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2011年8月22日 (月)

パルセイロ、10戦無敗で2位を堅守

武蔵野戦(6/12@南長野 0-2)で敗戦した以降、9試合を無敗(5勝4分)で来ている長野パルセイロ。そんないい流れを持続している中で、今節(前期第5節分)はホームにアルテ高崎を迎えたが、決していい内容の試合ではなかった。だが、内容はともかく本当に「強くなったなぁ…」と、実感出来るゲームをしっかり見せ、6月26日のびわこ草津戦(4-1)以来のホームでの勝利を挙げ、無敗記録も10に伸ばし、2位の座をしっかりキープ。

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[長野スタメン]
ーーー宇野沢ー冨岡ーーー
ー栗原ーーーーーーー向ー
ーーー大橋ーー土橋ーーー
高野ー大島ーー籾谷ー寺田
ーーーーー加藤ーーーーー

[高崎スタメン]
ーーー松尾ーー土井ーーー
ー山藤ーーーーーー神谷ー
ーーー益子ーー小島ーーー
田中ー山田ーー増田ー布施
ーーーーー岩舘ーーーーー

水曜日にツエーゲン金沢戦を行い、中3日でこの試合を迎えた長野だが、メンバーの入れ替えはナシ。それに対してアルテは中10日と休養十分。また、4月9日に行われた練習試合にて、主力が出てきた前半戦は相手の鋭い出足に苦しんだ記憶もあり、薩川監督は試合の入り方はいつも以上に気をつけようと伝えていたのだが、予想外の先制パンチでコンディション状態が厳しいはずの長野が優位に試合を運んでいく。

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アルテのキックオフで始まった試合だが、開始直後にボールを奪い、栗原が左サイドから持ち込んでCKを奪い、いきなりセットプレーのチャンスを掴む。そしてこの場面、最初に競ったのは寺田であり、こぼれたセカンドを土橋がシュート。ここはDFがブロックしたが、詰めていた冨岡が右足で蹴り込んであっという間に先制点を奪う。

公式記録では3分となっているが実際は2分20秒。

サッカーというゲームをやるにあたって、指導者は必ずと言っていいほど「最初と最後の5分間、そして最初のセットプレーは特に集中するように」と指示するのだが、ものの見事に最初のセットプレーで先制点を叩き出した長野としては「してやったり」の瞬間でもあった。この1点で長野には余裕が生まれ、逆にいきなり出鼻をくじかれたアルテはなかなかゲームの流れを掴めないまま、立ち上がりは苦しい時間帯をやりくりすることとなる。

また、長野としては、アルテ最終ラインに「高さ」がないことも幸いしていた。冨岡がほとんどの競り合いに勝利したこともあり、普段のような繋いで崩していくという「らしいサッカー」だけではなく、試合後の薩川監督曰く、ロングスローや縦に長いボールを蹴り込む「らしくないサッカー」でアルテゴールにジワジワ攻め込んでいく。なお、この攻撃に関しては、特に監督の意図ではなく、流れの中で選手が「有効である」と判断して、あえて放り込むオプションを導入したとのことだ。

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さて試合の方だが、序盤は短いパス交換だけではなく、冨岡をターゲットにした長いボールなども織り交ぜて、アルテ陣内に攻め込んでいた長野だが、試合が落ち着いてくると(というか、連戦の疲れから徐々に運動量が落ちだしてしまった)、徐々にアルテの繋ぐサッカーの前に押し込まれる時間も増えていく。しかし、流れが相手に傾きそうな中で長野最終ラインが粘りのあるディフェンスを見せ対応。これこそ「強くなったなぁ…」と感じさせる部分でもあるのだが、その中でCB大島と右SB寺田の成長は目を見張るものがあった。

今季は開幕から不動のレギュラーを守り続けている大島だが、昨年はメンタルの部分が不安定であったり、若さ故の不用意なプレーもあったのだが、今年はディフェンス陣のリーダーとして引っ張っていかなければいけないという自覚が芽生え、昨年のような不安定なプレーが消え、カウンターでピンチを招きそうな場面でも素早い対応でピンチの芽を摘んでいく。また、薩川監督も要注意人物と認めていた、アルテの松尾、土井を封じ込めたことも評価していいだろう。

