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2011年10月16日 (日)

山雅、大苦戦の末、暫定4位へ

15日に西が丘で行われた横河武蔵野戦に勝利して、暫定ながらもついにJ昇格圏内となる4位以内に突入した松本山雅。しかし、勝って暫定4位としながらも、内容に関しては「……」であり、加藤監督も先制ゴールを挙げた船山も「修正して行かなければいけない」と、厳しいコメントを残してくれたとおりの試合でもあった。

[武蔵野スタメン]
ーーー関野ーー小林ーーー
ー高松ーーーーー林俊介ー
ーーー岩田ーー桜井ーーー
小山ー金守ー瀬田ー林真人
ーーーーー飯塚ーーーーー

[松本スタメン]
ーーー片山ーー船山ーーー
ー久富ーーーーーー大橋ー
ーーー北村ーー須藤ーーー
鐵戸ー飯尾ー飯田ー多々良
ーーーーー白井ーーーーー

先週、天皇杯において通算3度目のジャイアントキリングを達成した松本山雅。今回の東京遠征では、北村のコンディションが微妙であったこともあり、ベンチ入りできる17人だけではなく、もう一人加えた18人で敵地に乗り込んできていた。しかし、加藤監督は「北村が行けるのであればいじる必要もない」という意向から、結局は先週と同じメンバーで挑んできた山雅。そしてチームは先週の快勝の流れを持続して、開始早々の4分(公式記録上は5分)、小山(だったかな?)のパスミスを船山が逃さずインターセプトしてそのままゴール前に突進。GK飯塚と1対1の状況を冷静に蹴り込んで最初のチャンスを見事に活かして山雅が幸先良く先制する。

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誰もが、先週の勝利の勢いを持続して、このまま行ってしまうのでは? と思った。直後の5分には多々良のクロスを中で待っていた片山がシュートを放ち、7分にはシュートまでは持ち込めなかったものの、右の多々良から中の片山→落として北村→そして右サイドの深い位置に走り込んだ多々良に展開と、実にスムーズなパス交換が生まれるなど、完全に山雅ペースで試合は進む。

先制点を奪った事もあり、出足が鋭い山雅。そして何よりも北村が好守に渡って存在感を発揮し、全体のプッシュアップにメリハリをつけていい流れをたぐり寄せている。そんな流れの中で12分、またも多々良→片山のラインからビッグチャンスを迎えるが、ここはなんとか金守が体を寄せてガチャにいい体勢からのシュートを打たせない。

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ここまで、山雅の一方的なゲームであり、やはり天皇杯で勝った結果がまとまりのあるチームに変えたのかと思ったのだが、良かったのは正直、ここまでであった…

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前半15分まで、2トップをはじめとした前線の選手が速いプレスを掛け、北村が全体のラインをうまく上げることで武蔵野はまったくと言っていいほど前に出られなかった。ルーズボールを拾っても、速いプレスに遇ってしまい後ろに下げる。そして武蔵野らしく短く繋いでいこうとすれば、すでにブロックを形成されており、ボールを出すスペースが消されてしまっている。そんな状況が続き、ほとんど「らしさ」を出せなかった武蔵野だが、16分に小林が相手のパスミスをカットしてビッグチャンスを掴んでからは流れが一変。

この場面はGK白井の好セーブもあり、なんとかピンチは防いだが、こぼれ球も拾われて連続してピンチを迎えてしまう。そしてここからは関野がミドルでシュートを狙ったり、いいタイミングで左サイドを抜け出した小林が素晴らしいクロスを上げ、あとは中の選手、よろしく! 
といった場面を作るのだが、待っていた林は残念ながら合わしきれず。

あれだけ流れが悪かった武蔵野だが、16分のたった一つの相手ミスを境にペースを取り戻し、あれほど押し込まれていた中盤もかなり挽回して、岩田がかなり前に出る場面が増えだしていくと、それに呼応して攻撃の起点となる高松の動きも冴えだしてくる。

完全に試合の流れが序盤と逆転してしまい、山雅は守る時間が増えてしまっただけではなく、攻撃の流れも一気に悪化しだしてしまう。これまで中盤を経由してサイドに展開してクロスという流れが多かったが、単純に最終ラインから前に蹴り込むだけの展開に変化していく。まあ、そのやり方を否定する訳ではないし、前線にボールを入れて2トップが競り勝つ、またはボールを収めることが出来ればいいのだが、この日はほとんどの競り合いにおいて武蔵野の瀬田が圧勝。片山も船山も瀬田、金守のCBコンビに競り負けてしまいほとんどのボールを主導権を失ってしまい、セカンドを拾えないという悪循環が続いてしまう。

