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2011年11月14日 (月)

浦安JSC、東京23を下してベスト4

13日(日)が大会2日目となる第45回関東社会人サッカー大会。この大会は、各都道府県優勝チームと、上位チームの16チームで優勝を争い、基本的に優勝、準優勝のチームが関東リーグ(2部)の座(または権利)を手にする大会であるが、今年は例年になく「チャンスの枠」が広がっている。

今季は1部・2部がそれぞれ8チーム制の関東リーグだが、来季からは10チーム制となるため、今年の大会でベスト4に残れれば基本的に関東リーグ昇格が決まることとなるのだ。ただし、現在JFLで15位の横河武蔵野、16位のアルテ高崎のどちらかが関東リーグに降格するようなこととなった場合のみ、4位チームは権利が無くなることとなる。しかし、関東リーグへの降格チームがなければ、そのままベスト4が関東リーグに進む事になるし、さらにはY.S.C.C、SC相模原のどちらかがJFL昇格すれば、ベスト8で敗退した4チームにも関東リーグ昇格の道が残されることにもなる(1チーム昇格の場合は順位決定戦を経て5位のみ昇格。2チーム昇格した場合は5位、6位チームが対象。なお、ベスト8で敗れた東京23FCが地域リーグ決勝大会を経てJFL昇格を決めた場合には、ルミノッソ狭山、茨城教員、tonan前橋サテライトの3チームで決定戦が行われるとのこと)

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さて、2日目にして、今年の関東社会人で一番の注目カードが実現。近年、千葉県からJリーグ入りを目指すことを目標に掲げ、トップチームの強化を進めるだけではなく、ユース、ジュニアユースなどしっかりとした育成組織を作り上げ、地域に密着したクラブを作り上げている浦安JSC。ここ最近では、アルテ高崎を経て、東京ヴェルディに入団した秋葉勇志選手というJリーガーも輩出している。

そしてこの浦安JSCと相対するのが、今年の全国社会人サッカー大会王者であり、優遇枠活用以外で都道府県リーグ所属チームとして初の地域リーグ決勝大会進出を決めている東京都1部優勝チームの東京23FCだ。

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東京23区にJクラブを! を旗印に立ち上がったチームだが、今年から「キング・オブ・トーキョー」であるアマラオが監督に就任し、最終ラインの整備、そしてチームとしての約束事を徹底させ、戦う集団に生まれ変わった。そんな中で都リーグ1部を制し、自分たちの力を試す絶好の機会となった全社では、なんと5試合すべてを無失点で乗り切りまさかの優勝を果たし、一気に「時のチーム」となっていく。そんなこともあり、東京23FCが入った地域決勝Cグループのダークホースと推す声まで出ているが、その前にチームとしては、まずはしっかりと関東リーグ昇格という「結果」が欲しかった。

そんな両者の対戦は、今大会における、事実上の決勝戦と言い切ってしまってもおかしくないこのカードであり、この対戦がベスト8で実現してしまうのはもったいないところでもあった。

今年はベスト4に入れれば、関東リーグの座を手にすることが出来る。だからこそ、両チームにとって決勝戦以上にこの試合は重みがあった。さらには、両チームのサポーターもその「重み」を理解していたこともあり、それぞれ都道府県リーグのチームながらも多数のサポーターがチームの応援にはせ参じた。

[浦安スタメン]
ーー大久保ーー長谷川ーー
ー清水ーーーーーー富塚ー
ーーー市原ーー都並ーーー
正木ー佐藤ーー水口ー豊田
ーーーーー永井ーーーーー

[東京スタメン]
ーー山本孝ーー山本恭ーー
ー山下ーーーーーー田村ー
ーーー安東ーー猪股ーーー
山村ー伊藤ーー中山ー天野
ーーーーー斯波ーーーーー

1回戦は圧倒的に攻め込みながらも2得点だけに終わった浦安。それに対して、得点は取れたものの、全社でのような集中力を持続した守備が出来ず、3失点を喫してやや不安な滑り出しとなった東京23。しかし、この日は「決戦」ということで意気込みが違っていた…はずだったのだが、10分に起こったプレーのジャッジが東京23のペースを狂わしてしまう。

左サイドでボールを受けた浦安10番清水康也(元仙台→鳥栖→東京V)が強引にPA内に突進。そこでボールを取りに行ったDF中山ともつれながら倒れると、主審は躊躇なくPKスポットを指さす。この場面、笛が鳴った時には清水のシミュレーションかと思われたが判定はPK。浦安サポーターには申し訳ないが、経験の浅い主審に助けられた感もあるプレーだった。

しかし、一度下してしまった判定は覆らず、中山にはイエローが提示され、このPKを獲得した清水がキッチリ決めて浦安が先制。

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どういう形であれ、先制点を奪うことに成功した浦安は、その後は「負ければ終わり」という一発勝負のトーナメント戦らしい戦い方を徹底してくる。攻撃は柏をはじめ、多くのJクラブでの経験を持つ長谷川太郎と若い大久保の2トップ+前記の清水の3人で形を作り、あとはガッチリ守備を固めてくる。ポゼッションでは東京が優勢だが、徹底したマークとしっかりとしたブロックを形成し相手の思うようなサッカーをやらせない。

