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2010年5月9日 - 2010年5月15日

2010年5月14日 (金)

流経大経由、世界行き

5月13日、2人の流経大3年生に大きな発表があった。

一人目は比嘉祐介。
5月18日からフランスで行われる「トゥーロン国際大会」に参加するU-21日本代表に、流通経済大学3年の比嘉祐介(DF)が選出された。このU-21代表だが、2年後に行われるロンドンオリンピックに向けて、ベースとなってくるチームでもある。

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現在、流経大でセンターバックを務める比嘉。身長は168センチとCBとしては非常に小柄だが、中野監督、大平コーチが「非凡」と称するほど、高い身体能力と才能を持ち、身長差をものともしない守備を見せる。高さこそないものの、スピードとカバーリング能力に長けており、大型FWに対しても十分に対応可能。

しかし、彼の持ち味といえば、守備能力よりも攻撃力。流経柏時代ではサイドバックとして活躍し、高校2冠(全日本ユース&選手権)に大きく貢献。同期の中里、村瀬、上條、大前(現清水)や、1年後輩の田口、久場(ともに名古屋)という選手と比べても、遜色ないほどの攻撃センスを持っており、本来はセンターではなく、サイドでその力を伸ばしてもらいたい選手。

現在、流経大では、センターを守る選手が不足していることもあり、サイドではなく、センターを担当しているが、代表ではぜひとも、彼の持ち味である攻撃力を活かすためにも、サイドバックの比嘉を見てみたいところだ。

さて、もう一人が山村和也だ。

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日本サッカー協会は、南アフリカで行われるワールドカップの帯同メンバーに、FW永井謙佑(21=福岡大)とDF山村和也(20=流経大)の2人の大学生を選出したことを明らかにした。

2人はW杯メンバー、予備登録にも入らなかったが、岡田監督と原技術委員長が将来性を高く評価し、国内合宿とスイス合宿、さらにはワールドカップ本大会に帯同することとなった。合宿や現地では、代表メンバーの練習相手となることとなり、代表メンバーに負傷者が出れば、繰り上げ当選で出場する可能性も残されている。

この山村だが、流経大・中野監督曰く「10年に一人の逸材」と惚れ込む存在であり、1年生の時からトップチームのレギュラーポジションを獲得。日本代表合宿の際に行われた、流経大との練習試合で岡田監督の目にとまり、今年の1月に行われたAFCアジアカップ2011予選でA代表に初選出される。そして、1月6日のイエメン戦では井原正巳以来、18年ぶりに大学生でのAマッチ出場となった(永井も同時に出場)。

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高さもあり、空中戦の強さを発揮する山村だが、それ以上に「井原二世」とも呼ばれる所以である、冷静な判断力も彼の良さである。さらには、守備能力だけではなく、ボランチとして、攻守の起点としての活躍ができ、パワープレー時には前線のターゲットマンとしても動ける彼は、比嘉同様、実はマルチな才能を兼ね備えた選手でもある。

今回の代表選出には、賛否両論があるところであるが、この永井と山村を帯同させたことについては素晴らしい決断だったと考える。日本の将来を見据えた上で、彼らには「世界の舞台」を見せる、感じさせるだけでも大きな経験になってくるはず。本音をいえば、4人と言わず、もっと連れて行って欲しいぐらいである。

正直に言えば、今回の日本代表には大きな期待はしてはいない。それは、岡田監督が無能だからとか、選手の選考が悪いとかではない。今の日本という国のサッカーレベルが、世界の中でどれぐらいの位置にいるのか? を冷静に判断すれば、自ずとグループ予選の結果は見えてくるはず。だが今回、岡田監督が最後に期待を託した2人の大学生が、この大会を通じて「世界観」をしっかり掴んでくれれば、次世代に向けて明るい兆しが見えてくるかも知れない。

