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2011年5月17日 (火)

強気が消えてしまった明大

2011関東大学サッカーリーグ
前期第3節 @夢の島競技場
明治大学 0-2 順天堂大学
[得点者]
76分市原、78分原田(順大)

昨年の関東覇者がもがき苦しんでいる…

山田大記、小林裕紀(ともに磐田)、久保裕一(ジェフ千葉)、そして山本紘之や笠原昂史(水戸)、鹿野崇史(横河武蔵野)、日野竜一(佐川印刷)と言ったスーパーな4年生が卒業したものの、チームにはU22代表の丸山祐市をはじめ、高木、奥田、楠木、田中恵太、宮阪、山村、三田、松岡といった大学選抜、関東選抜選出メンバーを多数擁し、その他にも、高円宮杯、高校選手権で活躍したタレントが揃い、今年も優勝候補の一角と予想されていた明大にとって、まさかのスタートとなってしまった。

[明大スタメン]
ーー田中翔ー阪野ーーー
ー矢田ーーーーー矢島ー
ーーー宮阪ー三田ーーー
小川ー楠木ー吉田ー奥田
ーーーー高木ーーーーー

[順大スタメン]
ーーーー山嵜ーーーーー
岡庭ーーーーーーー天野
ーーー岡崎ー市原ーーー
ーーーー栗本ーーーーー
砂森ー谷奥ー渡邉ー佐藤
ーーーー大畑ーーーーー

前節の神奈川大戦では、相手の徹底した守りの前に手を焼き、いい攻撃は仕掛けたものの、最後まで守備網を崩すことが出来ずスコアレスドローに終わった明大。試合後の神川監督は「チームが変わったこともあるし、1年生や2年生からいい選手が成長してきているので、前期は辛抱強く若い選手を起用していき、少しずつチームが良くなっていけばいいと思っています」と語ってくれたこともあり、今週はどうチームが成長しているか楽しみであった。そして順大だが、開幕戦では堅さがあったのか、青学大の前にいいところを出すことなく敗れていたが、2戦目となる駒大戦では「相手の長所を消し去る」サッカーで確実に勝利を獲得しており、この日もどこまでそれを実行できるか気になるところだった。

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順大のキックオフで始まった試合は、お互いにスローペースで入ったこともあり、前半15分過ぎまでは互角という展開が続いたのだが、中盤のタレントで上回る明大がジワリジワリとペースを引き寄せていく。矢田、そして浦和ユースから入ってきた矢島倫太郞が中へ切れ込む動きを見せ、それと同時に宮阪が前に出て行く動きも増えてくる。しかし、昨年の「いい時」の明大であれば、もっとサイドバックが攻撃に絡んでくるのだが、2戦目といい、この試合といい、奥田の動きにまったくキレが見られず、ほとんど攻撃に絡む場面が生まれてこない。(奥田はその後、2試合連続早い時間帯で途中交代を命じられてしまう…)

矢田、矢島は、持ち味であるドリブル突破からチャンスを切り開いていくのだが、その動きに絡んでいこうとする「2人目、3人目」の動きが乏しい明大。また、シュートを打てばいいのに… という場面が何度もあったのだが、積極的に打つことはせず、パスを選択してしまう。

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そうなると、順大としては非常に守りやすい。「ここで打たれたら危ない!」という場面があったにも関わらず、相手の拙攻で助けられ続けた順大は、徐々に守りのリズムが生まれだし、明大の攻撃をことごとくいなしていくようになる。ただ、守備はしっかりしている順大だが、じゃあ、攻撃も良かったのか? と問われればそれはNO。守りの時間が多かったが、奪ってから早いカウンターで勝負したかったところだが、それほど明大守備陣に脅威を与える攻撃を仕掛けられず、43分のFKで天野が直接狙ったシーン以外は決定的という場面を作れずじまいであった。

それにしても今季の明治だが、開幕戦からここまで得点が生まれていないのである…

神大戦にしても、この日の前半でもそうなのだが、ボールポゼッションでは相手を圧倒しているのに、シュートが決まらない。いや、決まらないと言うよりも、シュートを打つ積極性があまり見えてこないのだ。前半の早い段階から、テクニカルエリア最前線に立ち、指示、そして檄を送り続けた神川監督だが、そのほとんどは「積極的に行け!」「シュートを打て!」というものであった。

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そして後半の明大だが、神川監督からの「自信を持て」という檄に応えようと、いきなり矢島が鋭い突破を見せ、中に入れたボーを田中がシュートを放つなど、「現状を変えよう」という強い意志が見えてくる。そして5分には三田がシュートを放ち、9分には交替出場の松藤が田中からのリターンパスを受けて、思い切りのいいシュートを放っていく。

後半の立ち上がりは明大が積極性を見せ、これでペースを我がものとしたか? と思われたのだが、そこから先の流れがとにかく悪すぎた。順大の中盤が宮阪、三田を捕まえられるようになると、それと連動して前の3人も積極的なプレスをかけ始め、明大の攻撃からスムーズさを奪っていく。さらには、早くなったプレスの前に明大は連携ミス、パスミスが続出してしまい、攻撃がどんどん空回りしだしてしまう。

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気持ちだけは前に行こうとするのだが、実際にはボールは前に進まない。こうなると、攻勢に出ているものの、試合のペースは守っている順大が主導権を握っている形となり、連動する動きや打開策がないのにも関わらず前がかりになっていく明大は、順大の狙っていたカウンター戦術の餌食となっていく…

