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2012年3月18日 - 2012年3月24日

2012年3月20日 (火)

成長した長野とYSCCの可能性

2010年12月5日以来の対戦となったY.S.C.C.(以下YS)と長野パルセイロ。

市原臨海での地域リーグ決勝大会・決勝ラウンド最終日で対戦した両者。あの時は勝ち点3ではなく、勝ち点1だけで十分だったパルセイロがしぶとく逃げ切ってスコアレスドローで試合をクローズさせ、JFL昇格を勝ち取り、YSは「悲しき勝ち点2」だけを手にして大会を後にしたのである…

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あれから1年3ヶ月の時が過ぎ、互いにJFLという全国リーグの舞台で相まみえた両者の戦いは、スピード感溢れる好ゲームを披露してくれた。

[YSCCスタメン]
ーーーーー辻ーーーーーー
渡部ーーー吉田ーーー須原
ーーー小澤ーー平間ーーー
後藤ー服部ーー白井ー渡邉
ーーーーー高橋ーーーーー

[パルセイロスタメン]
ーーー松尾ー宇野沢ーーー
ー藤井ーーーーーーー向ー
ーーー大橋ーー佐藤ーーー
佐田ー川邊ーー小川ー寺田
ーーーーー諏訪ーーーーー

開幕戦で退場者を出しながら、しぶとく食らいつき終盤に追い上げを見せたYS。自分たちが築き上げてきたパスサッカー、そして関東リーグ時代のメンバー(スタメン9人がそのまま)でも十分にやれることを初戦で示し、ついにホーム開幕戦を迎えた。余談だが、JFLが「(ニッパツ)三ツ沢球技場」に帰ってきたのは2004年11月7日の国士舘大学 vs 佐川急便大阪戦以来であり、実に7年4ヶ月ぶりのJFL公式戦開催となった。また、横浜のチームのホームゲームとしては、2000年11月5日の横浜FC vs デンソー戦以来11年4ヶ月ぶりとなった。

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さてゲームだが、ちょっと驚きのシーンからスタートしていく。

立ち上がりの4分、自陣から大橋がロングフィード。前線を走っていた宇野沢が絡むのだが、相手DFの方がやや先にボール地点に入り、クリアするかと思われた。しかし、ここでカバーに入ったDF渡邉が対処ミスを犯してしまい、ボールは宇野沢の足下に転がり込み、あとはGK高橋の動きを見て冷静に蹴り込むだけ。

「棚からぼた餅」という感じで先制点が転がり込んだパルセイロ。この先制点でイケイケになるかと思われたが、ここからYSのいいところだけが目立つ試合となっていくのだ。

「失点は崩されたのではなく、自分たちのミス。やられた訳ではないのですぐに切り替えが出来た」と服部が試合後に語ったように、気持ちの切り替えがすぐにできたYSは、直後の5分にすぐさま反撃に出る。速いリスタートから平間が強烈なミドルを放ち、傾きそうになる流れを自分たちの方に引き寄せていく。

その後はワントップの辻、そして中盤の5人がパルセイロ自慢の攻撃陣を黙らす「ハイプレス」で圧倒。さらにトップ下に入った吉田の動きが素晴らしく、大橋と中盤の底でコンビを組む佐藤は完全に埋没してしまい、まったくといっていいほどボールに絡めない時間帯が続いていく。

流れを完全に掴んだYSは、さらに攻勢を強め18分には渡部のクロスに吉田が飛び込んでゴールを狙い、25分には辻が縦パスから抜け出してGKと1対1の場面を迎える。しかし、ここは諏訪のファインセーブもあり決めきれない。だが、ペースを掴んでいるYSはさらに攻撃を続け、直後に26分、中でボールを持った吉田が右サイドのスペースに走り込んだ辻にパスを送ると、DFを振り切ってシュート! これが見事に決まってついに同点。

辻のスピード、そして抜け出す感覚、シュートセンスが素晴らしかったことは認めるが、それにしてもマークに着いたソータローのお粗末というか、相変わらずの「軽い守備」にはかなりガッカリである。プロの経験を見せなければいけない選手が、簡単に抜かれてしまっては問題であり、あの守備は薩川監督に喝を入れて貰わないと…

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試合の方に戻るが、同点に追いついたYSの勢いはさらに加速。31分にも吉田がゴールを狙うなど、前半はYSのいいところしかない展開が続き、パルセイロはそれをなんとか凌いで跳ね返すだけという形に終始してしまう。関東リーグ時代から、「引いて守りを固め、ロングボールを多用するやり方よりも、自分たちで主導権握り、ボールを繋いでいくサッカーをした方を勝つ確立が高い」という信念から、どんな試合でも自分たちのスタイルを崩さずに戦ってきたYSが、ホームでパルセイロサポーターすらを唸らす見事なサッカーを披露。

