« 関東大学リーグ、後半戦スタート | トップページ | リザーブス、JFL脱退を表明 »

2011年9月12日 (月)

長崎の敵を野津田で討つ

スコアだけ見れば「3-0」と町田の完勝といった感じを受ける試合となったが、試合後の長崎・佐野監督の「結果的には町田が3-0で勝ったけど、どっちがこのスコアになってもおかしくなかった試合だと感じています」と語ったとおり、得点シーン以外では非常に拮抗したゲームとなり、見応えのある試合が展開された。

Img_0582

[町田スタメン]
ーーディミッチー勝又ーー
ー北井ーーーーーー鈴木ー
ーーー柳崎ーー小川ーーー
津田ー太田ーー田代ー藤田
ーーーーー吉田ーーーーー

[長崎スタメン]
ーーーーー水永ーーーーー
ー岩間ーーーーーー山内ー
ーーーーー有光ーーーーー
ーーー山城ーー山本ーーー
持留ーチェーー藤井ー杉山
ーーーーー近藤ーーーーー

ここ7試合、無敗(4勝3分)と好調を維持して、3位をキープしてきた長崎は、ホーム・野津田(町田陸上競技場)で圧倒的な強さを見せる町田と対戦。町田にとっては、前期の対戦では1-5という屈辱的大敗を喫した相手ということもあり、選手が入ってくる入場ゲート上には「あの日の悔しさを忘れるな」という幕が張られるなど、同じJ準会員クラブとして「絶対に負けられない」という意識が選手だけではなく、サポーターからも強く感じられた。

Img_0005

さて、両チームのスタメンだが、現状のベストといった形が揃い、激しい攻防を予想されたが、試合は最初から好守の切り替えが速いスピーディーな展開が繰り返される。

最初に相手陣内に攻め込んだのは町田。2分に速いパス交換から勝又が縦に抜け出したが、ここはオフサイド。さらに6分にはワンツーから勝又が抜け出して、この日最初のシュートを放っていく。しかし、長崎もすかさず反撃。佐野サッカーのサイドバックは「FWのような動きをみせてナンボ」ということを、とことん叩き込まれている杉山が右サイドを何度も駆け上がる。

Img_0277

7分には杉山から有光に入って長崎は最初のチャンスを掴むと、ここから全体の動きだしもよくなりはじめ、山城、山本のボランチも高い位置でプレーが多くなり、町田が押し込まれるシーンが続出。11分には左右に揺さぶりを掛け、最後は上がってきた持留がシュート。さらに15分、17分立て続けに右サイドを起点にチャンスを作り続ける長崎。23分には、左から大きなサイドチェンジが入り、フリーで杉山にボールが渡り決定機を迎えたが、ここはトラップの際にハンドを取られてチャンスを活かせず。

ここまで、奪って素早い展開からチャンスを作る長崎。奪ってからじっくり回してゴールを伺う町田と、それぞれの持ち味、カラーが見事に表現され、息をつかせぬ攻防が繰り広げられ、非常におもしろいゲームが展開されていく。

Img_0163

両者とも、持ち味を発揮する好ゲームが繰り広げられるなか、36分にまたも杉山から前線の山内に入り、決定機を迎えるがここはGK吉田がファインセーブを見せゴールを与えない。さらに38分、縦に山内が抜け出し、前を走る有光にスルーパス。これを受けた有光がシュートを放つが、またも吉田のビッグセーブで得点を奪えない。

立て続けに訪れた2度の決定機を活かせなかった長崎に対し、町田は直後の41分、北井→津田→鈴木が連続してのパス交換から長崎の守備を崩し、最後はここ一番で抜群の決定力を誇るディミッチが左足で蹴りこんで、やや押され気味だった町田が先制。

前半のシュート数では、長崎の4に対して町田は6と数字上では上回ったが、ゴール前で決定機を作った回数(セットプレーではなく、崩した形での回数)では町田の3回に対して長崎は5回と、チャンスの数では長崎が上回ったが、最後の部分でのGK吉田を含めた守備陣の集中は見事なものであった。この日は、天皇杯・東京都予選決勝で顔面骨折を負いながらも、懸命のプレーで勝利を呼び込んだ修行が、退院してからはじめて会場に試合を見に来たこともあり、吉田は「修行に勝利をプレゼントする」と誓ってピッチに立っていた。

