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2010年12月19日 - 2010年12月25日

2010年12月25日 (土)

夏の雪辱を果たした中京大

全日本大学サッカー選手権
準々決勝 @西が丘
駒澤大学 1-2 中京大学
[得点者]
80分肝付(駒澤大)
55分藤牧、88分森本(中京大)

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夏の総理大臣杯・決勝戦カード、再びとなった一戦は、中京大の成長が読み取れる試合となった。

[駒大スタメン]
ーーー肝付ー山本ーーー
ーーーー碓井ーーーーー
ー金久保ーーーー奥村ー
ーーーー笠井ーーーーー
亀井ー林堂ーー金ー酒井
ーーーー石川ーーーーー

[中京大スタメン]
ーーー藤牧ー斎藤ーーー
ー星野ーーーーー平山ー
ーーー佐藤ー熊沢ーーー
須崎ー中田ー森本ー小川
ーーーー石川ーーーーー

夏の総理大臣杯では守備的な戦術を駆使して、決勝まで勝ち進んだ中京大。このチームはいつも守備的に戦っているのか? と思ったほどの戦い方だったが、東海大学リーグではリーグ最多となる60得点を挙げ、2位フィニッシュでインカレ出場権を得てきた。

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そう、西ヶ谷監督ははっきりと総理大臣杯での戦い方を「オプションの一つ」であると語り、リーグでの戦い方、全国大会での戦い方を敢えて違うものにしてきた。ちなみに、夏の基本システムは下記のような4-1-4-1であり、時には石原が最終ラインに入る5-4-1という場面もあった。

[中京大/夏の基本型]
ーーーー斎藤ーーーーー
石原ー佐藤ー熊沢ー星野
ーーーー森本ーーーーー
平山ー須崎ー中田ー小川
ーーーー石川ーーーーー

夏から秋にかけての成長もあり、総理大臣杯のような極端な守備的システムを立ち上がりから敷いてこなかった中京大だが、この日も自慢の堅守が冴えを見せていく。

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試合は基本的に、「いってこーい!」と言うような、ガンガン長いボールを2トップ目がけて放り込み、それを前が必死に競り合い、2列目がセカンドを拾って展開という、いつもの駒大サッカーが繰り広げられる。ただ、この戦い方に関しては、中京大も織り込み済みであり、セカンドボールへの寄せを早くすることで駒大の攻撃にうまく対応していく。

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しかし、中京大にとってやっかいだったのは、ロングボールだけではなく、両サイドから飛んでくるロングスローも脅威となり続けたことだ。特に前半は追い風をうまく利用したため、それほど危険な位置ではない場所からでも、ゴール前まで鋭いボールが入り、毎回セットプレーのピンチを迎えるような時間帯が続いていく。

それでも中京大守備陣は慌てずに対応。ボランチの熊澤は、時にはアンカー役となり相手の攻撃を摘み取り、もう一人のボランチの佐藤は積極的に前へ出て、攻撃を組み立てていく。

しかし、前半は互いに決定的場面まで持ち込めないまま、試合は後半戦に突入。

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さて後半だが、試合のペースを掴んだのは中京大であった。5分、7分と立て続けにチャンスを作り勢いを得た中京大は、スーパーサブ的役割の中村亮太を投入。その直後、中村が中盤に入ったことで、右SBに回った平山のオーバーラップからチャンスが広がり、中に素晴らしいクロスを入れる。これを待っていた藤牧が蹴り込み、中京大が先制。

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ズバリはまった交代策とシステム変更。一つの戦い方の枠にとらわれず、いろいろな戦い方を局面ごとに取り入れてきた中京大の「本領発揮」という場面でもあったのだが、その後も「らしい」戦い方を披露する。

先制点を奪われたことで、駒大ベンチは奥村を下げFW大塚を投入。前を変則的な3枚にしたことで、よりパワープレー的なサッカーに舵を切る。それに対して中京大も臨機応変に対応し、3バックや5バックと相手の交代ごとにシステムを変えていく。

だが、前を増やしたことで、駒大は碓井の存在感が薄まってきてしまう。ボールは常に碓井の上空を通過する。さらに、後ろの枚数を厚くし、熊澤もアンカーの位置で常にセカンドを狙っていることもあり、1年生司令塔はどんどんゲームの中で孤立していく。

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なかなか局面を打開できない駒大は、碓井に替えて濱田を投入。この濱田を左SBに入れ、亀井がCBにスライドし、金を中盤に上げる。とにかく、1点を求めてラッシュを仕掛ける駒大。なんとかこれを凌ぐ中京大。しかし、一瞬の「間」が駒大に同点を呼び込むこととなる。

79分、選手が痛んだこともあり、スローインからのリスタートで若干のインターバルが生まれるのだが、ほんの一瞬だが、中京大守備陣に気持ちのゆるみが生まれてしまう。ここまで、集中を切らさなかった守備陣だが、この場面のスローインで対応が遅れ、あっという間に左サイドを破られ大塚が中にクロス。これに肝付が飛び込んで試合を振り出しに戻す。

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中京大にとっては、総理大臣杯を思い出させるイヤな展開だった。しかし、あの時から大きく成長した中京大はそれでも慌てなかった。ベンチからも「チャンスはある」と檄が飛ぶなか、終了間際の88分、右サイドでFKのチャンスを得る。

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キッカーは佐藤。右足で放たれたボールは、ニアで待っていた森本が頭で合わせ、ついに中京大が勝ち越し。

そして試合はロスタイムへ。残された時間は4分。駒大は、金も最前線に上がるなど、怒濤の攻撃を見せるのだが、バイタルエリアに壁を築き上げる中京大ディフェンスをどうしても攻略できない。ラストの酒井のシュートもバーに嫌われ万事休す。

