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2011年5月24日 (火)

最強世代の流経大、本領発揮

第2節の慶応大学戦こそ大苦戦した流通経済大学。しかし、前節の中央大学戦を2-0と無難に乗り切って首位に立ち、第4節は昇格組ながらも堅実な試合運びで勝ち点を重ねている青山学院大学と江戸川陸上競技場で対戦した。

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[流経大スタメン]
ーーーー征矢ーーーーー
中美ーーーーーーー椎名
ーーー村瀬ー大貫ーーー
ーーーー中里ーーーーー
比嘉ーー乾ー山村ー天野
ーーーー増田ーーーーー

[青学大スタメン]
ーーー忰山ー奈良林ーー
ー横内ーーーー地頭園ー
ーーー山崎ー高久ーーー
飯田ー阿部ー樋口ー御牧
ーーーー田端ーーーーー

先週の土曜日、夢の島で行われた第3節の会場には流経大・大平コーチの姿があったが、試合後に「青学の守備は堅いですね…」という会話を交わしたが、その試合(慶応大学戦)で青学が披露した試合はまさしく流経大がもっとも苦手とするタイプのものだった。

昨年の話になるが、流経大は神大のサッカーに手を焼いてきたが、それと同系統(ガッチリ引いた上でカウンター)のサッカーである今季の青学大。流経大にとってやっかいな相手になるかも? と思われたのだが、前半はその予想どおりの展開となってしまう。

大平コーチだけではなく、首脳陣それぞれが「相手は引いてくるはず」と予想していたが、青学大の「まずは守備から」という姿勢が予想以上だったこともあり、流経大は相手の出方を伺いながらゆったりしたペースで試合に入っていく。そして両者とも、シュートがないまま10分を迎えようとした時に、中里から縦にいいボールが入り、これが征矢に渡ってやっとこの日最初のシュートが生まれる。

しかしこの直後の12分、流経大のディフェンスラインでのパスミスを忰山に奪われてピンチを招いてしまうが、ここはGK増田のファインセーブがチームを救う。すると、ここから流経大は一気に流れを掴んでいくこととなり、青学大はシュートを放つどころから、相手陣内に入ることすら出来ない時間が前半終了まで続いていく。

そして14分にも、中里からいいボールが中美に入ってチャンスを作り出すのだが、やはりアンカー中里の出来については、流経大全体の「出来」すら左右すると言っても過言ではない。第2節の慶応大学戦のように、精細を欠いたプレーになってしまうと、チーム全体の歯車まで狂ってしまうが、中里がいろいろな場面でボールに触る、もしくはボールに関与できる時は流れがいい時の証拠であり、この日はほとんどの場面で中里はボールに関わり、そこからゲームをしっかり組み立てていく。

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司令塔・中里の出来が素晴らしい流経大は、10分以降、完全にボールを支配し続けて連続して青学陣内に攻め込んで行くのだが、相手の守備は予想以上に堅く、ファーストアタッカーこそ前に進めても、2人目、3人目の選手がバイタルエリアに進入していけない。開幕の順大戦だけではなく、前節慶大戦でも勝利したことで守備に自信を深めた青学大は、セットプレーでもないのにFW忰山がゴール前まで戻ってピンチを防ぐなど、11人全員が高い守備意識と集中を保ち続け、必死の守りを見せて応戦する。

すると流経大は、30分を過ぎた辺りから征矢を中盤に下げ、中美をトップの位置にスライドさせ、中美の場所に村瀬を配置転換して打開を図ろうとする。そして35分以降は天野と比嘉のポジションも入れ替えるなど、あの手この手を繰り出して青学大の堅い守備網に揺さぶりをかけ続けるのだが、最後まではじき返され前半はスコアレスのまま終了。

前半の流経大だが、左右に展開して何度も揺さぶりを掛けたのだが、中央をガッチリ固める青学大のディフェンスの前に手を焼き続け、結局無得点。これが昨年の流経大であれば、攻め続ける→点が取れない→焦る→バランスを崩す→カウンターの餌食となる… というところなのだが今年は大きく違った。