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しかし、個の能力で上回る山雅は、2トップにボールが入ればチャンスを作っていく。37分、久々に船山にボールが収まると、前に入ってきた片山にパス。決定機を迎えたが片山のシュートは飯塚のファインセーブもあり追加点を奪えない。対する武蔵野も、時たまこのようなピンチを迎えることがあったが、ゲームの主導権を相手に渡すことなく攻め続け、38分に瀬田、39分には林真人の粘りからFKのチャンスを掴み、金守が直接狙い、終了間際には上がっていった小山がシュートを狙うなど、武蔵野は積極的な姿勢を随所に見せていく。

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だが、決定力のなさは残念ながら相変わらずの武蔵野。チャンスの数では圧倒的に山雅を上回りながらも得点を奪えず前半は山雅1点リードの状況で折り返す。そうは言っても、武蔵野の盛り返しと山雅の消極的な姿勢もあり、後半の勝負の行方はわからなくなるかも…と思われた。

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そして後半も前半同様で武蔵野ペースで進むことになる。1分にいきなり高松がフリーで抜け出しシュート! しかし、ここは痛恨のシュートミスで絶好の同点機を逸してしまう。続く2分にはFK、7分にはCKと立て続けに山雅ゴールを攻め立てる。こうなると、完全に防戦一方になる山雅。序盤のような押し上げは完全に消えてしまい、攻撃は2トップの個人能力頼みになってしまう。しかし、肝心の2トップはボールを収めきれずチャンスの形すら作ることが出来ない。

流れの悪すぎる山雅だが、加藤監督には一つの信念があった。

「うまくいっていないことは誰が見てもわかるでしょう。しかし、だからと言って今の形(中盤、最終ライン)を変えてしまって、バランスを崩してしまうことだけは避けたかった。だから、悪くても失点しなければそれでいい。悪くても耐えていれば今はそれでやるしかないと思って、後ろは一切手をつけませんでした」

このように試合後に語ってくれた加藤監督は、この言葉のとおり後ろには一切手を加えず、交代のカードはまずは木島兄弟だけで済まし、兄弟の突破力に勝負を託したのであった。

そして試合が膠着し始めていた後半30分、木島兄が見事なパスカットから後半最初のチャンスを掴み、前線を駆け上がる弟へパス。このシュートは、飯塚のファインセーブの前に決めきれなかったが、この兄弟、いろいろな意味を含めて「危険な存在」であることは、このワンプレーで証明したであろう。さらに37分、CKのチャンスを掴んだ山雅は、一旦DFのクリアにあったものの、鐵戸が拾って絶妙のクロスを上げると、これを上がっていた飯田が頭で押し込んで試合を決定づける2点をついに奪うことに成功。

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2点目を奪ってやっと落ち着きを取り戻した山雅は、終盤になって「らしい」カウンターが炸裂し、41分に久富が抜け出してシュートを狙うがここはポストに阻まれ得失点差を広げる貴重な「3点目」は奪えない。

試合は結局2-0で山雅が勝利し、勝ち点を39として暫定ながらも順位を4位とした。

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試合内容に関しては、得点シーン以外、厳しい言い方をすれば「見るもの」が無かったこの試合(山雅側から見て)。冒頭にあるように、加藤監督は内容の酷さに関しては素直に認める発言を会見でしてくれている。そして先制点を奪った船山も「今は内容より結果が出すことが重要なのはわかっています。ただ、それを含めても今日の試合はやっていて楽しくなかったですね(笑)」とコメントを残してくれている。

先週の天皇杯であれだけいい試合が出来て、なぜ横河武蔵野を相手にあのような試合が出来ないのであろうか?