76分にはミスからボールを奪われ、前線に縦1本入れられただけで一気にゴール前まで持って行かれてしまい、DFが追いつけず後ろから倒してしまいPK献上。さらにその1分後に再びカウンターからウラにパスを通され、今度は吉田が相手を引っ張ってしまい、またもPK献上。

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たった2分間で2度のPK献上というシーンはあまり見たことがない。また、PKジャッジについてはよく微妙なことが多いが、この2つのジャッジは明らかにDFが追いつけず、アフターで相手を倒してしまった疑いようのない判定だったことを付け加えておく。

そしてこれを両方ともキッチリ決めた順大が2-0で勝利したのだが、試合を振り返ると順大のサッカーが良かったのか? と問われれば、上記にも同じことを書いたがそれはNO。確かに試合前に描いたとおり、相手の長所をガッチリ消すサッカーを終始展開し、数少ないチャンスを見事に活かしてプランどおりに勝利をもぎ取ったが、内容で圧倒した勝利ではなく「戦略勝ち」という部分が強く、明大の度重なるミスに助けられたことを忘れてはならない。

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しかし、そうは言って駒大、明大に連勝したことは、チームにとって大きな自信となったし、やろうとしている方向性に間違いがないことを再確認することが出来た。派手な強さはないが、地味に粘り強く戦う順大は、侮れない存在であることを強く印象づけたはずだ。

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さて敗れた明大だが、前節は「少しずつ良くなっていけば…」と監督はコメントしたのだが、残念ながらこの試合から進化は何も見えなかった…

この日は丸山がコンディション不良で欠場したが、攻守において起点となる彼の不在を感じさせない、いい出足を見せたた明大。しかし、序盤の攻撃を受け流されると、次第に相手の術中にはまってしまう。さらには攻め込む時に、「ゴールを決めてやる!」という気迫が選手からストレートに伝わってこない。神川監督は「自信とは強気の結晶」というスローガンを立てたのだが、強気に出るどころか消極的なプレーばかりが目に付き、さらには自分たちの思い通りにならない展開にイライラを積もらせ、簡単なプレーでミスを連発してボールを奪われてしまう。

負けるとき、そして調子が悪いときの典型的な展開となってしまった明大。今季はキャプテンとしてチームを引っ張る宮阪に対して、「マサキ!、打てよ!」と厳しい言葉をかけ続けた神川監督。チームの流れが悪いとき、精神的支柱となってチームを引っ張る彼から積極的なプレーが出てこなければ、流れは変わっていかない。試合になれば監督は、見ているだけ、そして檄を飛ばすしか出来ない。だからこそ、厳しい言葉をかけ続けたのだが、その檄も流れを変えるまでの力にはならなかった…

攻めても攻めても、3試合連続で相手の守備網を破れなかった明大。だが、攻めのプロセスは決して悪いものではない。しかし、今の明大の攻撃は教科書通りというか、言われたプレーだけをしっかりやろうとしている感を受ける。それはそれでいいかもしれないが、昨年の明大と比べると「怖さ」という面がダウンしてしまっているのは明らかだ。監督は試合が始まるまでは細かい指示を与えられるが、いざ試合が始まってしまえば無力な存在でもある。だからこそ、あとは選手それぞれの判断と応用力、そしてチームをまとめる強烈なリーダーシップがポイントとなるのだが、昨年まではそんな部分でスーパーな先輩たちがしっかり仕事をしてくれていた。だが今のチームには、巧い選手は山ほどいるのだが、強烈なリーダーシップを発揮する選手が不在なのだ…

悪いループから抜け出せなくなってしまった、昨年の流経大を見ているかのような今年の明大。

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そんな今だからこそ、常に声を出し続け、学年に関係なくチームを引っ張れる松岡祐介のような存在が必要なのではないだろうか? 関東大学選抜Aに選出され、しばらくチームから離れていたこと、そしてコンディションが完全ではないこともあり、今はベンチで出番を待っている彼だが、あの強烈なキャラクターこそ、チームを牽引する人間として最適であるような気がするのだ。

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神川監督は試合後、本当に珍しいことだが、あまりにも不甲斐ない内容に怒りを爆発させ、ロッカールームではなく、会場の外で出場した選手だけではなく応援に来ていた部員まで集めて、その場で激しい口調を交えながらミーティングを始めたのである。本当はできるはずなのに、100%ファイトしない選手たち、そして部員全員に改めて渇を入れた…

その「喝」が選手の心に響いて、「強気の結晶」を生み出すことが出来るのだろうか?

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次節の相手は、これまた苦しい戦いが続いている駒大が相手だが、チーム活性化のために多少の選手入れ替えが必要かも… とコメントした神川監督だが、次の試合は前期中にチームを立て直すきっかけとなれるのか? はたまた、前期を「調整期間」とせざるを得ない結果となってしまうのか? 

口では「少しずつ良くなれば」と語っているが、今季の明大サッカー部のスローガンは「常勝」であり、あのようなコメントは決して本意からでた言葉ではないと信じたいところ。監督も選手が十分にやれることを知っているし、出来るはずと信じている。だからこそ、今の弱気な戦いしか見せられないチームに監督は不甲斐ないのである。

だからこそ、次節は今季の明大サッカー部の方向性を占う上で、非常に大事な試合となるのだが、今度こそ「強気の明治」がピッチに姿を現すことを期待したい。

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