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2010年10月17日 - 2010年10月23日

2010年10月23日 (土)

見えなかった「鈴木カラー」

またも「男」になれなかった長野パルセイロ…

天皇杯長野県予選の決勝で、松本山雅に敗れた際に薩川監督は「やっぱりね、やる試合は相手とか、カテゴリーに関係なく、絶対勝ちたいよね」と語り、敗れたことに悔しさをにじませていた。そして9月19日の北信越リーグ最終戦後、地域決勝で勝ち抜くことが絶対目標であるが、その前に行われる全社も本気で優勝を狙いに行くと宣言していた。

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そしてその言葉どおり、初戦からガチ本気メンバーを並べ続けてきた長野。大会初戦は九州王者のHOYOが相手と言うこともあり、本番を意識した戦いとなったが、予想以上に相手を圧倒して危なげなく勝利。

しかし、2回戦からは苦戦の連続となってしまう。ラランジャ戦、新日鐵大分戦、福島ユナイテッド戦では80分(全社は40分ハーフ)間で勝負を決められず、3戦連続で延長戦に突入することとなる。しかし、最後は地力の差で相手を退けて決勝までたどり着いたが、決勝戦では長野が「最も苦手とするスタイル」の前にまたも敗れ去ってしまった。

そう、守備をガッチリ固めてカウンターというやり方に…

正直、「5連戦だから」「延長戦が続いた」「選手の疲労がハンパではなかった」は、すべて言い訳である。

準々決勝を勝ち抜いた時点で、今の大会レギュレーションでは勝ち残ったチーム、全てが5連戦となることは決まっているのだから、条件はほぼ同じなはず。そして延長で体力を消耗させてしまったのは、勝ちきれなかった自分たちの甘さから来たものだ。

決勝を含めた5試合すべてで、長野は自分たちらしい、しっかりパスを繋ぐサッカーで試合の主導権を握っていた。しかし、いくらポゼッションを高めてペースを握ったからと言っても、点を奪えなければ試合に勝てる訳はない。

3回戦までは、対戦相手には大変失礼だが、実力(地力)ではどのチームも長野より下と見るのが妥当であり、この差が勝敗を分けてきた。そして準々決勝では、大会での「ノルマ(地域決勝出場権獲得)」を果たし、すでに精根尽きていた福島が相手ということで、こちらも最後は勝ちきることが出来た。しかし、同等の力を持ち、モチベーションも高い相手との対戦となった決勝のカマタマーレ讃岐戦では、勝ちきることが出来なかった。

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確かに、決勝でもポゼッションは出来ていたが、それは相手の術中にはめられただけの話であり、ゴールから遠い位置で「持たされていた」だけのこと。北信越や、全社準決勝までは、「個」の力で引いた相手を打ち破ることが出来たが、決勝の相手はそうはいかなかった。さらに、讃岐は長野のキーマンを宇野沢と読み、これの対応策をしっかり練ってきていたのだ。

薩川監督は、相手がどんなチームであろうが、自分たちのスタイルを変えずに試合に挑んでいた。これに対して優勝した讃岐を含めて、どのチームも長野対策をしっかり練り、これが効を奏して長野はどの試合でも苦戦することとなってしまった。

長野は準優勝という結果は残した。しかし、準決勝まで4試合で80分内で勝利したの初戦だけなのである。それ以外の3試合はすべて延長戦での勝利であり、この大会では延長戦があったからこそ、決勝までたどり着いたが、地域決勝では時間内に決着を付けられなければ、即PK戦に突入となり、勝敗を分けるのは地力ではなく「運」に左右されてきてしまう。

そして今大会の長野は、初戦から決勝まで「出し惜しみ」することなく、ベストメンバーから、控えの戦力まで全てをさらけ出したのだが、これで優勝していれば「どうだ、強いだろう!」と胸を張れたのであろう。だが、決勝に行くまで苦戦の連続で、決勝では「完敗」まで喫してしてしまい、ライバルたちに「長野とはこう戦えばいい」というのを知らしめる結果になってしまった。

バドゥ遺産を引き継ぎ、魅力ある攻撃サッカーの理想を追い求めた薩川パルセイロ。だが、その理想だけでは不安を感じ、薩川監督自身も信頼できる「ヘッドコーチ格」の存在を求めたことで、8月末から鈴木政一氏を強化部長に招聘し、1ヶ月間のトレーニングを経てこの大会に挑んできたのだが、残念なが「鈴木カラー」はあまり見えなかった。

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鈴木氏を招聘したからといって、長野がいきなりリアクションサッカーに変わろうとしているのではない。これまでの攻撃的な姿勢をベースに、鈴木氏が求める「連動」「バランス」「考えたプレー」を進化させ、チームをより高いレベルに仕上げたいという目的があった。この3点で進化が出来れば、相手がいかに引いてきても、勝ちきれるという思惑はあったのだが、連戦の中でチームは大事なことを完全に忘れ去っていた。

長野に残された時間はあと1ヶ月しかない。残された時間で新しい戦術をチームに植え付けることは難しい。であるならば、短期間で長野を変貌させる手段としては、選手に「全社の屈辱」を絶対に忘れさせないことがまず挙げられるだろう。

そして、宇野沢、要田に頼るのではなく、平石、藤田、麻生、武藤といった控えアタッカー陣の奮起がなければ好転していかない。また、守備に関しては過去に採用していた3バックへの回帰もあり得ることを薩川監督は示唆。あとは、鈴木部長が「長野の福西になれ」と期待を込める大橋が、残りの1ヶ月でどこまで成長できるかに懸かって来るだろう。