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中野監督が、先日の早大戦で「おまえらには、常に世界と戦うことを考えてプレーしてほしい」と伝えていたが、2人は世界と戦う、世界を知る絶好のチャンスを掴んだのである。将来の日本代表を支えるためにも、流経の2人にはそれぞれの「チャンス」を実りあるものにして欲しいと願うかぎりだ。

2010年5月12日 (水)

5/9、地域リーグ結果

とりあえず、5月9日に行われた試合結果を中心に、各地の動きをお知らせします。

●北海道リーグ(5月16日開幕)

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●東北リーグ1部
[第4節結果]
5月2日開催
グルージャ盛岡 2-2 秋田カンビアーレ
コバルトーレ女川 1-2 福島ユナイテッド
塩釜ヴィーゼ 0-5 NEC トーキン
5月9日開催
プリメーロ 1-0 盛岡ゼブラ

[順位]
1位:福島ユナイテッド(12pt +13)、2位:グルージャ盛岡(10pt +17)、3位:NECトーキン(8pt +5)、4位:カンビアーレ(5pt -3)、5位:プリメーロ(4pt -4)、6位:盛岡ゼブラ(3pt -3)、7位:塩釜ヴィーゼ(3pt -20)、8位:コバルトーレ女川(0pt -6)

[寸評]
グルージャがカンビアーレに痛すぎるドロー。福島は苦しみながらも女川に勝利したことで、順位がついに逆転。これから先の順位を占う上で、NECトーキンとの戦いが優勝を占う大きな鍵となってくる。

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●関東リーグ1部
[第6節結果]
5月9日開催
クラブ・ドラゴンズ 0-3 Y.S.C.C
厚木マーカス 3-0 ヴェルフェたかはら那須
さいたまSC 2-0 ACアルマレッザ
tonan前橋 3-4 FCコリア

[順位]
1位:Y.S.C.C(15pt +14)、2位:ヴェルフェ(11pt +5)、3位:さいたまSC(10pt +1)、4位:FCコリア(9pt 0)、5位:厚木マーカス(8pt -1)、6位:tonan前橋(7pt -3)、7位:クラブドラゴンズ(5pt -7)、8位:ACアルマレッザ(3pt -9)

[寸評]
GWの連戦でも確実に勝ち星を積み重ねるY.S.C.C。攻撃陣が非常に好調で、第6節時点で頭一つ抜け出した。さて、JFL昇格(J昇格)を狙うtonan前橋だが、優勝を狙うには非常に厳しい状態。関東で2位に入れば地域決勝出場への望みはかすかに残るのだが、現状の力ではそれすら難しいところだ。

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●北信越リーグ1部
[第4節結果]
5月9日開催
ジェンシャン 1-4 JSC
ヴァリエンテ富山 1-1 パルセイロ
テイヘンズ 2-1 サウルコス福井
アンテロープ塩尻 0-3 グランセナ新潟

[順位]
1位:JSC(12pt +8)、2位:パルセイロ(10pt +15)、3位:テイヘンズ(6pt -1)、4位:サウルコス福井(6pt -1)、5位:ジェンシャン(6pt -4)、6位:ヴァリエンテ富山(4pt -2)、7位:グランセナ新潟(3pt -1)、8位:アンテロープ塩尻(0pt -14)

[寸評]
JSCとの対戦までは「全勝」で行きたかったパルセイロだが、ヴァリエンテ戦で痛すぎるドローゲームを演じてしまう。それにしても、JSCの地味にしっかり勝ってくるところはさすが。こうなると、俄然JSCとの直接対決が楽しみになってくる。

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●東海リーグ1部
[第18節結果]→※なぜか前倒しで行われました
5月4日開催
芙蓉クラブ 1-3 浜松大学FC
矢崎バレンテ 0-0 FC刈谷
マルヤス工業 0-2藤枝市役所
鈴鹿ランポーレ 1-1 藤枝MYFC
※中京大学FCは試合なし

