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2011年8月18日 (木)

ウーヴァ、灼熱の消耗戦を制す

気温36.7度という平日の真っ昼間。そして土曜日の試合から中3日で栃木ウーヴァ戦を迎えることとなった町田ゼルビア。非常に厳しいコンディションの中で始まったこの試合だが、またもアウェーで苦杯を喫することとなる。

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[ウーヴァスタメン]
ーーー若林ー竹内ーーー
ー武藤ーーーーー高安ー
ーーー濱岡ー岸田ーーー
田村ー岡田ー前田ーー林
ーーーー原田ーーーーー

[町田スタメン]
ーディミッチー勝又ーー
ー北井ーーーーー鈴木ー
ーーー小川ー大前ーーー
津田ー太田ー田代ー藤田
ーーーー修行ーーーーー

中3日でこの試合を迎えた町田。それに対して、中10日と休養十分のウーヴァはコンディションの違いを開始直後から一気に見せつけていく。いや、コンディションの違いであることも確かなのだが、それ以上に町田というチームをしっかり研究してきたことが窺える序盤戦となる。

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ウーヴァのキックオフで始まった試合は、いきなり右SBの林がドリブルで駆け上がり、中へクロス。すると中央で若林が体を張ってボールを落とすと、後ろから入ってきた武藤がゴールをいきなり狙っていく(この日の公式記録員、やや厳しい判定で、これはシュートにカウントされていない)。そして直後にFKのチャンスを得ると、今度はファーで若林が競り勝って、落としたボールに竹内が反応。しかしシュートは枠の外。

畳み掛けるウーヴァは2分に再び竹内がシュートを放ちCK。この場面はクリアされたが、再び4分にCKを迎えると、今度は中で若林が田代に競り勝って頭で叩き込んでウーヴァが先制。それにしてもここ最近の若林は乗りにのっている。これで5戦連続のゴール達成だ。

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立ち上がりの5分間、ウーヴァは攻撃の手を緩めず、町田を自陣に完全に釘付けにしたまま、あっさり先制点を奪ったのだが、ウーヴァ・横浜監督の「相手は中3日だから、立ち上がりが鈍いかも知れない。そこを狙いつつ、高さが大きな武器になるのでとにかく若林にボールを集めよう」と試合前に指示をしていたのだが、ものの見事に的中して町田から先制点を奪い、その後の試合を優位に進めていく。

それに対して町田だが、この日のメンバーは土曜日の明大戦から4人が入れ替わったのだが、当初から数人のメンバー入れ替えを予定していたポポヴィッチ監督だが、柳崎の欠場は予想外であった。試合当日の発熱により欠場が決まり、急遽大前がメンバー入りしたこともあり、開始直後から全体的に浮き足立つというか、地に着いていないような状況だった。さらには、中3日での試合ということもあり疲れは完全に取れてはおらず、そして36度を超える猛暑の中で試合ということでさらに出足は鈍り、普段ホームで見せるような「流れるような展開」が生まれてこない。

1点を奪い、いいペースでゲームを進めていたウーヴァだが、15分を過ぎるころから徐々に相手に押し込まれる時間が目立ちはじめ、序盤のような後ろから展開(ロングボール)→若林→セカンドを拾うという思い通りの流れが分断されだすと、試合の流れは町田に傾いていく。

そして18分、右からいいボールが入り、中で待っていた北井がフリーでボールを受けるがここはシュートがミートせず決定機を逃してしまう。さらに続く20分、勝又、藤田が果敢なアタックを見せCKを奪い、24分にも勝又が相手のミスを奪ってディミッチに繋いで最後は北井。しかし、ここも決めきれない。

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このように、15分以降は町田が(ポポヴィッチ監督曰く、最初の5分以外の85分は攻めていたと語っているが、印象的には15分以降にペースを握ったと見るのが正しいだろう)優位に試合を進めていくのだが、この日の攻撃には普段のような「厚み」が見られないのだ。では、その厚みとはなんなのか? と言われれば、ボランチの攻撃参加や、彼らからの組み立てというところが当てはまるのだが、この日はボランチが高い位置に顔を出す場面や、攻撃を組み立てる場面がホームゲームに比べるとかなり回数が少なく、最終ラインから直接サイドに展開、もしくは2トップへという流れが多く、全体の攻撃は多いのだが、分厚い攻撃とまでにはなっていかない。

