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2012年1月29日 (日)

4、5年後を見据えるパルセイロ

昨年12月に土橋、塚本、麻生、大典といった「北信越組」と、谷口、浦島、富所、堀之内の「1年目組」の退団を発表した長野パルセイロ。そして新しい年に入って新加入選手を発表する前に、加藤、平石、冨岡も退団が発表されるなど、結果的にやや多めの11人がチームを去ることとなった。

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北信越組がチームを去ることは、チームの新陳代謝から考えて仕方のない部分でもある。そして加藤、冨岡に関しては、契約の問題、さらには次のステップとなる「Jリーグ参入の時期」も絡み、最終的に契約満了という形となったが、この2選手も去ったことにより、2011年入団選手で残ったのは向、小川、寺田、有永の4名だけとなってしまった。それにしても、新戦力(即戦力)として期待された11人のうち7人が退団となり、シーズンを通して新戦力として大きな貢献を果たしたのは向慎一だけったという現実も寂しいところであり、昨シーズンの補強がいいものだったのか? という点に疑問が残るところでもあろう。

チームはJFL初年度でいきなり2位という結果を残したが、決して満足感を得られる補強とは行かなかった昨年。だが、今年に入って小出しで新加入選手を発表しているが、現状、そして将来を見据えたいい補強となっている。

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最初に発表されたのは、2006年シーズン以来6年ぶりに籾谷と同じユニフォームを着る事となった佐田聡太郎。なんとなく、いまだに「若い選手」というイメージがあるのだが、ザスパ草津では8シーズンSBとして活躍。この間、J2リーグで通算202試合に出場するなど、中堅というよりもベテランの域にも差し掛かっている選手。右も左もこなせるサイドのスペシャリストとして、有永、寺田の手本となるプレーも見せて欲しいところだ。

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そして佐田以上にツボを押さえた補強になったのは、アルテ高崎からやってきた松尾昇悟であろう。JFL1年目はプレーだけではなく態度も「子供」であったが、昨年はチームを牽引していくリーダーとしての自覚も芽生え、精神面でも成長を見せ大きく飛躍。昨シーズンのJFLの中で、最も成長した選手といえる松尾に関しては、J2のチームも含めて興味を示したチームはいくつかあったが、最終的に長野が獲得。アルテではFWだけではなく2列目でも力を発揮したことから、佐藤大典の後釜として実にいい人選となったと言える。

また、GKが諏訪1人という状況もあり、獲得が急務となっていたポジションには田中賢治(前ツエーゲン金沢)を補強。さらに将来のJリーグ昇格を見据えるだけではなく、即戦力としても期待出来る大卒新人をまずは2名獲得。一人目は明大からやってきた田中恵太、二人目は流経大からやってきた保戸田春彦だ。

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田中恵太は小柄であるが、スピードもあり果敢な突破が持ち味。選手層の厚い明大攻撃陣の中で早くから頭角を現してトップチームで活躍してきたこともあり、将来を見据えた育成枠というよりは、即戦力としての期待がかかるところ。大学最後の年となった昨年は、ケガもありシーズンを通しての活躍は出来なかったが、秘めている実力は明大・神川監督も高く評価しており、同期でプロに進んだ丸山(横浜FM)、宮阪(山形)、高木(川崎)らと同等の力があると言ってもおかしくはない。ポジション的には向、栗原、そして松尾などと争うこととなるが、クレバーの動き、そしてキレのある動きで「向二世」となってくれることを期待したい。

田中と並んで大卒ルーキーとして入団した保戸田だが、4年生時は横浜FCの練習に参加するなど、彼もプロ入り間近かと思われたが編成の都合上からプロへの道が開けず、最終的に長野という新天地を選んだ。高校時代は流経柏で2冠を達成した時のメンバーの一人であり、大学に入ってもJFLチーム、トップチームで早くから活躍した選手で実力・経歴に文句はない。そして彼のポジションだが、高校時代はFW、もしくは2列目のアタッカーであったが、大学に入ってからはCBとGK以外をすべて経験。3年時や横浜FCでの練習参加時はSBとしてプレーするなど、オールラウンダーとしての片鱗を見せており、「なんでもやります」という大学時のキャッチフレーズ同様、多彩な役割をこなせる選手として長野でも重宝されそうだ。