[第1節結果]
5月9日開催
藤枝MYFC 3-0 マルヤス工業
藤枝市役所 0-0 中京大学FC
矢崎バレンテ 4-0 芙蓉クラブ
浜松大学FC 0-1 鈴鹿ランポーレ
※FC刈谷は試合なし

[順位]
1位:矢崎バレンテ (4pt +4)、2位:藤枝MYFC(4pt +3)、3位:藤枝市役所(4pt +2)、4位:鈴鹿ランポーレ (4pt +1)、5位:浜松大学FC(3pt +1)、6位:FC刈谷(1pt 0)、6位:中京大学FC(1pt 0)、8位:マルヤス工業(0pt -5)、9位:芙蓉クラブ(0pt -6)

[寸評]
ついに開幕した東海リーグだが、まずは上位争いを期待される矢崎、藤枝MYFC 、鈴鹿が1勝1分スタートと、まずまずの出足。さて、今年一番の注目となるのは。やはりFC刈谷。開幕戦(実際は18節扱い)だが、東海リーグ・上位の常連である矢崎に対して、終始ペースを握っていたものの最後まで得点を奪えずドロースタート。消化不良な開幕となってしまったようだが、気持ちを切り替えて次の試合に挑んで欲しいところだ。

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●関西リーグ1部
[第4節結果]
5月9日開催
BIWAKO S.C HIRA 2-5 奈良クラブ
阪南大クラブ 2-3 三洋電機洲本
バンディオンセ加古川 0-2 ラランジャ京都
ルネス学園甲賀 1-5 アイン食品

[順位]
1位:三洋電機洲本(12pt +16)、2位:アイン食品(10pt +7)、3位:ラランジャ(7pt +3)、4位:奈良クラブ(7pt +2)、5位:阪南大クラブ(6pt +1)、6位:バンディオンセ(4pt +2)、7位:S.C HIRA(0pt -14)、8位:ルネス学園甲賀(0pt -17)

[寸評]
順調に勝ち点を積み重ねる三洋洲本。ライバルとなるアイン食品もしっかり追走。やはり、今年の関西リーグ1部は2強による優勝争いとなりそうだが、ラランジャがどこまで2強にくいついていけるだろうか。阪南大クラブはやや厳しくなってきたか?

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●中国リーグ
[第7節結果]
5月9日開催
佐川急便中国 5-0 宇部ヤーマン
レノファ山口 3-5 デッツォーラ島根
日立笠戸 2-6 Volador松江
岡山NEXT 5-0 JFE西日本
新日精水島 2-4 NTN岡山

[順位(※暫定)]
1位:レノファ山口(18pt +12、7試合)、2位:VOLADOR松江(15pt +7、6試合)、3位:新日本石油水島(13pt +5、6試合)、4位:佐川急便中国(12pt +12、5試合)、5位:岡山NEXT(9pt +11、6試合)、6位:NTN岡山(9pt 0、7試合)、7位:宇部ヤーマン(7pt -7、7試合)、8位:日立笠戸(6pt -17、7試合)、9位:デッツォーラ島根(3pt -4、4試合)、10位:JFE西日本(0pt -23、7試合)

[寸評]
変則開催が続いた中国リーグだが、今節は10チーム揃って試合が行われた。さて、GW前まで首位を走っていた松江だが、5節で新日精水島に敗れ連勝はストップ。7節は勝利したものの、勝ち星を積み重ねてきたレノファに抜かれて2位に後退。しかし、試合数が各チームでまちまちなので、逆転は常に可能。しかし、ここにきてやっと、本命レノファが力を発揮しだしてきたという感じ。

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●四国リーグ
[第4節結果]
5月9日開催
南クラブ  0-5 カマタマーレ讃岐
徳島2nd 6-0 南国高知FC
三洋電機徳島 3-0 黒潮FC
R.VELHO 0-3 愛媛しまなみ

