« 明大が示した今の力と妥当な順位 | トップページ | 流経大が接する三つの坂 »

2011年10月31日 (月)

圧巻のマナドーナ

先週の熊谷のほぼ10倍となる、2,139人の観衆を集めた西が丘で行われた日テレベレーザの試合。現代表、元代表を多数擁するベレーザに、女版俊輔の異名もある宮間あやが所属する湯郷belleの対戦ということもあり、さすがに注目度が高かった。

Img_0178

そしてこの試合でもっとも輝きを放ったのは、ケガから復帰してから好調を維持する「マナドーナ」こと、岩渕真奈だった。

[ベレーザスタメン]
ーーー岩渕ーー永里ーーー
ー有吉ーーーーーー木龍ー
ーーー伊藤ーーー原ーーー
須藤ー村松ー岩清水ー長船
ーーーーー松林ーーーーー

[湯郷スタメン]
ーーー松岡ーー有町ーーー
ー中野ーーーーーー中川ー
ーーー宮間ーー高橋ーーー
加戸ー秋葉ーー安田ー壷井
ーーーーー福元ーーーーー

試合は開始16秒にいきなり岩渕がシュートを放ってスタート。その直後の1分にも岩渕ー永里の連携からCKを奪い、2分にはこの試合を通して湯郷守備陣を苦しめ続けた縦への速い展開から岩渕が裏を狙っていく(ここはオフサイド)。そして5分にもCKを奪うと今度は須藤が頭で合わせてゴールを狙っていく。

立ち上がりはベレーザの2トップの速さに完全に翻弄されてしまう湯郷。ボランチ伊藤の位置で左右に展開して、そこから縦に速いボールが入る。湯郷守備陣は2トップに速さに完全に遅れを取りキープを許してしまうと、そのすきに2列目が次々とゴール前に進入してくる。いや、この日はボランチだけではなく、代表CBである岩清水のロングフィードも実に正確であり、試合のペースは完全にベレーザのものとなっていく。

この試合では宮間 vs 伊藤、原というボランチ対決が期待されていたが、この日はベレーザの速い潰しの前にまったくといっていいほどボールが宮間に繋がらず、前半はほとんどボールを触る機会が訪れない。それに対してベテランの伊藤は速さこそないものの、実に緩急をつけたボールさばきでゲームを組み立て、原も積極的に前に出て厚みのある攻撃を生み出していく。

ゲームの流れは完全にベレーザのものであり、あとはどのタイミングで先制点が入るかであったが、32分についに均衡を破るゴールが生まれる。

Img_0093

原からボールを受けた伊藤は、前にスペースがあることを確認すると見事なコントロールで縦パスを通していく。そこに岩渕が絶妙のタイミングで走り込んでシュート! これが決まってベレーザが先制。

ここから先は、スピードで上回るベレーザのやりたい放題。得点を奪った直後の33分、今度は左サイドに展開した岩渕がまたもドリブルがDFを抜き去り中へボールを流すが、ここは右アウトで絶妙なボールを送るという高度な技術を見せつけていく。さらに35分には、永里妹が細かいスペースを突いて2列目から入ってきた有吉にスルーパス(ここもオフサイド)。さらには38分には、またも岩渕ー永里の連携から守備を崩してゴールを狙う。

40分には今度は有吉が左サイドを突破してゴール近くまで進入。中へボールを送ると木龍がシュート! 決定的場面だったが、代表GKでもある福元が気迫のセーブでゴールを死守。しかし、こぼれ球に永里が反応してまたも決定機を迎えるが、ここは枠を外してしまう。

そして42分、相手ボールをカットした岩清水が前線にフィード。これが見事にスペースに流れ、走り込んだ永里があさっり決めて2点目。さらに45分、CKのチャンスからまたも須藤が頭で狙い今度はドンピシャで3点目をゲット。

もっと僅差の試合になるかと思われたゲームだが、すべての面でベレーザが上回り、湯郷を圧倒。注目された宮間の展開、ゲームメークだが、相手の速い出だしの前に完全に沈黙してしまい、宮間だけではなくチーム全体がいいところを出せないまま前半を終えてしまった。

後半に入ると、有吉、岩渕にいいようにサイドを破られてしまい、自陣に釘付けとなってしまった右MFのポジションに有町を配置して、FWに中川理恵を投入してゲームの流れを変えようと策を打ってきた湯郷。しかし、後半に入ってもベレーザの鋭い出足は衰えず、47分に木龍が後半最初のシュートを放ち、48分には岩渕がシュートを放つなど、前半同様に相手を圧倒していく。

しかし、後半20分を過ぎた辺りから徐々にベレーザの運動量もダウン。そしてその流れの中で68分、CKのチャンスを得ると宮間からのボールに松岡がヘッド。これはバーに阻まれたが、中川(理恵)が詰めて1点を返す。ベレーザの運動量も下がり始め、これで追い上げムードが上がっていくかと思われた。だが、実際には湯郷もなかなかペースが上がっていかない。