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今度こそ「ラストチャンス」となるかも知れない長野。
この屈辱をバネにして、勝負弱いところを克服し、今度こそ「男」になれるよう奮起してもらいたいところである。

2010年10月22日 (金)

戦い方の幅を広げたカマタマーレ

カマタマーレ讃岐の試合を見る機会はそう、なかなかない。
当然ながら、天皇杯、全国社会人大会、地域決勝だけに限られてくるのだが、今大会で見た讃岐はこれまでのイメージから大きく姿を変えていた。

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昨年、四国リーグで優勝を逃し、全社での「復活」を賭けて大会に挑んだが、同じく権利獲得を目指していたツエーゲン金沢に準々決勝で敗退。バルセロナのような、華麗で魅力溢れる攻撃サッカーを志していた2年間の羽中田体制では結果が出せなかった。

予算ギリギリどころか、オーバーしている状況でJFL昇格を逃してしまった讃岐としては、残念ながら羽中田氏の留任という選択はなかった。社長の熊野實氏はチームの内情を理解した上で、最善の結果を引き出してくれるであろう人材を求め、その中から熊本での実績のある北野誠氏を招聘する。

そして今年、四国リーグで優勝を飾り、地域決勝の出場権を獲得した状況で、全社に挑んできた。

さて、冒頭に書いたとおり、今年の四国リーグでの戦いは正直見てはない。だからこそ、人から聞いた情報でしか新しいカマタマーレを知らなかった。だからこそ、今年の讃岐はどうなのか? 昨年の羽中田体制からどう変わったのか非常に興味があったのだが、いい意味でこれまで聞いていたカマタマーレ像を打ち壊す内容を見せてくれた。

羽中田体制の頃の讃岐と言えば、ポゼッションで優位に立って攻め勝つサッカーを志したが、今年の北野体制でも四国リーグでの戦いはその延長線上のものだった。しかし、守備面では大きく成長し、昨年は14試合で10失点だったが、今年は5失点のみと堅守ぶりが発揮され、2年ぶり5回目のリーグ優勝を果たしたが、北野監督は四国リーグでの戦いを全く満足していなかった。

「四国のレベルでは、ウチの攻撃力だけで勝ててしまう。だけど拮抗した力を持つ相手との戦いになる全国大会では勝てる保証はどこにもない。さらには、どんな過酷な状況でも、3連戦以上を戦わなければいけなくなる。だからこそ、自分で限界を作るな。そして現状に満足しないで、とことん走り抜け」

北野監督は選手に対し、試合だけではなく、練習時にも常に緊張感を持たせていたと言う。

さて、今大会の讃岐の戦いだが、ポゼッションを高めて攻め勝つというスタイルは完全に封印し、しっかり守って相手にボールを持たせた上でカウンターでしとめるというサッカーに徹底。これについて北野監督は大会終了後にはっきりと「この大会や地域決勝に向けてテストした」と認めた。

特にこのスタイルが効果を発揮したのは準決勝と決勝であろう。相模原と長野という、ともに攻撃的スタイルを売り物にするチームに対して、真っ向勝負するのではなく、相手の戦い方を伺いながら、隙を突いてとどめを刺す… この大会や、連戦の厳しさ、本当の勝負時を熟知する北野監督の経験が、ものを言ったという感じである。

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システムに関してだが、基本的には中盤がボックス型の4-4-2をベースとしてきていたが、対戦相手や時間帯、選手の疲労や交代により、4-2-3-1や、3-5-2を用いて戦うなど、非常に柔軟な対応の出来るチームであることを印象づけた。

さらに、決勝ではメンバー表上では4-4-2だったのだが、ピッチ上のシステムではサイドバックに入ることが多い下松がやや高い位置を取り、最終ラインが3バック気味になっていた。そして最終ラインの左に入った相原には、長野のキーマンである宇野沢のマンマークを命じ、相原はこのタスクをやりきって、長野の攻撃の生命線を断ち切ることに成功。

[決勝戦スタメン:変則3-5-2]
ーーー岡本ー飯塚ーーー
ーーーー吉澤ーーーーー
齋藤ーーーーーーー下松
ーーー中島ー綱田ーーー
ー相原ー波夛野ー神崎ー
ーーーー家木ーーーーー

さらに、長野のFW、平石の動きの悪さに起用を諦めた長野・薩川監督は、62分にサイドプレーヤーの麻生を投入し、宇野沢をFWに位置に変えると、讃岐もこれに合わせてシステムチェンジ。

[変更後システム:4-4-2]
ーーー岡本ーー飯塚ーーー
ー齋藤ーーーーーー吉澤ー
ーーー中島ーー綱田ーーー
相原ー波夛野ー神崎ー下松
ーーーーー家木ーーーーー

相手の動きに対して、自在にシステムを変えてくる讃岐。ポゼッションで圧倒しているのは長野なのだが、低い位置でボールを持たせているだけで、簡単にバイタルエリアに進入させない組織的守備をみせ、相手をいなしていく。最終ラインでボールをカットすれば、素速く前線にフィードして、カウンターからシュートで終わることを徹底。

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大会を通じ、選手全員が監督が目指すサッカーを理解するだけではなく、選手同士でも意思疎通出来ていたことが優勝に結びついた讃岐。そしてもう一つ、この大会に賭ける監督の意気込みの違いが優勝という結果にたどり着いたとも言えた。

