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2011年6月 7日 (火)

日体大、2部首位攻防戦を制す

開幕戦の日大戦こそ1-1のドローで終わったが、それ以降は格上(1部)の筑波大戦(総理大臣杯予選)を含めて、現在5連勝と波に乗る日体大。それに対して、首位を走っていた関東学院大(以下関学大)は、東海大との試合で引き分けたため、ついに首位陥落。それでも現在1位と2位という「2部リーグ・首位攻防戦」となったこの試合は僅差のゲームになるかと思われたが、得点差以上に両者の間にあった「力の差」を浮き彫りとするゲームが繰り広げられた。

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[日体大スタメン]
ーーー武末ー渡辺ーーー
ー平野ーーーーー田中ー
ーーー新井ー稲垣ーーー
白石ー小柳ー広瀬ー中西
ーーーー小川ーーーーー

[関学大スタメン]
ーーーー佐藤裕輝ーーー
ーー喜屋武ーーーーーー
ー安藤ーーーーー前村ー
ーーー星野ー堀内ーーー
大森ー佐藤ー常盤ー近藤
ーーーー大生川ーーーー

この日の試合を前にして、不動の右SBである田中優毅をケガで欠くこととなり、さらにCBで先発を予定していた菊地が発熱のため急遽欠場してしまった日体大。しかし、連勝中ということもありチームの雰囲気は決して悪くはなく、試合前の鈴木政一監督も「試合後にいい気分になるには、努力しなければいけない。努力する、全力を出し切らなければ結果は付いてこない。今日もしっかり自分たちのサッカーをやりきろう」とだけ伝えて選手を送り出した。

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これに対して関学大の小林監督(小林慎二さん:韮崎高校全盛期の中心選手)は「どんな内容でも勝てば『勝ち点3』となるんだから、泥臭く、粘り強く戦い抜こう。そして、昨年1-4、0-3と2試合とも完敗したことを忘れないでしっかり戦おう」と檄を送った。

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さて試合だが、関学大・小林監督の「泥臭く粘り強く」という言葉から、これは引いてくるな…と予想が付いたが、まさにそのとおりの試合となっていく。

田中優毅の代役として起用され、リーグ戦初出場となった中西、そして左SBに入った白石も積極的に攻撃に絡み、圧倒的に攻め続ける日体大。また、日体大躍進の象徴でもある中盤の4枚は、この日も面白いようにボールを繋ぎ関学大陣内に攻め込んでいく。日体大の司令塔に成長した3年生の新井純平は「監督(鈴木さん)が就任してから、ボールを大事するサッカーに変わったので、自分としてはそういうサッカーが好きだし、とってもやりがいを感じています」と語ってくれたとおり、昨年までの基本3バック&行ってこい!サッカーが完全に消え、さすが「あの人が指導しているチームだ…」と感じさせる中盤でしっかり繋いで連動するサッカーを展開。

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また、新井とコンビを組む2年生・稲垣祥の成長を見逃せない。攻撃に重点を置く新井に対して、豊富な運動量をベースにチームのバランスを支える稲垣。今季3節で初めて出番を掴むと、そのままレギュラーに定着。この日も中盤で鋭い出足を見せ、ほとんどのセカンドボールをマイボールにしていくだけではなく、果敢なチャージから相手の反撃を未然に防ぎ、さらにはインターセプトからボールを持ち込んでしっかりチャンスを広げていく。

中盤での争いには試合を通して終始優勢を誇った日体大。しかし、常盤祐介を中心にしっかり守りを固める関学大の最終ラインの集中も素晴らしく、日体大はチャンスを作るものの、なかなかいい形でシュートを打つ場面を作り出せない。そんな状況をなんとか打破するためにも、鈴木監督は前半の早い時間帯から2トップに対して「考えて動け!」という指示を飛ばすのだが、相手の堅い守備網を崩せないまま、スコアレスで前半を折り返す。

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ベンチに帰ってきた日体大イレブンに対して、鈴木監督から厳しい言葉が発せられた。

「全然ダメだよ。奪ってからヨコ、タテという揺さぶりが少なすぎる。高い位置にいる選手は、ボールの状況をしっかり見て、次に何が起こるか(どんなボールが来るか)を予測しなければならないのに、それを感じて(考えて)いない。ナベにしても、タケにしても、DFと同じ方向ばかりに動いていたら、ボールを受けられるワケがないだろ? 中盤だってDFを背負っている方に出したくないだろ? もう少し、状況をしっかりみてサッカーをやらないとダメ。FWはどこで仕事をするかを、もう一度しっかり考えなさい。単純な動きばかりなら相手は守りやすいぞ。

あと、守備に関しては絶対にノーリスクで行こう。せっかくゲームの主導権を握っているのだから、もったいない失点だけは避けよう」

新しいチームとなり、ゲームの組み立て方は格段に進化した日体大。しかし、この日の前半は監督が就任してから教え続けてきた「考えて動くサッカー」の本質からほど遠いものでもあり、もう一度落ち着いてゲームの流れを考える、そしてボールの状況を見ることを改めて指示して後半にピッチに送り出す。しかし、FW2人の動きがどうしても重く、決してベストとは言えない状況が続いたため、57分に野田、61分に北脇を相次いで投入し2トップを入れ替えて勝負に出るのだが、この交代策が結果的に勝利を呼び込むこととに繋がっていく。

