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2011年10月30日 (日)

明大が示した今の力と妥当な順位

2009シーズンはインカレを制し、昨シーズンは3年ぶり3度目の関東大学王者となった明治大学。ジュビロ磐田に入団し、すでにレギュラーとして活躍している山田大記と小林裕紀、そしてジェフに入団した久保裕一など、実力を兼ね備えた4年生が揃い、現在、最上級生として活躍している高木、丸山、宮阪など多彩なタレントを擁し、まさに黄金期と呼べる強さを見せた明大。

ここ数年、大学側の手厚いバックアップ体制と神川明彦監督のマネジメント力が功を奏し、一気にリーグを代表する強豪チームに成長してきたが、山田を筆頭とした黄金期を支えたメンバーが卒業した今年がある意味で「真価」の問われる年でもあった。確かに、昨年の山田や小林のような飛び抜けた存在はいないものの、上記でも取り上げた3人以外にも豊富なタレントを擁しており、さらには松藤正伸(FC東京U18)、矢島倫太郞(浦和ユース)、石原幸治(市立船橋)といった将来性の高い1年生が揃っており、今年も優勝戦線に絡んでくるかと思われた。

だが、開幕から3試合連続無失点と攻撃陣が噛み合わず、苦しいスタートとなり予想もしなかった最下位スタートからシーズンが始まっていく。そんな「最悪スタートの象徴的な試合となってしまった3節の順天堂大学戦では、試合後の神川監督はこれまでの試合で見せたことの無いような怒りを見せ、試合に出た選手だけではなく部員全員を集めてカミナリを落とした。そして続く4節の駒大戦では、気持ちがしっかり入ったゲームを見せ初勝利(3-0)を挙げると、チームの調子も上向きとなり夏の総理大臣杯では2年連続でベスト4を果たす。

9月から再開されたリーグ戦でも連勝スタートとなり、完全に調子が戻ったかと思われた明大だが、12節の専大戦で2-5と大敗を喫すると、その後は勝ちきれない試合が続き4試合勝利から見放され一時はインカレ出場権を獲得できる4位以内に突入したものの、再び順位を7位に下げてしまった。

前置きが長くなってしまったが、イマイチ波に乗れない明大は降格圏に低迷する国士舘大学と西が丘で対戦。そして神川監督は不甲斐ない戦いを続けるチームに渇を入れるため、チームの柱でもある宮阪政樹を外すだけではなく、リザーブマッチで好調をアピールしている1年生の石原をスタメンに抜擢してきたのである。

[明大スタメン]
ーーーーー阪野ーーーーー
矢田ーーー岩渕ーーー石原
ーーー三田ーー楠木ーーー
小川ー丸山ーー吉田ー豊嶋
ーーーーー高木ーーーーー

[国士舘スタメン]
ーーー服部ーー田中ーーー
ー金子ーーーーーー上村ー
ーーー佐藤ーー清野ーーー
瀬川ー宮澤ー大久保ー岩城
ーーーーー本田ーーーーー

明大のキックオフで始まった試合は、2分に阪野の右展開からチャンスを広げ、3分には三田がミドル、7分には右の石原に左SBの小川が切れ込むなど左右の揺さぶりから国士舘ゴールに迫っていく。10分にもロングスローから吉田がヘディングでゴールを狙うなど、いい形で試合に入ったかに見えた明大。

だが、11分に不用意なパスをカットされてピンチを招くなど、時として集中を欠くプレーやボールへのアプローチの遅さも目立ち、攻めてはいるものの厚みのある攻撃とまではいかない展開が続いていく。さらには、カウンターから活路を見いだそうとしていた国士舘の狙いにはまってしまい、16分には縦パス1本から田中の飛び出しを許してしまいピンチを迎える。

悪くはないのだが、良いとも言えないこの日の明大。そんな煮え切らない状況に、神川監督はテクニカルエリアの一番前まで出て「(ポジションの)距離感!」「アプローチ!」と檄を飛ばしていく。すると25分を過ぎた辺りから攻守においてスムーズさ、そして積極性が生まれ始め、29分には矢田がうまく相手DFの合間を抜け出し決定機を迎えるがシュートは枠を外してしまう。CBの丸山からもいいボールが入り出すと、序盤とは違う連動性のある動きからチャンスが生まれだし、35分にゴール前でFKのチャンスを獲得。