「このチームには、四国リーグでの優勝しかなかったのですが、大会前、選手達に勝って(優勝して)『歴史に名前を残そう』と伝えました。

よく、ウチのチームに対して、すでに地域決勝の出場権があるから、今大会は『調整ですか?』と質問する人もいましたが、このレベル(地域クラス)で簡単に調整なんて出来ません。試合をこなしながら調整出来るものなら、その選手たちは地域リーグになんかいませんよ。

ただ、地域リーグに属するカテゴリーのチームは、なかなかいい相手とは練習(試合)を組めません。大学にしろ、Jにしろ、JFLにしろ、日程の問題でそう簡単にTMを組ましてもらえない。関東地区であれば、チームも多いのでいろいろな相手と戦うことでレベルアップ出来るのですが、四国ではそう簡単に出来ません。

だからこそ、この大会はとてもいい経験の場でありました。同じレベルかそれ以上のチームが真剣勝負で競い、緊張感を味わえる場は、最高の経験になりますからね。それに、この緊張感をまた味わいたいとも思っていましたから(北野監督は2005年のロッソ熊本時代にコーチとして全社優勝を経験)。

戦い方については、敢えてこの大会では『こういう戦い方(リアクションサッカー)』を選手に徹底させました。リーグ戦ではポゼッションを高めたサッカーをしていたので、やれないことはないですよ。ただ、チームとして、戦い方の幅を広げたかったし、強敵を相手にして勝つ方法を選手に理解して欲しかった。

また、今大会でウチはファールや警告が少なかったと思います(実際、5試合戦ったチームの中で警告6、退場0は最小、最多は警告16、退場2の相模原)。環境にしてもそうだし、試合においての主審のジャッジにしても、文句をいう選手がほとんどだった。僕はね、そういうところの意識改革からチーム作りをスタートさせました。

確かにこのレベルでのジャッジは本当にレベルが低いが、文句を言って審判団を敵に回しては勝つ試合も勝てなくなる。一人でも仲間が多い方がいいだろ? と選手には徹底的に教え込みました。また、クリーンなサッカーをすれば、ファンも増えてくれますしね。

とにかく、この大会では選手個人としてだけではなく、チームとして大きな自信になりました。地域決勝まであと1ヶ月ですが、もっといいサッカーが出来るように、トレーニングして決戦に向かいます」

大会終了後、北野監督はこのように語ってくれたが、その表情はとても自信に満ちていたことを付け加えておく。

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当初は相模原と長野が抜け出た存在かと思われていた今年の全社だが、終わってみれば、その2強に完勝した讃岐が、チームとしても、香川県勢としても初優勝を飾り、一躍11月21日から始まる第34回地域リーグ決勝大会の主役に躍り出た。

羽中田時代の理想を完全に捨て去り、冷静かつ冷酷に相手を沈める北野堅実路線の讃岐は面白い存在であるし、昨年優勝の松本山雅同様、この大会での優勝を起爆剤として、一気に勝ち進んでいく可能性もある。

最後に余談になってしまうが、11月21日から始まる地域決勝で、讃岐は決勝で戦った長野、ベスト4に入った福島と同グループに入り、高知ラウンドはまさに「死のグループ」となった感もあるが、果たして長野を返り討ちに出来るだろうか…

2010年10月20日 (水)

全社最終日

第46回全国社会人サッカー選手権
3位決定戦
SC相模原 5-1 福島ユナイテッドFC

決勝
カマタマーレ讃岐 2-0 AC長野パルセイロ


詳細に関しては明日にでもということで、簡単に3位決定戦と決勝を振り返ります。

3決は相模原の完勝。福島・手塚監督は「体力的にも精神的にも疲労のピークだった」と試合後に語ったとおり、福島は何も出来なかった(させてもらえなかった)

決勝はカマタマーレの作戦勝ち。というか、大会前に、この大会ではポゼッションを高めて攻撃的に行くのではなく、地域決勝を見越して引いた戦い方をすると選手に伝えていた北野監督は、見事にそれをやり通した。

この勝利、正直なところ、監督の「経験の差」と言えるのではないだろうか? さすがにロッソ時代の経験のある北野監督の試合後の言葉は説得力があった。

そう考えたとき、福島の手塚監督も、地域決勝に向けて、いろいろ策を練ってくることだろう。この大会では結局4位に終わったが、手塚監督もまた、地域決勝を勝ち抜いた「経験」を持っている。

今大会の成績で福島を「格下」と思うのは早計かもしれない。


ところで、すでに地域決勝の組み合わせが発表されまして、今回の全社ベスト4のうち、3チームが競合する死のグループとなってしまいましたね。


試合詳細と地域決勝組み合わせについてはまた後日。

全社決勝は讃岐 vs 長野

第46回全国社会人サッカー選手権
準決勝 @きらら博記念公園サッカーラグビー場
第1試合
カマタマーレ讃岐 2-0 SC相模原
[得点者]
66・74分飯塚(讃岐)

第2試合
福島ユナイテッドFC 2-4 AC長野パルセイロ
[得点者]
64分小林、86分平岡(福島)
36・87・100分要田、90+3分高野(長野)


以上の結果の通り、決勝戦はカマタマーレ讃岐 vs AC長野パルセイロの激突となった。讃岐としては、チームとしても、香川県勢としても初優勝を目指すこととなる。また長野の方は、2年ぶり2回目の優勝、そして長野県勢3連覇がかかることに。また、準決勝で敗れた相模原、福島が3位決定戦に回る。

