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2011年4月10日 (日)

2つの可能性が見えた試合

東日本大震災・長野県北部地震JFL被災地復興支援試合
4月9日 @南長野運動公園球技場
AC長野パルセイロ 3-1 アルテ高崎
[得点者]
40分山田(高崎)
67・89分富所、87分藤田(長野)

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東日本大震災・長野県北部地震JFL被災地復興支援試合と銘打たれたこの試合には、両チームサポーターから被災地やソニー仙台へのエールを込めたダンマクが張られ、先日の長野県北部地震で被災した栄村の子供たちも招待されたなかで行われ、試合後には両チームの選手が来場者から義援金を募った。

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さて、前置きはこれぐらいにして試合の中身に入りますが、公式戦ではなく、チャリティマッチという位置づけであり、練習試合の一環でもあったこの試合だが、最初から全力を出し合うおもしろいゲームが展開されていく。

[長野スタメン]
ーー宇野沢ー冨岡ーーー
ー栗原ーーーーーー向ー
ーーー土橋ー浦島ーーー
高野ー籾谷ー小川ー寺田
ーーーー加藤ーーーーー

[アルテスタメン]
ーーーー土井ーーーーー
松尾ーー山藤ーーー小林
ーーー益子ー小島ーーー
山田ー小林ー増田ー布施
ーーーー岩舘ーーーーー

亮太(小林)が正式登録されたことにより、シーズン当初はセンターに入っていた山田がこれまでのサイドに戻ったことで、小川(現長野)の穴が埋まったアルテ。システムこそ、当初は引き気味の4-4-1-1であったが、攻撃的に行こうとする4-2-3-1に変更したものの、メンバーは新シーズンが始動した当初からほぼ不動。これに対して長野・薩川監督は「選手のモチベーション、コンディションを考えて入れ替えた」と語ったとおり、キャンプ終了時のベスト構成とは随分変わっていた(※金沢戦を見ていないので、先週と同じなのかどうは不明です)

冷たい小雨が降り続ける中で始まった試合だが、ホームの長野は気温・ピッチ状態と同様、「寒く、湿った」という表現のあう試合をやってしまう。いや、長野が悪いというよりも、アルテのパフォーマンスが素晴らしかったのである。

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さすがに、2月からほぼ同じメンバーで戦い続けていることもあり、連携・連動に関しては長野より1枚も2枚も上。全体のラインはコンパクトな状態を保ち、高い位置で奪って両サイドへ展開という動きを徹底していく。さらには、増田、小林、小島という「守備の人」の動きが冴え渡り、本番さながらの「ガツガツいく動き」で局面でのマッチアップに勝利。さらに、両サイドバックの布施、山田も積極的に攻撃に絡むことで、長野の寺田、高野は全くと言っていいほど上がっていくことが出来なくなっていく。

中盤でテンポ良く、ダイレクトもしくはワンタッチでボールを繋いでサイドに展開。そして縦に突破して中へクロス! という展開が、おもしろいほど決まっていくアルテ。ボールポゼッションでも優勢なのだが、いかんせんシュートという部分ではかなり不満。あれだけ相手陣内に攻め込みながらも、12分に打った山藤のシュート1本だけなのだ。ワントップに入っている190センチの土井は、ターゲットマンとしての動きは及第点だが、シュート0で終わったことはいただけない。

昨年、入れ替え戦にまで進んでしまった一番の要因は、決定力不足であるのは後藤監督も認めている。決定力不足を解消するために、メンバーをある程度固定して連携に磨きをかけ、得点パターンを構築してきた。攻撃の型、そして連携という面ではかなり進化を見せた。あとは、新エース候補である土井の覚醒に期待したいところである。

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試合に戻るが、相手の鋭い出足、球際の勝負強さに手を焼く長野は、連続で攻撃を仕掛ける場面も少なく、攻守に渡って「しっくりしない…」という展開が続いていく。そんな中で28分、冨岡が相手選手との接触で右足首を捻挫してしまい、無念の途中交代となってしまう。宇野沢ー藤田という、昨年までのセットが第一候補だったが、ここにきて冨岡のコンディションが上向きになってきていただけに非常に悔やまれる。

結局、30分に急遽藤田が途中出場することとなったが、あまりゲームの展開は変わらない。主導権を握って攻め続けているのは相変わらずアルテであり、粘り強く自分たちのサッカーを続けていく中でDFのファールを誘発させ、40分についにゴールをこじ開けることに成功する。FKのチャンスから山田が頭で決め、ついに先制!