代表では2列目の攻撃的MFに位置する宮間だが、チームではボランチの位置に入っているのだが、この一列後ろにいることがフィットしていないのか、宮間からのパスがことごとく繋がらない。いや、同点に追いつきたいという気持ちが強すぎ、焦りからか無理なダイレクトパスを連発してしまい、これが無情にもミスに繋がり反撃の糸口を結果的に無くしてしまうこととなる。

ベレーザも前半のような動きが出来なくなり、湯郷もその隙を狙えず、やや膠着した試合となってしまう中、73分に今度は守備で岩渕が魅せてくれる。左サイドで中野にボールが入ったとき、猛然とチャージに入ったのがFWの岩渕。攻撃だけではなく、守備面でも積極性を見せた岩渕。試合後には「好調を維持しているので、絶対に自分たちがINACの無敗を阻止したいですし、優勝も諦めていません」と力強くアピール。

ワールドカップで思うようなプレーが出来ず、その後もケガで戦列を離れるなど、苦悩の時間を過ごしたが、これが逆に気持ちを強くする結果に繋がり、復帰後はこれで5戦連発と一気に波に乗った感もある。この勢いを持続していけば、次のオリンピックこそ、チームのエースになれるかも知れない。

さて、試合だが、結果的に湯郷の「攻めあぐね」もあり、試合は3-1のまま終了したが、全体的にみて、やはり新旧代表選手を揃えるベレーザのサッカーの「質の高さ」を改めて実感することとなった。最終ラインからの正確なロングフィードだけではなく、高い位置からのプレスや、攻め方のバリエーションの豊富さ。今日の出来を持続していれば、首位を走るINACにストップをかけることは十分可能と感じた。

また、次世代のなでしこジャパンを担う存在として、センターバックに入っている村松智子、そして左MFとして出場した有吉佐織は実に面白い存在になると感じた。村松も岩渕同様、U-17ワールドカップで活躍した選手であり、将来性が高いの当然。また有吉も神村学園→日体大とエリートコースを歩んできた選手。ちょうど明日で24歳の誕生日を迎えるが、なでしこリーグだけではなく、代表での経験を積んでいけば大化けするタイプ。スピードで勝負するサイドアタッカーの今後にも大いに期待したいところ。

ということで、先週と今週、2つの試合会場に足を運んだが、やはり下位と上位には大きな差があることを実感した。だが、この日鴻巣で行われた狭山 vs 新潟の試合は1-1のドローで終わるなど、確実に下位チームも経験値を上げて中位グループになんとか食いついていこうとする姿を見せてくれている。

上位チームには「世界と戦うこと」を意識してほしいし、下位グループには「上位への挑戦」を常に頭に入れた成長をしていけば、リーグ全体がいい方向に成長していくはず。この日も各会場で多くの観衆を集めたが、正直にいえば「なでしこブーム」に乗ってきたライト層なファンが多いことは否定出来ないだろう。

しかし、そのライト層を引きつけなければリピーターにはなってくれない。しいては、ファンがいなければリーグもクラブもやっていけないのである。だからこそ、なでしこリーグ全体として、その「ライト層」に「また見てみたい」と思わせるゲームをする必要があり、ライトをコアに変えて行かなければならない。そういう観点からすれば、この日、ベレーザが見せた試合は実にライト層を取り込みやすい試合であった。

スターが活躍し、それ以外の若手、ベテランも実力を発揮して「こんなにおもしろい試合をしているんですよ」ということを強烈にアピール。また、前日の大学リーグ終了後、赤羽駅東口で「明日、なでしこリーグの試合が西が丘であります」と一人で告知活動をしていたサポーターがいたが、このような素晴らしい活動をしてくれるサポーターがいたことをとても嬉しく感じた。

111029_1737141

なでしこが今、ブームなのは誰でもわかる。しかし、そのブームを一過性のものではなく、継続性のあるものにしなければならない。そのためにクラブやリーグもいろいろ策を考えるが、サポーターやファンにでも出来ることがあるはずだが、それを実践する「行動するサポーター」がどんどん増えていくことにも期待したいところである。

---------------------------------

プレナスなでしこリーグ2011第15節 @西が丘
日テレベレーザ 3-1 湯郷belle
[得点者]
32分岩渕、42分永里、45分須藤(ベレーザ)
69分中川理(湯郷)

[ゲームスタッツ]
シュート数:ベレーザ14、湯郷6
ゴールキック:ベレーザ6、湯郷15
コーナーキック:ベレーザ4、湯郷4
直接FK:ベレーザ11、湯郷9
オフサイド:ベレーザ3、湯郷2
PK:ベレーザ0、湯郷0

« 明大が示した今の力と妥当な順位 | トップページ | 流経大が接する三つの坂 »

女子サッカー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/53127266

この記事へのトラックバック一覧です: 圧巻のマナドーナ:

« 明大が示した今の力と妥当な順位 | トップページ | 流経大が接する三つの坂 »