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2011年6月10日 (金)

真っ向勝負の末に散った日体大

1部、2部とカテゴリーこそ違えども、ともに首位を走るチーム同士の対戦となった第35回総理大臣杯予選・関東Bブロック代表決定戦。関東1部リーグ開幕戦では「今年は大臣杯予選、天皇杯予選を含めて、最低でも筑波とは4回はやるのかな…」と語っていた流経大・中野監督だが、フタを空けてみれば決定戦に駒を進めてきたのは2部の日体大であった。

[流経大スタメン]
ーーーー河本ーーーーー
内山ーーーーーー保戸田
ーーー村瀬ー中山ーーー
ーーーー関戸ーーーーー
比嘉ーー乾ー天野ー田向
ーーーー増田ーーーーー

※流経大のシステムはスタート時の形

[日体大スタメン]
ーーー武末ー渡辺ーーー
ー平野ーーーーー田中ー
ーーー新井ー稲垣ーーー
白石ー小柳ー広瀬ー池田
ーーーー小川ーーーーー

5月26日の試合後、「当然、代表に呼ばれることは何よりも優先すべきことはわかっているのですが、学生にとって全国大会は特別なものなので、その日(8日)に代表の練習試合(湘南戦)が入っていますが、山村、比嘉、増田を戻してもらえるよう、関塚監督の方に調整してもらっています」と中野監督が語っていたとおり、この試合には3名の名前があったが、チームの中核を成す中里、椎名は相変わらずケガのため欠場。さらには国士舘大戦で負傷した中美までスタメンから外れることとなったが、その代わりに肉離れで戦列を離れていた河本明人が戻ってきた流経大。

それに対して日体大も、ケガで欠場中の右SB田中優毅はやはりこの試合にも間に合わず。さらには、前節の関学大戦で代役として出場した中西も試合中に負傷してしまったため、右SBは1年生池田克己が務めることとなったが、ポジション的に比嘉とマッチアップする場所であり、勝敗を占う上で「田中不在」は非常に痛いところでもあった。しかし、そうは言っても2部随一と言ってもいい「中盤の構成力」は健在であり、日体大のパスサッカーが1部首位を相手にどこまで通用するかがこの試合の楽しみでもあった。

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流経大のキックオフで始まった試合だが、予想どおりの「真っ向勝負」が繰り広げられることとなる。先日の予選2回戦では、東洋大のドン引きディフェンスに大いに苦しめられた流経大だが、この日の相手は筑波大のように「繋いで仕掛けてくる」相手ということもあり、序盤から非常にスピーディでおもしろい試合が繰り広げられていく。

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そんな中で10分以降から、スピードとパスの正確性の「違い」を少しずつ見せていく流経大が流れを掴みだし、日体大陣内に攻め込む時間が増え出していく。いや、攻撃が良かったというよりも、流経大の「守備からの流れ」が実に素晴らしかったのだ。山村は疲れが溜まっていたこともあり、決してベストなパフォーマンスではなかったが、比嘉・田向の両サイドバックが抜群のディフェンスを見せると同時に、河本をはじめとした前線の選手も積極的なプレスをかけ続けることで、日体大はなかなかいい形でビルドアップすることが出来ない。そんな時間が続く中で、セカンドボールをしっかり支配する流経大がさらにゲームを優位に進める。

そして15分、右SBの田向から前を走る中山にボールが繋がり、これを早いタイミングで中にクロスを入れると、河本がうまくDFとGKの間に飛び込んで頭で流し込んで流経大が先制。さらに20分、日体大のパスミスを村瀬がカットして保戸田に繋ぐと、ドリブルで突破から思い切りのいいシュートを放つ。強烈な一撃はGK小川の正面を襲うのだが、雨で濡れたグローブも影響したのか上手くキャッチすることが出来ず、はじいたボールがそのままゴールインして、早くもリードを2点差と広げる。

