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2010年10月24日 - 2010年10月30日

2010年10月27日 (水)

鳥取の優勝と上位争いの行方

今年のJFLも残り5節のみとなり、大詰めを迎えているが、すでに後期10節でJ昇格(4位以内)を確定させたガイナーレ鳥取が、後期12節で初優勝も決めた。

JFL10年目の鳥取は、今年こそ「節目の年」にするために、元日本代表MF服部年宏や経験豊富な喜多靖、小針清允などのベテラン選手を積極的に獲得し、戦力を充実させてシーズン序盤から独走。また、チームを長らく指導してきたヴィタヤ・ラオハクル氏がシーズン前に起こった不慮の事故により、チームを離れざるを得なくなったことも鳥取を大きく変えた一因となる。

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ヴィタヤ前監督の交通事故により、クラブは急遽元東京ヴェルディ監督の松田岳夫を招聘。これまでの鳥取は、シーズン序盤はいい戦いをするのだが、毎年のように後半は失速。さらに1試合を通じても、後半にペースダウンしてしまう勝負弱さを見せていたが松田監督就任後、前半悪くても堪えることが出来るようになり、後半はしっかり立て直しが出来る堅実なチームに生まれ変わる。

そしてJFL史上最短(残り5試合)優勝という、おまけまでつけてJ昇格に花を添えた。クラブチーム(J入会を目指すチーム)の優勝としては、2005年の愛媛FC以来の5年ぶりであり、ここ数年続いてきたHonda FC、SAGAWA SHIGAの「2大門番体制」を、やっと突き破った格好になった。

10年目にして、悲願のJリーグ昇格を決めた鳥取だが、今はまだ喜びのさなかであろうが、この先は非常に厳しい戦いが予想される。ベテランを揃え「経験の差」でJFLは勝ち抜いてきたが、J2で戦うには平均年齢が高すぎであり、スタミナ面での不安を感じるところ。残された試合で、地元出身の住田貴彦(大分からのレンタルだが…)を含めた若手選手が、来季に向けてどんな形で「可能性」を見せてくれるだろうか?

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JFL優勝が決まり、あとは正式な「J入会決定報告」を待つだけの鳥取だが、残された試合では「来季を見据えた戦い」を是非とも見せて欲しいところ。

さて、優勝がすでに決まってしまったので、残すところの注目はやはり「4位」を巡る攻防と、残留争いであろう。

9月に入って、町田、長崎が相次いで入会予備審査における不備があったことを認め、今年度のJ昇格を見送るコメントを発表。これにより、今年の昇格の可能性があるのは鳥取と松本山雅の2チームだけに絞られていたが、すでに鳥取は優勝を決めたため、あとは山雅の動向が注目となっていくはず。

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山雅は前期こそ13位と大きく出遅れ、今年の昇格は無理かと思われた。しかし、後期に入って驚異的な追い上げを見せ、一気に順位を5位まで上げてきた。Honda時代に優勝を成し遂げた吉澤監督は、あのときと同じく、堅守速攻という堅実かつ、最も勝ち点を積み重ねやすいシステムをチームにしっかり根付かせた。さらに、短期決戦の地域リーグとは違い、じっくりチームを立て直せるJFLでは、序盤こそ、これまで「選手たち」を使ってきたが、中盤以降、玉林睦実、本田真吾が大きく成長し、終盤に入ってからは弦巻、飯田といった選手が完全にフィットして、チームは大きく飛躍。

順位こそ5位だが、得失点差で4位のHonda FCを上回り、残り5試合での逆転も現実味を帯びてきた。

また、J準会員ながらも、順位に関係なく昇格見送りとなってしまった町田と長崎も、気落ちすることなくリーグを戦い続けている。どちらのチームにしても、「最終的に4位以内に入って、実力は問題なかった」ということを証明して、今年のリーグ戦を終わらせる必要があるからだ。

4位以内で終えることが出来なければ、来季以降もサポーターや団体、企業がチームに対して変わらない熱い(厚い)支援を続けてくれるのだろうか? より一層の支援を得るためにも、目標の場所にたどり着けなくともチームは結果を出し続ける必要はあるし、それにより多くの人の心が動くというもの。特に6位の長崎は、ラスト5試合の相手がHonda FCを除けばすべて下位が相手と言うこともあり、Hondaも山雅も追い抜き、逆転で4位で終えることも可能だ。

発展途上のチームであり、置かれている状況は厳しいが、だからこそ、やりがいを感じて長崎の監督の就任した佐野達には、来期以降は監督としてだけではなく、チームを統括するマネージャー的役割も求められることになるだろう(あくまでも来季も続投することが前提だが)。そう、かつての「上司」である、植木繁晴のように…

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この他には、門番と呼ばれてきた、企業クラブの2大巨頭である、Honda FC、SAGAWA SHIGA FCの両チームも、3位、4位と、決して満足出来ない順位ながらも、上位をしっかりキープしている。しかし、ここ数試合は苦戦が続いており、この順位をキープするのやや苦しいところか。また、将来的なJリーグ入りを目指している秋田も、ここまで粘り強く上位戦線に絡み続けている。


