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2011年10月23日 (日)

AS狭山、今季初の連勝

今季というか、何年ぶりかに女子のトップリーグ(なでしこリーグ)の試合を見た。朝はあいにくの雨だったが、試合が始まる13時にはほとんど雨が止んだ熊谷陸上競技場。対戦カードはASエルフェン狭山 vs ジェフユナイテッド市原・千葉レディース(以下ジェフL)だ。

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世間はワールドカップ優勝の効果もあり「なでしこブーム到来!」という感じであり、代表選手を数多く擁するINACレオネッサの試合には、J2なんて目じゃないほどの観衆が押し寄せているが、天候の悪さや、そして代表組が誰もいない(ジェフには丸山佳里奈がいるが前十字靱帯損傷で欠場中)この試合には、Lリーグ当時とあまり変わりのない光景(まばらな観客数)がそこにあった。

[狭山スタメン]
ーーーーー村岡ーーーーー
ー齋藤ーーーーーーー薊ー
熊谷ー澤田ーー高橋ー田子
ーー山本ー笠嶋ー柴田ーー
ーーーーー有馬ーーーーー

[ジェフLスタメン]
ーーー深澤ーー筏井ーーー
ー安本ーーーーーー井上ー
ーーー山田ーー加賀ーーー
細川ー高橋ーー河村ー千野
ーーーーー有馬ーーーーー

ホームの狭山はこれまで2勝10敗で現在8位。対するジェフLは4勝1分8敗の勝ち点13で6位。前節の福岡Jアンクラス戦で今季2勝目を挙げた狭山は、調子は上向きで今季初の連勝を狙うために気合いは十分。それに対してジェフLは前半戦の第7節までが4勝2敗と悪くないスタートだったが、5月8日の伊賀FC戦(1-0)以降勝ち星に恵まれず順位をズルズルと下げてしまっている。

そんな両者の対戦だが、最初のチャンスを掴んだのはジェフL。2分にCKを奪い、その直後に深澤がファーストシュート。5分には筏井がゴールを狙うと、その一連の連続攻撃から今度は加賀もミドルを放っていく。メンバー表上のシステムは4-4-2だが、守備に回る時間以外は細川が一列高い2列目に入り、安本も前線に入って3-4-3的なポジションを取り、前線の3人が流動的な動きを見せて狭山の守備に的を絞らせない。

試合の入り方としては、完全のジェフLのペースだったが、6分にミスからあっけなく先制点が狭山に転がり込むこととなる。狭山FW村岡がボールを持つと、前線に走り込んだ薊にパスを送る。ペナルティエリアに入るかはいらないかの地点に飛んだボールに対して、DFとGKが対応に出る。しかし、ここで両者がそれぞれ判断ミスを犯してしまい、処理できずボールは後ろから入ってきた薊のもとへ。

GKはボールを処理しようと前に出てしまいゴールはガラ空き。そんな場面で、フリーでボールをかっさらった薊は、落ち着いてボールをゴールを流し込んで狭山が先制。

ここまで、ポジションを頻繁に入れ替えるジェフL攻撃陣にやられっぱなしだった狭山。しかし、先制点を奪ったことで落ち着きを取り戻し、狭山が盛り返しを見せていく。10分には、またも前に出すぎたGKの位置を確認して、薊がミドルレンジからゴールを狙うがここは惜しくも枠の外。11、12、14分と立て続けにいい形を狭山が作り出し、ジェフLゴールを脅かしていく。

先制点を奪われてから、ペースを相手に奪われてしまったジェフLだが、18分に細川の左からのクロスに中で待っていた安本がスルー。そして流れたボールに対して後ろから入ってきた井上が見事に合わせて同点。

同点となり、再び勢いを取り戻したジェフLの前に、またも防戦一方となってしまう狭山。全体の押し上げが上手く行かず、ラインが間延びしてしまい、なかなかボールが繋がらなくなってしまう。さらには、マイボールにしても散らす、揺さぶるといった攻撃がほとんど出来なくなってしまい、守備面でもジェフLの攻撃に対してバイタルエリアでのチェックが甘く、たびたびゴール前への進入を許してしまう。