さて、1-0のまま後半戦に突入したが、1点を追いかける長崎が開始早々からラッシュを仕掛けてくる。2分にCKを奪い、5分には岩間→山内とボールが渡り、山内がそのままシュート。6分には水永のポストプレーから有光が飛び込んできてシュート。続く7分には杉山もゴール前まで切れ込んでシュートを放つなど、完全に長崎のペースで進んでいく。

だが、8分にアクシデントが長崎を襲う。藤田のクロスに対応したチェ・ジェウンが右足首を痛めてしまい、無念の途中交代となってしまう。本来なら、攻撃的選手を交代枠で使いたかった長崎ベンチだが、本意ではない交代で1枚目のカードを使うことに。

この交代により、やや流れがとぎれてしまった長崎。そんな相手の状況を見逃さない町田は10分以降、全体が高いポジショニングを取る長崎の「ウラ」を狙う展開から、次々とチャンスを掴んでいく。15分には北井が左サイドを抜け出し、クロスの精度さえよければ2点目! という場面を作り出し、16分には相手のミスを鈴木がカットしてゴールを狙っていく。18分にも鈴木がウラをとって抜けだすなど「相手の力を利用する」効率的かつ、美しいサッカーで長崎ゴールを脅かし続けていく。そんな中で、26分、小川のパスを受けた鈴木が右サイドから一気にドリブルで中に切れ込み、そのままシュート! これが決まって町田がリードを2点差とする。

逆転勝ちを狙うために、前半以上に全体のラインどりを高い位置に設定した長崎。だが、そんな相手に対して町田は、しっかりと構えたディフェンスで凌ぎきり、ボールを奪えば華麗に相手のウラを狙っていく。そんな狙い通りの展開で2点目を奪った時点で完全に勝負ありだった…

Img_0373

さらに長崎として不運が重なってしまう。右サイドで何度もチャンスを作り続けた杉山が35分に足を痛めてしまい、佐藤由紀彦と交代。この交代も、佐野監督の意図したものではなく、またも負傷により交代のカードを使ってしまったことは非常に痛いところでもあった。そして最後は「一発逆転」を狙ったのか、時として山城が最終ラインに入る3バックのような形をとり、前線も水永、中山の2トップに変え勝負に出るが、町田は最後まで冷静だった。

そんな焦る長崎の象徴的なプレーとして、37分に左サイドをドリブルで駆け上がった山内が、相手に掴まれたことにより、一旦プレーをやめてしまうのだ。山内自身は「ファールだ!」とアピールしたのだが、レフリーの判定はノーファールでプレー続行。

このプレーの判定について、正しいか正しくなかったかは特に語らない。しかし、選手がセルフジャッジして、プレーをやめてしまうことは大きな問題でもある。練習中では、どんあ指導者でも「笛が鳴るまでプレーをやめるな」と指導するはずである。しかし、この大事な場面でプレーをやめてしまったことは非常にいただけない。

そして、ここでプレーを一旦やめてしまったことにより、ボールはあっさり町田側に奪われ、さらにはこの流れからボールをゴール前まで運ばれてしまい、守備陣の枚数が揃わない中でPA内で相手を倒してしまいPKを献上。

しかし、ここはGK近藤が勝又のPKを見事な横っ飛びを見せてストップし、追加点を与えない。このビッグセーブで再び勇気を得た長崎は町田ゴールに迫り、水永が突進。だが、田代も素晴らしい対応を見せ、シュートを打たせない。

何度も何度も町田ゴールに迫る長崎だが、田代、太田、吉田が構えるゴール前をどうしても打ち破れない。そんな長崎に対して、町田は終了間際の89分、相手のパスミスを藤田がカットして素早いカウンターを仕掛け、最後はゴール前に走り込んだ酒井が綺麗に合わせ3点目。

Img_0551

それにしても、なんで町田はこんなにもホームで強いのだろうか?
町田の攻撃陣は実に素晴らしい。この日、ゴールこそ奪えなかったものの、勝又は最後まで豊富な運動量を見せ、攻撃陣を牽引。以前、栃木ウーヴァの横濱監督も「あの攻撃陣はリーグ最高ですよ」と語っていたが、やはり現時点でJFL屈指の攻撃陣であることは間違いないだろう。