[順位]
1位:愛媛しまなみ (12pt +11)、2位:徳島2nd(10pt +14)、3位:カマタマーレ讃岐(10pt +14)、4位:三洋電機徳島(10pt +5)、5位:南国高知FC(2pt -8)、6位:黒潮FC(1pt -9)、7位:南クラブ(0pt -13)、8位:R.VELHO(0pt -14)

[寸評]
J下部組織+J参入狙いの3強体制が続く四国。ここから7節まで、三洋徳島を含めた上位4強対決が実現。ここで勝ちきったチームが優勝に一歩近づくことになるだろう。

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●九州(KYU)リーグ
[第5節結果]
5月9日開催
ヴォルカ鹿児島 3-0 川副クラブ
新日鐵大分 2-2(PK4-5) 九州INAX
九州総合スポーツカレッジ 1-0 海邦銀行
三菱重工長崎 3-1 MSC.FC
※HOYOは試合なし

[順位(※暫定順位)]
1位:ヴォルカ鹿児島(11pt +10)、2位:HOYO(10pt +5)、3位:九州INAX (10pt +3)、4位:スポカレ(9pt +2)、5位:新日鐵大分(7pt +1)、6位:海邦銀行(6pt 0)、7位:川副クラブ(4pt -4)、8位:三菱重工長崎(3pt -4)、9位:MSC.FC(0pt -13)

[寸評]
試合の無かったHOYOを尻目に、今節も勝利したヴォルカ鹿児島が首位に立った。しかし、4位までの勝ち点差は「2」と、混戦状態が続いている。北九州、長崎、ロックが上位カテゴリーに戦いの場を移し、沖縄かりゆしが無くなった今、これといった突出したチームがないため、最後の最後まで優勝の行方を占うのは難しいかも知れない。

2010年5月10日 (月)

現実を見せつけられたドロー

JFL第10節 @浜川競技場
アルテ高崎 2-2 松本山雅FC
[得点者]
2分山藤、57分一柳(高崎)
3分木島、78分石田(松本)

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「勝てる試合で勝ち点2を失ってしまった…」

これは試合後の松本山雅・吉澤監督のコメントであるのだが、果たしてそうだったのだろうか… 正直、この言葉に疑問を感じてしまった。

ここまで、3勝2分4敗、勝ち点11で11位につけている松本山雅は、2勝2分5敗、勝ち点8で16位のアルテ高崎と浜川で対戦。山雅を見るのは3節以来となるのだが、それ以降は2勝2分1敗とかなり持ち直してきているので、どう成長しているか楽しみでもあった。

さて、この試合だが、両チームとも相手と戦うだけではなく、90分間「別のもの」とも戦わなければいけない厳しい試合となってしまった。その「別のもの」とは、デコボコな上に非常に堅いピッチと、群馬特有の強い北風である。

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本当に芝生のグラウンドなのか?と疑いたくなるほど、変なバウンドをするグラウンド。芝がはげている、デコボコであるという部分は、見ている観客の方でもわかると思うが、ピッチ(芝生)の下に砂や砂利が混ざった構造ではないので、非常に堅い。さらには、まっすぐボールが飛ばないどころか、向かい風の場合はボールが押し戻されてしまうほどの強風が吹き荒れていた。

ある意味、最悪とも言えるコンディションの中で始まった試合は、スタートからモロに影響を及ぼすこととなる。

開始10秒でアルテが山雅ペナルティエリア外から、15メートルほど離れた位置でFKのチャンスを得る。キッカーは15番山藤。アルテにとっては向かい風となる中でのFKであり、一見不利なように思えたのだが、この強風が思わぬゴールを生み出してしまう。左足から放たれたホールは、向かい風の影響もありスピードが出ない。この時、GKの判断は頭を越えると予測したのだが、ボールは予想外に伸びず、枠を超えるどころかGK正面でワンバウンド。そしてそのままゴールマウスに吸い込まれていってしまう…

