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2011年8月21日 - 2011年8月27日

2011年8月27日 (土)

第91回天皇杯・8/27予選結果

本日行われた各地区の天皇杯予選結果ですが、下記のような結果になりました。

北海道:知事杯全道サッカー選手権大会
8/27 準決勝
○北海道教育大学岩見沢校 2-1 札大GP●
●ノルブリッツ北海道 0-1 札幌大学○

8/28 決勝 14:00@札幌SAP
北海道教育大学岩見沢校 vs 札幌大学

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青森県:NHK杯青森県サッカー選手権大会
8/27 準決勝
○ヴァンラ—レ八戸 4-0 リベロ津軽●
●ラインメール青森 0-1 八戸大学○

8/28 決勝 13:00@五戸ひばり野
ヴァンラーレ八戸 vs 八戸大学

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福島県:福島民報杯・NHK杯福島県サッカー選手権大会
8/27 準決勝
○福島ユナイテッドFC 4-0 福島大学●
●メリー 0-2 JFAアカデミー福島○

8/28 決勝 13:00@郡山西部
福島ユナイテッドFC vs JFAアカデミー福島

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東京都:東京都サッカートーナメント
8/27 決勝 18:00@西が丘
○町田ゼルビア 1-1(PK5-4) 専修大学●
※町田ゼルビアが本大会出場

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静岡県代表決定戦
8/27 14:00@藤枝総合
○静岡産業大学 3-1 Honda FC●
※静岡産業大学が本大会出場

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愛知県:愛知県サッカー選手権大会
8/27 決勝 15:00@名古屋市港サッカー場
●トヨタ蹴球団 1-3 中京大学○
※中京大学が本大会出場

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香川県:香川県サッカー選手権大会
8/27 決勝 14:00@香川県営
○カマタマーレ讃岐 5-0 高松大学●
※カマタマーレ讃岐が本大会出場

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宮崎県:宮日旗・NHK杯宮崎県サッカー選手権大会
8/27 準決勝 @宮崎市目の杜陸上競技場
●九州保健福祉大学 1-5 鵬翔高校○
●日章学園高校 0-3 宮崎産業経営大学○

8/28 決勝 13:00@宮崎市目の杜陸上競技場
鵬翔高校 vs 宮崎産業経営大学

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取り急ぎ、この場は結果のみで失礼いたします。
それにしても、Honda FCの予選敗退の一報には驚きです。
天皇杯の醍醐味といえばなんと言ってもジャイアントキリングであり、数多くの印象的場面を作り出してきたHonda FCですが、ついに連続出場記録が16で途絶えてしまったことは非常に残念です…

なお、それ以外の28日決勝分カードに関しては8月25日分をご参照ください。

超える

8月21日に行われた群馬県天皇杯予選・準決勝の試合後、「次の試合に勝てれば、絶対に自分たちのサッカー人生が変わっていくと思います。壁を乗り越えられれば、絶対に新しいサッカー人生が開けると思うんですよ…」と、FWの森川勇大は語ってくれた…

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そんな彼を含めたザスパ草津U-23のメンバーは、明日、最大の勝負の時を迎える。

第16回群馬県サッカー協会長杯・決勝戦
13:00〜 @敷島サッカーラグビー場
アルテ高崎 vs ザスパ草津U-23

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ザスパ草津がJ2リーグに新加入(加盟)したのは2005年のこと。この年から、晴れてプロクラブチームとなったのだが、それと同時に、JFL時代以上に活動の拠点を前橋に移さなければいけなくなってしまった。当然ながら、群馬県にJリーグを開催できる規模のスタジアムは敷島(正田醤油スタジアム群馬)以外にはなく、さらには営業活動、自治体(群馬県全体)との連携、選手の移動などの面から考えても、拠点が前橋に移ることは致し方のないことでもあった。

そんな状況の中、J2リーグ昇格の決まった2004年12月、来季(2005年)から、ザスパ草津のルーツ、そしてISMを継ぐチーム(下部組織)を作ることを発表したのだが、これこそ現在のザスパ草津U-23の前身であるチャレンジャーズチームであった。

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リエゾン草津時代からこの地でサッカーを続ける木村直樹を指導者に据え、草津町で働きながらプロを目指した選手たち。当初はサテライトリーグに参加しながらトップ昇格を目指したのだが、2010年のサテライトリーグ廃止を受けて、群馬県サッカー協会登録チームとして県リーグ(4部)に参加しながら夢を目指すこととなり、さらには県リーグ所属チームとなったことにより、このチーム単独での天皇杯出場という新しい目標も生まれた。そんな中で、昨年からトップ昇格を目指すと同時に、チームとして天皇杯出場も目標となったU-23だが、県予選3回戦で上武大学にまさかの敗戦。この敗戦のショックは決して小さなものではなく、この試合の結果を受け、8月をもって2人の選手がチームを去っていった。

しかし、あの日の苦い経験を糧として、ここで結果を出すことを心に決め、チームに残った12人の選手たち。その中でも、5年目の藤崎武馬、4年目の成田憲昭、飯山悠吾、市川朋紀、宮下薫、森川勇大の6人は他のメンバー以上にこの大会に賭ける想いは特に強かった。そして、彼らにとってこれが「ラストチャンス」であることも十分に認識しているはずだ…

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チームの中には、大学1部リーグ(関西)で活躍した枝本雄一郎や、高校時代にインターハイや選手権出場した西野隆司といった、経験や結果を持っている選手もいるのだが、大半の選手はさしたる結果や経歴を持ち合わせてはいない。

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ゲームキャプテンとしてチームをまとめるイチにしても、前商時代にプリンスリーグなどの出場経験を持っているが、選手権出場を賭けた試合では育英らの壁に跳ね返されている。また、チームのエースに成長した藤崎武馬、森川勇大も正直、大きな経歴を持っている訳ではない。