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夏はパワーで押し切った駒大だが、冬は中京大の成長の前に逃げ切られた格好となったこの試合。確かに、中京大の成長というか、選手それぞれの戦術理解度の高さは目を見張るものがあった。複数のポジションをこなし、ベンチの指示だけではなく、選手同士の判断でシステムを変えるなど、臨機応変さは抜群であった。

そして、夏はカウンターにセットプレーばかりであったが、冬のこの大会では主導権を握りながらチャンスを作るなど、攻撃面でも良さが出るようになってきた。

それに対して駒大は、夏から秋の成長はあまり見られなかった。良くも悪くも「駒大らしいサッカー」に終始したのだが、守備を固める相手に「押しの一手」ばかりでは、そう簡単に崩せるわけがない。

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勝つための方法論には、いろいろな道があり、どれが正解とは言えない部分もあるのだが、この日は駒大の「信念」よりも、中京大の「柔軟さ」が上回り、準決勝に駒を進めた。

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さて、準決勝の相手は明治大学を破った高知大学。間違いなく、今大会で一番波に乗っているチームといえるはず。さらには攻撃力が自慢と言うこともあり、中京大は再び守備的な戦い方を取ってくるはず。しかし、高知大は駒大とは違って前に放り込んでくるだけではない。西ヶ谷監督もその点はしっかり理解しており、また違った対策を準備している。

現状では、両者の攻撃力を比べた場合、高知大の方が上かも知れないが、夏に実績を残した「一撃必殺」は冬も健在。リーグ戦で見せた攻撃的サッカーが、仮に披露できなくとも、戦い方の幅が広い中京大は、高知大にとってもっともやりにくい相手である。

勝つのは堅守なのか? はたまた攻撃力か?
準決勝は明日26日、平塚で行われる。

2010年12月24日 (金)

高知大、明大も撃破

全日本大学サッカー選手権
準々決勝 @西が丘
明治大学 0-2 高知大学
[得点者]
17分福本、90+3分香川(高知大)

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高知大が鹿屋体大に勝利して2回戦(準々決勝)進出が決まった時点から、新潟経営大には大変申し訳ないが「明治は次の戦いが非常に厳しいものになるだろう…」と感じていた。それぐらい、1回戦で高知大学は素晴らしい試合を見せてくれたのである。

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さて明大だが、リーグ戦後半から山田、小林というチームの中核を欠きながら戦いが続き、さらには宮阪、丸山の両名は大学選抜遠征での疲労もあり、決して万全のコンディションではない状態であり、今大会でもメンバー構成において苦しいやりくりが続いていた。

万全の試合で完勝した高知大。圧勝したものの、どこかに不安を抱え続けていた明大の戦いは、1回戦終了後の予感が的中する試合となった。

[高知大スタメン]
ーーー福本ー布施ーーー
ー芝野ーーーーー香川ー
ーーー酒井ー西山ーーー
塚本ー山部ー實藤ー赤木
ーーーー片山ーーーーー

[明大スタメン]
ーーー久保ー山本ーーー
ー三田ーーーーー田中ー
ーーー宮阪ー豊嶋ーーー
奥田ー吉田ー松岡ー鹿野
ーーーー高木ーーーーー

1回戦とまったく同じスタメンの高知大に対して、明大は宮阪がスタメンに復帰し、三田を左アタッカーに置く布陣でスタート。

立ち上がりこそ、互角の展開を見せた両者。ともに繋いでいくサッカー、そして連動が生み出す美しいサッカーを目指す同士ということもあり、スピーディでテンポのいい流れで試合は進んでいく。

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16分、明大陣内右サイドで松岡が相手を倒してしまいFKを献上。そしてここで1枚目のイエロー。高知大のキッカーは西山。フワっとした浮き球のボールが入ると、ゴール前で待っていた福本が左足で合わせて高知大が先制。この場面、早いボールを警戒していた明大守備陣。しかし、入ってきたボールはややゆるい浮き球であり、完全に裏をかかれた格好となり、一瞬のスキが生まれたことで福本をフリーにしてしまった。

ここからは、高知大の一方的なペースとなっていく。1回戦同様、福本、布施、芝野、香川の攻撃陣が冴え渡り、明大守備陣を翻弄。さらにこの試合でも、西山ー酒井のボランチコンビが攻守に渡って大車輪の活躍を見せる。明大がボールを奪っても、ボランチ2人の早い寄せにより、そこから先の展開が生まれない。

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高知大攻撃陣の「個」の力の前に守備陣は混乱し、攻撃においても相手の組織的守備の前に、何一つ良さを出させてもらえない。この日は先制された焦りから、普段のサッカーを完全に忘れてしまう明大。神川監督は「落ち着け!」「時間はあるんだから」と、選手に檄を飛ばすのだが、なかなか届かない。明大らしいコンパクトなサッカーも、早い連動も封じ込められ、らしさを奪われた明大は次第に「自滅」のような形でボールを奪われ続けて、ペースを取り返せないまま前半を終える。

すると明大は、後半から宮阪に替わって矢田を投入。矢田を1回戦同様、左アタッカーに据え、宮阪の代わりに三田をボランチにスライド。神川監督は当初、初戦と同じスタメンで行こうと考えていたのだが、矢田のコンディションが良くないこともあり、この日は宮阪で行けるところまで行って、勝負どころまで矢田は温存したいと考えていた。試合終盤の勝負か懸かった場面で、矢田の突破力、スピードに託すことを描いていたのだが、予想よりも早くテコ入れが必要となってしまったのだった。

