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2011年5月27日 (金)

鈴木政一の新たなる挑戦

ジュビロ磐田というチームに関しては正直詳しくない。しかし、昨年9月から12月という短い期間であったが、AC長野パルセイロというチームを通して「鈴木政一」という人物と接する機会を持ち、そこで卓越した指導力、そして勝負師としての「確かな眼」を間近で見ることとなり、「こんな人が指揮官にいたからこそ、ジュビロというチームは強かったのだ」と感じたものだった…

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パルセイロでは「強化本部長」という肩書きで、チームを縁の下から支えた鈴木政一氏。そんな彼の下には、長野からの契約延長要請と母校でもある日体大から監督就任要請が舞い込んできていたが、4月9日に行われたアルテ高崎との復興支援試合を最後に長野を去り、そこからは日体大サッカー部の監督として指導する毎日が続いていた。

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さて、今の日体大サッカー部の立ち位置だが、関東大学サッカーリーグの「2部リーグ」に所属しており、昨年は2部6位という順位(総理大臣杯は関東地区予選2回戦で敗退)。しかし、ここ数年は良くも悪くも2部に定着しており「降格はしないが昇格もしない」という中位に甘んじている現状が続いている。

そんなチーム状況を変えるべく、大学側が指揮官として白羽の矢を立てたのが、OBであり、現役時代は主将(ポジションはDF)であった鈴木氏。しかし、チームに完全合流したのは4月11日からであり、いくら関東大学サッカーリーグの開幕戦が5月(日体大は5月4日)になったからとは言え、チームを掌握する&劇的に変えるには短すぎると思われた。

だが、今季はここまでの4戦を3勝1分で乗り切り、勝ち点10で2位に着けて好調を維持し続けている。そんな好調を維持したままの日体大は、26日、総理大臣杯予選2回戦で1部の強豪・筑波大学と対戦した。

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試合の詳細については、別の機会で細かく記そうと思っているので、ここではざっくりとだけにしておきますが、序盤から鋭い出足を見せる日体大が筑波大を圧倒し、前半11分に相手ボールをカットした新井がそのまま持ち込んで先制点を奪う。しかし、16分にFKを直接決められて同点に追いつかれるのだが、前半は終始主導権を握ったままゲームは進んでいく。

そして後半だが、さすがに1部の筑波が立て直してきたこともあり、前半より厳しい時間が増え出し、55分には逆転弾を許してしまう。1点リードした筑波大は、慌てず時間を使う策に出たこともあり、日体大はボールをなかなか奪えない。

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そして90分が過ぎ、時間はロスタイムの3分だけとなったのだが、最後まで諦めなかった日体大が90+2分で同点に追いつき、気持ちの切り替えが出来ない筑波大に対してリスタート直後から再び襲いかかり、最後は田中の劇的な逆転弾が決まり、格上に対して見事な勝利を掴み取った(筑波大 2-3 日体大)

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それにしても、見事な逆転勝利であった。

日体大には、過去にU-19代表に選ばれた田中優毅という逸材や、Jユース組もそれなりにはいるものの、お世辞でも名のある選手、名のある学校出の選手は決して多くはない。いわば雑草軍団でもあるのだが、そんな選手たちをいかにして、この短い期間で鈴木監督は変えたのであろうか?

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試合後の鈴木監督は「今日は相手が格上ということもあり、選手たちは本当に最後まで良くやってくれましたよ…」と口を開き、このように続けてくれた。

「まず、今日の試合ですが、選手たちには『4月からやってきた日体のサッカーがどこまで(格上)できるからとにかくトライしよう』と言って送り出しました。リーグ戦ではここまで3勝1分ですが、格上に対してどこまで出来るか楽しみであり、不安でもありましたが、選手たちは『ガチの戦い』を本当に良く諦めず戦ってくれました。やっぱり、モチベーションも非常に高かったですね。

4月11日からチームを見だしたので、まだチームや選手それぞれの細かい部分の特徴を掴みきっていないところもあります。だからこそ、今は難しい戦術を教え込むよりも選手それぞれに、まずは『頭でしっかりサッカーを考えなさい』と伝えています。

その『考える』ということも、難しいことを考えるのではなく、常に『シンプルに動くことを考えろ』と伝えています。

準備期間が短かったこともあり、細かいところまで詰めきれてはいないので、手探りのままチーム作りを進めていますが、『自分で考えられる選手』になるために、意識改革というか、頭のトレーニングを重要課題としていますね。

今日は相手が格上ということもあり、選手のモチベーションがとにかく高かったこともあって、あんな劇的なゲームが出来ましたが、今日のような試合、そしてモチベーションを常に保てるようになり、そしてどんなチームでも全員がタイトに動く日体大らしいサッカーが出来るように仕上げていきます」

以上のように試合後に語ってくれた鈴木監督だが、この日の勝利は間違いなく、監督が求める「意識改革」が選手の中で進んでいることが証明された試合でもあり、新しい日体大のサッカーの輪郭が見えたゲームでもあった。

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さて、昨年のパルセイロでは、鈴木政一が求められた部分は「負けないチーム」を作り上げることであったが、この日体大ではもう少し違ってくる。

当然、1部復帰ということが最大目標となるのだが、それとは別に「その先」を見据えた選手育成にも期待が込められている。そんな中で、この先「鈴木政一の申し子」となりそうなのが、2年生の稲垣祥(帝京卒)や、1年生の広瀬健太(浦和ユース)、中田充樹、阿部潤(ともに矢板中央卒)と言った若い選手たちであり、彼らの台頭があれば鈴木監督を招聘したことは大成功と言えるはずだ。

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かつてのジュビロでは福西や服部、そしてパルセイロでは大橋と、常に中盤の選手が鈴木サッカーのキーマンとなっていたが、この日体大で稲垣がその役割を担えるのだろうか? そして、今年の秋に「1部昇格」が現実のもになっているだろうか?

鈴木政一の新しい挑戦に、期待を込めながら今後も見守っていきたい。

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