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2011年6月 6日 (月)

パルセイロ、聖地で快勝

アマチュアサッカー界の聖地・都田で初の公式戦を迎えた長野パルセイロ。しかし、前半は「アマチュアの雄・Honda FC」という名前の前に萎縮してしまい、何一つ自分たちの良さを出せないまま終わったが、後半は別人のような姿を見せ、首位チームを相手に素晴らしいゲームを展開した。

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[Hondaスタメン]
細貝ーーー伊賀ーーー柴田
ーーーーー吉村ーーーーー
ーーー須藤ーー土屋ーーー
中川ー川嶋ーー安部ー平山
ーーーーー中村ーーーーー

[長野スタメン]
ーーー藤田ー宇野沢ーー
ー栗原ーーーーーー向ー
ーーー大橋ー土橋ーーー
高野ー大島ー小川ー野澤
ーーーーー加藤ーーーー

1971年に本田技研工業サッカー部として創設され、今年で40周年を迎えるHonda FC。メモリアルイヤーということもあり「覇権奪回」に向け、開幕から好調を維持して首位に立ったが、前節の長崎戦では0-2と完敗。2週連続でホームということもあり、今週は絶対に負けられないという強い意識で挑んできたチームは、序盤から長野を圧倒していく。

Hondaのキックオフで始まった試合は、いきなり伊賀が長野ゴール目指して突進し、始まって10秒ほどでファーストシュートを放っていく。続く2分には吉村もシュートを放ち、5分には再び吉村がチャンスを作り、そこからFKを獲得するなど、立ち上がりから長野を圧倒。石橋前監督時代から3トップシステムにチャレンジし続けるHondaだが、この日は前の3人+トップ下の吉村が目まぐるしくポジションを入れ替え、長野に全く隙を与えない完璧なサッカーを展開。

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10分には、柴田のカットから再び長野陣内に攻め込みCKをゲット。そして11分、一連の流れからのこぼれ球を拾った細貝がミドルを放つと、シュートは一直線でゴールマウスへ。決まったか? と思われたが無情にもシュートはバー直撃。その後もHondaは、今季からチームに加入した右SBの平山照晃(中京大卒)が攻撃に絡み、分厚い攻撃を長野ゴールに畳み掛けていく。また、筑波大ではCB・ボランチと、守備のエキスパートして活躍してきた須藤壮史も中盤の底で精力的に動き回り、パルセイロの「生命線」である大橋の動きをしっかり止めていく。

これに対して、なかなかボールを前に出せない長野。やはり大橋が前に行けないと、流れを作り出すのが難しい。また、北信越や地域レベルであれば、クリアしたボールを宇野沢、藤田が易々と拾う、または繋げることが出来たが、相手が「Jの門番」となると簡単に思い通りにならない。しかし「並の新入り」ではない長野も、ただ沈黙しているだけではない。これまでのゲームのように、主導権を握っての「流れるような展開」は出せないものの、単発ながらもHondaゴールに向かってしっかりシュートを打っていく。

ここで気になったことだが、攻撃力と中盤の構成力という点では「さすが」と思わせたHondaだが、CBとGKに絞った「守備力」という点では、攻撃力の安定性に比べてやや不安定であることを露呈してしまう。あれだけポゼッションで長野を圧倒しながらも、少ないチャンスを確実にシュートまで繋げられていた点(前半のシュート数は6-6)は、後半に向けての不安材料となり始める。

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そんな状況であるからこそ、須藤、土屋が中盤を制している時間帯で得点の欲しかったHondaだが、前半は最後までゴールマウスに嫌われてしまう。ロスタイムに中央でボールをキープした伊賀から、右サイドを駆け上がった平山に展開。ここでクロスを上げることを選択するのではなく、中に切れ込んで行ってシュート! 今度こそ決まったかと思われたが、シュートはポストを直撃し、またも運に見放されてしまう。

