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2011年7月 5日 (火)

2011信州ダービー第2戦:その2

両者が揃って北信越リーグ1部チームとなった2006年から数え、18回目の「信州ダービー」を迎えたが、これまでの対戦成績は11勝3分3敗で山雅がパルセイロを圧倒している。さらには2008年の北信越最終節(9月7日@南長野)以降、パルセイロは一度も山雅に勝っていないのだ。そんな苦い状況をなんとか打破するため、そしてライバルに勝って「十分にJFLでやれる」ということを証明したかったパルセイロだが、またしても「緑の執念」の前に大きな挫折感を味わってしまう…

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[長野スタメン]
ーーー宇野沢ー藤田ーーー
ー佐藤ーーーーーーー向ー
ーーー大橋ーー土橋ーーー
有永ー大島ーー小川ー高野
ーーーーー加藤ーーーーー

[山雅スタメン]
ーーーーー木島ーーーーー
ーー北村ーーーー木村ーー
鐵戸ーーーーーーーー阿部
ーーー弦巻ーー須藤ーーー
ー多々良ー松田ー飯田ーー
ーーーーー石川ーーーーー

それにしても、メンバー表を見たときには大いに驚かされた。出場が危ぶまれた鐵戸と飯田がメンバーに入っているし、システムも4-5-1になっているし…(松田はMF登録)。これは新手のパルセイロ対策? と思ったのだが、ピッチ上のシステムは上記にあるとおり、松田が3バックの真ん中に入った3-6-1システム。こりゃ、加藤監督に1本取られたわ… と、思いながら試合はスタート。

4-4-2でもなく、3-5-2でもないシステムを組んできた加藤山雅。試合前は、木島弟が出場停止ということもあり、木島兄のパートナーに誰を選ぶのか? が焦点であったが、加藤監督は迷わず1トップを選択。さらには、多々良、飯田にはしっかり相手2トップをマークし、松田を余らせる形を作り、須藤、弦巻にはパルセイロの生命線でもある大橋のマークを命じ、彼ら2人の動きでパスの出しどころを封じ込める策を伝え、まずセーフティに試合を運び、前半は無失点でゲームを進めたいと考えていた。

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だが、実際のゲームは監督の思い描いたように行かなかった。

立ち上がりの5分間、相手の動きを見たパルセイロは、大橋、土橋を経由した「繋ぐ展開」よりも、最終ラインから鐵戸、阿部の両ウイングバックの「背後」を狙うシンプルな形を選択。8分には、左サイドで佐藤→宇野沢と繋いでチャンスを作り、12分にもFKを獲得するなど、徐々にパルセイロが流れをたぐり寄せていく。そして13分、GK加藤のロングボールを受けた向が、早いタイミングで中にクロスを入れる。ディフェンスの対応が遅れてしまったところを藤田がしっかり競り勝ち、落としたボールに宇野沢が反応して頭で押し込みまたもパルセイロが先制。

3バック+ウイングバックシステムの「狙い目」に、しっかりつけ込んだパルセイロは、ここからさらにペースを上げていき、それまではあまり高い位置に顔を出せていなかった大橋が素晴らしいプレスを見せ始め、パスカットからショートカウンターを何度も繰り出していく。また、大橋とコンビを組む土橋は、この日は「バランサー」という立場を重視し、攻めあがることよりも大橋の背後のスペースを確実に埋め、山雅ボールになった時の対応を地味ながらもしっかりこなしていく。

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さらに攻勢を強めていくパルセイロは29分から怒濤の攻撃を見せ、向の右クロスに藤田が中で落として佐藤がシュート(ここはオフサイド)。続く30分には、佐藤が左サイドを抜け出し中へクロス。藤田のシュートはGK石川がなんとかセーブ。さらに続くCKでも決定的場面を作り出すのだがここも決めきれない。32分にも佐藤のシュートが山雅ゴールを襲うなど、何度も「決まったか?」というようなシーンが続出。