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しかし、後半に入っても高知大ペースは全く変わらない。開始直後、香川が持ち込んで福本にラストパス。決定的な場面を迎えたが、ここはGK高木が渾身のセーブで福本のシュートはじき出す。

そして48分、試合の流れを完全に決めてしまう出来事がおこる。福本の動きに翻弄され続けた松岡が、この日2枚目のイエローで退場となってしまう。1点のビハインドを追う展開でありながら、数的不利で戦うことに。すぐさま、明大・神川監督はCBのポジションに丸山を投入し、システムをワンボランチの4-3-2に変更。

だが、こうなってなってしまうと、簡単に流れを引き戻すことはできない。最後は最終ラインを3バックにして、中盤を4枚にした攻撃的布陣に出るのだが、實藤、山部が立ちはだかる高知大最終ラインの前に、シュートすら打たせてもらえない。

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90分をまもなく過ぎようとするころ、ロスタイムを示す「3」という数字が場内に表示される。残された時間でなんとか追いつきたかった明大だが、ここでも焦りを見せてしまい、香川にボールを奪われるとそのままドリブル突破を許してしまう。上がっていた最終ラインは追いつくことは出来ず、残された砦はGK高木のみ。香川は高木の動きを冷静に読み取り、ゴールに流し込み欲しかった追加点を奪い、そのままゲームは終了した。

明大のチグハグな攻撃、そして退場劇があった。
しかし、それ以上に高知大の動きは素晴らしかった。前線のアタッカー陣だけではなく、全体の鬼プレスがあったからこそ、明大は本来の動きを封印されてしまった。「自滅」という言い方も出来るかも知れない。だが、自滅に追い込むまでの「必然的な流れ」がこの試合にはあったのである。

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素晴らしすぎる内容で勝利した高知大。
ダークホースから、一気に優勝候補筆頭に登り詰めたと言っても言い過ぎではないだろう。

高知大学・野地照樹監督はベンチで一人、涙を流していた…

そして試合後、監督はこのように話をしてくれた。

「素晴らしかった…(試合内容であり、自分たちの選手の出来に対して)

今年の秋、関東リーグの終盤戦4試合を視察したのですが、どれもハイレベルな試合で内容に感動しました。特に明治の試合は、最後の最後で追いついた劇的な試合(11/13 2-2 中央大学)で一番おもしろかった。大学選手権の組み合わせが決まったときに、勝ち上がればその明治とやれるということもあり、私だけではなく選手の意識も非常に高かったです。

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ただ、その明治にどうやれば勝てるのかわかりませんでした。ビデオを見ましたが、スキルは非常に高く、戦術眼も高い。ただ、いろいろな指導者に聞くと『先制するしかないですよ。先制されると意外にもろい。しかし、先制されたら厳しいですね』と言われましたが、試合をしてみてその言葉の意味はなんとなくわかりました。

試合前、特に明治だからということは意識せず、『自分たちのサッカーをしよう!、そしてサッカーを楽しめ』ということだけを徹底させてきました。ただ、選手には『相手は前の試合で11点取っているから、選手に絶対に隙があるはず。監督(神川さん)は気持ちを引き締めろと言っていると思うが、選の心のどこかには隙はある。この試合、隙を見せた方が負けとなるから、絶対に隙を見せないでプレーしよう』とだけは伝えましたが、これが結果に繋がりましたね。

過去に、総理大臣杯で準優勝し、今年の大会でもベスト8まで勝ち残り、勝負出来るメンバーが揃っていたと思います。また、その中でも4年生がしっかり主力になりチームを引っ張っていたこともあり、大会前に『もういちどしっかり勝負しよう』と声を掛けました。

ただ、この勝利は流経大の中野さん(中野雄二総監督)のおかげでもあります。

ウチのような地方の大学は、遠征の際に練習場を確保するのが大変なのですが、流経大さんのご厚意でグラウンドやトレーニング施設を利用することが出来、そしてトレーナーまで手配してくれました。最高の環境で、最高のケアがあったからこそ、いい準備が出来ました。流経大の練習場で『ウチ(流経大)はインカレに出られず悔しい思いをしましたが、その分高知大さんには頑張って欲しい』と中野総監督に言われましたが、これに対して最高の形で応えられたと思います」

さらには、近年力を着けてきたことに対してはこのように語ってくれた。

「国立大学でもありますから、学業との両立が絶対だし、ウチから率先して選手をスカウトすることはありません。限られた予算、限られたメンバーの中でしか出来ませんが、その中でどうしたら関東や関西の有力私学と同等のサッカーができるか考えながらトレーニングを続けています。

私がここ(高知大)に来て、33年になりますが、一つ一つ階段を上り詰め、やっとここまで成長してきました。また、今年から、徳島、愛媛、岡山、広島といったJクラブと結成した『中四国サテライトリーグ』が生まれ、これにより高いレベルのチームと試合できるようになったことが、チーム全体の底上げに繋がりました。

特に、11月29日に行われた岡山戦が、チームに大きな自信を与えましたね。この試合、前半は何も出来ませんでしたが、もっと自信をもってプレスをかけようと声を掛けて後半に突入すると、格上に対しても臆すことなく自分たちのサッカーが出来るようになり、今のベストと呼べる形が完成したんですよ。

ただ、ウチはあくまでも『雑草』です。雑草のごとく、ひたむきに戦うだけですよ…」

確かにメンバーを見れば、名のある選手はアジア大会日本代表に選ばれた實藤友紀のみ。ただ、彼とてU-17日本代表であったものの、高校サッカー選手権の出場経験はない。その他のメンバーでも、高校時代に全国経験しているメンバーはごくわずか。また、関東や関西の有力チームの大半は整った専用施設を持っているが、高知大にはサッカー部のためだけの施設は無いに等しく、いまだに土のグラウンドの上で練習している状態だ。

