« カマタマーレ、連敗脱出 | トップページ | 天皇杯・東京都予選準決勝 »

2011年8月15日 (月)

天皇杯・群馬県予選準決勝

3月27日から始まった天皇杯群馬県予選(群馬県サッカー協会長杯)も、ついに準決勝。群馬県は関東リーグ1部所属のtonan前橋、そしてJFLのアルテ高崎がそれぞれシードされており、準決勝・決勝からの出場となっているのだが、ここ4年間の決勝はアルテ vs tonanというカードが続いていたのだが、今年はその「2強対決」がついに崩れることとなった…

Img_0893

さて準決勝のカードだが、3月末から始まった予選トーナメントを勝ち抜き、そして決勝トーナメントでも県協会所属社会人チーム、そして高体連チームをことごとく下してシードチームとの対戦にこぎ着けたのはザスパ草津U-23。昨年から県協会所属の社会人チーム(昨年は4部で今年は3部)として参加しているが、昨年の「無念」があるからこそ、この大会で勝ち抜くために早い段階から準備してきた経緯がある。

そんな中での準決勝だが、キーマンの一人であるFWのタケマ(藤崎)は負傷からの回復具合が完全ではないため、この日もメンバーから外れてしまう。また、タクジ(白井)もコンディションが完全ではないため、こちらもベンチから外れたこともあり、フィールドプレーヤーの交代は最初からナリ(成田)、フッキ(吹田)、マイケル(歌丸)の3人しかいない状況で決戦を迎えた。

[U-23スタメン]
ーーー宮下ーー森川ーーー
ー清水ーーーーーー横山ー
ーーー枝本ーー市川ーーー
川瀬ー安田ーー飯山ー西野
ーーーーー後藤ーーーーー

[tonanスタメン]
ーーー丸山ーー小川ーーー
ー東田ーーーーーー根本ー
ーーー宮崎ーー山田ーーー
井上ー氏家ー大河原ー長沼
ーーーーー中村ーーーーー

水曜日に小雨グラウンドで行われたU-18との練習試合とまったく同じスタメンとなったU-23に対して、直近の公式戦(7/31 vsさいたまSC戦)のスタメンから3人入れ替わった(鏑木→中村、大朏→東田、鈴木→丸山)tonan。

試合の流れとしては、格上のtonanに対してU-23が運動量で勝れるか? というところがポイントだったのだが、試合は全ての面において予想を遙かに超えた展開となっていく。

U-23のキックオフで始まった試合だが、開始直後にボールを奪ったtonanがゴール前に攻め込み、最初のシュートを放つとこれは飯山がクリアしてコーナーに逃れる。続くCKの場面では、こぼれ球を山田に狙われて危ないシーンが2つ続いたが、これを乗り切るとあとは完全なU-23ペースで試合は進んでいく。

5分に宮下がシュートを放つと、堅さの取れたU-23は豊富な運動量と鋭いパス交換で相手を圧倒。7分には細かく繋いでゴール前に攻め込み、10分にも宮下が持ち込んでシュート。さらに15分には横山が右サイドを攻め上がり、中へパスを通すと清水がシュート。これは中村の好セーブに阻まれてしまうも、流れ、フィニッシュの形と、どれも文句の着けようのない攻撃を連発していく。

Img_0659

細かくパスを繋いで崩していくだけではなく、16分には森川がミドルレンジからゴールを狙い、そうかと思えば17分には西野→森川と繋いで、前に走る宮下に浮き球のパスを送ってゴールを狙うなど、あの手この手にtonanゴールを脅かすU-23。

そんな相手に対して、まったく攻撃の形を作れないtonan。実はこんな形は以前見た関東リーグの試合でも同じであった… 相手に押し込まれてしまうと、中盤も下がってしまい2トップが孤立。中盤でボールを繋いで展開という流れがほとんど作れず、結局のところは最終ラインに鎮座する氏家からのロングボールの精度に頼るしかないのである。

