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2010年1月3日 - 2010年1月9日

2010年1月 8日 (金)

高校サッカー準決勝/展開予想

準決勝第一試合
矢板中央 vs 山梨学院
展開予想

ともに前線から激しいプレスを掛け、高い位置からセカンドボールを奪って両サイドに展開する形がパターンの両チーム。システムも両者とも中盤がボックス型の4-4-2。そして、平均身長では大きな差もなく、とても似通ったチームの対戦と言えるだろう。

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しかし、攻撃のアイデア、引き出しという面で考えると、やや山梨に歩があるといえる。山梨の司令塔である碓井鉄平はパスのセンスだけではなく、ドリブル突破にも非凡なセンスを見せている。また、2トップの1角である伊東もポストプレーだけではなく、碓井同様、キレのあるドリブル突破を何度も見せている。さらに、今大会はケガのため、プレー時間を制限されているが、U-18日本代表候補にも選ばれている2年生FW加部未蘭がベンチに控えているところも心強い。

矢板中央としては、8番益子直樹の突破と、2年生FW中田充樹の高さがどこまで通用するかに懸かってくるはず。そして相手司令塔の碓井をどこまで抑えられるかも大きなポイント。前半戦はまずはしっかり守りきり、後半勝負というスタイルに出てくるだろう。

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さて、両者の守備力だが、矢板は3試合で2失点、山梨は4試合で2失点と、どちらも1試合1失点以下で抑えてきており、しっかりとした守備が自慢。互いに高い位置からのプレスをかけるチームなので、最終ラインもかなり高い位置となることが予想される。よって、運動量の落ちる終盤に、どれだけ相手の裏を突けるかが勝敗の行方を分けるかも知れない。

果たして、名将・横森巧は「27年ぶり」となる決勝の舞台まで進むことができるだろうか…

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準決勝第二試合
関大第一 vs 青森山田
展開予想

正直、ベスト4に残ったチームの中で、最も安定した力を持っているのは青森山田と言えるだろう。

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キャプテン椎名伸志や、中島龍基、柴崎岳といった年代別日本代表経験者を揃え、その他のメンバーも高い技術を持ち合わせ、攻守に渡り「今大会最強」という印象を与えている。特に、「事実上の決勝戦」とも言われた準々決勝の神村学園戦は、相手の攻撃を完全に封じ込めた上で、4得点を挙げる圧勝劇を見せつけた。

相手の攻撃を、高い位置からのプレスで押さえ込み、自陣までボールを行かせない。さらに攻撃に回ったときには、両サイドバックは面白いようにオーバーラップを繰り返し、常に数的優位を作り「だれかが余る状況」を作り出す。こうなってしまうと、相手は守るだけの状態となってしまう。中京大中京戦で1試合最多の10得点を挙げた神村学園も、あの動きをされてしまえば沈黙する以外なかった。

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さて、そんな「大本命」を相手にするのが、大会前はまったくノーマークだった関大第一である。八千代、藤枝明誠と強豪を撃破して4強進出を決めたこのチームの特徴といえば、全員がハードワークすることであろう。特に目立った選手のいない関大第一。そんなチームだからこそ、とにかく相手よりも走ること、動くことを徹底している。さらにかつて、国見の代名詞だったような鬼プレスを最初から掛けまくり、相手の自由を次々と奪っていく。さらにセットプレーでの勝負強さと、カウンターのスピードは一級品で、青森山田とはいえ十分なケアが必要となるはずだ。

準決勝第2試合は、下馬評どおりなら青森山田優位は動かない。しかし、キックオフ直後からはじまる、関大第一の鬼プレスが見事にはまれば、試合の行方は非常に面白くなるだろう。椎名-柴崎のユース年代最高のボランチコンビが繰り出す攻撃が勝るのか、スピードと体力の関大サッカーが、青森山田に肉薄するのか? この試合は開始10分以内の「ファーストアタック」で勝敗が分かれそうである。

名将・横森巧、最後の挑戦へ

「山梨のサッカーを盛り上げるためにも、強いチームを作りたい」

その言葉と関係者の熱意により、一線の指導者から退いていた名将が、再び現場に戻ることとなったのは今から5年前のことだった。最初は山梨学院のアドバイザー的存在からスタートし、2006年から大学、高校、中学のすべてを見渡す「総監督」という立場へ変わっていく。そして今年から、正式に「高等部」の監督にも就任すると、全国大会初出場を勝ち取り、さらには26年の時を超え、国立競技場のピッチに舞い戻ることになった横森巧・山梨学院大学付属高校監督。