さらには、関東や関西のリーグ戦とは違い、試合数も少なければ競い合う強豪校も少なかった。地域的なハンディ、国立大学としての制約などが絡み、長い間全国の強豪から大きな差をつけられていたが、野地監督の粘り強い指導により、平成4年度に行われた第41回大学選手権にて、四国勢として初のベスト4に入り、その後の平成8年度でも再びベスト4進出。そして平成14年、20年の総理大臣杯でもベスト4に入り、21年大会では優勝こそ逃したものの、ついにファイナリストの地位まで登り詰めた。

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いい選手がいなくても、いい環境が無くとも、サッカーへの情熱、そして「サッカーを楽しむ心」があれば、一歩一歩だが着実に成長する。野地監督の信念と、選手それぞれが「地方でもやればできる」という気持ち続け、これが融合したことにより、全国の強豪に肩を並べるまでに成長したのである。そして、無名と言っても過言ではない存在ばかりだった選手も、高校時代、選手権や全日本ユースで活躍した選手たちに対しても、まったく劣ることはなかった。いや、それどころか、布施や香川、芝野といったアタッカー陣は、誰よりも輝きを放っていた。

さて、高知大学だが、26日に中京大学と準決勝を行うが、たぶん明大以上に手こずる相手となるだろう。

総理大臣杯で見せた堅守速攻のサッカーは、やはりインカレでもその力を発揮している中京大。間違いなく、高知大は攻める時間は多いかも知れないが、攻守の切り替えが一歩でも遅れることがあれば、中京大の鋭いカウンターの餌食になるはず。そして抜け目なく狙ってくる、セットプレーも要注意だ。

中4日から、中2日の強行軍で迎える準決勝。高知大は明大戦のように、いい準備をして試合を迎えることが出来るだろうか? そして、堅守を誇る相手に対しても、1回戦の鹿屋体大戦のように粘り強く行けるかがポイントとなってくる。

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さて、敗れた明大神川監督だが、開口一番「完敗でした…」とコメント。また、この日のスタメン起用で迷いがあり、それが結果的に采配ミスに繋がってしまったことも素直に認めてた上で、このように語ってくれた。

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「相手の速いプレスの前に、ウチの攻撃は完全に寸断されてしまいましたね。そして高知さんが最後まで足が止まらなかったのも驚きでした。完敗です。

相手の(前線の)4人には、個の力でも負けてしまいましたが、組織的な動きや守備に関しても明治は負けてしまいました。本当、今の大学サッカー界は、全国的な地域ハンディはもうないと思いますね。

ただ、今年はリーグ戦にしても、総理大臣杯にしても、インカレにしても、どの学校も『明治に勝とう!』と意気込んで来ていましたね。そういう意味では、ウチは相手の底力を発揮させる『引き立て役』になっていましたね(笑)。まあこのように、全国の強豪からマークされることは、非常に嬉しいことであり、認められた証拠だと思っています。

そんな中でも、タイトルは1つ取れたし、全国大会にも全部出られたので満足はしています。また、メンバー構成で苦しむ中でも、控えの選手たちが成長してくれたこともあり、大きな穴が空くこともなくシーズンを乗り切りました。ただ、今はそれほど悔しくないですが、明日以降、悔しさが奥からわき出てくるのでしょうね… 

これで4年生は引退となりますが、今年残してくれた財産は本当に大きなものでした。これを下級生たちがどう活かすか楽しみなところです」

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結局、最後まで山田、小林の両名は復帰出来ないままに終わってしまった今年の明大。彼らにとって、前期は最高のシーズンであったが、後期はやはり不満の残るものであったが、その悔しさをJリーグという次のステージでぜひ晴らして欲しいものである。

そしてこの日は敗れてしまったが、今年1年を振り返れば「層の厚さ」を実感させる1年であった。

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前期までは4年生が中心となってチームを牽引してきたが、後期にはいると矢田旭、梅内和麿、野間涼太といった1年生たちが急成長を遂げ、さらにチーム内競争が活性化され、盤石の体制を築いていった今年の明治。来年も、関東を引っ張るのは「紫魂の勇者」であると感じさせた後半戦でもあったはず。

大学3冠、そして天皇杯ベスト8という目標を立てていたのだが、結局のところ関東リーグ制覇のみで終わってしまった今年の明大。天皇杯に関しては、かなり「夢」な目標であるが、大学3冠に関しては、決して出来ないことはないと考える。

当然、今年のチームでもコンディション次第で目標達成は可能であっただろうし、来年以降のチームでもその思いは変わらない。今年の4年生が果たせなかった目標を、下級生達が達成できるか、この先も見守っていきたいところだ。

2010年12月20日 (月)

2010JFL入替戦2ndレグ

2010JFL入替戦2ndレグ @浜川
アルテ高崎 1-1 三洋電機洲本
[得点者]
19分太田(洲本)
90+1分吉田(高崎)

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初戦で3-0と快勝し、JFL残留に向けて大きなアドバンテージを得たアルテ高崎。

入替戦2ndレグだが、アルテは2点差以内での負けでも残留が決まることから、かなり余裕があると思われていた。しかし、後藤監督も選手も、後期はホーム(浜川)で勝っていないこともあり、「絶対に勝って終わろう」という決意を強くしてこの戦いに挑んできた。

さてアルテだが、初戦に引き続き悩みの種を抱えていた。JFL最終戦での退場処分により、出場停止だった小川祐史は2戦目に出場可能となったが、入替戦1stレグでFWの松尾が退場となり、この試合では出られない。