さて試合の方だが、第1試合は両チームとも大きくメンバーをいじることはしてこなかった。しかし、讃岐はベースとなる選手、システムは変えてこなかったが、相模原これまでの4-4-2から、船越を入れた3トップ気味にしたシステムでこの試合に挑んできた。

今大会絶好調の斎藤、ジエゴの2トップに、このカテゴリーでは「反則級」の高さ・強さを誇る船越など、タレントで上回る相模原が序盤はペースを掴んでいく。しかし、讃岐は羽生田時代から種を蒔いてきた組織的なサッカーで対抗。

試合は攻める相模原、守る讃岐という構図のまま進むのだが、相模原がこの日得点出来なかったことは、右サイドに隠されていたと思う。それは、この日出場していなかった金澤大将の存在だ。彼がサイドで効果的なアタックをしかけることで、決定的なチャンスを呼び込んでいたが、この日右サイドに入った鈴木(健)は、金澤ほどの仕事は出来ていなかった。また、この日の3トップは効果的であったかと言われれば、それは「No」としか言えなかった。

さらに、3トップにしたことで、中盤の構成力は半減。もし、中盤の枚数を減らすのであれば、守備が強く、展開力もある「監督」自ら出るべきではなかったのであろうか?

攻め続けても点の取れない相模原は次第に焦りを見せ、67分にシュートの跳ね返りを飯塚に押し込まれて先制点を奪われてしまう。今大会初失点で浮き足立ってしまった相模原は、この後完全に自滅のような形で敗戦を喫してしまった。

勝った讃岐だが、強さよりも「試合運びのうまさ」が目についた試合だった。正直、昨年よりもメンバー構成的に小粒になった感もある。だが、チームの総合力というか「穴」の少ないチームに仕上がっていることを大きく感じさせ、11月の地域決勝でも「侮れない存在」であることを大いに印象づけたのである。


さて第2試合だが、両チームとも5人のメンバーを入れ替えてきたが、福島はこの試合から清水が復帰。

先月、練習試合で対戦している両者だが、その時は3-1で長野が勝利しているが、はたして「公式戦」ではどうなるのかと思ったが、今回も圧倒的長野ペースで進んでいく。ちなみに、長野のシステムだがメンバー表だけみると、DFは2人しかいないが、基本的に今季は4-4-2で戦っており、パワープレーを選択した時のみ、3-4-3で戦っている。

ペースこそ長野なのだが、福島守備陣が必死に対応して、シュートという場面はなんとか防いでいく。そして前半は残り5分を過ぎ、福島としては前半スコアレスで折り返せれば上出来か?と思われた直後に要田に決められてしまう。

このまま、長野が逃げ切るかと思われたが、福島は少ないチャンスを大事に活かしていく。64分相手クリアボールを拾った小林が値千金の同点弾を叩き込み同点。点が入ってからは、福島が流れが良くなったというよりも、長野が焦って前に行くようになり、カウンターからチャンスが生まれていく形となる。

そして終了間際の86分、福島は自ら持ち込んでいい形を作り、最後は平岡が右足で蹴りこみついに逆転。だが長野もじぶとい。その直後、エース要田が高野との連携で相手守備陣を切り裂き、あっという間に試合を振り出しに戻す。

そして試合はまたも延長戦。長野にとっては3戦連続の延長戦となり、体力面で心配となったが、精神面での強さでそのハンディを克服していく。延長に入っても攻め続ける長野は、昨日同様延長前半間際に得点を決め、再びリードを奪うと、試合終了間際にも、要田がハットトリックを達成して勝負あり。

さて長野なのだが、やはり総合力の高さ、勝負強さは群を抜いていると感じたのだが、実は3戦連続して延長戦で勝っていることは大いに気になるところ。

地域決勝では、当然ながら延長戦はなく、即PK戦に突入してしまう。ということで考えれば、2回戦から準決勝の3試合がグループリーグ戦であれば、長野が得た勝ち点は3〜6でしかないのだ。当然ながら、全社は80分で試合が行われており、90分間で戦う地域決勝と比べてはいけないが、もしこれが本番であれば、間違いなくグループリーグ敗退である。

スタメン11人の個々の能力は非常に高い。戦術理解度も高い。だが、控えの選手たちの活躍が少ないところが気になるところ。特に、今大会、監督は鈴木強化部長から期待されてピッチに送り込まれた平石は、結果を出すどころ消極的なプレーに終始してしまっている。

チームが勝ち抜くには、控えがもっとチームを盛り上げなければいけない。平石だけではなく、他のベンチの選手も同じである。彼らの底上げなしには悲願のJFL昇格は見えてこないはずだ。

敗れた福島だが、ある意味でこの日は「ベストゲーム」だったかも知れない。

先制されても粘り強く戦い、一時は逆転までした。地域決勝に向けて、十分やれるという手応えを掴んだことであろうが、延長で勝てなかったことは、まだまだ総合力では長野より劣っている証拠。

しかし、手塚監督は岡山時代にこの大会をしっかり勝ち抜いている経験がある。あのときは、決しておもしろい試合をしていた訳ではないが、攻守の切り替えがはっきりした「勝負強いチーム」を作ってきていたが、福島でもその再現が出来るだろうか?