[参考データ:後期成績だけの順位表(12節終了時点)]
鳥取:10勝1分1敗(31pt、+14)
松本:8勝3分1敗(27pt、+12)
本田:8勝4敗(24pt、+6)
町田:7勝1分4敗(22pt、+10)
長崎:6勝4分2敗(22pt、+5)
佐川:6勝2分4敗(20pt、+14)
秋田:5勝3分4敗(18pt、+3)
ロック:5勝3分4敗(18pt、-1)
琉球:5勝1分6敗(16pt、-1、17得点)
印刷:5勝1分6敗(16pt、-1、16得点)
びわこ:4勝3分5敗(15pt、-1、15得点)
金沢:4勝3分5敗(15pt、-1、11得点)
仙台:4勝2分6敗(14pt、-6)
横河:3勝3分6敗(12pt、-5)
ジェフ:3勝3分6敗(12pt、-7)
流経:3勝1分8敗(10pt、-8)
高崎:1勝4分7敗(7pt、-7)
栃木:4分8敗(4pt、-17)


とりあえず、ラスト5試合の上位チームの対戦カードはこのようになっている。

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どこが有利かということは一概には言えないのだが、客観的に残りの対戦相手を見ると、下位との対戦が続くHonda、長崎、秋田が有利に見えるのだが、Hondaと長崎は第14節で直接対決となり、ここで長崎が勝利すれば間接的に「山雅」を援護射撃することにもなる。後期2節以降負けのない山雅だが、ラスト5試合にはホームながらも町田、鳥取の対戦が残されており、最終節はアウェーでソニー仙台と対戦。カード的に厳しい相手が最後に残ってしまったが、これを乗り越えなければ雷鳥が目指す「頂」は見えてこないはず。

最後に残された「最終試験」で山雅は「一発合格」を勝ち取れるだろうか? それとも、長崎が意地を見せるのか? はたまた、Hondaが4位以内をキープして逃げ切るのか? 終盤になって、やや調子を落とし気味のSAGAWAがどこまで踏ん張れるのか?

優勝は決まってしまったが、2位〜4位を巡る攻防は、現在7位の長崎を含めた6チームで最後まで争われそうである。


最後に、残留争いに関してはまだ別の機会で。

2010年10月25日 (月)

門番を超えた雷鳥

JFL 後期第12節 @都田
Honda FC 0-3 松本山雅FC
[得点者]
5・50分石田、89分今井(松本)

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後期初戦こそFC琉球に敗れたが、それ以降10戦負けなしで完全に波に乗った松本山雅。前期終了時点では勝ち点21で13位だった順位も、一気に急上昇して現在は5位。J入会予備審査では一部未達項目があったものの、入会への大きな障害にはならず、4位以内に入れば悲願達成が濃厚となってきた。

そして迎えた4位のHonda FC戦は、山雅の成長が大きく読み取れる試合となる。

相変わらず、ケガ人も多く万全のメンバーが組めないながらも、4位に着けているHonda FC。しかし、鈴木弘大は登録外で、エース新田もベンチスタートと苦しいメンバー構成が続いており、メンバー表上では柴田もFWとなっていたが、実質的には4-4-2でスタート。

[Hondaスタメン]
ーーー吉村ー伊賀ーーー
ー土屋ーーーーー柴田ー
ーーー糸数ー安部ーーー
中川ー川嶋ー石井ー桶田
ーーーー中村元ーーーー

[山雅スタメン]
ーーー小林ー石田ーーー
ー大西ーーーーー木村ー
ーーー本田ー弦巻ーーー
鐵戸ー須藤ー飯田ー玉林
ーーーー石川ーーーーー

対する山雅だが、好調を維持していることもあり、前節と同じメンバーで挑んできた。また、相手のやり方を熟知する吉澤監督は「Hondaがスロースターターであるので、最初から仕掛けて先制点を奪って試合を自分たちのものにしよう」と指示して選手を送り出したのだった。

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そして、監督の指示通りにキックオフから攻撃を仕掛ける山雅。早くも5分にCKのチャンスを得るが、最初のボールはGKの中村がパンチングでクリア。しかし、山雅はセカンドボールを早い出足で奪うと右サイドに展開。ボールを受けた木村が冷静に持ち込んで中にクロスを入れると、石田がドンピシャのタイミングで合わせて山雅が先制。

いきなりの先制パンチを浴びたHondaはまったくペースを奪え返せず、その後も山雅ペースで試合は進んでいく。Hondaは山雅の右対策に中川を入れて来たのだが、マッチアップする玉林に圧倒され、自陣に釘付け。FWの吉村と伊賀も孤立して、何もやらせてもらえない。