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前半は上記にあるとおり、記録上のシュート数は6-6と互角。しかし、カウントされないDFがブロックしたものを加えればその差は倍以上となり、文字通りHondaが長野を圧倒した前半戦であったが、あれだけ主導権を握りながらも得点できなかったことは非常に痛いところ。そして長野だが「しっかり繋いでくるチームに対して、前半は見過ぎてしまった」と振り返り、後半は相手を怖がらずどんどん前に出ようということをハーフタイムで徹底。すると、この意思統一がいい方向に回転し、立ち上がりからチャンスを掴む。

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47分、右サイドで野澤が粘ってボールをキープして向へ繋ぎ、中の宇野沢に繋ぐと後半最初のシュートを放つ。これが相手DFに当たって上に跳ね上がったところを、詰めていた藤田が頭で押し込んで劣勢だった長野が先制。続く48分にも向がシュートを放つなど、流れを引き寄せていく中で、55分に象徴的なプレーが飛び出す。中盤の高い位置まで顔を出せるようになった大橋が素晴らしいカットを見せ、前線の藤田目がけて絶妙のスルーパスを出す。ここは藤田が早く動き出してしまったこともあり、オフサイドとなってしまったが、大橋が見せた素晴らしい動きに引っ張られるように、チームの出足はさらに鋭くなっていく。

57分には、大橋のシュートのこぼれ球から再びチャンスを掴み、宇野沢が中でフリーとなっていた栗原へ絶妙のパスを送る。これを冷静に栗原がシュートしたのだが、平山が間一髪のタイミングでカバーに入り追加点は奪えない。さらに59分、60分、61分と立て続けにHondaゴールに攻め掛かる長野。前半あれだけ長野守備陣を脅かしたHondaの3トップだが、ボールが入ってこなければどうにもならず、前半はバランサーとして活躍した須藤も、息を吹き返した大橋の前に後手を踏んでしまう。

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こうなると、前半に感じた「不安」が徐々に露呈しだしてくるHonda。早い展開をし続ける長野に対し、Hondaの中央の守備が付ききれなくなっていくのだ。次々と中に入ってくる攻撃陣に対し、マークが混乱しシュートを浴び続けるHonda。そして63分には、またも大橋のパスカットからチャンスが生まれ、向にパスが繋がると体勢を入れ替えてシュート! これが決まってリードを2点差とする。

2週連続のホームゲームながらも、またも相手に2点のリードを許してしまったHonda。点差を広げられた直後の64分、大久保監督は新田純也の決定力に賭けてピッチに送り出す。また、疲れの見え始めてきた平山に代え小栗を投入するなどの交代策に出るが、流れを変えるまでには至らず、その後も長野の猛攻の前に苦しい時間が続いていく。

さらに84分には、前がかりになっていたHondaの裏を向が見事に狙い、右サイドを抜け出した藤田に絶妙のパス。これを受けた藤田が中の宇野沢に送り、体勢を崩しながらもシュートを放ち3点目をゲット。しかし、無理な体勢からシュートを放った代償も激しく、足をつってしまい、ここで宇野沢はお役ご免。

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3点というリードを得た長野は、終盤に出番の少なかった平石、籾谷を投入する余裕を見せ、危なげなくゲームをクローズさせ、首位を相手に3-0という見事な勝利を飾った。

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試合後の長野・薩川監督は結果に満足感を示しながら、このように語ってくれた。

「今日の試合は勝っても勉強、負けても勉強なんでしっかり今の自分を出してこい!と伝えましたが、前半はダメだったね。怖がっていたらどんな相手であろうと何も出来るわけがない。とにかく後半は自分たちのサッカーをやろうと言って送り出しました。後半3点とってくれたことには満足していますが、なによりも前半の苦しい時間帯に0で抑えたことは大きかったですね。まあ、運も見方してくれました。