ただ、前線が連動してハイプレスをかけ続けるサッカーは、運動量(体力)的にどこまで持つかという疑問もあった。地域レベルではあの動きについていけるチームはそうある訳ではなく、終始圧倒することが出来た。しかし、今いるカテゴリーは全国リーグのJFLであり、「その動き」が残り45分間でどこまで持つのか? というところが大きなポイントになっていた。

そして後半、相手のハイプレスに対して受けになるなとミーティングでハッパを掛けられたパルセイロが反撃に出る。48分には相手のミスをカットした向が持ち込んでシュート! 続くCKのチャンスで川邊が頭でゴールを狙い、直後の50分に訪れたセットプレーのチャンスでも再び川邊が頭で合わせてYSゴールを脅かしていく。

だが、YSの運動量もまだまだ落ちてはおらず、ボールを奪っては素速い展開でパルセイロゴールに迫り、54分には吉田のヘディングシュートがまたもパルセイロゴールを襲う。さらに56分には、この試合である意味「ハイライト」とも言えるシーンが生まれる。

寺田が上がっていた(右)サイドをカバーしていた佐田がバックパスを送るのだが、このパスにGK諏訪の反応が遅れてしまったことも重なり、あわやオウンゴールというシーンが生まれる。非常に微妙なシーンであり、諏訪がボールを押し出したポイントはインゴールに見えたのだが、ボールから遠く離れたポジションにいた主審のジャッジは、YSにとって無情ともいえるノーゴール判定を下すのであった。

不運ともいえるジャッジに泣かされたYSだが、イヤな雰囲気を自分たちの力で吹き飛ばそうと、直後のシーンで右サイドバックの渡邉が果敢な突破を見せ、DF2人を抜き去って鋭いシュートを放つなど一歩も引かない姿勢を見せ、実に素晴らしいゲームがピッチ上で繰り広げられる。

ここまで60分間は、まさにYSが「やりたいサッカー」であった。

しかし、この日の相手は関東リーグのチームや地域レベルのチームではない。さすがに後半に入ってからはハイプレスに負けない動きを見せるようになったし、相手の運動量が落ち出す時間帯を狙って「次の一手」を繰り出す選手層の厚みがあった。

前線の起点として動き回った松尾に替わり、2列目のアタッカー、田中恵太を65分に投入。さらに、やや精細を欠いていた佐藤から67分には野澤にスイッチ。そしてこの選手交代が見事に的中し、試合の流れをパルセイロがグッとたぐり寄せていくこととなる。

68分には田中が起点となり向のシュートを呼び込み、70分には藤井の縦パスに田中が反応して抜け出し、GKと1対1の場面を作り出す。しかし、この場面は関東大学リーグでも対戦していた神大卒の高橋が田中のシュートを読み切り、決定的場面を見事なセーブで防ぎきる。

だが、パルセイロの攻勢は途切れず、直後のCKの場面でも、セカンドボールを田中が拾って中へいいクロスを入れると小川が頭で合わせてゴールを狙い、73分にも佐田のシュートがYSゴールを襲う。前半終了時に危惧された運動量が下がりだし、前線からのハイプレスが効かなくなり出すと、ゲームはパルセイロが支配するようになり、YSとしては最後の最後で苦しい時間帯を迎えてしまう。

だが、ホームで初の勝ち点、いや初勝利を目指すYSは最後まで粘り強い戦いを見せ、攻勢にさらされるものの、なんとか凌ぎきりあともう少しでリーグ初の勝ち点を奪えるところまでゲームを進めていた。

そして試合はまもなくロスタイムという89分。ここでパルセイロがYS陣内でFKのチャンスを得る。キッカーは大橋であったが「ニアのウラを超えれば何かが起こるかも知れない」と蹴ったボールに、宇野沢のマークに引きつけられた相手DFとGKの間にうまく野澤が入り込みバックヘッドで合わせると、これが見事に決まり、土壇場でパルセイロが2-1とリードを奪う。

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試合後の野澤は「自分があそこに飛び込んでDFを邪魔してやろうと思って入っていったのですが、見事に決まっちゃいましたね。ゴールの場所は感覚でわかっていたので、さわるだけで入ると思っていました」と語ってくれたが、ゲームの流れを引き戻すだけではなく、勝利を呼び込む決勝点を叩き出した野澤の働きは見事としか言いようが無かった。