じゃあ、なぜそうなったのかと言えば、これは若林というターゲットマンがいたからに他ならない。中盤で細かく繋いでゲームを作ると言うよりは、とにかくターゲット目がけて蹴っていき、そこでこぼれたセカンドを狙っていたのがウーヴァの戦略。そんな状況であったがため、さらには中3日ということもあり、体が重く、ピンチになった際の戻りが遅いこともあり、なかなかボランチが前に出られないのだ。

ペースを握っているようで、実はウーヴァが最初に予想していた展開通りに試合が進んでいたのである。町田のボランチを前に行かさないことに成功し、武藤、高安が相手の鈴木、北井に積極的にプレスを掛け続けることで、決定的な形を作らさせない。

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そして前半は1-0のまま折り返し、後半戦に突入するが、前半以上に攻める町田、守るウーヴァという構図がさらに強くなっていく。

47分、左サイドを駆け上がった津田がゴール前まで持ち込み、49分には鈴木がシュート。51分には立て続けに勝又がシュートを狙っていくがゴール前をしっかり固めるウーヴァ守備陣をなかなか崩せない。完全に守勢に回ってしまったウーヴァだが、63分、後方からのロングボール1本に若林がうまく抜けだし、GKと1対1の場面を作り出し、うまくGKの頭を越えるループ気味のシュートを放つのだが、ここはバーに嫌われ追加点を挙げられない。

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このピンチは運というか、クロスバーに助けられた町田。ここで失点しなかったことで「行けるぞ」という雰囲気がさらに高まりだし、67分についに町田ベンチが動きを見せる。酒井良を投入して攻撃のテコ入れを図るのだが、交代選手のチョイスが驚きであり、なんと藤田泰成であった。

ーディミッチー勝又ーー
ー酒井ーーーーー北井ー
ーーー鈴木ー大前ーーー
津田ー太田ー田代ー小川
ーーーー修行ーーーーー

というポジションに代えてウーヴァの守備網に挑んでいく町田だが、前半に比べるとかなりスムーズな展開、速い攻撃が繰り出されるようになったのだが、どうしてもフィニッシュの部分で精度を欠いてしまう。試合後のウーヴァ横浜監督は「今、JFLの中で町田さんの2トップは最高のコンビだと思います。ただ、今日は2人とも調子が悪かったですね」と語ったとおり、連戦の疲れも影響し、普段のようなキレがない。そんな状態を考慮してか76分にディミッチに代わって山腰を投入。さらに、あと残り4分という段階で今度は星を投入。

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そして星は誰と代えるのか? と注目していたのだが、なんと交代は津田。これで両SBを揃って交代させたのだが、ラストのシステムもかなり驚きであった。

ーーー山腰ーー勝又ーーー
酒井ーーー北井ーーーー星
ーーーーー鈴木ーーーーー
小川ー太田ーー田代ー大前
ーーーーー修行ーーーーー

大前、小川がSBに入り、鈴木のワンボランチ。なりふり構わない攻撃的布陣に出た町田だが、最後まで集中を崩さないウーヴァ守備陣の前に完封負けを喫してしまった…

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厳しいコンディションの中、接戦をモノにしたウーヴァ・横浜監督はこのように語ってくれた。

「あの1点で非常に楽になりましたね。

あの1点があったからこそ、DFも頑張れたんだと思っています。それにしても若林は乗ってますね。これで5試合連続ですか… あの高さはウチにとって大きな武器になっています。

守備に関しては本当に最後まで良くやってくれました。誰が良かったとかではなく、みんなでしっかり耐えた末の勝利だと思っています。ただ、苦しいなかでもカウンターでいい攻撃を出せたことも良かったです。本当なら(本音を言えば?)あんな状況の中ででも、もう少し自分たちがボールを持つ時間を増やさないとまだまだ厳しいかなあ…とも感じています。

今日の試合に関しては攻め込まれることは予想していたので、試合前から集中して守備から入ってリズムを作ろうと言ってきましたが、今日みたいな接戦をこれまでも繰り返し、それをモノに出来たからこそ、今日は勝てたのかなあ…と思います。今年は昨年と違って、上位にもいい試合が出来るようになり、勝ち点をしっかり積み重ねることが出来ています。やっぱり、先制点を取るか取られるかでは大きな違いになりますからね。