それについて監督は「精神的なこと」と答えてくれた。

「やはりね、一発勝負であり、格上と戦う天皇杯はプレッシャーがないし、『喰ってやろう』という気持ちが選手にあった。だからこそ、のびのびとしたプレーが出来ていたけれど、リーグ戦はまったく違う。

天皇杯は負けても仕方がないということもあり思いっきりやれるが、リーグ戦はそうは行かない。ウチのチームには、昇格しなければいけない、勝たなければいけない、負けてはいけないというプレッシャーが選手に重くのしかかってくる。そんなプレッシャーがあるからこそ、選手の動きにすぐに出てしまうのでしょうね…

こんな試合でいい訳がないことはわかっていますし、残り試合でこんな試合をして勝てるとは思っていませんので、メンタルを含めてしっかりとした準備をしていくつもりです」

当然といってしまえば当然のコメントであり、武蔵野ファンには失礼を承知で書いてしまうが「相手が武蔵野だったから」勝てたという印象が強かったこの試合。決定力のあるFWを擁しているチームであれば、山雅は敗戦すら覚悟しなければいけなかった試合であったことは間違いない。先制点を早々と奪ったまでは良かった。しかし、飯田が試合後に語ってくれたとおり、「全体がフワっとしてしまった」とあるとおり、どこか締まりのない試合をしてしまい、簡単に相手にペースを奪われるとズルズルとその流れに飲み込まれて行ってしまう。

松田直樹の死、そして昇格へのプレッシャーと、選手たちに重くのしかかるプレッシャーが予想以上に重いことは理解出来る。しかし、この日のサッカーでJリーグ(J2)に行けるほど、JFLは甘くはない。この日の山雅は勝負には勝った。しかし、内容では敵に敗れる前に、己に敗れてしまった感もある。次の相手はこちらもしっかりとした守備をベースに戦う栃木ウーヴァだが、こちらは「若林」といった強力な得点源を擁しており、侮れない相手と言えるだろう。

この日は結果的に「勝てただけ」であったが、次のホームゲームは誰も納得する内容で「昇格するにふさわしいチーム」ということを証明してほしいところである。

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さて、敗れてしまった横河武蔵野だが、試合内容に関しては前節の長崎戦よりいいものであったことは間違いない。4失点を喫してしまった最終ラインはしっかり修正され、瀬田、金守のCBコンビはほとんどの時間帯で相手FWに仕事をさせなかった。そしてチームの狙いであるサイド攻撃もある程度はしっかりできた。

しかし、サッカーとは攻撃の形を作っても、得点を取らなければどうにもならない。試合後、依田監督は「サイドサイドという気持ちばかり強くて、ゴール前に迫る迫力が乏しすぎた」と語ってくれたとおり、あまりにも形にこだわりすぎたチームに不満の表情も覗かせた。確かに、サイド、サイドにこだわるより、速く縦や前線に入れると言ったバリエーションをかまさなければ、対戦相手としてみれば守りやすいし、対応しやすいことは間違いない。

そしてもう一つ、これはシーズン前から言ってきたことだが、攻撃の交代要員で「切り札」となる選手が不在であることだ。この日も小林や高松が退いてからの攻撃は、それまでの時間帯よりも単調となってしまい、山雅としては跳ね返すことは容易であった。交代要員に怖さを感じさせる選手が不在なことは、チームにとっても痛いところ。結果的に、シーズンはまもなく終盤を迎えるのだが、関野、小林、高松に迫るアタッカーが育っていないところが、チームの不調に繋がっていることは否定出来ないだろう。

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だが、この日も先発出場となったSBの林真人は守備面で堅実な動きを見せ、「その先」が楽しみであることを感じさせた。4年前の高校サッカーでベスト8入りした三鷹高校のレギュラーであり、その後は関東リーグ所属のTFSCに所属しながらサッカーを続けてきたが、より高いレベルでプレーしたいという想いから、活躍の場所はJFLに求めた。

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当初はJFLの動きについて行けないこともあったが、後半戦に入ると鹿野の出場停止やコンディション不良もあり、出番を得るとそこで活躍を見せて、レギュラーを奪うぐらいまでの選手に成長。三鷹高校時代の同期である白井豪も紆余曲折を経て、早稲田大学(現在は3年生)でレギュラーを掴み、関東大学サッカーリーグで現役を続けている。同期の仲間が先に結果を出す中で、林もしっかり成長を続け、大学とJFLとカテゴリーは違うがそれぞれ主力としてのポジションを奪いつつある。

今季、苦戦が続く武蔵野の中において、鹿野同様、「この先」が期待される林真人には、さらなる成長を期待したいところだ。

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2011JFL後期第11節 @西が丘
横河武蔵野FC 0-2 松本山雅FC
[得点者]
5分船山、84分飯田(松本)
[警告]
40分船山、90分久富(松本)

[ゲームスタッツ]
シュート数:武蔵野11、松本7
ゴールキック:武蔵野5、松本17
コーナーキック:武蔵野9、松本3
直接FK:武蔵野20、松本7
オフサイド:武蔵野4、松本5
PK:武蔵野0、松本0

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