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2011年6月21日 (火)

町田、長野、互いに譲らずドロー

結果は2-2のドローで終わったこの試合だが、町田側からすれば主審のジャッジについて、言いたいことが山ほど有るだろう。ただ、ジャッジうんぬんはともかく、試合内容に関してはJFLという3部カテゴリーでありながらも、互いに攻撃的姿勢を貫き通した非常におもしろいゲームが繰り広げられた。

[町田スタメン]
ーーディミッチー山腰ーー
ー鈴木ーーーーーー星ー
ーーー柳崎ー小川ーーー
藤田ー太田ー田代ー大竹
ーーーー修行ーーーーー

[長野スタメン]
ーー宇野沢ー藤田ーーー
ー佐藤ーーーーーー向ー
ーーー大橋ー土橋ーーー
有永ー大島ー小川ー高野
ーーーー加藤ーーーーー

町田のキックオフで始まった試合は、互いの中盤が高い位置を取り合う、攻守の切り替えが激しい展開でスタート。まずは3分、素速く攻め込んだ長野が最初のセットプレー(CK)を獲得し、ショートでリスタートして、タイミングをズラしてから大橋が中に入れると、飛び込んだ小川が頭で合わせてシュートを放っていく。

しかし町田も負けてはいない。速いタイミングで2トップにボールを当てていき、そこから2列目とSBが絡んだ流れる展開を披露し、7分にはディミッチが左サイドにボールを流すと、走り込んできた藤田が思い切りのいいシュート。

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3分にシュートを放った長野だが、それ以降はディミッチ、山腰、鈴木といった攻撃陣の動きが冴え渡る町田の前に、守勢に回る時間が増えていく。町田の攻撃陣のスキルが高かったことは確かだが、それ以上に中盤の底でラインを上げる役目を担った柳崎の労を惜しまない動きと、センターバックに固定されたコースケからの正確なビルドアップがあったことを見逃してはならないだろう。

さて試合は11分に動きを見せる。後ろから楔のボールが山腰に入り、これを一旦小川に戻す。そして縦に動いていたディミッチにパスが出されるのだが、ここは長野の土橋がカットしてダイレクトで前に出そうとする。しかし、このダイレクトプレーがミスとなってしまい、せっかくカットしたボールは再びディミッチに奪われ、星とのワンツーから抜け出してシュート! これが決まって町田が先制。

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さらに攻勢を強める町田は19分、左サイドで藤田→中央で鈴木→ダイレクトで前を走るディミッチへ→中へクロス→ゴール前山腰という素晴らしすぎる展開を見せるのだが、ここは間一髪のタイミングでDFが先に体を寄せてなんとかクリア。

前半20分過ぎまでは、4枚の攻撃陣だけではなく、柳崎や小川や左SBの藤田までもが常に高い位置をとり、一方的な町田ペースで試合は進んでいく。それに対して、長野は大橋・土橋のボランチコンビはほとんど攻撃に絡めず、チャンスと言えば宇野沢の個人突破だけに限られてしまい、苦しい状況に対して薩川監督は「もっと押し上げろ」という指示を選手に伝える。

1点を失った直後こそ、町田にかなり押し込まれた長野だが、25分を過ぎた辺りから最終ラインに落ち着きが生まれだし、徐々にだが大橋が高い位置でボールを奪えるようになり出す。そして26分、大橋から大典にボールが渡り、右サイドを突破。絶妙のクロスを入れたのだが、惜しくも中で合わせられずチャンスをものに出来ない。

30分以降は一進一退の攻防が続き、悪い意味ではなく試合は硬直した時間帯に突入。そんな中で長野はやはり宇野沢という「個」の力がゲームを動かしていく。

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39分、左サイドから攻め上がった宇野沢が、マークに付いた田代と競り合いながらPA内に進入。ゴール正面まで持ち込んだところで、田代の足が掛かって倒され主審は田代にイエローカードを提示してPKの判定を下す。そして、これを宇野沢が冷静に右隅に蹴り込み同点に追いつく。

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立ち上がり以降、ほんとんどの時間で町田の攻勢に悩まされ、苦しい展開を強いられた長野。しかし粘りに粘った結果、もぎ取ったチャンスをしっかり活かして同点に追いつき、イーブンな状況で前半を折り返すことに成功し、エンドの変わった後半は前半とは逆の展開が繰り広げられる。