さて、攻守のバランスが素晴らしいパルセイロに対し、まったく「一体感」を作り出せない山雅。シュートこそ6本あった前半だが、その内訳は木島兄の「個」の力であったり、やや無理のあるミドルであったりと、流れの中から崩すというシーンはほぼ皆無。サイドからの崩しもほとんどなく、点が線になる攻撃にはなって行かない。そんな中で、1トップの木島は、パルセイロの小川、大島のCBコンビと競り合いの中で激しくやり合う時間が増え出し、徐々に木島の表情からは「イライラ感」があふれ出してきてしまう。そして39分、競り合いの中で木島が小川の顔面に肘打ちを入れてしまう。このシーン、主審は見逃していたのだが、副審がしっかり確認しており主審にアピール。何があったかを確認した小屋主審は、木島に対して一発退場の処分を下した。

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まあ、肘打ちに関しては言い訳できないし判定も妥当。
モロにエルボーが顔面に直撃していましたのでね…

前半は守備的に行って、まずは無失点で抑えたかったのだが、そのプランも崩れてしまったのだが、さらに木島の退場で数的不利になってしまった山雅。

だが、ここで山雅を助けてしまうプレー、判断がパルセイロ側から飛び出してしまう。前半の終了間際の時点から、パルセイロは「キープ」を選択してしまう。それも、ロスタイムに入ってからならともかく、45分にもなっていない時間からキープを始めてしまったのだ。確かに、前半を1点リードで終えることは悪くはない。しかし、相手は一人少ない状況で、完全に押し込まれて何も出来ない時間が続いているのだからこそ、一気に攻めかかって息の根を止める「2点目」を取りに行けばよかったのだがそれをしなかった。そして、その消極的な判断が、最後の最後で手痛い一撃を浴びる遠因に繋がっていく…

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後半に入ると、松田をポジションを一列上げ、システムを4-4-1に変えてきた山雅。

ーーーーー木村ーーーーー
ー北村ーーーーーー弦巻ー
ーーー松田ーー須藤ーーー
鐵戸ー多々良ー飯田ー阿部
ーーーーー石川ーーーーー

だが、47分の藤田のシュートを皮切りに、大橋、向、高野、向と立て続けにシュートを浴びせ、後半の立ち上がりも一方的なパルセイロペースで進んでいく。それに対して、なんとか粘って流れを変えたい山雅は「ダービー男」である今井昌太、さらには塩沢を投入して、なんとか現状を変える策に打って出る。そして62分、ここまでまったく決定機を作れてしなかった山雅は、今井が見事に右サイドを抜け出し、GKが前に出てくるタイミングを見計らってシュート。がら空きのゴールめがけてシュートを打ったが、惜しくもここは枠の外。

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試合は70分を過ぎる頃にさしかかると、パルセイロ側のペースが一気にダウン。強い直射日光、さらには気温33度という厳しい状態の中で運動量が明らかに低下しだしてしまう。それに対して山雅は「絶対に終盤になれば相手のペースは落ちる。このまま後半30分まで1点差のままで行ければ、終盤にチャンスはある。そのためにも『無駄な動き』はしないように」とハーフタイムにあった加藤監督の指示を守り、粘り強く戦ってきた結果として、チャンスシーンが訪れ始める。

だが、数的有利のパルセイロも黙ってはいない。1-0のまま試合は残り10分を迎えると、この日、宇野沢以上にパルセイロの攻撃を牽引する向がまたも切れ込んでシュート! こぼれ玉を有永が拾って再び中へ入れると今度は宇野沢。しかしここはサイドネット。さらに36分には小川が頭で狙い、39分には再び向の切れ込みから最後は高野がシュート。しかし、ここもGK石川の好セーブに阻まれどうしても追加点が奪えない。

そして残り時間5分となったところで、山雅はCBの飯田を最前線に置くパワープレーに打って出る。

ーーー飯田ーー塩沢ーーー
ー木村ーーーーーー今井ー
ーーーーー弦巻ーーーーー
鐵戸ー多々良ー松田ー阿部
ーーーーー石川ーーーーー

必死に、ターゲットマンとして前線で体を張り続ける飯田めがけ、ロングボールを入れ続ける山雅。それに対して、なんとか跳ね返し続けるパルセイロ。最後まで意地と意地のぶつかり合いとなったこの試合だが、残り時間はロスタイムだけ、という時間を迎えようとしたときに、パルセイロは悪夢のような瞬間を迎えてしまうのだ…

