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2011年9月 1日 (木)

突き当たった壁、そして「この先」

天皇杯出場を目指したザスパ草津U-23だが、日曜日に行われた天皇杯・群馬県予選決勝にて、JFL所属のアルテ高崎に0-6と完敗を喫し、悲願達成とはならなかった…

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ここでは、決勝戦の内容については細かくは触れないが、全ての面でアルテに負けてしまったことだけは付け加えておきたい。選手個人個人のスキルにおいて、決してアルテに劣っていたとは思わない。しかしだ、アルテにあってU-23に無かったものを考えれば、それはただ一つ「経験の差」であろう。そして木村コーチ(監督)も、試合後の会見にて同様の言葉を述べていた。

さて、この場合の差なのだが、当然ながらJFLという日本の3部リーグで戦うことと、県リーグの3部で戦うことの違いである。アルテの戦っているJFLだが、全国リーグであり、毎週のように各地を移動しながらの戦いが12月まで続く。さらには、Jリーグ昇格を狙うチームから、歴史と伝統のある強豪企業チームなど、どれもレベルの高い相手が揃う中でのリーグ戦となっている。ただ、順位に関しては現在16位と、今季も降格の危機と向かい合いながら順位争いを繰り広げている。

それに対して、U-23はあまりにも自分たちのレベルとかけ離れたカテゴリーで戦っており、そこで全勝しても「あたりまえ」と言われるだけだし、得失点差が100に近づこうが、特に勲章になるものでもなく、経験になるものでもなく、翌年に向けてカテゴリーを一つ上げるための戦いが続いている。

このように、厳しい戦いが続くJFLに身を置くアルテだが、苦戦しているものの、確実に選手のレベルと経験値を高めていることは紛れもない事実。さらには昨年、JFL入れ替え戦と言った、崖っぷちの戦いを勝ち抜いてきたアルテには、真剣勝負の難しさ、厳しさというものがイヤというほど身についている。それに対して、自分たちの練習の中でしかレベルを高めていく機会のないU-23。

アルテにしてみれば、U-23に勢いがあるからといって、いくらなんでもSAGAWAより相手は強くないし、当然、パルセイロよりも強くはない。そういう面で最初から受けて立つ余裕があり、前半20分までに彼らの攻撃を凌ぎきったところで「行ける(勝てる)」という実感が湧いていた。

結局、U-23よりも高いレベルのチームと真剣勝負を繰り返しているアルテにとって、彼らの攻撃は「そう怖いもの」ではなかったのである。さらには、守備面においても、アルテがスピードを速めた瞬間に、守備陣が捕まえきれずファールで止める場面が増えてしまったことも敗因に大きく繋がっていた。木村コーチも当初から守備面での不安は口にしていたのだが、やはりJFLでもまれている相手には、ごまかしは効かなかった…

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決勝で惨敗を喫したチームに対して、多くのサポーターから暖かい声援が飛んだが、そんな中で厳しい意見を言うファンもいた。「実力が段違いじゃないか」「J2、JFLにも入れなかった選手たちなんだから…」など

確かに、J2、JFLにも入れなかったことは否定しない。しかし、U-23というチームは、別に元Jリーガーや即戦力となる新卒選手を集めている訳ではない。当初はトップ、下部組織(U-23)でセレクションは分かれていたが、現在は合同でセレクションを行っているのだが、即戦力クラスの選手であればトップの方で合格を出している。しかし、今いる選手たちは「即戦力として考えるのは厳しい、しかし年数をかけて育てればおもしろい選手になる」と木村コーチ、植木GMが判断して獲得している選手たちなのである。

そんな選手たちだからこそ、「J2、JFLにも入れなかった選手たちなんだから…」という批判は、ある意味でお門違いでもある。入団した当時は、まだプロとやり合うには到底かけ離れているレベルであっても当たり前なのだ。2年、3年という期間を経て、プロという壁にチャレンジ出来る、もしくはそのレベルに到達出来る選手に育成していくことがU-23というチームの役割なのだから。

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そう言った面で考えれば、大卒組ではない4年目の森川、市川、宮下は本当に大きく成長し、高いレベルでやれるぐらいまでのスキルを身につけてきた。しかし、そんな彼らのプレーでもアルテに通用しなかったのだが、その原因を考えれば、やはり「ギリギリの戦いを経験していないこと」が大きく影響しているといえる。

となれば、彼ら、そしてU-23というチームがさらに成長していくにはどうすればいいのだろうか?