残された時間はまだ1ヶ月ある。

見ている者を楽しませる試合はしないであろう。相手から見れば「なんてイヤな試合をするんだ…」と思われる試合をするかもしれない。しかし、それがリアリスト・手塚聡の良さでもあるのだ。

2010年10月19日 (火)

福島、「全社枠」を獲得

第46回全国社会人サッカー選手権大会
準々決勝 @きらら博記念公園サッカー・ラグビー場
阪南大クラブ 0-2 福島ユナイテッド
[得点者]
34分久野、80+3分古西(福島)


JFL昇格のために、どうしても地域決勝の「出場権」が欲しい福島にとって、どんな戦い方であろうと、どんな内容であろうと、とにかくベスト4進出が最低限ノルマであった。

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初戦ですでに地域決勝出場権をもっている三洋洲本と対戦したが、ほぼベストメンバーで来た相手を6-0と圧倒し、幸先よいスタートを切ったかと思われた。しかし、快勝のウラでは、主力の吉渓、清水が相次いで負傷してしまい、残りの日程での復帰が難しい状況になり、メンバー構成で苦しい状況に追い込まれてしまう。そんな中で迎えた2回戦のヴェルフェたかはら那須戦は、手塚監督も「内容は最悪だった」と振り返るほどの大苦戦となった。

しかし、それでもチームは負けなかった。

選手、スタッフは、あらゆる意味で「負けた終わり」という強い意志で大会に挑んでいたのである。

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そして迎えた準々決勝の阪南大クラブ戦も、縦にロングボールを入れる「キック&ラッシュ」戦術に手を焼いてしまい、またも大苦戦となってしまう。言い方は悪いが、高校の「部活サッカー」のような試合を展開する阪南大クラブ。しかし、それが見事にはまり、「あわや」のシーンを連発していく。

相手戦術の前に、まったく自分たちらしいサッカーが出来ないおろか、中盤のマークの受け渡しすら混乱してしまう福島。しかしそんな劣勢の中で、チームを勇気づける一発が生まれる。

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34分、GKのクリアボールが伊藤→時崎と繋がり、左サイド前線に長いパスを入れる。PA外付近に転がったボールに、久野と阪南大GKが触ろうと反応するが、体を擲って(スライディングシュートのような格好に…)ボールに寄った久野が先にボールに触ると、これがそのままゴールに吸い込まれていき福島が先制する。

しかし、それでも試合の流れは阪南大クラブペースは変わらない。誰がいいという訳ではないのだが、全員がしっかりプレスをかけ続け、前にボールを入れれば、必ず誰かが前線の選手を追い越して前に顔を出していく。後半に入ると、ポストやバーが味方しなければ、確実に同点、いや逆転されていたかもしれない。

しかし、ラストチャンスに賭ける福島を、勝負の女神は見捨ててはいなかった。清水の負傷から、スタメンとなった森戸も最後まで奮闘。時崎も前線で体を張り続けた。学生が相手だったが、福島は決してスマートとは言えないものの、魂のこもった泥臭い守備でなんとか自陣ゴールを最後まで死守。

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そしてラストに、途中交代で入った古西が値千金となる2点目をロスタイムに叩き込み、勝利をより確定させた。

これでベスト4進出が決定し、最低限のノルマまで到達。さらに、別会場でも行われていた準々決勝第一試合でtonan前橋が敗れ、この時点でほぼ地域決勝出場権を手にすることとなった(結局、第二試合で長野、相模原が勝利して『ほぼ』から決定となった)。

手塚監督は試合後、安堵の表情を浮かべながら、こうコメントしてくれた。

「内容的には2回戦に引き続き良くなかったが、勝てて本当によかった。準々決勝に残ったチームからして、選手たちには『今日が一番大事な試合となる』とは伝えていました。相手の阪南大は、関西リーグではロングボールを多様しているという情報が入っていたが、昨日の2回戦ではポゼッションで相手を圧倒していたので、どう出てくるのか読めないところがあり、最後まで難しい試合になってしまいました。

さらに、東北リーグでも選手が怪我人がでており、この大会に入ってからも1回戦で2人が戦列離脱するなど、非常に苦しい状況になっているのですが、選手は本当によくやってくれました。今日、最後に追加点を奪えたのは、本当に良かったし、これでチームに勢いがついたと思いますね。

やっと『地域決勝』が見えてきましたが、選手の気持ちをもう一度引き締めて、優勝できるように頑張ります」

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戦術論や、難しいことはあまり口にしなかったが、岡山で「連戦の厳しさ」「地域決勝の難しさ」を知る手塚監督は、最後にものを言うのは体力(運動量)であり、そして精神力であることを、イヤというほど知っている。

とにかく、今日は「復活」を果たした福島に「おめでとう」という言葉を贈りたい。

しかし、これで安心してしまうのはまだ早い。ただ単に、スタートラインに立てる「権利」を得ただけなのである。本当に喜ぶのは12月の市原で勝ち残った時の話である。

現状では、他のチームと比べて総合力では劣っていると思われる福島だが、全社枠からここ数年は毎年JFL昇格チームが生まれており、このジンクスに福島は乗りたいところだが、勢いを付けるためにも、全社優勝という勲章はどうしても欲しいところ。

どんなメンバー構成になるかは不明だが、長野に勝てるようであれば、大きな自信に繋がることは間違いない。体力的・精神的に限界かも知れないが、あと2試合、しっかり頑張って欲しいと願うかぎりである。