そしてもう一人の成長株である寺田だが、シーズン当初はベンチを暖める時間が続いたが、徐々に周囲との連携も取れだし、ソニー仙台戦でスタメンの座を掴むとそのままレギュラーに定着。Y.S.C.C.時代は守備力より、攻撃力で持ち味を発揮した彼だが、この日は安定した守備力で勝利に貢献。

YS時代の攻撃参加に比べれば物足りない印象も受けるが、彼が戦っているステージは地域リーグより格上のJFLであり、地域時代のようなイケイケスタイルがそのまま通用する訳ではない。周囲との連携、バランス、そしてスピードの違い、当たりの違いに悩んだ寺田だが、半年という時間でもがきながらも大きく成長。もっとチームにフィットし、そしてJFLというカテゴリーに慣れていけば、今度は彼の持ち味である攻撃参加もさらに良くなっていくはずだ。

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このように、攻撃以上に守備の良さが目についた長野。上記にも簡単に記したが、20分以降は危惧されていた「疲れ」が徐々に見え始め、運動量も若干下がり出すとアルテに繋がれる時間が増えていってしまったのだが、GK加藤と最終ラインが集中を切らさずしっかり対応。地域時代は「美しい攻撃」にこそ定評はあったものの、守備は非常にモロく、これが勝負弱さの元になっていた。しかし、昨年の全社〜地域決勝を経て、そして今シーズンJFLでチームがもまれる中で、グループでの守備、そして連動する守備というものを体現できるようになってきたのである。

これまでの長野であれば、序盤に先制して優位に試合を進めながらも、終了間際に同点… ということも少なくはなかった。この日も多分に漏れず、2点目を奪えるチャンスがありながらも得点出来ず、1-0のままロスタイムを迎えたのだが、選手個人だけではなく、チームとして成長した長野は久しぶりの完封でホーム勝利を飾り、試合終了と同時に、ベンチで薩川監督は会心の笑みを浮かべながらガッツポーズ。

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しかしだ、ここまで書くと「長野は守備ばかりで攻撃はイマイチだったのか?」と思われてしまうかも知れないが、攻撃にもいいところは当然あったので付け加えておきたい。

以前、宇野沢頼みの攻撃からの脱却が望まれると書き記したが、この日は冨岡を起点とした攻撃が多かったため、宇野沢頼みという印象はかなり薄らいでいた感がある。そしてもう一つ、向慎一が攻撃に絡んだときの「流れ」は、実に見応えがあったことだ。

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向という才能が入り、チームに溶け込んだことでオプションが増えた長野。向が持ち込めばDFが引きつけられて宇野沢が生きる(スペースが生まれる)。そして宇野沢が動けば、今度は向が2列目からバイタルに進入する。さらには、向が積極的に仕掛けることで、大橋、土橋のポジションも高い位置をキープできるなど、彼の能力がフルに発揮されるようになってからは、素晴らしい相乗効果がチームにもたらされている。あと、この試合のロスタイムに入ってから、アルテ陣内の深い位置にロングボールが入ったのだが、試合終了直前という体力的に厳しい時間帯にもかかわらず、長い距離を走り抜いてボールに追いつき、さらには中に折り返した向のスプリント能力にも脱帽であった。

あとは、冨岡、藤田、平石といった2番手、3番手を争うFWの決定力、そして「怖さ」を身につけられれば、攻撃にも厚みというか、もっと進化出来るはずの長野。ただ、冒頭に「いい内容ではなかった」と評したが、試合後の薩川監督も「勝ったことは評価しているが、前半の早い時間で先制したことで、気が抜けたというか、余裕を持ってしまったよね。ウチは、必死にやらないと勝てないチームなんだから、そういう点はもう一度言い聞かせて引き締めなければいけない」と、勝った中でも反省点を語ってくれている。

また、「余裕を持ってしまった」という部分では、アルテの攻撃を見てしまい、結果的に苦戦する要因を作ってしまったことは反省点であるし、セットプレーからカウンターを喰らう場面も多く、こちらもチームがどう修正していくか注目したい点でもある。

そして薩川監督だが、会見の最後でこのようにも語ってくれた。

「内容が悪いなりにも、1-0で勝ち抜けたことはチームにとって大きな自信に繋がると思っていますし、2試合ぶりに0で抑えられたけど、みんなで助け合いながらプレーするチームになってきたとも感じています。

