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2011年6月22日 (水)

ソニー仙台、開幕に向け調整中

3月11日に起こった東日本大震災の影響を、ベガルタ仙台以上に受けることとなってしまったソニー仙台。チーム事務所がある多賀城市の仙台テクノロジーセンターも、市内一帯同様に津波による被害を受け、ホームスタジアムの一つでもある七ヶ浜サッカースタジアムは、被災により流出してしまった遺失物縦覧所となっており、今なお使用することは出来ない。

そんな状況のなか、3月11日以降はサッカーが出来る状況ではなくなってしまったソニー仙台。事務所が浸水被害にあっただけではなく、車を流されてしまった選手、さらには住む家が被害にあった選手もいた。中心選手の一人である大瀧義史選手は自宅が被害に遇い「サッカーをやるどころか、普段のあたりまえに生活することさえ出来なくなりました」と語り、今季Vファーレン長崎から移籍してきた宮尾勇輝選手は「ここでサッカーはやれないのでは…と、一度は考えました」と、当時を振り返ってくれた。

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そして震災から2ヶ月が経過した5月16日からチーム練習を再開し、7月第1週から始まるJFL後期第1節(3日:アルテ高崎戦)に向けて、6月12日から9日間の関東遠征を行い、その間に東洋大、ジェフ千葉、流経大、FC東京、国士舘大、湘南と6試合の実戦を組んで、調整を続けてきたソニー仙台。

今回は遠征最終日となる20日、平塚馬入グラウンドで行われた湘南戦の会場に足を運び、田端監督から話しを伺ってきた。

[ソニー仙台スタメン]
ーーー宮尾ー桐田ーーー
ー大瀧ーーーーー小泉ー
ーーー瀬田ー花渕ーーー
斎藤ー山田ー元木ー橋本
ーーーー金子ーーーーー

※湘南側は非公開ということですので、出場メンバー表記は控えさせていただきます。

ここまで5試合を消化して、結果や得点という「目に見える」成果は上がってはいないソニー。しかし、ほとんどの選手が90分間プレーする機会を得たことで選手に試合勘が戻り、さらには連携面でも大きな成長を見せてきた。そして迎えた遠征最後のゲームとなった湘南戦は、これまでやって来たことを再確認しながら、開幕を想定したメンバーで格上に挑戦。

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さて試合に関してだが、2分に幸先良き宮尾がシュートを放ち、その後も左サイドアタッカーの大瀧と2トップがいい連携を見せ、湘南ゴールに迫り、序盤は「奪ったら素速く前線に繋ぐ」ソニーペースでゲームは進んでいく。それに対して、控え組中心の湘南は「受けて立つ」という訳では当然ないのだが、相手の攻撃に対して「様子を見ながら」と言った展開が続き、湘南らしい鋭い展開の攻撃があまり見えてこない。

確かに、練習試合は「調整」という場であることは間違いないのだが、ソニーの選手たちの気迫に押され気味となってしまう湘南。反町監督も、やや不満な表情を浮かべながらピッチサイドで指示を出す場面が増えていく。ポゼッションでこそソニーを上回る湘南だが、前線での動きは高さのあるFWと、個の力で打開できるブラジル人頼みばかりになってしまい、整備された組織的守備の前に効果的なチャンスを作ることができない。

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しかし、ここまでケガ人もなく遠征日程をこなしてきたソニーにアクシデント。左SBの橋本が接触プレーで足を負傷してしまい、22分以降は元木がサイドにまわり、センターのポジションに門馬を投入することとなる。そしてこの交代直後、やや最終ラインの安定性を欠いてしまい、24分に右サイドの選手に持ち込まれてループシュートを浴びてしまい、続く26分にはDFラインが一瞬集中を欠いてしまうと、ブラジル人にスルスルっと抜けられてしまい、あっさり失点を許してしまう。

まさに「あれっ?」という感じの失点。攻め込まれていた訳でもなく、ペースを奪われた訳でもないのだが、集中が切れてしまい「えっ?誰が行くの?」と選手間で見合っているうちにやられてしまった…

しかし、流れを奪われての失点でもなく、実際にペースを握っていたのはソニーということもあり、すぐに切り替えて再び宮尾が相手ゴールに迫っていく。すると30分、湘南・反町監督はもっと高い位置でアクションを起こせ!という意図を込め、システムを2ボランチのボックス型から、ダイヤモンド型の中盤に変更。

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しかしあまり効果は生まれず、34分には大瀧が左サイドを突破してチャンスを掴み、39分にはまたも大瀧のチャンスメークから宮尾が飛び出してGKをかわしてシュートを狙うがここは惜しくも枠の外。だが、枠を外したものの、小泉が懸命の走りを見せ、ラインを割る前にボールを拾い、角度のない位置からゴールを狙うがこれも逸れてしまい、ソニーは決定機を逃してしまう。

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前半を終え、0-1と湘南がリードの状況だが、ソニーベンチの雰囲気は非常にいいものであった。

田端監督も「集中を欠いてしまって失点を喫してしまったが、それ以外の場面ではまったく悪くはない。攻撃の形も出来ているので後半もこのまま自分たちのサッカーを継続しよう」と言って選手を送り出したのだが、またも「あれっ?」というシーンが後半開始早々に生まれてしまう。

1分にも見たい時間で、守備の連携にミスが生まれてしまい、ボールをまたもブラジル人に奪われあっさり2点目を献上。

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しかし、この失点でソニーは目の色が変わり、2分には宮尾が強烈ミドルシュートを放ち、立て続けに奪ったCKのチャンスでは花渕が簿ボレーでゴールを狙っていく。7分には瀬田のスルーパスから宮尾が縦に抜け出し、11分には分厚い攻撃を見せ、決定機を迎えるが最後の花渕のシュートは惜しくも枠の外。13分にもFKのチャンスを掴み、16分には宮野ポストプレーから桐田が右に展開。走り込んだ小泉が素晴らしいクロスを中に入れ、チャンスを広げるもDFがクリアしてCKへ。20分には左サイドバックの斎藤がいいタイミングでオーバーラップして、速いクロスを中に入れると桐田が飛び込んでシュート!