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横森監督がこのチームに関わったときには、まさに「0」からのスタートだった。よい練習をする環境はない。強いチームに変える指導者もいない。そしてなによりも優秀な選手がいなかった。

環境は2007年に学校が人工芝グラウンドにクラブハウスを用意してくれた。首脳陣も横森監督の教え子でもある、元セレッソ大阪監督の塚田雄二氏や保坂孝氏が駆けつけた。あとは選手だけだったが、実はこれが一番の難問でもあったのだ。

新しい学校には実績がなく、選手も集まりにくい。さらによい人材はJユースに流れてしまうことも多くなってきていた。そんな中で、横森監督自身が各地を転々として、将来性のある選手に声をかけて行くこととなる。Jユースクラブ選考から漏れてしまった選手に対し、「3年間一緒にやろう」と説得し続け、その結果集まった選手たちが今の碓井であり、平塚だったのだ。

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高等部強化2年目の2007年、全国大会まであと一歩…というところまで近づいたが、かつて横森監督が指揮した韮崎高校に決勝で敗れ、初の全国大会出場はお預けとなってしまった。しかし、翌年の2008年はインターハイ出場権を獲得し、2回戦(0-1桐光学園)で敗れたとはいえ、この経験が後に大きな財産となっていく。そして今年度は関東大会で優勝するなど確実に力をつけ、待望の選手権初出場へ期待が高まっていた。

そして今大会、初出場を果たしたが、初戦の相手は強豪・野洲高校だった。だが、ジュニアユース世代で大舞台を経験していた選手たちは、名将の下でたくましく成長していた。先制点を奪われても慌てることなくゲームを組み立て、野洲のお株を奪うようなパスサッカーで4-2と撃破。その後も楽なゲームは1つも無かったが、3試合連続無失点に抑え、たった1週間でチームは飛躍的に経験値を上げていったのだった。

このチームの中心といえば、キャプテンの碓井鉄平であることは間違いない。横森監督も「チームの心臓」と言うほどの選手で、かつて横森監督が育てた羽中田昌氏以上の逸材とも言われている。攻撃のコンダクターである彼からの多彩なパスやドリブル突破に注目が集まるところだが、彼と中盤でコンビを組む宮本龍の存在も見逃せない。攻撃に比重がかかる碓井に対して、黒子となりチーム全体のバランスを取る宮本。攻撃陣の活躍ほど目立ちはしないが、地味に仕事をこなす2年生は、将来性抜群と言えるはず。

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さて、守備面を見ると4試合で失点は2。それも初戦の野洲高校戦での2失点以降、その後の試合では無失点に抑えている。山梨学院の最終ラインは、決して高さがある訳ではない。3番の関篤志のみ183センチだが、それ以外は全員170センチ台。しかし、最終ラインのリーダーである、中田寛人の判断力、統率力、そしてカバーリングの良さが冴え渡り、相手攻撃陣に対して、危険な地域でプレーさせていない。

後はケガのため、100%の状態で試合に挑むことの出来ない2年生エース、加部未蘭の回復具合が気になるところ。今のところ医師からは「25分ぐらいのプレー」限定とされているようだが、大一番を前にして名将はこの大器をどう使ってくるか楽しみである。

横森監督自身、試合後に「若い人に継いで欲しい」と発言するだけではなく「有終の美を飾りたい」とも語っており、監督して現場に立つのはこれが最後であることが確実視されている。文字通り、今回が「ラストチャンス」となる横森監督。松本暁司、古沼貞雄、小嶺忠敏などと並ぶ、高校サッカー界をリードしてきた名将が、最後の最後で「男」になれるのか…

さあ、運命の準決勝はもう、まもなくだ

2010年1月 4日 (月)

26年の時を経て…

第88回全国高校サッカー選手権 3回戦 @駒場スタジアム
山梨学院大学付属高校 2-0 香川西

なかなか香川西のディフェンスを破れなかった…

キックオフから試合を支配したのは山梨学院だった。MF碓井鉄平は長短多彩なパスをスペースに繰り出し、MF平塚拓真やFW伊東拓弥は自慢のドリブル突破を仕掛け香川ゴールに迫る。また、高い位置からのプレスも功を奏して、セカンドボールの大半は山梨が拾う事に成功して、チャンスを広げていく。しかし、守る相手は前日に前橋育英を破った香川西である。さすがに守備はしっかりしており、ボールキープはするもののバイタルエリアでは厳しい寄せを繰り出し、山梨に決定機をなかなか作らせない。