後半開始と同時に、大典が深い位置まで切れ込み、2分には宇野沢がまたも自分で持ち込んでシュート! さらにはシュートのこぼれ球を土橋が詰め、立て続けに襲いかかっていく。なおも攻撃は続き、FKを獲得すると今度は大橋が直接狙い、9分にも有永の縦パスから向がサイドを抜け出すなど、町田は自陣に釘付けとなる時間帯を迎える。さらに長野は、ほとんどの時間で自由にボールに絡むことの出来ていなかった藤田に代え、冨岡大吾を投入。流れを掴んだこの時間で、一気に逆転を狙おうとする采配に打って出る。

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だが、ホーム町田も必死の反撃を見せ応戦。14分、大竹の右サイド突破からチャンスを掴み、最後は山腰が頭でゴールを狙う。さらに21分、柳崎からディミッチに入ると、DF2人がそれに対応。ディミッチは相手守備陣の動きを見ながら、マークの空いた鈴木へパス。センターバックの大島が釣られて動いてしまったこともあり、シュートコースが空いていることを確認すると豪快に左足一閃!

これが決まって、流れの悪かった町田が待望の追加点を奪う。

再びリードを許してしまった長野は、疲れも見え始めた土橋に代え野澤を投入し、なんとか流れを引き寄せていこうとする。すると24分に宇野沢が相手ミスをカットしてチャンスを広げ、野澤→小川と繋いで町田ゴールに迫り、26分にもチャンスを作り、28分には後方からのロングボールに、なんとCBの大島が懸命の走りを見せチャンスに絡んでいく。そしてこの場面で、守りに入った藤田と大島はPA内でもつれ合い、結果的に大島が倒れるのだが主審の左手はPKスポットを指し示した…

そして再びスポットに立ったのは宇野沢。
さらには、1点目とまったく同じコースに蹴り込んで長野が再び同点とする。

その後は同点とした勢いをそのままに、町田ゴールに攻め掛かる時間が増えていくのだが、どうしてもこの日は宇野沢に頼り切った攻撃だけに終始してしまう長野。さらには、せっかく宇野沢が相手DFを引きつけてスペースを作っているのに、そこに入っていこうとする選手の動きがやや少ないため、怒濤の攻撃という形にはなっていかない。

また、町田守備陣もPKで2失点を喫したものの、流れの中からは得点を与えてはおらず、ピンチは招くもののフィニッシュの場面ではしっかり体を寄せて相手シュートに対応。攻撃では前半ほどの輝きを出せなかったが、守備面では最後まで集中を切らすことなく、まずまずの動きを見せていく。

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そしてゲームは90分を迎え、あとはロスタイムの3分だけとなったが、ここで町田は先にビッグチャンスを迎える。途中交代で入った北井が左サイドを抜け出し、決定的場面を迎える。しかし、ここはGK加藤のセーブに遇い決勝弾を奪うことが出来ない。だがゲームはこれで終わりではなかった。ラストワンプレーという状況の中で長野はFKのチャンスを掴み、素速く大橋がリスタートして大典→向→大典と繋いで、最後は向の脇を走り抜けてきた野澤! しかし、シュートは無情にも枠の外で、そのままタイムアップを迎えた。

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冒頭にも書いたとおり、2-2のドローであったが攻守の切り替えの激しい非常におもしろい内容となったこの試合。確かにPK判定の是非はあるだろうが、両者が見せた「内容だけ」を考えれば、ある意味、ドローでも妥当といったところではないだろうか?

試合後の薩川監督は、「勝てた試合でもあると思いますが、(それと同時に)チームとしての課題も見えた試合だった」とまずは簡単な感想を述べてからこのように続けてくれた。

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「Jリーグを目指すチームであり、全員がプロ契約している相手と戦った中では、ウチとしては課題はありますけど、よく戦ってくれたと思います。

ただ、失点の場面に関しては取られちゃいけない場面(場所)で、ボランチがボールを奪われてしまったり、2点目の場面は人がいなかったという訳ではないにも関わらず失点してしまっていることに対しては、もう少し(守り方を)考えないといけないし、もう少しDFが冷静に状況を見ていれば、あそこは守れたとも思っています。

まあ『勝てた試合』というのは、そういった部分(守備面)でしっかり出来ていれば…ということなんだけれども、ただ、後半はウチがほぼ圧倒していたし、シュート数を見てくれればわかると思うけど、チャンスはウチの方が確実に多かったかなっていう部分があった。まあ、そこの場面で『決めきれる質』っていう部分でウチは少し(相手よりも)無かったなと思うし、町田さんの方が質の高い選手が多いなあ…とも思いましたけどね。