GKの石川も、DFの須藤も鐵戸もただ見送るだけとなってしまい、開始直後にいきなり失点(※記録上は1分台の得点だが、今季からのルール改正で公式記録はその時間+1分という表記になるので、この場合は「2分」となる)

まるで、キツネにつままれたような表情を見せる山雅の選手たち。しかし、その直後にロングボール1本で木島が抜け出し、相手と競り合いながらもシュートを放ち、これが決まってあっさり同点。

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開始1分で2点も入ってしまうという驚きの展開。
そしてどちらも「風」が影響した得点でもあった。

立ち上がりから両者が得点を奪い、点の取り合いとなる試合になるかと思われたが、その後は追い風に乗った山雅がペースを握り、4分に再び木島がシュートを放つと、それを合図に山雅の猛攻がスタート。10分には右サイドの鐵戸が中に入れると、柿本の絶妙なポストプレーにボランチの斉藤が飛び込んでシュート。わずかに上にそれたが、素晴らしい展開を見せる。そして15分、今度は小松のスルーパスに鐵戸が反応。GKと1 vs 1となるも、シュートは枠の外。立て続けに訪れた決定機を外してしまう。

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本来なら、こんな場面が続けば流れは相手に移ってしまうものだが、アルテは向かい風に苦しむだけではなく、ミスも連発してしまい、流れをたぐり寄せることが出来ない。そして32分、阿部が縦に突破してシュートを放つと、これがCKに結びつく。今度こそ決めたい山雅だったが、山崎のヘディングシュートは、またも枠の上。

ゴールへ向かう展開は悪くはないのだが、ここまで入らないと、この先が厳しくなる。前半は追い風が味方してくれたが、後半は逆。ロングボールなんかは、押し戻されてしまう程の強風が吹き荒れるコンディション。これは、後半キツイなあ…と予想したが、その通りの展開となってしまう。

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前半とは打って変わって守勢に回る山雅。アルテは高いラインを保ち、繋いでいこうとい意識を高めてきたこともあり、試合の流れは一気に逆転。50分にCKのチャンスを掴み、そこから連続して攻撃を仕掛け続け、57分、右サイドから石沢のクロスが入り、一柳が頭で合わせてアルテが勝ち越す。

ここでも山雅のディフェンスは不安定だった。1点目も2点目もどちらもGKとDFのポジションが中途半端。両方とも、GKとDFがシュート(クロス)を処理しようとはせず、棒立ちのままとなっていたのだが、誰かがしっかり声を出していれば、失点しなくても済んだと言えるはずだ。

2点目を奪ったことで精神的に余裕が出来たアルテは、攻撃の手をさらに強めていく。59分、62分と連続して決定機を作り出すが、GK石川のファインセーブで追加点は奪えない。なんとか流れを引き戻して、まずは同点にしたい山雅は大西、小松に替え、木村勝太、石田祐樹を同時に投入。正直なところ、この日の大西は存在感は薄く、小松との連携もイマイチだったため、妥当ともいえる交代だった。

この交代策で流れを掴めるかと思ったのだが、アルテの勢いと「風の力」を抑えるまでは行かず、吉澤監督は堪らず最後のカードを切る。ボランチの斉藤に替わって、小林陽介を投入。システムをどうするのかと思われたが、中盤がダイヤモンド型というか、北村のワンボランチの4-1-3-2ともいえる、攻撃的布陣に変更し、結果的にこれが同点ゴールを生み出すこととなる。

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78分、ゴール前正面25メートルぐらいの位置で石田がフリーでボールを受けると、意表を突くロングシュート。これが見事に決まってついに同点に追いつく。この場面だが、小林が入った直後のシーンであり、アルテのマーカー確認のズレが生じていたことが影響し、あの場面で一瞬石田をフリーにしてしまったのだった。