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ここまでの時間、比嘉、田向が常に高い位置を取っていたこともあり、田中、平野といったサイドアタッカーがなかなか前に出られず、ボールが入ったとしても、深い位置まで切れ込むことが出来ずチャンスを広げることが出来なかった日体大。しかし、2-0とリードが広がったこともあり、やや流経大のディフェンスが甘くなると、新井、稲垣のボランチが前に出るチャンスが生まれ、23分には関戸の不用意なボールキープを稲垣が見事なチャージでボールを奪い、そのままゴール前まで持ち込んでシュート! これが決まって追い上げムードが漂っていく。

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この1点で勢いが付いた日体大は中盤が機能しだし、互角の試合展開に変わって行くと、早くも日体大ベンチは動きを見せ、比嘉に封じ込まれていた右サイドに風穴を開けるため、今シーズンはFWでの出番が多かった北脇を池田に代えて投入。昨シーズンは3バックの一角を務めたこともあるユーティリティプレーヤーの登場で、攻守に躍動感が生まれた日体大は、新井、平野、武末にもシュートが生まれ、1点ビハインドながらもいい流れを掴んで前半を折り返す。

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ハーフタイムで鈴木政一日体大監督は「相手は3トップのアンカーシステムで来ているので、システムを変えて前でもっと勝負しよう」とシステム変更を告げ、新井が頂点に入り、稲垣のワンボランチとなるダイヤモンド型の中盤を変えて後半戦に突入していく。

そして、「まずは後半開始15分以内で追いつこう」と気合いを入れて挑んだ後半戦は、前半より高い位置でプレーすることとなった新井が、積極的に攻撃に絡んでサイドにボールを散らしていく。しかし、前半同様両サイドからなかなかいいボールが入っては来ず、さらには判断ミス、パスミスなども生まれてしまい、せっかく相手陣内に攻め込んでもチャンスを活かすことが出来ない。

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それに対して流経大は、リードしていることもあり「点を取られなければいい」「ショートカウンター」という戦術を徹底。どっしりと構えた流経大は、ことごとく日体大の攻撃をはじき返し、隙あれば鋭いカウンターで日体大陣内に攻め込んでいき、61分、比嘉がボールをカットしてそのまま突破していくと、その流れからオウンゴールを誘発。3-1となった時点で完全に勝負ありだった…

再び2点差とされた日体大はボランチ石井を投入し、一か八かの3-5-2システムに変更して反撃の機会を伺うが、落ち着いて相手をいなす流経大の方がやはり1枚上手であった。その後は、古川や征矢、そしてトップチーム初出場となった名雪遼平を投入するなど、余裕の采配を見せた流経大が、カウンターやリスタートからソツなく追加点を奪い、終わってみれば大量5得点を奪う完勝で2年連続の総理大臣杯出場権を掴み取った。

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結果だけ見れば順当な結果となったこの試合だが、単純に「順当」「力の違い」で片付けてしまうのは、いかがなものかと感じる試合でもあった。終始「引かずに自分たちらしく戦おう」という意欲を日体大が見せたからこそ、このような結果となったことを忘れてはいけないし、試合後の中野監督も「引かずに来てくれたからこそ、こういう結果になりましたね」と語ってくれている。

ただ、流経大中野監督は、勝って本大会で出られたことに関しては喜びの声を上げたが、やや大味な展開となってしまった試合内容には不満であることも示した。

「総理大臣杯の出場権を得たことは嬉しいですが、5-1で勝ったからと言っても内容では満足している訳ではありません。2-0となった直後に、気が抜けてしまい直後に失点してしまったり、チームとして目指そうとしているサッカーをやらなくなってしまったことは不満です。

しかし、そうは言っても、今年の選手(4年生)は、しっかりリーグ戦とカップ戦の違いを理解してくれているし、90分間の中で『試合のツボ(ポイント)』を捉えているところなんかは、昨年のチームとは大きな違いがあります。さらには、今日先発で使った内山や、トップで初めて使った名雪とかが、レギュラーと比べてもなんら遜色ないプレーをみせてくれたことは収穫ですね」