第二試合の新日鐵大分 vs AC長野パルセイロに関しては手短に。

長野が悪かったというより、本当に新日鐵大分が良かった。お互いに意図のある攻撃を繰り出すテンポの速い試合で、非常にスリリングでおもしろい試合となったが、最後は長野「意地」が上回った格好となった。

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敗れた新日鐵大分だが、「全国社会人大会」にふさわしい、純粋アマチュアチームあった。プロ選手は当然いない。選手は基本的に新日鐵の社員。若い選手に混じって、今年37歳になった大ベテラン・三重野宏は今年も存在感を見せつけてくれた。

有名選手を獲得しなくても、プロがいなくても、仕事をやりながらでも、ここまで「いいサッカーができるんだぞ」ということを、見せつけてくれた。

やはり全社では、こういう企業チームの活躍は、毎年みたいものである。

で、パルセイロだが、途中交代で入った平石は、もっと積極性を見せなければレギュラー獲得はほど遠いと感じさえてしまった。ライバルである、山雅に追いつくために、JFL昇格は「ノルマ」である長野。そのために地域決勝で勝たなければいけないのだが、勝つためには控え組の「底上げ」は絶対条件となってくる。

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「優勝」を目標にしているパルセイロだが、全体の底上げのためにも、明日は大きく選手を入れ替えることを期待したいと思うし、そこに出てくる選手は「チャンス」と捉えて、しっかり結果を残して欲しいところだ。

新日鐵大分 0-1 AC長野パルセイロ
[得点者]
90+2分本城(長野)

2010年10月18日 (月)

全社ベスト4が決定

本日、第46回全国社会人サッカー選手権大会・準々決勝が行われ、カマタマーレ讃岐、SC相模原、福島ユナイテッドFC、AC長野パルセイロがそれぞり勝利して、ベスト4進出を決めた。

●第46回全国社会人サッカー選手権準々決勝結果
tonan前橋 0-2 カマタマーレ讃岐
トヨタ蹴球団 0-3 SC相模原
阪南大クラブ 0-2 福島ユナイテッドFC
新日鐵大分 0-1 AC長野パルセイロ

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大会は明日が準決勝、明後日が3決・決勝となっており、ベスト4に進出した4チームは最終順位に関係なく地獄の5連戦となり、本当の意味で「チームの総合力」が試されることとなる。

ここ数年、全社の注目はといえば「地域リーグ決勝大会・出場権獲得争い」となっているが、こちらは東北リーグ1部で2位に終わった福島ユナイテッドが獲得。また、讃岐、相模原、長野はすでに出場権を持っているために、JFAが発表している参加資格に基づき、関東リーグ1部で2位に入ったさいたまSCに地域リーグ決勝大会出場権が回ることとなった。

※さいたまSC側は正式なコメントを出していないので、まだ出場が決定した訳ではない

明日以降の戦いだが、全てのチームが地域リーグ決勝大会に出場することもあり、この時点で全力を出す(相手に実力を見せる)ことは避けたいという思惑も少なからずある。さらに、各チームの主力の大半が3試合連続出場となっており、コンディションを考えて明日、もしくは最終日は大きくメンバーを変えてくる可能性も高い。

※福島→初戦で主力2人が負傷退場しているため、事実上11人すべて3連戦と同じ
※長野→2戦目で大島が退場となったため、籾谷が途中出場しており、こちらも事実上11人すべて3連戦
※讃岐、相模原は3戦連続スタメンはそれぞれ8人

このような状況でもあるので、明日以降のメンバー構成はかなり流動的となってくることが予想されるが、明日・明後日は優勝はどこなのか?という部分にポイントを当てるのではなく、2日間という「変則日程のリーグ戦」で、どこが一番勝ち点を稼いだのか? と見てみたら違ったおもしろさが見えてくるのではないだろう?

プレ・地域決勝グループリーグ戦として…

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ただ、ここまでの試合から試合運び、戦術浸透度、個々の能力などをみると、長野と相模原が抜けていると感じてしまう。福島は「権利獲得」のために、満身創痍ながらも突っ走ったこともあり、やや他チームより余裕がない。

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各チームには、あと2試合大会が残されているが、優勝することも大事だが、この2試合で相手の情報を得ることと、チームの総合力を高めることの方が、実は大事なのかも知れない。


[準決勝対戦カード]
@きらら博記念公園サッカー・ラグビー場
第1試合:11時〜
カマタマーレ讃岐 vs SC相模原

第2試合:13時30分〜
福島ユナイテッドFC vs AC長野パルセイロ

全社、2回戦までの結果

土日に行われた第46回全国社会人サッカー選手権大会、1・2回戦結果と、明日の試合の対戦カードを一覧にしておきます


●1回戦結果
tonan前橋 2-1 FC KAGOSHIMA
ヴォラドール松江 3-0 テイヘンズ
ヴォルカ鹿児島 0-5 カマタマーレ讃岐
新日鐵室蘭 0-4 アイン食品
坂戸シティ 2-4 トヨタ蹴球団
FC大阪 2-4 ノルブリッツ北海道
SC相模原 1-0 デッツォーラ島根
矢崎バレンテ 2-2(PK5-4) グルージャ盛岡
阪南大クラブ 1-0 tonan前橋サテライト
shizuoka.藤枝MYFC 2-4 SC鳥取ドリームス
ヴェルフェたかはら那須 1-0 マルヤス工業
福島ユナイテッド 6-0 三洋電機洲本
新日鐵大分 2-1 札大GP
三洋電機徳島 1-2 レノファ山口
市川SC 1-2 Laranjya Kyoto
HOYO Atletico ELAN 0-2 AC長野パルセイロ