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後半開始早々に失点したソニーだが、両サイドからのエグリ、宮尾のポストプレーからの展開、ボランチからの組み立てと、多彩な攻撃を見せ湘南ゴールに迫るが、どうしても「Jの壁」はたやすく破れない。田端監督は、21分に宮尾→澤口、30分小泉→佐藤、35分門馬→前田と選手を入れ替えてテコ入れを図っていくのだが、リードを奪っている湘南は無理に対抗するのではなく、やや引き気味にシフトチェンジして相手攻撃に対応。

結果的に、最後まで攻勢に出たソニーだが、得点を奪えず遠征最後の試合は0-2で終了。

内容では、圧倒的に湘南よりも良かったのが、最後まで決定力という部分で苦しんでしまったソニー。しかし、決定力という事に関しては、相手の実力もあるので一概に「ダメ」と決めつけることは出来ない。また、フィニッシュまで持ち込む展開、流れもまずまずの出来を見せており、勝利という結果こそ付いてこなかったが、チームとしては成長を感じることの出来た関東遠征。田端監督は試合後、下記のように語ってくれた。

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「今日はケガ人(橋本)が出てしまいましたが、それ以外ではメンバー全員がケガなく遠征が終えたことは一番の収穫だったかも知れません(笑)

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こっちにきて、はじめて90分のゲームができたのですが、選手がゲームを感覚を取り戻せたし、90分間やりきれる体力がもどったことには手応えを感じています。遠征で6試合ゲームをこなしましたが、格上との対戦も多く、スピード感の違いにはとまどいもありましたが、15分ぐらいやっていれば慣れてくることもあるので、やれていたとは思います。

チームに関しては、かなり骨格が出来上がってきたので、ほぼ開幕に向けてメンバーは固まってきましたし、宮尾や小泉といった新戦力も馴染んできたので連携もかなり良くなってきているんですが、得点が取れてはないところは課題です。後期開幕までに、サイドからのクロスを精度をあげるかとしてなんとかしていきたいです。

ただ、他のチームはシーズンが始まって公式戦を10試合以上しているので、チームの完成度というか成長度は高いと思いますので、残りの2週間でその「差」を何とか詰めていきたいです。チームとしての目標は「JFL残留」に変わったけれども、私たちは現状をポジティブに考えています。

自分たちが震災を経験した中で、いろいろな人たちがチームを続けられるように支援してくれたし、たくさんの人が応援してくれた事に対して、選手はそれを肌を感じることができた。そして選手としてではなく、人間的な部分で大きく成長することができました。これまでは自分たちのことだけを考えてプレーしていた選手も少なくはなかったのですが、今回の件を経て「周りから支えられている」ということをひしひしと感じているし、支えてくれている人たちの為にもプレーで恩返ししたいという思いが強くなっています。

確かに残留に向けては厳しい戦いになるかも知れませんが、私たちは(サッカーが)「やれるから得られた試練」だと思って喜んで与えられた試合を戦っていきたいです。

また、現状(今季のJFLの順位状況)を「よかった」と言っていいのかわかりませんが、今季は下位でくすぶってしまっているチームが結構あるので、チャンスは大いにあると思っています。特に最初の試合から3試合目ぐらいがヤマだと思っています。ここでいいスタートが切れればチャンスはあると思いますが、出だしで負けてしまうと、どうしてもチームに焦りが出てしまうのでスタートダッシュできるよう、残り2週間でしっかり準備していきたいです」

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チームとしては、優勝経験もあるHonda FC、SAGAWA SHIGAといった企業チームに続く存在になるべく準備を進めてきたのだが、まさかの震災で活動危機に直面してしまった。しかし、あれだけの被害を被ったにも関わらず、会社側は「チームが出来ることで地元に勇気を与え、活力を与えなさい」と、活動を全面的にバックアップ。今季活動どころか、チームの存続すら危ぶまれたソニー仙台だが、会社や地元の人々に支えられたチームは活動を再開し、今、開幕に向けて準備を進めている。

今回の遠征では、チームはスッキリとした結果を出せなかったが、連携面では大きな進歩を見せ、高いレベルのチームを相手にしても十分やれることを証明し、開幕に向けての準備は順調に進んでいることをアピール。ただ、この日のような、集中を切らすような場面だけは無くてしてもらいたいところだ。

今季のJ1で驚異的な快進撃を続けるベガルタ仙台同様、リーグ戦にて「旋風」を巻き起こすことが期待されているソニー仙台。新加入の宮尾も「仙台と言えば『ベガルタと楽天』だけに思われがちですが、ソニー仙台だってあるんだ!っていうところを見せたいです」と語ってくれたが、地元に勇気を与えるためにも1戦1戦集中して「負けられない戦い」に挑んで貰いたい。

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