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このように、個の力では十分に関東一部やJFLクラスでもやり合える能力を持っている選手が集まっているのだが、いかんせん、結果、経歴という部分で胸を張れるものが無いところが玉に瑕。だからこそ、選手たちはこれまでの自分を乗り越えたいという気持ちが強く、そして新しい一歩を踏み出すためにも、この試合は是が非でも勝ちたいのである。そう、勝って「全国への扉」、そして「次への扉」を開くために…

彼らが夢舞台を勝ち取った先には、もしかすると来季以降のトップ昇格への道が開けてくるかも知れないし、それ以外のチームで活躍する場を勝ち取れるかも知れない。また、「夢は託した」とチームを去っていた仲間のためにも、勝たなければいけないのである。

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扉を開き、新しい世界に踏み込むためには、まずは今の自分を超えること。
敵に勝つということを意識する前に、自分の限界を超えてほしいのだ。
その戦いに勝てれば、自ずと勝利は見えてくるはずなのだから…

天皇杯という夢舞台で「リアル温泉街からの挑戦」が是非とも見たいもの。
そのためにも、限界を超え、悔いのない戦いを繰り広げて欲しいと願うかぎりである。

2011年8月25日 (木)

ユニバ5回目の優勝から見る大学サッカーの裏側

中国・深センで行われていた第23回ユニバーシアード競技大会・最終日(23日)にて、日本学生代表チームは決勝戦でイギリス代表と対戦。河本明人、山村和也(ともに流経大)のゴールで2-0と勝利し、3大会ぶりり5度目の優勝を掴んだ。

なお、女子学生代表チームも21日行われた決勝戦に進出していたが、こちらは延長戦の末、中国代表に1-2と惜敗。初優勝を狙ったのだが2大会連続準優勝に終わった(通算3度目の準優勝)。

ということで、どっかのニュースをコピペしてきたのですか? という感じでユニバーシアード・サッカー競技の結果を書きましたが、何分、現地に行ってはおらず、試合も見ていないので今大会については語ることはしません。ただ、日本の「大学サッカー」という、世界的に見ても稀なカテゴリーの進化と存在感は、もっと高く評価されてもいいと思いますので、そのことについて今回は書いていきたいと思います。

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■日本サッカー・アマチュア時代
日本サッカー界がまだアマチュアだった時代(~1991年)は、将来を嘱望される高校生の進路は大学に行くというパターンが多くを占めていた。また、この当時は日本サッカー協会が主導するトレセン制度も現在のような確固たる形で行われてはおらず、読売クラブ(現東京ヴェルディ)のような、育成組織を持つクラブチームの存在が珍しい時代でもあり、ユース年代の育成・強化はもっぱら高校、大学の「部活動」が大きな部分を担っていた。

そんな時代背景もあり、将来を嘱望された選手は、部活動顧問の出身校であったり、知り合いの指導者がいる大学へ進学するという流れが自然なものでもあった(当然ながら、その流れは今でも存在してる)。

しかし、1980年代後半は日本サッカーにおいて「冬の時代」でもあった。日本代表というか、日本サッカー界はプロ化した韓国に大きく差を引き離され、サッカーの人気自体も停滞したままであった。当時、日本の最高峰リーグであったJSL(日本サッカーリーグ)1部でも、招待券を5万枚以上配布しても国立競技場に1万人集めることが難しかった(※古河電工主催試合では招待券10万枚配布したということもあった)。そんな状況の中であるからこそ、大学サッカー(ここでは関東だけに絞ります)も同様に人気はジリ貧状態が続いていた。

リーグ開催もやっと…という厳しい経済状況となっていた大学サッカー界だが、1989年からJR東日本がスポンサーとしてリーグを支援してくれたことにより、伝統ある大会は装いを新たに再スタートを切ったのだが、今度は別の要因により厳しい状況を迎えてしまう。

■プロ元年を迎えて
27年間続いた「日本サッカーリーグ」が1991-92シーズンで幕を閉じ、ついに「プロ元年」を迎えた日本サッカー界。さらにこの年(1992年)の8月に北京で行われたダイナスティカップにて、日本代表が国外大会にて初優勝を飾り、プレ・Jリーグとなる第1回のヤマザキナビスコカップも開催され、これまでには考えられなかった「サッカーブーム(Jリーグブーム)」が巻き起こることとなる。

このように、状況が激変した日本サッカー界。93年から正式にスタートしたJリーグは人気を伸ばす中で、高校生の進路も大きく様変わりし、卒業後にプロの門を叩く者が一気に増加し、将来を嘱望される選手にとって「大学の4年間」は遠回りであるという考え方も大きくなっていく。さらには、「プロになりたい」という気持ちから、大学を中退してプロ生活を選ぶ選手まで現れ出す。それと同時に、大学サッカー界でのスター選手の存在が減少し、一時は大学リーグの存在意義とはなんなのか? とまで言われることすらあった。

Jリーグ発足は、サッカーにこれまで興味の無かった層まで巻き込んでブームとなり、高校サッカーに関しても、Jリーグほどのブームではないものの、安定した人気をキープしていたのだが、大学サッカーは相変わらず脚光を浴びることは少なかった。だが、そんなマイナーな存在に追いやられていた大学サッカーが、脚光を浴びるどころか日本サッカー界に大きな「第一歩」を残すこととなる。

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1995年にユニバーシアードが自国開催(福岡)されたのだが、この大会で日本チームは決勝で韓国を2-0と下し、日本サッカー界として、あらゆる世界大会にて初めて優勝という結果を残したのである。その時のメンバーには、現在SC相模原の代表でもある望月重良をはじめ、斉藤俊秀、寺田周平、山田卓也など、日本代表経験者も含まれていた。そして望月は、後に「大会で勝ちたい(優勝したい)ということは当然でしたが、それ以上にプロで活躍している同世代の選手に負けたくなかった。だからこそ結果が欲しかったんですよね」と語ってくれている。

このように、大学サッカーは脚光を浴びることは少なかったものの、プロ化が日本サッカー界に導入された影響を受け、人気面は別として、実力という部分では着実にレベルアップを果たしていた。

■転機
このユニバーシアードの優勝から、日本チームは2大会連続で結果を残すことは出来なかった。しかし、2001年に行われた北京大会、03年の大邱大会、05年のイズミル大会と3大会連続で優勝を果たし、日本の大学サッカー界は21世紀に入ると、まさに「新世代」を迎えることとなる。

さて、ユニバーシアード大会でなぜ日本は強さを発揮できたのか?

