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2011年1月2日 - 2011年1月8日

2011年1月 6日 (木)

関大、43年ぶりの大学日本一に

全日本大学サッカー選手権
決勝 @国立競技場
関西大学 1-2 中京大学
[得点者]
18分金園、116分奥田(関大)
90+4分中村(中京大)

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総理大臣杯、東海リーグとすべて2位だった中京大。関西大学リーグで2位だった関西大学。ともに「2位」同士のチームで大学日本一の座を争うこととなった今年のインカレ決勝は、最後まで緊迫した展開が続いた。

[関大スタメン]
ーーー藤澤ー金園ーーー
ー海田ーーーーー中島ー
ーー田中裕ー岡崎ーーー
田中ー寺岡ー小椋ー桜内
ーーーー金谷ーーーーー

[中京大スタメン]
ーーー藤牧ー斎藤ーーー
ー後藤ーーーーー小川ー
ーーー熊沢ー佐藤ーーー
須崎ー中田ー森本ー星野
ーーーー金谷ーーーーー

関大はメンバー、システムともども不動の形であったが、中京大はキャプテン平山が累積警告で出場停止ということもあり、星野を最終ラインに下げ、相手の攻撃においてキーマンとなる左サイドバックの田中雄大対策として、右中盤にDFの小川を抜擢した4-4-2でスタート。

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関大キックオフで始まった試合は、大方の予想どおり関大の攻勢で幕を開ける。やはり、ワイドに展開しようとする関大がボールを持つ時間は序盤から多くなり、6分に金園が飛び出してチャンスを作るも守備陣がここは対応。

しかし9分、中京大は斎藤がカウンターからチャンスを作り、最後は藤牧が押し込んで早くも中京大が先制かと思われたがオフサイドでノーゴール。その後も、ロングボールを多用して、前線で体を張る藤牧、斎藤がファールを貰い、じわりじわりとセットプレーでチャンスを作っていく中京大。

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ボールをポゼッションしている訳でもなく、逆に守っている時間の方が多い中京大だが、数少ないチャンスを効率よくシュートまで持って行く「したたかさ」を見せつつあり、関大として少しイヤな展開かと思われたが、中京大守備陣が見せた一瞬の隙をエースは逃さなかった。

18分、中央の岡崎から左サイドに展開。ボールを受けた田中雄大は、GKとDFの間に絶妙のクロスを放り込むのだが、ここでGK石川とDF森本は、どちらが処理するか一瞬迷いが生じてしまい、相手FWの金園より対応が出遅れてしまう。ほんの一瞬でしかなかった隙なのだが、その一瞬により金園はフリーとなり、難なくクロスを頭で流し込み関大が先制。

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1点を奪ったことで、一気に関大に流れが傾くかと思ったが、ここからが中京大の本領発揮であった。大概のチームであれば、少なからず動揺するものだが、これまでの中京大は前半1点ビハインドは何度もあったし、後半に取り返せる自信は大いにあり、西ヶ谷監督も「前半は0-1でも問題ない」と試合前から指示していたことで、選手に焦りは生まれなかった。

サイドアタッカーと、両サイドバックの連携から、ワイドな展開で崩していく関大。粘り強く相手攻撃に対応しながら、縦に速い展開から攻撃を組み立てる中京大。それぞれのカラーが真っ向からぶつかり合う展開のまま、試合は後半戦へ。

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エンドの変わった後半は、中京大ボールで始まったが、これをいきなりカットされ、藤澤にシュートまで持ち込まれ「あわや」という場面を迎えたが、ここはクロスバーに救われ、追加点を与えない。50分には連続攻撃から田中、岡崎がシュートを狙うもGK石川がファインセーブを連発。