あとは、今日はあまりウチらしくない放り込みとかしましたが、別にウチらしいサッカーにこだわる必要もないと思っています。これまで戦ってきた相手のいいところを、どんどん吸収するというか盗んで、それを自分たちのサッカーにしていけば、もっといいサッカーが出来るようになる。長崎や町田なんかはさあ、いいサッカーしているし、見習う部分はいっぱいあると思う。そんな相手とやり続けることによって、1試合1試合レベルアップできればいいと思っています」

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さて、またも敗れてしまったアルテだが、試合をご覧になった方の中には「あれだけいいサッカーが出来ているのに、なぜこの順位なんだ?」と感じる人もいるだろう。

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高さのある土井、前線で決定的な仕事ができる松尾、中盤で豊富な運動量でチャンスに絡んだ山藤、益子。また右サイドを何度も駆け上がった布施などが絡み、随所にいい攻撃を見せたのだが、この日もフィニッシュの部分で最後まで精度を欠いてしまった。

そして試合後の後藤監督だが、このように感想を語ってくれた。

「奪ってからのスピードがさすがに相手は速かったですね。

前半はしのぎながら0-1のままで行ければと思っていましたが、相手の運動量が下がったこともあり、プラン通りに行くことが出来ました。そしてハーフタイムで、もっとボールを繋ぎ、中から外、縦に入れて逆サイドへ展開という流れをやっていこうと徹底させ、後半は前半以上にいい流れを作れたとも思っています。ただ、ペナの中に入ってからシュートが打てずに終わってしまったり、ラストパスが流れてしまったりと、チャンスを不意にする場面が多すぎました。結果が結びついていないこともあり、選手の中に積極性が欠けていたかもしれないし、自信を失っていたかもしれません。

ただ、ウチとしては、最初のセットプレー場面以外では、完全に崩されたというところは無かったと思いますので、何とも悔しいところでもあります。

やはり個々の能力ではパルセイロさんの方が断然高いので、なんとかグループで対応し、攻守両面で数的有利を作ってやりくしようと準備してきたのですが、どうにもうまく結果に結びついてきません…」

やろうとしていることは間違っていないのだが、どうしても結果が結びついてこないアルテ。しかし、結果も感想もまたも同じようなものとなってしまい、現時点での成績(勝ち点12、16位)は昨年を大きく下回る数字しか残されてはおらず、現実問題として「関東リーグへの降格」という危機もちらつき始めてしまっている。

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やっていることは間違っていないし、内容も決して悪くはない。しかし1点差で負けた試合が7試合あり、勝負弱さというか、踏ん張りどころで凌ぎきれない現実がある。攻撃は悪くはない。そう考えれば、今一度守備の徹底を図るしかないのだが、いかんせん、チームに高さのある選手が少なく、競り合いで負けてしまい、セカンドを相手に奪われて主導権を失ってしまう場面の多いアルテ。

後藤監督としても、ここは迷いどころであり、失点が多いから守備を徹底しろと指示してしまえば、攻撃がダメになる。では、攻撃的に行けと言えば、先日のカマタマーレ戦のように、イケイケとなった直後にカウンターから失点して敗戦した苦い経験もある。「バランスが難しいんだよね」と語っている後藤監督だが、JFL残留が最大の目標となってきてしまった今、チームの方向性としてこれまでのサッカーを突き詰めていくのか、それとも勝ち点を重ねるためにも、守備的にいくべきなのか判断が分かれるところ。

天皇杯予選と本大会をはさむため、リーグ戦再開は9月11日からになるのだが、後藤監督にとって難しい選択を迫られることとなる。

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2011JFL 前期第5節分 @南長野
AC長野パルセイロ 1-0 アルテ高崎
[得点者]
3分冨岡(長野)
[警告]
54分大島、64分籾谷(長野)
31分小島(高崎)

[ゲームスタッツ]
シュート数:長野18、高崎11
ゴールキック:長野8、高崎11
コーナーキック:長野8、高崎7
直接FK:長野10、高崎17
オフサイド:長野0、高崎3
PK:長野0、高崎0

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