それはひとえに、彼らに対して「高いレベル」で戦える場を提供させてあげることであろう。しかし、現在県リーグ3部にいるチームのため、毎年各カテゴリーで優勝して1つ1つカテゴリーを上げていくしかないので、即、高いレベルでの戦いを提供できるという訳にはいかない。

また、以前木村コーチと話しをした中で、全社(全国社会人大会)と国体出場への道を切り開いてあげれば…と提案したが、全社に関しては今のカテゴリーが県3部のため、群馬県予選は1次予選からの出場となり、こちらの予選は天皇杯よりも早い1月初旬に行われることがネックとなるので(チームの始動時期が1月後半からのため)、1次予選が免除となる県1部に昇格するまで、参加を考えるのは難しいという返答が帰ってきた。

また、国体(群馬県成年チーム)に関しては、参加できればおもしろいという話しをされていたが、これはあくまでも県協会側がメンバーのセレクトをするため、こちらの一存で参加するという訳にはいかないので、なんとも言えませんね… という感じであった(※国体チームに関しては、各県それぞれの状況が違い、いろいろなクラブから選手セレクトして選抜チームを作る場合もあるし、岐阜(FC岐阜second)や京都(佐川印刷)などのように単独チームで参加する場合がある)。

しかし、国体に関しては、クラブから県協会に打診すれば、メンバー全員という訳ではないが、有望な選手をセレクトして派遣していくことは可能であろう。また、このように他のチームの選手と一緒に練習や試合をこなし、さらには別のコーチから指導を受けることは、選手にとって大きな刺激と経験になるはずだ。

今回のアルテとの決勝戦を経て、彼らに一番足りないものは「経験」であることははっきりしたのである。だからこそ、選手には「全国」という舞台をどんな大会でもいいから経験させてあげたい。しかしその中で、全社に関しては難しいとのこと。であるならば、県協会にクラブが働きかけ、少ない人数でもいいから、選抜チームにメンバーを派遣して、経験を積ませるべきではないだろうか?

この件は、ここで書くだけではなく、クラブ側にも働きかけをして行きたいとも思っております。

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まあ、この敗戦によって、彼らにとっての「勝負の夏」は終わってしまった。

このチームの「ベテラン」である、タケマ、ユーゴ、ナリ、いっちゃん、ゆうだい、カオルにとって、他のメンバー以上に悔しい思いであったことは、試合後の姿を見ていればよくわかる。しかし、みんなに残された時間はそう多くはない。シーズン最後となる11月いっぱいまでに、この試合で感じた「足りないもの」をどこまでしっかり認識できるのか? そしてそれをどこまで補えられるのか? 

ここで、木村コーチに教わる、指示されるのではなく、自分で課題を見つけ、どうすればそれを乗り越えられるのかを考え、敵に勝つ前に、まずは昨日までの自分を日々超えられるようにトレーニングを積み重ねて欲しいところだ。

そして、選手だけではなく、指導者としても「まだまだである」ということを、木村コーチも強く認識したことであろう。結果的には、昨年以上の成績を残したが、最後(予選トーナメント)の終わり方だけ見れば、悔しさは昨年以上だったはず。個々のスキルでは負けていなかったはずなのに、その力を出させられなかったこと、そして会見でも語っていた「メンタルコントロールの難しさ」など、木村直樹にとっても、選手同様にまだ「道半ば」なのである。

2011年度のシーズンはあと3ヶ月程度となってくるが、その中で選手、そしてコーチがどこまで大きくなれるか、トップ昇格できるか以上に気になるところだ。

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さて、ここからは、賛否両論があるであろう書き方になってしまうことをご了承ください。

U-23の選手たちの目標は2つある。
1つ目は天皇杯に出場すること。そして2つ目はトップに昇格することである。

ただ、現実的な目標として、トップ昇格するだけではなく「別のチームで活躍する」ということを残された期間の「目標」とすることも悪くはないと考えている。

例えばJリーガーではなくとも、このチームの前身である、チャレンジャーズチーム出身の太田康介(町田)、杉山琢也(長崎)の2人はプロ契約を勝ち取っている。また、B契約以下、もしくはアマチュアだが、高向隼人(佐川印刷)、佐藤大典(長野)、田中翔太、山口直太(ともにジェフリザーブス)といった選手もJFLで活躍する機会を得ている。

