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2011年1月 9日 (日)

久御山、PK戦を制して決勝へ

第89回全国高校サッカー選手権
準決勝第一試合 @国立競技場
流通経済大柏 2-2(PK2-3) 久御山
[得点者]
11分安川、74分坂本(久御山)
62分杉山、88分進藤(流経柏)

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大前(清水)、名雪、中里、村瀬、比嘉、小島、上條(流経大3年)や田口(名古屋)などを擁した高校2冠達成時よりも、今年のチームの方が強いと評する本田監督。しかし、ここまでの成績は関東プリンス1部2位、インターハイ3回戦敗退、全日本ユースベスト8と、今年度高体連最強チームと呼ばれる割りには、やや物足りない結果に終わっていた流経柏。だが、最後の大会である選手権ではしっかり勝ち残り、3年ぶりに国立のピッチへ帰ってきた。

流経柏が勝ち上がってきたブロックには、山梨学院、国見、大津、前橋育英、神村学園、室蘭大谷、四中工と全国的に強豪として知られるチームが揃い、最も勝ち抜くのが難しいと思われたブロックだが、優勝候補と呼ばれるだけあり見事に勝ち抜いてきた。

それに対して、1回戦で今大会注目のストライカー・宮市亮を擁する中京大中京に競り勝ってから一気に波に乗り、ノーマークから勝ち上がってきた久御山。そんな絶対本命とノーマークの戦いは、予想外の展開で幕を開ける。

両者とも、キャプテンであり守備の要を欠いた状態で始まった準決勝。流経柏は前日練習で増田繁人が競り合いの際の着地で足首を捻挫してしまい、志願してベンチ入りしたもののスタメンにはその名前は無かった。対する久御山の要である山本大地は、累積警告のため無念の出場停止であった。

[流経柏スタメン]
ーーーー田宮ーーーーー
進藤ーーーーーーー河本
ーー宮本ーーー富田ーー
ーーーー古波津ーーーー
熊田ー本橋ー鈴木ー八角
ーーーー緒方ーーーーー

[久御山スタメン]
坂本ーー安川ーーー鍋野
ーーーーー林ーーーーー
ーー足立ーーー二上ーー
山田ー松下ー塚本ー東松
ーーーー絹傘ーーーーー

さて試合だが、初戦で骨折してしまった中西、ケガのためベンチスタートなった増田という2人を欠く流経柏最終ラインがどうしてもピリッとしない。久御山3トップの動きを捉えられず、さらには足立ー二上のボランチコンビにもいいよういなされてから展開されてしまい、厳しい立ち上がりとなってしまう。

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また、この日は中盤での起用となった宮本だが、普段とは違うポジションのため、試合の流れから消えてしまう場面も多く見られ、これが相手の1年生アタッカーである林祥太に自由を与えてしまう要因に繋がっていく。

序盤から久御山は足立ー坂本の左サイドでの連携が冴え渡り、ここからチャンスを広げていくのだが、先制点は左からではなく真ん中から塚本の縦パス1本から生まれる。11分、最終ラインから縦パス1本が入ると、CF安川はうまく鈴木、熊田の間をすり抜けてそのままシュート! これが見事に決まって開始早々に先制点を奪う。

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流経サッカーの象徴である「鬼プレス」にエンジンが掛からず、球際の争いもこれまでの3試合に比べると力強さが見られない。「何かが違う」と感じてしまう流経柏にサッカーに対し、自分たちらしい繋ぐサッカーだけではなく、果敢なドリブル突破で相手を凌駕した久御山。

本田監督は21分、早くも最終ラインの修正をするために1枚目の交代カードを切らざるを得なくなり、鈴木に替わって竹原を投入。センターラインの引き締めを図ると同時に、守りのリズムからチーム全体の立て直しを着手していく。

最終ラインが落ち着きを取り戻すと、徐々に攻撃のリズムが生まれてくる流経柏。しかし、それでも普段のような連携や流れる展開は少なく、強引な突破ばかりで効果的な攻撃には結びついていかない。そんなもどかしい展開にベンチは吉田眞紀人の準備に入り、43分、川本に替わってついに投入。吉田がトップ下に入り、富田が1列下がって古波津とのダブルボランチとなる4-2-3-1システムに変更する。

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後半に入ると、より攻勢に出てくる流経柏。1点ビハインドの状況が、やっとチームを本気にさせたのか、普段のような鬼プレスも復活し、高い位置で奪って早い展開を仕掛けて久御山ゴールに迫っていく。