その点を考えてみたいのだが、日本よりレベルの高い国(イタリア、ドイツ、ブラジル、スペインなど)も、この大会に出場しているのだが、日本のような結果を残していない。その点については、強豪国と呼ばれる国々では、有力選手のほとんどはユース年代でトップクラブに活躍の場を移すこともあり、大学でプレーする選手は多くはない。さらには、各国の協会が「大学サッカー」「ユニバーシアード」という存在に重要度を感じていないという現実もあった。

それに対して、日本サッカー界は、Jリーグ、そして日本代表を頂点としたサッカーピラミッドの中で、どのカテゴリーでも世界と対等に戦い、そして勝てるチーム、勝てる選手を育成しようというプロジェクトがしっかり作り上げられ、それが3連覇に結びついていった。

しかし、サッカー協会や大学サッカー連盟がいくら強化プランを進めたからと言っても、それで3連覇出来るほど大会は甘くはない。では、それ以外の部分で大学サッカー界にどんな変化があったのだろうか?

Jリーグ発足当時は「プロ」という言葉に惹かれ、多くの高卒新人選手を生み出したが、その中で満足な成績を残し、中心選手として活躍できた選手は実際にはそれほど多くはない。そんな夢やぶれてしまった選手たちにとって、サッカー以外のことについての知識は乏しく、プロを引退した後の「第二の人生」は楽なものではなかった。

日本という国(社会)は、他の先進国に比べ、やはり「学歴」というものが今なお重要性を持っている国でもある。サッカーだけに打ち込み、高校を卒業してプロの世界に入った選手たちにとって、プロという肩書きが無くなってしまったときに、「大卒」という肩書きの重要性を初めて知る人も多いという。

また、Jリーグブームが過ぎ去り、リーグの観客動員、チームそれぞれの収入も減少し、人気を誇るチーム以外では選手保有数を減らしたり、選手の年俸を下げるなどしてクラブ経営をやりくりする時代を迎えていた。イケイケだったプロ元年当時とは、かなり様変わりしてきたJリーグ。そんな中で選手側は「大学卒業という資格の重要性」「即、プロで通用するかはわからない。だからこそ、4年間大学で鍛えあげたい」と考える選手も多くなり始め、高校生を含めたユース年代の選手の中に「大学進学」という選択肢が再び脚光を集め始めていく。

■大学サッカーが急成長した要因
21世紀に突入し、日本は少子化社会に進んでしまっているのだが、各大学にとって「学生確保」は死活問題に直結することもあり、新興大学だけではなく、歴史と伝統のある大学まで、新入生を増やすためにあの手この手と多彩なアイディアを出し続けている。たとえば、これまではひとくくりに「経済学部」といった学部も、今は詳細な分野に特化した「●●ビジネス学科」と言ったように、学生のニーズにピッタリ合う学科や学部を設立する大学が多くなっている。

そして、もっとも学生をてっとり早く集める手段として良く用いられるのが、「プロのトレーニング施設ですか?」と見間違えるかのような、立派な施設を導入し、スポーツの分野で名をあげることだ。

サッカーではないが、スポーツに特化して一気に名前を挙げたのが、箱根駅伝で強豪校となった山梨学院大学であろう。そして、サッカー界ではなんと言っても流通経済大学がそれにあてはまるはず。このように、いくつかの新興大学が、生き残りを賭ける中で、スポーツ分野に特化しだしたことにより競争が激化し、さらには伝統校にもその流れが波及して、大学スポーツ界の環境整備は一気に進化。今では、Jクラブの選手が「あのグランドやトレーニング施設はうらやましい」と語るほど、素晴らしい環境を備える学校が増えたのである。

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さらには、プロ創生期には「なんとかプロでもやれる?」という選手まで獲得していたJクラブ側も、近年ではシビアに選手を見定めるようになってきている。そんな中で、自前の下部組織で育った選手の中で、大学に「預ける」という流れがどんどん増えてきている。また、ユース組織の選手を大学に進学させるだけではなく、Jクラブ側の指導者を大学側に派遣して、交流を図るケースも増えつつある。

このような流れを受けて、今は完全に見直されつつある大学サッカー。

しかしだ、今の大学サッカー界の成長を支え続けた陰には、信念を持ち続け長年に渡って地道な指導を続けてきた名監督たちの存在も忘れてはならない。

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関東の地から遠く離れた四国という、場所的なハンディがありながらも、全国の強豪大学と対等にやりあえるまでに成長させた高知大学の野地照樹監督。戦術に特化したサッカーではなく、気持ちで戦うことを全面に押し出す駒澤大学の秋田浩一監督。ユニバーシアード3連覇に大いに貢献し、さらには永井謙佑を世界レベルに育て上げた福岡大学の乾 真寛監督。さらには、阪南大の須佐徹太郎監督や、明大サッカー部を復活させた神川昭彦監督など、数多くの名指導者が存在している。そしてもう一人、大学サッカー新世代を作り上げていく中で、絶対に欠かせない存在となったのが、流経大総監督の中野雄二さんであろう。

2007年の話になるが、流経大の中野総監督と大平コーチに、シーズン前に刈谷で行われたJFL合同セレクションの会場で遇ったことがある。その際に「なんで流経さんが来ているのですか?」と質問した際に、両氏はこのように答えてくれている。