浦安としてはしてやったりの前半戦であり、東京とすれば相手の術中にはまってしまったところであった。そして東京23を率いるアマラオ監督はハーフタイムでこのような指示を送った。

「点を取られたが、失点シーン以外は特にやられてはいない。ゲームはウチがコントロールしているのだから焦る必要はまったくない。ただ、前の選手はもっとボールに体を寄せて欲しい。そしてもっとパスコースを作れるように動いてほしいし、もっと顔を出して欲しい。

みんなね、失点したことで焦りが出過ぎて回りがよく見えてない。スペースをしっかり探すことを考えてもっと周りをよく見よう。焦る必要はないが、負けているということを忘れちゃダメ。しっかり考えてプレーしよう。そしてどんどん攻めてゴールを目指そう」

そして後半。

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前半のような(動きが)堅いサッカーから、両サイドバックも攻撃にどんどん絡んでくるサッカーがやれるようになりだした東京。これに対して浦安は、組織的守備でうまく東京の攻撃陣をいなすというよりは、もう必死に守るだけとなってしまう。ボランチの市原充喜(元ジェフ)が、ボールを前に蹴り出すたびに「ラインを上げろ」と声を振り絞っても、押し込まれている状況の中で、そう簡単に最終ラインを上げる事が出来ない。その結果、ズルズルとラインを下げ、次々とバイタルエリアに東京の選手が進入し、ピンチとなる時間帯がどんどん増えていく。

しかし、それでも体を張った守備で必死に1点を守る浦安。そこには戦術もセオリーも何も無かった。もう「気持ち」「気合い」だけ。Jリーグの舞台を経験する清水、長谷川、市原が他の選手を鼓舞して「ここだよ、ココ!」と声を出していく。

必死に耐える浦安、それに対して厚い青の壁をなんと崩そうと、猛攻を続ける東京。やっている戦術にスマートさはないが、どちらからも「必死さ」が感じ取られ、非常に見ている側も力が入る展開が続く好ゲームとなっていくが、70分にFKを得た東京が、ここから怒濤の攻撃を見せていく。

この場面は浦安DFが頭で跳ね返したが、セカンドを東京が拾って再び左サイドへ展開。そして後半に入ってからSBというよりウイングとして常に高い位置を取ってきた天野が中へクロス。しかしここもDFが跳ね返すと再びこぼれ球は東京が支配。この流れが断続的に続き、72分に山本孝平が持ち込んだボールを山本恭平が見事に合わしてついに東京が同点に追いつく。

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浦安の「魂の守備」の前に、山のようにチャンスを築きながらも、シュートだけは打たせてもらえなかった東京だが、こちらも「絶対に負けられない」という強い意志、そして執念が同点ゴールを生み出した。

これで同点となり、さらに勢いが加速する東京は直後の74分にも山下の縦パスに、途中から入った」池田が絶妙の抜け出しからシュートを放っていく。決定的場面となったが、集中していたDFが必死のカットでここは逃れる。そしてこの流れから奪ったCKでは、ゴール前で競り合った伊藤の足下にボールがこぼれ、またも決定機が訪れるがシュートを打ちきれない。

こここまでの30分間、浦安は防戦一方であったが、このピンチの後の75分、やっとキャプテン都並が後半最初のシュートを放って、なんとかチームに落ち着きを取り戻していく。すると若干だが流れを取り戻した浦安が、一瞬のスキをついて東京に手痛い一撃を喰らわしていく。

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79分、カウンターから右サイドを駆け上がった豊田(元ツエーゲン金沢)が、速いタイミングで中へクロス。そしてこのボールに飛び込んでいった清水が頭で押し込み、値千金となるこの日2点目を東京ゴールに叩き込む。実は浦安の後半のシュートは2本しかなかったのだが、前半といい、後半といい、実に清水が素晴らしい仕事をやってのけ、全社チャンピオンである東京23を窮地に追い込んでいく。

後が無くなった東京は、CBの3番中山を最前線に上げるパワープレーを仕掛けて勝負に出る。87分には、こちらも途中から入った小野がボールを持ってPA内に進入。そこで相手DFに倒されるが、ここはPK判定はなし。しかし、東京に抗議している時間は無い。すぐさま、気持ちを切り替えて再び浦安ゴールに迫り、なんとか同点に追いつこうと必死のプレーを続ける。

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試合時間が90分を経過し、残された時間はロスタイムの3分だけとなったが、ここでも浦安は自陣ゴール前に釘付けとされてしまう。さらには、90分のFK、92分のCKでは非常に危ない場面を迎えてしまうが、東京の選手の「あと一歩」が届かず、ついにタイムアップを迎え浦安JSCがベスト4進出を決め、これでほぼ「関東リーグ昇格」を手にすることとなった。

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上記にも書いたが、戦術もセオリーもあまり関係ない試合であった。海外サッカーのファンが見れば「つまんねー試合」と言うかも知れない。確かに、未成熟な戦術や技術的に劣る部分は認める。だが、このカテゴリーとしては、非常に力の入った試合であり、両者の意地と意地、そして「絶対に負けない」という気迫がぶつかり合い、見ている側にもその「気持ち」が伝わる好ゲームであった。

1点を守りきった浦安の気迫、追いつくために最後まで諦めなかった東京。都道府県リーグ勢の試合としては異例の、熱く盛り上がった極上の一戦だったのではないだろうか?