このままでは逆転されるのも時間の問題かと思われたが、38分、薊が右からクロスに対して、ジェフL河村のヘディングがクリアミスとなってしまい、そのままゴールに吸い込まれていき痛恨のオウンゴール献上となってしまう。

先制点はDFとGKの連携ミス、そして2点目もクリアミスと、両方ともやらなくてもいい失点を与えてしまったジェフL。

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前半はこのまま2-1と狭山のリードで折り返したが、後半の立ち上がりは前半とは打って変わって狭山が押し込む形でスタートしていく。

2分にFK、CKのセットプレーからチャンスを掴み、3分にもDF笠嶋が前線に上がってチャンスを広げると、またもCKを獲得。前半は相手の出方を見過ぎてしまい、ペースを奪われてしまった狭山だが、後半の入り方は積極性を出そう、そして早い時間で3点目を奪って楽に試合を進めようという意図のもと、ラッシュを仕掛けていく。

そして8分、攻め込んでくる狭山に対して、またもジェフL守備陣がミスを犯してしまう。バックパスでの連携が乱れた直後のプレーで、GKがまだ戻り切っていない姿が目に入った薊は、競り合いから流れてきたボールを迷わずループ気味のシュートで狙っていく。そして、これが決まって狭山はリードを2点差に広げることに成功。

なでしこジャパンやリーグで首位を走るINACはいいとしても、なでしこ中位〜下位レベルになると、守備においての不安定さはちょっと目に付くところがある。この日のジェフLの3失点はすべてミスからであり、しっかりクリア出来ていれば失点しなかったであろうし、両者に言えることとしてバイタル部分をもっとしっかりケアしていれば、それぞれ楽な試合運びが出来るはずなのに、それが出来ていない現状がそこにあった。

試合の結果は、終盤のジェフLの猛攻を凌ぎきり3-1で狭山が勝利したが、内容自体はまだまだ改善すべき点も多く、手放しで喜べるものではなかった。この日は、攻撃の核となる丸山、清水といった中心選手を欠いたジェフLであったからこそ凌ぎ切れた感もあるのだ。現に、タレントが揃っているINAC(0-8)や日テレ(0-6)には完敗を喫してしまっているのだが、この日の試合で感じた全体のラインをコンパクトに出来ない点、バイタルエリアのケア、クリアの確実性が上がっていかない限り、やはり上位と戦って勝つにはまだまだ難しいといえるだろう。また、これも両チームに揃って言えることなのだが、ゴールキックが悲しいほど飛ばないのである…

トップレベルのチームであれば、それなりのキックが出来るのだが、この日はセンターラインを超えるようなあまりなく、ボールはほとんどがペナルティエリアを出て10〜15Mぐらいの位置でカットされてしまい、またピンチを招いてしまうという悪循環を繰り返していた。

さらには、GKのレベルがフィールドプレーヤーの成長の速さに追いつけていない現状も気になってしまった。飛び出すタイミングの判断、スローイング、パントキックの距離、正確性など、まだまだ修正していくことは山ほどあると感じた。GKというポジションは「やりたい」という選手が決して多くはないため、いい人材が生まれにくいこともあるのだが、それぞれのチームだけではなく、JFAや各都道府県協会と連携して「女子GK育成プラン」をこれまで以上に取り組んでもらいたいと感じた。

なんかここまで、文句ばっかり書いてしまったが、Lリーグと呼ばれた当時から比べて、今のリーグは下位チームでも確実にレベルアップしていることだけは間違いない。後半途中からの出場となった、狭山の渡辺彩香はゲームの流れを変える役目を果たし、やや単調な攻撃が続いていたチームにアクセントを見事につけてくれた。まだ22歳と若い選手であり、今後の成長が楽しみな選手となりそうだ。また、後半戦から加入してきた山本りさも、すでにディフェンスラインの要になってチームの連勝に貢献。