Img_0601

じゃあ、氏家を活かすために中盤で起用すればいいだろう…と思う人もいるだろう。それは確かに正解でもあり、シーズン当初は彼と山田のコンビでボランチを組む機会が多く、攻撃面ではかなり機能していたのだが、その反面、守備に関しては常に不安定な状態が続いていた。そしてFC KOREA戦で4失点を喫して惨敗したことにより、チームは氏家の統率力に期待して最終ラインに入れたのであった。そしてその起用策はそれなりの効果を見せ、守備は安定したものの、その反面で攻撃の組み立ては空回りする場面が数多く見られるようになってしまったのである。

開始早々にチャンスを掴んで以来、完全に自陣に押し込まれたまま手も足も出せない時間が続いたtonanだが、やはり氏家からいいボールが入るとチャンスが広がっていく。29分には左サイドに長いボールが入り、東田がクロスを上げるとフリーで待っていた山田がキレイに合わせてシュート。決定的場面を迎えたのだが、U-23GKの後藤がしっかり読み切ってファインセーブで対応。

ヒヤっとする場面を迎えたU-23だが、すぐに反撃に転じて相手ゴールに攻め込むと、32分に森川が放ったシュートのこぼれ球を宮下が押し込んでU-23が先制か? と思われたがここはオフサイド。ピンチはあったものの、すぐに切り替えて再び流れを取り戻して「行けるぞ」と思った矢先に思わぬアクシデントがU-23を襲う。

36分、ロングボールの競り合いの中で相手を倒してしまった安田がイエローを受けるのだが、実はその前の段階から熱中症気味の状態でプレーしており、さらにはその競り合いの中で相手の肘も後頭部に入ったことにより完全にダウン。

しばらくは安田の回復を待ったのだが、数的不利の状況の中で38分、カウンターからピンチを迎えてしまい丸山にシュートを浴びてしまうが、ここも後藤の好セーブがチームを救う。そして40分、安田を諦めてここで成田投入。ここ最近、スタメンを外れていたナリだが、大一番で回ってきた出番と言うこと気合いも十分でピッチに入ると、必死に体を投げ出して守備に奮闘。

結局、前半で得点を奪うことは出来なかったが、守備面ではしっかり守りきり、まずは上出来のスコアレスで後半戦に繋げる。

そしてハーフタイム、木村コーチは選手に向かって「オマエたち、1対1では全然負けてない。どんどん仕掛けていけ」と檄を飛ばすと、その言葉に呼応するかのように47分に森川が積極的に仕掛けてシュートを狙うと、50分には右サイドを攻め上がった西野が相手GKとDFのギャップを狙う速いクロスを蹴り込む。すると、ここで対応に焦った大河原が無理な体勢から足を出してしまい、なんとオウンゴールを誘発。

予想もしなかった形でU-23がついに先制。

その後、横山に代わってフッキを投入し、FWに入っていた宮下を右MFにスライド。森川ー吹田の2トップに代わったU-23がさらに攻勢に出るのだが、そんな時こそ氏家からの展開と、ミドルレンジからのシュートに気をつけて欲しいのだが…と思っていた矢先に、60分、山田智也にズドン!と決められて同点。

Img_0630

ここで少し消極的になったのか、ややtonanの攻撃を浴びるようになってしまったU-23。さらに続く64分には東田がフリーでゴール前に入ってきてシュート! かなり決定的な形であり、これは逆転か? と思われたのだが、またも後藤のファインセーブが飛び出して得点を許さない。

決して上背は高くはなく、GKとして恵まれた体型ではない後藤。2年目の今年、GKはVファーレン長崎からやってきた島並も加入し、笠原と合わせて1つのポジションを3人で争う厳しい状況となったが、そんな中で成長した姿を見せている後藤は木村コーチからの信頼もガッチリ獲得したのである。

