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2011年5月25日 (水)

トンネルを抜けた明大

第3節を終えた時点で、駒大と明大がともに勝ち点1で11位、12位(最下位)という順位に沈んでいるが、正直に言えば誰が開幕前にこの順位を予想できたであろうか? 駒大は昨年の総理大臣杯覇者、明大は関東王者で、それぞれタイトルを獲得した両者だが、新チームとなってもがき苦しむ中で迎えた対戦で、明るい兆しを掴み取れたのはどちらであったのだろうか…

[明大スタメン]
ーーー阪野ー三田ーーー
ー矢田ーーーーー梅内ー
ーーー宮阪ー楠木ーーー
小川ー丸山ー松岡ー奥田
ーーーー高木ーーーーー

[駒大スタメン]
ーーー山本ー渡邉ーーー
ー湯澤ーーーーー奥村ー
ーーー碓井ー板倉ーーー
濱田ー水野ー山崎ー砂川
ーーーー松浦ーーーーー

前節から3人のメンバーを入れ替え、さらには楠木、三田のポジションを替えて挑んできた明治大学。しかし、替えたからと言っても、CBは昨シーズンレギュラーを守り通した丸山ー松岡のコンビであり、楠木に関してはシーズン前から「できればボランチで使いたい」と神川監督は明言していたこともあり、この日のメンバー(セット)は「ベスト」に近い布陣(もしくは理想)と呼べるものであった。

それに対して駒澤大学だが、こちらはディフェンスリーダーであり、チームの大黒柱の林堂眞をケガで欠く苦しい布陣。そんな状況もあり、中盤の底に入ることの多い山崎をCBの代役に起用し、中盤をいつものダイヤモンド型から、碓井ー板倉のダブルボランチ型にして試合に挑んだ。

ともに1分2敗と出遅れてしまった両者だが、このメンバー構成を見ればどちらに勢いがあるか? そしてどちらに「分」があるかと言われれば、残念ながら答えは一目瞭然。結果こそついて来てはいないが、悪いなりにもゲームを支配することは出来ていた明大。そんな状況の中で主力が戻ってくれば、チームの士気は一気に上がっていくもの。それに対して駒大は、引き分けスタートの後に連敗し、さらにはキャプテンまで欠く状況。主力が戻ってきた明大に対し、主力を失ってしまった駒大という構図で始まった試合は、両者の明暗がそのままピッチ上に描かれることとなる…

さて、前節の試合でも触れたのですが、やはり明大の試合に「この男」が帰ってくるとガラリと雰囲気が変わってくる。その男とは、当然松岡祐介を指しているのだが、とにかくよく「声」を出せるのだ。試合後の神川監督は「アイツ(松岡)が言っていること(コーチング)が正しいのか、外れているのかはわからないけど、ああいう感じで声を出せる選手がいるとピッチの雰囲気が変わってくる。みんなが『戦うぞ!』という気持ちになれますね」と語ってくれたとおり、序盤から「戦う気持ち」「前に行こう」という気迫を出した明大が駒大ゴールに迫っていく。

そして8分、右SBの小川が縦にフィードすると、三田がこれを受けてドリブルで持ち込んで中に折り返すと、梅内がDFと競り合いながらもシュート。一度はブロックされたがこぼれ球を頭で押し込んで早々と明大が先制する。

ここまでの3試合、圧倒的なポゼッションを誇りながらも奪えなかった得点を、この試合ではいとも簡単に奪った明大。得点を奪った裏には「自分たちらしく繋ぐサッカーを徹底しよう」とメンバー全員が同じ方向性を向かっていたこと、そして何よりも「前に行こう」という意識が高く、これまでの試合では横に繋いでいく場面が多かったが、この日は縦に抜ける動きも冴え渡っていたことを見逃してはならない。

その「縦」の動きは先制点のシーンだけではなく、15分にも楠木からのスルーパスに梅内が抜けだして決定的場面を迎える。しかしここはGK松浦の好セーブに遇うのだが、こぼれ球を拾った宮阪が冷静に左に展開し、矢田が上げたクロスに阪野が頭で合わして早くも追加点を奪う。

さて、なぜこの日の明大は「縦」への動きが冴えたのか?