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そんな相手をよそに、山雅2トップは「これでもか!」とシュートを浴びせ続ける。しかし、石井、川嶋の厳しい寄せと、中村の好セーブもあり、得点の決まったファーストシュート以降に放った10本のシュートはゴールに決まらない。

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誰がどう見ても山雅のペースで進んだ前半戦。Hondaとしては「2点目」を奪われなかったことだけは光明だったが、攻撃では何一ついいところがなかった。果たして後半に向けてどう策を打ってくるのか注目されたが、大久保監督はハーフタイムで早くも2枚のカードを切ってくる。

[Honda後半]
吉村ーーー伊賀ーーー細貝
ーーー土屋ーー柴田ーーー
ーーーーー安部ーーーーー
小栗ー川嶋ーー石井ー桶田
ーーーーー中村ーーーーー

細貝を投入し、3トップにして、中盤は安部のワンボランチ。さらに、攻撃的SBの小栗も入れて勝負に出てきたHonda FC。

後半開始直後、吉村がボールを受けそのままドリブルで突進。山雅DFにPA内で倒されたが、判定はノーファール。さらにこのボールがそのままカウンターに繋がり、石田がシュートまで持ち込む。

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3トップのワンボランチと、攻撃的に出てきたHonda FCだが、攻めているときはいいのだが、ひとたび守備に回ったときには裏のスペースは完全に手薄となる。相手にスペースを突かせないためにも、攻撃はシュートで終わりたい所なのだが、実際は思惑通りには進まないもので、後半開始早々から「諸刃の剣」ぶりを露呈してしまう。

5分にもチャンスを掴んだHondaだが、クリアボール1本から石田がディフェンスラインの裏を抜け出し、山雅が理想的な時間帯、そして展開から追加点を奪う。

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残された時間はまだ40分あるとはいえ、2点のビハインドは非常に厳しいもの。まずは1点を返して波に乗りたいところであったが、山雅の飯田、須藤のCBコンビが小栗、桶田からのクロスをことごとく跳ね返してピンチを防いでいく。その後も攻め続けるHondaだが、素速いプレスを仕掛けてくる山雅ディフェンスの前に手を焼き、効果的な攻撃を仕掛けられない。

すると試合終了間際の89分、途中交代で入った今井がロングフィード1本で裏に抜け出し、カウンターから試合を決める3点目を奪って見せた。

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0-3


門番と呼ばれ、Jを目指すチームにとって、大きな壁となっていたHonda FCが、吉澤山雅のゲームプランの前に完敗を喫したのであった…

「相手はスロースターターなので、最初から勝負して、前半はとにかく積極的に行こう。そこで点が取れ、さらに無失点で前半を折り返せれば、相手は攻撃的に出てくるから、後半はその裏のスペースを突いていこう」

さすがに、かつてHonda FCを率いていた監督であり、この日、ピッチに立っていた半数以上の選手を熟知していたこともあり、相手の選手がどんなサッカーをするか? どんなタイプの選手なのかという部分を、しっかり選手に伝え、的確な指示を送っていた。

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さらに、選手たちのモチベーションの高さも特筆すべきであろう。

「選手たちは、目標(J昇格)に向けて、ここ最近は『やらなくちゃ』という意識を自分たちで高めていますし、試合だけではなく練習でも緊張感を持続出来るようになっています。順位はまだ5位で、何一つ状況は変わっていません。しかし、残り試合(5試合)で全力をしっかり出せるように、選手は準備してくれると思います」

前期の山雅は、良くも悪くも「北信越時代」とは大きく変わってはいなかった。シーズン当初は、連携部分で不安があり、どうしてもこれまでのメンバーに頼る部分も大きかったが、後半に入って新戦力が成長し、チームとしても熟成したことにより、驚異的な追い上げを見せてきている。

後期だけの順位で見れば、山雅は8勝3分1敗(27pt、+12)で、鳥取の10勝1分1敗(31pt、+14)に続く2位をキープ。Honda FC時代に優勝をJFL経験した吉澤監督の戦略は、まさに「あの時のHonda」と変わりはない。さすがに、優勝経験監督は、どうやれば「勝ちきれるのか」をよく知っている。短期決戦を余儀なくされる地域リーグとは違い、長丁場でチームを立て直すことも出来るJFLでは、その手腕を遺憾なく発揮出来ている。

他力本願とはいえ、完全に「4位」が射程距離に入ってきた松本山雅。しかし、残り5試合には、町田ゼルビア、ガイナーレ鳥取という上位に位置するチームとの対戦が残されている。JFLをスッキリ卒業できるようにするためにも、残り試合を昨年経験した全社のように、「負けたら終わり」のつもりで戦えれば、奇跡をたぐり寄せることも可能なはず。

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すでに優勝はガイナーレ鳥取で決まってしまったが、4位を巡る攻防は最後まで目を離せな状態になった今年のJFL。一戦必勝の山雅にとって、気の抜けない戦いはラストまで続く…

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