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89分、松田からのロングボールを受けた弦巻が右サイドを突破。一度飯田を経由して、再び弦巻へ。そこでパルセイロディフェンダーは弦巻に渡ったボールに釣られすぎてしまい、ゴール前のファーサイドがガラ空きとなってしまう。ゴール前で待っていたのは飯田だったが、後ろから入ってきた塩沢の「どけっ!(本人談)」の一言でコースを譲ると、入ってきた塩沢が頭で叩き込んで土壇場で同点!

またも終了間際に得点し、勝負強さを見せつけた山雅…

同点に追いついた直後、ロスタイムに突入し、残り時間はあと「3分」という表示が場内に知らされる。追いつかれたパルセイロにとって、相手は一人少ない状況であり、このまま引き分けたら「負けと同じ」ということもあり、死力を振り絞って最後の攻撃に出る。しかし、93分の浦島のヘディングシュートは力なく、GKにガッチリセーブされてしまい、そのままタイムアップ。パルセイロとしては、勝てる試合でありながらも痛恨の引き分けとなってしまい、山雅としては「してやったり」のドローであったこの試合。

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またもダービーで勝負強さを見せつけた松本山雅
そして、今回も監督の指導力の「差」を見せつけられたような気がした…

いつもどおりの形で試合に挑んだパルセイロ
それに対して、策を用意してきた山雅

しかし、最初の策がうまくいかず、さらには前半のうちに数的不利となってしまうピンチにも見舞われた。だが、後半に入る前に、選手たちの気持ちを見事にコントロールし、「残り15分まで粘れば必ず何かが起こるし、チャンスも生まれるはず。そのためにも、ムダなエネルギーは使うな」などと、一人少ない中で戦う残り45分間のゲームプランをしっかり提示。さらには、時間や状況ごとにシステムを変更し打開を図ってきた。

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今のままで「大丈夫」と、チームを信じた薩川監督。
勝つために、負けないために、どうすればよいのか? ということを、最大限突き詰めてきた加藤監督。
そして、木島弟が出場停止の中で、殊勲の得点を挙げた塩沢の起用法についての質問が出た際にこのように語ってくれている。

「木島弟が出場停止ということもあり、いくつかプランを考えました。しかし、メンバーを選ぶ中で、結果を出していない選手を使うことはチームの規律を乱すことになるので、結果的に木島兄の1トップとなりました。

片山に関しては、ここ2試合でチャンスを与えたにも関わらずそれを活かせなかった。また、塩沢にしても同様にチャンスを活かせていなかった。だから1トップで行きましたし、交代カードも前線で体を張れるし、玉際にも強い塩沢という選択肢しかなかったのです」

自身が監督に就任した最初のアルテ戦の会見で「メンバーを選ぶ際に基準を設けた」と語ったが、その基準を貫き通した結果がこの日のスタメンであり、その後の選手起用であった。そして、その信念があったからこそチームは常に緊張感を持っていたし、選手が「外される理由」を理解し、腐ることなく高いモチベーションを維持してきた。

それに対して、薩川監督は「ウチは甘いんだよね。やっぱりね、仲良しクラブすぎるからダメなんだよ」と、冗談なのか本当なのかわからないコメントを残したが、やはり監督としての「挑み方、構え方」の違いが、この結果に表れているような気がしてならないのだ…

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なかり長くなってしまいましたので、今回は一旦これぐらいにしておきますが、まだまだ書きたいことはありますので、もう1回、信州ダービーの話を続けたいと思います。

2011/JFL後期第1節 @南長野球技場
AC長野パルセイロ 1-1 松本山雅FC
[得点者]
13分宇野沢(長野)、89分塩沢(松本)
[警告]
47分阿部、70分飯田、70分弦巻(松本)
[退場]
41分木島(松本)

[ゲームスタッツ]
シュート数:長野16、松本10
ゴールキック:長野14、松本12
コーナーキック:長野5、松本5
直接FK:長野11、松本8
オフサイド:長野1、松本3
PK:長野0、松本0

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