そう言った中でも、よくウチの選手は走ってくれたし、よく戦ってくれたと思います。選手たちも自分で悔しがっているので手応えを掴んで帰れると思います。JFL1年目のチームとして、また一ついい経験が出来たなと思えればいいと感じています」

このように薩川監督は語ってくれたが、決めきれる質という部分では相手にはディミッチという大砲のほか、鈴木、山腰、星と言った前線の攻撃陣はどれも高い能力を見せた町田に対して、この日の長野は「宇野沢頼み」という流れが特に目立ち、向こそ攻撃に絡んだが、藤田、大典は存在感をアピールするまでには至らなかった。確かに後半の流れだけを見れば、それなにり良かったが、結果的に宇野沢にボールが入らないと「スイッチ」がONにならないのもまた問題。さらには、大橋もHonda戦のような高い位置を保つ事が出来なかった。

苦しいゲーム展開の中で「粘り」は見せたことは成長だが、宇野沢頼みの攻撃から脱却しなければ、今後の戦いが厳しくなっていくのは必定。そんな中で、新たな攻撃パターンの構築や、出番の少ない冨岡、平石、富所といった選手たちの奮起にも期待したいところだ。

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さて、ドローゲームの中でも満足げな表情をした薩川監督に対して、町田のポポヴィッチ監督も表向きの表情こそにこやかなものだったが、内心では「なんだよ、あの判定は…」という感情を隠しながら「2失点がどちらもPKというのは非常に残念です。いろいろと思うことはありますが、今日の試合のことはあまり話したくはないです」と笑いを誘いながら話を切り出し始め「(自分たちの披露した)サッカーの内容以外は私は語らない事にしています…」とも続けた。

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まあ、通訳さんも介しての会見&質疑応答なので、どうしても時間が長くなるので簡単に要点だけまとめます…

●日本のサッカーのレベルを上げるために、何が必要なのかをもう一度考えて欲しい
●おかしいと思った判定があったのはこの試合が初めてではない
●前半は自分たちのスタイルで試合を運べたが、後半は同じようにプレー出来なかった
●相手も素晴らしいチームであり、ゴールが4つも生まれて楽しめた試合だったのでは?
●勝ちきれない時もあるけれど、信念を持って自分たちのサッカーを続ける
●JFLというリーグを、自分たちのプレーでプロモーションしていきたい

こんな感じでしたが、まあ、ポポヴィッチ監督としては「今日の試合のことはあまり話したくはない」というところが全てでしょう。

ただ、2つの場面を再確認すると、自分でこけたと言えばそう見えるし、掛かったといえばそうとも見える微妙な判定であることだけは間違いなく、あの2つの判定が間違っていたのか? と言われれば正直なところは50:50。となれば、どちらの判定に転んでも、あまり文句を言えないのもまた事実なのだが、PK判定以外の部分でもこの日の主審の判定基準は不安定すぎでもあった。

結果は結果として受け止めなければならないが、内容的には良かったゲームなのだからこそ、両者とも「次に繋がるゲーム」と考えるのがやはり妥当なのだが、流れの中で得点を奪った町田、PKからでしか得点を奪えなかった長野という考え方をすれば、どうしても町田の方に「スッキリしない」という感情は残ることも理解できる。

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そう考えれば、この試合で一番の重要なポイントは「主審のジャッジ」であり、一日も早く選手のレベル向上に主審も追いついて欲しいと願うところではないだろうか? JFLとかJリーグだけではなく、少年サッカーであろうとどんなカテゴリーであろうと、選手は勝つために必死にやっているのだから。

最後になりますが、前半に繰り広げた町田の美しく、そして力強い展開のサッカーは、やはり今季のJFLにおけるトップレベルであることを強く印象づけたことを付け加えておきます。

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2011JFL 前期第16節 @町田陸上競技場
町田ゼルビア 2-2 AC長野パルセイロ
[得点者]
11分ディミッチ、 66分鈴木(町田)
40・75分宇野沢(長野)
[警告]
22分星、39分田代、74分藤田(町田)
45分土橋(長野)

[ゲームスタッツ]
シュート数:町田11、長野14
ゴールキック:町田10、長野12
コーナーキック:町田4、長野4
直接FK:町田11、長野10
オフサイド:町田4、長野2
PK:町田0、長野2

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