ここで中京大ベンチは動きを見せ、後藤に代え内田を投入し、システムを3-5-2に変えていく。

[3-5-2変更後]
ーーー藤牧ーー斎藤ーーー
星野ーーー内田ーーー小川
ーーー佐藤ーー熊沢ーーー
ーー須崎ー中田ー森本ーー
ーーーーー石川ーーーーー

相手CBの前のスペースを狙うことと、起点をつくるために、内田をトップ下に起用して打開を図る中京大は、すぐさま効果を発揮し出す。57分にスルーパスから藤牧が絶妙の抜け出しを見せる。しかし、ここはGK金谷の好セーブにより得点に結びつかず。だが、完全に攻勢に出た中京大は60分を過ぎた頃から流れを掴み、関大ゴールに猛攻を仕掛ける。

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さらにたたみ掛ける中京大は、3バックの一角である須崎に代え、ここでスーパーサブの中村亮太を投入。右アタッカーに入っていた小川が須崎のポジションにスライドし、中村は小川の位置に入ることに。

1点を追い、猛攻モードに突入した中京大だが、71分、77分に薄くなったディフェンスラインを関大のカウンターから破られてしまい、決定的な場面を作られてしまうがGK石川がまたも好セーブを見せ、チームに生まれた流れをなんとか断ち切らさないように自陣ゴール前に立ちはだかる。そして中京大は79分、疲れの見える星野に代え、最後のカードとなる石原を投入して攻撃的姿勢をさらに強める。

同点弾を奪えないまま時間は進み、場内にはAdditional Timeは「4分」と表示される。しかし、ここでもまた関大がチャンスを掴み、キャプテン藤澤が決定的な場面を迎えるがまたも外してしまう。まだまだ中京大にツキが合ったと言うことなのか…

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そしてもう、時間が無いという場面で中京大はペナルティエリア外でFKのチャンスを得る。ここまでキッカーを務めてきた佐藤と内田、石原、そして中村がスポットに立ったが、一言二言中村は内田と言葉を交わすと、中村が右足を振り抜く。

あの夏の総理大臣杯・準決勝、決勝と同じように、彼の右足から放たれたFKは、またも相手ゴールネットを揺らすのだった…

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同点ゴールを決まると同時に、後半終了のホイッスルが鳴り響き、試合は延長戦へとなだれ込む。

総理大臣杯では、最後の最後で追いつかれた中京大だが、今度は逆に追いついたこともあり、流れは中京大かと思われた。しかし西ヶ谷監督は「延長に入ったことで、またリセットされて30分戦うので、システムを4バックに戻した」と語ったとおり、攻撃的姿勢を強めた3バックから、再び4バックに変更する。

ーーー藤牧ー斎藤ーーー
ー内田ーーーーー中村ー
ーーー熊沢ー佐藤ーーー
石原ー中田ー森本ー小川
ーーーー金谷ーーーーー

システムこそ変更したが、同点に追いついた勢いをそのまま持続する中京大が、延長前半はペースを握っていく。選手それぞれが「この流れで一気に逆転しよう!」という気持ちで、体力的に限界に近づきながらも関大ゴールに迫り、92分、97分とチャンスを掴み、100分にも内田がシュートを放ち、勝負を決めに出る中京大。

しかし、後半から追いつくために猛烈に走り回っていた中京大の選手たちは100分を過ぎたころから運動量は下がり始め、そんな相手の姿を読み取った関大・島岡監督は温存してきた最後の交代カードをついに切ってくる。

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105分、1年生FW奥田を投入し、前線の活気が甦る関大。110分に藤澤がシュート!これはGK石川に阻まれたが、すぐさまこぼれ球に途中交代の安藤が反応するが、中京大森本もしっかり詰めてシュートまで行かさない。

ここまできて、なお運動量が落ちない関大。やはり交代カードの使い方が最後の明暗を分けた形となった。同点に追いつくために、早い時間で3枚の交代カードを切らざるを得なかった中京大。それに対してあと1枚、余裕を残した関大。たった1枚の差であるが、これが大きく勝敗を分けてしまうことに繋がっていく。

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116分、カウンターから安藤が右サイドに展開し中へクロス。中京大の守備陣は戻りきれない…