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前半のシュート数だけ見ると、長野の5本に対してアルテは2本だけ。しかし、内容ではアルテの完勝といったところであり、「JFLは甘くはない」ということを知らしめた感じとなった前半戦。また、昨年のアルテは「岩間頼み」という場面が多く見られたが、今年はサイドに展開してチャンスを作ろうとい姿勢が色濃く見えており、3年目の「後藤アルテ」は着実に進化した姿を見せている。あとは「決定力」という部分での覚醒、もしくは得点パターンのさらなる構築ができれば昨年の順位を上回る可能性は大と感じさせてくれた。

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さて後半戦だが、両チームとも大きくメンバーを入れ替えて挑んできた

[長野後半]
ーー宇野沢ー藤田ーーー
ー富所ーーーーーー向ー
ーーー土橋ー大橋ーーー
高野ー大島ー谷口ー寺田
ーーーー諏訪ーーーーー

[アルテ後半]
ーーーー佐藤ーーーーー
伊藤ーー竹越ーーー石沢
ーーー田中ー白山ーーー
島ー望月ー長谷川ー神谷
ーーーー安藤ーーーーー

メンバー全員を交代させたアルテに対し、長野は最初から全取っ替えするのではなく、富所をはじめ5人だけ変えて挑んできたのだが、後半の試合は前半とはガラリと変わった展開となっていく。完全に控え組となったアルテに対し、長野は一気果敢に相手ゴールへ猛攻を仕掛ける。いや、長野というよりは、完全に「富所が」と言った方が正しいだろう…

彼の才能が非凡であることは、TMを見てきて実感している。しかし、天才肌を見せるプレーとは裏腹に、性格は「子供のまま」と表現してきた。それ故に問題を起こしてしまった過去があり、事実、クラブからも厳重注意を受けている。だからこそ「結果を出したい」という思いが誰よりも強かったし、結果を出すことでしか信頼を得られないこともよくわかっていた。さらには、スタンドには栄村のこどもたちもいるし、ゲームも負けていることもあり、とにかく気合い入りまくりでピッチに立った。

5分にパスを受けると、独特のステップからいいシュートを放ち、6分には無回転弾FKなど、早くも攻撃の牽引者として抜群の動きを見せていく。TMではFWに入ることも多かった富所だが、やはりMFでのプレーの方がマッチするのだ。緩急自在のドリブルだけではなく、センス抜群のパス。さらにはボールを持っていない場面でDFと駆け引きする動きなど、あきらかにJFLレベルではない「異次元」の動きを見せつけていく。

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20分には塚本、麻生、平石、野澤、藤井の交代をはさみ、完全に前半とは違うチームとなった長野だが、圧倒的なペースは変わらない。いや、それ以上に富所のリズムは上がっていき、24分に圧巻のドリブルシュートを放ち試合を振り出しに戻す。

こうなると、試合の注目は「23番の動き」に釘付けとなっていく。ボールを持った瞬間、ドリブルなのか、パスなのか?と、見ている側に「ワクワク感」が生まれていくのだ。そして31分、ゴール前でドフリーの場面が訪れるが、ここは外してしまったのはご愛敬。しかし、終了間際の44分、今度は豪快なミドル弾を放ち2得点を挙げ、観衆だけではなく、薩川監督の心まで奪うことに成功したのである。

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薩川監督は試合後、このように語ってくれた。

「認めるしかないよね(笑) あれだけの動きを見せたし、点もとったし。独特の『間』を持っているし、次にどんなプレーをするか予想つかないでしょ? ああいうプレーをするのって、今までこのチームにいなかったから、新しい(攻撃の)オプションになる。ここで結果を出したことは認めるしかないから、これから先は栗原で行くのか、最初から富所を使うか悩みますね。」

このように富所に対しては賛辞を述べたが、不甲斐ない出来を見せてしまった前半戦の動きについては厳しいコメントを残し、開幕戦となるジェフリザーブス戦に向けてのスタメンは改めて組み直すことを明言した。

前半戦はアルテのが可能性を見せ、後半は富所のワンマンショーとなったこの試合。結果的にはアルテの敗戦で終わったが、主力組でゲームに挑んだ前半戦は結果を出しており、開幕に向けて調整が順調であることをアピール。長野にしても「被災地」となってしまった栄村の子供たちに逆転勝利を捧げることが出来たし、新たなる攻撃面での可能性を見いだすことが出来た。

現状では、前半の形でそのまま行くであろうアルテに対し、長野の開幕戦はどのようになるかまだ不透明。この先、予定されている日体大とのTMが開幕に向けての最終形となることを明らかにした。最終調整では、薩川監督がどのような判断をするか注目していきたい。

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あと最後に、富所ワンマンショーの影に隠れてしまったが、大橋の動きが良かったことについても触れておきたい。契約満了で今は「アドバイザー」という形で、チームと関係を持つ鈴木政一氏がキーマンに指名した大橋。この日も中盤で素速いチェックを見せ、攻守の切り替え役として確実な動きを見せ、チームに無くてはならない存在であることをアピールしてくれたことを、最後に付け加えておきたい。

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