り、クロスを入れるとゴール前で混戦となったが、途中出場の須田が難しい体勢からボレーシュートを放つと、ゴールネットを揺らしてマーカスがついに勝ち越し! だが、下総も最後まで諦めなかった。キャプテンの鈴木は「昨日(準決勝)負けたことは悔しかったが、ここで関東リーグのマーカスとやれることはいい経験だし、目標にしていた相手だったので絶対に倒したかった。だからこそ、あの時間帯でも絶対に(点を)取れると信じていました」と語ってくれた通り、再びドラマが訪れる。

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2-1となった2分後の延長後半6分、下総はFKのチャンスを掴むと、一気にボールに多くの選手が飛び込み混戦となるが、最後は鈴木が蹴り込んで土壇場で同点に追いつく!

試合は延長戦でも決着がつかず、勝敗の行方はPK戦にゆだねられることとなったが、「チャレンジャー」だった下総の方が精神的に優位に立っていたのである。確かに相手よりも2人多いという状況であったが、上位カテゴリーのチームを相手に、2度のビハインドを追いついたということが自信となっていた。また、PK戦の直前には「こんな機会は滅多にないのだから、みんなで思いっきりこのプレッシャーを楽しもう!」とリラックスしてPK戦へ挑んでいく。

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その結果、マーカスの5本目を下総GK・國井が見事にストップして、目標だったマーカスに勝つと同時に、3位という成績で今大会を終えることとなった。

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試合後、下総の室田監督、そしてキャプテンの鈴木ともども「結果的には(マーカスに)勝利したけれども、個の力では本当に差はあったし、改めてテクニックの高さと豊富な運動量の凄さを知ることとなりました」と語り、厚木マーカスという存在が、サッカーをプレーする全国の自衛隊員のあこがれの対象であり、抜きん出た存在であることを、再度認識させられた。

さて、3位に入った下総・館山チームだが、合同チームとして大会にエントリーしていたが、ここまでたどり着くには決して平坦ではなかった。基本的に館山からの選手が、下総の練習場に赴くという形で大会に向けて準備してきたが、どうしても「単一部署チーム」に比べて練習時間という面ではハンデがあった。チーム戦術や連携面でも当初は不安もあった。だが、メンバーは同じ方向性を向き、ボールをしっかりキープして、自分たちが主導権を握ってゲームをコントロールしようという高い理想を全員で共有出来たことにより、大会では実に素晴らしいゲームを披露。成績的には3位で終了したが、戦術的に見ると大会の中で一二を争うオーガナイズされたチームであったと言えるだろう。

そして4位に終わってしまったマーカスだが、準決勝、3位決定戦、ともどもPKで敗れてしまうという不運もあったが、その実力高さ故にマークされる存在であったからこそ、この結果になってしまったと言えるだろう。

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だが、3位決定戦での数的不利になってからの驚異的な粘りは賞賛すべきものであり、敗れてもなお「マーカス強し!」という印象は多くの人が抱いたはずであった。

それにしても、3位決定戦でありながらも、決勝戦のような大熱戦となったこの試合。やはり、強い気持ちとたくましい精神力があれば、どんな困難な状況でも奇跡を起こせるということ、そしてどんなカテゴリーの試合でも、素晴らしいものは素晴らしいということを、改めて教えてくれる試合でもあった。

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第47回全国自衛隊サッカー大会 3位決定戦
4月28日 @西が丘サッカー場
海自下総・館山 2-2(PK4-3)厚木マーカス
[得点者]
75分落合、106分鈴木(下総)
45分守永、104分須田(マーカス)

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