残り試合時間はロスタイムを入れて約15分。ここからは両チーム、ノーガードの殴り合いという感じの試合に変わっていくが、決定機だけで考えれば、アルテの攻撃の方が山雅を勝っていた。失点シーンでは若さが出てしまった石川だが、1 vs 1の場面では冷静な守りを見せ、アルテに決勝点を与えない。正直なところ、石川のビッグセーブが無ければ山雅は勝ち点1すら奪えなかったはずだ。

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試合はこのまま2-2のドローで終わったが、正直なところ山雅の良さよりも、アルテの粘り強さだけが印象に残る試合であった。

試合後、松本山雅・吉澤監督は冒頭にある言葉をコメントした。
確かに、Jリーグ準会員チームとなり、この先はとにかく勝ち続けてJリーグ昇格圏内に滑り込むことが一番の目標であることはよくわかる。さらには、リーグ戦はこれから上位同士の対戦が続くこととなるので、下位相手にはしっかり勝ち点3を積み重ねたかったところだろう。

そんな中で、吉澤監督だけではなく、選手、さらにはサポーターも、「アルテには勝てるだろ?」という、誤った発想を少なからず持っていた。

そしてこの結果である…

吉澤監督も、選手も、ピッチの悪さ、予想以上の強風に苦しめられたとコメントしたが、それは相手も同じ。やはり、山雅の選手に慢心があったことは否定できない。

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アルテの後藤監督はこのように語ってくれた

前半は向かい風だったから悪かったんじゃなくて、ウチが『うちらしさ』を出せなかったから悪かった。後半は風とか相手とかは関係なく、自分たちの繋ぐサッカー、そしてしっかり走りきるサッカーをしなさいとだけ伝えた。相手は全然関係ないよ。名前では負けてるけどね、ウチの選手は本当にサッカーが好きで一生懸命やっている。あとはね、経験だけなんだよね…。あの2失点目とかなんかは、相手の形が変わったばっかりだから、注意しなきゃいけない時間帯なのに、あそこでフリーにしてしまった。サッカーの質を高めることは出来るけど、経験だけは監督がいくら教えてもどうにもならないからねえ… いい試合してるから、1つ勝てば本当に変わっていくと思いますよ。

確かに、鳥取戦では0-3で敗れた以降、負けが先行しているものの、全て1点差ゲームと拮抗した試合を展開し続けている今年のアルテ。かつては、昇格組があったためにJFL残留できたシーズンもあったが、昨年、後藤義一監督就任後、アルテは本当に変わった。さすがにJクラブのユースチーム(横浜FC U-18)の監督だったこともあり、若い選手を育てる能力には非常に長けている。

チームをどう勝たせるかという戦術論ではなく、どう選手を伸ばして行くかを考えられる後藤監督の指導が今、アルテの選手たちを大いに成長させている。相変わらず、選手が置かれている環境は恵まれているとは言えないものの、かつての「JFLのお荷物」と呼ばれた頃の姿は完全に消えていた。これから先、対戦相手はアルテに対してナメでかかる、痛い目に遭うかも知れない。ここはぜひ、「大物食い」を期待したい。

さて、山雅についてだが、現状、アルテと引き分けたことを「ヨシ」と考えるのが妥当な試合でもあった。吉澤監督は「練習の中でシュートの正確性を高めていくしかない」ともコメントしたが、果たしてそれだけであろうか? J昇格を目指す上では、チームの実力を全ての面でもっとアップしていかなければ、4位以内到達は難しいと言えるだろう。そしてだ、「負けたら次はない」という戦いが続いた北信越や地域決勝を戦ったときの気持ちを、もう一度思い出すことが重要なはず。

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この日は、アルテの「ハングリー精神」の前にも気合い負けしていた。サポーターのダンマクにも「俺らは常に挑戦者」というものがあるが、この気持ち、もしかして、すでに薄れてはいないだろうか?

この気持ちを持ち続けてこそ、山雅らしさというものなのだが、これをしっかり取り戻せるかは大きなポイントである。

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