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0-0という状況でも焦ることはないし、ハーフタイムで「もっとアグレッシブに動け」という指示を受けても、それをフル・スロットルでやらないところが心憎い。というか、今年のチームは「自分たちで考える」ということがしっかり出来るのだ。

行くところは行く
セーブするところ、様子を見るところをしっかり見極める…
その緩急が使い分けられるからこそ、今年のチームは強いのだ

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前半に比べ、ポゼッション率こそ下がったものの、連動やフリーランニングの質、そしてバイタルへどんどん入っていこうとする意欲が上がった後半の流経大。前半はパサーとして精力的に動いていた中里だが、後半に入った直後の51分に山村のクロスから、見事なバックヘッドでゴールを狙っていく。さらには、中里と高校時代から中盤でコンビを組む村瀬の動きも良く、二人がうまく入れ替わることで多彩な位置から攻撃の「形」が生まれていく。

また、後半に入ってから動きの「質」を上げてきた流経大に対して、青学大はファールで止める場面が増えだしてしまい、イエローを貰うシーンが増えだしてしまう。

そして67分、またも山村の攻撃参加からチャンスを掴んだ流経大は、村瀬が中で合わせるがここはDFがブロック。このこぼれ球を交代出場の関戸が拾い、再びに中へ入れると混戦から中美が奪ってシュート! GKがはじいたところを椎名が詰めてついに流経大が先制。

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山村のオーバーラップが生み出したマークのズレ。さらには畳み掛ける時の迫力に、しっかり詰めに行く2列目の選手。強いチームならではの迫力ある攻撃が生み出した得点であり、まだ1点リードしただけだが実質的にここで勝負ありだった…

その後も攻勢を強める流経大に対し、82分に阿部が手を使って止めてしまいまたもイエロー。そしてこのFKを途中交代の中山が早いリスタートで前に軽く蹴り出すと、縦に走った椎名に対して山崎がマークしに行くがPA内で倒してしまいPKを献上。さらには2枚目のイエロー→レッドとなり退場処分。

負けている展開。残り時間はロスタイムを入れたとしても10分あるかないかの状況。そんな中でPKを与えてしまい、残された時間を数的不利で戦わなければいけない青学大。あとはシュートが外れてくれるか、GK田端のセーブを期待するしかなかったが、キッカーの山村は冷静にゴールに流し込んで試合は2-0となる。

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こうなると、試合の結果はほぼ決まりという状況だが、流経大が3点目を奪えるか? はたまた、青学大が一矢報えるか? が、残り時間の焦点になっていくのだが、41分、44分に流経大はビッグチャンスを迎えるが惜しくもシュートは枠の外。逆にロスタイムに入ると、勝利を確信したのかやや守備が甘くなり、青学大に反撃を喰らうシーンもあったが、ポストにも助けられゲームはそのまま2-0で終了。

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両者の実力差から見れば、もう少し点差が開いてもおかしくはない試合であったが、青学大の粘り強いディフェンスは、対戦相手からすれば「やっかいな相手」と感じさせるものであり、この守備をしっかりやり続けることができれば、1部残留は可能であると大いに感じさせた。ただ、守備だけではチームの成長が乏しいのもまた事実。守りに関しては、かなり固まりつつある青学大だが、主導権を握っての攻撃ということに関してはまだまだ。だからこそ、後期に向けて「攻撃面での進化」を見せられれば、この先の青学大は非常におもしろい存在になると感じさせるゲームでもあった。

そして勝利した流経大だが、当初から「引いた相手をどう崩すか?」が試合の焦点だったが、時間こそ掛かったものの、焦ることなくしっかり相手を崩して勝ちきったことは評価していいしだろう。また、スタメンだけではなく、途中交代で入ってきた選手(関戸、保戸田、中山)が、それぞれ仕事をしっかりこなしたことにも注目したい。

