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2010年4月4日 - 2010年4月10日

2010年4月 5日 (月)

若さゆえのもろさと可能性

2010JFL 第4節 @敷島
アルテ高崎 0-3 ガイナーレ鳥取
[得点者]
50分ハメド、60分喜多、90分阿部

Jリーグ準会員クラブとなってからすでに4年。07年に申請が認められ、08年にプロクラブへの転換を図ったものの、ここまで昇格条件をクリア出来ず、無念の「JFL残留」を続けてしまっているガイナーレ鳥取。後がない状況とも言える今年のガイナーレだが、昨年のチームをベースに、各ポジションごとにJ経験者をピンポイント補強を敢行。新戦力獲得はそれだけに終わらず、即戦力として期待できる大卒選手も補強し、万全なチーム体制を作り上げ、新しいシーズンに突入。

そんなガイナーレだが、内容はともかく開幕から2勝1分とまずまずのスタートを切り、第4節は群馬でアルテ高崎とのアウェーゲームに挑んできた。

スタジアムで手渡されたメンバー表を見て、改めてガイナーレの豪華なスタメンに目を引かれた…。元日本代表の服部年宏を筆頭に、元草津の喜多靖など、J経験者がスタメンに並んでいる。それに対して、アルテのメンバーはJ経験者はおろか、有名選手は誰ひとりいない。ネームバリューだけで比べたら、ガイナーレの完勝である。

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しかし、そのネームバリューなんて通用しないのが、JFLのおもしろさなのかも知れない。そして、無名の選手でもトレーニング次第では、強敵でも互角以上に渡り合えることを証明する試合となる。

落ち着いてゆったりとしたペースで試合に入ろうとしていたガイナーレだが、アルテの鋭いプレスの前に、前半は「サッカー」を全くさせてもらえない。ハードワークするアルテの選手に対して、横か後ろにしかパスを出せないガイナーレは、ラインが下がっていく。

アルテはFW松尾(17)やMF石沢(10)を中心とする攻撃陣が縦横無尽に波状攻撃を続け、ガイナーレ守備陣をゴール前に釘付け。アタックを仕掛けるアルテ、なんとかクリアするガイナーレ。だが、そのクリアボールを中盤でアルテに拾われ、またピンチを招いてしまう。誰ひとり、有名な選手はいない。しかし、全員が自分のタスクを忠実にこなし、運動量でも相手を凌駕し、強敵と真っ向勝負を演じるアルテ。

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最も惜しいシーンは前半30分(ぐらい)に訪れる。右からのCKのチャンスにDF5番小川が頭で合わせるも、GK小針がファインセーブ。戦術、運動量は完全に相手を上回り、ゲームを支配するアルテ。抜群の試合を見せるのだが、どうしてもフィニッシュだけが決まらない。どんなに攻められ、ペースを握られ、何も出来ないガイナーレだが、GKを含めた最終ラインの守備は「さすが」だった。

結局、前半はスコアレスで折り返し、勝負は残り45分にゆだねられることとなる。

走れない、蹴れない、繋がらないという、最悪のサッカーを披露してしまったガイナーレ。後半立ち上がりも、ペースを掴みきれないままだったが、一つのジャッジがこの試合を劇的に変えてしまう。

49分、アルテ自陣ペナルティエリアそばで、秋葉が胸(肩)トラップかと思えたプレーで「ハンド」を取られてしまう。このジャッジは非常に微妙であったが、主審の判定はハンドであり、ガイナーレが直接FKのチャンスを得る。

キッカーはハメド

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ゆっくりとしたモーションから放たれたシュートは、見事にゴール右隅に決まり、劣勢だったガイナーレが先制。

サッカーとは、本当に気まぐれなで難しいスポーツである。あれほどチャンスの山を築いたアルテは得点出来なかったのに、ガイナーレはたった1度のチャンスを見事に活かしてしまうのだから…

これでガイナーレには余裕が生まれ、アルテは前半のような素晴らしいサッカーが出来なくなり始める。ガイナーレは、後半に向けて特に戦術をいじった訳ではなく、別に前がかりになった訳でもない。先制点を奪ったことで焦りが消え、ゆっくりと自分たちのペースで試合を動かせるようになったのである。