「ここに来ている選手って、みんなプロとか一つでも高いカテゴリーでやりたいからここ来ている選手ばかりじゃないですか? でもね、テスト(セレクション)を受けに来ている選手の大半は18歳〜22歳ぐらいの選手ばかり。その年齢であれば、プロとか、JFLとかではなく、サッカー選手としてだけではなく、大学生として勉強しながらプレーしてもおかしくないと思うんですよ。

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ウチは、別にプロを養成するだけでサッカーをやっている訳ではない。当然、プロ選手も生み出していますが、ウチの部の部員のうち、プロになれない選手の方がほとんどです。でもね、ウチの部はサッカーしか知らない人間ではなく、しっかり勉強もさせて、サッカー人としてだけではなく社会人として通用する人間を育てているつもりです。

難波(宏明)のように、一度プロで夢やぶれてしまった選手でも、頑張ればやり直せるんですよ。だからこそ、そういった気持ちでやり直そうとする選手がいるかもしれないので、今日はこのセレクションを見に来たんですよ」

ただ単純に、才能がある選手を育てるだけではなく、一度はプロで挫折してしまった選手にまで目を向けていた中野監督や大平コーチ。そんな流れだが、今は中京大学が積極的に元Jリーガーだった若い選手を迎え入れるなど、大学のサッカーはこれまでとは違った役割も担おうとしているのだ。

このような「流れ」というものは、結果が全てのプロでは到底出来るわけがない。そして、信念と思いやりを兼ね備えた指導者が揃ったことに、抜群の育成環境を手にした大学サッカー界は、今や日本サッカー界に欠かせないカテゴリーに成長したと言えよう。

■問題点もあるのだが…
しかし、育成機関として進化する大学サッカー界の存在を、世界基準の流れからは逸脱していると考える人も少なくはない。

世界的に見れば、大学サッカーが育成において大事なカテゴリーになっていることは確かに異色である。強豪国では、大学は学位を取りに行く場所と考えられており、選手を育成する場所とは捉えられてはいない。また、選手はクラブで育てるものであるという考え方であり、選手はクラブを大きくする「大事な財産である」という考え方がスタンダードでもあるのだ。

ただ、ここでは進化する大学サッカーの話を扱っているので、Jクラブの育成方針や、問題になっているトレーニングコンペンセーション制度に関しては割愛させていただきます。なお、トレーニングコンペンセーション制度は今後、取り上げたいとも思っております。

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■まとめ
このように、日本サッカー界において、大きな役割を担うようになってきた大学サッカーであるが、賛否があることは確かであり、育成補償制度など、もっと考えていかなければいけない問題がある。しかしだ、その話は別として、日本という学歴文化がいまだに根強く残る国にとって、大学サッカーが進化していくことは決して悪いことではないと考えるのだ。

Jクラブとしても、本来なら選手を自前で育てたいのだが、サテライトリーグが事実上の廃止となった今、若い選手を育成、そして成長させる機会が乏しくなっている現状がある。大学側としても、少子化が進んでいくこの先、学校を維持していくためにも「起爆剤」が欲しいし、広報活動の一環として効果が見込めるスポーツには力を入れていきたい。だからこそ、才能のある選手を「我が校へ」という気持ちも強い。さらには、人生の中で現役として活動できる時間が短い選手たちにとって、大卒という資格があることは、第二の人生を生きていく上で大きな武器となるはず。

これら3者の思惑が絡み合い、成長を続ける大学サッカー界。世界の育成スタンダードからは、かけ離れているかも知れないが、別に世界と同じようにする必要もないし、その国の文化というか風土の上にこの形が熟成し出してきているのだから、私個人としては今の流れは悪いものではないと考えている。

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そんな中で、2大会優勝から遠ざかっていた日本チームだが、中野監督は昨シーズンから各地域の大会をまわり、選手をその目で確かめ、この大会に向けて準備を続けてきたのだが、メンバー的にもチーム的にも、自身が指揮を執る流経大をベースとしていたこともあり、「負けられない」というプレッシャーは何よりも強かったはず。しかし、そんなプレッシャーをはねのけ、見事に優勝した日本チーム、そして中野監督には心からおめでとうという言葉を捧げたい。

別にね、日本の育成年代のあり方が、世界スタンダードじゃなくてもいいじゃないか? と思うわけですよ。日本は日本の「らしさ」で進化していけばいいのだから…

第91回天皇杯・8/25予選結果

本日、茨城県、京都府、福岡県の3地区におきまして天皇杯予選が開催され、これで全都道府県予選は残すところ、今週末に予定されている準決勝、決勝のみとなりました。

では、取り急ぎ、本日行われた予選の結果を

茨城県:茨城県サッカー選手権大会
8/25 準決勝
○流通経済大学 4-3 クラブ・ドラゴンズ●
○筑波大学 4-2 流通経済大学FC●

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京都府:京都FAカップ京都サッカー選手権決勝大会
8/25 準決勝 @西京極
○佐川印刷 2-1 アミティエSC京都●
●福知山成美高校 0-9 同志社大学○

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福岡県:福岡県サッカー選手権大会
8/25 準決勝 @FFC
○福岡大学 3-0 九州共立大●
○福岡教育大学 3-0 九州三菱自動車●

以上のような結果となりましたが、1軍 vs 3軍の戦いとなった流経大対決ですが、予想以上の熱戦となりましたが、驚きは昨日ユニバーシアード(中国・深セン)から帰国したばかりの中里崇宏がまさかのスタメン出場。

これはかなり驚きです…

まあ、結果的には本日行われた3地区は特に波乱もなく、順当な結果となり予想どおりの決勝戦が実現したと言えるでしょう。

では、本日の結果を受けまして、今週末各地で行われる準決勝、決勝戦のカードをもう一度まとめておきます。

※東京、静岡、愛知、香川の4地区は27日(土曜)に決勝戦実施
※北海道、青森、福島、宮崎の4地区は準決勝が27日、決勝が28日
※残りの決勝戦はすべて28日(日曜日に開催)