このクロスに、中では藤澤、田中、奥田の3人が待ちかまえており、ボールはファーの奥田へ。デイフェンダーが戻りきれず、奥田はほぼどフリーの状態でヘディング。これが決まって土壇場で関大が中京大を突き放す。

これで勝負あり。
中京大が追いつくには、時間も体力も無かった…

延長戦までもつれた決勝戦だが、途中出場の奥田がベンチの期待に応え、関大を43年ぶりの大学日本一へと導くことに。

それにしても関大のサイド攻撃は、最後まで見事であった。

チームが掲げる「全員サッカー」とは抽象的でわかりにくいかも知れない。しかし、その内容とは戦術的にどうするとかではなく、部員一人一人が勝つために、仲間のために、そして支えてくれる人のために「何が出来るか?」を常に考え、人との繋がりを大切にして、関わるすべての人たちと喜びを共有することを考えてきた。

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それを追求していくことで、時にはぶつかり合い、そして励まし合うことで仲間を理解し、チームは見事にひとつにまとまりを見せ、穴が出来ればそれをみんなでカバーするという「全員サッカー」にたどり着いていった。信頼があるからこそ、生まれる連携。そして絆。

この日のスタメンにも、5人の1年生が名を連ね、それ以外にも2年生が2人で、スタメンの半分以上が「下級生」で占められていた関大が、この日得点を決めた奥田をはじめ、みな揃って「チームを盛り立ててくれる先輩のために、結果を出したかった」と口にする。

上級生も下級生も関係なく、チームを盛り上げてくれる心から尊敬できる先輩がいるからこそ、1年生たちは思い切って試合に打ち込める。そんなところこにも「全員サッカー」の本質があるのではないだろうか?

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また上記の通り、この日の関大メンバーはほとんど1、2年生主体と言っていいぐらいだった。彼らはそれぞれ、選手権や全日本ユースなどで活躍した経験を持っている選手であり、これからの成長に期待がかかる世代でもある。確かにユース年代の有望選手は関東の有力大学に進路を求める選手が多いが、これだけのタレントを擁する関大には、連覇の期待が大きく掛かってくるだろう。

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さて、またも2位に終わり、今年の主要大会をすべて「シルバーコレクター」で終えてしまった中京大。

この日キャプテンマークを巻いた森本をはじめ、みな「夏よりも悔しいです」と応えた。追いつかれて逆転負けを喫した夏。そして追いついたが突き放されてしまった冬。

西ヶ谷体制となって1年で、ここまで来れたことはある意味で快挙と言えるだろう。選手にはいろいろなポジションを経験させ、適応能力を引き延ばし、チームとして戦術の幅を広めることに成功。そして、総理大臣杯、インカレと、大学2大トーナメントにおいて、それぞれファイナリストに残る強さ、しぶとさを大いに見せつけた。

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しかし、ともに2位で終わってしまったことは、来期以降への課題となる。今年は守備面で飛躍的に成長した中京大だが、これから先に求められるのは、明治や関大、そして高知大が見せたような攻撃サッカーをどこまで追求できるかだろう。守りに関する「種」は完全に捲き終わった中京大。次は攻撃面で成長した姿を見たいものである。

2011年1月 4日 (火)

3回戦屈指の好カード

第89回高校サッカー選手権
3回戦@フクダ電子アリーナ
前橋育英 1-1(PK1-3) 流通経済大柏
[得点者]
7分進藤(流経柏)
47分小牟田(育英)

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「たられば」はいけない

ディフェンスリーダーの川岸が試合に出られれば…
試合時間が45分ハーフであれば…
3回戦にも延長戦があれば…

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それにしても、小島秀仁の兄である小島聖矢(現・流経大3年)にとって、この試合は複雑であったはず。