ただね、Hondaっていうチームは歴史も実績もあるチームなんで、次に対戦するときに同じ展開にはならないと思うので、気を引き締めていきたいね」

薩川監督のコメントにあったとおり、試合のポイントは「前半」にあったように感じた。

完全に押し込まれ、自分たちらしさを何もだせなかったのだが、最後まで体を張ってゴールを守った長野守備陣を高く評価していいはず。また、開幕以来、不動のCB1番手となった小川の安定感は素晴らしく、数字に出ない「シュート」をことごとくブロックしたのは彼だった。また、今季出番の無かった野澤だが、この日は攻守に渡って安定感のあるプレーを見せ、存在感を大いに見せつけてくれた。

流れが悪いなりにも、粘れるチームこそ「本当に強いチーム」であるのだが、序盤の山雅戦、佐川印刷戦という負けゲームを肥やしとして経験値を積み重ねている長野。小川と並んで、この日のMOMと言ってもおかしくない働きを見せた大橋はこのようにコメント。

「今日の試合は85点ぐらいですかね? 自分たちは1番を目指してサッカーをしているので、頂点に立つまでは100点はないですね(笑) あと、今日は前半、相手を見すぎてしまったこともあり、積極性が出せませんでしたが、どんな相手でも後半のようなサッカーをしていきたいと思っていますし、それが出来れば『100点』が付けられるようなチームになると思いますね」

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そして試合会場には、現在は日体大監督として忙しい日々を送る、鈴木政一チームアドバイザーの姿もあり、選手一人一人に細かいアドバイスを送っていたのだが、その中で向に話していたアドバイスは、パルセイロがもっと強くなっていくためのヒントが随所にちりばめられていた。(内容については今後のチーム戦術に関わってくることなので掲載しませんが、非常に『理にかなった』攻撃のアドバイスであったことだけ記しておきます) 

これらのアドバイスを、選手がしっかり自分で消化できるようになれば、目標である「4位以内」は十分可能。あとは選手が「もっとかしこくなれるか?」がポイントであろう。

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さて、2戦連続でホームゲームありながらも、得点を奪えず敗れてしまったHonda FC。

別にHondaだけに限らないことだが、やはり「取るべき時間帯」に点を奪えないと、自分たちでゲームを苦しくしてしまう「典型的」な試合をしてしまった。

前半に見せた攻撃は、今、日本で3トップを採用しているチームの中で「最もフィットしているのでは?」と感じさせるゲームを展開。これまでのHondaは、3トップはいいとして中盤の構成をアンカーにするか、安定感のあるダブルボランチにするかがポイントだったが、大久保監督は「安定感」を選択。そして、守備力の高い新人・須藤が加入したことが、チームの好調を支えてきたのだが、前が点を取ってくれないと、やはり全体のリズムは徐々に狂いだしてしまうもの。

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そして狂いだしてきたリズムの中で、耐えられないディフェンスも問題である。安部と並んで最終ラインを長年統率してきた石井雅之が昨シーズン限りで引退した穴に関して、ふさがったと感じることは正直出来なかった。決定力に関しては、Hondaに関わらず、どのカテゴリーでも大きな問題であり、今日明日の練習でいきなり上がるものでもない。しかし、守備に関してはしっかりとした対応策を練り、集中を切らさなければ、次の試合では十分修正することは可能だし、無失点に抑えれば最低でも「勝ち点1」は獲得できるのだ。

攻撃は悪くない今季Honda FC。あとは守備陣のさらなる奮起に期待したいところだ。
やはり、アマチュアサッカー界きっての名門は、常に強く、そして尊敬される存在であって欲しいのだから…

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2011JFL 前期第14節
6月4日 @都田
Honda FC 0-3 AC長野パルセイロ
[得点者]
47分藤田、63分向、84分宇野沢(長野)
[警告]
26分安部、76分川嶋(Honda)

[ゲームスタッツ]
シュート数:Honda7、長野17
ゴールキック:Honda10、長野4
コーナーキック:Honda5、長野6
直接FK:Honda11、長野11
オフサイド:Honda6、長野0
PK:Honda0、長野0

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