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[北海道]
北海道:知事杯全道サッカー選手権大会
8/27 準決勝
北海道教育大学岩見沢校 vs 札大GP

ノルブリッツ北海道 vs 札幌大学
8/28 決勝 14:00@札幌SAP

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[東北地区]
青森県:NHK杯青森県サッカー選手権大会
8/27 準決勝

ヴァンラ—レ八戸 vs リベロ津軽
ラインメール青森 vs 八戸大学

8/28 決勝 13:00@五戸ひばり野

岩手県:岩手県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:05@盛岡南
グルージャ盛岡 vs アンソメット岩手八幡平

秋田県:秋田県総合サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@八橋陸上競技場
ブラウブリッツ秋田 vs 秋田カンビアーレ

山形県:山形県サッカー総合選手権大会
8/28 決勝 13:03@山形市陸
山形大学 vs 山形大学医学部

福島県:福島民報杯・NHK杯福島県サッカー選手権大会
8/27 準決勝

福島ユナイテッドFC vs 福島大学
メリー vs JFAアカデミー福島

8/28 決勝 13:00@郡山西部

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[関東地区]
茨城県:茨城県サッカー選手権大会

8/28 決勝 15:00@ひたちなか
流通経済大学 vs 筑波大学

栃木県:栃木トヨタカップ栃木県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@グリスタ
栃木ウーヴァFC vs ヴェルフェたかはら那須

群馬県:群馬県サッカー協会長杯サッカー大会
8/28 決勝 13:00@敷島サカラグ
アルテ高崎 vs ザスパ草津U-23

埼玉県:彩の国カップ埼玉県サッカー選手権大会
8/28 決勝 15:00@熊谷陸上
平成国際大 vs 尚美学園大

千葉県:千葉県サッカー選手権大会
8/28 決勝 15:00@中台
柏レイソルU-18 vs 浦安JSC

東京都:東京都サッカートーナメント
8/27 決勝 18:00@西が丘
町田ゼルビア vs 専修大学

神奈川県:神奈川県サッカー選手権大会
8/28 決勝 14:00@ニッパツ
Y.S.C.C vs 東海大学

山梨県:山梨県サッカー選手権大会
8/28 決勝 @山梨中銀スタジアム
帝京第三高校 vs 山梨学院大学付属高校

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[北信越地区]
長野県:長野県サッカー選手権大会

8/28 決勝 13:00@アルウィン
松本山雅FC vs AC長野パルセイロ

新潟県:新潟日報杯・NHK杯・共同通信杯新潟県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:08@新潟陸
JAPANサッカーカレッジ vs グランセナ新潟

富山県:富山県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:03@五福陸上競技場
ヴァリエンテ富山 vs 富山新庄クラブ

石川県:石川県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@西部緑地公園陸上競技場
ツエーゲン金沢 vs 金沢星稜大学

福井県:福井県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@テクノポート福井
サウルコス福井 vs 丸岡フェニックス

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[東海地区]
静岡県代表決定戦

8/27 14:00@藤枝総合
静岡産業大学 vs Honda FC

愛知県:愛知県サッカー選手権大会
8/27 決勝 15:00@名古屋市港サッカー場
トヨタ蹴球団 vs 中京大学

三重県:三重県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:05@鈴鹿SG
四日市大学 vs 鈴鹿ランポーレ

岐阜県:岐阜県サッカー選手権大会
8/28 決勝 15:08@長良川球技メドウ
FC岐阜SECOND vs 岐阜経済大学

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[関西地区]
滋賀県:滋賀県サッカー選手権大会

8/28 決勝 13:10皇子山陸
SAGAWA SHIGA FC vs MIOびわこ草津

京都府:京都FAカップ京都サッカー選手権決勝大会
8/28 決勝 14:00@西京極
佐川印刷 vs 同志社大学

大阪府:大阪サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:09@キンチョウスタジアム
阪南大 vs 桃山学院大

兵庫県:兵庫県サッカー選手権大会
8/28決勝 13:10@三木防災
三洋電機洲本 vs 関西学院大

奈良県:奈良県サッカー選手権大会代表
8/28 決勝 14:00@橿原公苑
奈良産業大学 vs 奈良クラブ

和歌山県:和歌山県サッカー選手権大会
8/28 決勝 14:00@紀の川桃源郷
海南FC vs アルテリーヴォ和歌山

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[中国地区]
鳥取県:鳥取県サッカー選手権

8/28 決勝 13:05@とりスタ
米子北高校 vs 元気SC

島根県:島根県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:10@浜田陸
デッツオーラ島根 vs 松江City

岡山県:岡山県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:05@神崎山公園
ファジアーノ岡山ネクスト vs 環太平洋大学

広島県:全広島サッカー選手権大会
8/28 決勝 15:00@広島ビッグアーチ
広島修道大学 vs 広島経済大学

山口県:山口県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:05@維新公園ラグビーサッカー場
レノファ山口 vs 徳山大学

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[四国地区]
香川県:香川県サッカー選手権大会

8/27 決勝 14:00@香川県営
カマタマーレ讃岐 vs 高松大学

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[九州・沖縄地区]
福岡県:福岡県サッカー選手権大会

8/28 決勝 13:00@レベスタ
福岡大学 vs 福岡教育大学

佐賀県:佐賀県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@佐賀県フットボールセンター
佐賀LIXIL FC vs 川副クラブ

長崎県:長崎県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@島原市営陸上競技場
V・ファーレン長崎 vs 三菱重工長崎

熊本県:NHK杯熊本県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@大津町運動公園球技場
熊本教員蹴友団 vs 大津高校

大分県:大分県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:10@だいぎんサカラグAコート
HOYO AC ELAN大分 vs 日本文理大学

宮崎県:宮日旗・NHK杯宮崎県サッカー選手権大会
8/27 準決勝 @宮崎市目の杜陸上競技場

11:00/九州保健福祉大学 vs 鵬翔高校
14:00/日章学園高校 vs 宮崎産業経営大学

8/28 決勝 13:00@宮崎市目の杜陸上競技場

鹿児島県:鹿児島県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:00@鴨池陸上競技場
ヴォルカ鹿児島 vs FC KAGOSHIMA