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後藤監督は、初戦での戦い方を見て、2戦目は蹴り合う時間が多いだろうと予想。そうなったときに、前線で競り勝てる人物がどうしても必要であると考え、DFの小柴翔太を松尾の代役として2トップの一角に起用。

[アルテスタメン]
ーーー白山ー小柴ーーー
吉田ー岩間ー小島ー神谷
山田ー増田ー小川ー秋葉
ーーーー岩舘ーーーーー

[三洋洲本スタメン]
ーーー梅川ー中尾ーーー
ー森川ーーーーーー沈ー
ーーー村上ー成瀬ーーー
森田ー新居ー太田ー友定
ーーーー浅野ーーーーー

後藤監督は今週1週間のトレーニングで、「先週の3-0は忘れろ。試合の入り方は非常に大事。とにかく、集中して試合に入ろう」と選手に伝えていたのだが、監督の思惑とはまったく逆の「フワッ」とした不安定な立ち上がりを見せてしまう。

開始直後から、3点差のビハインドを取り返そうと、必死に攻め立てる洲本。アルテの守備が浮き足立っていることもあり、ボランチの村上がフリーになる場面が何度も訪れ、ここからサイドに展開して相手を揺さぶる攻撃を続ける。序盤からペースを握った洲本は19分、セットプレーのチャンスから、上がっていた太田が混戦のゴール前でいち早くボールを蹴り込み洲本が先制。

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確かに洲本は攻め込んでいたものの、3点という大きな壁もあり、どことなくアルテが「守りきれる?」という空気も流れていた浜川競技場。しかし、1点入ったことで、入替戦特有の緊張感も生まれだしていく。

アルテも1点を奪われてから、目が覚めたのか岩間にボールが集まりだし、やっとボールを繋ぐ「らしいサッカー」の片鱗が見えだしてくる。だが、どちらが優勢かと言われれば、やはり洲本。アルテはボールは回るようになったが、守備が甘い、相変わらず、ボランチの位置のスペースが気になるとところであったが、そこを村上は逃さず、ミドルレンジからシュートを放ち、アルテゴールを脅かしていく。特に33分のミドルは、岩舘のスーパーセーブがなければ、確実に2点目を決められていたところだ。

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前線、中盤の守備は甘いものの、最終ラインとの踏ん張りと、岩舘の奮闘があり、2点目を与えないアルテ。後半に入ると、起点としてボールを納めるプレーがイマイチだった小柴に代え、一柳を投入。そして前半で負傷していた秋葉から川里という交代カードをここで切ってくる。

この交代で活性化されたアルテは、2分の神谷のシュートを皮切りに、試合のながれを徐々に取り戻していく。また、洲本の動きも前半より、やや重さが感じられる。最初から飛ばしてきたツケが、ここにきて顔を見せはじめて来たのだ。

後半中盤に差し掛かると両者のラインが間延びしだし、ともにスペースが生まれることで、ノーガードの撃ち合いのような試合に変わりだしていく。両者に決定的な場面が訪れるのだが、どうしても点を奪えない。アルテとしては、この得点力不足が17位という順位で終わった大きな要因であるのだが、ここでもその悪い「癖」が出てしまう…

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試合終盤、なんとか2点差を追いつくために、死力を振り絞って攻撃に出る洲本。途中交代の稲垣、廣瀬が立て続けにアルテゴールにシュートを浴びせていくのだが、すべてシュートは岩舘の正面。刻一刻と時間が無くなっていく洲本。第4審判はロスタイムを目安を知らせる「3」という表示を場内に示す。

残された時間は3分。ここから2点を返せるか? であったが、ここでピンチを凌いだアルテが一気に逆襲。カウンターから素速く展開し、最後は吉田が蹴り込んで、欲しかった1点を最後の最後で奪い、やっとチームに安堵の表情が生まれた。

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洲本としては、あまりにも痛すぎる失点。試合はこのまま1-1のドローで終わり、トータルスコア4-1となり、アルテ高崎のJFL残留が決まった。

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正直に言えば、自分だけではなく、後藤監督も、戦っていたアルテの選手たちも、そして会場に訪れていた観衆も、なんとなく釈然としない試合内容でもあった。

試合後に、キャプテンの岩間選手に話を伺ったが、「決して3点のリードがあったから、(2点差以内なら)負けでもいいというつもりではなかったし、勝って終わるつもりだった」と答えてくれたのが、ホームで見せた試合は紛れもなく、後期に全く勝てなかったアルテと同じ姿。

シーズン序盤、中盤がフラットに並び、攻守の切り替えの早いサッカーに「可能性」を見せていたアルテ。名のある選手はほとんどいない。それでも、トレーニングすれば「ここまで戦えるようになるのです」ということを見せつけてくれた後藤アルテ。だからこそ、後期の戦いに期待をしていたのだが、得点力不足から来るリズムのズレが最後まで悪影響を及ぼしてしまい、前期の「いい流れ」を取り戻すことが出来なかった。

さて、後藤監督だが、試合後にこのようなコメントを残してくれている。

「とにかく胃が痛いです(笑)

JFLというカテゴリーから落ちたくないという意識が強すぎて、メンタル的に難しいゲームだった。

地域決勝を市原で見たときに、(洲本は)早いカウンター、チームワークの良さが目に付き、手強い相手だと思っていましたが、1戦目はまったく元気が無くウチがしっかり勝てましたが、今日は市原の時のように元気がありましたね。