さて試合に戻るが、後藤のファインセーブがこの場面はチームを救ったのだが、シュートを打たれる前のシーンで体を擲った西野が足をつってしまい、ここで無念の交代。前半のうちにナリが入り、53分にフッキが入っているため、残りのフィールドプレーヤーはマイケルしかいない… そして68分、ついにマイケルが投入されると、宮下が今度は右サイドバックにポジションを代え、フッキが右MFへ。そして投入されたマイケルがFWに入った。

正直、今日の試合の相手はこれまでの相手とは違うため、よほどのことがない限り、マイケルの登場はないだろうと思われた。また、試合直前に行われたU-18との試合でも相変わらずの動きを見せており、木村コーチだけではなく、仲間からも「動けよ!」と厳しい声を掛けられていた。事実、2月に彼を初めてみた時は悪い意味で「衝撃(笑劇)」でもあった。だが、今は半年前に比べれば、格段に良くなかったマイケル。しかしだ、たぶん一戦一戦が勝負の地域カテゴリーのチームであれば、まだ使ってもらえるレベルには到達してはいない。

木村コーチも「練習では本当にダメなのに、なぜか試合では決めちゃうんですよね。まあ、秘めたるものは持っていると思うのですが、まだ子供なのでサッカーっていうものをしっかり理解するところからですね」と評しているのだが、そのマイケルがまたも不思議な力を発揮することに…

Img_0775

マイケルのことはさておき、73分、右MFに回ったフッキが素晴らしいドリブル突破を見せ1人、2人とDFをかわしていく。中ではフリーで待っていた森川がパスを要求したが、フッキは強引な突破を試み、ついには氏家まで抜いてシュート! ここはブロックされたが、こぼれ球を拾った清水が難しい体勢ながらも押し込んでついに勝ち越し!

Img_0734

さらに畳み掛けるU-23は、75分には森川が抜け出してGKと1対1となり、76分には再びフッキがシュート。79分にはまたもフッキが上手く持ち込んで、前を走るマイケルに絶妙のスルーパス。あとは流し込むだけ… というところで外してしまうのが、なんともマイケルらしい(笑)

しかし、決められる場面、とどめを刺せる場面で点を決めないとピンチを迎えてしまうもので、83分、カウンターから小川がミドルを放つと、これはポスト直撃。またもヒヤっとした場面でもあったが、運にも助けられたU-23。そしてラストは清水からのパスを受けたマイケルが、なんと氏家との競り合いに勝って、見事に3点目を叩き出して勝負あり。

Img_0829

なんで79分のドフリーが決まらなくて、ラストの氏家との競り合いの場面で決めるんだ…(笑) まあ、簡単なものをいとも簡単に外し、周囲を落胆させながらも、難しい場面ではあっさり決めるのがマイケル。また、この日は得点だけではなく、普段は非常に微妙な「前線からの守備」をしっかり対応して勝利に貢献。やれば出来る子じゃないか、マイケル!!

※歌丸くんが「マイケル」と、なぜ呼ばれているのか知らない方もいるようですので簡単に説明しますと、彼のロシア名の「名前部分」がマイケルだからそう呼ばれています

-----------------------------------------------

ということで、終わってみれば3-1でザスパ草津U-23の完勝で終わったこの試合だが、もう一度内容を振り返ってみると、結果的にtonanは関東リーグでの不調を修正できないままこの試合に挑んでしまったことが浮き彫りとなる結果であった。

また、試合中での氏家や山田のコーチングからして、自分たちで主導権を握ってゲームを進めようというのではなく、まずはしっかりとした守備を徹底しようというところに主点を置いていたのだが、果たしてそれで勝てると思ったのだろうか?