そして本田監督は53分に早くも3枚目のカードを切って勝負に出る。この日、精細を欠いていた宮本に替え、杉山を投入しシステムを一番「流経らしい」4-4-2に変えていく。

ーーー杉山ー田宮ーーー
ー進藤ーーーーー吉田ー
ーー古波津ー富田ーーー
熊田ー竹原ー本橋ー八角
ーーーー緒方ーーーーー

2トップに変更してからの流経柏は完全にペースを掴み、55分から怒濤の連続攻撃で久御山をゴール前に釘付けにする。そして62分、吉田眞紀人がキラリと輝く才能を見せつけて、同点ゴールを導き出していく。

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右サイドでボールを持った吉田がペナルティアーク付近までドリブルで持ち込むと、左前のスペースへスルーパス。ここに走り込んだ杉山が見事に流し込み、ついに同点に追いつく。

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同点に追いついたことで、精神的、体力的に優る流経柏の勝利が近づいたかと思われたが、久御山は粘り強かった。同点に追いつかれた後も、なんとか猛攻に耐えるディフェンス陣。時間が過ぎていくと同時に、最終ラインから繋ぐのではなく、ただクリアするだけになっていったが、その粘りがラッキーなゴールを呼び込んでいく。

55分以降、チャンスらしいチャンスのなかった久御山だが、73分に得たセットプレーからの2次展開から坂本がシュートを強引に放つと、これが流経柏DFの足に当たってコースが代わり、流経柏にとってはアンラッキー形でそのままゴールに吸い込まれていった。

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残り時間が15分という時間帯で、再びリードされた流経柏。これまで坂本、足立のアタックにより前に出られなかった八角が、80分以降どんどん前で勝負するようになり、攻撃に厚みを増していく。さらにケガを押しての出場となった吉田も懸命のプレーで攻撃陣を牽引。82分に杉山、85分に熊田、86分に田宮とたたみ掛けるようにシュートを浴びせていく流経柏。そして88分、左サイドでボールを持った進藤が、ドリブル突破から角度のない位置から強引にシュート! これが決まって土壇場で同点に追いつく。

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2-2のまま90分は過ぎ、残された時間はAdditionalTimeの3分間のみとなったが、この時間だけで両チームとも決めることは出来ず、決勝切符をかけたPK戦へ突入する。

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PK戦に関しては、実力よりも「運」の方が左右されるのだが、流経柏のGK緒方は関大第一戦のPKビデオを見ていたことで、その動きの印象が頭に残っていたことにより考えすぎとなってしまい、前橋育英戦のようなスーパーセーブを見せることは出来なかった。また、久御山の方は「PKでラッキー!」と思える余裕が心にあったことが、勝利をたぐり寄せた格好となった。

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試合後の本田監督は「増田不在」を理由にしてはいけないが…と語ったが、正直なところ、誰の目にも増田不在の大きさを感じさせる試合となってしまった。また、これまでの大会では吉田がいなくとも鋭いプレスから、速い攻撃で得点を奪ってきたが、今大会では吉田の個人技、センス頼るシーンが目に付いてしまった。

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さらには、中西のアクシデントなどからベストを組めない不運もあったが、春先から「レギュラーは30人です」と言った分厚いはずだった選手層だが、大一番でその力が発揮されなかったのはなんとも残念である…

それでも本田監督は「これからも指導法やスタイルは変えない」と明言。確かに、実力では間違いなく今年一番のチーム(もしくは一番を争うチーム)であったことは間違いない。しかし、それが大会で優勝するということには結びついていかないもの。勝負というのは「時の運」もあるのだから。

2年生の古波津、宮本、竹原などは「またここに戻って来れるように頑張ります」と表彰式のあとに語ったが、本田監督とともに、ハイプレス、ハイスピードサッカーをもっと追求した姿を4月からまた見せて欲しいところである。

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さて、決勝に駒を進めた久御山だが、京都代表としては1992年(71回大会)以来18年ぶりの決勝進出。当然、久御山としては初の決勝進出。さて、準決勝は出場停止だったキャプテン山本は、決勝のピッチに立つこととなるのだが、今度はコンビを組む塚本が出場停止と、またも頭の痛い悩みが残った久御山。

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しかし、攻撃陣は出場停止者がいないこともあり、準決勝と同じメンバーで戦える久御山。準決勝で流経柏を大いに苦しめた「ドリブル」が、また国立のピッチで躍動すれば栄冠を手にすることも不可能ではないはずだ。

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