スタメン11人の平均年齢が22.7歳のアルテに対し、27.9歳のガイナーレ。アルテの最高齢は25歳で、ガイナーレの最高齢は服部の36歳。若さと運動量で勝っても、経験値という点では残念ながら太刀打ちできなかった。さらにガイナーレは、60分、CKのチャンスから、一度はクリアされたボールを再び繋いで、最後は上がっていた喜多が頭で決めてリードをさらに広げる。

このシーンも、まさに経験値が生み出したゴールだった。CKのチャンスにDFの喜多も上がっていたが、最初はマーカーが付いていたものの、一度はクリアしたため、マークが甘くなっていた。そこを逃さななかったベテランの嗅覚は見事だ。

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これで試合は2点差。早く同点に追いつきたいアルテが完全に焦り出す。しかし、前半のように連動した攻撃を仕掛けられない。終盤にさしかかった時間帯で、序盤のような動きをすることはやはり無理だった。焦る気持ちがラインの間延びを呼び込み、ガイナーレに開いたスペースを何度も突かれてしまう。そして最後のロスタイムには、阿部に3点目までプレゼントしてしまい試合は0-3で終了。

いつの試合でも「たられば」は、やはり着いてきてしまうものだ。
50分のハメドの得点だが、もしハンドがノーファールと判定されていたら、この試合はどうなっていたかわからない。もしかしたら、2、3節同様にガイナーレは苦戦していたかも知れない。しっかり無失点で終えたことは評価できるが、攻撃の組み立ては合格点を与えるにはほど遠い内容であり、やや不満も残った。

しかし、ベテランが揃うチームらしく、勝負どころを心得え、そして決めるべきところで得点が取れるのは強みと言える。苦戦は続くものの、ガイナーレは内容より勝ち点を積み重ねることが一番大事なのだから、ある意味でこの試合展開は悪くないのかも知れない。

さて、素晴らしい試合を披露したアルテ・後藤監督だが、やはり「あの1点」が勝負の分かれ目だったとコメントした。

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「今週は、Honda FC戦で勝利した流れを持続して、最初からいい雰囲気だった。それがあの前半戦のパフォーマンスに繋がったんだけど、あれは普通ハンド取らないよねぇ…(笑)、まあ選手にね、前半終わって『オマエたち、後半もこのままの流れで試合が進むわけないからな…』と伝えていたのですが、あのFKでねえ…。これまでいいリズムでやれていたのにね」

あの判定からリズムが変わってしまったことを、非常に残念に語った後藤監督はこうも続けた。

「結局ね、前半のうちに1点取れなかったことが大きいんだよね。先に点を取っていれば全然違っていたんだけどね。ただ、昨年と比べたら格段に良くなってきています。去年の前期は守備を徹底的にたたき直し、あそこまで(7勝)勝てるようになったので、後期は守備のベースを活かしつつ、繋いで攻撃が出来るようなチームを目指したら、全く勝てなくなった(笑)。でも、今年も昨年と同じ繋ぐサッカーにトライし、今日はここまで出来たことに喜びも感じています。ネームバリューは無いけれど、一生懸命トレーニングして、全員がサボらずやればできないことはないんですよ。まだ選手は若いし、サッカーに取り組む姿勢は非常にまじめなので、私も指導のしがいがあるのです。まあ、今日みたいに『経験の差』を見せつけられると厳しいですが、これから先も自分のやり方を続けていいチームを作ります」

アルテというチームは、決して恵まれた状態の中でサッカーはしていない。選手の生活に対して、チームは特にバックアップしてくれていない。会場運営も所属選手でほぼ全部の仕事をしなければならない。それでも高いレベルでやりたい、上でやるきっかけを掴みたいという選手がアルテの門を叩いてくる。後藤監督は、そんな選手たちを放っておけないのである。

無名の選手の集まりとはいえ、ナメてかかったら痛い目に合うかも知れない。今年のアルテは非常におもしろそうといえるだろう。

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