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さて、この日の香川西の攻撃だが、序盤は県大会で見せた「繋ぐサッカー」が潜めがちであった。しかし、それには理由があり、前日に行われた前橋育英戦に向けて、チームは大会前からショートカウンター戦術を練習していたことと、それが見事にはまってしまったことで、前日のイメージのまま試合に入ってしまっていたのだ。だが、この日の相手は前橋育英ではなく、山梨学院大学付属高校である。にも関わらず、この闘い方をしてしまったことが、試合をより山梨ペースとしてしまう要因に繋がっていく。

そしてもう一つ、大きな問題もあった。それは香川西が「山梨学院大学付属高校」の情報をほとんど持っていなかったことだ。これは監督自身も認めていたことで、選手に対して有効な相手情報を渡すことが出来ていなかった。そんな状況であるから、試合前は「相手は穴のないチーム、(序盤の)20分間は耐えて、中盤以降で自分たちのサッカーをしよう」とだけ言って送り出したのである。そして選手たちは攻撃面では「らしさ」を出せなかったが、守備面では粘り強く対処して「40分間」はしっかりと守り通した。だが、ロスタイムに入ってから与えてしまったCKにおいて、一瞬のスキを見せてしまう。

左からのCKに対して、山梨DF中田寛人がニアに飛び込んで合わせ、この時間帯に失点を喫してしまう。山梨にとっては、まさに最高の時間であり、香川にとっては最悪なタイミングだった。香川西・大浦監督も「0-0で返ってくるのと、1点ビハインドでは大きな差があった」と語るように、この失点は大きな痛手となってしまう。

さて後半だが、前半のうちに挙げた1点により、精神的余裕も生まれた山梨が、後半立ち上がりもペースを握る。しかし、3試合目ということもあり、時間が経つにつれ動きも鈍くなり出し、徐々に香川のパスサッカーが反撃に出る。だが山梨の守備は1戦1戦進化していた。相手に対して逃げないディフェンス(監督曰く「勇気を持って戦っている」)を披露し、相手攻撃を完全にシャットアウト。さらに相手が前がかりになったところで、理想的ともいえる見事なカウンターを繰り出し、65分にあっという間に平塚が試合を決定づける2点目をゲット。

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最後も山梨ディフェンスはしっかり守りきり、見事に「完勝」といえる内容で、山梨県勢26年ぶりとなるベスト8進出を決めた。

さて「山梨県勢26年ぶり」とあるが、最後にベスト8以上進出したのは、当時「全盛期」であった韮崎高校だ。そしてこのチームを率いていた監督こそ、今山梨学院大学付属高校を率いている横森巧さんなのである。果たして26年の時を経て、名将・横森巧が国立競技場に戻ってくるのだろうか…

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このように、周囲は大きな期待を寄せるが、監督は「ウチはそんな高い目標は設定していません。1つ1つ戦っていくだけ」と、ここまで来てもスタンス(考え方)はまったく変えてはいない。しかし、この「変えない姿勢」が選手の成長を促している気もするのだ。

さらには監督は「1戦ごとに疲労が高まり、ケガも増えてきている。準備はしてきているが、徐々にキレのあるサッカーがやりきれなくなっている」ともコメントするが、チームは大会を通じて、強い相手と戦う中で方向性(目指すサッカー)が間違っていなかったことを確認し、1戦1戦自信を深めていることも、また事実であろう。監督も「ぐちゃぐちゃになってもなんとか出来るようになっている」と、その部分は確かに認めているのだから。

果たして67歳の横森監督は26年ぶりに国立に戻れるか。
次のルーテル戦も非常に楽しみである。

2010年1月 3日 (日)

狙い通りの攻撃で藤枝明誠が国見を撃破

第88回全国高校サッカー選手権 2回戦戦 @西が丘サッカー場
国見 1-4 藤枝明誠

「相手を『5バック』にしてしまおう…」

これが藤枝明誠の狙いであり、まさにそのとおりになった試合だった。

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さて藤枝明誠だが、選手権初出場とはいえプリンスリーグ東海では1部に所属し、全日本ユースも8強と確かな実力を持っているチーム。しかし、今大会はキャプテン・小川哲生が左足首ねんざのため欠場し、初戦の徳島商業戦もPK勝ちと、順風とは言えない状況の中で国見戦を迎えた。