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この他にも数名の大卒選手を獲得することが決まっているようで、即戦力としても期待できながら、さらには将来を見据えた補強となっているパルセイロ。最終的には退団した11人と同数近くの人数が加入するとのことだが、ここから先の発表にも非常に期待がかかるところでもある。

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さて、昨年末にJリーグ側に準会員申請をした長野パルセイロだが、今回の選考で準会員申請が了承されたとしても、2016年、もしくは2015年でないとJリーグ入りが出来ないことが長野市・鷲沢市長、長野・小池社長の口からそれぞれ明らかにされている。これに関しては、スタジアムの問題が大きな壁となっているのだが、南長野の改修であれば早くとも2016年、暫定的な処置として長野市営陸上競技場に仮設スタンドを設置して、1年早い2015年からのJリーグ入りを目指すこととなるそうだ。

ライバルである松本山雅は今年からJリーグの一員として闘う訳だが、それに対してJリーグ入りが早くとも2015年となってしまった長野側に焦りがない訳ではない。しかし、「来季は大丈夫です」と不確定要素なままで昇格時期を曖昧にし続けるより、はっきりと市長や社長の口から「この年」と明言した方がスッキリしていいと思うのだ。

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4年、もしくは5年という時間はやはり長く感じてしまう。長引いてしまえば「長野市にJを」という機運も醒めてしまう可能性もある。また、Jリーグ入りを夢に集まってきた選手にとっても、この現実は複雑であることは間違いない。だが、スタジアム問題は1年でどうこうなるものではない。

中には「だったらホームタウンは長野市、でもスタジアムはアルウィンを使用させてもらえば…」と考える人もいるだろう。確かに、アルウィンは松本山雅の所有物ではない。だからこそ、パルセイロが使っても制度上では問題はないかもしれない。しかし、ここまでダービーというものを熱いものにし、長野と松本という対立軸を作り上げてきた今、パルセイロがアルウィンを使用させてください… という事は絶対にあり得ない話なのである。時間がかかったとしても、今は「ながの」にこだわるべきであろう。そして今回、行政のトップから「この年」という発言が出たことを前向きに捉えた方がいいと言える。

そして今いる選手にとっても、自分たちのプレーがこのチームの歴史を作ることに誇りをもって戦えば、決して4年という月日も短くはないかも知れない。現在、27〜30歳で選手としてピークを迎えている選手にとって、自分が活躍してもJリーグに行けないことは厳しい現実かもしれない。しかし、プロになる、Jリーグの一員になるだけが「サッカー選手」の生き方ではない。Jリーグの一員でなくとも、Honda FCやSAGAWA SHIGAのように、強いチームになれるし、地域のサッカーを牽引する存在にもなれるのである。例えばHonda FCなどは、同じ静岡県内に清水エスパルスがあり、そして隣町にはジュビロ磐田というJ1チームがある中でもアイデンティティーをしっかりと持ち、アマチュアの雄として息の長い活動を続けている。

また、1993年のJリーグ発足からリーグに参加した浦和レッズに対して、大宮アルディージャは6年後にやっとJ2参加となり、J1昇格はさらにそこから6年の月日を費やしたのである。

それを考えれば、4、5年という月日が本当に長いのであろうか? そして松本山雅が先にJリーグに行ってしまったから、長野パルセイロの行く末が前途多難となってしまったと言えるのだろうか? Jリーグに行くのは確かに4、5年先となってしまったが、やらなければいけない課題は山のようにある。クラブはこれまで以上に行政、地域との連携を深めなければならないし、観客動員を常に3000人以上見込めるよう、もっともっと市民にアピールをしていかなければならない。そしてもう一つ、今すぐにでもJリーグに上がっていてもおかしくない(恥ずかしくない)チームを作らなければならないし、目標地点でもある2015年、もしくは16年に主力として活躍出来る若手選手を育てていかなければならない。だからこそ、今年入団する新卒選手たちには大きな期待がかかるのである。

かくして、Jリーグ準加盟クラブとなったとしても、しばらくは昇格はない長野パルセイロ。だからと言って、目標がないから手を抜いてもいいという訳はない。目標となった年までに、JFL最強のチームになることが絶対条件であり、さらに地域に根ざしたクラブに変わっていかなければならないのだ。

そのためにも、4年、もしくは5年という時間を得たことは、決して悪いことではないと考える。この時間をクラブだけではなく、サポーターにとっても「無駄に長い」と思うのではなく、熟成させるための「有意義な時間」に変えて欲しいところだ。

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