流経柏は自分の母校
弟である秀仁は前橋育英

今度、大学リーグで「どっちを応援してた?」と聞いてみたい
ちなみに小島秀仁は「兄も体験した国立競技場で試合をしたかったです」とコメントしてくれた。

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さて試合だが、湯川ー小島という中盤の2枚看板を封じ込めるためのマンマーク要員に、あまり試合出場経験のない熊田を起用。さらには、序盤から流経柏らしい「鬼プレス」が容赦なく前橋育英に襲いかかり、まったくボールを前に出すことが出来ない。

そんなもどかしい展開の中で、育英は守備で大きなミスを犯してしまう。

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7分、DFのミスから進藤がボールを奪い、宮本がドリブルシュート! ここはGK牛越がなんとか反応してセーブするも、こぼれ球をしっかり詰めに行った進藤が押し込み早い時間帯で流経柏が先制。

昨日の試合で足を痛めた川岸は回復せず、この日はベンチにも入れず、急遽北爪ー大平のコンビで挑んできたのだが、慎重にならなければ行けない時間帯で痛恨のミスが出てしまい、痛い失点を喫してしまう。

その後も流経柏の激しいプレスがかかり続け、前に行けない育英。時たま、前線の小牟田までボールが行くのだが、そこには流経柏の巨大な壁である、増田繁人が待ちかまえており、小牟田はほとんどの競り合いで苦戦を強いられる。

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まったくと言っていいほど、相手の術中にはまりこんでしまった前橋育英。

後半に入っても4分に古波津、5分に富田が立て続けにシュートを放ち、またもペースを掴んだかにみえたのだが、7分に流経柏にとっては不運、育英にとってはややラッキーなシーンが訪れる。

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流経ゴール前の混戦で小牟田とDFが競り合うのだが、競り合った際にボールに強烈な回転が加わり、バウンドしたボールはゴール前にいた小牟田の方に流れていき、これを蹴り込んで同点とする。

ここまで、お世辞でもいい流れとは言えなかった育英。しかし、マンマークで苦しんでいた小島も、スペースに流れる動きを見せることでマンマークを振りほどき、湯川も豊富な運動量で徐々にボールを持つ時間が増え、育英らしいサイドに展開する攻撃がどんどん増えていく。

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11分には白石、13分には飯沼が立て続けにシュートを放ち、14分からは怒濤の攻撃を仕掛けて流経ゴールに迫っていく。流れの悪くなった流経柏は15分、ついに吉田眞紀人を投入し、相手に傾いたペースを引き戻そうとする。

2回戦も途中交代であった吉田だが、実は左足小指を骨折しているのだ。医師からは「無理」と判断されていたのだが、「どうしても出たい」という本人の強い願いにより、治療を後回しにしてこの大会に挑んできた。そんなこともあり、短い時間だけの出場となっているのだ。

さて、吉田が入ったことで4-2-3-1にシステムを変えた流経柏。さらに、選手交代を続けたことが効を奏し、育英に傾いた流れを五分の展開まで引き戻すことに成功する。

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試合は終盤に差し掛かり、一番体力的に厳しい時間を迎えるのだが、両者とも最後まで激しい攻防を繰り返し、手に汗握る一進一退のゲームとなっていくのだが、ともに「最後の一手」がどうしても決まらない。

結局試合は1-1のままで終了し、決着はPK戦に委ねられることとなったが、「毎日練習していたので自信があった」と胸を張って試合後にコメントした流経柏GK緒方の言葉通り、見事に2本PKをセーブして勝利に貢献。

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両監督がそれぞれ「一番のヤマ」と呼び合ったこの対戦。
組み合わせが決まったときから、3回戦でやるにはもったいカード、事実上の決勝戦とまで言われたが、その前評判どおりにハイレベルな試合を見せてくれた両者。

だからこそ、試合が40分ハーフであり、延長戦がなかったことは非常に残念だ…
出来ることなら、この対戦は45分ハーフとなる、準決勝以上で見たかったぐらいである。

細かい部分での凌ぎあいや攻防はいろいろあるが、今はとにかく「見応えのあるゲームだった」というのが率直な感想であり、高校サッカーもまだまだ捨てたモンじゃないよ…と思わせるゲームでもあった。

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