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さらにはU-23で今のメンバーたちとともに、草津で過ごした武藤勝利、高櫻健太(ともに栃木ウーヴァ)、星野崇史(ジェフリザーブス)の3人もJFLの舞台に立っている。そして昨年はパルセイロでほとんど出番をもらえなかった武藤だが、その悔しさをバネに栃木ではレギュラーを勝ち取るまでに成長している。

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確かに、U-23から今現在Jリーガーとして活躍しているのは、トップに定着した有薗と杉本しかいない。しかし、JFLや地域リーグで活躍する選手は、過去を含めて結構存在しているのである。そう、彼らの力は決してダメなのではなく、やれるだけの能力は個々に揃えているのである。だが、U-23というチームになったとき、格上と真剣勝負するには、まだまだ経験が足りないし、積み重ねてきた歴史も足りないのである。

しかし、経験、歴史を積み重ねるには、それなりの年数が必要であり、その時を過ごすまでに選手のピークを過ぎてしまう者もいるだろう。だからこそ、トップ昇格という道だけではなく、「自分を必要としてくれるチーム」を探すことも大事なのではないか? と思うのだ。

今いる選手たち。
星野や武藤にやれて、自分には出来ない… なんて思わないだろ? 
高いレベルでやっている彼らのことはうらやましいだろ?

ここ(U-23)では、体をつくり、上で通用する技術を身につけることが出来る。時には、トップと混じって「プロの動き」を体感する事も出来る。そして彼ら(トップ選手)やコーチからアドバイスだって受けることも出来る。そう考えればU-23とは、素晴らしい「サッカー専門学校」でもあるのだ。まあ、リエゾン草津の母体も「東日本サッカーアカデミー」であったので、あながち、その表現も間違っていないのだが…

しかし、サッカーが上手くなるだけでトップに上がれるものではないし、よそのチームでプロになれるものでもない。練習では技術は上がるが、経験値が一気に上昇して行く訳ではない。その点は、厳しい試合をこなし続けて、初めて経験というものは身についていくものだし、チームの歴史、伝統、カラーというものも、やり続けて初めて備わっていくものであると考える。

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U-23という「サッカー専門学校」で基本をみっちり学ぶことは、選手として悪くはない選択だと思う。しかし、今現在、県リーグ3部というカテゴリーに属しており、そこでの戦いが経験に結びついていかないもどかしさもある。そう考えたとき、まだ1、2年目の選手であれば、今の環境で勉強を続けるのも悪い選択ではない。だが、「ベテラン組」はいろいろな考え方、選択肢があってもいいと思うのだ。

何はともあれ、ベテラン組は「その先」をどうするかを視野に入れて、自分の目標、課題をキッチリ整理して今季の残された時間を有意義に過ごして貰いたいし、1、2年目の選手はとにかく「上手くなる、そしてかしこくなる」を考えてプレーし続けて欲しいところである。

その上で、選手それぞれが「ベストな判断」をしてもらいたい…

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あと、この試合には、現在トップで活躍する有薗だけではなく、すでに引退して第二の人生を歩んでいる冨田賢さん、寺田一太さん、荒田雅人さんも会場に応援に駆けつけ、仲間たちの試合に声援を送ってくれていた。

そして最後のユーゴやいっちゃんの一言に目頭が熱くなる場面も…

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かつて一緒に草津でボールを蹴り、夢を追い求めた仲間。プロになれた者、別のチームで現役を続ける者、大学や高校でコーチとしてサッカーに関わる者、引退して別の道を歩む者とそれぞれの道を歩んでいるが、いつになっても仲間のことは気になるもの。

そして、サポーターもそんな彼らのことは当然忘れてはいない。プロになれない選手がほとんどだが、この街(草津)で過ごした選手たちのことを、みんな「俺たちのスター」と常に思っているのだ。

プロになるだけがサッカー人生ではない。
プロにだるだけが人に喜びを与えることではない。

この草津では、選手としてスキルを上げるだけではなく、人と人との繋がりの大切さという、生きていく中でとても大事なことを学べることを、選手、そしてOBの人たちは是非とも忘れないで欲しいと思う。

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