しかし、町田の強さの秘訣は田代、太田のセンターバックコンビの強さ、うまさを見逃してはいけないだろう。シーズン当初はボランチの控えだった太田康介だが、シーズン途中からCBに固定されると当たりの強さ、ゲームを読み取る視野の広さを見せつけ、チームの勝利に大きく貢献。そして今日の試合の相手である、長崎の佐野監督に大きく成長した姿をしっかり見せつけてくれた。

Img_0349

2006年に草津のチャレンジャーズチームに在籍していた当時、佐野監督から「別格」と評されたコースケ。あの当時も守備が締まらないチーム状況に苦慮して、佐野さんはコースケをCBに入れることもあった。そしてその時、「コースケ以外はロングボール禁止」と言っていたこともある。その時から、佐野さんはコースケのパスセンス、ロングボールの精度を高く評価していた。そして今、町田のCBと君臨するようになってからは、屈強な守備だけではなく、正確なビルドアップでチームの攻撃を支えていることを見逃せない。

---------------------------------------------

結果的に3-0という差がつき、見事にアウェーでの屈辱を晴らした町田だが、内容においての差は非常に僅差であったと言えるはず。佐野監督も会見ではこのように語ってくれている。

「会場に見に来たお客さんも喜んでもらえるゲームだったのではないでしょうか? ただ、負けたチームの監督が言うのもなんですが、3-0というスコアが、どちらに転んでもおかしくないゲームだったのでは? と思っています。まあ、決定力の部分で「差」が出てしまいましたね」

確かにそう思う反面で、守備の強さ、そしてゲームを進める「したたかさ」という面では町田の方が勝っていたとも感じるゲームであった。

佐野さんは、長崎の監督に就任したとき「オレはね、3年やってこのチームをJリーグで戦えるチームにしたいと思っているんですよ」と語っており、1年目は今(当時)の選手でどこまで出来るか見極め、2年目はクラブの財政状況との相談しながらだったが、自分が考える方向性の選手を獲得し、ここまでで過去最高となる成績を残すまででチームを成長させた。しかし、まだ現状は佐野改革の2年目であり、まだ最終章ではない。

Img_0521

この日の町田のような「したたかさ」、そしてゲームの流れを読み、自分たちのやりやすい土俵に持ち込む力を、残された時間で身につけていけば、長崎は確実にJリーグでも戦えるクラブに成長するはず。

この日は「クラブとしての歴史の差」を見せつけられたような試合となってしまったが、この悔しさを成長の糧としてほしいものである。

---------------------------------------------

さて、最後にもう少しだけ町田の話。

Jリーグ入会審査において、少しだが光が見えた町田。上位3チームが思うように勝ち点を伸ばせなかったこともあり、町田は5位に浮上し、最低限の目標である4位以内にも接近。ここまで、ホームでは「圧倒的」な強さを見せる町田だが、アウェーではどうしても試合の入り方が悪く、ペースをなかなか奪い返せないもどかしい時間も結構ある。そんな町田にとって、アウェーでのゲームとなる今週、来週の連戦が上位進出の大きな鍵となるだろう。

さらには、今週末は調子が上がってこないとはいえ、JFLきっての名門であるHonda FCが相手。ここでしっかり勝ち切れれば、実力的には問題ないことを証明出来るはずだが、鬼門のアウェーでその「真価」をなんとか発揮してほしいところだ。

---------------------------------------------

2011JFL後期第7節 @町田
町田ゼルビア 3-0 Vファーレン長崎
[得点者]
42分ディミッチ、71分鈴木、89分酒井(町田)
[警告]
58分藤井、69分安本、90+1分山城(長崎)

[ゲームスタッツ]
シュート数:町田13、長崎11
ゴールキック:町田7、長崎9
コーナーキック:町田3、長崎5
直接FK:町田9、長崎7
オフサイド:町田2、長崎6
PK:町田1、長崎0

« 関東大学リーグ、後半戦スタート | トップページ | リザーブス、JFL脱退を表明 »

JFL」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/52709793

この記事へのトラックバック一覧です: 長崎の敵を野津田で討つ:

« 関東大学リーグ、後半戦スタート | トップページ | リザーブス、JFL脱退を表明 »