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2011年1月 9日 (日)

頂点を目指す『志』

第89回全国高校サッカー選手権
準決勝第二試合 @国立競技場
滝川第二 0-0(PK7-6) 立正大淞南

第一試合に引き続き、こちらも90分間で決着が付かなかったこの試合。ただこの試合、前半戦は滝二がペースこそ握っていたものの、互いに緊張と疲労から動きが堅く、決しておもしろいゲームとは言えなかった。

[滝川第二スタメン]
ーーー浜口ー樋口ーーー
ー恵ーーーーーー本城ー
ーーー谷口ー香川ーーー
島ーー高原ー土師ー濱田
ーーーー下出ーーーーー

[立正大淞南スタメン]
ーーー池田ーー新里ーーー
ーーーーー徳永ーーーーー
ー小田ーーーーーー加藤ー
ーーーーー稲葉ーーーーー
中村ー竹内ー中村謙ー椎屋
ーーーーー三山ーーーーー

これまでの試合でも、樋口、浜口の2トップが揃って交代することは少なくはなかったが、それは「お役ご免」といったお気楽な状況ではなく、限界を超えてしまっては次に使えないというギリギリの選択の末の交代であり、「ダブルブルドーザー」と呼ばれる強力2トップは満身創痍の状態で最後の大会に挑んでいた。

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この日も2人は相手ディフェンスラインの裏を狙う動きを果敢に見せるのだが、なかなかゴールをこじ開けることは出来ない。さすがに相手2トップを警戒する淞南守備陣は、しっかり2人の動きに対応。こうなると、ゲームを組み立てる香川ー谷口というボランチコンビの動きが重要となってくるのだが、彼らも積極的に前線に顔を出し、果敢にゴールを狙っていくのだが、今度がゴールマウスを守る三山が立ちはだかり、前半はスコアレスで折り返す。

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前半はまったくと言っていいほどチャンスを作れなかった立正大淞南。後半は「早めに自分たちから仕掛けてもっとアグレッシブに行こう」と選手にアドバイスしてピッチに送り出した南監督だが、流れの変わらない展開を打破するために選手交代に着手する。前半、ほとんど存在感が消されてしまっていた新里に替わって11番福島を52分から投入。この福島を右サイドに入れ、今大会7得点の加藤をFWに入れて勝負に出る。

すると53分、57分に立て続けにチャンスを作り、58分にはトリッキーなCKで「あわや」の場面を作り出す。これで流れは淞南に傾いたかと思われたが、滝二もここから反撃。62分、FKからの流れで放った谷口のミドルはポスト直撃。70分を過ぎると「勝負どころ」とばかりに滝二は猛攻を仕掛ける。

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72分のFKからのチャンスを皮切りに、75分には樋口のヘディングシュートがゴールを襲い、77分にもまたも樋口がゴールを狙うがGK三山がファインセーブで得点を与えない。79分にもCKからゴール前に攻め込むも、またも三山が立ちはだかり滝二はどうしても得点を奪えない。

すると、80分を過ぎたあたりから、完全に「ガス欠」状態となってしまった滝二。そんな相手を尻目にここから淞南の時間帯が始まる。85分、小田が左に展開し中へクロス。これをゴール正面で池田が頭で合わすも枠を取らえられず。そして87分、この試合のハイライトが訪れる。

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池田が中央でボールを持つと、これと同時に加藤も抜群のタイミングで前へ走り出す。その動きを見た池田が縦のスペースへ絶妙のスルーパスを送ると、加藤はオフサイドギリギリのタイミングで抜け出し、GKまで見事にかわすと彼の目の前には無人のゴールしかなかった。

あとはシュートをゴールに流し込むだけだった…

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しかし、無情にもシュートはわずかに枠の外。この日、立正大淞南にとって最大の決定機だったがこれを決めきれられず、第一試合に引き続き、この試合もPK戦に突入する。

PK戦では、一度は5人目の段階で滝二が決めれば勝利という場面まで行くのだが、ここは三山がまたもゴールに立ちはだかりサドンデスへ。6人目はともに決め、勝負は7人目。滝二のキッカー白岩が外してしまい、これを決めれば立正大淞南、いや、島根県勢初の決勝進出という場面だったが、今度は下出がシュートをストップ。

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そして最後は、立正大淞南9人目のキッカー椎屋のシュートが無情にも右に外してしまい滝川第二が決勝戦への切符を掴んだ。

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試合終盤でこそ、相手ゴールに迫り「あわや」のシーンを作り出した立正大淞南だが、試合を通して主導権を握っていたのは、やはり勝利した滝川第二であったことは間違いない。

今年の滝川第二と言えば、自慢の強力2トップばかりクローズアップされるが、彼ら2人を際だたせるサイドプレーヤーに、中盤のコンダクターである香川、土師の存在を忘れてはならない。また、2トップが沈黙したこの日、勝利を引き寄せたのは最後まで我慢し続けた最終ラインであり、まさに全員で勝ち取った決勝戦切符とも言えた。

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さて試合後だが、キャプテンの浜口やエースの樋口は「自分たちが滝二の歴史を変えたかった」と声を揃えた。過去3回滝二は国立の舞台を経験しているが、すべて準決勝で悔しい思いをし続けてきた。だからこそ、歴史を変えたい、そして先輩を超えたいという思いは強かった。

そして、滝二は毎年チームのテーマとなる一文字を掲げているが、今年の一文字は「志」である。キャプテンの浜口は「サッカーは11人でやるから、『十一人の心』と書くこの文字しかないと思って決めました。この仲間とサッカーが出来るのは、次(決勝)が最後になりますが、この言葉のようにメンバーの心が一つになって最後は笑って追われるようにしたいです」とコメントしてくれた。

世間的には、ダブルブルドーザーばかりに注目が集まるかも知れない。しかし、今年の滝二の強さの秘訣とは「みんなの心」が一つになって、目標を目指しているからこそ強いのではないだろうか?

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さて、明日に迫った決勝戦だが、大会前から優勝候補の一つに挙げられていた滝川第二は順当に勝ち上がってきたが、その相手は誰もが思いもよらなかった京都府代表の久御山となり、予想外の「関西対決」となった。

当然ながら、どちらが勝っても初優勝となるが、久御山の「バルサスタイル」が勝つのか、滝二の前からプレッシングしていくサッカーが勝つのか興味深いところ。

栫監督は久御山のサッカーを、関西弁でいう「ややこしいチーム」と評したが、型にはまったプレッシングサッカーではなく、ドリブルやパスワークを多用した変幻自在な相手のサッカーに、滝二はうまく対応できるかがポイントとなってくる。

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序盤は相手3トップの動きに翻弄される時間もあるだろうが、チームが一つになって辛抱する時間帯を乗り切れれば、悲願の初優勝も夢ではないはず。「志」の言葉の下、みんなの心が一つになれるかにも注目したい。

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