対する国見だが、ネームバリューこそ圧倒的に上回るものの、2007年に小嶺前監督がチームを去った後は、全国の舞台どころか九州地区でも結果を残せていない。しかし、1回戦ではJ1神戸内定のFW有田光希を擁する北越に5-0と圧勝し、「名門復活」を賭けて2回戦のピッチに立った。

静岡らしい華麗なパスサッカーと、国見伝統の堅守速攻の対決は、1点を争うゲームになるかと思われたが、思わぬ展開が序盤から繰り広げられることとなる。

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まずは開始早々、鈴木周太がシュートを放つもポストに阻まれたが、その跳ね返りに13番飯塚祐樹が反応。これがそのまま決まって藤枝明誠があっという間に先制点を奪う。国見にとっては、悪夢のような早い時間の失点に、キャプテン野地諒平を中心とした国見3バックは制御不能となってしまう。さらに藤枝明誠は田村監督の狙い通り、両サイドアタッカーの鈴木、飯塚の積極果敢な仕掛けにより、相手両サイドを守備ラインに釘付けにし、文字通り相手を「5バック」にすることに成功する。

早い時間帯での失点で精神的にダメージを受けた国見。相手の猛攻に晒され、マークすらままならない状況に陥り、8分にはまたも鈴木の突破から完全に崩され、最後は中央で待っていた15番大山和早に押し込まれ、早くも2点差。続く12分は右SBの山本真也ロングパス1本から中央で待っていた大山が再び決め、試合を3-0とする。

両サイドが藤枝明誠の猛攻の前に最終ラインまで下げられ、攻撃の形どころか守備の形さえ失う大混乱状態となり、なす術のない国見。新しい「繋ぐ国見」を見せるどころか、攻撃の形すら作らしてはもらえず、最終ラインからロングボールを前線に送るだけの単純な攻撃に終始してしまう。

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シュートの本数だけは藤枝と変わらない7本を放ったものの、藤枝は国見の攻撃パターンをしっかり研究しており、バイタルエリア付近でのシュートを簡単に打たせず。前半は藤枝明誠が「完璧な形」で国見を圧倒して3-0のスコアで終えた。

後半に入ると、縦への攻撃を徹底してきた国見がペースを握り返し、後半15分には連続攻撃から国見が1点返す。その後も国見が試合の主導権を握り、試合の行方がわからなくなりそうになる。しかし、U-18日本代表DFの藤原賢土率いる藤枝ディフェンスが、ここから踏ん張りを見せ、追加点を与えない。すると後半27分、11番安東大介が起点となり、最後は飯塚がこの日2点目となるゴールを決め、リードを再び3点差として勝負あり。

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結局試合はこのまま4-1で終了し、藤枝明誠が3回戦進出を決めたが、この試合では藤枝明誠の各選手の「体格の良さ」が強く感じられた。体格の良さと言っても、「身長が高さ」ではなく、よくトレーニングされたことがわかる体の「芯の強さ」から感じた「体格の良さ」だった。かつて「体格の良さ」とは、徹底的なフィジカルトレーニングによって身につけた国見の専売特許のようなものだったが、藤枝の選手たちは新しい時代を感じさせる「体格の良さ」だった。

そして誰よりも目についたのは、この日ゴールこそ無かったが、藤枝の攻撃の起点として前線で体を張り続けたFWの安東だった。181センチと恵まれた体型を持つが、彼のポストプレーは自らの身長・体重よりもさらに大きく見せるほど、迫力のあるプレーで相手DFを圧倒。じつはケガのため、まだベストコンディションではないのだ。そんな状態でも、あれだけファイトできるFWには、十分将来性を感じさせた。

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さて、2回戦で敗退となった国見だが、「経験のなさ」が敗因といえるだろう。そもそも試合経験では、全国大会初出場の藤枝明誠の方が少ないのだが、現在のチームに限っては立場は逆。そしてその経験のなさ故に、序盤の失点からすぐに立ち直りが出来なかった。

名門復活を賭けて挑んだこの大会だが、まだそれには時期尚早だったのかも知れない。今年は例年に比べ2年生も少なくはなかった国見。この日の惨敗を糧にして、まずは九州のプリンスリーグ1部で経験を積み、来年の大会で本当の意味での「名門復活」を願いたい。

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