当然ながら、この試合の為にいろいろな準備をしてきたことがあるのは当然なのだが、それ以上に「守備の安定」があったからこそ、速い「縦への展開」が出来る状況になったと言えよう。これまで、最終ラインには常に楠木が入っていたが、それは丸山ー松岡というセットが使えない状況であるが故の「苦肉の策」でもあった。しかし、今季初めて丸山ー松岡のセットが揃い、楠木がボランチに入ったことで守備が格段に安定。さらには、高い守備力と速い出足が自慢の楠木を前で使うことにより、セカンドボールのほとんどを支配することに成功。また、守備に長けた楠木が入ることにより宮阪の守備への負担が減り、攻撃への比重を高めることに繋がり「幅」が広まったのである。

このように「良さ」が次々と出たことにより、ゲームは明大ペースで進んでいくのだが、その反面で駒大の守備の甘さが激しく目に付いてしまった。確かにキャプテン林堂不在が大きかったことは否定しないが、それにしても明大攻撃陣を簡単にバイタルに入れすぎてしまったのである。マークが甘いことで、すぐに裏を取られて走られてしまう。さらには球際での粘りが少なく、簡単に相手ボールにしてしまう場面が多すぎた。山梨学院大高時代はボランチであった碓井だが、大学に入ってから公式戦でこのポジションに入ったのはたぶん初。さらにパートナーを務めるのが1年生板倉であり、あまりにも荷が重すぎたか…

攻守のバランスが取れず、なすがままにやられてしまった駒大。

しかし、天(天候)が駒大に味方したのか、前半30分以降から激しい雨がピッチを襲い、ボールを細かく繋いで展開する明大のサッカーが徐々にトーンダウン。こういう悪天候には、駒大の「キック&ラッシュ」のサッカーの方が影響を受けないこともあり、雨が強くなるにつれて駒大が流れを掴み返していく。また、明大としても、FWに入った三田の動きにキレがないこともあり、三田をボランチに下げ、宮阪をトップ下にする4-2-3-1システムに変更して駒大に対抗していく。

Img_0081

それにしても「土砂降り」という表現が当てはまるこの日の天候では、明大の「良さ」が生まれてこない。それは明大の動きが良くないというのではなく、あのピッチコンディションではパスサッカーはやはり難しい。であるならば、駒大のパワーサッカーの方が有利なのか? と言われればそれも決定打にはならない。

昨年は常にターゲットとして君臨した棗(現川崎)がいたこともあり、前線のエアバトルで優位を誇っていたが、今年の渡邉、肝付は残念ながら昨年ほどの怖さがない。また、司令塔の碓井を一列下げてしまったことも、攻撃の迫力を無くしてしまう要因に繋がってしまった。また、碓井と並んで攻撃の「核」となるはずのサイドの湯澤も、明大2年生小川大貴の確実な守備の前に持ち味を出せないままの時間が続く。

結局、後半はどちらも決定打を打ち出せないまま試合は続き、残り時間が15分となったところから、駒大は肝付、磯本を投入して勝負に出る。しかし、この日の明大守備陣は最後まで冷静だった。松岡は最後まで声を切らさずチームを鼓舞し続け、丸山はクールに相手攻撃に対応。過去2試合で精細を欠いた奥田も、この日は安定した守りを見せチームに貢献。

このまま2-0で試合は終了かと思われたが、ロスタイムに前がかりになった駒大のスキを途中交代で入った矢島が逃さず、前でフリーになっていた阪野に絶妙過ぎるスルーパスを送り、楽々3点目を奪って今季初勝利に花を添えた…

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それにしても、雨がなければ明大はもっといいサッカーが出来たのでは… と思うほど序盤はいいサッカーを展開。やはり役者が揃えば「強さ」を見せる明大。試合後の神川監督は「やっぱり12位(最下位)は精神衛生上、よくないですよね」と笑顔を交えながら試合を振り返ってくれた。