選手には「集中しよう」とお願いしていたのですが…

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この入替戦を戦ったことで、何を得たということは特にありません。ただ、監督しても、選手としても『もう2度とやりたくない』ということだけは強く感じました。この『やりたくない』という思いが、来季の教訓になり、選手の闘争心、そして「勝ちたい」という強い気持ちに繋がってくれればと思います」

そして来季については、「まだ白紙」としたものの、このように語ってくれている。

「先のことはわかりせんよ(笑) ただ、自分がやるのであれば来季は3年目。1年目はとにかく守備の再構築のみでやってきた。今年は守備面でのベースがあったので、攻守の早い切り替えが出来るチームになるようにトレーニングを続けた。先のことはわからないけど、3年目があるならばこれまで積み重ねてきたものをベースに、もう一段上のサッカーを目指したいね」

内容はどうあれ、JFLに残ったアルテ。
この日は相手のカテゴリーが下であったからこそ、負けはしなかった。だが、相手が同カテゴリーであれば、負けていた可能性を感じさせるゲームであった。

確かに、アルテの勝てない要因は決定力不足であることは間違いない。しかし、決定力不足に関しては、どのカテゴリーでも同じ悩みは付いてきて回っている。その課題を克服するため、どのチームを工夫や試行錯誤を続けているのだが、アルテはどのようにして答え(やり方)を示していくのであろうか? 残念ながら、クラブに優秀なストライカーを獲得する資金力はない。だとすれば、一からチームを作り直すより、後藤監督の続投という方針が、現状で一番いい選択なのではないだろうか?

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得点力不足解消と同じく、チーム作りにおいても資金力のあるクラブは、そのマネーパワーにより1年で強力なチームを作り上げるが、そうでない場合の方が大半である。であるなら、2年、3年というサイクルでチームを作り上げることがベターであり、その中で種を蒔き、芽を伸ばし、花を咲かせるという「3年」のサイクルがベストであるはず。

そしてアルテは、後藤監督が続投すれば「3年目」となるのだが、このままの体制で花を咲くところをぜひ見たい気もするのだが、果たして現実はどうなるのだろうか…

今は、いち早くクラブが「来季体制」を発表することを望みたい。

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さて、敗れた三洋洲本の稲葉監督だが、ここまで勝ち上がってきてくれたチームにねぎらいの言葉をかけて、このように言葉を続けてくれた。

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「勝ちきれなかったが、ここまで選手たちは精一杯やってくれまして、本当に誇りに思っております。

ホームで0-3と敗れたこともあり、最低でも3点取って勝とうという意識で試合に入り、いい時間帯で1点取れました。ただ、欲を言えば前半でもう1点が欲しかったですね。

昨年は地域決勝に出たものの、1次ラウンドで敗退。しかし、今年はJFLが『あともう少し』というところまでたどり着くことが出来ました。チームが年々成長している姿を見せられて本当によかったです。技術、スピードでは、まだまだ格上には負けているかも知れませんが、諦めない気持ち、チームワークでそれを補うことが出来ていたと思います。

選手はそれぞれ力を着けてきているので、来年はこれまで以上に『勝負にこだわる姿勢』もっとを見せて欲しいですね」

結果的には戦前の予想通り、アルテに勝ち切れなった三洋洲本。しかし、地域決勝1次ラウンドから見せつけた「粘り」は、十分通用するところを見せてくれた。惜しいかな、この日の試合を初戦で出来ていれば、もっと僅差の戦い方ができたのであろうが…

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決勝ラウンドに残った4チームの中で、大変申し訳ないのだが一番戦力的に劣っているかも知れないと感じたのは三洋洲本だった。だが、前評判など本当に役に立たないものである。いざ、大会に突入すると、そんな下馬評を跳ね返し、見事に洲本は3位に入った。入替戦でこそ、格上に跳ね返されてしまったが、シーズン序盤の西日本大会から、年末の入替戦まで長いシーズンを戦ったことで、選手だけではなく監督にとっても大きく成長した1年となり、かけがえのない経験をすることとなった。

これまで以上に「濃い1年」を過ごした洲本。浜川で流した涙が、来季の歓喜となることを願いたいところだ。

2010年12月19日 (日)

明大、11得点の圧勝劇

第59回全日本大学サッカー選手権
1回戦 @西が丘サッカー場
明治大学 11-0 新潟経営大学
[得点者]
20・65分山本、26・45+1・63分久保、31・57分田中、48分オウンゴール、72分三田、88・90+2分星野(明大)

今年の夏に行われた総理大臣杯でも1回戦で激突している両者が、インカレ1回戦で再び対戦。新潟経営大学としては、夏からの成長を見せたいところであったが、逆に「明治の底力」をまざまざと見せつけられることとなる…

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[明大スタメン]
ーーー久保ー山本ーーー
ー矢田ーーーーー田中ー
ーーー三田ー豊嶋ーーー
奥田ー吉田ー松岡ー鹿野
ーーーー高木ーーーーー

[新潟経営大スタメン]
ーーー田原ー田中ーーー
ー金ーーーーーー金沢ー
ーーー早坂ー渡邉ーーー
早川ー高橋ー山本ー菊地
ーーーー黒木ーーーーー

全日本大学選抜・チャイニーズタイペイ遠征(12/12〜12/17)メンバーに、明大の高木(GK)、丸山(DF)、宮阪(MF)の3選手が選ばれており、この試合への出場は難しいと思われていたことで、1回戦のシステムがどうなるか注目されていた明大(結局、GK高木のみスタメンで出場)。