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この場面、ボールをセットしたのは丸山だったが、彼はCBであるが正確かつ強烈なボールだけではなく、巻いてくるボールを蹴れる選手。それに対して国士舘GK本田の警戒はやや不用意であった。ベンチの石川コーチからは「直接あるから! もっと壁の位置を考えろ!」と指示が出たのだが時すでに遅し。丸山の放った鋭いシュートは見事にゴールマウスを捉え、ついに明大が均衡を破った。

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前半のポゼッション率は圧倒的に明大。チャンスの数も圧倒的に明大で、終始ペースを握っていたことは間違いない。しかし、ポゼッション率やチャンスの数に対して、シュート数はわずかに5本と決して多くはなく、上記にもある通りの「煮え切らない」前半であったことも否定出来ない事実。対する国士舘だが、明大以上に重傷であることが気になってしまう。守備の徹底を図って来たはずなのだが、マークが甘く何度も危ない場面を作られ、まったくと言っていいほど元気のない展開が続いた国士舘。はたして後半はどう修正してくるか注目したのだが、明大の方の修正が優って後半は前半以上に明大ペースで試合が進んでいく。

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開始直後にボールを奪った石原が素晴らしい突破を見せ、最後は岩渕がシュートを放って後半戦がスタート。直後の2分には相手にCKを許してしまうが、ボールをカットした石原がまたも積極性を見せてチャンスを作り出しCKを獲得。4分にも岩渕の高い位置からのプレスでボールを奪いシュートまで持ち込み、続く5分には丸山のロングボールから阪野が見事な飛び出しを見せ、右サイドからシュート! 決まったか? と思われたがポストに阻まれる。しかし跳ね返りを詰めていた岩渕が押し込んでいい時間帯で明大が追加点を奪う。

リードを2点差に広げ、精神的にも余裕が出てきた明大は、全体のリズムが昨年の「いい時」のような形となり、矢田、石原が頻繁に左右のポジションを変えて相手守備陣に大きな混乱を与え、その隙にボランチの三田が自由自在にボールをコントロールして大きな展開を作り出して国士舘を圧倒していく。

だが、ここで目に付いてしまったことも一つある。ボールを左右に展開し、相手に揺さぶりを掛けてチャンスを作り出す展開は実に素晴らしい。しかし、次から次へとチャンスを作り出してもなかなか3点目が生まれないのである。そう、昨年と決定的に違う点としては、欲しいときに決められるストライカーが不足しているのだ。

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昨年は4年生の山本、久保という2枚看板が揃い、さらには次世代を背負う選手として2年生(現3年生)の山村祐樹が後半戦は爆発してケガで欠場の多かった山本の穴を埋めた。このように、シーズンを通して2トップが機能してきたのだが、今年は軸となる阪野のパートナー候補が現れず、結果的に2トップではなく1トップの4-2-3-1システムにせざるを得ない現実があるのだ。

なでしこジャパンで期待される新生・岩渕真奈の兄である岩渕良太の成長は目を見張るものがあるが、強烈なストライカータイプではなくトップ下、もしくはシャドーと言った存在であり、1年生の矢島倫太郞も同様にそのタイプ。昨シーズンに期待を抱かせた山村は、ケガとコンディション不良が続いて今季はベンチ入りすらままならない状態であり、前期は2年生の野間亮太なども試されたが結果を出せず、結局は1トップシステムに落ち着いて今に至るが、阪野に続くストライカーが現れてこないことこそ、今の明大の乗り切れない原因に繋がってしまっている。

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そして山のようにチャンスを築きながらも決められない時間が続き、次第に選手の運動量が下がってしまい、後半30分以降は完全に国士舘のペースとなってしまう。70分ぐらいまでは実に素晴らしい動きを見せた石原も、次第に疲労の色が見え始めてしまい81分に交代。神川監督は途中までの出来については一定の評価を示したが、90分を通して戦えなかった点についてはもっと成長してほしいと厳しい指摘も忘れなかった。