そして試合終盤で、意図のある交替策に打って出る事が出来るようになったパルセイロに、2年目の成長を見せられた気もした。また薩川監督も「昨年なら、こんな感じの苦しい試合で我慢できず落としていたけど、やはり選手が昨年1年間でしっかりと経験を積み、そして成長したのかな? と思います。 まあ、苦しい試合で我慢できるようになっているね」とチーム全体の成長を手放しに喜んでいた。

そしてもう一つ、薩川監督は見事すぎるゲームを披露したY.S.C.C.を「非常にいいチームである」と評した上で、ハイプレスを仕掛けてくるチームに対して、もっとウチも攻略できるようにならないともう一段上には行けないと厳しいコメントも同時に残してくれた。

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苦しみながらも、最後は地力で優るパルセイロが粘るYSを突き放したゲームであったが、パルセイロの「地力」がついたこともさることながら、YSが見せつけたハイプレス&スピーディなパスサッカーに大いなる可能性を感じさせたのである。

確かに後半20分以降はトーンダウンしてしまったが、そこまでの試合運びは賞賛に値するものであり、この美しいサッカーが90分続けられる、もしくはペース配分をうまくやりくり出来るようになれば、リーグ戦の台風の目になる可能性は十分にある。そしてメンバー的にもほぼ関東リーグ時代のままで戦っているYS。別に元Jリーガーに頼らなくても、さらには、いい環境の練習場や練習条件がなくとも、チームの結束力と工夫でいくらでもやりくり出来るということを、この2試合で証明したと言えるだろう。

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昨今のJFLでは、Jリーグを目指すチームの台頭が著しいが、企業のバックボーンを持たない「完全アマチュアスポーツクラブ」である、Y.S.C.C.がこのカテゴリーに参戦してきたことは非常に意義のあることであり、リーグで戦うチームだけではなく、クラブとしても1年間のリーグ戦に挑むことは挑戦というか「冒険」でもある。

Jを目指すクラブでもなく、企業のサッカー部でもなく、Jの下部組織でも、元Jリーグを目指していたクラブでもない、普通のスポーツクラブの挑戦に、今後とも注目していきたいところである。

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2012JFL第2節 @ニッパツ三ツ沢
Y.S.C.C. 1-2 AC長野パルセイロ
[得点者]
26分辻(YS)
5分宇野沢、90分野澤(長野)
[警告]
なし

[ゲームスタッツ]
シュート数:YS8、長野11
ゴールキック:YS10、長野9
コーナーキック:YS6、長野7
直接FK:YS13、長野15
オフサイド:YS3、長野1
PK:YS0、長野0

2012年3月18日 (日)

新生草津U-23、試行錯誤中

新チームとなってこれまでに7試合をこなしたザスパ草津U-23。今年も昨年に引き続き、この時期に群馬県内の大学、社会人チームとのリーグ戦を行い調整を続けているが、17日は埼玉の川口(アヴェントゥーラ川口戦)まで遠征となった。

さて、2012年バージョンのチームだが、ディフェンスラインにそう大きな変化はないものの、攻撃陣の4人が総入れ替えとなり、現時点ではまだ「まとまったチーム」とは呼べない状況である。昨年は複数年在籍した選手も多く、それぞれが「勝負の年」という位置づけを持っていたことから、すでにこの時期にチームの「形」というものは出来上がっていた。

しかし、今年は正直なところ、まとまるはおろか「手探り」の段階にも届いてはいない。さすがに、チームの心臓であったイチ(市川)や前線の4人(森川、藤崎、宮下、清水)が抜けてしまった今年は、チームは完全に作り直しとなるのだが、木村コーチ自身も誰がどのポジションにフィットするか? そしてどの組み合わせがしっくりするのか手探り状態であり、良くも悪くもあと2週間後に迫った天皇杯・予選トーナメントまで続いていくことになりそうだ。

[ザスパ草津U-23スタメン]
ーーーー李ーー神野ーーー
ー白井ーーーーーー藤井ー
ーーー枝本ーー飯山ーーー
小西ー川瀬ーー安田ー横山
ーーーーー後藤ーーーーー

※アヴェントゥーラの選手名はわからないので背番号とポジションのみで
4-4-2(GK1、DF20、DF5、DF3、DF2、MF10、MF19、MF7、MF8、FW11、FW17)

さて試合の方だが、まだ手探り状態ということもあり、選手交代を含めて実に8回のポジションチェンジを敢行し、ベストの形を探し出そうとしていたが、残念ながら収穫の乏しい試合となってしまう。