「とにかく今日は勝てて良かったです。丸山も進路で悩んでいたけれど、やっと答えを出してスッキリしたようですし、松岡も戻ってきた。これでやっと楠木を前(ボランチ)で使えました。マサキと楠木で、とにかく(セカンドを)拾って欲しいと思っていましたが、狙い通りでしたね。ここまで、松岡の調子が上がらなかったこともあり、楠木を後ろで使わざるを得ない状況でしたから… 今日の楠木はとにかく良かったですね。あと、やっぱり(後ろは)丸山と松岡がいいですね。ほぼ完封でしたし。

それに小川大貴は、湯澤を完封ですね。彼は本当にいい選手に成長してきているので、この先代表に選ばれてもおかしくない選手だし、イタリア(6月に行われるドッセーナ国際ユース大会)に連れていってほしい選手の一人です。

勝てたこと、それも3得点を奪い、取るべき人(阪野)が取ってくれ、無失点で抑えられたことは素直に嬉しい。ただ、まだチームは発展途上だし、この日も細かいミスはあったので、修正してもっと良くしていきたい。あと、今日は三田の動きは誤算でしたね…(笑)

新チームとなったとき、守備には自信はあったのですが、『得点がとれるかな?』という不安があり、その不安がやっぱりシーズンに入って出てしまいましたが、これでやっと吹っ切れたと思います」

1勝できれば… いや、1点さえ取れれば一気に変わると思っていた明大が、ついにこの日目覚めたと言えよう。後ろがしっかりすれば、豊富なタレントを擁する明大はやはり強いということを、改めて証明したこの試合。神川監督が「発展途上ですよ」とコメントしたとおり、得点力という部分では昨年より下回っていることは事実だが、攻撃陣に光が差したことだけは間違いない。あとは、この日得た自信を「確信」に替えられるかどうかである。そのためにも、次の青学大戦は真価が問われるところだ。

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さて、敗れて3連敗となり、これで単独最下位となってしまった駒大。
試合後の秋田監督は「22試合のうちで、まだ4試合を戦っただけですが、ここまで勝てないのは初めてです…」といつになく落ち込んだ表情で語り始めてくれた。

「これが今のウチの実力ですね… 開幕からこんな結果で試行錯誤を続けているのですが、連携も悪くてマークの受け渡しもちゃんと出来ていない。今はとにかく粘って戦うしかないのですが、我慢すべきところが我慢しきれていない。明大も流れが決して良くないので、粘って接戦に持ち込もうとしてたのですが、ウチが粘っこくやれなかったら意味がない。メンタルの部分からやり直して、もう一度自分たちのサッカーを作り直します」

それにしても、この日の駒大は「らしさ」がほとんど見られなかった。
特に、駒大らしいパワーサッカーといえば、このような悪天候であればあるほど、強く出せるときなのだが、それが出てこないのであればかなり重傷である。

ガツガツ当たってくる守備に、ガンガン肉弾戦を仕掛けてくる攻撃というのが、良くも悪くも駒大の「カラー」であったのに、この日の試合では、カラーは何一つ出てこない。序盤の早い段階では、明大にいいようにやられてしまい、チームは混乱したままとなってしまい、最後までしっかり立て直すことが出来なかった。

岡(現甲府)、酒井(現京都)、金(現ガンバ)、棗(現川崎)、金久保(現水戸)など、逸材が揃った昨年に比べ、スケールダウンしてしまったことは否定出来ない今年の駒大。しかし、今の順位が妥当であるとは到底思えないのだ。チーム浮上のきっかけが掴めないまま不振が続く駒大だが、秋田監督がコメントしたとおり、今は「粘って戦うだけ」なのかもしれないが、碓井、湯澤、奥村といった中盤の選手の奮起にとにかく期待したいところだ。

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2011関東大学サッカーリーグ
前期第4節 @西が丘
明治大学 3-0 駒澤大学
[得点者]
8分梅内、16・90+3分阪野(明大)

※この試合は写真はありませんので記事のみで失礼します。

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