« 関大、見事な逆転勝利 | トップページ | 駒大高、国立で初陣を飾る »

2010年12月28日 (火)

堅守中京大、再び決勝の舞台へ

全日本大学サッカー選手権
準決勝第二試合 @平塚競技場
高知大学 1-2 中京大学
[得点者]
27分西山(高知大)
48分中田、68分藤牧(中京大)

1、2回戦は、それぞれの持ち味が発揮され勝ち抜いてきた両者。高知大は能力の高いアタッカーが繰り出す攻撃力、そして中京大は、高い戦術眼と組織力、さらにはどんな攻撃にもしっかり耐える強固なディフェンス力。

これまで、自分たちと同じような攻撃サッカーを志す相手と対戦し、攻め勝ってきた高知大だが、準決勝の相手はこれまでとはまったく違うタイプ。間違いなくポゼッションでは圧倒するだろうが、果たしてあの強固な「壁」を崩せるのか? という点に注目していたのだが、案の定その壁に苦しみ、四国勢として初のインカレファイナリストにはなれなかった…

Img_9137

[高知大スタメン]
ーーー福本ー布施ーーー
ー芝野ーーーーー香川ー
ーーー酒井ー西山ーーー
塚本ー山部ー實藤ー赤木
ーーーー片山ーーーーー

[中京大スタメン]
ーーー藤牧ーー斎藤ーーー
星野ー石原ーー佐藤ー平山
ーーーーー熊沢ーーーーー
ーー須崎ー中田ー森本ーー
ーーーーー石川ーーーーー

初戦から不動のシステム・メンバーで戦い続ける高知大に対して、中京大は出場メンバーこそほぼ替わらないものの、システムは3バックの前にアンカーが入る、変則的3-5-2でこの試合に挑んできた。

Img_8833

中京大のキックオフで始まった試合は、いきなり中京大が先制パンチを放つような形で始まっていく。キックオフのボールを後ろに戻さず、そのまま持ちこんでいき、これがCK獲得へ繋がっていく。最初のセットプレーこそ、高知大守備陣に跳ね返されたが、こぼれ球を拾って最後は平山がシュートまで持って行く。

開始早々のピンチに、ややヒヤっとした高知大だが、これを乗り切ると誰もが予想したとおりの展開が平塚のピッチ上で繰り広げられる。4分に、ボールを奪った香川がドリブル突破からそのままシュート。続く10分には芝野がドリブル突破からシュート、14分〜25分にかけては連続攻撃からCK、FKを立て続けに獲得して中京大ゴールに猛攻を浴びせていく。

そして26分、西山のシュートがゴールを襲うもこれはGK石川がセーブ。しかし直後の27分、またも連続攻撃から西山が再びシュート。今度はこれが決まって高知大が先制。高知大が押し込んで押し込んで、やっと中京大の壁を突き破った瞬間だった。

Img_8870

さらに追加点を狙って攻め続ける高知大。しかし、中京大もギリギリの部分で体を張り続け追加点を与えない。完全に劣勢に追い込まれた中京大だが、40分すぎからシステムを3バックから4バックに変更して、悪い流れを何とか断ち切ろうとする。

[4バック変更後]
ーーー藤牧ー斎藤ーーー
ー石原ーーーーー星野ー
ーーー熊沢ー佐藤ーーー
須崎ー中田ー森本ー平山
ーーーー石川ーーーーー
※佐藤と熊澤の並びは横というよりも、やや縦に並んだ感じかも…

内容的には、相手に好き放題やられてしまった前半の中京大。完全に流れを相手に奪われ、攻撃面では2分の先制パンチと43分のFKを直接狙っただけのシュート2本に抑えられ、何一つやらせてもらえなかった。だが、西ヶ谷監督は試合前から「前半は我慢」ということを伝えていた。確かに1点こそ失ったが、あの内容で2点目を奪われなかったことは、チームにとって悪いなりにも後半に繋げられる光でもあった。そして後半から、中京大のスーパーサブ・中村亮太を投入する。

さて後半だが、前半同様、またも立ち上がりの落ち着かない時間帯に中京大はラッシュを仕掛けていく。そこで奪ったCKのチャンスに、ファーでフリーで待っていた中田が右足で蹴り込み、あれだけ劣勢だった中京大がワンチャンスを活かして同点に追いつく。

Img_8937

高知大が注意すべき点とは、カウンターとセットプレーであることは最初からわかっており、野地監督も「リスタートでの集中を欠くことがないように」と伝えていたのだが、やはりセットプレーでのしたたかさは中京大の方が上手だった。

同点になり、試合の流れはやはりこれまでとはかなり変わってくる。

相変わらず試合の大半を、高知大がボールをキープして中京大陣内でゲームを進めているのだが、前半のように「やられっぱなし」という感じではなくなってきた。同点に追いついたことで、明らかにデフェンス陣に心の余裕が生まれ、後手を踏むディフェンスではなく、しっかり相手の動きを見きった上での対応に変化していく。