沖縄県:タイムス杯争奪沖縄県サッカー選手権大会
8/28 決勝 13:05@沖縄西原
琉球大学 vs 海邦銀行SC

※各地区の情報を元に収集しておりますが、変更などある場合もありますので、各都道府県協会の公式情報も合わせてご参照ください。

なお、J1/J2クラブ以外ですでに出場が決まっているチームは下記のようになっております。

●出場決定チーム
[JFLシード]
FC琉球、ホンダロック

[大学シード]
大阪体育大学

[都道府県代表]
宮城県:ソニー仙台
徳島県:三洋電機徳島
愛媛県:愛媛FCしまなみ
高知県:高知大学

2011年8月23日 (火)

第91回天皇杯・8/20、21予選結果

いくつかの地域におきまして、20、21日に第91回天皇杯・全日本サッカー選手権への出場権を賭けた予選が行われていますので、その結果と次戦のカードを一覧にしておきます。

なお、こちらでは20、21日に試合のあった地区のみしか掲載しておりませんので、それ以外のカード(27日、28日決勝分)につきましてはコチラをご参照ください。

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静岡県:スルガカップ争奪静岡県サッカー選手権大会
8/21 決勝 13:00草薙
●shizuoka.藤枝MYFC 0-2 静岡産業大学○

<静岡県代表決定戦>
8/27 14:00@藤枝総合
静岡産業大学 vs Honda FC

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愛知県:愛知県サッカー選手権大会
8/20 準決勝
○トヨタ蹴球団 1-0 愛知学院大学●
○中京大学 4-0 マルヤス工業●

8/27 決勝 15:00@名古屋市港サッカー場
トヨタ蹴球団 vs 中京大学

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三重県:三重県サッカー選手権大会
8/21 準決勝 @鈴鹿SG第三グラウンド
○四日市大学 5-0 四日市中央工業●
●皇學館大学 0-11 鈴鹿ランポーレ○

8/28 決勝 13:05@鈴鹿SG
四日市大学 vs 鈴鹿ランポーレ

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岐阜県:岐阜県サッカー選手権大会
8/21 準決勝 @長良川球技メドウ
●NK可児 2-7 岐阜経済大学○
●帝京可児 1-3 FC岐阜SECOND○

8/28 決勝 15:08@長良川球技メドウ
FC岐阜SECOND vs 岐阜経済大学

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京都府:京都FAカップ京都サッカー選手権決勝大会
8/21 社会人決定戦 13:00@太陽が丘
●AS.ラランジャ京都 1-4 アミティエSC京都○

8/25 準決勝 @西京極
佐川印刷 vs アミティエSC京都
福知山成美高校 vs 同志社大学

8/28 決勝 14:00@西京極

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香川県:香川県サッカー選手権大会
8/21 準決勝 10:30@香川県営
○高松大学 1-0 四国学院大学●

8/27 決勝 14:00@香川県営
カマタマーレ讃岐 vs 高松大学

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徳島県:徳島県サッカー選手権大会
8/21 決勝 13:00@鳴門大塚ポーツパーク球技場
○三洋電機徳島 3-2 徳島市立高校●
※6年ぶり4回目の出場

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愛媛県:愛媛県サッカー選手権大会
8/21 決勝 1500@ニンジニアスタジアム
○愛媛FCしまなみ 1-0 久枝FC●
※3年連続3回目の出場

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高知県:高知県サッカー選手権大会
8/21 決勝 13:00@春野球技場
○高知大学 5-1 黒潮FC●
※9年連続16回目の出場

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福岡県:福岡県サッカー選手権大会
1回戦
○九州共立大 4-1 三宅クラブ●(8/13)
○福岡大学 8-0筑陽学園●(8/14)
●日本経済大学 1-5 九州三菱自動車(8/21)
○福岡教育大学 6-1 アビスパ福岡U-18●(8/21)

8/25 準決勝 @FFC
10:00/福岡大学 vs 九州共立大
14:00/福岡教育大学 vs 九州三菱自動車

8/28 決勝 13:00@レベスタ

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以上の様な結果となっておりまして、これで各地域の天皇杯予選は8/25、27、28日のみとなります。

そして、21日の結果を受けまして四国3県の代表チームが決定しましたので、Jクラブ以外のシードチーム、代表権獲得チームの本大会での対戦カードも掲載しておきます。

Match No.19
9/3 15:00 @札幌厚別
北海道代表 vs 大阪体育大学(大学シード)

Match No.20
9/4 13:00 @盛岡南
岩手県代表 vs ソニー仙台(宮城)

Match No.21
9/3 13:00 @鳴門大塚
三洋電機徳島(徳島) vs 高知大学(高知)

Match No.24
9/3 15:00 @島根サ
島根県代表 vs 愛媛FCしまなみ(愛媛)

Match No.30
10/8 13:00 @グリスタ
栃木SC(J2) vs ホンダロック(JFLシード)

Match No.46
10/8 15:00 @ニンスタ
愛媛FC(J2) vs FC琉球(JFLシード)

2011年8月22日 (月)

パルセイロ、10戦無敗で2位を堅守

武蔵野戦(6/12@南長野 0-2)で敗戦した以降、9試合を無敗(5勝4分)で来ている長野パルセイロ。そんないい流れを持続している中で、今節(前期第5節分)はホームにアルテ高崎を迎えたが、決していい内容の試合ではなかった。だが、内容はともかく本当に「強くなったなぁ…」と、実感出来るゲームをしっかり見せ、6月26日のびわこ草津戦(4-1)以来のホームでの勝利を挙げ、無敗記録も10に伸ばし、2位の座をしっかりキープ。