●2回戦結果
tonan前橋 2-2(PK5-4) ヴォラドール松江
カマタマーレ讃岐 1-0 アイン食品
トヨタ蹴球団 4-3 ノルブリッツ北海道
SC相模原 6-0 矢崎バレンテ
阪南大クラブ 3-0 SC鳥取ドリームス
ヴェルフェたかはら那須 0-1 福島ユナイテッド
新日鐵大分 5-3 レノファ山口
Laranjya Kyot 1-2 AC長野パルセイロ


●準々決勝対戦カード
[おのだサッカー場]
11:00 tonan前橋 vs カマタマーレ讃岐
13:30 トヨタ蹴球団 vs SC相模原
[きらら博記念公園サッカー・ラグビー場]
11:00 阪南大クラブ vs 福島ユナイテッド
13:30 新日鐵大分 vs AC長野パルセイロ

以上のようになっておりまして、明日の結果次第では全社からの「地域リーグ決勝大会への出場権」が決まる可能性があります。また、場合によっては関東リーグ1部のさいたまSCにも、出場権が与えられる可能性も出てきました。


で、日曜日に見た他の試合もかるく振り返っておきます。

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●SC相模原 6-0 矢崎バレンテ
相模原の圧勝。前半で4-0として、後半はかなり流したような試合だったが逃げ切りも軽く成功。いろいろ言われてきましたが、地域決勝に出るには問題ない力はあることは確信。斉藤、ジエゴの2トップは、今大会1の破壊力を持つ2トップであることは間違いない。

ただ気がかりなのは、初戦で古賀誠史が肋骨骨折となり、復帰までかなりの時間がかかりそうで、2回戦でも水野が右足首を痛めて負傷退場。水野の怪我の詳細はまだ不明だが、長引くようであれば、主力2名を欠いたまま地域決勝に挑むことになる相模原。なんとか明日も勝って、5連戦が出来るようして選手層の底上げを図りたいところだ。

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●カマタマーレ讃岐 1-0 アイン食品
後半しか見ていないので、前半の得点シーンは不明。後半の内容で評価するなら、両者とも相手の穴を何とかして探ろうとした「神経戦」のような試合だった。かなり評価しにくい試合であったが、アイン食品よりも、カマタマーレの方が攻撃のバリエーションは多かった。

縦に前に入れてくるアイン、繋いでリズムを作って攻撃するカマタマーレ。関西2位と四国1位の試合だったが、両者のゴールに向かうプロセスの違いを考えた場合、この結果は妥当だったかもしれない

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●トヨタ蹴球団 4-3 ノルブリッツ北海道
ラストのロスタイム5分間しか見ていないが、その間に4点も入ってしまって驚き。ノルブリッツとしては、1回戦も延長で体力が消耗しており、終盤は足が止まってかなり限界が見えてしまっていた。だからこそ、奇跡的にロスタイムに一度は逆転したものの、試合を3-2のままでクローズさせることが出来なかったというところか…

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松江、ドラマチックに散る

第46回全国社会人サッカー選手権
2回戦 @乃木浜Aグラウンド
tonan前橋 2-2(PK5-4) ヴォラドール松江
[得点者]
14・97分氏家(tonan)
28・99分吉岡(松江)

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今年から中国リーグに昇格してきたヴォラドール松江だが、リーグ戦序盤でレノファ山口に勝利して一気に波に乗り、終盤まで優勝争いを演じてきたチーム。最後はデッツオーラ島根にも抜かれて3位で終わったが、お世辞にもそれほど知名度の高い選手はいないのになぜ強いのか? その答えがどうしても知りたかったし、どうしても、その「気になるチーム」を見ておきたかった…

[tonanスタメン]
ーーー反町ー松永ーーー
ー渋谷ーーーー小仁所ー
ーーー山田ー氏家ーーー
林田ー間下ー柳澤ー山本
ーーーー金子ーーーーー

[松江スタメン]
ーーー澁山ー尾島ーーー
ー小川ーーーーー石富ー
ーーー樋口ー松本ーーー
錦織ー吉岡ー須藤ー油木
ーーーー伊藤ーーーーー

tonanは1回戦から5人スタメンを変えてきたのに対して、松江は9番森が13番石富に変わっただけのメンバーでこの試合に挑んできた。この大会で地域決勝出場権を目指すtonanは、連戦を見据えてメンバーを入れ替えてきたが、松江にはターンオーバーする余裕は正直なかった。

tonanのキックオフで始まった試合は、いきなり氏家のシュートで幕を開け、個々の能力で上回るtonanが序盤からペースを掴んでいく。4分には左SB林田のシュートでCKのチャンスを奪い、これに山田が頭で合わせて続けざまに松江ゴールを脅かしていく。なかなかペースを掴めず、相手のプレッシャーの前に引いてしまう松江は14分、またも訪れたCKのピンチに、氏家に頭で合わされ先制点を奪われてしまう。

しかし、ここから試合は大きく変わっていく。

本来なら、この先制点でtonanはしっかり試合を勝ちパターンに持って行かなければいけないのだが、両サイドは連携が合わず、分厚い攻撃になっていかない。さらに、反町、松永の2トップが大ブレーキで空回りが続いていくと、徐々に松江のボランチ松本、樋口からいいボールが前線に供給されるようになる。