試合開始当初は個の力でやや上回るU-23がペースを握り、相手ゴールに迫る時間が続き先制点を予感させる展開が続く。しかし、どうしても連携という点では「まだまだ」という部分が顔を出してしまい、木村コーチが求める「サイドからの崩し」はなかなか顔を出してこない。

だが、先制点はU-23が挙げることとなる。前半26分神野が左サイドから中に切れ込み、DFを背負いながら強引にシュート。これが見事に決まって1-0と試合を動かしていく。これで波に乗れるかと思われたが、その後はまずい展開のオンパレードとなってしまう…

先制した直後の29分、中央でボールを回され、最後は2列目から入ってきた川口のボランチ(19番)が蹴り込んであっさり同点。そしてその後の展開だが、チームとしてまとまりのある川口が試合のペースを握る展開となってしまう。

いや、川口がペースを握ったというよりも、U-23の「自滅」と言った方が正しい展開であった。確かに、何度かゴール前を崩されて決定的場面を作られたが、あくまでも数回であり、決して攻め込まれ続けたという訳ではない。しかし、守備から攻撃という面での「切り替え」の悪さが祟ってしまい、まったくと言っていいほど思うような攻撃が出来ない。

後ろからのビルドアップの精度、間延びしてしまった全体のライン、最終ライン、もしくはボランチからボールを受けようとする前線の選手の「受け方(動き方)」の悪さから、自分たちで相手にペースを渡してしまう展開に終始してしまったU-23。なんとかもどかしい展開を打開したいために、ベンチは何度もポジションチェンジを行い、さらには選手交代を行い活性化を図ろうとするが、どうでにも上手く行かない。そんなU-23に対して、川口は2トップの一角である長身の11番を起点に良い流れを作っていく。

どうにもうまく試合が回らないU-23は後半25分に「練習生」を投入。

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練習生というか、5月まで調整を続けるため、「期限付き」で草津に来ている星野崇史である。昨年はJFLのジェフリザーブスでプレーした星野だが、これから先は海外でのプレーに挑むため、それまで(5月)までの短期間だが、再び草津でプレーして調整を続けるとのこと。

そして星野が入った瞬間からチームは激変。それまで、左サイドバックの小西をFW,2列目がうまく引き出せなかったが、星野の動きで左サイドが活性化。すると全体の動きも良くなり、後半40分になって、この日初めてといえる「綺麗な形」でのサイド展開が生まれる。さらに続く41分にもまたも星野のクロスからチャンスを作り、もどかしい流れだった試合が一気に激変。

42分には川瀬が右サイドをやぶり、中にクロスを入れると2列目から入ってきた枝本がいいミドルを放ち、44分には星野パスを受けた小西が完全に抜け出しGKと1対1という場面になるのだが、ここはシュートではなく中へのパスを選択。勝負を決める決定機かと思われたが、ここは小林が痛恨のシュートミスで勝利を決める1点が奪えない…

結果的に試合は1-1のドローで終わったが、チームとして課題が山積みであることを露呈してしまったが、連携部分だけではなく「球際」の弱さも目についてしまった試合でもあった。

また、試合終盤にはなんとか見せ場を作りだしたが、それは上のカテゴリーを経験してきた星野の力があったからこそ。別に星野が活躍することは悪いことではない。当然ながら、彼には次のステージでも頑張って欲しいのだから。しかし、チームとしては、公式戦に出られないメンバーが一番活躍している状態では困ったものでもある。

木村コーチも「見ての通りの試合ですよ…」と、苦笑いを試合後に見せてくれたが、やはり広いグラウンドで練習できない現状が、試合での準備不足に繋がってしまうことを語ってくれた。昨年までのチームであれば、複数年在籍していた選手で固められていたことから、年明けでも選手同士で「イメージの共有」が出来ていた。しかし、新しいメンバーが多くなった今年はそうは行かない。

今年はどう見ても「枝本のチーム」という印象が強いが、3年目の白井、川瀬が引っ張っていくようにならないと、全体の底上げに繋がってはいかない。また、この試合で多くのポジションに起用された神野も今シーズンのキーマンとなっていきそうである。

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まだ3月という時期であり、「これから」という印象もあるだろうが、天皇杯予選トーナメントはあと2週間後に迫ってきている現状があり、決して悠長に「これから」とは言っていられない。この日感じたもどかしさを、選手たちがどう感じて、どう肥やしとしていくのか? 2週間後に迫った予選トーナメントでその答えを見せてくれることを願いたい。

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