また、全体の動きやシステムに関して、短期間での修正は難しいかも知れないが、運動量を増やそう、相手に負けないように走ろうという事に関しては、どんな選手でも気持ちややる気でカバー出来るはず。しかし、その部分でもU-23に負けていれば勝つ見込みは限りなく少なくなってしまう。序盤から工夫、そして気持ちで負けていたtonanにとって、厳しい言い方となってしまうが、勝負は最初から決まっていたのかも知れない…

-----------------------------------------------

さて、これで決勝戦はアルテ高崎 vs ザスパ草津U-23となったのですが、公式戦での対戦は当然ながら初対決。しかし、練習試合では頻繁に対戦している両者であり、今季はすでに3度対戦しており、成績はU-23の2勝1分で負けナシなのである。ただし、あくまでもこれらの試合は前後半で相手はメンバーを総入れ替えをしていることを付け加えておこう。ただ、ベストメンバーのときはどうなのか?を考えると、それでも1勝2分(これはあくまでも45分間のもの)。こっちでも勝っているじゃないか…と思われるでしょうが、内容はさすがに押されっぱなしで、必死で守ってカウンターから得点、というパターンのみ。

さらには、相手はあくまでも「調整」という意識のため、対戦成績が悪いから苦手意識があるという訳でもない。

この日のtonanは縦に長いボールを蹴ってくるだけで、守備陣としては特に怖さもなく、氏家の正確なボールとカウンターだけケアすれば問題なかったが、アルテはJFLでは結果こそ出てはいないものの、繋いでサイドに展開してゲームをしっかり組み立ててくる。さらには、高さの土井とエースに成長した松尾という攻撃の核が存在する。この2人のスキルは、県リーグや地域レベルとは大きく違うし、集中して組織で守らなければ簡単にやられてしまうだろう。

Img_0013

そして少し昔のことを思い出して欲しい。
まだザスパ草津が県1部、関東2部、JFLだったときに、その前に立ちはだかった赤いチームことである。

当時はまだFCホリコシと名乗っていたが、2002年の県協会杯決勝で対戦して以来、両者の対戦成績は2勝1分2敗の五分(まあ、1勝のうち、地域決勝の勝利はPK勝ちですが…)の成績が残されている。そしてザスパは2005年から戦いの場をJ2リーグに移したことで、公式戦で対戦することは事実上なくなってしまった。

あれから7年が過ぎ、FCホリコシは名前をアルテ高崎と変え、現在もJFLで戦っているのだが、今度はそのライバルに対して「弟分」であるザスパ草津U-23が挑戦する。

2011年8月28日 敷島サッカーラグビー場にて行われる天皇杯予選(県協会長杯)決勝は歴史的にもみても、今のそれぞれのチームが持つ実力、そしてチームが目指すスタイルを考えても、非常におもしろい試合となることは間違いない。準決勝で森川が累積2枚目のイエローを貰ってしまったが、カードに関してはすべて準決勝が終わった時点ですべてリセットされ、さらにはインターバルも2週間となる。

累積での出場停止もなく、メンバー的にもベストの構成で挑めそうなこの試合は、「これぞ群馬ダービー」と呼べるような、緊張感のある好ゲームを期待したいところである。

-----------------------------------------------

第16回群馬県サッカー協会長杯
準決勝 @前橋育英高校グラウンド
ザスパ草津U-23 3-1 tonan前橋
[得点者]
51分オウンゴール、73分清水、87分歌丸(草津)
60分山田(tonan)
[警告]
36分安田、82分森川、88分歌丸、90分川瀬(草津)

[ゲームスタッツ]
シュート数:草津20、tonan12
ゴールキック:草津6、tonan10
コーナーキック:草津6、tonan2
直接FK:草津9、tonan23
オフサイド:草津0、tonan4
PK:草津0、tonan0

« カマタマーレ、連敗脱出 | トップページ | 天皇杯・東京都予選準決勝 »

ザスパ草津チャンレンジャーズ」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/52480820

この記事へのトラックバック一覧です: 天皇杯・群馬県予選準決勝:

« カマタマーレ、連敗脱出 | トップページ | 天皇杯・東京都予選準決勝 »