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JFL下位の残留争い、そしてJFL入れ替え戦の結果が出るのが12月中旬となるため、実際にはベスト4に入ったからと言って、即関東リーグ昇格が決まった訳ではないが、限りなく2部昇格が現実となった浦安。この日の気持ちの入った戦いを続けられれば、十分に関東リーグでもやれることを証明した試合を見せてくれた。

さて、地域リーグ決勝大会出場を前にして、まさかの敗戦となってしまった東京23FCの選手はなんとも言えない雰囲気になってしまっていた。全社で優勝したことが、大会前にプレッシャーになっていたことは否定しない。だが、チームにとって地域決勝で勝ち抜く以上に、この大会を勝つことの方が大事でもあったのだ。

地域決勝は確かに実力で勝ち取ったものだが、ある意味で「ご褒美的」なものである。正直なところ、JFLに行けたら凄いね、というレベル。しかし、関東リーグに昇格することは、チームとして絶対条件であった。だからこそ、この関東社会人の1、2回戦でしっかり勝って、ベスト4入りを決め、関東昇格を事実上決めた上で、いい流れを持続して地域決勝に挑みたかった。

だが、結果は最悪となってしまい、2回戦(ベスト8)敗退となり、関東リーグ昇格となるためにはY.S.C.C、SC相模原の両方、もしくはどちらかが昇格しなければその道が絶たれてしまうことに。まあ、地域決勝で3位以内に入ればJFL昇格の道は残されているが、地域決勝は全社で勝つよりも数段難しい。また、かろうじて3位に入ったとしても入れ替え戦で対戦するであろう、アルテ高崎、横河武蔵野の両チームと比べてしまえば、チーム力の差は歴然である。

残された道は限りなく厳しいと言える東京23。

後が無くなってしまった今、チームは何をすべきなのであろうか? それはもう一度、全社前のチーム状況に戻ることではないだろうか? 全社で優勝したことは間違いなく自信になった。しかし、自信になったことと同時に、自分たちは全社チャンピオンになったというプライドを持ち、さらにはそのプライドがプレッシャーに変わり、あの大会で見せたような集中力を関東社会人では出し切れなかった。

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もう、残された時間は今日を入れて4日しかない。あとは、いかに全社前の「自分たちは挑戦者」という気持ちを取り戻せるかであろう。

キングと言われたアマラオが、短期間でチームをどこまで立て直せるかに注目していきたい。

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なお、その他に行われた試合の結果だが、
三菱養和(東京)8-2 ルミノッソ狭山(埼玉)
パイオニア川越(埼玉)2-0 tonan前橋サテライト(群馬)
日本工学院Fマリノス(神奈川)1-1/PK7-6 茨城教員葵FC(茨城)

となっており、浦安JSCともども勝った4チームが来季からの関東リーグ2部昇格を(ほぼ)決めた。
あと、余談になりますが、この試合のPK判定の場面以外にも多々判定基準があいまいな部分があったし、隣のグラウンドで行われていた養和 vs 狭山の試合でたまたま退場となったシーンを見ていたのだが、どう見てもファールではないプレーであったし、どの試合でも倒れれば笛を吹いてしまうという場面が数多く見られた。

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選手レベルの進化は地域リーグレベルだけではなく、都道府県リーグレベルでも高くなってきているが、審判団のレベルが選手の進化に追いつけていない現実があることを見逃してはならない。下のカテゴリーだから、主審のレベルが低くても仕方がないだろうでは絶対にダメ。下のカテゴリーであればあるほど、昇格の懸かった試合の重要性は高いのだから、リーグ戦はともかく、昇格の懸かるような大会では、それ相当のジャッジが出来るレフリーに笛を吹いて貰いたいし、審判団の進化も選手の進化同様、もっと早いレベルで成長していってもらうことを節に願いたいところである。

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第45回関東社会人サッカー大会
準々決勝 @栃木県総合運動公園サッカー場
浦安JSC 2-1 東京23FC
[得点者]
12・79分清水(浦安)
72分山本恭(東京)
[警告]
21分市原(浦安)
12分中山、58分山村(東京)

[ゲームスタッツ]
シュート数:浦安4、東京5
ゴールキック:浦安10、東京9
コーナーキック:浦安4、東京7
直接FK:浦安12、東京20
オフサイド:浦安2、東京1
PK:浦安1、東京0

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