今年の流経大といえば、オリンピック予選代表候補に選ばれている、山村和也、比嘉祐介、増田卓也ばかりに注目が集まるが、4年生となった「流経柏・高校二冠達成メンバー」を中心に、クラブユース、他高校からも優秀な人材が集まっており、名前を挙げた3人だけではなく、誰が出てきても高いクオリティを維持することは十分可能なのである。

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例えば、山村がいなければ天野、小川、斎藤らが入ってもなんの遜色もない。さらには比嘉のポジションなら、保戸田でも増田智宏でも問題ない。また、GKでは今は控えに甘んじている高宮大輔だが、昨年はJFLで29試合ゴールを守った経験を持っており、他のチームでは正GKでもおかしくないぐらいの存在。この日途中交代で出場した中山雄登(広島ユース)にしても、昨年は1年生ながら前期はJFLチームで活躍し、後期にトップチーム入りして椎名伸志、中美慶哉と並んで「来年以降の流経大」で期待される一人となっている。

そんなタレントが揃っているからこそ、中野総監督は今年のチームに賭ける期待は例年以上であり、そして「求めるもの」のハードルを非常に高く設定しているのだ。

「せっかくね、ここまで素晴らしいタレントが揃っているんだから、ただ勝つだけとか、優勝回数を増やすだけでは意味がないですよ。やっぱりね、新しいことにチャレンジして、会場に見に来たお客さんに『おもしろいゲームだった…』と感じてもらえるような試合ができるチームになって欲しいんです。

大学リーグにしても、Jリーグの試合にしても、たまに『眠くなってしまうような試合』があるじゃないですか? それがダメだとは言いませんが、ウチは違うことやろうと選手に言い続けています。バルサの試合っていつも攻撃的でおもしろいですよね? それにハーフラインからほとんど下がらないじゃないですか? あれみたいに常に攻撃的に出て、相手陣内で試合するようなサッカーを目指したい。せっかく素晴らしいメンバーが揃っているんだからこそ、『大学生でもここまで出来るのか…』というサッカーにチャレンジしてみたいんです。

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あと、今年のチームからは多くのプロ選手が生まれるでしょうが、プロになるだけではなく、入ってすぐに『使える選手』になっていて欲しいんですよ。だから選手たちには、現状で満足して欲しくないし、自分で考えることが出来るかしこい選手になってほしいんです。

守備の選手であれば、しっかり守ることも当然なのですが、常に『攻めるための守備』を考えてほしいし、攻撃の選手であればスペースの使い方を上手くしたり、ボールを動かしながら『相手を観察できる』選手になってほしい。それと、どんな選手でも『味方との適切な距離感』を取れる選手であってほしいですね。

今の選手たちってね、『教えられること』に慣れてしまっているじゃないですか? いつも『指示待ち』っていう状態で。でもね、ワンランク上の選手になりたいなら、人に言われてやるのではなく自分で考えてプレーしなきゃだめだし、人のため(人を活かすため)にどんなプレーをすべきかを考えられないとダメなんです。

また、試合のなかで相手の出来やクセ、主審のタイプがどんな感じなのか? ということを即座に読み取れる『技術』も身につけて欲しい」

中野総監督はそう語りながら、「まだまだですよ」と付け加えたが、自信が無ければ「まだまだです」という言葉は出てこない。

第2節の慶大戦のあと、選手は自主的にミーティングを開いて『このままじゃいけない』という危機感を持ったそうだが、誰に言われるのではなく自主的に行動し、そして即座に問題解決に当たろうとしたチームは、明らかにこれまでとは違う。そしてこの試合でも、終始落ち着いた試合展開を見せた流経大。

これは冗談抜きで「三冠」も夢ではないかも知れない…
この強さ、間違いなく本物である

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2011関東大学サッカーリーグ
第4節 @江戸川陸上競技場
流通経済大学 2-0 青山学院大学
[得点者]
68分椎名、84分山村(流経大)

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