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丸山の穴に関しては、関東大学リーグ終盤戦で復帰した吉田が素晴らしい活躍をしていることもあり、吉田ー松岡のコンビをそのまま使うことは予想されていた。そして、センターバック以上に「どうするのか?」と思われたボランチだが、シーズン当初は不動のレギュラーだった小林はいまだに負傷が癒えてはいない。後期に入って小林の穴は三田が台頭してきたことでカバーされていたが、今度は宮阪がいない。はたして誰が代役となるかと思われたのだが、その人選は意外な人物だった。

そのポジションに入ったのは、今シーズンサイドバックで出場していた豊嶋だった。

このチョイスはちょっとしたサプライズであったが、神川監督は「誰が出てもクオリティが下がるようなことにならないようにトレーニングしています」と語ったとおり、メンバーが替わっても明大らしいサッカーは不変であった。

さて試合についてだが、正直にいえば90分間、新潟経営大学は何もやらせてもらえないまま、完膚無きまでに叩きのめされた格好である。

選手個人のスキルの違い
戦術完成度
球際の強さ
ポジショニング

どれをとっても新潟経営大学は残念ながら勝てなかった…

大敗の中でも、まだ前半は良かった。運動量でもメンタルでも、なんとか食らいついていこうという気概は見えたのだが、後半開始早々の久保が右から上げたクロスをDFとGKのミスからオウンゴールとしてしまった瞬間から、完全に集中が切れ、試合とならなくなってしまう。

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その後は、言い方は悪いが「明大の攻撃練習」のような時間が過ぎていくだけ。交代出場した宮阪、日野、星野もそれぞれ役割を果たすなど、連覇に向けて最高の滑り出しとなった明大。

ここまで差が開いてしまうと、特にここが「良かった」という点が逆に探しにくいのだが、あえて1つ挙げるとすると、アシストとして記録されてはいないものの、右サイドバックの鹿野の働きを特筆しておきたい。

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明大の2点目、3点目は、ともに鹿野の大きなサイドチェンジから得点シーンが生まれているのだ。視野の広さもさることながら、正確なロングキックも高く評価したい。

目立ちはしないものの、自分の役割をしっかりこなせるプレーヤーがいる明大はやはり優勝候補であることは間違いない。さらには、この日ハットトリックを達成した久保に、2ゴール4アシストの山本の「4年生2トップ」は、最後の大会ということもあり、気合いの入り方も違っている。

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ただ、この試合の前で鹿屋体育大学に勝利した高知大学もかなり侮れない相手。いくらこの日11点を取ったからと言って、次の相手で同じ試合が出来るとは到底思えない。いや、逆に非常に苦しい試合になるであろう。

好調を維持する明大だが、好調であるからこそ、この日のメンバーのままで2回戦に挑むのか? それとも、宮阪、丸山を含めたメンバーに替えてくるのか? 敵と闘う前に、まずは味方との戦いに勝たなければピッチに立てない明大サッカー部。

高知大との一戦も楽しみだが、その前にどんなスタメンを並べてくるかも興味深いところだ。

インカレ1回戦、高知大完勝

第59回全日本大学サッカー選手権
1回戦 @西が丘サッカー場
鹿屋体育大学 0-2 高知大学
[得点者]
99分芝野、105分竹内(高知大)

ともに地方大学とはいえ、近年は都市近郊の有力大学と同等の力を有するようになった者同士の対戦が1回戦で実現。当初はかなりの接戦になるかと思われたこの試合だが、予想外のゲーム展開で終始進んでいくこととなる。

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[高知大スタメン]
ーーー福本ー布施ーーー
ー芝野ーーーーー香川ー
ーーー酒井ー西山ーーー
塚本ー山部ー實藤ー赤木
ーーーー片山ーーーーー

[鹿屋体大スタメン]
ーーー大山ーー岡田ーーー
ー多田ーーーーーー岩崎ー
ーーー野林ーー村川ーーー
山﨑ー與那嶺ー代田ー前田
ーーーーー井上ーーーーー

メンバー表を見たときに、鹿屋体大の方に「期待の選手」の名前がスタメンになく、やや残念であった…

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その選手の名は桃井宏和。佐賀東で見せたパフォーマンス、そして去年の天皇杯でのハットトリック。あの強烈な印象が残っていることもあり、どうしても彼のその後、そして成長を見たかったのだが、残念ながらこの日はベンチスタート。

さて試合だが、鹿屋のいきなりの先制パンチでスタートする。開始直後、いきなり右サイドの岩崎が持ち込んでシュート! このシュートはポストを直撃してゴールインならず。本当に立ち上がりのファーストタッチで、いきなりシュートまで持ち込んだ鹿屋。しかし、このシュートが決まらなかったことこそ、この日の流れを全て決めてしまったような気がする。

この開始直後のシュートで鹿屋はいい流れで試合を進められるかと思ったが、そうはいかなかった。高知大にとっては、寝起きにいきなり奇襲を喰らったような形となったのだが、ここは運も味方して「あわや」のピンチを切り抜ける。すると、すぐさま落ち着きを取り戻し、さらには鹿屋を圧倒していくこととなる。

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前線でターゲットマンとして抜群の働きを見せた福本。その福本をフォローし、ボールを左右に散らすだけではなく、自ら果敢にドリブル突破を仕掛けてチャンスを切り開いた布施。サイドアタッカーでありながら司令塔的な動きも見せ、攻撃を牽引した香川、左サイドを切り裂いた芝野といった攻撃陣が、実に素晴らしい動きを見せつける。

確かに攻撃陣の動きは良かった。しかし、それ以上に見逃してはならないのは攻守の切り替えを速くして、全体のテンポアップを推し進めた西山、酒井のボランチコンビの動きである。2人の献身的な動きがあったからこそ、セカンドボール、ルーズボールを確実にマイボールとし、さらには相手ボールを高い位置から奪い、攻守にいいリズムが生まれていく。