15分過ぎから、再び高知大の攻撃に晒されピンチを迎えるのだが、ここもしっかり対応し、逆に前半あまり見られなかった中京大らしい、鋭いカウンターがここで炸裂する。後半22分、ボランチの佐藤がセンターライン付近で相手ボールをカットして、すばやく前線にフィード。このボールに反応した藤牧は、ボールを追いながらもキーパーの位置をしっかり確認した上で、ペナルティエリアの外からGKの頭を越える絶妙なシュートを放っていく。

やや前に出ていたGK片山は、藤牧のシュートを見送るしかなかった…

Img_9037

後半に放った3本目のシュートが見事に決まってついに逆転。3本中、2本が得点になるという高い決定率というか、なんという効率の良さ。そして中京大は、1点リードを奪ったあとの25分以降から、再びシステムを変えてくる。

[後半25分以降〜]
ーーーー斎藤ーーーーー
藤牧ー中村ー佐藤ー星野
ーーーー熊沢ーーーーー
須崎ー中田ー森本ー平山
ーーーー石川ーーーーー

西ヶ谷監督は藤牧を呼び「左に行け」と指示した後、人差し指を立てて「1トップで」と声を掛けた。夏の基本形でもある4-1-4-1システムに変え、前と後ろに強固なラインを作り、試合をクローズさせに来たのだ。この日のように、試合中に何度もシステムを変える中京大だが、練習では戦術練習やチームとしての意思統一を徹底し、選手にはいろいろなポジションを経験させてきた。だからこそ、選手交代やシステム変更で監督が「何を求めるのか」をすぐにその意図を読み取ったのである。

30分以降、高知大は選手交代のカードを切って勝負に出る。だが、リードした時の中京大はめっぽう強かった。いや、強いというよりは「堅い」という言い方の方が正しいかも知れない。前と後ろに強固な壁を作り、その間は運動量が豊富な熊澤がしっかりケアして隙間を埋めていく。

Img_8897

中京大1点リードのまま残り時間5分となったところで、高知大はついにCBの實藤を最前線に置いたパワープレーに打って出る。大学1年まで本職のFWであり、アジア大会でも決勝ゴールを決めた男の決定力にすべてを賭けたのだが、中京大もすぐさまこれに反応。後半開始から投入された中村に替え、實藤のマンマーク要因としてDFの加藤を投入。

Img_9087

交代で入った選手を替えることは、監督しては難しい決断でもあった。中村の出来は悪いという程ではない。しかし、勝つためには非常な決断も必要であり、「これが今はベストな選択である」と考えるなら実行するしかない。

そしてこの決断は結果的に、最後の高知大の猛攻を凌ぎきる力となり、中京大は優勝した2000年以来、10年ぶりの決勝進出を決めた。

それにしても、中京大の組織力には脱帽である。あそこまでしっかり守られては、相手としてもお手上げだろう…

攻撃面については、やはりカウンターとセットプレーという「お家芸」が炸裂して勝利に結びついたが、主導権を握って得点を取った訳ではないことにはやや不満であり、西ヶ谷監督自身もその点は認めていた。守備に大半の時間を費やし、2トップにボールが収まるシーンはほんのわずかしかなかったが、それでも「決めるべき所」でしっかり決められる決定力があるからこそ、ここまで結果を出せてきたのである。

さて、敗れた高知大・野地監督は試合後に「もったいない試合だった…」と感想を述べた。

「風も強かったので、前半は風上を取って先手必勝で行こうと思っていました。今日も試合の入り方は良かったし、流れの中から先制点を奪い、ウチらしいサッカーが出来ていました。しかし、前半のうちに2点目を取るチャンスは何度もあったのですが、そこで決められなかったのが痛かった。

守備に関しては、前半でもなんどか相手の選手をフリーにしてしまう場面があり『注意しよう』と伝えていたのですが、あんなに早い時間で同点にされ、焦りが出てしまいました」

内容では中京大を圧倒した高知大。
しかし、試合に勝利したのは中京大であった。

リーグ戦を戦う上では、高知大の戦い方の方がいいかも知れないが、負ければ終わりというトーナメントでは、リスクを排除した堅守速攻型チームの方が可能性は広がる。一般的に、ポゼッションを高めたサッカーが好まれ、リアクションサッカーに対しては「つまらない」という印象が強いかも知れない。しかし、大会というものは内容の品評会ではなく、強い者を決める場所。であるならば、勝つためのプロセスはなんだっていいのである。いい試合をしたチームが強いのではなく、勝った者が強いのだから。

Img_8952

夏の総理大臣杯ではあと数分… というところで優勝を逃してしまった中京大。あの悔しさがあったからこそ、今の勝負強さは身についてきたのだが、今度こそ「優勝」という結果を得ることが出来るだろうか?

« 関大、見事な逆転勝利 | トップページ | 駒大高、国立で初陣を飾る »

大学サッカー」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/176307/50419889

この記事へのトラックバック一覧です: 堅守中京大、再び決勝の舞台へ:

« 関大、見事な逆転勝利 | トップページ | 駒大高、国立で初陣を飾る »