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[長野スタメン]
ーーー宇野沢ー冨岡ーーー
ー栗原ーーーーーーー向ー
ーーー大橋ーー土橋ーーー
高野ー大島ーー籾谷ー寺田
ーーーーー加藤ーーーーー

[高崎スタメン]
ーーー松尾ーー土井ーーー
ー山藤ーーーーーー神谷ー
ーーー益子ーー小島ーーー
田中ー山田ーー増田ー布施
ーーーーー岩舘ーーーーー

水曜日にツエーゲン金沢戦を行い、中3日でこの試合を迎えた長野だが、メンバーの入れ替えはナシ。それに対してアルテは中10日と休養十分。また、4月9日に行われた練習試合にて、主力が出てきた前半戦は相手の鋭い出足に苦しんだ記憶もあり、薩川監督は試合の入り方はいつも以上に気をつけようと伝えていたのだが、予想外の先制パンチでコンディション状態が厳しいはずの長野が優位に試合を運んでいく。

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アルテのキックオフで始まった試合だが、開始直後にボールを奪い、栗原が左サイドから持ち込んでCKを奪い、いきなりセットプレーのチャンスを掴む。そしてこの場面、最初に競ったのは寺田であり、こぼれたセカンドを土橋がシュート。ここはDFがブロックしたが、詰めていた冨岡が右足で蹴り込んであっという間に先制点を奪う。

公式記録では3分となっているが実際は2分20秒。

サッカーというゲームをやるにあたって、指導者は必ずと言っていいほど「最初と最後の5分間、そして最初のセットプレーは特に集中するように」と指示するのだが、ものの見事に最初のセットプレーで先制点を叩き出した長野としては「してやったり」の瞬間でもあった。この1点で長野には余裕が生まれ、逆にいきなり出鼻をくじかれたアルテはなかなかゲームの流れを掴めないまま、立ち上がりは苦しい時間帯をやりくりすることとなる。

また、長野としては、アルテ最終ラインに「高さ」がないことも幸いしていた。冨岡がほとんどの競り合いに勝利したこともあり、普段のような繋いで崩していくという「らしいサッカー」だけではなく、試合後の薩川監督曰く、ロングスローや縦に長いボールを蹴り込む「らしくないサッカー」でアルテゴールにジワジワ攻め込んでいく。なお、この攻撃に関しては、特に監督の意図ではなく、流れの中で選手が「有効である」と判断して、あえて放り込むオプションを導入したとのことだ。

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さて試合の方だが、序盤は短いパス交換だけではなく、冨岡をターゲットにした長いボールなども織り交ぜて、アルテ陣内に攻め込んでいた長野だが、試合が落ち着いてくると(というか、連戦の疲れから徐々に運動量が落ちだしてしまった)、徐々にアルテの繋ぐサッカーの前に押し込まれる時間も増えていく。しかし、流れが相手に傾きそうな中で長野最終ラインが粘りのあるディフェンスを見せ対応。これこそ「強くなったなぁ…」と感じさせる部分でもあるのだが、その中でCB大島と右SB寺田の成長は目を見張るものがあった。

今季は開幕から不動のレギュラーを守り続けている大島だが、昨年はメンタルの部分が不安定であったり、若さ故の不用意なプレーもあったのだが、今年はディフェンス陣のリーダーとして引っ張っていかなければいけないという自覚が芽生え、昨年のような不安定なプレーが消え、カウンターでピンチを招きそうな場面でも素早い対応でピンチの芽を摘んでいく。また、薩川監督も要注意人物と認めていた、アルテの松尾、土井を封じ込めたことも評価していいだろう。

そしてもう一人の成長株である寺田だが、シーズン当初はベンチを暖める時間が続いたが、徐々に周囲との連携も取れだし、ソニー仙台戦でスタメンの座を掴むとそのままレギュラーに定着。Y.S.C.C.時代は守備力より、攻撃力で持ち味を発揮した彼だが、この日は安定した守備力で勝利に貢献。

YS時代の攻撃参加に比べれば物足りない印象も受けるが、彼が戦っているステージは地域リーグより格上のJFLであり、地域時代のようなイケイケスタイルがそのまま通用する訳ではない。周囲との連携、バランス、そしてスピードの違い、当たりの違いに悩んだ寺田だが、半年という時間でもがきながらも大きく成長。もっとチームにフィットし、そしてJFLというカテゴリーに慣れていけば、今度は彼の持ち味である攻撃参加もさらに良くなっていくはずだ。

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このように、攻撃以上に守備の良さが目についた長野。上記にも簡単に記したが、20分以降は危惧されていた「疲れ」が徐々に見え始め、運動量も若干下がり出すとアルテに繋がれる時間が増えていってしまったのだが、GK加藤と最終ラインが集中を切らさずしっかり対応。地域時代は「美しい攻撃」にこそ定評はあったものの、守備は非常にモロく、これが勝負弱さの元になっていた。しかし、昨年の全社〜地域決勝を経て、そして今シーズンJFLでチームがもまれる中で、グループでの守備、そして連動する守備というものを体現できるようになってきたのである。

これまでの長野であれば、序盤に先制して優位に試合を進めながらも、終了間際に同点… ということも少なくはなかった。この日も多分に漏れず、2点目を奪えるチャンスがありながらも得点出来ず、1-0のままロスタイムを迎えたのだが、選手個人だけではなく、チームとして成長した長野は久しぶりの完封でホーム勝利を飾り、試合終了と同時に、ベンチで薩川監督は会心の笑みを浮かべながらガッツポーズ。

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しかしだ、ここまで書くと「長野は守備ばかりで攻撃はイマイチだったのか?」と思われてしまうかも知れないが、攻撃にもいいところは当然あったので付け加えておきたい。

以前、宇野沢頼みの攻撃からの脱却が望まれると書き記したが、この日は冨岡を起点とした攻撃が多かったため、宇野沢頼みという印象はかなり薄らいでいた感がある。そしてもう一つ、向慎一が攻撃に絡んだときの「流れ」は、実に見応えがあったことだ。