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ここまで、勝ち星に恵まれなかった狭山だが、前節の勝利で意気が上がっていることもあり、個々の能力では上と思われていたジェフLの選手にも、必死に立ち向かい、終盤の猛攻を凌ぎきって勝ち点3を奪ったこと、そして今季初の連勝(順位も7位に浮上)を飾れたことは、チームにとって大きな力となるだろうし、経験となっていくはず。

一気にブームとなった感もあるなでしこリーグだが、実際のところはINAC一人勝ちといった感もなきにしもあらずである。リーグにスター軍団があることはかまわないが、実力も人気も一極集中になってしまっては、そのリーグの発展や進化の妨げになってしまう可能性もある。

資金力があって、いい選手を集めることは決して悪いことではない。しかし、リーグ全体の発展のためには、そんなスター軍団に対して、資金力の乏しいチーム、戦力的に劣るチームは、今以上に努力を重ね、そのスター軍団に一歩でも近づけるようにならなければならないし、独走にストップをかけなければリーグ戦のおもしろみが色あせて行ってしまう。

だからこそ、リーグ発展のためには言い方は悪いが、INACが独走するよりも、この日、連勝を飾った狭山や福岡が上位チームを脅かす存在に成長することが一番だと思うのだ。

また、女子サッカーは高校、大学(短大)を卒業してしまうと、なかなか活躍する場がないことは否定出来ない事実でもある。そんな現実があるからこそ、なでしこリーグで活躍するクラブや、次にトップリーグ入りを狙うチャレンジリーグのチームが、もっともっと成長してやる気のある若い選手たちにとって、魅力ある「受け皿(クラブ)」となって欲しいのだ。

世界チャンピオンとなった日本の女子サッカー界だが、その強さを支えるのは一握りのトップ選手だけではない。彼女たちがレベルアップし続ければいいという問題でもないし、リーグを支える多くの「非代表選手」たちが、それぞれ「なでしこリーグは世界チャンピオンのリーグなのである」という自覚と、自分も「代表候補の一人である」と思ってプレーし続けることこそが、リーグや代表の発展を推し進める原動力となるのだ。

日本が世界王座を防衛していくには、トップ選手を脅かす存在を作り出す(生み出す)ことであり、さらには上位チームと下位チームの差を縮めていくこと、そしてトップの下であるチャレンジリーグのレベルを上げていき、女子サッカー界の底上げをしていくことが重要なのである。そのためにも、狭山や福岡、そして多くのチャレンジリーグのチームたちが、もっともっと頑張って欲しいのである。

経済的に厳しい中でやりくりしているのはよくわかる。この日の試合会場運営も、ベンチ入りしていない選手たちが会場のあちこちを走り回り、ボールパーソンや、担架要員も下部組織の選手たちが務めていた。そして、会場案内やチラシ配布も選手やチームを支えるボランティアの手により、お金をかけずに自前でやりくりしている。

大きな資金力と、人気選手を擁しているチームよりも、なんとなく応援したくなるじゃないですか…

この日は、あいにくの天候ということで会場には220人しか集まらなかったが、チームというか、クラブのやる気は会場に集まった人たちには必ず届いたはずである。大きなことはいきなり出来ないが、小さなことからコツコツと…

どこぞの政治家の言った言葉ですが、その言葉同様に、ASエルフェン狭山も小さな事を積み重ねて大きな存在になって貰いたいと感じたのである。

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プレナスなでしこリーグ2011第14節 @熊谷
ASエルフェン狭山 3-1 ジェフ千葉レディース
[得点者]
6・53分薊、38分オウンゴール(狭山)
18分井上(ジェフL)

[ゲームスタッツ]
シュート数:狭山11、ジェフL13
ゴールキック:狭山12、ジェフL9
コーナーキック:狭山6、ジェフL7
直接FK:狭山10、ジェフL8
オフサイド:狭山3、ジェフL1
PK:狭山0、ジェフL0

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