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後半に入ってもほぼ一方的な試合が続き、守備に関しても「ノーリスクで」という指示を受けた日体大最終ラインは見事な対応を見せ、関学大は前半以上にチャンスが作れない。ただ、関学大も守備の集中は全く途切れることが無く、日体大は前半同様なかなかシュートが打てない時間帯を迎えてしまう。

こういう苦しい時間帯を迎え、昨年は自滅してしまった日体大だが今年はここからが違った。後半30分を過ぎても攻撃のパワーは衰えず、替わって入った野田、北脇は自分が動くことで、うまく2列目の田中豪紀と平野が飛び出しやすいスペースを作って関学大の守備網にダメージを与えていく。

そして80分、前線で野田が起点となりボールを右に展開。右サイドを駆け上がった北脇にボールが渡り、これを中へ通していく。しかしこれは相手DFが一度はクリアするのだが、こぼれ球を詰めに行った新井が見事すぎるミドルを叩き込んでついに日体大が先制。

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そしてロスタイムに、関学大に後半唯一のシュートであり、決定的場面が生まれるのだが、GK小川が好セーブを見せてチームを救い、大臣杯予選を含めてチームの連勝を6と伸ばし、さらに首位の座もガッチリキープすることに成功。

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結果的には1-0という最小スコアで終わったこの試合だが、内容的には日体大が終始圧倒しており、首位攻防戦とはいえ冒頭に書いたとおり、両者の間にある「力の差」は大きく開いていることを証明してしまった。関学大は守備面でこそ「好調の要因」を見せることは出来たが、攻撃に関しては「まだまだである」ということを感じさせてしまった。

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仮に関学大がこのままの順位をキープして、1部に昇格したとしても、苦しい試合に終始してしまうことは容易に予想できる。4-4-1-1というシステムを導入し、堅守速攻型のチームを作り上げている関学大。キャプテン常盤のカバーリング能力を活かしながら、完成度の高い組織的守備を見せるのだが、相手のプレッシャーが早い、そして強いとなかなか攻撃に出て行くことが出来ない。これから先の後半戦、そして「来季」に向け、どう枚数をかけての攻撃パターンを構築していけるかが課題となるだろう。

そして日体大だが、勝ったことには満足していたが、内容に関してはやや不満の残る試合でもあった。FWの渡辺は先週から続いた連戦の疲れが抜けていないこともあり「体が重いです」と語っていたが、この日はその言葉どおりプレーも重かった。しかし、強いチームとは、おのずと日程が厳しくなるものであり、厳しい日程の中でコンディションを整えるのも、一流プレーヤーになることの必須条件でもある。

鈴木監督も、彼らがジュビロの選手のような「プロ」ではないことを理解している。しかし、大学サッカーという「枠」の中でトップを目指すのであれば、それ相当の準備と覚悟が必要であり、そのことを時間をかけて選手たちに伝えようとしている。そして試合後の鈴木監督は中2日で迎える総理大臣杯予選・出場決定戦である流経大戦に向けてどう調整したい? と選手たちに問いかけた。

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本来なら、監督自ら考えればいいことなのだが、敢えて選手たちに「どうするのか?」を問うと、キャプテンの武末や渡辺が自発的に考えを述べ、選手主導でどうするか話し合い方向性を決めていく。試合中のプレーだけではなく、チームをどうするか? そして練習、調整おいての考え方まで意識が変わろうとしている日体大。そして、2部リーグに関してはこのまま独走して行きそうな勢いでもある。

この日ゴールを決めた新井は、試合後に「流経大とは、とにかくやりたかったです。強い相手にどこまで自分たちのサッカーが出来るか楽しみだし、大臣杯にも出てみたい」と語ってくれたとおり、中2日という強行日程であるものの、選手全員のモチベーションは非常に高い。

あとは、ケガで欠場してしまった田中優毅が戻ってくることを願いたいし、田中と流経大の比嘉のマッチアップをぜひとも見たいもの。先日の筑波大戦では、相手左SBの山越と激しいマッチアップを繰り返し、最後の最後で山越を抜き去り、同点ゴールを演出した田中。彼が揃ってこそ、日体大のサッカーは完成するのだが、なんとか間に合って欲しいと願うところだ。

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2011関東大学サッカーリーグ 2部第6節
6月5日 @日体大グラウンド
日本体育大学 1-0 関東学院大学
[得点者]
80分新井(日体大)
[警告]
20分前村、29分堀内、84分横山(関学大)
9分武末、68分野田、87分平野(日体大)

[ゲームスタッツ]
シュート数:日体大7、関学大2
ゴールキック:日体大6、関学大7
コーナーキック:日体大1、関学大3
直接FK:日体大23、関学大15
オフサイド:日体大1、関学大2
PK:日体大0、関学大0

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