これからも先制点を奪って自分たちのペースで試合を運べるようにやっていきたいです」

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こんな感想を語ってくれた横浜監督に対して、敗れたポポヴィッチ監督はいつも外国人らしいジョークを交えながらこのように語ってくれた。

「試合が始まっているにもかかわらず、選手たちはまだバスに乗っているような感じのままでしたね。相手は始まってすぐに地に足を着けてしっかり戦ってきたけれど、ウチはそうではなかった。

相手は最初の5分間、前の選手にボールを蹴ってきて得点を決めましたが、ウチは残りの85分間で自分たちらしいサッカーをやりましたが、残念ながら結果が付いて来ませんでした。

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相手のやり方はわかっていたし、トップの高い選手(若林)に当ててセカンドボールという流れでしたが、そのとおりに攻め込まれてセットプレーでやられてしまった。試合前にロッカールームでもそのことは話していたのですが、それに見事にやられてしまったところは反省点だと思います。

気を抜いていた選手もいたし、鼻が高くなっていた選手がいたかもしれません。しかし、失点後には気持ちを切り替えてしっかりやってくれたし、ボールを繋いでウチらしいサッカーが出来たと思っています。そんな形になってからは相手はひたすら守るだけでした。私たちのやるべきこと、目指すサッカーに対して選手たちは厳しい条件の中でしっかりチャレンジしてくれました。

まあ、こういう試合も苦しい試合も必ずやってきます。これがサッカーだと思いますね。結果というものは、いつも紙一重だと思います…

試合の入り方については、どんな試合でも大事だと言ってきたはずなのに、今日に関しては、選手たちがそれに気づいたのは試合後だったということです(笑) 朝6時に町田を出て、ここまでやって来ましたが選手にはバスに乗った時点から「そこから試合である」と感じて欲しいです。

あと、後半の選手交代に関してですが、鈴木をボランチに置くオプションは最初から持っていました。私は以前からどんなポジションでも出来るようにと選手に伝えてあります。今日はSBの2人を代えたことは、より攻撃的に行きたいという思いから、攻撃の選手を投入し、その結果として小川や大前がサイドに入りました。

でも、あの2人が最終ラインに入ってから決定機を作られましたか? 作られてはいませんよね? ただ、FWの選手を全員使って点を取れないのであれば、あまり(交代策をチャレンジした)意味はありませんが…」

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この他にもポポヴィッチ監督との会話の中で「36度以上ある昼間の中で試合をやることの是非」を語っていたのだが、さすがにこのコンディションで、さらに中3日という状況でベストなパフォーマンスを求めるのは酷なこととやや感じてしまう気もする。

ただ、JFLはJリーグのように「夏場はナイターで」ということを、徹底出来ない懐事情とスタジアム設備問題も存在する。当然、ナイターで試合を開催出来るチームもあるが、どうしても出来ないチームもあるのだから、それも致し方がないということは理解できる。しかしだ、ポポヴィッチ監督だけではなく、これまでJFLに所属してきた何人かの外国人監督が口を揃えて「クレージーだ」と言った真夏の昼間開催。これに関しては、どうにか改善してもらいたいものなのだが…

さて、それはさておき、この日の試合だが、結果的に町田はウーヴァの術中に見事にはまってしまったと言えよう。ただ、監督のコメントにあったとおり、後半の動きなどは決して悪いものでも無かったし、もし町田が追いついていればもっと違った結果になったかも知れない。

だが、この試合に関しては、最後まで集中を切らさずに「逃げ切った」ウーヴァを褒めるべきであろう。それにしても今年のウーヴァ、なかなか手強いチームになりつつあるし、地味ながらもいい選手が揃っており、この粘り強い戦い方を持続できれば、上位フィニッシュも夢ではないと感じた。

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2011JFL 前期第4節 @栃木市陸上競技場
栃木ウーヴァ 1-0 町田ゼルビア
[得点者]
5分若林(栃木)
[警告]
45+1分林、65分高安(栃木)
61分大前(町田)

[ゲームスタッツ]
シュート数:栃木7、町田12
ゴールキック:栃木11、町田8
コーナーキック:栃木6、町田10
直接FK:栃木16、町田8
オフサイド:栃木2、町田2
PK:栃木0、町田0

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