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4分に福本がファーストシュートを放ち、12分には香川のスルーパス1本から福本が抜け出し、この日最初の決定機を迎えるのだが、ここは痛恨のシュートミス。16分には立て続けにCKのチャンスを掴むなど、試合は一方的な高知大ペースで進んでいく。

なんとか劣勢を押し返したい鹿屋だが、相手の速い動きに対応できず、開始直後のチャンス以来、まったくいい場面を作り出せない。しかし30分、ここまで耐えに耐えてきた鹿屋にやっとチャンスが訪れる。カウンターから一気に相手ゴール前に攻め上がり最後は大山がシュート! しかしこのシュートもポストを直撃し、どうしてもゴールを奪えない。だが、ここでも鹿屋の攻撃は単発で終わってしまい、すぐさま高知大のペースとなってしまう。

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そして36分、右サイドを突破した高知大SBの赤木が中央に絶妙なクロス。これを中で待っていた香川がボレー一閃。完璧なタイミングで放たれた一撃は決まったかと思われたが、鹿屋GK井上がファインセーブを見せ得点を与えない。

前半はなんとかスコアレスで折り返すことが出来た鹿屋体大。ハーフタイムの修正でどこまで挽回できるか注目していたのだが、後半になっても相手攻撃陣の動きを捉えることができない。いや、修正するどころか後半に入ると前半以上に相手の攻撃をファールで止めてしまう場面が増えだし、さらに悪循環を繰り返してしまう。

どうしても流れを掴むことの出来ない鹿屋体大は、後半18分ついに桃井を投入。彼の攻撃センスに望みを託すのだが、高知大ディフェンス陣の前に「らしさ」を封じ込められてしまう。

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攻撃では前半以上に手も足も出せなくなっていた鹿屋だが、試合終了間際に死力を振り絞って反撃に出る。セットプレーからチャンスを掴み、パワープレーに出る鹿屋はこの日初めての「たたみ掛ける攻撃」を見せるのだが、高知大守備陣はこれを冷静に対応しきって90分間の戦いが終了。

残された時間は延長戦の20分(10分ハーフ)のみ。

こうなると、高知大の攻撃が優るのか、鹿屋が最後まで凌ぎきるかに懸かってきたのだが、ここまで高知大の猛攻に晒されてきた鹿屋に体力は残されていなかった。

延長前半9分、高知大はFKのチャンスを得るのだが、直接ゴールマウスに飛んでいったボールは鹿屋2番が頭でクリア。しかし、このクリアボールがゴール前にフリーだった芝野の目前に流れ、これを豪快にボレーで蹴り込み高知大がついに均衡を破る。

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この場面、鹿屋GKの井上にとっては不運だった…
芝野のシュートが味方DFによりブラインドとなってしまい、コースを見切ることが出来なかったのである。

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1点ビハインドとなった鹿屋体大。残された時間は延長後半の10分しかなかったのだが、延長後半5分にも2点目を奪われて万事休す。結果的に、延長戦まで戦うこととなったが、内容的には高知大の完勝で試合は幕を閉じた。

予想以上に何もさせてもらえず、悔しい敗戦となってしまった鹿屋体大。そして大会前に、佐賀東の1年後輩である、赤崎秀平がいる筑波大とぜひ対戦したいとコメントしていた桃井だが、その願いをこの大会で実現することが出来なかった。4年生の悔しい思い、そして自身の叶わなかった願いを実現するためにも、来年は本物の「エース」に成長することを願いたいところだ。

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さて、試合に勝った高知大・野地監督は「いつ点を取ってくれるのかヒヤヒヤでした…『なんでもいいから早く1点を取ってくれ』という状態で試合を見ていましたよ」と苦笑いしながら語りはじめ、次のようなコメントを残した。

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「90分で決められなかったことは残念だが、勝てたことは本当によかった。この試合では4年生が多かったこともあり、最後の最後で意地を見せてくれたと思います。

今日の試合では、ほとんどの時間帯で優位に(試合を)進めることが出来ましたが、連動の大切さ、そしてファーストディフェンスの重要さが改めてわかる試合でもありました。選手たちは、大きな舞台でも自分たちのサッカーをやり切り、そしてサッカーを最後まで楽しんでプレーしてくれて監督として嬉しかった。

組み合わせが決まったときに、『ぜひ明治とやりたい』と話をしていたので、その目標が叶ったので、次に向けていい準備をしてきます」

総理大臣杯では、2回戦で駒大の前に惜しくも0-1で敗れてしまった高知大学。いい試合を繰り広げながらも、最後は相手のパワーサッカーの前に屈してしまった夏。あれ以降、チームは『インカレ』を目標に練習を重ね、その中で中心選手の一人である實藤がアジア大会のメンバーに選ばれるなど、選手はそれぞれスキルアップを果たし、チーム力も格段に上昇していったのである。そう、1年の集大成でもある「この大会」で勝つために。

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この日の第2試合では、明治大学が新潟経営大学を11-0と大差で下し、23日に行われる2回戦での激突が決まった。

しかし、高知大学は何も恐れることはないだろう。
この日見せたパフォーマンスを見せることが出来れば、全国有数のタレント軍団である明大に対しても後れを取ることはないはずだ。また、夏に敗れた駒大のような縦に蹴ってくるチームより、ゲームを組み立ててくる明大の方がやりやすいだろう。

明治大学 vs 高知大学

このカード、2回戦でやってしまうには、なんとももったいないカードである。
国立大学のサッカー部が、私学の雄にどう対峙するのか? 今から楽しみでならない一戦だ。

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