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向という才能が入り、チームに溶け込んだことでオプションが増えた長野。向が持ち込めばDFが引きつけられて宇野沢が生きる(スペースが生まれる)。そして宇野沢が動けば、今度は向が2列目からバイタルに進入する。さらには、向が積極的に仕掛けることで、大橋、土橋のポジションも高い位置をキープできるなど、彼の能力がフルに発揮されるようになってからは、素晴らしい相乗効果がチームにもたらされている。あと、この試合のロスタイムに入ってから、アルテ陣内の深い位置にロングボールが入ったのだが、試合終了直前という体力的に厳しい時間帯にもかかわらず、長い距離を走り抜いてボールに追いつき、さらには中に折り返した向のスプリント能力にも脱帽であった。

あとは、冨岡、藤田、平石といった2番手、3番手を争うFWの決定力、そして「怖さ」を身につけられれば、攻撃にも厚みというか、もっと進化出来るはずの長野。ただ、冒頭に「いい内容ではなかった」と評したが、試合後の薩川監督も「勝ったことは評価しているが、前半の早い時間で先制したことで、気が抜けたというか、余裕を持ってしまったよね。ウチは、必死にやらないと勝てないチームなんだから、そういう点はもう一度言い聞かせて引き締めなければいけない」と、勝った中でも反省点を語ってくれている。

また、「余裕を持ってしまった」という部分では、アルテの攻撃を見てしまい、結果的に苦戦する要因を作ってしまったことは反省点であるし、セットプレーからカウンターを喰らう場面も多く、こちらもチームがどう修正していくか注目したい点でもある。

そして薩川監督だが、会見の最後でこのようにも語ってくれた。

「内容が悪いなりにも、1-0で勝ち抜けたことはチームにとって大きな自信に繋がると思っていますし、2試合ぶりに0で抑えられたけど、みんなで助け合いながらプレーするチームになってきたとも感じています。

あとは、今日はあまりウチらしくない放り込みとかしましたが、別にウチらしいサッカーにこだわる必要もないと思っています。これまで戦ってきた相手のいいところを、どんどん吸収するというか盗んで、それを自分たちのサッカーにしていけば、もっといいサッカーが出来るようになる。長崎や町田なんかはさあ、いいサッカーしているし、見習う部分はいっぱいあると思う。そんな相手とやり続けることによって、1試合1試合レベルアップできればいいと思っています」

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さて、またも敗れてしまったアルテだが、試合をご覧になった方の中には「あれだけいいサッカーが出来ているのに、なぜこの順位なんだ?」と感じる人もいるだろう。

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高さのある土井、前線で決定的な仕事ができる松尾、中盤で豊富な運動量でチャンスに絡んだ山藤、益子。また右サイドを何度も駆け上がった布施などが絡み、随所にいい攻撃を見せたのだが、この日もフィニッシュの部分で最後まで精度を欠いてしまった。

そして試合後の後藤監督だが、このように感想を語ってくれた。

「奪ってからのスピードがさすがに相手は速かったですね。

前半はしのぎながら0-1のままで行ければと思っていましたが、相手の運動量が下がったこともあり、プラン通りに行くことが出来ました。そしてハーフタイムで、もっとボールを繋ぎ、中から外、縦に入れて逆サイドへ展開という流れをやっていこうと徹底させ、後半は前半以上にいい流れを作れたとも思っています。ただ、ペナの中に入ってからシュートが打てずに終わってしまったり、ラストパスが流れてしまったりと、チャンスを不意にする場面が多すぎました。結果が結びついていないこともあり、選手の中に積極性が欠けていたかもしれないし、自信を失っていたかもしれません。

ただ、ウチとしては、最初のセットプレー場面以外では、完全に崩されたというところは無かったと思いますので、何とも悔しいところでもあります。

やはり個々の能力ではパルセイロさんの方が断然高いので、なんとかグループで対応し、攻守両面で数的有利を作ってやりくしようと準備してきたのですが、どうにもうまく結果に結びついてきません…」

やろうとしていることは間違っていないのだが、どうしても結果が結びついてこないアルテ。しかし、結果も感想もまたも同じようなものとなってしまい、現時点での成績(勝ち点12、16位)は昨年を大きく下回る数字しか残されてはおらず、現実問題として「関東リーグへの降格」という危機もちらつき始めてしまっている。

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やっていることは間違っていないし、内容も決して悪くはない。しかし1点差で負けた試合が7試合あり、勝負弱さというか、踏ん張りどころで凌ぎきれない現実がある。攻撃は悪くはない。そう考えれば、今一度守備の徹底を図るしかないのだが、いかんせん、チームに高さのある選手が少なく、競り合いで負けてしまい、セカンドを相手に奪われて主導権を失ってしまう場面の多いアルテ。

後藤監督としても、ここは迷いどころであり、失点が多いから守備を徹底しろと指示してしまえば、攻撃がダメになる。では、攻撃的に行けと言えば、先日のカマタマーレ戦のように、イケイケとなった直後にカウンターから失点して敗戦した苦い経験もある。「バランスが難しいんだよね」と語っている後藤監督だが、JFL残留が最大の目標となってきてしまった今、チームの方向性としてこれまでのサッカーを突き詰めていくのか、それとも勝ち点を重ねるためにも、守備的にいくべきなのか判断が分かれるところ。

天皇杯予選と本大会をはさむため、リーグ戦再開は9月11日からになるのだが、後藤監督にとって難しい選択を迫られることとなる。

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2011JFL 前期第5節分 @南長野
AC長野パルセイロ 1-0 アルテ高崎
[得点者]
3分冨岡(長野)
[警告]
54分大島、64分籾谷(長野)
31分小島(高崎)

[ゲームスタッツ]
シュート数:長野18、高崎11
ゴールキック:長野8、高崎11
コーナーキック:長野8、高崎7
直接FK:長野10、高崎17
オフサイド:長野0、高崎3
PK:長野0、高崎0

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