さてゲームだが、後半35分以降からは国士舘の猛ラッシュが続き、何度も危ない場面を迎えてしまった明大。37分には途中交代の児玉が持ち込んで決定機を迎え、39分にも右からのクロスに飛び込んできた瀬川がフリーでヘディングを放つなど、あわや…というシーンが続出。結果的には国士舘の決定力不足に助けられて無失点で試合を終えることは出来たが、勝っても釈然としないゲームをやってしまった。

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試合後の神川監督は、こちらの予想通りやや厳しい表情のままでゲームを振り返ってくれた。

「4試合勝ちが無かったので、まずは勝ち点3を取れたことは良かったです。メンバーを入れ替えてテコ入れをしましたが、序盤はチームが寝ていたというか動き出しが悪かったと言えばいいのか、非常にテンポが悪くアプローチの遅さが目に付きすぎましたね。内容的には良くなかったですし、コーチに申し訳ありませんでしたが、私が前に出て指示を出させて貰いました。

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今、私はS級ライセンス取得なども重なっており、なかなかチームの練習には顔を出せてはおらず、週1回ぐらいしか見られていません。普段は練習はコーチに任せており、試合当日に顔を合わせる状況が続いているのですが、だからこそ試合を見て客観的にチームの悪いところが見えるようなった気もします。

まあ、前半の途中からアプローチも早くなり流れが良くなったからこそ、丸山のゴールを呼び込むFKを得ることが出来たと思いますが、後半はあともう1点を取れるチャンスもありましたね。結局は、今のチーム状況はまさに順位(6、7位→実際には順大が敗れたため5位に浮上)相当なんだと思っています。

昨年は出来ていたことが今年は出来ない現実がありますが、もっと基本動作のトレーニングを積み重ねていかなければならないし、気持ちの面での充実をもっと高めるなど、今のメイジに必要なことはたくさんあります。コーチの目が行き届いていない面もあるでしょうが、これは部全体を見なければいけない私のマネジメント不足でもありますので、残された試合の中で改善していきたいです」

順位相当に関しては、私が投げかけた質問の中から出来てきた言葉なのだが、試合を優位に進めていても決めきれないところ、さらには足が止まってしまうと流れを引き戻す術がないところが今季の明大を象徴している感を受けたこの試合。現在は順大が敗れたために5位と順位を上げたが、内容的には6、7位と中位にいることが妥当であると感じてしまったのだが、選手それぞれが持っているポテンシャルを最大限に引き出せば、間違いなく首位を走る筑波大と対抗できる力があるのに、それが出来ていない現状がなんとももどかしいところである。

結果的には4試合ぶりの勝利となった明大だが、この先の試合では会心のゲームを期待したいところであり、神川監督がどこまで選手の能力を引き出すことが出来るかにも注目したい。さて、敗れた国士舘だが、ラスト15分では意地を見せたが90分間を通して見れば、あまりの元気のなさに「大丈夫か…」と感じてしまった。エースであり、大黒柱の吉野峻光を欠いている状況とはいえ、前半のシュートはわずか2本と攻撃に関する「手」のなさ過ぎは重傷と言える。また、相手に押し込まれてしまった際に対処する術があまりにもなさ過ぎた。この日、最下位の青山学院大学が流経大に勝利したことで、ついに勝ち点差では並ばれてしまった国士舘。

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昨年は斎藤一行(現新潟育成部コーチ)を柱として、インカレ出場権を得た国士舘だが、今年はまさかの残留争いとなってしまい、「降格」という危機的状況から抜け出せないまま、もがき続けている名門。ただ、上位との勝ち点差もそれほど開いていないこともあり、降格圏から脱するチャンスはあるのだが、この日の元気のなさは非常に気がかりである。

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2011関東大学サッカーリーグ 
第16節 @西が丘
明治大学 2-0 国士舘大学
[得点者]
36分丸山、51分岩渕(明大)
[警告]
56分豊嶋、88分田中恵(明大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:明大12、国士舘10
ゴールキック:明大7、国士舘11
コーナーキック:明大4、国士舘9
直接FK:明大11、国士舘9
オフサイド:明大3、国士舘2
PK:明大0、国士舘0

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