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23分、26分と連続してチャンスを作った松江は、さらに相手陣内深い位置でFKのチャンスを得ると、キャプテン吉岡が頭で合わせ試合を振り出しに戻す。勢いづいた松江は守備でも冴えを見せていくようになる。30分には連続攻撃を浴び、ゴール前で山田にフリーでシュートを打たれてしまうが、伊藤が神懸かりなビッグセーブを見せ2点目を与えない。

その後も一進一退の攻防が続き、前半は1-1で折り返すが、両軍のHTの表情は全く違うものだった。

元Jリーガーもメンバーに名を連ねる相手に、序盤こそ引いてしまったが、中盤から互角以上の展開を見せた松江は「やれる」という手応えを掴み、廣瀬監督も「集中してやれているし、前半のうちに追いつけたのは本当によかった。セットプレーを大事にしながら、残りの40分も集中してやっていこう」と笑顔で選手を送り出す。

これに対してtonanの菅原監督は「相手は前の4人でしか攻撃してこない。大丈夫。うちの方が攻撃ができている」と前半を振り返ったが、キャプテンの氏家は違った。

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「みんな、話をちゃんと聞け。今もさあ、ちゃんと聞いてないだろ? それぞれが勝手なことをやるから、連携がバラバラになってミスしてボールを奪われてしまうんだよ。自分がミスしてしまうこと、余計力んだプレーになり流れを悪くしてしまう。いいか、よく聞け。しっかり4-4-2のポジショニングを確認して、落ち着いて繋いでやっていこう」

うーん… どっちが監督なのだろうか…

それはともかく、氏家の檄に目を覚ましたtonanが後半は両サイドバックと2列目が連動した分厚い攻撃を次々と仕掛けていく。だが、相変わらず2トップの決定力不足は変わらない。10分には左サイドを切り裂いた林田から絶妙のクロスが中に入るが、なんと中の2人ともこれを合わせられず…

13分にもゴール前に飛び出した反町がGKと1 vs 1になるが、ここでも決められず、さらには19分に渋谷が放ったミドルはクロスバーに阻まれて、どうしてもゴールを奪えない。

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相手の動きもよくなったことで、守備の時間が増えた松江だが、集中を切らさずに粘り強い守備でゴールに鍵を掛け、カウンターから逆転の機会を狙っていく。後半は互いのゲームプランがしっかり反映され、1点を争う好ゲームとなっていく。しかし36分、松江の左SB錦織が2枚目の警告を受け、レッドカードで退場となり、残り時間を数的不利で戦うことになってしまう。

それでもキャプテン吉岡と、須山が中央を固める松江守備陣が奮闘。

ここで、この試合は延長入りするな…と感じて、残り3分で隣のグラウンドで同時進行している「トヨタ蹴球団 vs ノルブリッツ北海道」の試合へ。こちらに関してはまた別の機会で。

予想通り、A会場はロスタイムに得点は入らず、そのまま延長戦入りしたが、さすがに10人の松江は厳しいかと思われたが、2戦連続で延長戦入りしたtonanも厳しいことは変わりはなかった。我慢比べのような試合になっていたが、延長後半にtonanは絶好の決定機を迎える。延長後半5分、松江DFがPA内で痛恨のハンドでPKを与えてしまう。これをキャプテンの氏家が決めて、待望の2点目が入る。

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これで勝負ありかと思われたが、松江は最後まで諦めない。試合終了直前の延長後半9分、CKのチャンスを得ると、自陣にはGKだけを残して全員相手ゴール前に集結。そして樋口の蹴ったボールに、吉岡が頭で再び合わせて土壇場で追いつくという、ドラマチックなシーンが訪れた。

鳥肌モノでしたわ…

だが勝負はこれでは終わらない。3回戦(準々決勝)に進出するチームを決めるためにPK戦へ

ここまで、粘り強く戦ってきた松江だが、5人全てゴールに蹴りこんだtonanが勝利して、次の試合へとコマを進めた。

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敗れてしまった松江だが、攻守のメリハリがあり、非常に整備されたチームで、将来がとても楽しみなチームであることを知らしめてくれた。今年の中国リーグでの快進撃も、今日の試合を見ればフロックでもまぐれでもないことは、見た人全てが感じたはずであろう。

ここまで廣瀬監督のもと、信じてやってきたサッカーが間違いではないことが証明できたし、格上と思われる相手でも勇気を持ってプレーした選手は手応えを感じていた。だからこそ、負けたとはいえ充実感を感じて大会を後にしたのだが、この試合が終えたことで、ヴォラドール松江は新たなスタート地点に立ったともいえる。

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今季は無我夢中で戦ってきた。その中で結果を出せたが、来シーズンは今年の経験をベースに、本格的に「全国への挑戦」を明確にしていかなければならない。より高い位置への挑戦…

この日の戦いは、「J」のつく場所への第一歩を歩み出すための、記念すべき試合だったのかも知れない。

さて最後に、勝利したtonan前橋についてだが、辛口な評価しか付けられないことは否定できない。個々の実力は高いのに、チームとしていつもまとまりがない。これは関東リーグ序盤の時と何も変わってはおらず、課題が克服されていないことを証明してしまった。

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tonanが地域決勝の出場権を得るには、FWの決定力不足が解消されるのではなく、チームとして一体感が出ないかぎり無理といわざるを得ないだろう。ハーフタイム時の氏家の檄に、ほかの選手たちがどう思ったのか… チームを引っ張るベテランの声に応えることが出来れば、明日以降の結果も変わってくるかも知れない。

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