「やや不満」と語りながらも、今後の厳しい日程を考えれば、代わりの「駒」に手応えを感じる結果を掴んだこの試合。

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そして、大量5得点という結果を残したこの試合だが、一番輝いたのは左SBの比嘉だった気もする。相手攻撃を、時にはCBの前まで出て未然に防ぎ、さらにはそこからボールを奪って、そのまま「点とっちゃうよ!」とばかりに、ゴール前まで攻め込んでいく。山村が疲れを見せていたのとは対照的に、無尽蔵のスタミナを見せつけるだけではなく「世界基準の厳しい当たり」を見せた比嘉祐介。実力でチームを引っ張るだけではなく、ムードメーカーとしてもチームを牽引する男の動き、そして働きがあるからこそ、流経大ってやっぱり強いんだよな…と、改めて感じさせる試合でもあった。

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そして敗れた日体大だが、司令塔でもある新井は「総理大臣杯に出るとか関係なく、流経大に負けたことが悔しかったです… ある程度、繋いで行くことは出来たけど『そこから先』がなかなかやらせてもらえませんでした。完敗です」と、無念の表情で語ってくれ、キャプテンの武末は次のようなコメント残してくれた。

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「先制点を簡単に奪われて浮き足立ってしまった。僕とナベが前でしっかりボールを収めなければいけないのに、それが出来ず起点となれなかったのが残念です。結構相手のセンター(山村・乾)は当たりもそれほど強いとは思わなかったのですが、サイドバックやボランチが上手く連動してきたことで、スペースを消されてしまいましたね… 負けたことは悔しいですが、そんな中でもボールを大事にして繋いでいく日体大のサッカーは出せたと思いますので、この悔しい経験を今後に活かしてリーグ戦を戦っていきたいと思います」

さて、試合後の鈴木監督だが、意外にもサバサバした表情で振り返ってくれた。

「完敗だね。早い時間帯で2点奪われてしまってはどうにもならない。1点は返せたけど、後半は完全に相手の守備のペースにはめられてしまったね。

ケガ人もいたこともあり、ベストを組めなかったことはあるんだけれども、2トップを含めて全体的にもっと前を見てプレーしてほしかった。消極的になって、ヨコとか後ろへのパスばかりではゴールに向かって行ける訳がないんだから、状況を判断してやってほしかった。あとは相手と比べて、守備の安定度では大きな差があったし、グループで戦うという意識も違いましたね。さすがにグループとしてどう動くか? どう状況を判断していくのか? という部分では1ヶ月ちょっとではどうにもなりませんよ。また、パスミスだけではなく、状況判断を含めた細かいミスも結構ありましたが、ああいうことをしてしまっては、流れを自分たちの方に持って来られません。

まあ、これからのチームなので、選手がここで感じた悔しさ、そして相手との力の違い、サッカーの質などをしっかり見つめ直して、それを今後にどう活かしてくれるかでしょう」

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2部リーグで快進撃を続ける日体大にとって、この日の流経大戦は「全国大会に出る」ということ以上に、自分たちがやって来たサッカーがどこまで通用するのか? という点にウエイトが置かれていた。だからこそ、格上が相手であっても「引いて守る」という戦術を選ぶことは最初から存在していなかった。

そして真っ向勝負で挑んだ結果、完敗を喫してしまったが、試合後のチームに後悔はあまり存在していなかった。このチームには3年生以下のメンバーが多く、この日の敗戦は絶対に「来年以降」に繋がっていくはずだし、さらには2部随一の「中盤」は来季もそのまま残ることもあり、今の勢いを持続して1部昇格を決めれば「台風の目」になれることは間違いない。そのためにも、彼らが感じた「悔しさ」を忘れずに成長して行って欲しいし、来年1部リーグ戦うためにも、残りの2部リーグ戦でも集中を切らさず戦い抜いて欲しいところだ。

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第35回総理大臣杯予選・関東Bブロック代表決定戦
6月8日 @流経大フットボールフィールド
流通経済大学 5-1 日本体育大学
[得点者]
15分河本、20分保戸田、61分オウンゴール、71分関戸、81分征矢(流経大)
23分稲垣(日体大)
[警告]
30分池田、55分渡辺(日体大)
60分河本、84分比嘉(流経大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:流経12、日体6
ゴールキック:流経14、日体10
コーナーキック:流経6、日体4
直接FK:流経10、日体10
オフサイド:流経3、日体5
PK:流経0、日体0

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